(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている車両用シートでは、腰椎部と骨盤部をそれぞれ左右2か所で押圧又は支持する構成であるために、左右の機構部を連動させるための機構が必要であり、構成部品が多くて重量が重くなってしまうこと、材料コストが高くなってしまうことなどの課題がある。
【0006】
また、アクチュエータに替えて手動で駆動する構成とした場合、動作を補助するレバー・ダイヤルなどがそれぞれに必要になり、作動時にレバー・ダイヤルを持ち替える必要があるなど、動作が煩わしいという課題がある。
【0007】
さらに、腰椎部と骨盤部をそれぞれ左右2か所で押圧・支持する機構ユニットの駆動をアクチュエータを用いた電動方式と手動方式で駆動方式を変更する場合、部品を共通化することが難しい。
【0008】
本発明は、上記した従来技術の課題を解決して、腰椎部と骨盤部をそれぞれ押圧又は同時に支持する機構ユニットの構成を簡素化してより少ない部品で構成するとともに、駆動方式を変更する場合に部品を共通化できるようにした着座者の背部と腰部をそれぞれ押圧または支持するサポート機構を備えた車両用シートを提供するものである。
【0009】
また、本発明は、上記した従来技術の課題を解決して、腰椎部と骨盤部をそれぞれ押圧又は同時に支持する機構ユニットの構成を簡素化してより少ない部品で構成して、着座者の背部と腰部をそれぞれ押圧すると共に、背部と腰部を同時に支持するサポート機構を備えた車両用シートを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決するために、本発明では、搭乗者が着座するシートクッションとこ
のシートクッションに着座した搭乗者が背中をもたれ掛けるシートバックを備えた車両用
シートにおいて、シートバックは、表面をトリムカバーで覆ったウレタンパッドと、このウレタンパッドのトリムカバーで覆われた側の裏側に
配置された樹脂パネルと、横方向に延びる軸とこの軸に対して
上方に形成された上側押し付け部
と下方に形成された下側押し付け部とが形成
された押圧手段と、この押圧手段の
上側押し付け部と樹脂パネルの接触を検出する第1の検出器と押圧手段の下側押し付け部と樹脂パネルとの接触を検出する第2の検出器とを有する回動検出部と
、押圧手段を回転駆動する駆動部とを備え、
駆動部で押圧手段の軸を回転させて押圧手段を回動させることにより上側押し付け部で
樹脂パネルの上側
を前方に押してウレタンパッドを前方に押付け、又は下側押し付け部で
樹脂パネルの下側
を前方に押して前記ウレタンパッドを前方に押付け、押圧手段を回動させて上側押し付け部で
樹脂パネルの上側
を前方に押してウレタンパッドを前方に押付けた状態から下側押し付け部で
樹脂パネルの下側
を前方に押してウレタンパッドを前方に押付ける状態又はその逆の状態に変える途中において回動検出部
の第1の検出器で上側押付け部と樹脂パネルとの接触を検出するとともに第2の検出器で下側押し付け部と樹脂パネルとの接触を検出した状態で駆動手段による押圧手段の
回転駆動を停止することにより
上側押し付け部と下側押し付け部とを共に樹脂パネルに接触させた状態にするように構成した。
【0012】
さらに、上記した課題を解決するために、本発明では、搭乗者が着座するシートクッシ
ョンとこのシートクッションに着座した搭乗者が背中をもたれ掛けるシートバックを備え
た車両用シートにおいて、
シートバックは、表面をトリムカバーで覆ったウレタンパッドと、ウレタンパッドのトリムカバーで覆われた側の裏側に
配置された樹脂パネルと、横方向に延びる軸とこの軸に対して
上方に形成された上側押し付け部
と下方に形成された下側押し付け部とが形成
された押圧手段と、
この押圧手段を回転駆動する駆動部と、この駆動部で押圧手段
を回動させるときの押圧手段の回動の中間位置を
駆動部の側で検出する回動検出部とを備え、
駆動手段で押圧手段の軸を回転させて押圧手段を回動させることにより
上側押し付け部で
樹脂パネルを介してウレタンパッドの上側を前方に押付ける状態から
下側押し付け部で
樹脂パネルを介してウレタンパッドの下側を前方に押付ける状態へ又はその逆の状態に変える途中におい
て押圧手段の回動の中間位置を
回動検出部により駆動部の側で検出するように構成した。
【0013】
また、上記した課題を解決するために、本発明では、搭乗者が着座するシートクッショ
ンとこのシートクッションに着座した搭乗者が背中をもたれ掛けるシートバックを備えた
車両用シートにおいて、シートバックは、表面をトリムカバーで覆ったウレタンパッドと、このウレタンパッドのトリムカバーで覆われた側の裏側
