(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本発明の実施形態であるアンモニア濃度測定装置は、窒素酸化物(例えば、一酸化窒素)及びアンモニアを含む気体のアンモニアの濃度を測定する。なお、アンモニアの濃度とは、例えばppm(parts per million)で表される値をさす。
【0015】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るアンモニア濃度測定装置の主要構成を示す模式図である。アンモニア濃度測定装置は、コンバータ2、流路部10、弁20、制御部30、分解部40、容積調整槽50、測定部60、第1ポンプ70、第2ポンプ80等を備える。
図1等に示す矢印は、気体の流れる方向を示す。
【0016】
コンバータ2は、複数種類の窒素酸化物(NOx)が一酸化窒素(NO)に限定されるよう、窒素酸化物(NOx)を含む気体に処理を施す。具体的には、コンバータ2は、例えば、アンモニアの濃度の測定対象となる気体(排気煙等)が流される煙道3と流路部10との間に介在する気体処理装置である。コンバータ2は、煙道3を流れる気体に含まれる窒素酸化物(NOx)を一酸化窒素(NO)にして流路部10に供給する。
【0017】
流路部10は、不均一に気体を供給する供給源から測定部60までの流路を外気から遮断するように密閉されて、当該気体を供給源から測定部60に導く。具体的には、例えば、流路部10は、コンバータ2から測定部60までの気体の流路を形成する管状の部材である。流路部10は、煙道3から測定部60までの気体の流路を密閉しており、流路を外気から遮断している。これによって、アンモニアの濃度の測定対象となる気体と外気とが制御されずに混合することがないようになっている。
【0018】
流路部10によって煙道3から測定部60に導かれる気体は、一酸化窒素(NO)及びアンモニア(NH3)を含む。ここで、コンバータ2による処理を経た当該気体に含まれる一酸化窒素の量は、当該気体に含まれるアンモニアの量以上である。
【0019】
流路部10は、2つ設けられる。具体的には、コンバータ2から測定部60までの気体の流路は、例えば、コンバータ2の下流側で枝分かれして2系統になっている。便宜上、2系統の流路部10の一方を第1流路部11とし、他方を第2流路部12とする。2系統の流路部10は枝分かれに限らず、コンバータ2との接続が独立していてもよい。なお、第1流路部11及び第2流路部12は、例えば、同一形状(例えば、円筒状)であり、同一の内径を有する。
【0020】
弁20は、2つの流路部10と測定部60との間の流路の接続状態を切り換え可能に設けられている。具体的には、弁20は、例えば、2つの流路部10の各々の測定部60側に個別に設けられる。便宜上、第1流路部11に設けられた弁20を第1弁21とし、第2流路部12に設けられた弁20を第2弁22とする。弁20は、流路部10を測定部60又は排気路85のいずれか一方に接続する切替弁である。弁20は、当該一方にのみ流路部10からの気体が流れるように気体の流路を形成する。
【0021】
制御部30は、1つの測定部60との間の流路が開く流路部10が2つの流路部10(第1流路部11、第2流路部12)のいずれか一方になるように弁20を動作させる。具体的には、制御部30は、例えば、弁20の動作制御に係る情報を保持する記憶部と、弁20の動作制御に係る演算部とを具備する回路である。制御部30は、第1流路部11と測定部60とを接続するように第1弁21を動作させるとともに第2流路部12と排気路85とを接続するように第2弁22を動作させる。また、制御部30は、第2流路部12と測定部60とを接続するように第2弁22を動作させるとともに第1流路部11と排気路85とを接続するように第1弁21を動作させる。
【0022】
また、制御部30は、第1ポンプ70、第2ポンプ80の動作による気体の流速及び後述するオゾン発生装置から供給されるガスの流速を制御する流速制御部として機能する。流速制御部としての機能については後述する。
【0023】
分解部40は、2つの流路部10のうち一方に設けられて気体に含まれるアンモニアを取り除く。具体的には、分解部40は、例えば、気体に含まれる一酸化窒素とアンモニアとを反応させてアンモニアを分解する。より具体的には、分解部40は、例えば、第1流路部11に設けられた槽状の部材である。分解部40は、第1流路部11と一体的に気体の流路を形成しており、第1流路部11と連続する気体の流路の出入り口及び後述する酸素の供給路を除いて密閉されている。分解部40は、第2流路部12を流れる気体が測定部60に到達する前に当該気体に酸素(O2)を混合する。酸素が混合された当該気体に含まれる一酸化窒素及びアンモニアは、以下の化学反応式(3)が示すように化学変化を生じる。気体に含まれる一酸化窒素とアンモニアは、当該化学変化によって1:1の比率で減少する。
