特許第6651901号(P6651901)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6651901
(24)【登録日】2020年1月27日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20200210BHJP
   H01L 29/812 20060101ALI20200210BHJP
   H01L 29/778 20060101ALI20200210BHJP
   H01L 21/337 20060101ALI20200210BHJP
   H01L 29/808 20060101ALI20200210BHJP
   H01L 33/10 20100101ALI20200210BHJP
   H01L 33/04 20100101ALI20200210BHJP
【FI】
   H01L29/80 E
   H01L29/80 H
   H01L29/80 C
   H01L33/10
   H01L33/04
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-36276(P2016-36276)
(22)【出願日】2016年2月26日
(65)【公開番号】特開2017-152655(P2017-152655A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2018年10月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨田 一義
(72)【発明者】
【氏名】兼近 将一
【審査官】 恩田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−236017(JP,A)
【文献】 特開2016−015467(JP,A)
【文献】 特開2000−349244(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/184995(WO,A1)
【文献】 特開2005−276899(JP,A)
【文献】 特開2007−036239(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/338
H01L 21/337
H01L 29/778
H01L 29/808
H01L 29/812
H01L 33/04
H01L 33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1素子を含む第1素子領域と、
前記第1素子領域の周囲に配置されている素子分離領域と、を備えており、
前記第1素子領域は、
前記第1素子のチャネルとなる2次元電子ガスが形成されるヘテロ接合を有する第1半導体積層であって、第1半導体層と、その第1半導体層上に設けられているとともに前記第1半導体層とは異なるバンドギャップを有する第2半導体層と、を有する第1半導体積層と、
前記第1半導体積層内に光を照射するように構成されている第1発光部と、
前記第1半導体積層の下方に設けられており、前記第1発光部が照射する前記光に対して透過性の材料からなる基板と
前記基板の下面に設けられており、前記第1発光部が照射する前記光を反射するように構成されている第3反射膜と、を有しており、
前記素子分離領域は、
前記第1素子領域の前記第1半導体積層の側面に接しており、前記第1発光部が照射する前記光を反射するように構成されている第1反射膜と、
前記第1素子領域の前記基板の側面に接しており、前記第1発光部が照射する前記光を反射するように構成されている第4反射膜と、を有している
半導体装置。
【請求項2】
前記素子分離領域を挟んで前記第1素子領域に隣り合っており、第2素子を含む第2素子領域をさらに備えており、
前記第2素子領域は、
前記第2素子のチャネルとなる2次元電子ガスが形成されるヘテロ接合を有する第2半導体積層であって、第3半導体層と、その第3半導体層上に設けられているとともに前記第3半導体層とは異なるバンドギャップを有する第4半導体層と、を有する第2半導体積層と、を有している、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2素子領域は、
前記第2半導体積層内に光を照射するように構成されている第2発光部、をさらに有しており、
前記第1反射膜は、前記第2素子領域の前記第2半導体積層の側面に接しており、前記第2発光部が照射する前記光を反射するように構成されている、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1素子領域の前記第1反射膜は、
金属の金属反射膜と、
前記金属反射膜を覆う絶縁反射膜と、を有しており、
前記絶縁反射膜は、前記第1素子領域の前記第1半導体積層の側面に接しており、
前記金属反射膜は、前記絶縁反射膜を介して前記第1半導体積層の側面に対向している、
請求項1から3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1素子領域は、
前記第1半導体積層の上面に設けられており、前記第1発光部が照射する前記光を反射するように構成されている第2反射膜をさらに有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1素子領域は、
前記第1半導体積層の上方に設けられているアノード電極と、
前記第1半導体積層の上方に設けられており、前記アノード電極から離れて配置されているカソード電極と、
前記アノード電極の下方で、前記第1半導体積層の上面に配置されているp型のp型半導体層と、を備えており、
前記第1発光部は、前記p型半導体層と前記第2半導体層により構成される、請求項1からのいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1素子領域は
前記第1半導体積層の上方に設けられているドレイン電極と、
