(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
AM放送の放送周波数と、当該AM放送とサイマル放送の関係にあるFM補完放送の放送周波数とは1対1には対応しておらず、一つのAM放送の放送エリアが、放送周波数が異なる複数のFM補完放送の放送エリアに分割されている場合や、AM放送の放送エリアのうちの一部のエリアのみにFM補完放送の放送エリアが設定されている場合や、AM放送にサイマル放送の関係にあるFM補完放送自体が存在しない場合等がある。
【0007】
そして、このために、現在位置において利用できる、いかなるFM補完放送が存在するかどうかや、当該利用できるFM補完放送の放送周波数などは、ユーザにとって分かりづらいものであった。
【0008】
一方、上述したAM放送に加え、FM補完放送の放送周波数帯域内の放送周波数のFM放送を受信可能なラジオ受信装置によれば、ユーザが自分自身で所望のFM補完放送の放送周波数を探し出した上で当該FM補完放送を利用する必要があるため、比較的長距離を移動しながらラジオ受信装置を用いる場合等には、ユーザがFM補完放送を充分に活用することは困難であった。
【0009】
そこで、本発明は、AM放送に加え、FM補完放送の放送周波数帯域内のFM放送を受信可能なラジオ受信装置において、ユーザのFM補完放送の活用を支援することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題達成のために、本発明は、AM放送とFM放送を受信するラジオ受信装置に、AM放送を受信するAM受信部と、FM放送を受信するFM受信部と、前記AM受信部が受信しているAM放送の音声と、前記FM受信部が受信しているFM放送の音声とのうちの一方の音声を選択的に出力する音声出力手段と、各AM放送に対して、当該AM放送とサイマル放送の関係にあるFM放送であるFM補完放送の放送周波数を登録したFM補完放送情報を記憶した記憶手段と、前記音声出力手段が前記AM受信部が受信している前記AM放送の音声を出力しているときに、前記FM補完放送情報に前記AM受信部が受信している前記AM放送に対して登録されている放送周波数のFM補完放送の受信状態を前記FM受信部を用いて調査し、受信状態が良好なFM補完放送である利用可能FM補完放送が存在する場合に、利用可能なFM補完放送が存在することのユーザに対する提示を行うと共に、所定のユーザ操作に応じて、前記FM受信部の前記利用可能FM補完放送の受信と、前記音声出力手段が出力する音声の前記FM受信部が受信しているFM放送の音声への切替を制御するFM補完放送利用支援手段とを備えたものである。
【0011】
ここで、このようなラジオ受信装置は、当該ラジオ受信装置に表示装置を備えると共に、前記FM補完放送利用支援手段において、前記利用可能なFM補完放送が存在することのユーザに対する提示として、所定の表示オブジェクトの前記表示装置への表示を行うように構成してもよい。
【0012】
また、この場合には、前記FM補完放送利用支援手段において、前記表示オブジェクトに対するユーザの操作を前記所定の操作として受け付けるようにしてもよい。
また、以上のラジオ受信装置は、前記FM補完放送利用支援手段において、前記利用可能FM補完放送が複数存在した場合には、所定のユーザ操作に応じて、複数の利用可能FM補完放送のうちで受信状態が最も良好であった前記利用可能FM補完放送の前記FM受信部の受信と、前記音声出力手段が出力する音声の前記FM受信部が受信しているFM放送の音声への切替を制御するように構成してもよい。
【0013】
または、上記したラジオ受信装置は、当該ラジオ受信装置に表示装置を備えると共に、前記FM補完放送利用支援手段において、前記利用可能FM補完放送が複数存在した場合には、前記所定のユーザ操作に応じて、前記利用可能FM補完放送の放送周波数のリストを前記表示装置に表示すると共に、当該リスト上で放送周波数のユーザによる選択を受け付け、前記選択を受け付けた放送周波数の利用可能FM補完放送の前記FM受信部の受信と、前記音声出力手段が出力する音声の前記FM受信部が受信しているFM放送の音声への切替を制御するように構成してもよい。