に配置された樹脂パネルと
、横方向に延びる軸とこの軸に対して
上方に形成された上側押し付け部
と下方に形成された下側押し付け部とが形成
された押圧手段と、この押圧手段
を回転駆動する駆動部と、この駆動部で押圧手段
を回動させるときの押圧手段の回動の中間位置を検出する回動検出部とを備え、回動検出部は、樹脂パネルの表面に形成した凹凸部であって、上側押し付け部又は下側押し付け部が凹凸部の表面に沿って移動するときに上側押し付け部又は下側押し付け部が凹凸部に当たって発生する振動が回動検出部の出力であり、駆動部で押圧手段の軸を回転させて押圧手段を回動させることにより上側押し付け部で樹脂パネルを介してウレタンパッドの上側を前方に押付ける状態から下側押し付け部で樹脂パネルを介してウレタンパッドの下側を前方に押付ける状態へ又はその逆の状態に変える途中において押圧手段の回動の中間位置を回動検出部で検出するように構成した。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、トーションバーの回転停止位置を3つの状態から選ぶことができ、シートに着座した搭乗者の腰椎部と骨盤部をそれぞれに押圧、又は一緒に支持することができるようになった。
【0015】
また、本発明によれば、トーションバーの回動の中間位置を検出することができ、トーションバーの回動を任意の位置で停止させることができるようになった。これにより、シートに着座した搭乗者の腰椎部と骨盤部を一緒に支持することができるようになった。
【0016】
また、本発明によれば、車両用シートに着座した搭乗者の腰椎部と骨盤部をそれぞれ押圧・支持する機構ユニットの構成を簡素化してより少ない部品で構成することができるようになった。
【0017】
更に、本発明によれば、車両用シートに着座した搭乗者の背部押圧・支持するサポート機構駆動方式を変更する場合に部品を共通化できるようになった。
【0018】
更に、本発明によれば、シートバックの特性測定の再現性及び信頼性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、搭乗者が着座するシートクッションとこのシートクッションに着座した搭乗者が背中をもたれ掛けるシートバックを備えた車両用シートにおいて、シートバックは表面をトリムカバーで覆ったウレタンパッドと、ウレタンパッドのトリムカバーで覆われた側の裏側で横方向に延びる軸とこの軸に対して上下方向に押し付け部を形成した押圧手段を備え、押圧手段の横方向に延びる軸を一方向に回転させることにより上下方向の押し付け部の内の上側の押し付け部でウレタンパッドの上側を前方に押付け、押圧手段の横方向に延びる軸を一方向と反対の方向に回転させることにより上下方向の押し付け部の内の下側の押し付け部でウレタンパッドの下側を前方に押付け、更に押圧手段を中間位置で停止させる機能を持たせることで、着座した搭乗者の好みに合わせた設定ができるように構成したものである。
【0021】
また、本発明は、搭乗者が着座するシートクッションとこのシートクッションに着座した搭乗者が背中をもたれ掛けるシートバックを備えた車両用シートにおいて、シートバックは表面をトリムカバーで覆ったウレタンパッドと、ウレタンパッドのトリムカバーで覆われた側の裏側に押圧手段を備え、押圧手段を一方向に回動させることによりウレタンパッドの上側を前方に押付け、押圧手段を一方向と反対の方向に回動させることによりウレタンパッドの下側を前方に押付け、更に押圧手段の回動の中間位置を検出する手段を設けて、押圧手段が回動の中間位置に来たことを搭乗者に知らせる機能を持たせることで、着座した搭乗者の好みに合わせた設定ができるように構成したものである。
【0022】
以下に、図を用いて本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0023】
図1は、本発明で対象とする車両用シート1の基本的な構成を示す。車両用シート(シート)1は、搭乗者が着座するシートクッション2、シートクッション2に着座した搭乗者が背中をもたれ掛けるシートバック3、搭乗者の頭部を支えるヘッドレスト4、サイドサポート5を備えている。
【0024】
図2は、シートバック3の表側(着座した搭乗者の背中が接する側の面)の部材を取り外した状態を示している。31はシートフレームで、シートバック3の輪郭形状を構成している。32は樹脂パネルで、ウレタンパッド39(
図6参照)の裏面に接している。33はスプリングワイヤで、シートフレーム31の両側の側板311と312との間に張られており、樹脂パネル32の上端部に取り付けたフック34を引掛けて、樹脂パネル32を保持する。
