特許第6651674号(P6651674)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6651674
(24)【登録日】2020年1月24日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】通信装置、通信方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/04 20090101AFI20200210BHJP
   H04W 88/04 20090101ALI20200210BHJP
   H04W 84/20 20090101ALI20200210BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20200210BHJP
   H04W 56/00 20090101ALI20200210BHJP
【FI】
   H04W72/04 131
   H04W88/04
   H04W84/20
   H04W84/12
   H04W56/00 130
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-504497(P2019-504497)
(86)(22)【出願日】2018年2月27日
(86)【国際出願番号】JP2018007319
(87)【国際公開番号】WO2018163916
(87)【国際公開日】20180913
【審査請求日】2019年3月12日
(31)【優先権主張番号】特願2017-46140(P2017-46140)
(32)【優先日】2017年3月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(74)【代理人】
【識別番号】100135183
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 克之
(72)【発明者】
【氏名】長尾 勝昭
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 勇治
【審査官】 ▲高▼木 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2016/0294713(US,A1)
【文献】 特開2006−174168(JP,A)
【文献】 特表2015−532023(JP,A)
【文献】 米国特許第9585144(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 − 7/26
H04W 4/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアント又はアクセスポイントとして動作可能な通信装置であって、
第1通信モードにおいて、自機がクライアントとして他のアクセスポイントと無線通信を行う第1通信処理を実行し、第2通信モードにおいて、自機がアクセスポイントとして他のクライアントと無線通信を行う第2通信処理を実行する通信処理部と、
前記第1通信モードと前記第2通信モードとの切り替え動作を制御する制御部とを有し、
前記通信処理部は、前記第1通信モードにおいて、前記他のアクセスポイントから送信される第1ビーコン信号を受信可能になり、前記第2通信モードにおいて、前記他のクライアントが自機をアクセスポイントとして検出するための第2ビーコン信号を送信可能になり、
前記制御部は、
周期的に繰り返される所定の長さの時間区分の各々において、前記第1通信モードと前記第2通信モードとを時分割で切り替えるとともに、1つの前記時間区分の中における前記第1通信モードの期間を前記時間区分の進行とともに変化させ
前記時間区分の長さが前記第1ビーコン信号の送信周期と等しくなり、前記第2ビーコン信号の送信周期が前記時間区分の長さのN倍(Nは自然数を示す。)となるように前記切り替え動作を制御し、
1つの前記時間区分の中における前記第2通信モードの期間の少なくとも一部と前記第1通信モードの期間の少なくとも一部とを、連続する2つの前記時間区分において入れ替えるように前記切り替え動作を制御する、
通信装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1通信モードの期間の全体と前記第2通信モードの期間の全体とを、連続する2つの前記時間区分において入れ替えるように前記切り替え動作を制御する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1通信モードの期間が前記第2通信モードの期間に比べて長い前記時間区分と、前記第1通信モードの期間が前記第2通信モードの期間に比べて短い前記時間区分とを交互に繰り返すように前記切り替え動作を制御する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1通信モードの期間の長さが所定の初期値から段階的に減少若しくは増大する一群の前記時間区分を反復するように前記切り替え動作を制御する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1通信モードの期間の長さが等しく当該期間の分布が異なる一群の前記時間区分を反復するように前記切り替え動作を制御する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項6】
クライアント又はアクセスポイントとして動作可能な通信装置の通信方法であって、
第1通信モードにおいて、自機がクライアントとして他のアクセスポイントと無線通信を行う第1通信処理工程と、
