(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6651639
(24)【登録日】2020年1月24日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】接眼レンズ及びこの接眼レンズを含むディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G02B 25/00 20060101AFI20200210BHJP
【FI】
G02B25/00 A
【請求項の数】17
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-538869(P2018-538869)
(86)(22)【出願日】2018年1月16日
(65)【公表番号】特表2019-526819(P2019-526819A)
(43)【公表日】2019年9月19日
(86)【国際出願番号】CN2018072775
(87)【国際公開番号】WO2019010938
(87)【国際公開日】20190117
【審査請求日】2018年7月25日
(31)【優先権主張番号】201710573783.6
(32)【優先日】2017年7月14日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201720853733.9
(32)【優先日】2017年7月14日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515153129
【氏名又は名称】浙江舜宇光学有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】宋 立通
(72)【発明者】
【氏名】黄 林
【審査官】
岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−161042(JP,A)
【文献】
国際公開第2016/063418(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00−17/08
G02B 21/02−21/04
G02B 25/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人目の側に対応する第一の表面と、前記第一の表面に対向する第二の表面とを有するレンズを含む、接眼レンズであって、
前記第一の表面は、フレネル構造の面であり、前記第二の表面は、非球面曲面であり、
前記フレネル構造の面は、順に配列される複数の輪帯を含むことにより、鋸歯の表面を形成し、
当該レンズの有効焦点距離EFLは、35mm<EFL<45mmを満たし、
前記レンズの第一の表面のフレネル構造の面における複数の輪帯は、1つの基底面に配列しており、当該基底面は、凹面であることを特徴とする接眼レンズ。
【請求項2】
前記複数の輪帯のそれぞれは、何れも動作面及び非動作面からなることを特徴とする請求項1に記載の接眼レンズ。
【請求項3】
前記レンズの第一の表面のフレネル構造の面において、近軸から縁に向かうi番目の輪帯の幅Ziは、0.08mm≦zi≦3.5mmを満たすことを特徴とする請求項1に記載の接眼レンズ。
【請求項4】
前記i番目の輪帯の深さdiは、0mm<di≦0.5mmを満たすことを特徴とする請求項3に記載の接眼レンズ。
【請求項5】
−0.28≦SAG1/DY≦0を満たし、
ここで、SAG1は、人目から画面の中心までの光軸方向をプラスと定義する場合、第一の表面と光軸との交点と、第一の表面の有効半径のエンド(end)との間の、光軸における距離を示し、DYは、前記レンズの有効径を示すことを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れか1つに記載の接眼レンズ。
【請求項6】
−0.4≦SAG2/DY≦−0.2を満たし、
ここで、SAG2は、人目から画面の中心までの光軸方向をプラスと定義する場合、前記第二の表面と光軸との交点と、前記第二の表面の有効半径のエンドとの間の、前記光軸における距離を示し、DYは、前記レンズの有効径を示すことを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れか1つに記載の接眼レンズ。
【請求項7】
レンズの中心厚さCTと有効径DYは、0.08<CT/DY<0.4を満たすことを特徴とする請求項1に記載の接眼レンズ。