【0025】
図3は、
図2における樹脂パネル32を取り外した状態のシートフレーム31を示している。樹脂パネル32の裏側には上側トーションバー351と下側トーションバー352とを固定して構成したトーションバー35と、トーションバー35の一端を固定してトーションバー35を回転駆動する歯車機構部36、歯車機構部36を駆動する駆動部37が取り付けられている。トーションバー35の他端は、側板312に固定された軸受313で支持されている。上側トーションバー351と下側トーションバー352とには、
図4に示すように、それぞれ樹脂パネル32への接触状態を検知するためにリミットスイッチ301と302とが取り付けられている。
【0026】
図4に、トーションバー35と歯車機構部36、駆動部37の詳細を示す。駆動部37としては、電動モータを用いる。歯車機構部36は、駆動部37の出力軸371軸で先端部分3611がブラケット364に支持された出力軸371に取り付けられ第1の歯車361、ブラケット364に固定支持された軸3621に回転自在に取り付けられて第1の歯車361と噛み合っている第2の歯車362、ブラケット364に固定支持された軸3631に回転自在に取り付けられて第2の歯車362と噛み合っている第3の歯車363を備えている。
【0027】
本実施例においては、
図4に示すように、下側トーションバー352の端部3521を第3の歯車363に軸3631から離れた位置に偏心させて固定し、下側トーションバー352の他方の端部3524を、側板312上で第3の歯車363の軸3631の延長線上の位置に固定された軸受313で支持する構成とした。
【0028】
トーションバー35の右側の端部3524と左側の端部3521とで支持する位置の軸心がずれているために、上側トーションバー351と下側トーションバー352との形状が異なっている。
【0029】
また、本実施例においては、
図5に示すようにブラケット364に、第3の歯車363に固定した下側トーションバー352の端部3521の可動範囲を規制するためのガイド溝3641が形成されている。ガイド溝3641は、第3の歯車363の軸3631の中心を曲率半径の中心とする長穴であり、このガイド溝3641で第3の歯車363に固定した下側トーションバー352の端部3521の回転範囲が規制され、トーションバー35の搖動角を制御することができる。
【0030】
両側の端部3521と3522とが第3の歯車363と側板312とで支持されている下側トーションバー352に対して、上側トーションバー351は、両端部3511及び3512が溶接によって固定されている。
【0031】
このような構成で、駆動部37を回転駆動させると、第1の歯車361、第2の歯車362、第3の歯車363が回転する。この第3の歯車363の回転に伴って、第3の歯車363に偏心して固定されている下側トーションバー352の端部3521が、第3の歯車363の軸3631を中心にブラケット364に形成されたガイド溝3641に沿って搖動(回動)する。一方、下側トーションバー352の他方の端部3524は、側板213上で第3の歯車363の軸3631の軸心の延長線上(同軸上)に固定された軸受313で支持されているので、第3の歯車363の回転と同期して軸受313内で回転する。
【0032】
上記したように第3の歯車363を回転駆動させて下側トーションバー352を回動させることにより、下側トーションバー352及び上側トーションバー351が第3の歯車363の軸3631の軸心及び下側トーションバー352の端部3524の軸心を中心として回動する。下側トーションバー352及び上側トーションバー351が回動する範囲は、下側トーションバー352の端部3521がブラケット364に形成されたガイド溝3641に沿って搖動する範囲(ガイド溝3641の位置及び長さ)によって決められる。
【0033】
なお、
図4には、第1の歯車361、第2の歯車362、第3の歯車363を用いた構成を示したが、駆動部37の配置に支障がなければ、第2の歯車362を用いずに、第1の歯車361を第3の歯車363に近づけて配置して、第1の歯車361で第3の歯車363を直接駆動するようにしてもよい。更に、第1の歯車361と第2の歯車362との間、または第2の歯車362と第3の歯車363との間に、第4の歯車を設けるようにしてもよい。
【0034】
また、第2の歯車362及び第3の歯車363は、全周に歯が形成されている必要はなく、トーションバー35を回動させるのに必要な角度分だけに歯が形成されていてもよい。