第2通信モードにおいて、自機がアクセスポイントとして他のクライアントと無線通信を行う第2通信処理工程と、
前記第1通信モードと前記第2通信モードとを切り替える通信モード切り替え工程とを有し、
前記第1通信モードにおける前記第1通信処理工程では、前記他のアクセスポイントから送信される第1ビーコン信号を受信可能になり、前記第2通信モードにおける前記第2通信処理工程では、前記他のクライアントが自機をアクセスポイントとして検出するための第2ビーコン信号を送信可能になり、
前記通信モード切り替え工程では、
周期的に繰り返される所定の長さの時間区分の各々において、前記第1通信モードと前記第2通信モードとを時分割で切り替えるとともに、1つの前記時間区分の中における前記第1通信モードの期間を前記時間区分の進行とともに変化させ
前記時間区分の長さが前記第1ビーコン信号の送信周期と等しくなり、前記第2ビーコン信号の送信周期が前記時間区分の長さのN倍(Nは自然数を示す。)となるように前記切り替え動作を制御し、
1つの前記時間区分の中における前記第2通信モードの期間の少なくとも一部と前記第1通信モードの期間の少なくとも一部とを、連続する2つの前記時間区分において入れ替えるように前記切り替え動作を制御する、
通信方法。
【請求項7】
請求項6に記載の通信方法を前記通信装置のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクセスポイントとしての動作とクライアントとしての動作とを切り替え可能な通信装置、通信方法及びプログラムに係り、例えば無線LANの通信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に無線LANのシステムでは、端末装置であるクライアント(ステーション、通信端末とも呼ばれる)として動作する装置(以下、「クライアント」と記す場合がある。)と、クライアントとネットワークとを中継するアクセスポイント(中継器、基地局とも呼ばれる)として動作する装置(以下、「アクセスポイント」と記す場合がある。)との間で無線による通信が行なわれる。アクセスポイントは複数のクライアントと通信可能であり、各クライアントはアクセスポイントを介して他のクライアントと通信を行う。また、アクセスポイントを有線のネットワークに接続することにより、クライアントはアクセスポイントを介して有線のネットワーク上の機器と通信することも可能である。下記の特許文献1には、アクセスポイントとして動作するモードとクライアントとして動作するモードとを切り替えることが可能な無線LANの通信端末が記載されている。
【0003】
クライアントがアクセスポイントを探索する方法として、アクティブスキャン方式とパッシブスキャン方式がある。アクティブスキャン方式では、クライアントがアクセスポイントに向けて要求信号(Probe Request)を送信し、要求信号を受信したアクセスポイントがクライアントに向けて応答信号(Probe Response)を送信する。クライアントは、要求信号に対する応答信号に基づいてアクセスポイントを検出する。他方、パッシブスキャン方式では、アクセスポイントが周期的にビーコン信号を送信し、このビーコン信号に基づいてクライアントがアクセスポイントを検出する。下記の特許文献2には、アクティブスキャン方式でアクセスポイントの探索を行う前に、パッシブスキャン方式でアクセスポイントの探索を行うようにした無線LAN端末が記載されている。尚、このような方式でのアクセスポイントの検出は、適切な通信状態の維持や通信環境の変化への素早い対応等の観点から、クライアントが1つのアクセスポイントと通信接続された後でも継続することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2011/132761号
【特許文献2】国際公開第2009/016800号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、1つの通信装置がアクセスポイントの動作とクライアントの動作とを時分割で切り替えるコンカレントモードと呼ばれる機能が知られている。図9は、従来のコンカレントモードの動作を図解した図である。図9の例では、通信装置Aがコンカレントモードで動作している。通信装置Aは、アクセスポイントの期間「AP」とクライアントの期間「STA」とを略同じ時間ずつ交互に繰り返しており、この繰り返しの周期が「Tc」となっている。通信装置B及びCは、それぞれアクセスポイントであり、ビーコン信号を周期Tbで繰り返し送信している。尚、コンカレントモードの動作では、通信装置Aは、期間「AP」において他のクライアントに対してビーコン信号を送信可能になり、期間「STA」において他のアクセスポイントから送信されたビーコン信号を受信可能になる。
【0006】
クライアントの期間「STA」において通信装置Aがパッシブスキャン方式によりアクセスポイントを探索するものとすると、アクセスポイントのビーコン信号は、クライアントの期間「STA」に送信される必要がある。ところが、クライアントの期間「STA」の繰り返し周期Tcと、アクセスポイントのビーコン信号の送信周期Tbとが等しい場合等において、ビーコン信号の送信期間が定常的に期間「STA」から外れてしまう可能性がある。図9の例では、通信装置Bのビーコン信号が常に期間「STA」内で送信されるのに対し、通信装置Cのビーコン信号が常に期間「AP」内で送信される。従って、通信装置Aはクライアントとして通信装置Cのビーコン信号を受信できないため、通信装置Cと通信することができない。
【0007】