前記第1半導体積層の上方に設けられており、前記ドレイン電極から離れて配置されているソース電極と、
前記第1半導体積層の上方に設けられており、前記ドレイン電極と前記ソース電極の間に設けられているゲート電極と、
前記ゲート電極の下方で、前記第1半導体積層の上面に配置されているp型のp型半導体層と、を備えており、
前記第1発光部は、前記p型半導体層と前記第2半導体層により構成される、請求項1からのいずれか一項に記載の半導体装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、発光部を備える半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2次元電子ガスをチャネルとして動作する半導体装置が開発されている。この種の半導体装置は、ヘテロ接合を有する半導体積層を有している。半導体積層は、第1半導体層と、その第1半導体層上に設けられており、第1半導体層とヘテロ接合する第2半導体で構成されている。この種の半導体装置は、ヘテロ接合近傍に発生する2次元電子ガスをチャネルとして利用することで、半導体装置内を電流が流れるように構成されている。
【0003】
この種の半導体装置では、第2半導体層の上面又はバルクに蓄積する電荷によって半導体装置内を流れる電流が減少する電流コラプス現象の発生が問題となっている。第2半導体層の上面又はバルクに光を照射することで、蓄積された電荷を放出させ、電流コラプス現象の影響を低減する技術が開示されている(特許文献1及び特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−198731号公報
【特許文献2】特開2014−236017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び特許文献2に記載の半導体装置は、発光部から照射される光を、第2半導体層の上面又はバルクに光を照射することで、電流コラプスの影響を低減している。発光部から照射される光は、様々な方向に広がる。特許文献1及び特許文献2の半導体装置において、発光部から照射される光の一部は、半導体装置の側面から半導体装置の外側に向かって放出されてしまう。すなわち、半導体装置の外側に向かって放出される光は、第2半導体層の上面又はバルクに照射されない。第2半導体層の上面又はバルクに照射される光の量を増やすことで、電流コラプス現象の影響を低減することができる。このため、発光部から照射される光を、第2半導体層の上面又はバルクに効率的に照射することができる技術が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示する半導体装置は、第1素子を含む第1素子領域と、第1素子領域の周囲に配置されている素子分離領域と、を有する。第1素子領域は、第1素子のチャネルとなる2次元電子ガスが形成されるヘテロ接合を有する第1半導体積層であって、第1半導体層と、その第1半導体層上に設けられているとともに第1半導体層とは異なるバンドギャップを有する第2半導体層と、を有する第1半導体積層と、第1半導体積層内に光を照射するように構成されている第1発光部と、を有している。素子分離領域は、第1素子領域の第1半導体積層の側面に接する第1反射膜、を有しており、第1反射膜は、第1発光部が照射する光を反射するように構成されている。
【0007】
上記の半導体装置では、素子分離領域に設けられている第1反射膜が、第1半導体積層の側面に接している。このため、第1素子領域内に設けられている第1発光部から照射される光のうち、第2半導体層の上面又はバルクに直接的に照射されずに、第1半導体積層の側面から第1半導体積層の外側に向かう光は、第1反射膜によって反射される。第1反射膜により反射された光は、第1半導体積層の内側に向かい、その光の一部は、第2半導体層の上面又はバルクに照射される。これにより、第1発光部から照射される光のうち、第2半導体層の上面又はバルクに照射される光の量を増やすことができる。この結果、電流コラプス現象の影響を効率的に低減することができる。
【0008】
一般的な半導体装置は、1つの素子を含む1つまたは複数の素子領域を備えている。素子領域は、その素子領域の外部領域から電気的に分離されている必要がある。このため、素子領域の周囲には、素子分離領域が配置される。上記の半導体装置では、第1反射膜は、素子分離領域に設けられている。上述のように、素子分離領域は、従来の半導体装置も有している領域である。従って、本明細に開示する半導体装置において、第1反射膜を形成するための領域を、新たに設ける必要がない。このため、半導体装置の製造過程において、第1反射膜による面積消費を増やすことなく、半導体装置を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1に係る半導体装置の断面図である。
図2】実施例2に係る半導体装置の断面図である。
図3】実施例3に係る半導体装置の断面図である。
図4】実施例4に係る半導体装置の断面図である。
図5】実施例5に係る半導体装置の断面図である。
図6】実施例6に係る半導体装置の断面図である。
図7】実施例7に係る半導体装置の断面図である。
図8】実施例8に係る半導体装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に示す技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。
【0011】