【0035】
さらに、歯車機構部36を、タイミングベルトとプーリー又はチェーンとスプロケットとを組み合わせた動力伝達機構と置き換えてもよい。
【0036】
本実施例においては、このような構成において、更に、リミットスイッチ301と302とを用いて上側トーションバー351及び下側トーションバー352の回動の中間位置を検出して回動を停止させるようにした。
【0037】
すなわち、ブラケット364に形成されたガイド溝3641によって上側トーションバー351及び下側トーションバー352が回動する範囲を規制して両端で回動を停止させると共に、上側トーションバー351及び下側トーションバー352の回動の中間位置でも回動を停止させるようにした。これにより、トーションバー35の回動を3つの位置で停止させるようにした。
【0038】
図6は、
図1におけるシートバック3のA−A断面図である。
図6では、説明を簡単にするために、
図2及び
図3に示したシートフレーム31の図示を省略してある。
図6は、上側トーションバー351と下側トーションバー352とが何れも樹脂パネル32に当たって停止している状態を示している。樹脂パネル32は、上端に形成したフック34がスプリングワイヤ33に引っ掛っている保持されている。
【0039】
この状態では、上側トーションバー351に固定したリミットスイッチ301と下側トーションバー352に固定したリミットスイッチ302とが、共にON (又は、共にOFF)になっている。この両方のリミットスイッチ301と302のONの信号(又はOFFの信号)を受けて駆動部37による駆動を停止させると、上側トーションバー351と下側トーションバー352との何れもが樹脂パネル32に接触している。この状態では、上側トーションバー351と下側トーションバー352との何れもが樹脂パネル32に押し当てられている。この状態では、上側トーションバー351と下側トーションバー352との何れもが樹脂パネル32に積極的には押し付けておらず、ウレタンパッド39とその表面を覆うトリムカバー40は、平坦な状態になり、シート1に着座した搭乗者の腰椎部と骨盤部を均等に押圧することができる。
【0040】
一方、
図7は、駆動部37を回転駆動してトーションバー35を矢印の方向に回動させ、上側トーションバー351で樹脂パネル32を前方に押している状態を示している。このように上側トーションバー351で樹脂パネル32を前方に押すことで、ウレタンパッド39を介して、シート1に着座した搭乗者の腰椎部を押圧することができる。
【0041】
これに対して
図8は、駆動部37を回転駆動してトーションバー35を矢印の方向に回動させ、下側トーションバー352で樹脂パネル32を前方に押している状態を示している。このように下側トーションバー352で樹脂パネル32を前方に押すことで、ウレタンパッド39を介して、シート1に着座した搭乗者の骨盤部を押圧することができる。
【0042】
本実施例では、トーションバー35の形状として、
図3及び4に示したような形状の例を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、様々な形状のものと置き換えて用いることができる。
【0043】
また、リミットスイッチ301と302に代えて、近接スイッチや光電スイッチ、圧力センサなどを用いても良い。
【0044】
本実施例によれば、トーションバー35の回動停止位置を3つの状態から選ぶことができ、シートに着座した搭乗者の腰椎部と骨盤部をそれぞれに押圧、又は一緒に支持することができるようになった。また、そのための機構ユニットの構成を簡素化してより少ない部品で構成することができた。また、駆動方式を変更する場合に部品を共通化できるようになった。
【0045】
また、本実施例によれば、トーションバー35の回動の中間位置をリミットスイッチ301と302との信号から再現性良く検出することができるので、トーションバー35を毎回同じ位置で停止させることができる。これにより、トルソー角の測定などのシートバックの特性測定の再現性及び信頼性の向上を図ることができる。
【実施例2】
【0046】
第2の実施例として、実施例1におけるリミットスイッチ301と302に代えて、駆動部37の軸372の回転数を検出して上側トーションバー351と下側トーションバー352とが一緒に樹脂パネル32に当たる位置を検出する構成とした例を説明する。
【0047】
図9に、本実施例におけるトーションバー35と歯車機構部36、駆動部37の詳細を示す。
図9に示した構成は、実施例1で説明した
図4に示した構成と基本的には同じであるので、異なる部分についてだけ説明する。