本発明は係る事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、アクセスポイントとしての動作とクライアントとしての動作とを反復的に切り替えるとともに、他のアクセスポイントから周期的に送信されるビーコン信号が定常的に受信できなくなる状態を生じ難くすることができる通信装置、通信方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点に係る通信装置は、クライアント又はアクセスポイントとして動作可能な通信装置であって、第1通信モードにおいて、自機がクライアントとして他のアクセスポイントと無線通信を行う第1通信処理を実行し、第2通信モードにおいて、自機がアクセスポイントとして他のクライアントと無線通信を行う第2通信処理を実行する通信処理部と、前記第1通信モードと前記第2通信モードとの切り替え動作を制御する制御部とを有する。前記通信処理部は、前記第1通信モードにおいて、前記他のアクセスポイントから送信される第1ビーコン信号を受信可能になり、前記第2通信モードにおいて、前記他のクライアントが自機をアクセスポイントとして検出するための第2ビーコン信号を送信可能になる。前記制御部は、周期的に繰り返される所定の長さの時間区分の各々において、前記第1通信モードと前記第2通信モードとを時分割で切り替えるとともに、1つの前記時間区分の中における前記第1通信モードの期間を前記時間区分の進行とともに変化させ、前記時間区分の長さが前記第1ビーコン信号の送信周期と等しくなり、前記第2ビーコン信号の送信周期が前記時間区分の長さのN倍(Nは自然数を示す。)となるように前記切り替え動作を制御し、1つの前記時間区分の中における前記第2通信モードの期間の少なくとも一部と前記第1通信モードの期間の少なくとも一部とを、連続する2つの前記時間区分において入れ替えるように前記切り替え動作を制御する。
【0009】
この構成によれば、所定の長さの前記時間区分の各々において、前記第1通信モードと前記第2通信モードとの切り替えが行われる。また、1つの前記時間区分の中における前記第1通信モードの期間が、前記時間区分の進行とともに変化する。これにより、前記時間区分が進行するにつれて、1つの前記時間区分の中における前記第1通信モードの期間が変化するため、前記第1通信モードの期間と他のアクセスポイントから周期的に送信されるビーコン信号の送信期間とが重なり易くなり、前記第1通信処理においてビーコン信号が受信され易くなる。
【0011】
また、この構成によれば、前記第1ビーコン信号の送信と前記第2ビーコン信号の送信とを連動させ易く、前記他のアクセスポイントと連携した動作が容易になる。
【0013】
また、この構成によれば、連続する2つの前記時間区分の一方における前記第2通信モードの期間の少なくとも一部と、当該連続する2つの時間区分の他方における前記第1通信モードの期間の少なくとも一部とが入れ替わる。この期間の入れ替わりにより、前記第1通信モードの期間と前記第1ビーコン信号の送信期間とが重なり易くなるため、前記第1通信処理において前記第1ビーコン信号が受信され易くなる。また、連続する2つの前記時間区分において前記期間の入れ替わりが生じることにより、前記第1通信処理において前記第1ビーコン信号が受信されるのに要する時間が短くなる。
【0014】
好適に、前記第1通信モードの期間の全体と前記第2通信モードの期間の全体とを、連続する2つの前記時間区分において入れ替えるように前記切り替え動作を制御してよい。
【0015】
この構成によれば、連続する2つの前記時間区分の一方における前記第2通信モードの期間の全体と、当該連続する2つの時間区分の他方における前記第1通信モードの期間の全体とが入れ替わる。これにより、連続する2つの前記時間区分のいずれか一方において、前記第1通信モードの期間と前記第1ビーコン信号の送信期間とが必ず重なるため、前記第1通信処理において前記第1ビーコン信号が受信される。
【0016】
好適に、前記制御部は、前記第1通信モードの期間が前記第2通信モードの期間に比べて長い前記時間区分と、前記第1通信モードの期間が前記第2通信モードの期間に比べて短い前記時間区分とを交互に繰り返すように前記切り替え動作を制御してよい。
【0017】
この構成によれば、前記第1通信モードの期間が前記第2通信モードの期間に比べて長い前記時間区分と、前記第1通信モードの期間が前記第2通信モードの期間に比べて短い前記時間区分とが交互に繰り返されることにより、1つの前記時間区分の中における前記第1通信モードの期間が前記時間区分ごとに変化する。そのため、前記第1通信モードの期間と前記第1ビーコン信号の送信期間とが重なり易くなる。
【0018】
好適に、前記制御部は、前記第1通信モードの期間の長さが所定の初期値から段階的に減少若しくは増大する一群の前記時間区分を反復するように前記切り替え動作を制御してよい。
【0019】
この構成によれば、反復される前記一群の時間区分において、前記第1通信モードの期間の長さが所定の初期値から段階的に減少若しくは増大することにより、1つの前記時間区分の中における前記第1通信モードの期間が変化するため、前記第1通信モードの期間と前記第1ビーコン信号の送信期間とが重なり易くなる。
【0020】
好適に、前記制御部は、前記第1通信モードの期間の長さが等しく当該期間の分布が異なる一群の前記時間区分を反復するように前記切り替え動作を制御してよい。
【0021】
この構成によれば、反復される前記一群の時間区分において、前記第1通信モードの期間の分布が異なることにより、1つの前記時間区分の中における前記第1通信モードの期間が変化するため、前記第1通信モードの期間と前記第1ビーコン信号の送信期間とが重なり易くなる。また、反復される前記一群の時間区分において、前記第1通信モードの期間の長さが等しいため、前記第1通信モードの期間において所望のスループットを安定的に確保し易くなる。
