(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6652313
(24)【登録日】2020年1月27日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】ハニカム構造体の配置構造
(51)【国際特許分類】
F28F 13/06 20060101AFI20200210BHJP
F28F 1/40 20060101ALI20200210BHJP
【FI】
F28F13/06
F28F1/40 G
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-2170(P2015-2170)
(22)【出願日】2015年1月8日
(65)【公開番号】特開2016-125796(P2016-125796A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2017年8月29日
【審判番号】不服2019-2872(P2019-2872/J1)
【審判請求日】2019年3月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220767
【氏名又は名称】東京窯業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098224
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 勘次
(74)【代理人】
【識別番号】100140671
【弁理士】
【氏名又は名称】大矢 正代
(72)【発明者】
【氏名】足立 修一
(72)【発明者】
【氏名】影山 健友
【合議体】
【審判長】
平城 俊雅
【審判官】
槙原 進
【審判官】
塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−19644(JP,A)
【文献】
特開平11−192430(JP,A)
【文献】
実開昭54−134755(JP,U)
【文献】
特開2014−148923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 13/06
F28F 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の方向に延びて列設された隔壁により区画された複数のセルを備えるハニカム構造体が、両端面のうちの少なくとも一方が、ラジアントチューブヒータのチューブの軸方向に直交する面に対して傾斜するように、前記チューブ内に前記チューブの内壁面との間に空隙をあけて配置されることにより、前記セルに流通させる加熱流体の熱を前記チューブに伝える構造であり、
前記隔壁が伸びる方向であるセル軸が、前記チューブの軸方向に対して傾斜していると共に、
前記セルが前記ハニカム構造体の前記両端面に加えて側面でも開口していることにより、前記側面で開口している前記セルの内表面は前記チューブへの放射伝熱面である
ことを特徴とするハニカム構造体の配置構造。
【請求項2】
二以上の前記ハニカム構造体が、前記チューブの軸方向に沿って、互いに離隔して直列に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載のハニカム構造体の配置構造。
【請求項3】
二以上の前記ハニカム構造体を、互いに離隔した状態で、且つ、前記隔壁が伸びる方向であるセル軸の方向が隣接している前記ハニカム構造体間で異なる状態で、支持している支軸を更に備える
ことを特徴とする請求項2に記載のハニカム構造体の配置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジアントチューブヒータのチューブ内に配置されるハニカム構造体の配置構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ラジアントチューブヒータは、金属やセラミック製のチューブ内にバーナ等で加熱した空気等の流体を流通させてチューブを加熱し、加熱されたチューブからの放射熱によって被加熱物を間接的に加熱する加熱装置である。一般的に、ラジアントチューブヒータは、鉄材の浸炭処理を行う浸炭炉や焼鈍処理を行う焼鈍炉など、炉内の雰囲気を制御する加熱炉に使用されている。
【0003】