(特徴1)本明細書で開示される半導体装置の一実施形態は、第1素子を含む第1素子領域と、第1素子領域の周囲に配置されている素子分離領域と、を備えてもよい。第1素子領域は、第1素子のチャネルとなる2次元電子ガスが形成されるヘテロ接合を有する第1半導体積層であって、第1半導体層と、その第1半導体層上に設けられているとともに第1半導体層とは異なるバンドギャップを有する第2半導体層と、を有する第1半導体積層と、第1半導体積層内に光を照射するように構成されている第1発光部と、を有してもよい。この場合、素子分離領域は、第1素子領域の第1半導体積層の側面に接する第1反射膜、を有しており、第1反射膜は、第1発光部が照射する光を反射するように構成されているとよい。このような構成によると、第1素子領域内に設けられている第1発光部から照射される光のうち、第2半導体層の上面又はバルクに直接的に照射されずに、第1半導体積層の側面から第1半導体積層の外側に向かう光は、第1反射膜によって反射される。第1反射膜により反射された光は、第1半導体積層の内側に向かい、その光の一部は、第2半導体層の上面又はバルクに照射される。これにより、第1発光部から照射される光のうち、第2半導体層の上面又はバルクに照射される光の量を増やすことができる。
【0012】
(特徴2)他の実施形態では、半導体装置は、素子分離領域を挟んで第1素子領域に隣り合っており、第2素子を含む第2素子領域をさらに備えてもよい。この場合、第2素子領域は、第2素子のチャネルとなる2次元電子ガスが形成されるヘテロ接合を有する第2半導体積層であって、第3半導体層と、その第3半導体層上に設けられているとともに第3半導体層とは異なるバンドギャップを有する第4半導体層と、を有する第2半導体積層と、を有してもよい。第1反射膜が第1半導体積層の側面に設けられていない場合、第1発光部から照射される光のうち、第1半導体積層の側面から第1半導体積層の外側に向かう光が、素子分離領域を通過して、第2素子に照射される。第2素子に第1発光部からの光が照射されることで、第2素子の電気的特性が変化してしまう場合がある。上記の構成によると、第1発光部から照射される光が、第2素子に照射されることを抑制することができる。
【0013】
(特徴3)他の実施形態では、第2素子領域は、第2半導体積層内に光を照射するように構成されている第2発光部をさらに有してもよい。この場合、第1反射膜は、第2素子領域の第2半導体積層の側面に接しており、第2発光部が照射する光を反射するように構成されているとよい。第2素子においても、第4半導体層の上面又はバルクに電荷が蓄積し、電流コラプス現象が発生する。上記の構成によると、第2発光部から照射される光のうち、第4半導体層の上面又はバルクに照射されずに、第2半導体積層の側面から第2半導体積層の外側に向かう光は、第1反射膜によって反射される。第1反射膜により反射された光は、第2半導体積層の内側に向かい、その一部は、第4半導体層の上面又はバルクに照射される。この結果、電流コラプス現象の影響を効率的に低減することができる。また、第2発光部から照射される光が第1素子に照射されると、第1素子の電気的特性が変化してしまう場合がある。上記の構成によると、第2発光部から照射される光が、第1素子に照射されることを抑制することができる。
【0014】
(特徴4)他の実施形態では、第1素子領域の第1反射膜は、金属の金属反射膜と、絶縁性の材料からなる絶縁反射膜と、有してもよい。この場合、絶縁反射膜は、第1素子領域の第1半導体積層の側面に接しており、金属反射膜は、絶縁反射膜を介して第1半導体積層の側面に対向しているとよい。絶縁反射膜及び金属反射膜は、共に第1発光部から照射される光を反射することができる。このため、金属反射膜が、絶縁反射膜を介して第1半導体積層の側面に対向していることで、第1半導体積層の側面から第1半導体積層の外側に向かう光のうち、第1反射膜により反射される光の量を増やすことができる。これにより、第2半導体層の上面又はバルクに照射される光の量を増やすことができる。また、金属反射膜は、様々な波長の光を反射することができる。すなわち、金属反射膜は、絶縁反射膜により反射することができない波長の光についても、反射できる。これにより、第1反射膜によって、反射することのできる光の波長領域を広げることができる。
【0015】
(特徴5)他の実施形態では、第1素子領域は、第1半導体積層の上面に設けられており、第1発光部が照射する光を反射するように構成されている第2反射膜をさらに有してもよい。第1発光部から照射される光の一部は、第1半導体積層の上方に向かう。第2反射膜が第1半導体積層の上面に設けられていると、第1半導体積層の上方に向かう光は第2反射膜によって反射される。第2反射膜により反射された光は、第1半導体積層の内側に向かい、その一部は、第2半導体層の上面又はバルクに照射される。これにより、第2半導体層の上面又はバルクに照射される光の量をさらに増やすことができ、電流コラプス現象を効率的に低減することができる。
【0016】
(特徴6)他の実施形態では、第1素子領域は、第1半導体積層の下方に設けられており、第1発光部が照射する光を反射するように構成されている第3反射膜をさらに有してもよい。第1発光部から照射される光の一部は、第1半導体積層の下方に向かう。第3反射膜が第1半導体積層の下方に設けられていると、第1半導体積層の下方に向かう光は第3反射膜によって反射される。第3反射膜により反射された光は、第1素子領域の内側に向かい、その一部は、第2半導体層の上面又はバルクに照射される。これにより、第2半導体層の上面又はバルクに照射される光の量をさらに増やすことができ、電流コラプス現象を効率的に低減することができる。
【0017】
(特徴7)他の実施形態では、第1素子領域は、第1半導体積層の下方に設けられる基板をさらに有してもよい。この場合、基板は、第1発光部が照射する光に対して透過性の材料からなり、第3反射膜は、基板の下面に設けられているとよい。基板が第1発光部から照射される光に対して透過性の材料からなる場合、第1半導体層の下方に向かう光は、基板を通過する。基板の下方に第3反射膜が設けられていると、基板を通過した光は、第3反射膜によって反射される。第3反射膜により反射された光は、第1素子領域の内側に向かい、その一部は、第2半導体層の上面又はバルクに照射される。これにより、第2半導体層の上面又はバルクに照射される光の量をさらに増やすことができ、電流コラプス現象を効率的に低減することができる。
【0018】