【請求項8】
前記基底面の曲率半径R1と前記レンズの有効焦点距離EFLは、−2.9<R1/EFL<−0.4を満たすことを特徴とする請求項1に記載の接眼レンズ。
【請求項9】
人目の側に対応する第一の表面と、前記第一の表面に対向する第二の表面とを有するレンズを含む、接眼レンズであって、
前記第一の表面は、フレネル構造の面であり、
前記フレネル構造の面は、順に配列される複数の輪帯を含むことにより、鋸歯の表面を形成し、前記複数の輪帯のそれぞれは、何れも動作面及び非動作面からなり、
前記レンズの中心の厚さCTと前記レンズの有効径DYは、0.08<CT/DY<0.4を満たし、
前記フレネル構造の面における複数の輪帯は、1つの基底面に配列しており、当該基底面は、凹面であることを特徴とする接眼レンズ。
【請求項10】
前記基底面の曲率半径R1と前記レンズの有効焦点距離EFLは、−2.9<R1/EFL<−0.4を満たすことを特徴とする請求項9に記載の接眼レンズ。
【請求項11】
前記第二の表面は、非球面曲面であることを特徴とする請求項9に記載の接眼レンズ。
【請求項12】
前記レンズの第一の表面のフレネル構造の面において、近軸から縁に向かうi番目の輪帯の幅Ziは、0.08mm≦zi≦3.5mmを満たすことを特徴とする請求項9に記載の接眼レンズ。
【請求項13】
前記i番目の輪帯の深さdiは、0mm<di≦0.5mmを満たすことを特徴とする請求項12に記載の接眼レンズ。
【請求項14】
−0.28≦SAG1/DY≦0を満たし、ここで、
SAG1は、人目から画面の中心までの光軸方向をプラスと定義する場合、第一の表面と光軸との交点と、第一の表面の有効半径のエンドとの間の、光軸における距離を示し、DYは、前記レンズの有効径を示すことを特徴とする請求項9ないし請求項13の何れか1つに記載の接眼レンズ。
【請求項15】
−0.4≦SAG2/DY≦−0.2を満たし、ここで、
SAG2は、人目から画面の中心までの光軸方向をプラスと定義する場合、前記第二の表面と光軸の交点と、前記第二の表面の有効半径のエンドとの間の、前記光軸における距離を示し、DYは、前記レンズの有効径を示すことを特徴とする請求項9ないし請求項13の何れか1つに記載の接眼レンズ。
【請求項16】
請求項1ないし請求項8の何れか1つに記載の接眼レンズ又は請求項9ないし請求項15の何れか1つに記載の接眼レンズを含むことを特徴とするディスプレイ。
【請求項17】
前記ディスプレイは、仮想現実ヘッドマウントディスプレイであることを特徴とする請求項16に記載のディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2017年7月14日に中国国家知的産権局(SIPO)へ提出した、出願番号がそれぞれ第201710573783.6号及び第201720853733.9号である中国特許出願の優先権及び利権を主張するものであり、これらの2つの中国特許出願の内容の全てが引用により本明細書に取り込まれる。
【0002】
本願は、接眼レンズに関し、特に、ヘッドマウントディスプレイに用いられる接眼レンズに関する。例えば、ヘッドマウントディスプレイは、VR(仮想現実)ヘッドマウントディスプレイであっても良い。本願は、前記接眼レンズが設置されているディスプレイにも関する。
【背景技術】
【0003】
近年、コンピュータ技術が迅速に発展することに伴い、仮想現実(VR)が益々成熟して完備し、専門分野及び消費分野での応用も日々増加している。VR接眼レンズは、ヘッドマウントディスプレイの核心的な光学素子として、デバイスの応用及び体験の効果に直接に影響を与えるので、接眼レンズに対して非常に高い結像品質及び外観品質が求められている。
【0004】
従来技術におけるヘッドマウント接眼レンズシステム及びヘッドマウントディスプレイは、比較的大きな視角が得られると同時に、収差を補正することができるので、大きな視角での鑑賞体験を確保することができる。しかしながら、より高い市場ニーズに対応するために、従来技術における接眼レンズシステムの小型化及び高画質化の点においてさらに進められる余地がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、システムの球面収差及び色収差を効率的に補正することによって、結像品質を高めると同時に、VR接眼レンズの小型化及び薄型化の要求を満たすことが可能な小型接眼レンズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の1つの局面は、人の眼の側に対応する第一の表面と、前記第一の表面に対向する第二の表面とを有するレンズを含む、接眼レンズを提供する。なお、前記第一の表面は、フレネル構造の面であり、前記第二の表面は、非球面曲面であり、当該フレネル構造の面は、順に配列する複数の輪帯を含むことにより、鋸歯の表面を形成し、当該接眼レンズの焦点距離は、35mm<EFL<45mmを満たすことができる。