【0014】
これらのようなラジオ受信装置によれば、AM放送を利用しているときに、当該AM放送とサイマル放送の関係にあるFM補完放送を利用可能なときには、その旨をユーザに対して提示し、所定の操作に応じて受信出力放送をAM放送から当該FM補完放送に切り替える。
【0015】
よって、ユーザは、当該提示より、利用可能なFM補完放送の存在を認識すると共に、所定の操作を行うだけで、当該FM補完放送の利用を開始することができる。
また、前記課題達成のために本発明は、AM放送とFM放送を受信するラジオ受信装置に、表示装置と、AM放送を受信するAM受信部と、FM放送を受信するFM受信部と、前記AM受信部が受信しているAM放送の音声と、前記FM受信部が受信しているFM放送の音声とのうちの一方の音声を選択的に出力する音声出力手段と、各AM放送に対して、当該AM放送とサイマル放送の関係にあるFM放送であるFM補完放送の放送周波数を登録したFM補完放送情報を記憶した記憶手段と、AM放送のリストを表した選局受付画面を前記表示装置に表示し、当該選局受付画面の前記リスト上でAM放送のユーザによる選択を受け付け、前記AM受信部の前記選択を受け付けたAM放送の受信と、前記音声出力手段が出力する音声の前記AM受信部が受信しているAM放送の音声への切替を制御するAM放送選局手段と、前記AM放送選局手段が表示するリストに含まれる各AM放送について、前記FM補完放送情報に当該AM放送に対して登録されている放送周波数のFM補完放送の受信状態を前記FM受信部を用いて調査し、受信状態が良好なFM補完放送を当該AM放送に対して利用可能FM補完放送として設定するFM補完放送探索手段とを備えたものである。ただし、前記AM放送選局手段は、前記利用可能FM補完放送が設定されているAM放送の前記リスト中の表示の各々に関連づけて、当該AM放送に対して設定されている前記利用可能FM補完放送に対応づけた表示オブジェクトを前記選局受付画面に含めると共に、前記表示オブジェクトに対するユーザ操作に応じて、当該表示オブジェクトに対応づけられている前記利用可能FM補完放送の前記FM受信部の受信と、前記音声出力手段が出力する音声の前記FM受信部が受信しているFM放送の音声への切替を制御する。
【0016】
このようなラジオ受信装置によれば、ユーザからAM放送の選局を受け付ける選局受付画面に表示するAM放送のリスト中のAM放送のうちに、当該AM放送とサイマル放送の関係にあるFM補完放送を利用可能なAM放送が存在する場合には、当該利用可能なFM補完放送が存在するAM放送の表示と関連づけて、利用可能なFM補完放送が存在することを表す表示オブジェクトを表示すると共に、当該表示オブジェクトの操作に応じて、当該利用可能なFM補完放送の受信出力を開始する。
【0017】
よって、ユーザは、AM放送の選局受付画面において、表示オブジェクトの表示からFM補完放送を利用可能なAM放送を識別できると共に、FM補完放送の利用を希望する場合には表示オブジェクトの操作を行うだけで、当該FM放送の利用を開始することができるようになる。
【0018】
なお、以上のラジオ受信装置は、当該ラジオ受信装置は移動体に搭載されるものであってもよい。
また、以上の各ラジオ放送受信装置は、AM放送を、任意の第1の放送規格の放送である第1種放送に置き換え、FM放送を、前記第1の放送規格と異なる任意の放送規格である第2の放送規格の放送である第2種放送に、FM補完放送を第1種放送とサイマル放送の関係にある第2種放送であるサイマル第2種放送に置き換えて適用するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、AM放送に加え、FM補完放送の放送周波数帯域内のFM放送を受信可能なラジオ受信装置において、ユーザのFM補完放送の活用を支援することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、自動車に搭載される車載システムへの適用を例にとり説明する。