図9に示した構成で、
図4に示した構成と異なる点は、リミットスイッチ301と302を無くして、駆動部37の軸372の回転数を検出するための構成が追加されていることである。
【0048】
駆動部37の軸372の回転数を検出するための構成として、軸372に円板373が取り付けられて軸372と一緒に回転する。円板373には磁石374が固定されており、磁気センサ303で円板と一緒に回転する磁石374による磁界を検出することにより、軸372の回転数を検出する。
【0049】
駆動部37を作動させて、トーションバー35が
図7に示した状態、又は
図8に示した状態から回動し始めてからの円板373の回転数を磁気センサ303で検出し、予め設定した回転数に達した時点で駆動部37による駆動を停止させる。これにより、
図6に示したような上側トーションバー351と下側トーションバー352とが共に樹脂パネル32に当たった状態でトーションバー35の回動を停止させることができる。この状態では、上側トーションバー351と下側トーションバー352との何れもが樹脂パネル32に押し当てられている。
【0050】
この状態では、上側トーションバー351と下側トーションバー352との何れもが樹脂パネル32に積極的には押し付けておらず、ウレタンパッド39とその表面を覆うトリムカバー40は、平坦な状態になり、シート1に着座した搭乗者の腰椎部と骨盤部を均等に押圧することができる。
【0051】
また、本実施例によれば、駆動部37を停止させるまでの円板373の回転数を任意に設定することができるので、トーションバー35の中間停止位置を、搭乗者の好みに合わせて、任意に設定することが可能になる。
【0052】
なお、
図9に示した構成では、円板373と磁気センサ303を駆動部37の外部に設けたが、磁気センサ303に代えてホールICを駆動部37の内部に組み込んで、駆動部37の回転数を検出するように構成しても良い。またこの場合も、駆動部37を停止させるまでにホールICで検出する駆動部37の回転数を任意に設定することができるので、トーションバー35の中間停止位置を、搭乗者の好みに合わせて、任意に設定することが可能になる。
【0053】
本実施例によれば、トーションバー35の回動停止位置を3つの状態から選ぶことができ、シート1に着座した搭乗者の腰椎部と骨盤部をそれぞれに押圧、又は共に支持することができるようになった。また、そのための機構ユニットの構成を簡素化してより少ない部品で構成することができた。また、駆動方式を変更する場合に部品を共通化できるようになった。
【実施例3】
【0054】
第3の実施例として、実施例1におけるリミットスイッチ301と302に代えて、歯車機構部36に歯車の回転を検出して上側トーションバー351と下側トーションバー352とが一緒に樹脂パネル32に当たる位置を検出する構成とした例を説明する。
【0055】
図10に、本実施例におけるトーションバー35と歯車機構部36、駆動部37の詳細を示す。
図10に示した構成は、実施例1で説明した
図4に示した構成と基本的には同じであるので、異なる部分についてだけ説明する。
図10に示した構成で、
図4に示した構成と異なる点は、リミットスイッチ301と302を無くして、歯車機構部36の第3の歯車363に回転を検出するための構成が追加されていることである。
【0056】
具体的には、歯車機構部36の第3の歯車363に穴3632をあけ、穴3632の一方の側に投光器304、反対の側に受光器305を設置した。このような構成で、投光器304から発射されて穴3632を通過した光を受光器305で検出することにより第3の歯車363が所定の角度回転したことを検知して駆動部37による駆動を停止させるようにした。
【0057】
第3の歯車363にあける穴3632は、上側トーションバー351と下側トーションバー352とが共に樹脂パネル32に当たった状態で、投光器304から発射された光を反対側に設置した受光器305で検出できるような位置に設ける。
【0058】
これにより、
図6に示したような上側トーションバー351と下側トーションバー352とが共に樹脂パネル32に当たった状態でトーションバー35の回動を停止させることができる。この状態では、上側トーションバー351と下側トーションバー352との何れもが樹脂パネル32に押し当てられている。この状態では、上側トーションバー351と下側トーションバー352との何れもが樹脂パネル32に積極的には押し付けておらず、ウレタンパッド39とその表面を覆うトリムカバー40は、平坦な状態になり、シート1に着座した搭乗者の腰椎部と骨盤部を均等に押圧することができる。
