特許第6652337号(P6652337)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6652337半導体装置の実装状態の検査方法および実装基板に実装された半導体装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6652337
(24)【登録日】2020年1月27日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】半導体装置の実装状態の検査方法および実装基板に実装された半導体装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/28 20060101AFI20200210BHJP
   H01L 23/40 20060101ALI20200210BHJP
   H01L 23/34 20060101ALI20200210BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20200210BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20200210BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20200210BHJP
   G01R 31/50 20200101ALI20200210BHJP
【FI】
   G01R31/28 U
   H01L23/40 A
   H01L23/40 F
   H01L23/34 A
   H01L23/36 D
   H05K3/34 501D
   H05K3/00 T
   H05K3/34 512A
   G01R31/02
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-131486(P2015-131486)
(22)【出願日】2015年6月30日
(65)【公開番号】特開2017-15519(P2017-15519A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2018年5月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】門井 聖明
【審査官】 島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−093431(JP,A)
【文献】 特開2008−166403(JP,A)
【文献】 特開平08−213536(JP,A)
【文献】 特開2004−325363(JP,A)
【文献】 特開2003−297965(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/145961(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0229201(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/28
G01R 31/02
H01L 23/34
H01L 23/36
H01L 23/40
H05K 3/00
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
封止樹脂から露出した放熱部を有し、前記放熱部を実装基板に接続して放熱する実装構造の半導体装置の実装状態の検査方法であって、
前記放熱部から延伸された吊りリード先端の、前記放熱部よりも高い位置に設けられた外部リードに第1の抵抗測定用プローブを接触させる工程と、
前記放熱部と接続された前記実装基板上のランドから延伸された端子部に第2の抵抗測定用プローブを接触させる工程と、
前記第1および第2の抵抗測定用プローブ間の抵抗を測定する工程と、
合否判定基準に従い良否判定する工程と、
からなることを特徴とする半導体装置の実装状態の検査方法。
【請求項2】
封止樹脂から露出した放熱部を有し、前記放熱部を実装基板に接続して放熱する実装構造の半導体装置の実装状態の検査方法であって、
前記放熱部から延伸された吊りリード先端の、前記放熱部よりも高い位置に設けられた外部リードに第1の抵抗測定用プローブを接触させる工程と、
前記放熱部と接続された前記実装基板上の複数のランドの一方から延伸された端子部に第2の抵抗測定用プローブを接触させる工程と
前記第1および第2の抵抗測定用プローブ間の抵抗を測定する工程と、
合否判定基準に従い良否判定する工程と、
