【実施例】
【0102】
以下に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はそれら実施例の範囲に限定されるものではない。
【0103】
〔熱可塑性透明基材フィルム〕
各実施例及び比較例において、熱可塑性透明基材フィルムとしては、以下のものを使用した。
ポリカーボネートフィルム(PC)
住友化学(株)製「C000」188μm
ポリメチルメタクリレートフィルム(PMMA)
住友化学株式会社製「S014G」188μm
ポリカーボネート層とポリメチルメタクリレート層との二層構造からなるフィルム(PC/PMMA)
住友化学株式会社製「C001」200μm
【0104】
〔防眩性ハードコート層用樹脂組成物の調製〕
防眩性ハードコート層用樹脂組成物として、次の原料を使用し、各原料を下記表1〜5に記載した組成にて混合し、防眩性ハードコート層用樹脂組成物HC1−1〜HC1−23を調製した。尚、各材料の配合量は、固形分の質量%を記載している。防眩性ハードコート層用樹脂組成物の各原料としては、以下の通りである。
〔ポリマー(f)〕
〈製造例1-1:アクリル共重合体(F1)の調製〉
イソボロニルメタクリレート208.8質量部 、メチルメタクリレート4.2質量部、メタクリル酸15.0質量部及びプロピレングリコールモノメチルエーテル340.0重量部を混合した。この混合液を、撹拌羽根、窒素導入管、冷却管及び滴下漏斗を備えた1000ml反応容器中の、窒素雰囲気下で110℃に加温したプロピレングリコールモノメチルエーテル 200質量部に、3時間かけて等速で滴下し、その後、110℃ で30 分間反応させた。ターシャリーブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート3.0質量部を含むプロピレングリコールモノメチルエーテルの溶液120質量部を、30分間かけて等速滴下してから、さらにターシャリーブチルペルオキシ‐2‐エチルヘキサノエート0.3質量部を含むプロピレングリコールモノメチルエーテルの溶液25.5質量部を30分間滴下して、重量平均分子量14,800のアクリル共重合体を得た。この樹脂は、SP値:9.9、Tg:113℃であった。
【0105】
〈製造例1-2:不飽和二重結合含有アクリル共重合体(F2)の調製〉
イソボロニルメタクリレート171.6質量部、メチルメタクリレート2.6質量部、メチルアクリル酸9.2質量部を混合した。この混合液を、攪拌羽根、窒素導入管、冷却管及び滴下漏斗を備えた1000ml反応容器中の、窒素雰囲気下で110℃に加温したプロピレングリコールモノメチルエーテル330.0質量部に、ターシャルブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート1.8質量部を含むプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液80.0質量部と同時に3時間かけて等速で滴下し、その後、110℃で30分間反応させた。その後、ターシャルブチルペルオキシ‐2‐エチルヘキサノエート0.2質量部をプロピレングリコールモノメチルエーテル17.0質量部に溶解した溶液を滴下した。その後、テトラブチルアンモニウムブロマイド1.4質量部とハイドロキノン0.1質量部と5.0質量部のプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる溶液を全量加え、空気バブリングしながら、4‐ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル 22.4質量部とプロピレングリコールモノメチルエーテル 5.0質量部の溶液を2時間かけて滴下し、その後5時間かけて更に反応させた。GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)により測定した重量平均分子量18,000の不飽和二重結合含有アクリル共重合体を得た。この樹脂は、SP値: 10.1 、Tg:92℃であった。
【0106】
〈スチレン・メタアクリル樹脂(F3)〉
スチレン・メタアクリル樹脂(三菱レイヨン(株)製 BR−50)、重量平均分子量65,000、SP値:9.2、Tg:100℃
【0107】
〈製造例1−3:含フッ素化合物(F4)の調製〉
四つ口フラスコにパーフルオロ−(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビスフルオロメチル−3,6−ジオキサノネノール)104質量部とビス(2,2,3,3,4,45,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイドの8質量%パーフルオロヘキサン溶液11質量部を入れた。そして、その中空部を窒素置換した後、窒素気流下20℃で24時間撹拌して高粘度の固体を得た。得られた固体をジエチルエーテルに溶解させたものをパーフルオロヘキサンに注ぎ、分離後に真空乾燥させて無色透明なポリマーを得た。
【0108】
このポリマーを
19F−NMR(核磁気共鳴スペクトル)、
1H−NMR、IR(赤外線吸収スペクトル)により分析したところ、上記アリルエーテルの構造単位からなる側鎖末端に水酸基を有する含フッ素ポリマーであった。重量平均分子量は118,000あった。
【0109】