(特徴8)他の実施形態では、素子分離領域は、第1素子領域の基板の側面に接する第4反射膜をさらに有しており、第4反射膜は、第1発光部が照射する光を反射するように構成されていてもよい。基板の厚みは、第1半導体積層の厚みよりも比較的に厚い。このため、基板の側面から外側に向かう光は、比較的に多いと考えられる。このため、基板の側面に第4反射膜を設けることで、第2半導体層の上面又はバルクに照射される光の量をさらに増やすことができる。
【0019】
(特徴9)他の実施形態では、第1素子領域は、第1半導体積層の上方に設けられているアノード電極と、第1半導体積層の上方に設けられており、アノード電極から離れて配置されているカソード電極と、アノード電極の下方で、第1半導体積層の上面に配置されているp型のp型半導体層と、を備えており、第1発光部は、前記p型半導体層と前記第2半導体層により構成されていてもよい。このような構成によると、電流コラプス現象を効率よく低減することのできるダイオードを構成することができる。
【0020】
(特徴10)第1素子領域は、第1半導体積層の上方に設けられているドレイン電極と、第1半導体積層の上方に設けられており、ドレイン電極から離れて配置されているソース電極と、第1半導体積層の上方に設けられており、ドレイン電極と前記ソース電極の間に設けられているゲート電極と、ゲート電極の下方で、第1半導体積層の上面に配置されているp型のp型半導体層と、を備えており、第1発光部は、p型半導体層と前記第2半導体層により構成されていてもよい。このような構成によると、電流コラプス現象を効率よく低減することのできるトランジスタを構成することができる。
【実施例1】
【0021】
図1を用いて半導体装置100について説明する。半導体装置100は、トランジスタT11を含む第1素子領域R11と、第1素子領域R11の周囲に配置される素子分離領域R12と、を備えている。半導体装置100は、p型の基板102と、バッファ層104と、第1半導体積層106と、ドレイン電極112と、p型半導体層114と、ゲート電極116と、ソース電極118と、反射膜122と、パッシベーション膜124と、を備えている。
【0022】
基板102は、p型のシリコン(Si)からなっている。バッファ層104は、基板102上に設けられており、超格子(AlN/GaN)又は窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)からなっている。第1半導体積層106は、バッファ層104上に設けられている。第1半導体積層106は、第1半導体層108と、第1半導体層108上に設けられており、第1半導体層108のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有する第2半導体層110を有している。第1半導体層108は、アンドープの窒化ガリウム(GaN)からなっており、第2半導体層110は、アンドープの窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)からなっている。なお、第2半導体層110は、アンドープではあるもののn型の半導体層として機能する。第1半導体層108と第2半導体層110が接合することで、第1半導体層108と第2半導体層110の間にヘテロ接合が形成され、トランジスタT11のチャネルとなる2次元電子ガス(2DEG)が生成される。
【0023】
ドレイン電極112、p型半導体層114、及び、ソース電極118は、第2半導体層110上に設けられている。ドレイン電極112、p型半導体層114、及び、ソース電極118は、互いに間隔を空けて配置されている。p型半導体層114は、ドレイン電極112とソース電極118の間に配置されている。p型半導体層114は、p型のGaNからなる。このため、p型半導体層114と第2半導体層110の界面はPN接合部となる。これにより、p型半導体層114と第2半導体層110に順方向の電圧が印加されると、p型半導体層114側のホールと第2半導体層110側の電子が結合し、p型半導体層114と第2半導体層110の界面から光が照射される。p型半導体層114と第2半導体層110の界面から照射される光の波長は、GaNの発光波長λである約360nmである。以下では、p型半導体層114と第2半導体層110を総称して、第1発光部120と呼ぶ場合がある。ゲート電極116は、p型半導体層114上に設けられている。第2半導体層110上において、ドレイン電極112とp型半導体層114の間、p型半導体層114とソース電極118の間、ドレイン電極112の外側、及び、ソース電極118の外側には、反射膜122が設けられている。反射膜122は、第1発光部120から照射される光を反射することができ、誘電体多層膜からなっている。誘電体多層膜は、対となる高屈折率層と低屈折率層が交互に積層されている。高屈折率層と低屈折率層の膜厚は、それぞれλ/4nである。なお、nは、各屈折率層の屈折率である。高屈折率層は、例えば酸化チタン(TiO)からなり、低屈折率層は、例えば、アルミナ(Al)からなる。これにより、反射膜122は、第1発光部120から照射される光を反射することができる。なお、高屈折率層と低屈折率層の対の数は、4対以下であることが好ましい。反射膜122上には、パッシベーション膜124が設けられている。ドレイン電極112、ゲート電極116、ソース電極118の上面には、それぞれドレイン配線132、ゲート配線134、ソース配線136が設けられている。
【0024】
基板102とバッファ層104は、第1素子領域R11と素子分離領域R12とで共通である。素子分離領域R12のバッファ層104の上方には、分離トレンチ140が形成されている。分離トレンチ140の下端は、バッファ層104の上端と同じ高さである。分離トレンチ140は、第1半導体積層106の側面を取り囲むように形成されている。これにより、第1半導体積層106は、第1半導体積層106の外部の領域から分離される。分離トレンチ140の内壁には、反射膜142が設けられている。すなわち、反射膜142は、第1半導体積層106の側面、及びバッファ層104の上面に接している。反射膜142は、反射膜122と同じ構造を有している。従って、反射膜142も、第1発光部120から照射される光を反射する。なお、反射膜142と反射膜122は、一体的に成形されていることが好ましい。分離トレンチ140の内部、及び分離トレンチ140の上方には、パッシベーション膜144が形成されている。素子分離領域R12のパッシベーション膜144は、第1素子領域R11のパッシベーション膜124と一体的に成形されている。なお、以下では、反射膜142を、「第1反射膜142」と呼び、反射膜122を「第2反射膜122」と呼ぶ。