からなることを特徴とする半導体装置の実装状態の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露出した放熱部を有する半導体装置の実装状態の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
消費電力が大きく、発熱量の多い半導体装置において、その放熱構造として半導体装置の上面に放熱部を搭載する以外に、半導体装置自身に組み込まれた放熱部を有するものがある。例えば、放熱部を内蔵した樹脂封止型の半導体装置が提案されている。また、基板とのはんだ接続を介して、基板へ放熱する構造も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような放熱構造において、信頼性を確保するためには接続部の良否を判定する必要がある。図5は半導体装置及びその接続部の構造を示す一例である。半導体装置51内のICチップ57に接触するように放熱部58が設けられ、放熱部58がはんだ55によって基板52に接続されている。このように放熱部が目視確認できる場合には、直接放熱部の接続の良否を判定できる。
【0004】
しかし、図6のように半導体装置51の中央部に放熱部58を有し、接続部が直接目視で確認できない場合、何らかの間接的な方法で実装後の放熱部の接続の良否判定を行わねばならない。このような場合、半導体装置にヒーターを接触させて基板の温度を測定することで接続部の良否を確認する方法を用いたり、半導体装置に通電して実動作させ、抵抗を測定したりして接続部の良否の確認をしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−148608号公報
【特許文献2】特開2005−57030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、半導体装置自身を実動作させることは、所望する放熱効果の直接的確認としては意味があるが、一般に周辺回路が必要となる。製品出荷前の検査などで周辺回路を含めて動作させることが出来る場合や一品のみの検査であるならばこの方法でも良い。しかし、対象となる半導体装置のみを評価するために周辺回路まで部品を実装していない場合や、周辺回路が実装してあっても温度サイクル試験などで周辺回路の方が先に不良になってしまった場合においては、実動作させる方法では放熱部の良否の検査ができなくなってしまう。
【0007】
また、半導体装置表面にヒーターを接触させ実装基板の温度を測定する場合、ヒーターと温度計をセットする必要があるので、そのために周辺回路の高さが制約されてしまうことがある。また、熱の伝わり方を測定するので測定には電気測定よりはるかに長い時間を要する。
なお、破壊的手段として接続部を切断し断面観察する手法もあり得るが、断面以外の箇所の接続性の良否が判定できないことや、継続的な評価が出来なくなるという問題点がある。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、半導体装置を動作させたり、試料を破壊したりする事なしに、放熱部の接続の検査を可能とする検査方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決のために以下の手段を用いる。
まず、封止樹脂から露出した放熱部を有し、前記放熱部を実装基板に接続して放熱する実装構造の半導体装置の実装状態の検査方法であって、
前記放熱部から延伸された吊りリード先端の外部リードに第1の抵抗測定用プローブを接触させる工程と、前記放熱部と接続された前記実装基板上のランドから延伸された端子部に第2の抵抗測定用プローブを接触させる工程と、前記第1および第2の抵抗測定用プローブ間の抵抗を測定する工程と、合否判定基準に従い良否判定する工程と、からなることを特徴とする半導体装置の実装状態の検査方法とする。
【0010】
また、封止樹脂から露出した放熱部を有し、前記放熱部を実装基板に接続して放熱する実装構造の半導体装置の実装状態の検査方法であって、
前記放熱部から延伸された吊りリード先端の外部リードに第1の抵抗測定用プローブを接触させる工程と、前記放熱部と接続された前記実装基板上の複数のランドの一方から延伸された端子部に第2の抵抗測定用プローブを接触させる工程と、前記第1および第2の抵抗測定用プローブ間の抵抗を測定する工程と、合否判定基準に従い良否判定する工程と、からなることを特徴とする半導体装置の実装状態の検査方法とする。
【0011】
また、封止樹脂から露出した放熱部を有し、前記放熱部を実装基板に接続して放熱する実装構造の半導体装置の実装状態の検査方法であって、