得られた水酸基を有する含フッ素アリルエーテルポリマー5質量部とメチルエチルケトン(MEK)43質量部、ピリジン1質量部を四つ口フラスコ中に仕込み、5℃以下に氷冷した。そして、窒素気流下で撹拌しながらα−フルオロアクリル酸フルオライド1質量部をMEK9質量部に溶解したものを10分間かけて滴下した。これにより重合性二重結合をもつ含フッ素化合物(F4)を得た。この樹脂は、SP 値:7.5 、Tg:102℃であった。
【0110】
〈PMMA樹脂(F5)〉
ポリメタクリル酸メチルM−4003(根上工業(株)製、重量平均分子量1.000,000、SP値:9.0、Tg:105℃
【0111】
〔ポリマー(g)〕
〈製造例2−1:プロピオニル変性不飽和ジカルボン酸(無水物)グラフト化ポリオレフィン(G1)の調製〉
高分子ポリオレフィン(プロピレンと1−ブテンとの共重合体:三井化学社製「タフマーXR110T」)を攪拌機および温度計を備えた反応容器に入れ、360℃まで昇温して溶融させ、窒素気流下で100分間加熱することにより、熱減成による低分子ポリオレフィン(g1)を得た。
【0112】
次に、攪拌機、温度計および冷却管を備えた反応容器に、前記低分子ポリオレフィン(g1)160質量部を入れ、窒素気流下で180℃まで昇温して溶融させたのち、無水マレイン酸25質量部と1−ドデセン20質量部を加え、均一に混合した。次いで、あらかじめ調製したキシレン20質量部にジクミルパーオキサイド1質量部を溶解させた溶液を180℃を維持しながら2時間かけて滴下し、滴下後さらに180℃で2時間攪拌し、無水マレイン酸のグラフト化反応を行った。その後、減圧下でキシレンおよび1−ドデセンを留去して、無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィン(gg1)を得た。
【0113】
次に、攪拌機、温度計および冷却管を備えた反応容器に、前記無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィン(gg1)450質量部を入れ、窒素気流下で105℃まで昇温し、該温度を維持するようにしながらトルエン300質量部を攪拌下で徐々に滴下した。次いで、水酸基含有プロピオネー[CH
3CH
2COO(CH
2)
2OCO(CH
2)
5OH]135質量部を添加し、攪拌しながら同温度で3時間反応させたのち、冷却し、水酸基含有プロピオニル変性無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィン(G1)を得た。この樹脂は、重量平均分子量は12,100、SP値:10.9、Tg:80℃であった。
【0114】
〈製造例2−2:シリコーンアクリルブロック共重合体(G2)の調製〉
VPS−1001N(アゾ基含有ポリシロキサン化合物、和光純薬工業社製、ポリシロキサン鎖の分子量10,000、固形分50%)243.9質量部と、シクロヘキシルメタクリレート144.0質量部、スチレン43.7質量部、ヒドロキシルエチルメタクリレート52.3質量部及び酢酸ブチル343.3質量部からなる混合物とを混合した。この混合溶液を、撹拌羽根、窒素導入管、冷却管及び滴下漏斗を備えた1000ml反応容器中の、窒素雰囲気下で120℃に加温した酢酸ブチル270.0質量部に、3 時間かけて等速で滴下し、その後、120℃で30分間混合し、反応させた。ターシャリーブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート0.60質量部を含む酢酸ブチル15.0質量部溶液を、30分間かけて等速滴下してから、さらに120℃で1時間混合して反応させて、数平均分子量34,000、重量平均分子量125,000のシリコーンアクリルブロック共重合体を得た。この樹脂は、SP値:10.8、Tg:69℃であった。
【0115】
〈製造例2−3:シリコーンアクリル重合体(G3)の調製〉
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン40質量部、酢酸ブチル20質量部を反応器に入れ、加熱撹拌しながら還流状態とする。これにアゾビスイソブチロニトリル質量部酢酸ブチル40質量部の溶液が還流状態を保ちつつ2時間かけて滴下し、滴下終了後さらに1時間還流を続けた。得られた樹脂液は不揮発分41%であり、樹脂のTgは90℃であった。SP値:8.5、重量平均分子量110,000
【0116】
〈製造例2−4:(G4)の調製〉
エチルメタクリレート(東京化成工業株式会社製)40質量部、酢酸ブチル20質量部を反応器に入れ、加熱撹拌しながら還流状態とする。これにアゾビスイソブチロニトリル2質量部酢酸ブチル40質量部の溶液が還流状態を保ちつつ2時間かけて滴下し、滴下終了後さらに2時間還流を続けた。得られた樹脂液は不揮発分49%であり、樹脂のTgは65℃であった。SP値:8.9、重量平均分子量750,000。
【0117】
〈製造例2−5:アクリル変性不飽和ジカルボン酸(無水物)グラフト化ポリオレフィン(G5)の調製〉
高分子ポリオレフィン(プロピレンと1−ブテンとの共重合体:三井化学社製「タフマーXR110T」)を攪拌機および温度計を備えた反応容器に入れ、360℃まで昇温して溶融させ、窒素気流下で80分間加熱することにより、熱減成による低分子ポリオレフィン(g2)を得た。
【0118】
