【実施例】
【0018】
(実施例1)
(負極活物質の作製)
SiO(一般式SiO
xのx=1に対応)の組成を有する酸化ケイ素を炭化水素系のガスを含むアルゴン雰囲気下で加熱し、炭化水素系のガスを熱分解させる化学蒸着(CVD)法によりSiOの表面を炭素で被覆した。炭素の被覆量はSiOの質量に対して10質量%とした。次に、炭素で被覆されたSiO粒子をアルゴン雰囲気下、かつ1000℃で不均化反応させることによりSiO粒子中に微細なSi相とSiO
2相を形成した。得られた粒子を所定の粒度に分級してケイ素材料としてのSiOを得た。このSiOと黒鉛を、SiOの質量と黒鉛の合計質量に対してSiOの質量が4質量%となるように混合して負極活物質を作製した。
【0019】
(負極板の作製)
負極活物質が97質量部、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)が1.5質量部、結着剤としてのスチレンブタジエンゴム(SBR)が1.5質量部となるように混合した。この混合物を分散媒としての水に投入し、混練して負極合剤スラリーを調製した。この負極合剤スラリーを、厚み8μmの銅製の負極集電体の両面にドクターブレード法により塗布し、乾燥して負極合剤層23を形成した。その際、完成した負極板21の両端に対応する位置にその両面に負極合剤層23が形成されていない第1負極集電体露出部24aと第2負極集電体露出部24bを設けた。そして、この負極合剤層23をローラーにより圧縮し、その圧縮された極板を所定サイズに切断した。最後に、第1負極集電体露出部24aにニッケル製の負極タブ22aを接続して
図2に示す負極板21を作製した。
【0020】
(正極活物質の作製)
式Ni
0.82Co
0.15Al
0.03O
2で表されるニッケル複合酸化物の金属元素の総モル数に対してリチウム元素のモル数が1.025の割合になるように水酸化リチウムを混合した。この混合物を酸素雰囲気下で、750℃で18時間焼成して、LiNi
0.82Co
0.15Al
0.03O
2で表されるリチウムニッケル複合酸化物を作製した。
【0021】
(正極板の作製)
正極活物質としてのLiNi
0.82Co
0.15Al
0.03O
2が100質量部、導電剤としてのアセチレンブラックが1質量部、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)が0.9質量部となるように混合した。この混合物を分散媒としてのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に投入し、混練して正極合剤スラリーを調製した。この正極合剤スラリーをドクターブレード法により厚み15μmのアルミニウム製の正極集電体の両面に塗布し、乾燥して正極合剤層33を形成した。その際、完成した正極板31の中央部に対応する位置にその両面に正極合剤層33が形成されていない正極集電体露出部34を設けた。この正極合剤層33をローラーにより圧縮し、その圧縮された極板を所定のサイズに切断した。最後に、正極集電体露出部34にアルミニウム製の正極タブ32を接続して
図3に示す正極板31を作製した。
【0022】
(電極体の作製)
上記のようにして作製した負極板21と正極板31をポリエチレン製の微多孔膜からなるセパレータ11を介して巻回して電極体14を作製した。このとき第1負極集電体露出部24aを電極体14の巻始め側に配置し、第2負極集電体露出部24bを電極体14の最外周の全てを占めるように配置した。負極板21の巻終り端部には厚みが30μmのポリプロピレン製の巻留テープ15を
図4のように貼り付けた。
【0023】
(非水電解質の調製)
エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、及びジメチルカーボネート(DMC)を25:5:70の体積比(1気圧、25℃)で混合して非水溶媒を調製した。この非水溶媒に電解質塩としてのヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF
6)を1.4mol/Lの濃度で溶解して非水電解質を調製した。
【0024】
(非水電解質二次電池の作製)
電極体14の上下にそれぞれ上部絶縁板12と下部絶縁板13を配置した。次いで、負極タブ22aを電極体14の中心方向へ折り曲げて電極体14を外装缶18へ収納し、負極タブ22aを外装缶18の底部に一対の電極を用いて抵抗溶接により溶接した。正極タブ32は封口体17の端子板に接続した。非水電解質を外装缶18の内部へ注液した後、ガスケット16を介して封口体17を外装缶18の開口部にかしめ固定して、直径18mm、高さ65mmの