しかしながら、加熱された流体(以下、「加熱流体」と称する)がチューブ内を流通する際、チューブの内壁面の近傍は摩擦抵抗が働き流れ難いため、加熱流体はチューブの中心近くを流通しやすく、チューブに熱が伝わりにくい。また、チューブの内壁面の近傍を流通していく加熱流体の温度は、内壁面との熱交換により低下していく。このため、バーナ等の加熱源からの距離が大きくなるに従い、チューブの温度が低下するという問題があった。
【0004】
この問題を解決することを意図して、加熱流体からチューブへの伝熱を促進させる伝熱促進体を、チューブ内に配置する提案がなされている(特許文献1,2参照)。特許文献1の伝熱促進体は、軽量耐火物製の四枚の板状の仕切部を有する断面十字形の形状を有しており、伝熱促進体の軸方向をチューブの軸方向と平行にして配置するものである。特許文献2の伝熱促進体は、セラミックス等で形成された螺旋形状の案内羽根を有しており、螺旋の軸方向をチューブの軸方向と平行にして配置するものである。
【0005】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2の伝熱促進体は共に、その表面積は大きくない。このため、加熱流体と接触する面積も大きくなく、加熱流体から伝熱促進体に熱が伝わりにくい。また、伝熱促進体からチューブに放射される熱量は表面積に依存するため、伝熱促進体からチューブにも熱が伝わりにくい。
【0006】
そこで、ハニカム構造体を伝熱促進体として用いることが提案されている(特許文献3参照)。特許文献3のハニカム構造体は、八角形の端面のそれぞれの辺から垂直に延びた外周壁を有し、端面から垂直に延びて列設された隔壁によって区画された複数のセルを備えたハニカム構造を有している。そして、端面をチューブの軸方向と直交させて配置して、端面から加熱流体を流入させるものである。
【0007】
ハニカム構造体は表面積が大きいため、特許文献3の伝熱促進体において加熱流体と接触する面積は、特許文献1及び特許文献2の伝熱促進体よりも大きい利点がある。しかしながら、特許文献3に記載されている、加熱流体からチューブへの伝熱を特許文献1及び特許文献2の伝熱促進体と対比した結果を参照すると、加熱流体からチューブへの伝熱効率は依然として不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開昭63−173613号公報
【特許文献2】特開昭57−112694号公報
【特許文献3】特開2013−19644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、上記の実情に鑑み、ラジアントチューブヒータのチューブ内に配置されるハニカム構造体によって、加熱流体からチューブへ効率的に伝熱することができる、ハニカム構造体の配置構造の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明にかかるハニカム構造体の配置構造は、「単一の方向に延びて列設された隔壁により区画された複数のセルを備えるハニカム構造体が、両端面のうちの少なくとも一方がチューブの軸方向に直交する面に対して傾斜するようにラジアントチューブヒータのチューブ内に配置されている」ものである。
【0011】
「ハニカム構造体」の材質は、高温の環境に長時間曝されるため、炭化珪素、アルミナ、ムライト、コージェライト等のセラミックスが好ましく、その中でも熱伝導率が高いことから炭化珪素が特に好ましい。また、ハニカム構造体の形状は、特に限定されるものではなく、外形は円柱状や多角柱状とすることができ、セルの断面形状は四角形、三角形、六角形等の多角形とすることができる。
【0012】
「ラジアントチューブヒータ」の「チューブ」は、ガスバーナや電気ヒータ等を加熱源とする加熱流体を内部に流通させる構成であり、U字形状、L字形状、T字形状、ストレート形状等の様々の形状とすることができる。更に、流体が排出される側の端部に熱交換器を設け、チューブに流入させる流体を予熱する構成としても良い。
【0013】
本発明のハニカム構造体の配置構造では、両端面のうちの少なくとも一方がチューブの軸方向に対して直交していない状態で配置されている。
図1(a)に示すように、従来の配置構造(特許文献3)のように、セルが開口した端面9がチューブ30の軸方向に直交するように配置されている場合、端面9から放射される熱はチューブ30の軸方向に進んでしまい、チューブ30を加熱することができなかった。なお、図中の矢印は、ハニカム構造体からの放射熱の方向を表している。ハニカム構造体はセルが開口している端面で表面積が大きく、放射する熱量も大きいため、端面からの放射熱をチューブの加熱に使用できないのでは無駄が大きい。これに対して、