【0059】
本実施例によれば、トーションバー35の回動停止位置を3つの状態から選ぶことができ、シート1に着座した搭乗者の腰椎部と骨盤部をそれぞれに押圧、又は一緒に支持することができるようになった。また、そのための機構ユニットの構成を簡素化してより少ない部品で構成することができた。また、駆動方式を変更する場合に部品を共通化できるようになった。
【実施例4】
【0060】
本実施例においては、実施例1において
図1乃至
図4を用いて説明した構成において、上側トーションバー351及び下側トーションバー352の回動の中間位置、すなわち、上側トーションバー351及び下側トーションバー352が共に樹脂パネル32(本実施例における樹脂パネル132)に接触した状態を、着座した搭乗者に認識できるような構成にした。ただし、本実施例においては、上側トーションバー351及び下側トーションバー352に、実施例1において
図4に示したようなリミットスイッチ301,302を備えていない。
【0061】
図11Aは、
図1におけるシートバック3のA−A断面図である。
図11Aでは、説明を簡単にするために、実施例1で説明したような
図2及び
図3に示したシートフレーム31の図示を省略してある。
図11Aは、上側トーションバー351と下側トーションバー352とが何れも樹脂パネル132に当たっている状態を示している。樹脂パネル132は、上端に形成したフック34がスプリングワイヤ33に引っ掛っている保持されている。
【0062】
図11Bには、
図11Aの丸Bで囲んだ部分の拡大図を示す。樹脂パネル132の上側トーションバー351が当たる部分に、凹凸部1321が形成されている。
【0063】
即ち、本実施例においては、
図11A及び
図11Bに示すように、上側トーションバー351及び下側トーションバー352が共に樹脂パネル132に接触した状態において、上側トーションバー351が樹脂パネル132に接触している部分に凹凸部1321を設けた。
図11Aに示したような状態で上側トーションバー351を樹脂パネル132の側に更に押し込むように、トーションバー35を反時計周りに回動させることにより、上側トーションバー351は凹凸部1321を乗り越える。この上側トーションバー351が凹凸部1321を乗り越えるときに振動が発生し、その振動がウレタンパッド39、トリムカバー40を介して、シート1に着座している搭乗者の背中に伝わるように構成されている。
【0064】
シート1に着座している搭乗者は、この振動で上側トーションバー351と下側トーションバー352とが回動の中間位置にあることを認識することができ、シート1の側面に設置された図示していない手元スイッチを操作して駆動部37による駆動を停止させることにより、トーションバー35の回動を任意の好みの位置で止めることができる。
【0065】
すなわち、ブラケット364に形成されたガイド溝3641によって上側トーションバー351及び下側トーションバー352が回動する範囲を規制して両端で回動を停止させると共に、上側トーションバー351及び下側トーションバー352の回動の途中でも回動を停止できるようにした。
【0066】
トーションバー35を回動させて上側トーションバー351が凹凸部1321を乗り越えたときに発生した振動を検知して図時事邸内トリムスイッチを押してトーションバー35の回動を停止させた状態では、上側トーションバー351と下側トーションバー352との何れもが樹脂パネル132に接触している。この状態では、上側トーションバー351と下側トーションバー352との何れもが樹脂パネル132に押し当てられている。この状態では、上側トーションバー351と下側トーションバー352との何れもが樹脂パネル132に積極的には押し付けておらず、ウレタンパッド39とその表面を覆うトリムカバー40は、平坦な状態になり、シート1に着座した搭乗者の腰椎部と骨盤部を均等に押圧することができる。
【0067】
一方、
図12は、駆動部37を回転駆動してトーションバー35を矢印の方向に回動させ、上側トーションバー351で樹脂パネル132を前方に押している状態を示している。このように上側トーションバー351で樹脂パネル132を前方に押すことで、ウレタンパッド39を介して、シート1に着座した搭乗者の腰椎部を押圧することができる。
【0068】
これに対して
図13は、駆動部37を回転駆動してトーションバー35を矢印の方向に回動させ、下側トーションバー352で樹脂パネル132を前方に押している状態を示している。このように下側トーションバー352で樹脂パネル132を前方に押すことで、ウレタンパッド39を介して、シート1に着座した搭乗者の骨盤部を押圧することができる。