図1に示す非水電解質二次電池10を作製した。
【0025】
(実施例2〜7)
負極活物質中のSiOの含有量を表1に記載された値に変更したこと以外は実施例1と同様にして実施例2〜7に係る非水電解質二次電池10を作製した。
【0026】
(実施例8)
炭素で被覆されたSiOに代えてケイ素(Si)を用いたこと以外は実施例2と同様にして実施例8に係る非水電解質二次電池10を作製した。
【0027】
(実施例9〜14)
負極活物質中のSiの含有量を表1に記載された値に変更したこと以外は実施例8と同様にして実施例9〜14に係る非水電解質二次電池10を作製した。
【0028】
(実施例15)
(ケイ素−黒鉛複合体の作製)
窒素ガス雰囲気中で、単結晶のSi粒子をビーズミルとともに溶媒のメチルナフタレンへ投入し、平均粒径(メジアン径D50)が0.2μmになるようにSi粒子を湿式粉砕してケイ素含有スラリーを作製した。そのケイ素含有スラリーに黒鉛粒子と炭素ピッチを加えて混合し、炭素ピッチを炭化させた。その生成物を所定範囲の粒度になるように分級し、炭素ピッチを加えた。さらにその炭素ピッチを炭化させて、Si粒子及び黒鉛粒子が非晶質炭素で結着したケイ素−黒鉛複合体を得た。この複合体中のケイ素の含有量は20.9質量%であった。
【0029】
炭素で被覆されたSiOに代えて、上記のようにして作製したケイ素−黒鉛複合体を用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例15に係る非水電解質二次電池10を作製した。
【0030】
(実施例16)
(ケイ素−ケイ酸リチウム複合体の作製)
不活性雰囲気中で、Si粒子とケイ酸リチウム(Li
2SiO
3)粒子を、42:58の質量比で混合し、その混合物を遊星ボールミルでミリング処理を行った。そして不活性ガス雰囲気中でミリング処理した粒子を取り出し、600℃で4時間の熱処理を不活性ガス雰囲気中で行った。熱処理した粒子(以下、母粒子という)を粉砕し、石炭ピッチと混合して800℃で5時間の熱処理を不活性雰囲気中で行って母粒子の表面に炭素の導電層を形成した。導電層に含まれる炭素量は、母粒子及び導電層の合計質量に対して5質量%とした。最後に、母粒子を分級して平均粒径が5μmのケイ素−ケイ酸リチウム複合体を作製した。
【0031】
(ケイ素−ケイ酸リチウム複合体の分析)
ケイ素−ケイ酸リチウム複合体の断面を走査電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、複合体中に含まれるSi粒子の平均粒径は100nm未満であった。また、Li
2SiO
3からなるマトリックス中にSi粒子が均一に分散していることが確認された。ケイ素−ケイ酸リチウム複合体のXRDパターンには、SiとLi
2SiO
3に帰属される回折ピークが確認された。X線回折(XRD)パターンの2θ=27°付近に現れるLi
2SiO
3の面指数(111)の半値幅は0.233であった。なお、XRDパターンにSiO
2に帰属される回折ピークは確認されず、Si−NMRで測定したSiO
2の含有量は検出下限値未満であった。
【0032】
炭素で被覆されたSiOに代えて、上記のようにして作製したケイ素−ケイ酸リチウム複合体を用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例16に係る非水電解質二次電池10を作製した。
【0033】
(比較例1)
負極活物質として黒鉛のみを用いたこと以外は実施例1と同様にして比較例1に係る非水電解質二次電池を作製した。
【0034】
(比較例2)
第2負極集電体露出部24bに負極タブ22bを接続した負極板51を用いて最外周がセパレータ11で覆われた電極体64を作製し、2本の負極タブ22a、22bを外装缶18の底部に溶接したこと以外は実施例1と同様にして比較例2に係る非水電解質二次電池を作製した。
【0035】
(比較例3)
第2負極集電体露出部24bに負極タブ22bを接続した負極板51を用いて最外周がセパレータ11で覆われた電極体64を作製し、2本の負極タブ22a、22bを外装缶18の底部に溶接したこと以外は実施例11と同様にして比較例3に係る非水電解質二次電池を作製した。
【0036】
(放電負荷特性の評価)