図1(b)に例示する本発明のハニカム構造体の配置構造によれば、両端面のうちの少なくとも一方の端面10が、チューブ30の軸方向と直交する面に対して傾斜しておりチューブ30の内壁面と対向しているため、その端面10から放射される熱をチューブ30へ伝えることができる。従って、ハニカム構造体の大きな表面積を十分に活用し、効率的にチューブへ熱を伝えることができる。なお、両端面の双方がチューブの軸方向と直交する面から傾斜していれば、両端面からの放射熱でチューブを加熱することができるため、より好適である。
【0014】
本発明にかかるハニカム構造体の配置構造は、上記構成に加えて、「前記隔壁が伸びる方向であるセル軸が、前記チューブの軸方向に対して傾斜している」もの
である。
【0015】
本構成のハニカム構造体の配置構造によれば、セル軸がチューブの軸方向に対して傾斜しているため、ハニカム構造体に流入した加熱流体は、セル軸に沿って流通し、チューブの壁面に向かう流れとなって流出する。これにより、チューブ内壁面において加熱流体と接触する面積が増大するため、加熱流体がチューブの中心近くを流通しやすくチューブと接触しにくかった従来とは異なり、加熱流体の熱をチューブへ効率的に伝えることができる。
【0016】
本発明にかかるハニカム構造体の配置構造は、上記構成に加えて「二以上の前記ハニカム構造体が、前記チューブの軸方向に沿って、互いに離隔して直列に配置されている」ものとすることができる。
【0017】
本構成のハニカム構造体の配置構造によれば、二以上のハニカム構造体が直列に配置されることにより、チューブの全長に亘り加熱流体の熱を伝え易い。また、二以上のハニカム構造体が互いに離隔して配置されているので、チューブ内で圧力損失が不均一なものとなり、加熱流体の流れが複雑なものとなる。これにより、流れに乱れが生じた加熱流体とチューブの内壁面との接触がより良好となるため、放射伝熱に加えて対流伝熱によって、加熱流体の熱をチューブに伝えることができる。
【0018】
本発明にかかるハニカム構造体の配置構造は、上記構成に加えて「二以上の前記ハニカム構造体を、互いに離隔した状態で、且つ、前記セル軸の方向が隣接しているハニカム構造体間で異なる状態で支持している支軸を更に備える」ものとすることができる。
【0019】
本構成のハニカム構造体の配置構造によれば、離隔して配置される二以上のハニカム構造体のそれぞれの位置関係が、支軸によって固定されている。これにより、二以上のハニカム構造体を支軸によって支持させた状態でチューブの一端から挿入することにより、本構成のハニカム構造体の配置構造を容易に形成することができる。また、加熱流体を流通させるチューブの内部において長期に亘って配置構造を維持することができる。
【0020】
更に、本構成において、隣接したハニカム構造体は、それぞれのセル軸の方向が異なる状態で支持されている。これにより、ハニカム構造体を流通する加熱流体は、セル軸に沿ってそれぞれ異なる方向に流通し、より複雑な流れとなる。従って、対流伝熱による伝熱が増大し、加熱流体からチューブへより効率的に熱を伝えることができる。
【0021】
なお、支軸の材質やハニカム構造体を支持する態様は、特に限定されるものではなく、例えば、ハニカム構造体の略中心を貫通している金属やセラミックス製の丸棒状、角棒状の部材とすることができる。なお、支軸とハニカム構造体は耐熱性の接着材により接着することができる。また、支軸は複数あっても良い。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明の効果として、ラジアントチューブヒータのチューブ内に配置されるハニカム構造体によって、加熱流体からチューブへ効率的に伝熱することができる、ハニカム構造体の配置構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】(a)従来のハニカム構造体の配置構造、及び(b)本発明のハニカム構造体の配置構造の説明図である。
【
図2】(a)第一実施形態のハニカム構造体の配置構造を示す図、及び(b)未加工ハニカム構造体の加工を説明する左側面図及び正面図である。
【
図3】(a)第二実施形態のハニカム構造体の配置構造を示す図、及び(b)未加工ハニカム構造体の加工を説明する左側面図及び正面図である。
【