【0007】
本願のもう1つの局面は、人の眼の側に対応する第一の表面と、前記第一の表面に対向する第二の表面とを有するレンズを含む、接眼レンズ人の眼を提供する。なお、前記第一の表面は、フレネル構造の面であり、前記フレネル構造の面は、順に配列する複数の輪帯を含むことにより、鋸歯の表面を形成し、前記複数の輪帯のそれぞれは、何れも動作面及び非動作面からなり、前記レンズの中心の厚さCTと前記レンズの有効径DYは、0.08<CT/DY<0.4を満たす。
【0008】
本願の実施形態により、レンズの有効焦点距離は、35mm<EFL<45mmを満たすことができ、例えば、37.07≦EFL≦45を満たす。
【0009】
本願の実施形態により、レンズの中心厚さCTとレンズの有効径DYは、0.08<CT/DY<0.4を満たすことができ、例えば、0.28≦CT/DY≦0.34を満たす。
【0010】
本願の実施形態により、レンズの第一の表面のフレネル構造の面において、近軸から縁に向かうi番目の輪帯の幅Ziは、0.08mm≦zi≦3.5mmを満たすことができ、例えば、0.5mm≦zi≦1mmを満たし、当該i番目の輪帯の深さdiは、0mm<di≦0.5mmを満たすことができ、例えば、0.002mm<di≦0.49mmを満たす。
【0011】
本願の実施形態により、人の眼から画面の中心までの光軸方向をプラスと定義する場合、第一の表面と光軸との交点と、第一の表面の有効半径のエンドとの間において、光軸における距離SAG1とレンズの有効径DYは、−0.28≦SAG1/DY≦0を満たすことができ、例えば、−0.09≦SAG1/DY≦−0.06を満たす。
【0012】
本願の実施形態により、人の眼から画面の中心までの光軸方向をプラスと定義する場合、第二の表面と光軸の交点と、第二の表面の有効半径のエンドとの間において、光軸における距離SAG2とレンズの有効径DYは、−0.4≦SAG2/DY≦−0.2を満たすことができ、例えば、−0.35≦SAG2/DY≦−0.33を満たす。
【0013】
本願の実施形態により、レンズの第一の表面のフレネル構造の面における複数の輪帯は、1つの基底面に配列しており、当該基底面は、凹面である。
【0014】
本願の実施形態により、複数の輪帯が位置する基底面の曲率半径R1とレンズの有効焦点距離EFLは、−2.9<R1/EFL<−0.4を満たすことができ、例えば、−2.46≦R1/EFL≦−1.66を満たす。
【0015】
本願の実施形態により、各輪帯は、動作面及び非動作面を含むことができる。
【0016】
本願の実施形態により、第二の表面は、非球面曲面である。
【0017】
本願のもう1つの局面は、前記接眼レンズが設置されていることができるディスプレイを更に提供する。
【0018】
本願のもう1つの局面は、前記接眼レンズが設置されていることができるヘッドマウントVRディスプレイを更に提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、1つのレンズからなる接眼レンズを提供し、レンズは、凹面のフレネル面を有して、システムの収差を有効的に補正すると同時に、眼球の回転に起因するズレの要素の影響を減らすことができる。よって、接眼レンズの結像効果を有効的に高めることができる。
【0020】
本願の実施形態の上述特徴及び他の特徴をより分かりやすくするために、以下の図面を参照して詳しく説明する。なお、図面は、本願の例示する実施形態に過ぎず、本発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る接眼レンズの模式構造図である。
【
図2】第1実施形態におけるフレネル構造の面の部分拡大図である。
【
図3】本発明の第2実施形態に係る接眼レンズの模式構造図である。
【