次に、攪拌機、温度計および冷却管を備えた反応容器に、前記低分子ポリオレフィン(g2)160部を入れ、窒素気流下で180℃まで昇温して溶融させたのち、無水マレイン酸25部と1−ドデセン20部を加え、均一に混合した。次いで、あらかじめ調製したキシレン20部にジクミルパーオキサイド1部を溶解させた溶液を180℃を維持しながら2時間かけて滴下し、滴下後さらに180℃で2時間攪拌し、無水マレイン酸のグラフト化反応を行なった。その後、減圧下でキシレンおよび1−ドデセンを留去して、無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィン(gg2)を得た。
【0119】
次に、攪拌機、温度計および冷却管を備えた反応容器に、前記無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィン(gg2)450部を入れ、窒素気流下で105℃まで昇温し、該温度を維持するようにしながらトルエン300部を攪拌下で徐々に滴下した。次いで、水酸基含有メタクリレート(ダイセル化学工業社製「プラクセルFM4:CH
2=C(CH
3)COO(CH
2)
2O[CO(CH
2)
5O]
nH」)135部を添加し、攪拌しながら同温度で3時間反応させたのち、冷却し、水酸基含有メタクリレート変性無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィン(G5)の溶液を得た。得られた溶液の固形分濃度は66.1%であった。
【0120】
〔(h)紫外線硬化性組成物〕
日本化薬(株)製「KAYARAD DPHA」
新中村化学(株)製「A‐TMM‐3LM‐N」
ダイセル・サイテック(株)製「EBECRYL8402」
日本化薬(株)製「KAYARAD DPCA−20」
共栄社化学(株)製「ライトアクリレート1.9ND−A」
【0121】
〔(i)光重合開始剤〕
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製「I−184」
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製「I−907」
【0122】
〔透光性有機微粒子(j)〕
架橋アクリル−スチレン共重合樹脂の微粒子〔積水化成品(株)製、SSX1055QXE、粒子径の揃った単分散な微粒子、平均粒子径(a)は5.0μm〕30質量部
【0123】
〔レベリング剤(k)〕
ビックケミー・ジャパン株式会社「BYK−333」
【0124】
【表1】
【0125】
【表2】
【0126】
【表3】
【0127】
【表4】
【0128】
【表5】
【0129】
〔高屈折率層用樹脂組成物〕
高屈折率層用樹脂組成物として、次の原料を使用し、各原料を下記表6に記載した組成にて混合し、高屈折率層用樹脂組成物H1−1〜H1−4を調製した。尚、各材料の配合量は、固形分の質量%を記載している。高屈折率層用樹脂組成物の各原料としては、以下の通りである。
【0130】
〔金属酸化物微粒子〕
シーアイ化成(株)製「ZRMEK25%−F47」(酸化ジルコニウム微粒子分散液)
シーアイ化成(株)製「RTTMIBK15WT%−N24」(酸化チタン微粒子分散液)
【0131】
〔紫外線硬化型樹脂〕
日本合成化学工業(株)製「紫光UV−7600B」
【0132】
〔光重合開始剤〕
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製「I−184」
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製「I−907」
【0133】
【表6】
【0134】
〔低屈折率層用樹脂組成物〕
低屈折率層用樹脂組成物として、次の原料を使用し、各原料を下記表7、8に記載した組成にて、(a)フッ素含有樹脂と、(b)ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はポリエステル変性ポリジメチルシロキサンと、(c)(a)及び(b)と共重合可能な紫外線硬化型樹脂と、(d)中空シリカ微粒子と、(e)光重合開始剤とを混合し、低屈折率層用樹脂組成物L1−1〜L1−15、L2−1〜L2−12を調製した。尚、各材料の配合量は、固形分の質量%を記載している。低屈折率層用樹脂組成物の各原料としては、以下の通りである。
〔(a)フッ素含有樹脂〕
フッ素含有紫外線硬化型樹脂 ダイキン工業(株)製「オプツールDAC−HP」
フッ素含有紫外線硬化型樹脂 DIC(株)製「メガファックRS−75」
フッ素を含有する紫外線硬化型でない樹脂DIC(株)製「メガファックF−558」
〔(b)ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はポリエステル変性ポリジメチルシロキサン〕
アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン ビックケミー・ジャパン(株)製「BYK−UV 3500」
アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン ビックケミー・ジャパン(株)製「BYK−UV 3530」
アクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサン ビックケミー・ジャパン(株)製「BYK−UV 3570」
アクリル基を有さないポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン ビックケミー・ジャパン(株)製「BYK331」
〔(c)(a)及び(b)と共重合可能な紫外線硬化型樹脂〕
日本化薬(株)製「KAYARAD DPHA」