図1に、本実施形態に係る車載システムの構成を示す。
図示するように、車載システムは、ラジオ受信装置1、ナビゲーション装置2、制御装置3、表示装置4、イコライザやアンプを備えた音声出力装置5、入力装置6、記憶装置7、スピーカ8を備えている。
【0022】
また、ラジオ受信装置1は、AM放送を受信するAM受信部11、FM放送を受信するFM受信部12、セレクタ13、以上の各部を制御するコントローラ14を備えている。
そして、AM受信部11は、指定されたAM放送周波数帯内の放送周波数を検波し受信信号を出力するAMフロントエンド111(AM F/E111)と、AMフロントエンド111が出力する受信信号から音声を復調し出力するAM復調部112を備えている。また、FM受信部12は、指定されたFM放送周波数帯内の放送周波数を検波し受信信号を出力するFMフロントエンド121、FMフロントエンド121が出力する受信信号から音声を復調し出力するFM復調部122を備えている。
【0023】
次に、記憶装置7には、FM選局候補リストと、AM選局候補リストと、FM補完放送データとが記憶されている。
ここで、FM選局候補リストには、予めユーザが登録した複数のFM放送局の放送局名と放送周波数、または、ラジオ受信装置1に周波数サーチを実行させて探索した現在受信可能なFM放送局の放送局名と放送周波数とが登録されている。
【0024】
また、AM選局候補リストには、予めユーザが登録した複数のAM放送局の放送局名と放送周波数、または、ラジオ受信装置1に周波数サーチを実行させて探索した現在受信可能なAM放送局の放送局名と放送周波数とが登録されている。
【0025】
次に、
図2に示すように、FM補完放送データは、全国の全てのAM放送局毎に対応して設けられたAM放送局データを含み、各AM放送局データには、対応するAM放送局の放送局名と、対応するAM放送局がAM放送に用いているAM放送周波数帯内の放送周波数を表すAM放送周波数と、対応するAM放送局のAM放送とサイマル放送の関係にある(放送番組内容が同一の)FM放送であるFM補完放送に用いられているFM放送周波数帯内の放送周波数を表すFM補完放送周波数が登録されている。
【0026】
さて、
図1に戻り、制御装置3は、表示装置4を用いた適当なユーザインタフェースで、ユーザ操作を入力装置6を介して受け付けて、ナビゲーション装置2やラジオ受信装置1の動作を制御したり、ナビゲーション装置2が出力する映像やラジオ受信装置1が出力する情報を表示する画面を表示装置4に表示したり、ナビゲーション装置2やラジオ受信装置1が出力する音声を音声出力装置5から出力する処理等を行う。
【0027】
たとえば、制御装置3は、FM選局候補リストを用いて作成した所定のFM放送選局受付画面を表示装置4に表示して、ユーザから入力装置6を介してFM放送の選択を受け付け、選択を受け付けたFM放送の放送周波数の受信出力をラジオ受信装置1のコントローラ14に指示する。一方指示を受け付けたラジオ受信装置1のコントローラ14は、受信出力を指示されたFM放送の放送周波数をFM受信部12のFMフロントエンド121に設定することにより当該周波数のFM放送の受信及び当該FM放送の音声の出力を開始させると共に、セレクタ13にFM受信部12が出力する音声を制御装置3に出力させる。そして、制御装置3は、以上のようにしてラジオ受信装置1から出力されたユーザが選択したFM放送の音声を音声出力装置5にスピーカ8に出力させる。
【0028】
また、同様に、制御装置3は、AM選局候補リストを用いて作成した所定のAM放送選局受付画面を表示装置4に表示して、ユーザから入力装置6を介してAM放送の選択を受け付け、選択を受け付けたAM放送の放送周波数の受信出力をラジオ受信装置1のコントローラ14に指示する。一方指示を受け付けたラジオ受信装置1のコントローラ14は、受信出力を指示されたAM放送の放送周波数をAM受信部11のAMフロントエンド111に設定することにより当該周波数のAM放送の受信及び当該AM放送の音声の出力を開始させると共に、セレクタ13にAM受信部11が出力する音声を制御装置3に出力させる。そして、制御装置3は、以上のようにしてラジオ受信装置1から出力されたユーザが選択したAM放送の音声を音声出力装置5にスピーカ8に出力させる。