【0022】
本発明の第2の観点は、クライアント及びアクセスポイントとして動作可能な通信装置の通信方法に関する。この通信方法は、第1通信モードにおいて、自機がクライアントとして他のアクセスポイントと無線通信を行う第1通信処理工程と、第2通信モードにおいて、自機がアクセスポイントとして他のクライアントと無線通信を行う第2通信処理工程と、前記第1通信モードと前記第2通信モードとを切り替える通信モード切り替え工程とを有する。前記第1通信モードにおける前記第1通信処理工程では、前記他のアクセスポイントから送信される第1ビーコン信号を受信可能になり、前記第2通信モードにおける前記第2通信処理工程では、前記他のクライアントが自機をアクセスポイントとして検出するための第2ビーコン信号を送信可能になる。前記通信モード切り替え工程では、周期的に繰り返される所定の長さの時間区分の各々において、前記第1通信モードと前記第2通信モードとを時分割で切り替えるとともに、1つの前記時間区分の中における前記第1通信モードの期間を前記時間区分の進行とともに変化させ、前記時間区分の長さが前記第1ビーコン信号の送信周期と等しくなり、前記第2ビーコン信号の送信周期が前記時間区分の長さのN倍(Nは自然数を示す。)となるように前記切り替え動作を制御し、1つの前記時間区分の中における前記第2通信モードの期間の少なくとも一部と前記第1通信モードの期間の少なくとも一部とを、連続する2つの前記時間区分において入れ替えるように前記切り替え動作を制御する。
【0023】
本発明の第3の観点は、本発明の第2の観点に係る通信方法を前記通信装置のコンピュータに実行させるためのプログラムに関する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、アクセスポイントとしての動作とクライアントとしての動作とを反復的に切り替えるとともに、他のアクセスポイントから周期的に送信されるビーコン信号が定常的に受信できなくなる状態を生じ難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態に係る通信装置の構成の一例を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る通信装置におけるコンカレントモードの動作を説明するためのフローチャートである。
図3】本発明の実施形態に係る通信装置におけるコンカレントモードの動作の一例を図解した図である。
図4】本発明の実施形態に係る通信装置におけるコンカレントモードの動作の第1変形例を図解した図である。
図5】本発明の実施形態に係る通信装置におけるコンカレントモードの動作の第2変形例を図解した図である。
図6】本発明の実施形態に係る通信装置におけるコンカレントモードの動作の第3変形例を図解した図である。
図7】本発明の実施形態に係る通信装置におけるコンカレントモードの動作の第4変形例を図解した図である。
図8】本発明の実施形態に係る通信装置におけるコンカレントモードの動作の第5変形例を図解した図である。
図9】従来のコンカレントモードの動作を図解した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態に係る通信装置について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る通信装置の構成の一例を示す図である。図1に示す通信装置1は無線LANの通信装置であり、例えばIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11の各規格に準拠した通信を行なう。
【0027】
本実施形態において、通信装置1は、端末装置であるクライアントとしての動作と、クライアントとネットワークとを中継するアクセスポイントとしての動作とを切り替えることが可能である。自機がクライアントとして他のアクセスポイントと無線通信を行なう通信モード(ステーションモード、端末モードとも呼ばれる)を、以下では「第1通信モード」と呼ぶ。また、自機がアクセスポイントとして他のクライアントと無線通信を行なう通信モード(アクセスポイントモード、基地局モードとも呼ばれる)を、以下では「第2通信モード」と呼ぶ。
【0028】
通信装置1は、第1通信モードと第2通信モードとを時分割で切り替えるコンカレントモードの機能を持つ。図1において、通信装置3は無線LANのアクセスポイントであり、第1通信モードの通信装置1と無線通信を行なう。通信装置3は、ネットワーク9(LAN、インターネットなど)に接続されており、ネットワーク9上の機器と通信装置1との通信を中継する。また図1において、通信装置2は無線LANのクライアントであり、第2通信モードの通信装置1と無線通信を行なう。
【0029】
通信装置1は、例えば図1に示すように、送受信部10と、処理部20と、記憶部30を有する。
【0030】
送受信部10は、無線LANにおける無線信号の送信と受信を行う。送受信部10は、処理部20から入力される送信データに変調、周波数変換、電力増幅などの信号処理を施してRF信号を生成し、アンテナANTから所定帯域の電波として送信する。また、送受信部10は、アンテナANTで受信された所定帯域の電波によるRF信号に増幅、周波数変換、復調などの信号処理を施して受信データを生成し、処理部20に出力する。
【0031】