日本合成化学工業(株)製「紫光UV−7600B」
〔(d)中空シリカ微粒子〕
日揮触媒化成(株)製「アクリル修飾中空シリカ微粒子 スルーリアNAU」
〔(e)光重合開始剤〕
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製「I−184」
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製「I−907」
【0135】
【表7】
【0136】
【表8】
【0137】
(実施例1−1)
住友化学(株)製ポリメチルメタクリレートフィルム(PMMA)「S014G、188μm」の一方の面に、防眩性ハードコート用樹脂組成物(AGHC−1)を硬化後の防眩性ハードコート層の膜厚が3.4μmとなるようにロールコーターにて塗布し、23℃で50秒間、次いで、80℃で30秒間乾燥し、防眩性ハードコート層を形成した。
【0138】
次に、この防眩性ハードコート層上に、低屈折率層用樹脂組成物(L1−1)及び溶媒(メチルイソブチルケトン)を1:5の割合で混合した低屈折率層用塗液をバーコーターにて硬化後の膜厚が0.1μmとなるように塗布し、窒素雰囲気下、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させることにより防眩性反射防止フィルム(F1−1)を作製した。
【0139】
得られた防眩性反射防止フィルムについて、指紋拭取り性、耐擦傷性、最小反射率、ヘイズ、内部ヘイズ、外部ヘイズ、Ra、防眩性を下記方法で測定した。その結果を下記表9に示す。
【0140】
(実施例1−2〜1−15)
熱可塑性透明基材フィルム、ハードコート用樹脂組成物、低屈折率層用樹脂組成物を下記表7に記載した材料及び各層の組合せとした以外は、実施例1−1と同様にして、防眩性反射防止フィルム(F1−2〜F1−15)を作製した。得られた防眩性反射防止フィルムについて、指紋拭取り性、耐擦傷性、最小反射率、ヘイズ、内部ヘイズ、外部ヘイズ、Ra、防眩性を下記方法で測定した。その結果を下記表9に示す。なお、熱可塑性透明基材フィルムとして「PC/PMMA」を用いた際は、ポリメチルメタクリレート層(PMMA層)上に各種層を形成した。
【0141】
(実施例1−16〜1−17)
熱可塑性透明基材フィルム、防眩性ハードコート層用樹脂組成物を表9のように変更する以外は、実施例1−1と同様に実施した。
次に、この防眩性ハードコート層上に、低屈折率層用樹脂組成物(L1−1)及び溶媒(メチルイソブチルケトン)を1:5の割合で混合した低屈折率層用塗液をバーコーターにて硬化後の膜厚が0.1μmとなるように塗布し、窒素雰囲気下、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させることにより防眩性反射防止フィルム(F1−16〜1−17)を作製した。得られた防眩性反射防止フィルムについて、指紋拭取り性、耐擦傷性、最小反射率、ヘイズ、内部ヘイズ、外部ヘイズ、Ra、防眩性を下記方法で測定した。その結果を下記表9に示す。なお、熱可塑性透明基材フィルムとして「PC/PMMA」を用いた際は、ポリメチルメタクリレート層(PMMA層)上に各種層を形成した。
【0142】
(実施例1−18)
住友化学(株)製ポリカーボネートフィルム(PC)「C000、188μm」の一方の面に、防眩性ハードコート用樹脂組成物(AGHC−4)を硬化後の防眩性ハードコート層の膜厚が3.4μmとなるようにロールコーターにて塗布し、23℃で50秒間、次いで、80℃で30秒間乾燥した。その後、120W高圧水銀灯〔日本電池(株)製〕により紫外線を照射し(積算光量400mJ/cm
2)、硬化させてインサート成形用防眩性フィルムを作製した。
次に、この防眩性ハードコート層上に、低屈折率層用樹脂組成物(L1−1)及び溶媒(メチルイソブチルケトン)を1:5の割合で混合した低屈折率層用塗液をバーコーターにて硬化後の膜厚が0.1μmとなるように塗布し、窒素雰囲気下、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させることにより防眩性反射防止フィルム(F1−18)を作製した。得られた防眩性反射防止フィルムについて、指紋拭取り性、耐擦傷性、最小反射率、ヘイズ、内部ヘイズ、外部ヘイズ、Ra、防眩性を下記方法で測定した。その結果を下記表9に示す。
【0143】
(実施例1−19〜1−24)
熱可塑性透明基材フィルム、防眩性ハードコート層用樹脂組成物を表9のように変更する以外は、実施例1−18と同様に実施した。
次に、この防眩性ハードコート層上に、低屈折率層用樹脂組成物(L1−1)及び溶媒(メチルイソブチルケトン)を1:5の割合で混合した低屈折率層用塗液をバーコーターにて硬化後の膜厚が0.1μmとなるように塗布し、窒素雰囲気下、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させることにより防眩性反射防止フィルム(F1−19〜1−24)を作製した。得られた防眩性反射防止フィルムについて、指紋拭取り性、耐擦傷性、最小反射率、ヘイズ、内部ヘイズ、外部ヘイズ、Ra、防眩性を下記方法で測定した。その結果を下記表9に示す。なお、熱可塑性透明基材フィルムとして「PC/PMMA」を用いた際は、ポリメチルメタクリレート層(PMMA層)上に各種層を形成した。
【0144】
〈指紋拭取り性〉