4NO+4NH3+O2→4N2+6H2O…(3)
【0024】
分解部40に酸素を供給する構成である構成は、例えば、酸素ボンベ、酸素ボンベと分解部40との間の酸素の流路に設けられた開閉弁、酸素ボンベ内の酸素を分解部40側に流すように動作する酸素供給ポンプ等を有する。係る酸素供給部の構成はあくまで一例であってこれに限られるものでなく、適宜変更可能である。実施形態1における「分解部40の容積」は、例えば、酸素の供給に係る構成と分解部40との間の酸素の流路が閉じられている場合の分解部40内の気体容積をさすものとする。
【0025】
容積調整槽50は、2つの流路部10の少なくとも一方に設けられて流路部10の容積を調整する。具体的には、容積調整槽50は、例えば、第1の流路部11に設けられた槽状の部材である。容積調整槽50は、第1流路部11と一体的に気体の流路を形成しており、第1流路部11と連続する気体の流路の出入り口を除いて密閉されている。容積調整槽50は、気体の流路において分解部40の下流側に設けられている。よって、容積調整槽50には分解部40によってアンモニアが取り除かれた後の気体が流れ込む。
【0026】
なお、容積調整槽50は、2つの流路部10の両方に設けられてもよい。係る容積調整槽50によって、容積調整槽50と同等の機能を有する構成、例えば流路部10の流路長を調整するための伸縮式のパイプ等が容積調整槽50に代えて設けられてもよい。
【0027】
測定部60は、気体に含まれるアンモニアの濃度の測定に係る処理を行う。具体的には、測定部60は、測定部60は、一酸化窒素がオゾン発生装置から供給されるオゾンを含むガスと混合されることによって発する光を測定する測定処理を行う。より具体的には、測定部60は、分解部40を有する一方の流路部10(第1流路部11)からの気体と分解部40を有しない他方の流路部10(第2流路部12)からの気体との一酸化窒素の量の差を測定することで、気体に含まれていて分解部40により分解されたアンモニアの濃度を測定する。
【0028】
測定部60は、例えば、気体流路部61と、オゾン発生装置62と、発光測定器63とを具備する。気体流路部61は、弁20によって接続された流路部10から流れてきた気体が流れ込む槽状、容器状又は筒状の構成であり、後述する排気口、オゾン発生装置62からのガスの流入路及び2つの流路部10と連続する気体の流路の出入り口を除いて密閉されている。オゾン発生装置62は、オゾンを含むガスを発生させて気体流路部61に導かれた気体にオゾンを含むガスを混合する。発光測定器63は、気体流路部61を流れる気体に含まれる一酸化窒素がオゾン発生装置62から供給されるオゾンを含むガスと混合されることによって発する光を測定する。測定部60は、係る光の発生の度合いによって気体に含まれる一酸化窒素の量を測定する。
【0029】
実施形態1において分解部40を有する第1流路部11を流れる気体は、分解部40によって一酸化窒素とアンモニアとが1:1の比率で反応することで一酸化窒素及びアンモニアが分解されている。すなわち、分解部40を経た気体に含まれる一酸化窒素は、アンモニアの濃度に応じて減少している。一方、分解部40を経ない気体は、煙道3から導かれた状態のままの量の一酸化窒素及びアンモニアを含んでいる。よって、分解部40を経た気体に含まれる一酸化窒素と分解部40を経ない気体に含まれる一酸化窒素との間に、アンモニアの濃度に応じた一酸化窒素の量の差が生じる。測定部60は、2つの流路部10の各々によって導かれた気体に対して測定処理を個別に行うことで、分解部40によるアンモニアを取り除く処理の有無によって生じる一酸化窒素の量の差を測定する。一酸化窒素の量の差は、煙道3からの気体に含まれていて分解部40で取り除かれたアンモニアの濃度に応じる。よって、測定部60は、一酸化窒素を測定することで気体に含まれていたアンモニアの濃度を測定する機能を奏する。
【0030】
第1ポンプ70は、2つの流路部10のうち測定部60との間の流路が開かれた流路部10内の気体を測定部60側に引き込む。具体的には、第1ポンプ70は、例えば、気体の流路において2つの流路部10及び測定部60の下流側に設けられたポンプである。第1ポンプ70は、測定部60内の気体を排気するための排気口と測定部60との間に設けられる。第1ポンプ70は、弁20によって測定部60と接続された1つの流路部10(第1流路部11又は第2流路部12)から測定部60側に気体を引き込む。また、第1ポンプ70は、弁によって測定部60と接続される流路部10が切り替わる際、測定部60内に存する既存の気体を排気口から排気する。
【0031】