【0025】
半導体装置100の動作について説明する。ゲート電極116に接地電圧を印加している間は、p型半導体層114と第2半導体層110の界面から伸びる空乏層がp型半導体層114に対応する範囲のヘテロ接合界面を空乏化し、その範囲の2DEGが消失する。このため、ドレイン電極112とソース電極118の間には電流は流れない。
【0026】
一方、ゲート電極116に正の電圧が印加されると、p型半導体層114と第2半導体層110の界面から伸びる空乏層が消失する。これにより、2次元電子ガスが、ドレイン電極112とソース電極118の間に連続して形成される。これにより、ドレイン電極112とソース電極118の間を電流が流れる。
【0027】
次いで、半導体装置100の作用効果について説明する。半導体装置100では、ゲート電極116に接地電圧を印加している時に、ドレイン電極112とゲート電極116の間に高電圧(例えば、およそ300V)が印加される。このとき、ゲート電極116からドレイン側に向けてリーク電流が流れる。このリーク電流に起因して、その電子の一部が、例えば、ゲート電極116のドレイン側端部の第2半導体層110の上面などにトラップされる。なお、以下では、電子がトラップされている領域を負帯電領域と呼ぶ。この負帯電領域の影響によって、ドレイン電極112とソース電極118の間の抵抗が増加する電流コラプス現象が発生する。電子が負帯電領域にトラップされている状態で、ゲート電極116に正の電圧を印加すると、ドレイン電極112とソース電極118の間を流れる電流が減少する。上述のように、半導体装置100においては、p型半導体層114と第2半導体層110のPN接合により第1発光部120が形成されている。このため、ゲート電極116に正の電圧が印加されると、ゲート電極116からソース電極118およびドレイン電極112に向けて電流が流れ、第1発光部120が光を照射する。第1発光部120から照射される光の一部は、第1半導体積層106内に向かい、負帯電領域に直接的に照射される。これにより、負帯電領域にトラップされた電子を放出することができる。この結果、ドレイン電極112とソース電極118の間の抵抗が増加する電流コラプス現象の影響を低減することができる。一方、第1発光部120から照射される光の一部は、第1半導体積層106の外側に向かう。第1半導体積層106の外側に向かう光のうち、第1半導体積層106の上方に向かう光は、第2反射膜122によって反射される。また、第1半導体積層106の外側に向かう光のうち、第1半導体積層106の側方に向かう光は、第1反射膜142によって反射される。第2反射膜122、または第1反射膜142によって反射された光の一部は、第1半導体積層106内に向かい、負帯電領域に間接的に照射される。従って、第1半導体積層106の外側に向かう光の一部を、負帯電領域に間接的に照射することができる。これにより、第1発光部120から照射される光のうち、負帯電領域に照射される光の量を増やすことができる。この結果、電流コラプス現象の影響を効率的に低減することができる。
【0028】
第1発光部120から照射される光は、様々な方向に向かう。このため、第1発光部から照射される光の一部は、負帯電領域に照射されずに、第1半導体積層106の外側に放出される。上記の構成によると、第2反射膜122によって、第1半導体積層106の上方に向かう光を反射することができ、第1反射膜142によって、第1半導体積層106の側方に向かう光を反射することができる。第2反射膜122、または第1反射膜142によって反射された光は、第1半導体積層106内に向かい、その一部は負帯電領域に照射される。これにより、第1発光部120から照射される光のうち、負帯電領域に照射される光の量が増える。この結果、電流コラプス現象の影響を効率的に低減することができる。
【0029】
半導体装置100の製造方法について簡単に説明する。まず、1枚のウエハに、1つの素子を含む複数の素子領域と、複数の素子領域の周囲に配置される素子分離領域R12と、が形成される。素子分離領域R12は、複数の素子領域を互いに電気的に分離するために形成される。なお、素子分離領域R12は、従来の半導体装置を製造する際にも形成される。次いで、ウエハを、トランジスタT11を含む第1素子領域R11と、第1素子領域R11に隣接する部分の素子分離領域R12が含まれるようにダイシングすることで、半導体装置100は形成される。半導体装置100は、素子分離領域R12に第1反射膜142を設けることで、第1発光部120から照射される光を、負帯電領域に効率的に照射することができる。上述のように、素子分離領域R12は、従来の半導体装置も有している。従って、半導体装置100は、第1反射膜142を形成する領域を新たに設ける必要が無い。このため、半導体装置100の製造過程において、第1反射膜142による面積消費を増やすことなく、半導体装置100を形成することができる。
【実施例2】
【0030】
図2を用いて半導体装置200について説明する。なお、以下では、実施例間で共通する構成については、同じ符号を付して説明を省略する。半導体装置200は、ダイオードD21を含む第1素子領域R21と、第1素子領域R21の周囲に配置されている素子分離領域R12を備えている。ダイオードD21は、p型の基板102と、バッファ層104と、第1半導体積層106と、カソード電極212と、p型半導体層214と、アノード電極216と、第2反射膜122と、パッシベーション膜124と、を備えている。
【0031】