前記放熱部と接続された前記実装基板上の複数のランドの第1のランドから延伸された第1端子部に第1の抵抗測定用プローブを接触させる工程と、前記実装基板上の複数のランドの第2のランドから延伸された第2端子部に第2の抵抗測定用プローブを接触させる工程と、前記第1および第2の抵抗測定用プローブ間の抵抗を測定する工程と、合否判定基準に従い良否判定する工程と、からなることを特徴とする半導体装置の実装状態の検査方法とする。
【発明の効果】
【0012】
以上の本発明の検査方法によれば、半導体装置を動作させたり、試料を破壊したりする事なしに、放熱部の接続の検査を行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施の形態における半導体装置の実装構造の断面図である。
図2】本発明の第2の実施の形態における半導体装置の実装構造の断面図である。
図3】本発明の第3の実施の形態における半導体装置の実装構造の断面図である。
図4】本発明の第4の実施の形態における半導体装置の実装構造の断面図である。
図5】従来技術を説明するための半導体装置の実装構造の断面図である。
図6】従来技術を説明するための半導体装置の実装構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は半導体装置の実装構造の断面図であり、本発明の第1の実施の形態による検査方法を示している。図1は、半導体装置1、実装基板2、吊リード3、はんだ5、封止樹脂6、ICチップ7、吊リードから一方に延伸した放熱部8、放熱部8の裏面とはんだ5を介して接続する実装基板のランド9、吊リードから他方に延伸した外部リード10、放熱部と接続する実装基板のランドから延伸した端子部11、抵抗測定用プローブ12を示している。ICチップ7は吊りリード3から一方に延伸した放熱部8の上に載置され、封止樹脂6によって被覆されており、放熱部8の裏面は封止樹脂6から露出している。半導体装置1は、はんだ5を介して放熱部8が実装基板2の放熱部と接続する実装基板のランド9に接続されている。実装基板のランド9から延伸した端子部11は半導体装置1の下には配置されず、抵抗測定用プローブ12が接触できる位置に配置される。通常の動作時には、ICチップ7の発熱が放熱部8とはんだ5を伝って実装基板2に放熱される。
【0015】
ここで、半導体装置1の放熱部8につながる吊りリード3が他方に延伸されたプローブ接触可能な外部リード10と、半導体装置の放熱部8にはんだ5で接続されている実装基板接続部であるランド9から延伸されて電気的に接続している端子部11に、プローブ12をそれぞれ接触させ、半導体装置の放熱部8と実装基板の接続部9の間の抵抗を測定する事で接続状態の検査が可能となる。
【0016】
本実施例は半導体装置の構造が中央部裏面に放熱部を有するSOPタイプである。一般に外部リードであるリード端子は平行する二辺にあり、放熱部は半導体装置下面中央にあるため外観目視による接続検査は不可能であるが、半導体装置1半導体装置の放熱部につながる吊りリードを延伸したプローブ接触可能な外部リード10と、半導体装置の放熱部にはんだで接続されている実装基板接続部から延伸して電気的に接続している端子部11にプローブを接続し、半導体装置の放熱部と実装基板の接続部の間の抵抗を測定する事で接続状態の検査が可能となる。
【0017】
放熱部8のはんだ接続が十分な場合と接続が不十分な場合で抵抗には差が現れる。これは放熱部と実装基板とのはんだ接続の良否により電気抵抗に差が出るためである。また、接続の良否は接続面積すなわち抵抗の大小として現れるので、必要とされる接続面積の抵抗を試作時に把握することで検査時に合否判定する基準を明確にし、この合否判定基準に従い良否判定をすることができる。
以上のように、本発明の検査方法を用いることで、半導体装置の放熱部と実装基板との接続の良否を判定することができる。
【0018】
図2は半導体装置の実装構造の断面図であり、本発明の第2の実施の形態による検査方法を示している。露出した放熱部8が実装基板2にはんだ接続して、半導体装置の放熱部と接続される実装基板の接続部(ランド)9が2個以上に分離された接続部からなり、接続部から延伸された端子部11と、この半導体装置の放熱部8から延長された吊リード3を延伸したプローブ接触可能な外部リード10とに抵抗測定用プローブ12をそれぞれ接触させて抵抗を測定することで第1の実施形態と同様に放熱部の接続の良否が判定できることわかる。
【0019】
図1との違いは、はんだ接続の電気抵抗が低く測定ばらつきとはんだ接続の変化が判別しにくい場合、実装基板の接続部を2個以上に分離することにより接続部の面積を小さくして接続部から延伸された端子部11とこの半導体装置の放熱部から延長された吊リード3を延伸したプローブ接触可能な外部リード10との抵抗値を高くして、はんだ接続の抵抗変化に対する感度を上げることができる点である。ここで、2個以上に分離された接続部はICチップの直下においては相対的に大きい面積を有し、端子部11につながる接続部は相対的に小さい面積であるという特徴を有する。これにより、高感度の検査が可能となる。