図4】第三実施形態のハニカム構造体の配置構造をチューブの軸方向に平行な断面で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下
、第一実施形態〜第三実施形態のハニカム構造体の配置構造について、それぞれ
図2〜
図4を用いて説明する。
本発明の実施形態は第二実施形態及び第三実施形態であるが、第一実施形態についての説明のうち、第二実施形態及び第三実施形態と共通している事項についての説明は、本発明の実施形態に関する説明である。
【0025】
第一実施形態のハニカム構造体の配置構造(以下、単に「配置構造」と称する)は、単一の方向に延びて列設された隔壁5により区画された複数のセル6を備えるハニカム構造体1が、
図2(a)に示すように、両端面10がそれぞれチューブ30の軸方向に直交する面に対して傾斜するように、ラジアントチューブヒータのチューブ30内に配置されているものである。
【0026】
より詳細に説明すると、第一実施形態の配置構造に用いるハニカム構造体1は、
図2(b)に示すセラミックス製の未加工ハニカム構造体20を、図中に二点鎖線で示すように、端面に対して傾斜した平行な二面Aで切断することにより形成されたものである。ここで、未加工ハニカム構造体20は、セラミックス粉末を水やバインダと混合した混練物を、円形の型から押出成形した成形品を乾燥または焼成したものであり、端面に対して隔壁5が垂直に延びたハニカム構造の円柱である。また、未加工ハニカム構造体20のセルの断面形状は正方形である。未加工ハニカム構造体20を加工して得たハニカム構造体1では、平行な二面Aで切断された二つの断面がそれぞれ、ハニカム構造体1の端面10である。第一実施形態の配置構造では、隔壁6が伸びる方向であるセル軸P
Cがチューブ30の軸方向と平行になるように、ハニカム構造体1が配置されている。
【0027】
第一実施形態の配置構造によれば、ラジアントチューブヒータのチューブ30内に配置されたハニカム構造体1において、その両端面10がチューブ30の軸方向に直交する面に対して傾斜している。そのため、両端面10がチューブ30の内壁面と対向するため、両端面10から放射される熱をチューブ30の内壁面に伝えることができる。これにより、ハニカム構造体1の大きな表面積を十分に活用し、効率的にチューブ30へ熱を伝えることができる。特に、本実施形態では、ハニカム構造体1の一対の端面10の双方が、チューブの軸方向と直交する面に対して傾斜しているため、両端面10からの放射熱によって、より効率的にチューブを加熱することができる。加えて、本実施形態では、ハニカム構造体1の一対の端面10が同一方向に傾斜しているため、それぞれの端面10から放射された熱がチューブ30の内壁面において伝わる場所は、チューブ30において対向する位置関係となる。従って、チューブの加熱が局所的になることなく、均一に加熱することができる。
【0028】
次に、第二実施形態の配置構造ついて、
図3を用いて説明する。第二実施形態の配置構造は、
図3(a)に示すように、ハニカム構造体2が、その両端面11がチューブ30の軸方向に直交する面に対して傾斜するように、チューブ内に配置されていると共に、セル軸P
Cがチューブの軸方向に対して傾斜するように配置されているものである。
【0029】
より詳細に説明すると、第二実施形態の配置構造に用いるハニカム構造体2は、ハニカム構造体1と同一の未加工ハニカム構造体20から形成されるものである。未加工ハニカム構造体20を、
図3(b)中の二点鎖線で示すように、セル軸P
Cに対して傾斜した平行な二面Bで切断することにより、円柱の端面である端面11と、面Bによる切断面である側面12を有するハニカム構造体2が形成される。このようなハニカム構造体2では、セル6は端面11だけでなく、側面12にも開口している。第二実施形態の配置構造では、ハニカム構造体2は、側面12をチューブ30の軸方向と平行にしてチューブ30内に配置されている。従って、端面11がチューブ30の軸方向に直交する面に対して傾斜し、またセル軸P
Cがチューブ30の軸方向に対して傾斜する。
【0030】
第二実施形態の配置構造によれば、その両端面11がチューブ30の軸方向に直交する面に対して傾斜していることによる上記と同様の作用効果に加え、次のような作用効果が得られる。すなわち、ハニカム構造体2に流入した加熱流体は、チューブ30の軸方向に対して傾斜したセル軸P