処理部20は、通信装置1の全体的な動作を制御する装置であり、例えば記憶部30に格納されるプログラム31に基づいて命令を実行するコンピュータ(マイクロプロセッサ等)を含む。処理部20は、全ての処理をコンピュータによって実行してもよいし、少なくとも一部の処理を専用のロジック回路によって実行してもよい。また処理部20は、単一のICで構成されてもよいし、複数のICから構成されてもよい。なお、送受信部10の少なくとも一部と処理部20の少なくとも一部とが共通のIC上に構成されてもよい。
【0032】
処理部20は、無線LANの通信に関わる処理を行うブロックとして、通信処理部21と制御部22を有する。
【0033】
通信処理部21は、第1通信モードにおいて、自機がクライアントとして他のアクセスポイントと無線通信を行う第1通信処理を実行し、第2通信モードにおいて、自機がアクセスポイントとして他のクライアントと無線通信を行う第2通信処理を実行する。
【0034】
通信処理部21は、クライアントとして動作する第1通信モードにおいて、他のアクセスポイント(通信装置3)から周期的に送信されるビーコン信号(以下、「第1ビーコン信号」と記す。)を受信し、受信した第1ビーコン信号に基づいて、当該他のアクセスポイントを検出する。すなわち、通信処理部21は、パッシブスキャン方式によりアクセスポイントの検出を行う。他のアクセスポイント(通信装置3)から第1ビーコン信号が送信される送信周期は「Tb1」である。
【0035】
また通信処理部21は、アクセスポイントとして動作する第2通信モードにおいて、他のクライアント(通信装置2)が自機をアクセスポイントとして検出するためのビーコン信号(以下、「第2ビーコン信号」と記す。)を周期的に送信する。通信装置1が第2通信モードにおいて第2ビーコン信号を送信する送信周期は「Tb2」である。
【0036】
制御部22は、コンカレントモードにおける第1通信モードと第2通信モードとの切り替え動作を制御する。具体的には、制御部22は、周期的に繰り返される所定の長さの時間区分の各々において、第1通信モードと第2通信モードとの切り替えを行う。また、制御部22は、1つの時間区分の中における第1通信モードの期間を、時間区分の進行とともに変化させる。尚、本実施形態では、この時間区分の繰返し周期、すなわちこの時間区分の長さが、第1ビーコン信号の送信周期である「Tb1」と等しいものとして説明を進める。
【0037】
制御部22は、「Tb2」ごとに第2通信モードの第2ビーコン信号の送信期間を持つように、第1通信モードと第2通信モードとの切り替え動作を制御する。すなわち、制御部22は、「Tb2」ごとに第2ビーコン信号の送信時間よりも前に第2通信モードとなり、第2ビーコン信号の送信が終わってから第1通信モードに切り替わるように、第1通信モードと第2通信モードとの切り替え動作を制御する。これにより、第2ビーコン信号を送信周期「Tb2」で送信することが可能になる。
【0038】
記憶部30は、処理部20のコンピュータにおいて実行されるプログラム31や、処理部20の処理に使用される定数データ、処理の過程で一時的に保持される変数データなどを記憶する。記憶部30は、ROMやRAM、フラッシュメモリなど、任意の記憶装置を含んで構成される。プログラム31は、記憶部30のROMなどに予め格納されてもよいし、図示しない装置(メインコントローラ等)からダウンロードされたものが記憶部30に書き込まれてもよいし、図示しない読み取り装置において非一時的な有形の媒体(DVD、USBメモリなど)から読み出されたものが記憶部30に書き込まれてもよい。
【0039】
ここで、上述した構成を有する通信装置1におけるコンカレントモードの動作を説明する。図2は、本実施形態に係る通信装置1におけるコンカレントモードの動作を説明するためのフローチャートである。
【0040】
通信処理部21は、現在の通信モードが第1通信モード及び第2通信モードのいずれであるかを判定する(ST100)。現在の通信モードが第1通信モードの場合、通信処理部21は、クライアントとして無線通信を行なう第1通信処理を実行する(ST105)。現在の通信モードが第2通信モードの場合、通信処理部21は、アクセスポイントとして無線通信を行なう第2通信処理を実行する(ST115)。
【0041】
制御部22は、第1通信モードにおいて通信処理部21が第1通信処理を実行しているとき(ST105)、第2通信モードへの切り替えのタイミングを監視する(ST110)。第2通信モードへの切り替えタイミングとなった場合、制御部22は、コンカレントモードが継続中であれば(ST125)、通信モードを第2通信モードへ変更する(ST130)。また制御部22は、第2通信モードにおいて通信処理部21が第2通信処理を実行しているとき(ST115)、第1通信モードへの切り替えのタイミングを監視する(ST120)。第1通信モードへの切り替えタイミングとなった場合、制御部22は、コンカレントモードが継続中であれば(ST125)、通信モードを第1通信モードへ変更する(ST130)。制御部22において通信モードが変更されると(ST130)、通信処理部21はステップST100に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0042】
図3は、本実施形態に係るコンカレントモードの動作の一例を図解した図である。図3における符号「M1」〜「M4」は、制御部22による通信モードの切り替えの基準となる時間区分を示す。以下の説明では、任意の1つの時間区分を「M」で表す場合がある。時間区分Mの長さは、アクセスポイント(通信装置3)から第1ビーコン信号が送信される送信周期「Tb1」と等しい。
【0043】