人工指脂液(尿素1g、乳酸4.6g、ピロリン酸ナトリウム8g、食塩7g、エタノール20mLを蒸留水で1Lに希釈したもの)1滴を防眩性反射防止フィルム表面(低屈折率層表面)に滴下する。その後、日本製紙クレシア(株)製キムワイプを用い、人工指脂液を馴染ませる。続いて、東レ(株)製トレシーを用いて5往復拭取りを実施した後、表面の跡を目視で観察し下記の3段階で評価した。
○:人工指脂液の跡が無い場合
△:人工指脂液の跡が一部残る場合
×:人工指脂液の跡が残る場合
【0145】
〈耐擦傷性〉
防眩性反射防止フィルム表面を#0000のスチールウールに250gfの荷重をかけて、ストローク幅25mm、速度30mm/secで10往復摩擦したあとの表面を目視で観察し、以下の○、×で評価した。なお、スチールウールは約10mmφにまとめ、表面が均一になるようにカット、摩擦して均したものを使用した。
○:傷が0〜10本
×:傷が11本以上
【0146】
〈最小反射率〉
防眩性反射防止フィルムの裏面反射を防ぐため、裏面をサンドペーパーで粗し、黒色塗料で塗り潰したものを分光光度計[日本分光(株)製、商品名:U−best560]により、光の波長380nm〜780nmの5°、−5°正反射スペクトルを測定した。得られた反射スペクトルより、最小反射率(%)を読み取った。
【0147】
〈ヘイズ値〉
ヘイズメーター〔日本電色工業(株)製、NDH2000〕を使用し、光学特性としてのヘイズ値(%)を測定した。
【0148】
〈内部ヘイズ値、外部ヘイズ値〉
防眩性反射防止フィルムの拡散反射を防ぐため、防眩性反射防止フィルム表面に水滴を滴下し、ガラス板で挟んだものをヘイズメーターを使用し、光学特性としての内部ヘイズ値(%)を測定した。ヘイズ値と内部ヘイズ値の差で外部ヘイズ値を評価した。
【0149】
〈Ra(表面粗さ)〉
表面粗さ測定器〔(株)小坂研究所製、型名SurfcorderSE500〕を用い走査範囲4mm、走査速度0.2mm/sの条件で、JISB0601−1994の規定に準拠して算術平均粗さRa(μm)を測定した。
【0150】
〈防眩性〉
AGAR処理面に蛍光灯距離3m、入射角10°となるように蛍光灯の灯りを映り込ませた場合、10°で正反射した蛍光灯の輪郭がどれほどぼけるかを下記に示す評価基準に従って評価した。蛍光灯はパナソニック(株)製FHF32EXNHを使用した。
○:輪郭が確認できないほどぼけている、×:輪郭はぼけていない。
【0151】
【表9】
【0152】
(実施例2−1)
住友化学(株)製ポリメチルメタクリレートフィルム(PMMA)「S014G、188μm」の一方の面に、防眩性ハードコート用樹脂組成物(AGHC−1)を硬化後の防眩性ハードコート層の膜厚が3.4μmとなるようにロールコーターにて塗布し、23℃で50秒間、次いで、80℃で30秒間乾燥し、防眩性ハードコート層を形成した。
【0153】
次に、この防眩性ハードコート層上に、高屈折率層用樹脂組成物(H−1)及び溶媒(メチルイソブチルケトン)を1:5の割合で混合した高屈折率層用塗液をバーコーターにて硬化後の膜厚が0.1μmとなるように塗布し、窒素雰囲気下、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させることにより高屈折率層を形成した。
【0154】
最後に、この高屈折率層上に、低屈折率層用樹脂組成物(L1−1)及び溶媒(メチルイソブチルケトン)を1:5の割合で混合した低屈折率層用塗液をバーコーターにて硬化後の膜厚が0.1μmとなるように塗布し、窒素雰囲気下、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させることにより防眩性反射防止フィルム(F2−1)を作製した。
【0155】
得られた防眩性反射防止フィルムについて、指紋拭取り性、耐擦傷性、最小反射率、ヘイズ、内部ヘイズ、外部ヘイズ、Ra、防眩性を上記方法で測定した。その結果を下記表9に示す。結果を下記表10に示す。
【0156】
(実施例2−2〜2−17、2−25〜2−26)
熱可塑性透明基材フィルム、ハードコート用樹脂組成物、高屈折率層用樹脂組成物、低屈折率層用樹脂組成物を下記表10に記載した材料及び各層の組合せとした以外は、実施例2−1と同様にして、防眩性反射防止フィルム(F2−2〜F2−17、F2−25〜F2−26)を作製した。得られた防眩性反射防止フィルムについて、指紋拭取り性、耐擦傷性、最小反射率、ヘイズ、内部ヘイズ、外部ヘイズ、Ra、防眩性を上記方法で測定した。その結果を下記表10に示す。なお、熱可塑性透明基材フィルムとして「PC/PMMA」を用いた際は、ポリメチルメタクリレート層(PMMA層)上に各種層を形成した。
【0157】
(実施例2−18)
住友化学(株)製ポリメチルメタクリレートフィルム(PMMA)「S014G、188μm」の一方の面に、防眩性ハードコート用樹脂組成物(AGHC−4)を硬化後の防眩性ハードコート層の膜厚が3.4μmとなるようにロールコーターにて塗布し、23℃で50秒間、次いで、80℃で30秒間乾燥した。その後、120W高圧水銀灯〔日本電池(株)製〕により紫外線を照射し(積算光量400mJ/cm
2)、硬化させてインサート成形用防眩性フィルムを作製した。
次に、この防眩性ハードコート層上に、高屈折率層用樹脂組成物(H−1)及び溶媒(メチルイソブチルケトン)を1:5の割合で混合した高屈折率層用塗液をバーコーターにて硬化後の膜厚が0.1μmとなるように塗布し、窒素雰囲気下、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させることにより高屈折率層を形成した。