図4】本発明の第3実施形態に係る接眼レンズの模式構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本願をより良く理解するために、図面を参照して本願の各局面をより詳しく説明する。なお、これらの詳しい説明は、本願の例示する実施形態に関する説明に過ぎず、如何なる形で本願の範囲を制限するものではない。明細書の全文における同一の図面符号で、同一の部材を示し、「及び/又は」という表現は、関連する列挙項目の中の1つ又は複数の任意及び全部の組み合わせを含むことが理解されたい。
【0023】
図面において、分かりやすく説明するために、レンズの厚さ、寸法及び形状を少し誇張したが、各部材の寸法が図面に制限されず、一定の範囲内に適切に調整することができることが理解されたい。具体的に、図面における球面又は非球面の形状は、例示する方法で示されているものであり、即ち、球面又は非球面の形状は、図面で示されている球面又は非球面の形状に限定されるものではない。なお、図面は、例示するものであり、厳格に比例に従って描いたものではない。
【0024】
また、近軸領域とは、光軸の付近にある領域を意味する。
【0025】
また、「備える」、「備えている」、「有する」、「含む」及び/又は「含んでいる」という表現とは、本明細書において用いられている場合、挙げられた特徴、全体、素子及び/又は部材が存在していることを意味するが、1つ又は複数の他の特徴、全体、素子、部材及び/又はこれらの組み合わせが存在し、又は、追加されることを排除しないことも理解されたい。なお、「・・・のうちの少なくとも1つ」のような表現が、挙げられた特徴のリストの後ろに現れたとき、挙げられた特徴の全てに係り、挙げられた特徴のリストの中の単独の特徴に係るのではない。また、本願の実施形態を説明する時に、「できる/しても良い」を用いて「本願の1つ又は複数の実施形態」を表現する。また、「例示する」という用語は、例示する又は例を挙げて説明するという意味を表す。
【0026】
特に限定する場合を除き、本文に用いられている全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する分野の当業者による通常の理解と同じ意味である。また、用語(例えば、よく使われている辞典に定義されている用語である)は、関連技術の上下文脈における意味と同じ意味を持つと解釈すべきであり、本文において明確に限定する場合を除き、理想化又は正式過ぎる意味で解釈しないことが理解されたい。
【0027】
なお、衝突しない限り、本願の実施形態及び実施形態の特徴が組み合わせられても良い。以下、図面を参照しながら、実施形態を用いて本願を詳しく説明する。
【0028】
本願の例示する実施形態の接眼レンズは、対向する第1の表面及び第2の表面を含むレンズを備え、第1の表面は、人の眼の側に対応する表面であり、第2の表面は、表示素子の側に対応する表面である。
【0029】
例示する実施形態においては、レンズの第1の表面は、フレネル構造の面であり、第2の表面は、非球面曲面である。当該フレネル構造の面は、順に配列する複数の輪帯を含むことにより、鋸歯の表面を形成し、各輪帯は、何れも動作面及び非動作面を含んでも良い。
【0030】
例示する実施形態においては、レンズの第一の表面のフレネル構造の面における複数の輪帯は、1つの基底面に配列しており、当該基底面は、凹面である。
【0031】
例示する実施形態においては、レンズの有効焦点距離は、35mm<EFL<45mmを満たすことができ、より具体的には、37.07≦EFL≦45を更に満たすことができる。当該条件を満たす接眼レンズシステムは、比較的良い没入感を実現することができる。
【0032】
例示する実施形態においては、複数の輪帯が位置する基底面の曲率半径R1とレンズの有効焦点距離EFLは、−2.9<R1/EFL<−0.4を満たすことができ、より具体的には、−2.46≦R1/EFL≦−1.66を更に満たすことができる。
【0033】
例示する実施形態においては、レンズの中心厚さCTとレンズの有効径DYは、0.08<CT/DY<0.4を満たすことができ、より具体的には、0.28≦CT/DY≦0.34を更に満たすことができる。当該条件を満たす接眼レンズシステムは、比較的良い没入感を実現することができる。
【0034】