カソード電極212、及びp型半導体層214は、第2半導体層110上に設けられている。カソード電極212、及びp型半導体層214は、互いに間隔を空けて配置されている。p型半導体層214は、p型のGaNからなる。このため、p型半導体層214と第2半導体層110の界面はPN接合部となる。これにより、p型半導体層214と第2半導体層110に順方向の電圧が印加されると、p型半導体層214側のホールと第2半導体層110側の電子が結合し、p型半導体層214と第2半導体層110の界面から光が照射される。p型半導体層214と第2半導体層110の界面から照射される光の波長は、GaNの発光波長λである約360nmである。以下では、p型半導体層214と第2半導体層110を総称して、第1発光部220と呼ぶ場合がある。アノード電極216は、p型半導体層214上に設けられている。第2半導体層110上において、カソード電極212とp型半導体層214の間、カソード電極212の外側、及びp型半導体層114の外側には、第2反射膜122が設けられている。第2反射膜122上には、パッシベーション膜124が設けられている。また、カソード電極212上にはカソード配線222が設けられ、アノード電極216上には、アノード配線226が設けられている。
【0032】
半導体装置200の動作について説明する。ダイオードD21に順方向の電圧が印加されると、アノード電極216からカソード電極212に向かって電流が流れる。アノード電極216からカソード電極212に向かって電流が流れることで、第1発光部220に電流が流れる。これにより、第1発光部220より光が照射される。一方、ダイオードD21に逆方向の電圧が印加されると、アノード電極216とカソード電極212間を電流は流れない。
【0033】
半導体装置200の作用効果について説明する。半導体装置200では、ダイオードD21に逆方向の高電圧が印加されると、電子の一部が第2半導体層110の上面などにトラップされ、負帯電領域が形成される。電子がトラップされている状態で、ダイオードD21に順方向の電圧が印加されると、アノード電極216からカソード電極212に流れる電流が減少する。上述のように、半導体装置200においては、p型半導体層214と第2半導体層110のPN接合により第1発光部220が形成されている。このため、ダイオードD21に順方向の電圧が印加されると、アノード電極216からカソード電極212に向けて電流が流れ、第1発光部220が光を照射する。第1発光部220から照射される光の一部は、負帯電領域に直接的に照射される。これにより、負帯電領域にトラップされた電子を放出することができる。この結果、アノード電極216とカソード電極212の間の抵抗が増加する電流コラプス現象の影響を低減することができる。一方、第1発光部220から照射される光の一部は、第1半導体積層106の外側に向かう。第1半導体積層106の外側に向かう光のうち、上方に向かう光は、第2反射膜122によって反射される。また、第1半導体積層106の外側に向かう光のうち、側方に向かう光は、第1反射膜142によって反射される。第2反射膜122、または、第1反射膜142によって反射された光の一部は、第1半導体積層106内に向かい、負帯電領域に間接的に照射される。従って、第1半導体積層106の外側に向かう光の一部を、負帯電領域に間接的に照射することができる。これにより、第1発光部220から照射される光のうち、負帯電領域に照射される光の量を増やすことができる。この結果、電流コラプス現象の影響を効率的に低減することができる。
【実施例3】
【0034】
図3を用いて実施例1と異なる点を説明する。半導体装置300は、トランジスタT11を含む第1素子領域R11と、第1素子領域R11の周囲に配置されている素子分離領域R32を有している。実施例3では、素子分離領域R32の第1反射膜242が実施例1の素子分離領域R12の第1反射膜142と異なる。
【0035】
第1反射膜242は、絶縁反射膜242aと金属反射膜242bを有している。絶縁反射膜242aは、例えば、誘電体多層膜からなる。絶縁反射膜242aは、分離トレンチ140の内壁に設けられている。従って、絶縁反射膜242aは、第1半導体積層106の側面、及びバッファ層104の上面に接している。金属反射膜242bは、金属からなり、例えば、アルミニウム(Al)、銀(Ag)などを含む。金属反射膜242bは、分離トレンチ140内に充填されている。従って、金属反射膜は、絶縁反射膜242aに接しているとともに、絶縁反射膜242aを介して第1半導体積層106の側面に対向している。
【0036】
上記の構成によると、第1発光部120から照射された光のうち、絶縁反射膜242aを透過した光を金属反射膜242bで反射することができる。これにより、第1半導体積層106の側方に向かう光のうち、第1反射膜242により反射される光の量を増やすことができる。このため、第1反射膜242に反射されて負帯電領域に照射される光の量が増える。この結果、電流コラプス現象の影響を効率的に低減することができる。また、金属反射膜242bは、絶縁反射膜242aが反射することができない波長の光についても、反射することができる。このため、第1反射膜242により、反射することのできる光の波長領域を広げることができる。
【実施例4】
【0037】
図4を用いて実施例1と異なる点を説明する。半導体装置400は、トランジスタT41を含む第1素子領域R41と、第1素子領域R41の周囲に配置される素子分離領域R42を有している。実施例4では、第1素子領域R41と素子分離領域R42に共通の基板402が、実施例1の第1素子領域R11と素子分離領域R12に共通の基板102と異なる。基板402は、導電性の材料からなり、第1発光部120から照射される光に対して透過性がある。基板402は、例えば、GaN、窒化アルミニウム(AlN)、Gaなどからなる。また、基板402の下面には、金属材料からなる第3反射膜452が設けられている。第3反射膜452は、例えば、Al、Agなどを含む材料からなる。第3反射膜452は、第1発光部120から照射される光を反射することができる。