第2ポンプ80は、弁20によって測定部60との間の流路が閉じられた流路部10と接続される排気路85を介して当該流路部内の気体を排気する。具体的には、第2ポンプ80は、例えば、排気路85の下流側に設けられて、弁20によって排気路85を介して接続された流路部10から気体を排気する。
【0032】
次に、アンモニア濃度測定装置の動作について説明する。制御部30は、2つの流路部10からそれぞれ測定部60に導かれた気体が供給源から同一タイミングで供給された気体となるように弁20を動作させる。
【0033】
具体的には、制御部30は、測定部60に接続される流路部10を切り換えるために制御部30が弁20を定期的に動作させる周期時間をTとし、分解部40を有する一方の流路部10(第1流路部11)の容積をL1とし、分解部40を有しない他方の流路部10(第2流路部12)の容積をL2とし、第2ポンプ80による気体の流速をV2とすると、以下の式(1)が成り立つように弁20を動作させる。Tの単位は分(min)である。L1、L2の単位はリットル(l)である。V2の単位は、リットル毎分(l/min)である。
T=(L1−L2)/V2…(1)
【0034】
図2は、第1流路部11の容積を示す模式図である。
図3は、第2流路部12の容積を示す模式図である。実施形態1におけるL1は、
図2に示すようにコンバータ2と第1弁21との間に存する第1流路部11による気体の流路の容積である。係る第1流路部11の容積は、分解部40の容積及び貯留部の容積を含む。また、実施形態1におけるL2は、
図2に示すようにコンバータ2と第2弁22との間に存する第2流路部12による気体の流路の容積である。言い換えれば、制御部30は、第1流路部11の容積、分解部40の容積及び貯留部の容積が合算された容積と第2流路部12の容積との差と、第2ポンプ80による気体の流速との関係に基づいて、切替周期を決定する。切替周期に応じて、測定部60が連続して2つの流路部10の一方と接続される期間が決定する。
【0035】
切替周期は可変であってよい。具体的には、制御部30は、設定された切替周期に応じて第2ポンプ80による気体の流速を設定する構成であってもよい。係る制御形態を取る場合、切替周期を設定するための設定部をアンモニア濃度測定装置に設けてもよい。このように、制御部30は、切替周期に基づいて第2ポンプ80の動作を制御してもよいし、第2ポンプ80による気体の流速に基づいて切替周期を決定してもよい。
【0036】
実施形態1の制御部30は、流速制御部として機能する。具体的には、制御部30は、第1ポンプ70による気体の流速をV1とし、オゾン発生装置62からのガスの流速をV3とすると、以下の式(2)が成り立つように、第1ポンプ70、第2ポンプ80及びオゾン発生装置62の動作を制御する。V1,V3の単位は、リットル毎分(l/min)である。
V2=V1−V3…(2)
【0037】
実施形態1では、第1ポンプ70による気体の流速、第2ポンプ80による気体の流速及びオゾン発生装置62からのガスの流速が制御可能であるので、上記の式(2)を満たす第2ポンプ80の速度をより柔軟に設定することができる。すなわち、制御部30は、第2ポンプ80による気体の流速を調整するために、第1ポンプ70による気体の流速及びオゾン発生装置62からのガスの流速の少なくとも一方を調整するようにしてもよい。
【0038】
実施形態1に係る制御部30は、第1流路部11及び第2流路部12の各々の容積を示す情報を保持している。制御部30は、係る情報と、上記の式(1)、(2)を成立させるためのアルゴリズムに基づいて定められた論理(プログラム等)とに基づいて弁20等を制御する。
【0039】
第1ポンプ70による気体の流速、第2ポンプ80による気体の流速及びオゾン発生装置62からのガスの流速は、上記の式(2)が成立するように予め定められていてもよい。
【0040】
図4は、第2流路部12と測定部60とが接続されている場合のアンモニア測定装置を示す模式図である。
図5は、第1流路部11と測定部60とが接続されている場合のアンモニア測定装置を示す模式図である。制御部30は、
図4に示すように分解部40を有しない流路部10(第2流路部12)と測定部60とを接続する。その後、制御部30は、切替周期(T)に対応する期間が経過したタイミングで、
図5に示すように分解部40を有する流路部10(第1流路部11)と測定部60とを接続する。係る順序で測定部60に接続される流路部10を切り換えることで、2つの流路部10からそれぞれ測定部60に導かれた気体が供給源から同一タイミングで供給された気体となる。
【0041】
より具体的には、
図4に示す状態において供給源から第2流路部12を通って測定部60に流れている気体と同一タイミングで第1流路部11に流入した気体は、切替周期(T)が経過するまで分解部40及び容積調整槽50を含む第1流路部11側に収まる。その後、切替周期(T)に対応する期間が経過して第1流路部11と測定部60とが接続されることで、