実施例1〜16及び比較例1〜3の各電池について、次に述べる条件により放電負荷特性を評価した。まず、各電池を4.2Vになるまで0.5Itの定電流で充電し、電流値が0.02Itになるまで4.2Vの定電圧で充電した。20分の休止後、各電池を電池電圧が2.5Vになるまで0.2Itの定電流で放電して、0.2It放電容量を測定した。次いで、上記の充電方法と同じ条件で各電池を充電した後、各電池を電池電圧が2.5Vになるまで1Itの定電流で放電して、1It放電容量を測定した。0.2It放電容量に対する1It放電容量の百分率を放電負荷特性として算出した。その結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
表1から、実施例1の放電負荷特性は99.4%と比較例1に比べて向上していることがわかる。実施例1の放電負荷特性は負極板の第1及び第2負極集電体露出部のそれぞれに負極タブが接続されている比較例2と同等である。この結果は、実施例1における第2負極集電体露出部と外装缶との接触による通電機能が、負極タブと外装缶の接続による通電機能と同等の効果を発揮していることを示している。
【0039】
実施例1にみられた上記の効果は負極活物質として充電時の膨張量が大きいSiOを用いたことによって発揮されているものと考えられる。しかし、放電負荷特性が向上していることは負極活物質が収縮する放電末期においても負極集電体と外装缶との接触が十分に確保されていることを示している。上記の効果は充電時の負極活物質の膨張量が大きいことから予測される範囲を超えている。
【0040】
SiOの含有量について、実施例2と比較例1を比較するとSiOは含有量が1質量%の場合でも放電負荷特性が向上していることがわかる。SiOはその含有量が微量であっても放電負荷特性を向上するように作用することが期待される。そのため、SiOの含有量は下限値を限定する必要はない。しかし、SiOの含有量が3質量%以上であれば負極板に2本の負極タブを接続した比較例2と同等の放電負荷特性が得られていることから、SiOの含有量は3質量%以上であることが好ましい。
【0041】
実施例8〜14と比較例3の結果から、ケイ素材料としてSiOに代えてSiを用いた場合でも上記と同様の効果が発揮されていることがわかる。つまり、Siを含むケイ素材料であって、リチウムイオンを可逆的に吸蔵、放出することができるものであれば、本発明の効果が発揮されることが期待される。
【0042】
実施例15及び16の結果から、ケイ素材料としてSiOに代えてケイ素−黒鉛複合体やケイ素−ケイ酸リチウム複合体を用いた場合にも本発明の効果が得られることがわかる。
【0043】
以上の実施例及び比較例の結果も踏まえつつ、以下に本発明を実施するための形態についてさらに説明する。
【0044】
上記の実施例では、第1及び第2負極集電体露出部ともに負極板の両面に設けた。このように負極集電体露出部を負極板の両面に設ける場合、負極集電体露出部の負極板の長手方向の長さを表裏で異なるようにすることもできる。例えば、第1負極集電体露出部のうち内側の長さを長くすることで、充放電に寄与しない負極合剤層を削減することができる。一方、第2負極集電体露出部には負極タブが接続されないため、外装缶の内壁面と対向する外側にのみ第2負極集電体露出部を設けてもよい。
【0045】
第1負極集電体露出部の負極板の長手方向の長さは、負極タブを接続するための領域が確保でき、電池容量が過度に低下しない範囲で決定することができる。その第1負極集電体露出部の長さは3mm以上30mm以下の範囲で決定することが好ましい。
【0046】
第2負極集電体露出部の負極板の長手方向の長さは、外装缶の内壁面との接触を十分に確保することができる範囲で決定することができる。その第2負極集電体露出部の長さは負極板の最外周部分の外側の表面積の30%以上を占める範囲で決定することが好ましい。
【0047】
負極活物質として、ケイ素材料及び黒鉛が用いられる。負極活物質はいずれも粒子状であることが好ましく、それらの平均粒子径は5μm以上30μm以下であることが好ましい。
【0048】
ケイ素材料は黒鉛に比べて電子伝導性が低いため、実施例で示したようにケイ素材料の表面を炭素で被覆することが好ましい。炭素の被覆量はケイ素材料に対して0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。ただし、ケイ素材料の表面に炭素を被覆することは必ずしも必須ではなく、炭素を被覆しない場合であっても本発明の効果は十分に発揮される。ケイ素材料の表面を被覆する炭素の質量はケイ素材料の質量には含まれない。