図3の例では、通信装置1と通信可能なアクセスポイントとして、2つの通信装置3A,3Bが存在する。通信装置3A及び3Bは、いずれも送信周期「Tb1」で第1ビーコン信号を送信するが、その送信のタイミングは互いにずれている。以下の説明では、通信装置3A及び3Bを区別せずに「通信装置3」と記す場合がある。
【0044】
本実施形態において、制御部22は、第1通信モードの期間の全体と第2通信モードの期間の全体とを、連続する2つの時間区分Mにおいて入れ替える。例えば図3において、時間区分M1には「P11」、「P12」、「P13」、「P14」の順で4つの期間P11〜P14が存在し、時間区分M1の後に続く時間区分M2には「P15」、「P16」、「P17」、「P18」の順で4つの期間P15〜P18が存在する。時間区分M1の期間P11〜P14と時間区分M2の期間P15〜P18とは、一対一の対応関係にある。すなわち、期間P11とP15、期間P12とP16、期間P13とP17、並びに、期間P14とP18がそれぞれ対応関係にある。この対応関係にある期間同士は、時間区分内での範囲が一致し、かつ、通信モードが異なっている。すなわち、時間区分M1の期間P12及びP14では第1通信モードとなり、これと対応関係にある時間区分M2の期間P16及びP18では第2通信モードとなる。また、時間区分M1の期間P11及びP13では第2通信モードとなり、これと対応関係にある時間区分M2の期間P15及びP17では第1通信モードとなる。
【0045】
時間区分M2の後に続く時間区分M3には、時間区分M1と同様な4つの期間P11〜P14が存在する。時間区分M3の後に続く時間区分M4には、時間区分M3と同様な4つの期間P15〜P18が存在する。以下同様に、4つの期間P11〜P14が存在する時間区分Mと、4つの期間P15〜P18が存在する時間区分Mとが、交互に繰り返される。従って、連続する2つの時間区分では、対応関係にある期間同士において、時間区分内での範囲が一致し、かつ、通信モードが異なっている。すなわち、第1通信モードの期間の全体と第2通信モードの期間の全体とが、連続する2つの時間区分Mにおいて入れ替わっている。
【0046】
図3の例において、通信装置3Aは、時間区分M1の期間P13に第1ビーコン信号を送信する。期間P13において通信装置1は第2通信モードであるため、通信装置3Aの第1ビーコン信号は通信装置1に受信されない。しかしながら、通信装置3Aの第1ビーコン信号の送信周期「Tb1」と時間区分Mの繰り返し周期とが等しいことから、時間区分M1の後に続く時間区分M2において、通信装置3Aの第1ビーコン信号は、期間P13と対応関係にある期間P17に送信される。期間P17において通信装置1は第1通信モードであるため、通信装置3Aの第1ビーコン信号は通信装置1に受信される。同様に、通信装置3Bの第1ビーコン信号は、連続する2つの時間区分Mにおいて対応関係にある2つの期間P12及びP16にそれぞれ送信される。そのため、通信装置3Bの第1ビーコン信号は、通信装置1が第1通信モードとなる期間P12において通信装置1に受信される。従って、アクセスポイントから送信周期「Tb1」で送信される第1ビーコン信号は、送信周期「Tb1」の2倍の周期で第1通信モードの通信装置1に必ず受信される。
【0047】
図3に示すように、1つの時間区分Mを挟んだ2つの時間区分Mにおいて、時間区分内における第2通信モードの期間の範囲が一致している。そのため、通信装置1は、送信周期「Tb1」の2倍の周期で第2ビーコン信号の送信期間を確保することが可能である。図3の例では、第2ビーコン信号の送信周期「Tb2」が、第1ビーコン信号の送信周期「Tb1」の2倍になっている。
【0048】
以上説明したように、本実施形態によれば、他のアクセスポイント(通信装置3)による第1ビーコン信号の送信周期「Tb1」を1周期とする周期的な時間区分Mの各々において、第1通信モードと第2通信モードとの切り替えが行われる。また、1つの時間区分Mの中における第1通信モードの期間が、時間区分Mの進行とともに変化する。これにより、時間区分Mが進行するにつれて、1つの時間区分Mの中における第1通信モードの期間が変化するため、第1通信モードの期間と第1ビーコン信号の送信期間とが重なり易くなる。第1通信モードの期間と第1ビーコン信号の送信期間とが重なり易くなることにより、第1通信処理において第1ビーコン信号が受信され易くなるため、第1ビーコン信号が定常的に受信できなくなる状態を生じ難くすることができる。従って、他のアクセスポイント(通信装置3)をパッシブスキャン方式により安定的に検出できる。
【0049】
また、本実施形態によれば、時間「Tb2」ごとに第2通信モードのビーコン送信期間を持つように通信モードの切り替え動作が制御され、これにより、第2ビーコン信号が周期「Tb2」で他のクライアント(通信装置2)に送信される。従って、他のクライアント(通信装置2)において自機をパッシブスキャン方式により安定的に検出させることができる。
【0050】
パッシブスキャン方式を用いることにより、クライアントからアクセスポイントへの要求信号(Probe Request)の送信を省略できるため、アクティブスキャン方式を用いる場合に比べて通信のスループットを高めることができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、連続する2つの時間区分Mの一方における第2通信モードの期間の全体と、当該連続する2つの時間区分Mの他方における第1通信モードの期間の全体とが入れ替わる。これにより、連続する2つの時間区分Mのいずれか一方において、第1通信モードの期間と第1ビーコン信号の送信期間とが必ず重なるため、第1通信処理において第1ビーコン信号を確実に受信することができる。従って、パッシブスキャン方式による他のアクセスポイント(通信装置3)の検出をより安定的に行うことができる。