【0069】
本実施例では、トーションバー35の形状として、実施例1で説明した
図3及び4に示したような形状の例を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、様々な形状のものと置き換えて用いることができる。
【0070】
また、本実施例では、上側トーションバー351を回動させて樹脂パネル132に近づけていったときに上側トーションバー351が最初に接触する位置に凹凸部1321を設けた例を示したが、下側トーションバー352を回動させて樹脂パネル132に近づけていったときに下側トーションバー352が最初に接触する位置に凹凸部1321を設けるようにしてもよい。
【0071】
更に、凹凸部1321を上側トーションバー351が最初に接触する位置と下側トーションバー352が最初に接触する位置の両方に設けても良い。
【0072】
本実施例によれば、トーションバー35の回動停止位置を任意に設定することができ、シート1に着座した搭乗者の腰椎部と骨盤部をそれぞれに押圧、又は同時に支持することができるようになった。また、そのための機構ユニットの構成を簡素化してより少ない部品で構成することができた。また、駆動方式を変更する場合に部品を共通化できるようになった。
【0073】
また、本実施例によれば、トーションバー35が凹凸部1321を乗り越えるときの振動を受けて、トーションバー35を毎回同じ位置で停止させることができるので、トルソー角の測定などのシートバック3の特性測定の再現性及び信頼性の向上を図ることができる。
【実施例5】
【0074】
第5の実施例として、実施例4における樹脂パネル132に形成した凹凸部1321に代えて、圧力センサ、又は近接センサ、又はリミットスイッチを用いて、上側トーションバー351と下側トーションバー352とが同時に樹脂パネル232に当たる位置を検出する構成とした例を説明する。
【0075】
図14Aに、本実施例におけるトーションバー35の断面図を示す。
図14Aに示した構成は、実施例4で説明した
図11Aに示した構成と基本的には同じであるので、異なる部分についてだけ説明する。
図14Aに示した構成で、
図11Aに示した構成と異なる点は、
図11Aにおける樹脂パネル132の凹凸部1321を無くして、
図14Aに示した構成では、上側トーションバー351が樹脂パネル232に接触したのを検出するためのセンサ50と、下側トーションバー352が樹脂パネル232に接触したのを検出するためのセンサ51とを樹脂パネル232の側に取り付けられている点である。センサ50及び51としては、圧力センサ、又は近接センサ、又はリミットスイッチを用いることができる。
【0076】
駆動部37を作動させてトーションバー35を回動させ、
図14Aに示したように、上側トーションバー351と下側トーションバー352とが共に樹脂パネル232に当った状態になると、樹脂パネル側のセンサ50が上側トーションバー351に押されたのを検出し(
図14Bに示したような状態)、センサ51が下側トーションバー352に押されたのを検出する。センサ50と51の両方の検出信号を受けて、
図15に示すような出力部53からブザー又はランプでシート1に着座している搭乗者に知らせることができる。出力部53のブザー又はランプの表示を受けた搭乗者が、シート1に設置された図示していない手元スイッチを押すことによりトーションバー35の回動を停止させることができる。この状態では、上側トーションバー351と下側トーションバー352との何れもが樹脂パネル232に押し当てられている。
【0077】
この状態では、上側トーションバー351と下側トーションバー352との何れもが樹脂パネル232に積極的には押し付けておらず、ウレタンパッド39とその表面を覆うトリムカバー40は、平坦な状態になり、シート1に着座した搭乗者の腰椎部と骨盤部を均等に押圧することができる。
【0078】
本実施例によれば、トーションバー35の中間停止位置を、搭乗者の好みに合わせて、任意に設定することが可能になる。
【0079】
また、本実施例によれば、トーションバー35の回動の中間位置を、センサ50と51との信号から再現性良く検出することができるので、トーションバー35を毎回同じ位置で停止させることができる。これにより、トルソー角の測定などのシートバックの特性測定の再現性及び信頼性の向上を図ることができる。
【0080】
以上、本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。