【0029】
さて、制御装置3は、ラジオ受信装置1のAM受信部11で受信しているAM放送の音声をスピーカ8から出力している期間中、すなわち、AM放送を受信出力している期間中、FM補完放送探索処理を行う。
【0030】
図3に、FM補完放送探索処理の手順を示す。
図示するように、制御装置3は、FM補完放送探索処理において、ラジオ受信装置1で受信中のAM放送のFM補完放送が存在するかどうかを、記憶装置7のFM補完放送データの受信中のAM放送のAM放送局のAM放送局データを参照して判定する(ステップ302)。なお、受信中のAM放送のAM放送局のAM放送局データは、受信中のAM放送の放送周波数がAM放送周波数として登録されているAM放送局データ、または、受信中のAM放送の放送局名が登録されているAM放送局データとして求まる。また、受信中のAM放送のAM放送局のAM放送局データにFM補完放送周波数として登録されている放送周波数が存在する場合に、受信中のAM放送のFM補完放送が存在することとなる。
【0031】
そして、ラジオ受信装置1で受信中のAM放送のFM補完放送が存在しない場合には(ステップ302)、FM補完放送有フラグをクリアし(ステップ312)、ラジオ受信装置1で受信するAM放送の放送周波数が変更されるのを待って(ステップ314)、ステップ302からの処理に戻る。
【0032】
一方、受信中のAM放送のFM補完放送が存在する場合には(ステップ302)、存在した各FM補完放送の各放送周波数、すなわち、受信中のAM放送のAM放送局のAM放送局データにFM補完放送周波数として登録されている各放送周波数をスキャンし、各放送周波数におけるFM補完放送の受信状態を調べる(ステップ304)。
【0033】
ここで、この存在した各FM補完放送の各周波数のスキャンは以下のように行う。
すなわち、制御装置3は、受信中のAM放送のFM補完放送の各放送周波数を一つずつ順次、探索周波数として、探索周波数の受信品質のチェックをラジオ受信装置1のコントローラ14に指示する。探索周波数のFM放送の受信品質のチェックを指示されたコントローラ14は、探索周波数をFM受信部12のFMフロントエンド121に設定することにより当該探索周波数のFM放送をFM受信部12に受信させると共に、探索周波数の受信電界強度や、探索周波数の受信信号のSN比などの探索周波数の受信品質に関わる値をFM受信部12のFMフロントエンド121やFM復調部122から取得して、チェック結果として制御装置3に通知する。そして、制御装置3は、ラジオ受信装置1から通知されたチェック結果から、探索周波数の受信状態を算定する。
【0034】
さて、次に、以上のようにして、受信中のAM放送のFM補完放送の各放送周波数の受信状態を調べたならば(ステップ304)、受信中のAM放送のFM補完放送の放送周波数のうちに受信状態が良好な放送周波数が存在するかどうかを調べ(ステップ306)、存在しない場合には、FM補完放送有フラグをクリアし(ステップ316)、ステップ302からの処理に戻る。
【0035】
一方、受信中のAM放送のFM補完放送の放送周波数のうちに受信状態が良好な周波数が存在した場合には(ステップ306)、存在した周波数のうちで最も受信状態が良好な放送周波数を現用FM補完放送周波数にセットする(ステップ308)。
【0036】
そして、FM補完放送有フラグをセットし(ステップ310)、ステップ302からの処理に戻る。
以上、AM放送の受信出力中に制御装置3が行うFM補完放送探索処理について説明した。
このようなFM補完放送探索処理によれば、受信出力中のAM放送のFM補完放送が受信可能な期間中は、FM補完放送有フラグがセットされると共に、受信出力中のAM放送のFM補完放送のうちの最も良好に受信可能なFM補完放送の放送周波数が現用FM補完放送周波数にセットされる。一方、受信出力中のAM放送のFM補完放送が受信できない期間中は、FM補完放送有フラグがクリアされた状態となる。