図4に示す状態における期間に分解部40及び容積調整槽50を含む第1流路部11側に収まっていた気体が測定部60に流れる。このように、第1流路部11の容積(L1)、第2流路部12(L2)第2ポンプ80による気体の流速(V2)に応じた切替周期(T)で弁20を動作させることで、2つの流路部10からそれぞれ測定部60に導かれた気体を供給源から同一タイミングで供給された気体とすることが可能になる。すなわち、制御部30が係る切替周期(T)で弁20を動作させることで、2つの流路部10を流れて測定部60に導かれる気体が供給源から取得されるタイミングのずれを抑制することができる。
【0042】
同一の供給源から取得されたタイミングが同一である気体同士における一酸化窒素及びアンモニアの濃度の差は、取得されたタイミングが異なる気体同士における一酸化窒素及びアンモニアの濃度の差よりも有意に小さいと考えられる。よって、気体の取得タイミングのずれによるアンモニアの濃度の測定誤差の発生を抑制することができることから、より高い精度でアンモニアの濃度を測定することができる。
【0043】
図6は、供給源から供給される気体に含まれる一酸化窒素及びアンモニアの濃度のむらの一例を示すグラフである。
図6では、分解部40によるアンモニアの分解が行われない気体の一酸化窒素の濃度を線L1で示している。また、分解部40によるアンモニアの分解が行われた気体の一酸化窒素の濃度を線L2で示している。アンモニアの濃度を示す情報であるアンモニアの分解の有無による一酸化窒素の変化の度合いは、例えば矢印L3で示すような、線L1と線L2との差として現れる。
【0044】
煙道3を通過する排気量のむら等の変動によって、
図6に示すように、供給源から供給される気体に含まれる一酸化窒素等の量は変動しうる。本発明のような制御を行っていない従来の構成では、気体の取得タイミングのずれによって一方の流路に流れ込んだ一酸化窒素等の量と他方の流路に流れ込んだ一酸化窒素等の量とに差が生じることで、アンモニアの濃度の測定結果に誤差が生じ、測定の精度が低下することがある。具体的には、例えばタイミングP1,P3において分解部40による分解を経ない気体における一酸化窒素の量を測定し、タイミングP2,P4において分解部40による分解を経た気体における一酸化窒素の量を測定すると、タイミングP1,P3に対してタイミングP2,P4の方が一酸化窒素の量が多いことから、アンモニアの濃度がマイナスとして測定されてしまうことがある。
【0045】
これに対し、本発明では、2つの流路部10からそれぞれ測定部60に導かれた気体を供給源から同一タイミングで供給された気体とすることが可能になる。よって、第2流路部12を通って分解部40による分解を経ずに測定部60に到達した気体の取得タイミング(例えば、タイミングP1,P3等)と、第1流路部11を通って分解部40による分解を経て測定部60に到達した気体の取得タイミング(例えば、タイミングP5,P6等)とを任意の同一タイミングにすることができる。このため、第1流路部11を通って分解部40による分解を経て測定部60に到達した気体に含まれる一酸化窒素の量が同一タイミングにおける気体に含まれるアンモニアの濃度に応じて減少し、係る減少の度合いが第2流路部12を通って分解部40による分解を経ずに測定部60に到達した気体に含まれる一酸化窒素の量との差として現れる。係る一酸化窒素の量の差が気体に含まれるアンモニアの濃度に対応する。よって、本発明によれば、より高い精度でアンモニアの濃度を測定することができる。
【0046】
以上、実施形態1によれば、2つの流路部10からそれぞれ測定部60に導かれた気体が供給源から同一タイミングで供給された気体となるので、より高い精度でアンモニアの濃度を測定することができる。
【0047】
また、式(1)を成立させることで、2つの流路部10からそれぞれ測定部60に導かれた気体をより確実に供給源から同一タイミングで供給された気体することができる。よって、より高い精度でアンモニアの濃度を測定することができる。
【0048】
また、式(2)を成立させることで、2つの流路部10からそれぞれ測定部60に導かれた気体をより確実に供給源から同一タイミングで供給された気体することができる。よって、より高い精度でアンモニアの濃度を測定することができる。
【0049】
また、一酸化窒素とアンモニアとの反応による一酸化窒素の変化の度合いを利用してアンモニアの濃度を測定するので、入手が容易な触媒(酸素)を以てアンモニアの濃度を測定することができる。
【0050】
また、容積調整槽を設けることで、2つの流路部10の容積の関係をより容易に調整することができる。
【0051】
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2について説明する。