【0038】
半導体装置400において、ゲート電極116に正の電圧が印加されると、ゲート電極116からソース電極118とドレイン電極112に向けて電流が流れ、第1発光部120が光を照射する。第1発光部120から照射される光の一部は、第1半導体積層106の下方に向かう。第1半導体積層106の下方に向かう光は、基板402を通過する。上記の構成によると、基板402を通過した光は、第3反射膜452により反射される。第3反射膜452により反射された光の一部は、第1半導体積層106内に向かい、負帯電領域に照射される。これにより、負帯電領域に照射される光の量を増やすことができる。この結果、電流コラプス現象の影響を効率的に低減することができる。
【実施例5】
【0039】
図5を用いて実施例1と異なる点について説明する。半導体装置500は、トランジスタT51を含む第1素子領域R51と、第1素子領域R51の周囲に配置されている素子分離領域R52を有している。実施例5では、第1素子領域R51と素子分離領域R52に共通の基板502が、実施例1の第1素子領域R11と素子分離領域R12に共通の基板102と異なる。基板502は、絶縁性の材料からなり、第1発光部120から照射される光に対して透過性がある。基板502は、例えば、AlN、サファイアなどからなる。また、基板502の下面には、第3反射膜552が設けられている。第3反射膜552は、誘電体多層膜からなる。第3反射膜552は、第2反射膜122と同一の材料で構成されている。このため、第3反射膜552は、第1発光部120から照射される光を反射することができる。
【0040】
半導体装置500において、ゲート電極116に正の電圧が印加されると、ゲート電極116からソース電極118とドレイン電極112に向けて電流が流れ、第1発光部120が光を照射する。第1発光部120から照射される光の一部は、第1半導体積層106の下方に向かう。第1半導体積層106の下方に向かう光は、基板502を通過する。上記の構成によると、基板502を通過した光は、第3反射膜552により反射される。第3反射膜552により反射された光の一部は、第1半導体積層106内に向かい、負帯電領域に照射される。これにより、負帯電領域に照射される光の量を増やすことができる。この結果、電流コラプス現象の影響を効率的に低減することができる。
【実施例6】
【0041】
図6を用いて半導体装置600について説明する。半導体装置600は、4個の素子領域R61、R62、R63、R64と、各素子領域R61、R62、R63、R64の周囲に配置される素子分離領域R65と、を有している。素子領域R61には、第1ダイオードD61が設けられており、素子領域R62には、第1トランジスタT61が設けられており、素子領域R63には、第2トランジスタT62が設けられており、素子領域R64には、第2ダイオードD62が設けられている。なお、第1トランジスタT61及び第2トランジスタT62は、実施例4のトランジスタT41(図4)と同一の構造を有している。第1ダイオードD61及び第2ダイオードD62は同一の構造を有している。第1ダイオードD61及び第2ダイオードD62は、基板の構造が実施例2のダイオードD21(図2)とは異なる。第1ダイオードD61及び第2ダイオードD62は、第1トランジスタT61と共通の基板402、及び第3反射膜452を有する。
【0042】
素子分離領域R65は、各素子領域R61、R62、R63、R64の周囲に配置されることで、隣接する2つの素子領域を互いに分離している。具体的には、素子領域R61と素子領域R62、素子領域R62と素子領域R63と、素子領域R63と素子領域R64と、互いに分離している。素子分離領域R65のバッファ層104の上方には、上側分離トレンチ640が形成されており、バッファ層104の下方には、下側分離トレンチ650が形成されている。上側分離トレンチ640の下端は、バッファ層104の上端と同じ高さである。上側分離トレンチ640は、各素子領域の第1半導体積層106の側面を取り囲むように形成されている。上側分離トレンチ640の内壁には、第1反射膜642が設けられている。第1反射膜642は、誘電体多層膜からなる。下側分離トレンチ650の上端は、バッファ層104の下端の高さよりもわずかに低い。下側分離トレンチ650は、各素子領域の基板402の側面を取り囲むように形成されている。下側分離トレンチ650の内壁には、第4反射膜662が設けられている。第4反射膜662は、金属の材料からなり、第3反射膜452と同一の構造を有する。従って、第4反射膜662は、第1発光部120から照射される光を反射することができる。
【0043】
半導体装置600は、例えば、インバータの一部である。例えば、インバータ回路において、第1ダイオードD61とトランジスタT61が上アーム部を構成し、第2ダイオードD62と第2トランジスタT62が下アーム部を構成する。なお、以下では、各トランジスタT61、T62及び各ダイオードD61、D62に電流が流れている状態をオン状態と呼び、電流が流れていない状態をオフ状態と呼ぶ。インバータにおいて、第1トランジスタT61がオン状態の場合、第1トランジスタT61に隣接する第2トランジスタT62及び第1ダイオードD61はオフ状態となる。第1トランジスタT61がオン状態の場合、第1発光部120から光が照射される。素子分離領域R65が、第1反射膜642を有していない場合、第1トランジスタT61の第1半導体積層106の側方から外側に向かう光が、第2トランジスタT62及び第1ダイオードD61に到達する。この場合、オフ状態である第2トランジスタT62及び第1ダイオードD61にリーク電流が生じてしまう。また、第1トランジスタT61の第1半導体積層106の下方に向かう光が、第3反射膜452で反射され、その一部が第2トランジスタT62及び第1ダイオードD61に到達する場合がある。しかしながら、半導体装置600の場合、第1トランジスタT61の第1半導体積層106の側方に向かう光は、第1反射膜642によって反射される。また、第3反射膜452によって反射された光の一部は、第4反射膜662によって反射される。これによりオフ状態である第2トランジスタT62及び第1ダイオードD61に、第1トランジスタT61の第1発光部120から照射される光が到達することを防止することができる。これにより、第2トランジスタT62及び第1ダイオードD61にリーク電流が生じることを防止することができる。また、第2反射膜122、第1反射膜642、第3反射膜452、及び第4反射膜662により反射された光の一部は、負帯電領域に照射される。これにより、負帯電領域に照射される光の量を増やすことができる。この結果、電流コラプス現象の影響を効率的に低減することができる。