【0158】
最後に、この高屈折率層上に、低屈折率層用樹脂組成物(L1−1)及び溶媒(メチルイソブチルケトン)を1:5の割合で混合した低屈折率層用塗液をバーコーターにて硬化後の膜厚が0.1μmとなるように塗布し、窒素雰囲気下、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させることにより防眩性反射防止フィルム(F2−1)を作製した。
【0159】
得られた防眩性反射防止フィルムについて、指紋拭取り性、耐擦傷性、最小反射率、ヘイズ、内部ヘイズ、外部ヘイズ、Ra、防眩性を上記方法で測定した。その結果を下記表10に示す。
【0160】
(実施例2−19〜2−24)
熱可塑性透明基材フィルム、防眩性ハードコート層用樹脂組成物を表10のように変更する以外は、実施例2−18と同様に実施した。
次に、この防眩性ハードコート層上に、低屈折率層用樹脂組成物(L1−1)及び溶媒(メチルイソブチルケトン)を1:5の割合で混合した低屈折率層用塗液をバーコーターにて硬化後の膜厚が0.1μmとなるように塗布し、窒素雰囲気下、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させることにより防眩性反射防止フィルム(F2−19〜2−24)を作製した。得られた防眩性反射防止フィルムについて、指紋拭取り性、耐擦傷性、最小反射率、ヘイズ、内部ヘイズ、外部ヘイズ、Ra、防眩性を上記方法で測定した。なお、熱可塑性透明基材フィルムとして「PC/PMMA」を用いた際は、ポリメチルメタクリレート層(PMMA層)上に各種層を形成した。
【0161】
【表10】
【0162】
(実施例3−1〜3−24)、(実施例4−1〜4−26)
防眩性反射防止フィルムの成形品への融着:実施例1−1〜1−24、実施例2−1〜2−26で得られた防眩性反射防止フィルムを熱可塑性透明基材フィルムが溶融したポリカーボネート樹脂に接するように、射出成形金型内のキャビティに保持し、360℃程度の温度で溶融させたポリカーボネート樹脂を、29400kPaの圧力にて金型内に注入し、放冷して、平板部分と、その両端に半径R=0.5mmとなる曲面形状部分とを有する樹脂成形品を得た。すなわち、成形と同時に融着するインサート成形融着法にて防眩性反射防止フィルムの融着を行うことで、表面に防眩性反射防止フィルムを備える樹脂成形品を得た。
【0163】
得られた樹脂成形品について、平板部分にて、指紋拭取り性、耐擦傷性、最小反射率、ヘイズ、内部ヘイズ、外部ヘイズ、Ra、防眩性を上記方法で測定した。また、曲率半径R=0.5mmとなる曲面形状におけるクラックの有無を下記方法で評価した。その結果を下記表11、表12に示す。なお、熱可塑性透明基材フィルムとして「PC/PMMA」を用いた際は、ポリメチルメタクリレート層(PMMA層)上に各種層を形成した。
【0164】
〈成形物の曲面形状におけるクラックの有無〉
成形物の曲面部分を目視にて確認し、クラック等の亀裂の有無を確認した。
○:クラック等の亀裂なし、×:クラック等の亀裂なし。
【0165】
【表11】
【0166】
【表12】
【0167】
(比較例1−1〜比較例1−19)
熱可塑性透明基材フィルム、ハードコート用樹脂組成物、低屈折率層用樹脂組成物を下記表13に記載した材料及び各層の組合せとした以外は、実施例1−1と同様にして、防眩性反射防止フィルム(F3−1〜F3−19)を作製した。得られた防眩性反射防止フィルムについて、指紋拭取り性、耐擦傷性、最小反射率、ヘイズ、内部ヘイズ、外部ヘイズ、Ra、防眩性を上記方法で測定した。その結果を下記表13に示す。なお、熱可塑性透明基材フィルムとして「PC/PMMA」を用いた際は、ポリメチルメタクリレート層(PMMA層)上に各種層を形成した。
【0168】
(比較例1−20〜比較例1−24)
熱可塑性透明基材フィルム、ハードコート用樹脂組成物、低屈折率層用樹脂組成物を下記表13に記載した材料及び各層の組合せとした以外は、実施例1−18と同様にして、防眩性反射防止フィルム(F3−20〜F3−24)を作製した。得られた防眩性反射防止フィルムについて、指紋拭取り性、耐擦傷性、最小反射率、ヘイズ、内部ヘイズ、外部ヘイズ、Ra、防眩性を上記方法で測定した。その結果を下記表13に示す。なお、熱可塑性透明基材フィルムとして「PC/PMMA」を用いた際は、ポリメチルメタクリレート層(PMMA層)上に各種層を形成した。
【0169】
(比較例1−25)
住友化学(株)製ポリメチルメタクリレートフィルム「S014G、188μm」の一面に、ハードコート用樹脂組成物(AGHC−23)及び溶媒(メチルイソブチルケトン)を1:1の割合で混合した防眩性ハードコート層用塗液をバーコーターにて硬化後の膜厚が10μmとなるように塗布し、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させることにより防眩性ハードコート層を形成した。
【0170】
次に、この防眩性ハードコート層上に、低屈折率層用樹脂組成物(L1−1)及び溶媒(メチルイソブチルケトン)を1:5の割合で混合した低屈折率層用塗液をバーコーターにて硬化後の膜厚が0.1μmとなるように塗布し、窒素雰囲気下、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させることにより防眩性反射防止フィルム(F3−25)を作製した。
【0171】