【0020】
図3は半導体装置の実装構造の断面図であり、本発明の第3の実施の形態による検査方法を示している。半導体装置の放熱部と接続される実装基板の接続部が2個以上に分離された接続部からなり、2箇所の接続部からそれぞれ延伸された端子部11に抵抗測定用プローブをそれぞれ接触させて抵抗を測定することで図1と同様に放熱部の接続の良否が判定できることわかる。
【0021】
図1との違いは、半導体装置の放熱部に連なる吊リードを延伸した外部リードの大きさが抵抗測定用プローブで接触するのに必要な面積が確保できない場合、半導体装置の放熱部から延長された吊リードあるいは外部リードではなく、実装基板の接続部から延伸された端子部のみによりはんだ接続の抵抗測定が可能であり、かつ実装基板の接続部が2個以上に分離された接続部を用いるので図2と同様に抵抗値を高くしてはんだ接続の抵抗変化に対する感度を上げることができる。図では接続部が中央部と左右の3個に分離されたものが示されているが、中央部と左右のいずれかを一緒にすることでも放熱部の接続の良否を判定できる。
【0022】
図4は半導体装置の実装構造の断面図であり、本発明の第4の実施の形態による検査方法を示している。半導体装置の放熱部と接続される実装基板の接続部が2個以上に分離された接続部からなり、それぞれの接続部から延伸された端子部11を該半導体装置の放熱部から延長された吊リードとは異なるリード4に接続させている。それぞれの接続部から延伸された端子部11に抵抗測定用プローブをそれぞれ接触させて抵抗を測定することで図1と同様に放熱部の接続の良否が判定できることがわかる。なお、抵抗測定用プローブを用いないでも、半導体装置の内部の抵抗を測定するのと同様の回路でリード4の間の抵抗を測定することで、図1と同様に放熱部の接続の良否を判定することが可能である。
【0023】
半導体装置を実装基板に実装した後の実装状態の検査として、放熱部と接続する実装基板のランドから延伸した端子部11に抵抗測定用プローブ12を接触して抵抗測定を行なえることは図3と同様であるが、その後、半導体装置が実装状態にある製品の電気動作中にこの半導体装置自身が抵抗測定用プローブ12を用いることなく、はんだ接続の抵抗測定を行うことが可能なので、この製品の長期使用中に、はんだ接続部の抵抗測定からはんだ接続の実装状態を検知しその結果を半導体装置内部でフィードバックを行いこの半導体装置の入出力電力(入出力電圧および入出力電流)の制御を行い、実装状態で許容できるICチップの発熱になるように電力供給を制御することで、半導体装置の熱破壊の前に半導体装置ひいてはシステムの破綻を防ぐことに応用することが可能である。
【0024】
本発明の検査方法による放熱部の接続の良否の判定は次のようにすればよい。実動作によって放熱性を直接的確認することやX線観察によりはんだ接続が確実にされていることを確認した試料と意図的にはんだ接続が不十分な試料を本発明の検査方法であらかじめ測定し、検査対象である半導体装置の実装状態の本発明の検査方法によって得られた電気抵抗値を、上記の試料の測定で得られた抵抗値と比較することで放熱部の接続の良否を判断する。はんだ接続の有無で明らかな差があるので判断は容易に行える。
【0025】
また、本実施例では、裏面に放熱部を有するSOPに対し説明したがQFPやBGAパッケージのように中央部の放熱部やはんだボールを介して基板に放熱させる実装構造においても、本発明は有効である。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明にかかる検査方法は、半導体装置を動作させたり試料を破壊したりする事なく放熱部の接続の検査を行うことが出来るものであり、露出した放熱部を有する半導体装置等の実装構造の検査において有用である。また、半導体装置の長期使用における実装状態の悪化に対し、その実装状態を検査、フィードバックすることで熱暴走による半導体装置ひいてはシステムの破綻を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0027】
1 半導体装置
2 実装基板
3 吊リード
4 リード
5 はんだ
6 封止樹脂
7 ICチップ
8 放熱部
9 放熱部と接続する実装基板のランド
10 吊リードから延伸した外部リード
11 放熱部と接続する実装基板のランドから延伸した端子部
12 抵抗測定用プローブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6