【0037】
次に、制御装置3が行うFM補完放送切替処理について説明する。
ここで、このFM補完放送切替処理は、ラジオ受信装置1のAM受信部11またはFM受信部12で受信したAM放送またはFM放送の音声のスピーカ8からの出力を開始したとき、すなわち、ユーザがラジオ受信装置1を利用を開始したときに起動され実行される。
【0038】
図4に、このFM補完放送切替処理の手順を示す。
図示するように、FM補完放送切替処理において、制御装置3は、現在AM放送を受信出力している状態であるか(ステップ402)と、現在FM補完放送を受信出力している状態であるか(ステップ404)を調べる。ここで、AM放送を受信出力している状態とは、ラジオ受信装置1のAM受信部11で受信しているAM放送の音声をスピーカ8から出力している状態であり、FM補完放送を受信出力している状態とは、ラジオ受信装置1のFM受信部12で受信しているFM補完放送の音声をスピーカ8から出力している状態である。
【0039】
そして、現在AM放送を受信出力している状態であれば(ステップ402)、FM補完放送有フラグがセットされているかどうかを調べ(ステップ406)、セットされていなければステップ402からの処理に戻る。
【0040】
一方、FM補完放送有フラグがセットされている場合には(ステップ406)、受信出力中のAM放送の受信状態の劣化が発生しているかどうかと(ステップ408)、入力装置6に対するユーザのFM補完放送切替操作が発生しているかどうか(ステップ410)を調べ、どちらも発生していない場合には、ステップ402からの処理に戻る。
【0041】
一方、受信出力中のAM放送の受信状態の劣化(ステップ408)と、入力装置6に対するユーザのFM補完放送切替操作(ステップ410)のいずれかが発生している場合には、現用FM補完放送周波数にセットされている放送周波数のFM放送の受信出力をラジオ受信装置1のコントローラ14に指示することにより、受信出力する放送を、現時点まで受信出力していたAM放送のFM補完放送に切り替える(ステップ412)。
【0042】
ここで、受信出力中のAM放送の受信状態は、ラジオ受信装置1のコントローラ14を介して、AM受信部11で検出されている上述した受信品質に関わる値を取得して算定する。
【0043】
また、ステップ410で発生を検出するユーザのFM補完放送切替操作の詳細については後述する。
そして、以上のようにして受信出力する放送をFM補完放送に切り替えたならば、ステップ402からの処理に戻る。
一方、現在FM補完放送を受信出力している状態である場合には(ステップ404)、以下の処理を行う。
ここで、現在FM補完放送を受信出力している状態であるかどうかは、上述したステップ412で受信出力する放送をFM補完放送に切り替えた後に、受信出力する放送の変更が行われていないかどうかや、ラジオ受信装置1のFM受信部12で受信している受信中のFM放送の放送周波数が、FM補完放送データのいずれかのAM放送局データにFM補完放送周波数として登録されている放送周波数であるかどうかに基づいて判別することができる。
【0044】
さて、現在FM補完放送を受信出力している状態である場合には(ステップ404)、受信出力中のFM補完放送の受信状態の劣化が発生しているかどうかと(ステップ414)、入力装置6に対するユーザのサイマルAM放送切替操作が発生しているかどうか(ステップ416)を調べ、どちらも発生していない場合には、ステップ402からの処理に戻る。
【0045】
なお、ステップ416で発生を検出するユーザのサイマルAM放送切替操作については後述する。
一方、受信出力中のFM補完放送の受信状態の劣化(ステップ414)と、入力装置6に対するユーザのサイマルAM放送切替操作(ステップ416)のいずれかが発生している場合には、受信出力しているFM補完放送とサイマル放送の関係にあるAM放送の放送周波数のAM放送の受信出力をラジオ受信装置1のコントローラ14に指示することにより、受信出力する放送を、現時点まで受信出力していたFM補完放送から当該FM補完放送とサイマル放送の関係にあるAM放送に切り替え(ステップ418)、ステップ402からの処理に戻る。