得られた防眩性反射防止フィルムについて、指紋拭取り性、耐擦傷性、最小反射率、ヘイズ、内部ヘイズ、外部ヘイズ、Ra、防眩性を上記方法で測定した。その結果を下記表13に示す。
【0172】
【表13】
【0173】
(比較例2−1〜2−12)、(比較例2−26)
熱可塑性透明基材フィルム、ハードコート用樹脂組成物、高屈折率層用樹脂組成物、低屈折率層用樹脂組成物を下記表14に記載した材料及び各層の組合せとした以外は、実施例2−1と同様にして、防眩性反射防止フィルム(F4−1〜F4−12)を作製した。得られた防眩性反射防止フィルムについて、指紋拭取り性、耐擦傷性、最小反射率、ヘイズ、内部ヘイズ、外部ヘイズ、Ra、防眩性を上記方法で測定した。その結果を下記表14に示す。なお、熱可塑性透明基材フィルムとして「PC/PMMA」を用いた際は、ポリメチルメタクリレート層(PMMA層)上に各種層を形成した。
【0174】
(比較例2−13〜2−19)
熱可塑性透明基材フィルム、ハードコート用樹脂組成物、高屈折率層用樹脂組成物、低屈折率層用樹脂組成物を下記表14に記載した材料及び各層の組合せとした以外は、実施例2−1と同様にして、防眩性反射防止フィルム(F4−13〜F4−19)を作製した。得られた防眩性反射防止フィルムについて、指紋拭取り性、耐擦傷性、最小反射率、ヘイズ、内部ヘイズ、外部ヘイズ、Ra、防眩性を上記方法で測定した。その結果を下記表14に示す。なお、熱可塑性透明基材フィルムとして「PC/PMMA」を用いた際は、ポリメチルメタクリレート層(PMMA層)上に各種層を形成した。
【0175】
(比較例2−20〜2−24)
熱可塑性透明基材フィルム、防眩性ハードコート層用樹脂組成物を表14のように変更する以外は、実施例2−18と同様に実施した。
次に、この防眩性ハードコート層上に、低屈折率層用樹脂組成物(L1−1)及び溶媒(メチルイソブチルケトン)を1:5の割合で混合した低屈折率層用塗液をバーコーターにて硬化後の膜厚が0.1μmとなるように塗布し、窒素雰囲気下、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させることにより防眩性反射防止フィルム(F4−20〜4−24)を作製した。得られた防眩性反射防止フィルムについて、指紋拭取り性、耐擦傷性、最小反射率、ヘイズ、内部ヘイズ、外部ヘイズ、Ra、防眩性を上記方法で測定した。その結果を下記表14に示す。なお、熱可塑性透明基材フィルムとして「PC/PMMA」を用いた際は、ポリメチルメタクリレート層(PMMA層)上に各種層を形成した。
【0176】
(比較例2−25)
住友化学(株)製ポリメチルメタクリレートフィルム「S014G、188μm」の一面に、ハードコート用樹脂組成物(AGHC−23)及び溶媒(メチルイソブチルケトン)を1:1の割合で混合した防眩性ハードコート層用塗液をバーコーターにて硬化後の膜厚が10μmとなるように塗布し、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させることにより防眩性ハードコート層を形成した。
【0177】
次に、この防眩性ハードコート層上に、高屈折率層用樹脂組成物(H−1)及び溶媒(メチルイソブチルケトン)を1:5の割合で混合した高屈折率層用塗液をバーコーターにて硬化後の膜厚が0.1μmとなるように塗布し、窒素雰囲気下、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させることにより高屈折率層を形成した。
【0178】
最後に、この高屈折率層上に、低屈折率層用樹脂組成物(L1−1)及び溶媒(メチルイソブチルケトン)を1:5の割合で混合した低屈折率層用塗液をバーコーターにて硬化後の膜厚が0.1μmとなるように塗布し、窒素雰囲気下、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させることにより防眩性反射防止フィルム(F4−25)を作製した。
【0179】
得られた防眩性反射防止フィルムについて、指紋拭取り性、耐擦傷性、最小反射率、ヘイズ、内部ヘイズ、外部ヘイズ、Ra、防眩性を上記方法で測定した。結果を下記表14に示す。
【0180】
【表14】
【0181】
(比較例3−1〜3−25)、(比較例4−1〜4−26)
防眩性反射防止フィルムの成形物への融着:防眩性反射防止フィルムを熱可塑性透明基材フィルムが溶融したポリカーボネート樹脂に接するように(曲率半径R=0.5mmとなる曲面形状を有する)射出成形金型内のキャビティに保持し、360℃程度の温度で溶融させたポリカーボネート樹脂を、29400kPaの圧力にて(曲率半径R=0.5mmとなる曲面形状を有する)金型内に注入し、放冷した。すなわち、成形と同時に融着するインサート成形融着法にて防眩性反射防止フィルムの融着を行うことで、成形物上に防眩性反射防止フィルムが一体化された。
【0182】
得られた防眩性反射防止フィルムの融着成形物について、指紋拭取り性、耐擦傷性、最小反射率、ヘイズ、内部ヘイズ、外部ヘイズ、Ra、防眩性、曲率半径R=0.5mmとなる曲面形状におけるクラックの有無を実施例3−1等と同様の方法で測定した。結果を下記表15、表16に示す。
【0183】
【表15】
【0184】
【表16】
【0185】
表9に示される実施例1−1〜1−24の結果から、良好な防眩性を有し、且つ、指紋拭き取り性に優れていることが明らかとなった。