【0049】
負極活物質中のケイ素材料の含有量は特に制限されないがケイ素材料と黒鉛の合計質量に対して3質量%以上であることが好ましい。ケイ素材料の含有量が3質量%以上であれば非水電解質二次電池の負荷特性を向上させることができるが、サイクル特性など他の電池特性のバランスを考慮すると、ケイ素材料の含有量はケイ素材料と黒鉛の合計質量に対して20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
【0050】
ケイ素材料として、酸化ケイ素を用いることができる。サイクル特性など他の電池特性とのバランスを考慮すると、一般式SiO
x(0.5≦x<1.6)で表される酸化ケイ素を用いることが好ましい。
【0051】
ケイ素材料として、ケイ素を単独で又は他の材料との複合体として用いることもできる。ケイ素には単結晶ケイ素、多結晶ケイ素、及び非晶質ケイ素のいずれも用いることができるが、結晶子の大きさが60nm以下の多結晶ケイ素及び非晶質ケイ素が好ましい。このようなケイ素を用いることで、充放電時の粒子の割れなどが抑制され、サイクル特性が向上する。ケイ素の平均粒径(メジアン径D50)は0.1μm以上10μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以上5μm以下である。このような平均粒径を有するケイ素を得るための手段として、ジェットミルやボールミルを用いた乾式粉砕法やビーズミルやボールミルを用いた湿式粉砕法が挙げられる。ケイ素はニッケル、銅、コバルト、クロム、鉄、銀、チタン、モリブデン、及びタングステンからなる群から選ばれる少なくとも1つの金属元素と合金化することもできる。
【0052】
ケイ素と複合体を形成する材料として、ケイ素の充放電に伴う大きな体積変化を緩和する作用を有する材料を用いることが好ましい。そのような材料として、黒鉛及びケイ酸リチウムが例示される。
【0053】
ケイ素−黒鉛複合体は、実験例8で示したようにケイ素粒子と黒鉛粒子が互いに非晶質炭素で結着されていることが好ましい。黒鉛として、人造黒鉛及び天然黒鉛のいずれも用いることができる。ケイ素粒子と黒鉛粒子を結着する非晶質炭素の前駆体として、ピッチ系材料、タール系材料、及び、樹脂系材料を用いることができる。樹脂系材料として、ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、及びフェノール系樹脂が例示される。これらの非晶質炭素前駆体は、700〜1300℃の熱処理を不活性ガス雰囲気中で行うことで非晶質炭素に変化させることができる。このように非晶質炭素がケイ素粒子と黒鉛粒子を結着する場合は、非晶質炭素はケイ素−黒鉛複合体の構成要素に含まれる。ケイ素−黒鉛複合体中のケイ素含有量は10質量%以上60質量%以下であることが好ましい。
【0054】
ケイ素−ケイ酸リチウム複合体は、実験例16で示したようにケイ酸リチウム相中にケイ素粒子が分散した構造を有することが好ましい。ケイ素−ケイ酸リチウム複合体中のケイ素含有量は40質量%以上60質量%以下であることが好ましい。
【0055】
SiO
xは微視的にはSiO
2相中にSi粒子が分散した構造を有している。このSiO
2がSiの充放電時の膨張、収縮を緩和するように作用していると考えられる。しかし、SiO
xを負極活物質に用いた場合、充電時にSiO
2が式(1)のようにリチウム(Li)と反応する。
2SiO
2+8Li
++8e
ー → Li
4Si+Li
4SiO
4 ・・・ (1)
【0056】
SiO
2とLiの反応によって生成したLi
4SiO
4は可逆的にリチウムを挿入、脱離することができない。そのため、SiO
xを負極活物質として含む負極には、初回充電時にLi
4SiO
4の生成に伴う不可逆容量が蓄積される。一方、ケイ酸リチウムはSiO
xのような不可逆容量を蓄積する化学反応が起きないため、負極の初回充放電効率を低下させることなくSiの充放電時の体積変化を緩和することができる。
【0057】
ケイ酸リチウムとして、実験例14で示したLi
2SiO
3に限定されず、一般式Li
2zSiO
(2+z)(0<z<2)で表されるケイ酸リチウムを用いることができる。また、XRDパターンにおけるケイ酸リチウムの(111)面の回折ピークの半値幅が0.05°以上であることが好ましい。これにより、ケイ素−ケイ酸リチウム複合体粒子内のリチウムイオン伝導性やSiの体積変化の緩和効果がさらに向上する。
【0058】