例示する実施形態においては、レンズの第一の表面のフレネル構造の面において、近軸から縁に向かうi番目の輪帯の幅Ziは、0.08mm≦zi≦3.5mmを満たすことができ、より具体的には、0.5mm≦zi≦1mmを更に満たすことができる。当該i番目の輪帯の深さdiは、0mm<di≦0.5mmを満たすことができ、より具体的には、0.002mm<di≦0.49mmを更に満たすことができる。このような配置により、光学システムの球面収差をよく補正し、人の眼で仮想画面を見る時の格子感を減少することができる。
【0035】
例示する実施形態においては、人の眼から画面の中心までの光軸方向をプラスと定義する場合、第一の表面と光軸との交点と、第一の表面の有効半径のエンドとの間において、光軸における距離SAG1とレンズの有効径DYは、−0.28≦SAG1/DY≦0を満たすことができ、より具体的には、−0.09≦SAG1/DY≦−0.06を更に満たすことができる。このような配置により、眼球の回転による光学の像面湾曲の収差を減らし、接眼レンズの結像品質を高めることができる。
【0036】
例示する実施形態においては、人の眼から画面の中心までの光軸方向をプラスと定義する場合、第二の表面と光軸の交点と、第二の表面の有効半径のエンドとの間において、光軸における距離SAG2とレンズの有効径DYは、−0.4≦SAG2/DY≦−0.2を満たすことができ、より具体的には、−0.35≦SAG2/DY≦−0.33を更に満たすことができる。このような配置により、光学システムの球面収差を補正し、結像品質を高めることができる。
【0037】
以下、
図1〜
図4を参照しながら、具体的な実施形態を用いて本願の特徴、原理及び他の点を詳しく説明する。
【0038】
(第1実施形態)
本願の第1実施形態は、接眼レンズを提供する。
図1に示すように、本願の第1実施形態の接眼レンズには、レンズL1及び感光素子が設置されている。
【0039】
図1に示すように、人の眼EYEの瞳孔の中心がEVであり、目玉の回転中心がCERであり、目玉の回転中心CERと瞳孔の中心EVとの、光軸における距離がERであり、人間の瞳孔の中心EVから第一の表面S1までの光軸における距離がEDである。
【0040】
レンズL1は、対向する第1の表面S1及び第2の表面S2を含んでも良く、第1の表面S1は、人の眼の側に対応する表面であり、第2の表面S2は、表示素子の側に対応する表面である。また、レンズL1の第1の表面S1は、フレネル構造の面であり、第2の表面は、非球面曲面である。
【0041】
当該フレネル構造の面は、順に配列する複数の輪帯Ci(iは、自然数である)を含むことにより、鋸歯の表面を形成することができる。
図2は、当該フレネル構造の面の鋸歯状の表面を詳しく示している。
図2に示すように、近軸から縁に向かうi番目の輪帯とi+1番目の輪帯の間は、垂直間隔Ziを有し、各々の2つの隣接する輪帯の間の垂直間隔は、全て同じである。当該実施形態においては、Zi=1.00mmを満たす。レンズL1の第1の表面S1のフレネル構造の面における輪帯Ciは、基底面S1’に配列しており、当該基底面S1’は、凹面である。その近軸の場所から縁に向かうi番目の輪帯の深さは、diであり、0.01mm≦di≦0.49mmを満たすことができる。
【0042】
各輪帯Ciは、動作面Sa及び非動作面Sbを含んでも良い。動作面Saは、次の条件式(1)を満たすことができる。
【数1】
【0043】
ここで、hは、動作面Saにおける任意点から光軸までの高さであり、cは、頂点の曲率であり、kは、円錐定数であり、Aiは、非球面のi−th次の補正係数である。
【0044】
当該第1実施形態においては、レンズの有効焦点距離EFLは、EFL=37.07mmを満たす。
【0045】
当該第1実施形態においては、複数の輪帯が位置する基底面の曲率半径R1とレンズの有効焦点距離EFLは、R1/EFL=−2.19を満たす。
【0046】
当該第1実施形態においては、レンズの第1の表面S1と光軸の交点と、第1の表面S1の有効半径のエンドとの間において、光軸における距離SAG1とレンズの有効径DYは、SAG1/DY=−0.09を満たす。
【0047】
当該第1実施形態においては、レンズの第2の表面S2と光軸の交点と、第2の表面S2の有効半径のエンドとの間において、光軸における距離SAG2とレンズの有効径DYは、SAG2/DY=−0.33を満たす。
【0048】
当該第1実施形態においては、レンズの中心の厚さCTとレンズの有効径DYは、CT/DY=0.28を満たす。
【0049】
上述したように、第1実施形態の接眼レンズは、VR接眼レンズの小型化及び薄型化を実現するとともに、比較的良い結像効果を得ることができる。
【0050】