その上で、表9に示される実施例1−16〜1−24の結果から、SP値の異なる2種のポリマーを含む樹脂組成物により防眩性ハードコート層を形成することにより、防眩性反射防止フィルムに防眩性を付与することができることが明らかとなった。
また、表9に示される実施例1−1〜1−15の結果から、(a)フッ素含有樹脂、(b)ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、(c)(a)及び(b)と共重合可能な紫外線硬化型樹脂、(d)中空シリカ微粒子及び(e)光重合開始剤からなる低屈折率層用樹脂組成物を硬化させた低屈折率層を最表層に備えることにより、防眩性反射防止フィルムに指紋拭取り性を付与することができることが明らかとなった。
【0186】
ここで、表15に示した結果より、比較例1−13、1−14ではポリマー(g)のSP値がポリマー(f)より小さいことからインサート成形性が悪い。表13に示した結果より、比較例1−15、1−16、比較例2−15、2−16では、ポリマー(f)のSP値が8未満であるため、低屈折率層、及び高屈折率層とのが悪いく、耐擦傷性が悪い結果となっている。比較例1−20、比較例2−20はポリマー(g)のSP値がポリマー(f)より小さく、かつ、SP値の差が0.5未満であるため防眩性が発現しない。比較例1−21、比較例2−21では、ポリマー(f)とポリマー(g)のSP値の差が0.5未満であることから、防眩性が発現しない。比較例1−22、比較例2−22では、ポリマー(f)のTgが金型の温度未満であるため、インサート成形品における防眩性がフィルムの状態に対して大きく低下した。比較例1−23、比較例2−23は、ポリマー(f)とポリマー(g)との合計100質量部中のポリマー(f)の含有量が1質量部未満であることから、防眩性が発現しない。比較例1−24、比較例2−24は、ポリマー(f)とポリマー(g)との合計100質量部中のポリマー(f)の含有量が30質量部を超過したため、防眩性が強すぎる。比較例1−17〜1−19、比較例2−17〜2−19では、ポリマー(g)成分がないため、インサート成形性が悪い。比較例1−25では、防眩性付与のため透光性有機微粒子を用いており、ポリマー(f)との屈折率差による散乱が生じるため、内部へイズが大きく上昇した。
【0187】
表13に示される比較例1−11の結果と対比すると、(a)フッ素含有樹脂が紫外線硬化型でない場合は耐擦傷性が得られず、(a)フッ素含有樹脂は、フッ素含有紫外線硬化型樹脂とすることが明らかとなった。また、比較例1−3の結果から、指紋拭取り性を発現させるためには、(a)フッ素含有紫外線硬化型樹脂だけでなく、(b)ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はポリエステル変性ポリジメチルシロキサンも欠くことができず、更に比較例1−12の結果も参照すると、(b)ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はポリエステル変性ポリジメチルシロキサンがアクリル基を有する場合に指紋拭取り性を得られることが明らかとなった。そして、比較例1−1〜1−6、1−10との対比から、低屈折率層用樹脂組成物中の各成分の濃度は、(a)フッ素含有紫外線硬化型樹脂5.0〜15.0質量%、(b)アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサン2.0〜8.0質量%、(c)(a)及び(b)と共重合可能な紫外線硬化型樹脂9.0〜70.0質量%、(d)中空シリカ微粒子22.0〜83.0質量%、(e)光重合開始剤1.0〜10.0質量%(但し、(a)(b)(c)(d)(e)の合計は100質量%)とすることが明らかとなった。その上で、比較例1−7〜1−9の結果を参照すると、この濃度範囲において、(a)の濃度が(b)の濃度よりも大きい場合に指紋拭取り性が得られることが明らかとなった。低屈折率層と防眩性ハードコート層との間に高屈折率層を形成した実施例2−1〜2−15、2−25〜2−26(表10)と比較例2−1〜2−12、2−27(表14)との対比からも、同様のことが明らかである。
【0188】
また、表10に示される実施例2−1〜2−26と表14に示される比較例2−1〜2−26の結果において、最小反射率に着目すると、高屈折率層を形成する高屈折率層用樹脂組成物の硬化後の組成物屈折率が1.52であるH1−4(表6)を用いた実施例2−16では、高屈折率層を形成しない実施例1−1と比較して最小反射率が低減していない。これに対して、高屈折率層用樹脂組成物の硬化後の組成物屈折率が1.6〜2.1であるH1−1,2,3を用いた実施例2−1〜26では高屈折率層を形成したことにより、最小反射率の大幅な低減が認められた。これにより、防眩性ハードコート層と低屈折率層との間に、低屈折率層の屈折率より高い1.6〜2.1の屈折率を有する高屈折率層を備えることでより反射率がより小さい防眩性反射防止フィルムとすることができることが明らかとなった。
【0189】
表9に示される実施例1−1〜1−24と表11に示される実施例3−1〜3−24と、及び表10に示される実施例2−1〜2−26と表12に示される実施例4−1〜4−26とを対比すると、最表層に上記組成の低屈折率層用組成物を硬化させて低屈折率層を形成した防眩性反射防止フィルムを用いてインサート成形し、成形物の表面に防眩性反射防止フィルムを一体化させた場合、防眩性反射防止フィルムが単体で有する各特性がそのまま成形物の表面でも発揮されることが確認された。