黒鉛としては、人造黒鉛及び天然黒鉛のいずれも用いることができる。これらは単独で又は組み合わせて用いることができる。
【0059】
正極活物質としては、リチウムイオンを可逆的に吸蔵、放出することができる材料であれば適宜選択して使用することができる。例えば、LiMO
2(MはCo、Ni、及びMnの少なくとも1種)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物、LiMn
2O
4、及び、LiFePO
4などを用いることができる。これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの正極活物質はジルコニウム、マグネシウム、アルミニウム、及びチタンの少なくとも1種を添加又は遷移金属元素と置換して用いること
ができる。
【0060】
セパレータとしては、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などのポリオレフィンを主成分とする微多孔膜を用いることができる。微多孔膜は1層単独で又は2層以上を積層して用いることができる。2層以上の積層セパレータにおいては、融点が低いポリエチレン(PE)を主成分とする層を中間層に、対酸化性に優れたポリプロピレン(PP)を表面層とすることが好ましい。さらに、セパレータには酸化アルミニウム(Al
2O
3)、酸化チタン(TiO
2)及び酸化ケイ素(SiO
2)のような無機粒子を添加することができる。このような無機粒子はセパレータ中に担持させることができ、セパレータ表面に結着剤とともに塗布することもできる。セパレータの表面にアラミド系の樹脂を塗布することもできる。
【0061】
本発明においては、第2負極集電体露出部が外装缶の内壁面に接触するため、電極体の最外周には負極板が配置される。電極体の最外周の全てを負極板が占有していることが好ましいが、本発明はそのような構成に限定されない。例えば、負極板の巻終り端部には第2負極集電体露出部と外装缶の内壁面の接触を妨げない範囲で巻留テープを貼り付けることができる。巻留テープを貼り付ける範囲は、第2負極集電体露出部と外装缶の内壁面が直接対向する面積が負極板の最外周部の外側の面積の30%未満とならない範囲で決定することが好ましい。巻留テープの厚みは第2負極集電体露出部と外装缶の内壁面との接触が阻害されない範囲のものを用いることができる。巻留テープの厚みは50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましい。
【0062】
非水電解質としては、非水溶媒中に電解質塩としてのリチウム塩を溶解させたものを用いることができる。非水溶媒に代えて、又は非水溶媒とともにゲル状のポリマーを用いた非水電解質を用いることもできる。
【0063】
非水溶媒としては、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、環状カルボン酸エステル及び鎖状カルボン酸エステルを用いることができ、これらは2種以上を混合して用いることが好ましい。環状炭酸エステルとしては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)及びブチレンカーボネート(BC)が例示される。また、フルオロエチレンカーボネート(FEC)のように、水素の一部をフッ素で置換した環状炭酸エステルを用いることもできる。鎖状炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)及びメチルプロピルカーボネート(MPC)などが例示される。環状カルボン酸エステルとしてはγ−ブチロラクトン(γ−BL)及びγ−バレロラクトン(γ−VL)が例示され、鎖状カルボン酸エステルとしてはピバリン酸メチル、ピバリン酸エチル、メチルイソブチレート及びメチルプロピオネートが例示される。
【0064】
リチウム塩としては、LiPF
6、LiBF
4、LiCF
3SO
3、LiN(CF
3SO
2)
2、LiN(C
2F
5SO
2)
2、LiN(CF
3SO
2)(C
4F
9SO
2)、LiC(CF
3SO
2)
3、LiC(C
2F
5SO
2)
3、LiAsF
6、LiClO
4、Li
2B
10Cl
10及びLi
2B
12Cl
12が例示される。これらの中でもLiPF
6が特に好ましく、非水電解質中の濃度は0.5〜2.0mol/Lであることが好ましい。LiPF
6にLiBF
4など他のリチウム塩を混合することもできる。