更に、連続する2つの時間区分Mにおいて第1通信モードの期間と第2通信モードの期間との入れ替わりが生じるため、第1通信処理において第1ビーコン信号の受信に要する時間を短くすることができる。
しかも、第2通信モードの期間が送信周期「Tb1」の2倍の周期で反復されるため、第2通信モードにおける第2ビーコン信号の送信周期「Tb2」を、第1ビーコン信号の送信周期「Tb1」の2倍に設定できる。このように、第2ビーコン信号の送信周期「Tb2」を第1ビーコン信号の送信周期「Tb1」のN倍(Nは自然数を示す。)に設定することにより、第1ビーコン信号の送信と第2ビーコン信号の送信とを連動させ易く、他のアクセスポイントと連携した動作が容易になる。
【0052】
次に、本実施形態に係る通信装置1におけるコンカレントモードの動作の変形例について、図4図8を参照して説明する。
【0053】
図4は、本実施形態に係る通信装置1におけるコンカレントモードの動作の第1変形例を図解した図である。図4の第1変形例において、制御部22は、第1通信モードの期間の全体と第2通信モードの期間の全体とを、連続する2つの時間区分Mにおいて入れ替える。図3の例では、連続する2つの時間区分Mにおいて4つの期間が一対一の対応関係にあるが、図4の第1変形例では、連続する2つの時間区分Mにおいて2つの期間が一対一の対応関係にある。すなわち、連続する2つの時間区分Mの一方には、期間P21、P22の順で2つの期間P21及びP22が存在し、連続する2つの時間区分Mの他方には、期間P23、P24の順で2つの期間P23及びP24が存在する。期間P21とP23、並びに、期間P22とP24がそれぞれ対応関係にある。この対応関係にある期間同士は、時間区分内での範囲が一致し、かつ、通信モードが異なっている。すなわち、期間P21では第2通信モードとなり、これと対応関係にある期間P23では第1通信モードとなる。また、期間P22では第1通信モードとなり、これと対応関係にある期間P24では第2通信モードとなる。
【0054】
図4の例においても、図3の例と同様に、他のアクセスポイント(通信装置3)の第1ビーコン信号は、連続する2つの時間区分Mにおいて対応関係にある2つの期間(期間P21とP23、又は、期間P22とP24)に送信される。対応関係にある2つの期間の一方は第1通信モードであるため、アクセスポイントから周期「Tb1」で送信される第1ビーコン信号は、周期「Tb1」の2倍の周期で第1通信モードの通信装置1に必ず受信される。従って、この第1変形例においても、図3の例と同様の効果が得られる。
【0055】
図5は、本実施形態に係る通信装置1におけるコンカレントモードの動作の第2変形例を図解した図である。この第2変形例において、制御部22は、第1通信モードの期間が第2通信モードの期間に比べて長い時間区分(M2、M4、…)と、第1通信モードの期間が第2通信モードの期間に比べて短い時間区分(M1、M3、…)とを交互に繰り返している。時間区分M1、M3、…は、第2通信モードの期間P31と、期間P31より短い第1通信モードの期間P32とをそれぞれ含む。時間区分M2、M4、…は、第2通信モードの期間P33と、期間P33より長い第1通信モードの期間P34とをそれぞれ含む。
【0056】
また、図5に示す第2変形例において、通信装置1の第2通信モードにおける第2ビーコン信号の送信周期「Tb2」は、他のアクセスポイント(通信装置3)による第1ビーコン信号の送信周期「Tb1」と等しい。すなわち、通信処理部21は、各時間区分Mにおいて第2ビーコン信号を送信する。
【0057】
第2変形例では、連続する2つの時間区分Mの一方における第2通信モードの期間の一部と、連続する2つの時間区分Mの他方における第1通信モードの期間の一部とが入れ替わる。この期間の入れ替わりが存在することにより、第1通信モードの期間と第1ビーコン信号の送信期間とが重なり易くなるため、第1通信処理において第1ビーコン信号が受信され易くなる。図5の例では、第1通信モードの期間P32が短い時間区分M1、M3、…において、通信装置3A、3Bの第1ビーコン信号はいずれも通信装置1に受信されないが、第1通信モードの期間P32が長い時間区分M2、M4、…において、これらの第1ビーコン信号はいずれも通信装置1に受信されている。従って、第2変形例においても、第1ビーコン信号が定常的に受信できなくなる状態を生じ難くすることができる。また、連続する2つの時間区分Mにおいて第1通信モードの期間と第2通信モードの期間との入れ替わりが生じるため、第1通信処理において第1ビーコン信号が受信されるのに要する時間を短くすることができる。尚、同一エリア内に複数のアクセスポイントを配置して連携して動作させるような時には、全てのアクセスポイントから送信されるビーコン信号の送信周期が等しく、ビーコン信号の送信タイミングだけが異なるように設定される場合があり、第2変形例に係る動作はこのような場合に特に好適である。
【0058】
図6は、本実施形態に係る通信装置1におけるコンカレントモードの動作の第3変形例を図解した図である。この第3変形例において、制御部22は、第1通信モードの期間の長さが所定の初期値から段階的に増大する一群の時間区分G1を反復している。図6の第3変形例において、一群の時間区分G1には3つの時間区分Mが含まれる。3つの時間区分Mの各々には、第2通信モードの期間P41と第1通信モードの期間P42とが含まれる。一群の時間区分G1における1番目の時間区分Mにおいて第1通信モードの期間P42が最も短く、順番が遅い時間区分Mほど第1通信モードの期間P42が長くなっている。通信装置1の第2ビーコン信号の送信周期「Tb2」は、第1ビーコン信号の送信周期「Tb1」と等しい。