【0046】
ここで、受信出力中のFM補完放送の受信状態は、ラジオ受信装置1のコントローラ14を介して、FM受信部12で検出されている上述した受信品質に関わる値を取得して算定する。
【0047】
また、受信出力しているFM補完放送とサイマル放送の関係にあるAM放送の放送周波数は、FM補完放送データの、受信出力しているFM補完放送の放送周波数がFM補完放送周波数として登録されているAM放送局データに登録されているAM放送周波数として求めることができる。ここで、AM放送局データに登録されているAM放送周波数が複数存在する場合には、ステップ418において、存在した各AM放送周波数の受信状態を調べ、最も受信状態の良いAM放送周波数に、受信出力する放送を切り替えるようにしてもよい。
【0048】
なお、上述したステップ412で受信出力する放送をFM補完放送に切り替えた後に、受信出力する放送の変更が行われていない場合には、ステップ418において、受信出力しているFM補完放送の前に受信出力していたAM放送の放送周波数に受信出力する放送を切り替えるようにしてもよい。
【0049】
また、ステップ418は、受信出力中のFM補完放送とサイマル放送の関係にあるAM放送のうちに受信状態が良好なAM放送が存在しない場合には、受信出力する放送のAM放送への切替を行わずに、そのままステップ402に戻る処理としてもよい。
【0050】
以上、制御装置3が行うFM補完放送切替処理について説明した。
以下、FM補完放送切替処理のステップ410で発生を検出するユーザのFM補完放送切替操作と、ステップ416で発生を検出するユーザのサイマルAM放送切替操作について説明する。
【0051】
制御装置3は、AM放送を受信出力しており、かつ、FM補完放送有フラグがセットされている期間中、すなわち、受信出力中のAM放送のFM補完放送が受信可能な期間中、FM補完放送を利用可能であることを示す表示と、ユーザのFM補完放送切替操作の受付とを行う。
【0052】
受信出力中のAM放送のFM補完放送を利用可能であることを示す表示とユーザのFM補完放送切替操作の受付は、以下のように行う。
すなわち、たとえば、現在AM放送を受信出力しており、かつ、上述したユーザからAM放送の選択を受け付けるためのAM放送選局受付画面を表示装置4に表示しているときには、受信出力中のAM放送のFM補完放送を利用可能であることを示す表示とユーザのFM補完放送切替操作の受付を、AM放送選局受付画面として、FM補完放送有フラグがセットされていないときには
図5a1に示すAM放送選局受付画面を用い、FM補完放送有フラグがセットされているときには
図5a2に示すAM放送選局受付画面を用いることにより行う。
【0053】
ここで、FM補完放送有フラグがセットされていないときに用いる
図5a1のAM放送選局受付画面は、AM選局候補リストに登録されている各AM放送に対応する選局ボタン51を、各選局ボタン51の中に対応するAM放送の放送局名と周波数を表した形態で配列したものであり、制御装置3は、ユーザの選局ボタン51の操作に応じて、操作された選局ボタン51に対応するAM放送のユーザの選択を受け付け、選択を受け付けたAM放送の受信出力の開始を制御する。また、このAM放送選局受付画面では、受信出力中のAM放送に対応する選局ボタン51を強調表示する。
【0054】
一方、FM補完放送有フラグがセットされているときに用いる
図5a2のAM放送選局受付画面では、
図5a1のAM放送選局受付画面の、受信出力中のAM放送に対応する選局ボタン51の横方向サイズを縮小し、縮小した選局ボタン51の右横に、その中に「FM補完」と表したFM補完ボタン52を表示することにより、受信出力中のAM放送のFM補完放送を利用可能であることを示す。また、制御装置3は、このFM補完ボタン52の操作を、FM補完放送切替操作として受け付ける。なお、