(第2実施形態)
以下、
図3を参照しながら、本願の接眼レンズの第2実施形態を説明する。この第2実施形態及び以下の各実施形態に記載の接眼レンズは、第1実施形態に記載の接眼レンズと配置構造が同じである。なお、説明を簡略するために、第1実施形態に類似する内容を省略する。
【0051】
図3は、本発明の第2実施形態に係る接眼レンズの構造模式図である。
図3に示すように、第2実施形態の接眼レンズは、レンズL1及び感光素子を含む。
【0052】
当該第2実施形態においては、フレネル構造の面における近軸から縁に向かうi番目の輪帯とi+1番目の輪帯の間の垂直間隔Ziは、例えば、0.5mmである。フレネル構造の面における近軸から縁に向かうi番目の輪帯の深さdiは、0.002mm≦di≦0.05mmを満たすことができる。
【0053】
当該第2実施形態においては、レンズの有効焦点距離EFLは、EFL=45mmを満たす。
【0054】
当該第2実施形態においては、複数の輪帯が位置する基底面の曲率半径R1とレンズの有効焦点距離EFLは、R1/EFL=−1.66を満たす。
【0055】
当該第2実施形態においては、レンズの第1の表面S1と光軸の交点と、第1の表面S1の有効半径のエンドとの間において、光軸における距離SAG1とレンズの有効径DYは、SAG1/DY=−0.07を満たす。
【0056】
当該第2実施形態においては、レンズの第2の表面S2と光軸の交点と、第2の表面S2の有効半径のエンドとの間において、光軸における距離SAG2とレンズの有効径DYは、SAG2/DY=−0.34を満たす。
【0057】
当該第2実施形態においては、レンズの中心の厚さCTとレンズの有効径DYは、CT/DY=0.32を満たす。
【0058】
上述したように、第2実施形態の接眼レンズは、VR接眼レンズの小型化及び薄型化を実現するとともに、比較的良い結像効果を得ることができる。
【0059】
(第3実施形態)
以下、
図4を参照しながら、本願の接眼レンズの第3実施形態を説明する。
図4は、本発明の第3実施形態に係る接眼レンズの模式構造図である。
図4に示すように、第3実施形態の接眼レンズは、レンズL1及び感光素子を含む。
【0060】
当該第3実施形態においては、フレネル構造の面における近軸から縁に向かうi番目の輪帯とi+1番目の輪帯の間の垂直間隔Ziは、例えば、1.00mmである。フレネル構造の面における近軸から縁に向かうi番目の輪帯の深さdiは、0.02mm≦di≦0.13mmを満たすことができる。
【0061】
当該第3実施形態においては、レンズの有効焦点距離は、EFL=40mmを満たす。
【0062】
当該第3実施形態においては、複数の輪帯が位置する基底面の曲率半径R1とレンズの有効焦点距離EFLは、R1/EFL=−2.46を満たす。
【0063】
当該第3実施形態においては、レンズの第1の表面S1と光軸の交点と、第1の表面S1の有効半径のエンドとの間において、光軸における距離SAG1とレンズの有効径DYは、SAG1/DY=−0.06を満たす。
【0064】
当該第3実施形態においては、レンズの第2の表面S2と光軸の交点と、第2の表面S2の有効半径のエンドとの間において、光軸における距離SAG2とレンズの有効径DYは、SAG2/DY=−0.35を満たす。
【0065】
当該第3実施形態においては、レンズの中心の厚さCTとレンズの有効径DYは、CT/DY=0.34を満たす。
【0066】
上述したように、第3実施形態の接眼レンズは、VR接眼レンズの小型化及び薄型化を実現するとともに、比較的良い結像効果を得ることができる。
【0067】
下の表1は、第1実施形態〜第3実施形態におけるレンズの各パラメータ間の相互関係を示している。
【表1】
【0068】
本願は、ディスプレイを更に提供する。ディスプレイは、仮想現実のディスプレイのようなシステムであっても良い。当該ディスプレイには、上述した各実施形態に記載の接眼レンズが設置されていることができる。
【0069】
上述したように、図面を参照しながら、本願の例示する実施形態を説明した。当業者は、上述した実施形態が説明のために列挙した例に過ぎず、本願の特許請求の範囲を制限するものではないと理解すべきである。また、本願の教示及び特許請求の範囲内に行われたいかなる補正、等価変換等は、何れも本願の特許請求の範囲に含まれている。
【符号の説明】
【0070】
EV 瞳孔の中心
S1 第1の表面
S2 第2の表面
L1 レンズ
CER 目玉の回転中心