【0059】
第3変形例においても、第2変形例と同様に、連続する2つの時間区分Mの一方における第2通信モードの期間の一部と、連続する2つの時間区分Mの他方における第1通信モードの期間の一部とが入れ替わるため、第1通信処理において第1ビーコン信号が受信され易くなる。図6の例では、通信装置3Aの第1ビーコン信号が一群の時間区分G1における2番目と3番目の時間区分Mにおいて通信装置1に受信され、通信装置3Bの第1ビーコン信号が一群の時間区分G1における3番目の時間区分Mにおいて通信装置1に受信される。従って、第3変形例においても、第1ビーコン信号が定常的に受信できなくなる状態を生じ難くすることができる。また、連続する2つの時間区分Mにおいて第1通信モードの期間と第2通信モードの期間との入れ替わりが生じるため、第1通信処理において第1ビーコン信号が受信されるのに要する時間を短くすることができる。アクセスポイントとクライアントとの間で送受信されるデータの種類によっては、一定期間において通信環境が急激に変化しないことが望ましい場合が有る。第3変形例に係る動作はこのような場合に特に好適である。
【0060】
図7は、本実施形態に係る通信装置1におけるコンカレントモードの動作の第4変形例を図解した図である。この第4変形例において、制御部22は、第1通信モードの期間の長さが所定の初期値から段階的に減少する一群の時間区分G2を反復している。図7の第4変形例において、一群の時間区分G2には3つの時間区分Mが含まれる。3つの時間区分Mの各々には、第2通信モードの期間P51と第1通信モードの期間P52とが含まれる。一群の時間区分G2における1番目の時間区分Mにおいて第1通信モードの期間P52が最も長く、順番が遅い時間区分Mほど第1通信モードの期間P52が短くなっている。通信装置1の第2ビーコン信号の送信周期「Tb2」は、第1ビーコン信号の送信周期「Tb1」と等しい。この第4変形例においても、第3変形例と同様の効果が得られる。
【0061】
図8は、本実施形態に係る通信装置1におけるコンカレントモードの動作の第5変形例を図解した図である。この第5変形例において、制御部22は、第1通信モードの期間の長さが等しく当該期間の分布が異なる一群の前記時間区分G3を反復している。図8の第5変形例において、一群の時間区分G3には3つの時間区分Mが含まれる。3つの時間区分Mにおいて、1番目の時間区分Mには第2通信モードの期間P61と第1通信モードの期間P62とが含まれ、2番目の時間区分Mには第2通信モードの期間P63と第1通信モードの期間P64と第2通信モードの期間P65とが含まれ、3番目の時間区分Mには第2通信モードの期間P66と第1通信モードの期間P67と第2通信モードの期間P68とが含まれる。第1通信モードの期間P62、P64及びP67は長さが等しい。期間P62が時間区分Mの最後の時点に最も近く、期間P67が時間区分Mの最初の時点に最も近い。通信装置1の第2ビーコン信号の送信周期「Tb2」は、第1ビーコン信号の送信周期「Tb1」と等しい。
【0062】
第5変形例においても、第2変形例〜第4変形例と同様に、連続する2つの時間区分Mの一方における第2通信モードの期間の一部と、連続する2つの時間区分Mの他方における第1通信モードの期間の一部とが入れ替わるため、第1通信処理において第1ビーコン信号が受信され易くなる。図8の例では、通信装置3Aの第1ビーコン信号が一群の時間区分G3における全ての時間区分Mにおいて通信装置1に受信され、通信装置3Bの第1ビーコン信号が一群の時間区分G3における3番目の時間区分Mにおいて通信装置1に受信される。従って、第5変形例においても、第1ビーコン信号が定常的に受信できなくなる状態を生じ難くすることができる。また、連続する2つの時間区分Mにおいて第1通信モードの期間と第2通信モードの期間との入れ替わりが生じるため、第1通信処理において第1ビーコン信号が受信されるのに要する時間を短くすることができる。
【0063】
更に、第5の変形例では、反復される一群の時間区分G3において第1通信モードの期間の長さが等しいため、第1通信モードにおいて通信のスループットを安定的に確保し易くなる。
【0064】
なお、本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、種々のバリエーションを含んでいる。
【0065】
上述した図3及び図4に示すコンカレントモードの動作の例では、通信装置1がアクセスポイントとして送信する第2ビーコン信号の周期「Tb2」を、通信装置1がクライアントとして受信する第1ビーコン信号の送信周期「Tb1」の2倍に設定しており、図5ないし図8に示すコンカレントモードの動作の例では、第2ビーコン信号の送信周期「Tb2」を第1ビーコン信号の送信周期「Tb1」と等しく設定しているが、本発明はこの例に限定されない。すなわち、第2ビーコン信号の送信周期「Tb2」を第1ビーコン信号の送信周期「Tb1」のN倍(Nは自然数を示す。)に設定することも可能である。
【0066】
上述した実施形態では無線LANのシステムに本発明が適用される例を挙げたが、アクセスポイントとクライアントにより通信が行なわれる種々の無線通信のシステムに本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0067】
1…通信装置、2,3,3A,3B…通信装置、10…送受信部、20…処理部、21…通信処理部、22…制御部、30…記憶部、31…プログラム、9…ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9