Cに沿って流通し、チューブ30の内壁面に向かって流出する。これにより、チューブ30の内壁面と加熱流体とが接触する面積が増えるため、加熱流体からチューブに伝わる熱量が増大する。加えて、ハニカム構造体2の側面12は、セル6が開口していることにより表面積が大きいため、ハニカム構造体2からチューブに放射伝熱によって伝わる熱量も増大する。従って、より効率的に加熱流体の熱をチューブ30へ伝えることができる。
【0031】
次に、第三実施形態の配置構造について
図4を用いて説明する。第三実施形態の配置構造は、第二実施形態の配置構造に使用したハニカム構造体と同様に形成されたハニカム構造体2の四つが、チューブ30の軸方向に沿って、互いに離隔して直列に配置されているものである。
【0032】
また、第三実施形態の配置構造は、四つのハニカム構造体2を、互いに離隔した状態で、且つ、セル軸P
Cの方向が隣接しているハニカム構造体2間で異なる状態で支持している支軸40を更に備えている。
【0033】
より詳細に説明すると、それぞれのハニカム構造体2は軸方向の中心に貫通孔を有しており、金属製の丸棒状の支軸40が、それぞれの貫通孔を挿通した状態で耐熱性の接着材によってハニカム構造体2に固着されている。この支軸40は、図示しない棒状の支持部材によって処々でチューブ30の内壁面に固定されている。本実施形態において、四つのハニカム構造体2は、セル軸Pcの方向が上流から下流に向かって蛇行するように配置されている。なお、
図4では、それぞれのハニカム構造体2のセル軸の方向を斜線の方向で示している。
【0034】
第三実施形態の配置構造によれば、チューブ30の長さがハニカム構造体2よりも長い場合であっても、複数のハニカム構造体2が直列に配置されることにより、チューブの全長に亘り効率的に熱を伝え易い。また、加熱流体は、セル軸P
Cが蛇行するように配置された複数のハニカム構造体2のセルを順に流通していくことにより、チューブ内を蛇行して流れる。従って、セル軸P
Cの方向で加熱流体の流れを制御することが可能であり、加熱流体の流れを複雑なものとすることにより、対流伝熱による伝熱を増大させ効率的にチューブへ熱を伝えることができる。
【0035】
上記のように、第一実施形態〜第三実施形態のハニカム構造体の配置構造によれば、ハニカム構造体1,2の端面から放射される熱をチューブに伝えることができる。従って、ハニカム構造体の大きな表面積を十分に活用し、加熱流体からチューブへ効率的に熱を伝えることができる。
【0036】
また、第二実施形態の配置構造によれば、ハニカム構造体2を流通する加熱流体をチューブの内壁面に向かって流出させることができる。これにより、チューブの内壁面と加熱流体が接触する面積が増大し、より効率的に加熱流体からチューブへ熱を伝えることができる。
【0037】
更に、第三実施形態の配置構造によれば、加熱流体の流れを蛇行させて、より複雑なものとすることにより対流伝熱を増大させ、加熱流体からチューブへ効率的に熱を伝えることができる。加えて、第三実施形態の配置構造では、複数のハニカム構造体が支軸によって支持されているため、チューブ内において配置構造を維持することができ、効率的に熱を伝える作用を長期に亘って保持することができる。
【0038】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0039】
例えば、配置されるハニカム構造体の形状は上記の実施形態における形状に限定されるものではなく、四角柱など多角柱状とすることができる。また、ハニカム構造体の端面が、チューブの軸方向に直交した面に対して傾斜する角度は、ラジアントチューブヒータの設定温度、加熱流体の流量等に応じて適宜設定することができる。
【0040】
また、二以上のハニカム構造体を配置する場合において、それぞれのセル軸の方向は上記の実施形態のものに限定されない。例えば、複数のハニカム構造体を、それぞれのセル軸の向きが旋回するように配置することにより、加熱流体の流れを旋回流とすることができる。
【0041】
更に、ハニカム構造体は、複数のハニカム構造体が接合された接合体であっても良い。一般的に押出成形では断面積の大きいハニカム構造体を作成することは困難であるが、複数のハニカム構造体を接合させることにより、配置されるチューブの大きさに応じて、断面積の大きいハニカム構造体を容易に形成することができる。
【符号の説明】
【0042】
1,2 ハニカム構造体
5 隔壁
6 セル
10,11 端面(チューブの軸方向に直交する面に対して傾斜した端面)
30 チューブ
40 支軸
P
C セル軸