図5a2のAM放送選局受付画面においても、制御装置3は、ユーザの選局ボタン51の操作に応じて、操作された選局ボタン51に対応するAM放送のユーザの選択を受け付け、選択を受け付けたAM放送の受信出力の開始を制御する。
【0055】
一方、制御装置3は、FM補完放送を受信出力中であり、かつ、AM放送選局受付画面を表示しているときには、受信出力中のFM補完放送とサイマル放送の関係にあるAM放送に対応する選局ボタン51(受信出力中のFM補完放送のFM補完ボタン52の左の選局ボタン51)の操作に応じてサイマルAM放送切替操作を受け付ける。
【0056】
また、たとえば、現在AM放送を受信出力であり、かつ、表示装置4にナビゲーション装置2が出力する画面を表示装置4に表示しているときには、受信出力中のAM放送のFM補完放送を利用可能であることを示す表示とユーザのFM補完放送切替操作の受付は、FM補完放送有フラグがセットされていない場合は、
図5b1に示すようにナビゲーション装置2が出力する画面のみを表示装置4に表示し、FM補完放送有フラグがセットされている場合には、
図5b2に示すように、その中に「FM補完」と表したFM補完ボタン52をナビゲーション装置2が出力する画面上に重畳表示することによりFM補完放送を利用可能であることを示すと共に、ユーザのFM補完ボタン52の操作をFM補完放送切替操作として受け付けることにより行う。
【0057】
一方、制御装置3は、FM補完放送を受信出力中であり、かつ、ナビゲーション装置2が出力する画面を表示装置4に表示しているときの、ユーザのサイマルAM放送切替操作の受付を、その中に「AM切替」と表したAM切替ボタンをナビゲーション装置2が出力する画面上の重畳表示すると共に、ユーザの選局ボタン51の操作に応じて、AM復帰ボタンの操作をサイマルAM放送切替操作として受け付けることにより行う。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明した。
以上のように、本実施形態によれば、AM放送を利用しているときに、当該AM放送とサイマル放送の関係にあるFM補完放送を利用可能なときには、その旨をユーザに対して表示し、当該表示と関連づけられた所定の操作に応じて受信出力放送をAM放送から当該FM補完放送に切り替える。
【0059】
よって、ユーザは、ラジオ受信装置1の表示より、利用可能なFM補完放送の存在を認識すると共に、当該表示と関連づけられた所定の操作を行うだけで、当該FM補完放送の利用を開始することができる。
【0060】
ところで、以上の実施形態は、
図3のFM補完放送探索処理のステップ308を、ステップ304で検出した受信状態が良好な周波数のリストをFM補完放送周波数リストとしてセットする処理とすると共に、
図4のFM補完放送切替処理のステップ412を、FM補完放送周波数リストに登録されているFM補完放送の放送周波数のリストを、たとえば
図6aに示すようなFM補完放送選局画面として表示し、表示したリスト中からユーザによって選択された放送周波数のFM補完放送に、受信出力する放送を切り替える処理としてもよい。なお、
図6aのFM補完放送選局画面では、FM補完放送周波数リストに登録されている各放送周波数に対応する選局ボタン61を、各FM補完放送選局ボタン61の中に対応する放送周波数を表した形態で配列して表示している。そして、制御装置3は、このようなFM補完放送選局画面のFM補完放送選局ボタン61の操作に応じて、操作されたFM補完放送選局ボタン61に対応する放送周波数のFM補完放送に、受信出力する放送を切り替える。
【0061】
また、以上の実施形態では、受信出力中のAM放送についてのみ、当該AM放送とサイマル放送の関係にあるFM補完放送の放送周波数の受信状態を検出するようにしたが、これは、FM放送やFM補完放送を受信出力していない期間中に、FM補完放送データを参照して求まる、AM選局候補リストに登録されている各AM放送とサイマル放送の関係にある各FM補完放送の放送周波数の受信状態の検出を、バックグランドで動作させたFM受信部12を用いて繰り返すようにしてもよい。