【0044】
(対応関係)
トランジスタT61が「第1素子」の一例である。素子領域R62が「第1素子領域」の一例である。トランジスタT61が有する第1半導体積層106、第1半導体層108、第2半導体層110が、それぞれ「第1半導体積層」、「第1半導体層」、「第2半導体層」の一例である。トランジスタT61が有する第1発光部120が、「第1発光部」の一例である。トランジスタT62が「第2素子」の一例である。素子領域R63が「第2素子領域」の一例である。トランジスタT62が有する第1半導体積層106、第1半導体層108、第2半導体層110が、それぞれ「第2半導体積層」、「第3半導体層」、「第4半導体層」の一例である。トランジスタT62が有する第1発光部120が、「第2発光部」の一例である。
【実施例7】
【0045】
図7を用いて実施例1と異なる点について説明する。半導体装置700は、トランジスタT71を含む第1素子領域R71と、第1素子領域R71の周囲に配置されている素子分離領域R72を有している。実施例7では、第1素子領域R71と素子分離領域R72に共通の多膜層バッファ層704が、実施例1の第1素子領域R11と素子分離領域R12に共通のバッファ層104と異なる。多膜層バッファ層704は、対となる第1バッファ層と第2バッファ層が交互に積層されている。第1バッファ層は、AlNからなり、第2バッファ層は、GaNからなる。多膜層バッファ層704全体において、第1バッファ層と第2バッファ層のそれぞれの合計膜厚は、それぞれλ/4nの倍数である。なお、nは、各バッファ層の屈折率を示す。この場合、多膜層バッファ層704は、第1発光部120から照射される光を反射することができる。
【0046】
半導体装置700において、ゲート電極116に正の電圧が印加されると、ゲート電極116からソース電極118とドレイン電極112に向けて電流が流れ、第1発光部120が光を照射する。第1発光部120から照射される光の一部は、第1半導体積層106の下方に向かう。上記の構成によると、第1半導体積層106の下方に向かう光は、多膜層バッファ層704によって反射される。多膜層バッファ層704によって反射された光の一部は、第1半導体積層106内に向かい、負帯電領域に照射される。これにより、負帯電領域に照射される光の量を増やすことができる。この結果、電流コラプス現象の影響を効率的に低減することができる。
【実施例8】
【0047】
図8を用いて実施例1と異なる点について説明する。半導体装置800は、トランジスタT81を含む第1素子領域R81と、第1素子領域R81の周囲に配置されている素子分離領域R12を有している。実施例8では、ドレイン電極112と第2半導体層110の間に、p型半導体層814が設けられており、ゲート電極116は、第2半導体層110上に設けられている。この場合、p型半導体層814と第2半導体層110の界面はPN接合部となる。従って、p型半導体層814と第2半導体層110に順方向の電圧が印加されると、p型半導体層814と第2半導体層110の界面から光が照射される。なお、以下では、p型半導体層814と第2半導体層110を総称して、第1発光部820と呼ぶ場合がある。
【0048】
半導体装置800の動作について説明する。ゲート電極116に閾値以上の電圧が印加されている間は、2次元電子ガスが、ドレイン電極112とソース電極118の間に連続して形成される。このため、ドレイン電極112とソース電極118の間を電流が流れる。この結果、第1発光部820に電流が流れ、第1発光部820から光が照射される。
【0049】
一方、ゲート電極116に閾値以下の電圧を印加すると、ゲート電極116に対応する範囲の2次元電子ガスが消失する。これにより、ドレイン電極112とソース電極118の間に電流が流れない。
【0050】
上記の構成によると、第1半導体積層106の上方に向かう光は、第2反射膜122によって反射され、第1半導体積層106の側方に向かう光は、第1反射膜142によって反射される。第2反射膜122、または第1反射膜142によって反射された光の一部は、第1半導体積層106内に向かう。これにより、第1半導体積層106の上方又は側方に向かう光の一部は、負帯電領域に間接的に照射される。これにより、負帯電領域に照射される光の量を増やすことができる。この結果、電流コラプス現象の影響を効率的に低減することができる。
【0051】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0052】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0053】
100 :半導体装置
102 :基板
104 :バッファ層
106 :第1半導体積層
108 :第1半導体層
110 :第2半導体層
112 :ドレイン電極
114 :p型半導体層
116 :ゲート電極
118 :ソース電極
120 :第1発光部
122 :第2反射膜
124 :パッシベーション膜
132 :ドレイン配線
134 :ゲート配線
136 :ソース配線
140 :分離トレンチ
142 :第1反射膜
144 :パッシベーション膜
R11 :第1素子領域
R12 :素子分離領域
D :ダイオード
T :トランジスタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8