図7は、実施形態2に係るアンモニア濃度測定装置の主要構成を示す模式図である。実施形態2に係るアンモニア濃度測定装置では、測定部60は、2つ設けられる。また、2つの流路部10の容積は等しい。
【0052】
具体的には、2つの流路部10は、例えば、内寸(内壁の断面形状、径、流路長)が等しい。すなわち、2つの流路部10は、同一形状かつ同一寸法である。2つの測定部60の各々に気体を導く2つの流路部10が同一形状かつ同一寸法であることで、気体が2つの流路部10を通過する条件を実質的に同一にすることができる。このため、2つの測定部60に導かれる気体の取得タイミングをより同一タイミングに揃えやすくなる。なお、実施形態2では、2つの測定部60の下流側に2つの第1ポンプ70が設けられる。
【0053】
実施形態2の場合、容量調整槽は、例えば第2流路部12aに設けられる。実施形態2では、容積調整槽50の容積と分解部40の容積とは同一である。より具体的には、容積調整槽50と分解部40は、同一形状かつ同一内寸である。すなわち、実施形態2に係るアンモニア濃度測定装置は、分解部40を有する流路部10(第1流路部11a)と分解部40を有しない流路部10(第2流路部12a)の容積が等しい。
【0054】
図7に示すように、2つの測定部60は、オゾン発生装置62を共有してもよい。無論、2つの測定部60が個別にオゾン発生装置62を具備していてもよい。
【0055】
また、実施形態2に係るアンモニア濃度測定装置では、弁20は、2つの流路部10の各々に1つの測定部60が接続され、かつ、接続される流路部10と測定部60との組み合わせを切替可能に設けられる。また、制御部30は、所定周期で接続される流路部10と測定部60との組み合わせを切り換える。具体的には、例えば
図7に示すように、2つの流路部10の下流側に3方向電磁弁のような流路を切り替え可能な第1弁21a、第2弁22aを設け、第1弁21a、第2弁22aより下流側の流路を二又にして2つの測定部60との接続関係を入れ替え可能としている。実施形態2では、第1流路部11aの容積及び第2流路部12aの容積はそれぞれ「コンバータ2から測定部60に至るまでの気体の流路の容積」をさし、係る第1弁21a、第2弁22aによって選択された二又の流路のうち一方の容積を含む。第1流路部11aの容積と第2流路部12aの容積が等しいということは、同一のタイミングで選択されている双方の流路の容積が等しいということをさし、二又の流路の各々の容積は問わない。同一のタイミングの選択パターンは、
図7に示す実線の矢印又は破線の矢印のいずれかであり、これらは排他である。
【0056】
2つの測定部60は、個体差による測定誤差を示すことがある。そこで、第1弁21a、第2弁22aによって流路部10と測定部60との接続関係の組み合わせを入れ替えることで、分解部40を有する流路部10(第1流路部11a)の気体に係る測定を行う測定部60と分解部40を有しない流路部10(第2流路部12a)の気体に係る測定を行う測定部60を固定のものとした場合に固定化される測定誤差を低減することができる。より具体的には、所定周期で入れ替わる測定部60による測定結果を、分解部40を有する流路部10(第1流路部11a)の気体に係る測定結果と分解部40を有しない流路部10(第2流路部12a)の気体に係る測定結果でそれぞれ平均化することで、個体差による測定誤差を実質的にゼロに等しくすることができる。係る平均化のための構成として、アンモニア濃度測定装置は、2つの流路部の各々を経た気体に含まれるアンモニアの濃度の測定結果であって、2つの測定部による測定結果を平均化してアンモニアの濃度を求める平均化処理部90を備えるようにしてもよい。
【0057】
以上、実施形態2によれば、2つの流路部10からそれぞれ測定部60に導かれた気体を供給源から同一タイミングで供給された気体とすることが可能になる。また、所定周期で接続される流路部10と測定部60との組み合わせを切り換えることで、2つの測定部60の個体差(測定誤差)を考慮したより高い精度でのアンモニアの濃度の測定を実現することができる。このように、実施形態2によれば、より簡便な制御でより高い精度でのアンモニアの濃度の測定を実現することができる。
【0058】
以上、実施形態について説明したが、これらの実施形態の内容により本発明が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態等の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0059】
例えば、上記の実施形態では、流路部10に供給される気体に含まれる窒素酸化物をコンバータ2によって実質的に一酸化窒素に限定しているが、係る処理は必須でない。測定部60の具体的な測定方法に応じて、コンバータ2による処理は省略可能である。