【0062】
また、この場合には、上述したAM放送選局受付画面において、
図6bに示すように、受信状態が良好なFM補完放送が存在するAM放送に対応する選局ボタン51の右横に、当該AM放送とサイマル放送の関係にあるFM補完放送のうちの受信状態が良好なFM放送の放送周波数に対応づけたFM補完ボタン52を表示すると共に、各FM補完ボタン52の操作に応じて、当該FM補完ボタン52に対応づけられている放送周波数のFM補完放送の受信出力を開始するようにしてもよい。
【0063】
このように、ユーザからAM放送の選局を受け付けるためのAM放送選局受付画面に表示する各AM放送の選局ボタン51に対して、当該AM放送のサイマル放送の関係にあるFM補完放送を利用可能な場合には、当該AM放送の表示と関連づけて利用可能なFM補完放送が存在することを表すFM補完ボタン52を表示すると共に、当該FM補完ボタン52の操作に応じて、当該FM補完放送の受信出力を開始することにより、ユーザは、AM放送の選局受付画面において、FM補完ボタン52の表示からFM補完放送を利用可能なAM放送を識別できると共に、所望のAM放送に代えて当該AM放送とサイマル放送の関係にあるFM補完放送の利用を希望する場合にはFM補完ボタン52の操作を行うだけで、当該FM補完放送の利用を開始することができるようになる。
【0064】
また、以上の実施形態は、ナビゲーション装置2とラジオ受信装置1とを備えた車載装置への適用を例にとり説明したが、本実施形態で示したFM補完放送の活用を支援する技術は、ラジオ受信装置1、または、ラジオ受信装置1を備えた任意のシステムに同様に適用可能である。
【0065】
また、この場合において、表示装置4のサイズが小さいラジオ受信装置1、または、ラジオ受信装置1を備えたシステムに適用するときには、受信出力中のAM放送のFM補完放送を利用可能であることを示す表示とユーザのFM補完放送切替操作の受付は、
図5c1、c2に示すように行ってもよい。
【0066】
すなわち、表示装置4の画面の下に複数のハードキー53を設け、表示装置4の画面下部のの各ハードキー53の上方の位置に、その下にあるハードキー53で受け付ける操作の識別を表示するようにする。
【0067】
そして、一つのハードキー53aについて、AM放送を受信出力中にFM補完放送有フラグがセットされていない場合には、そのハードキー53aでの操作は受け付けないようにする。また、AM放送を受信出力中にFM補完放送有フラグがセットされている場合には、そのハードキー53aの上に「FM補完」等との表示54を行ってFM補完放送を利用可能であることを示すと共に、そのハードキー53aの操作に応じてユーザのFM補完放送切替操作の受付を行うようにする。また、この場合には、FM補完放送を受信出力中には、上述した一つのハードキー53aの上に「AM切替」等との表示を行うと共に、そのハードキー53の操作に応じてユーザのサイマルAM放送切替操作の受付を行うようにする。
【0068】
または、FM補完放送切替操作受付用のハードキーと、当該ハードキー53の有効/無効を点灯/消灯により表す LED等のインジケータを設け、AM放送を受信出力中にFM補完放送有フラグがセットされている場合にのみ、インジケータを点灯すると共に、そのハードキーの操作をFM補完放送切替操作として受け付けるようにしてもよい。また、この場合におけるユーザのサイマルAM放送切替操作の受付は、たとえば、FM補完放送の受信出力中におけるFM補完放送切替操作受付用のハードキーの操作によって受け付けるようにする。
【0069】
なお、以上ではAM放送とFM補完放送とをラジオ受信装置1で受信する場合について示したが、本実施形態におけるAM放送を、任意の第1の放送規格の放送である第1種放送に、FM放送を、前記第1の放送規格と異なる任意の放送規格である第2の放送規格の放送である第2種放送に、FM補完放送を、第1種放送とサイマル放送の関係にある第2種放送であるサイマル第2種放送に置き換えて適用することもできる。