特許第6652344号(P6652344)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6652344
(24)【登録日】2020年1月27日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】ケーキ類用品質改良剤
(51)【国際特許分類】
   A21D 2/16 20060101AFI20200210BHJP
   A21D 2/18 20060101ALI20200210BHJP
【FI】
   A21D2/16
   A21D2/18
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-155650(P2015-155650)
(22)【出願日】2015年8月6日
(65)【公開番号】特開2017-29119(P2017-29119A)
(43)【公開日】2017年2月9日
【審査請求日】2018年7月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】390010674
【氏名又は名称】理研ビタミン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】梅田 明宏
(72)【発明者】
【氏名】神山 大介
【審査官】 鈴木 崇之
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭47−015726(JP,B1)
【文献】 特開2012−080820(JP,A)
【文献】 特公昭45−033744(JP,B1)
【文献】 韓国公開特許第10−2010−0062122(KR,A)
【文献】 特開平11−113478(JP,A)
【文献】 特開2001−286255(JP,A)
【文献】 特開平06−133695(JP,A)
【文献】 特開2006−223209(JP,A)
【文献】 特開2000−217519(JP,A)
【文献】 特開昭54−098365(JP,A)
【文献】 特開平06−086658(JP,A)
【文献】 特開昭51−139661(JP,A)
【文献】 食品添加物,製菓事典,株式会社 朝倉書店 ,1988年,第1版,pp. 178-190
【文献】 宮島千尋,アルギン酸類の概要と応用,繊維と工業,2009年,65巻、12号,pp. 444-448
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21D 2/00−17/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルギン酸プロピレングリコールエステルを15〜40質量%及びグルコノデルタラクトンを20〜40質量%含有することを特徴とするケーキ類用品質改良剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーキ類用品質改良剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蒸しケーキ、シフォンケーキなどのケーキ類は、蒸し工程又は焼成工程を経て製造された後、経時的に製品のボリュームが低下する現象(以下、「縮み」という)が生じることが知られている。縮みは、蒸し工程又は焼成工程を経て得られるケーキ類が冷却される際、製品内部の温度と外気温との温度差が生じることにより、製品内部の圧力が急激に低下し、気孔構造が潰れることが原因と言われている。
【0003】
縮みが発生すると、製品の表面が陥没するなどして見栄えが悪くなるという問題や、食感が重くなり口溶けの悪い製品となるという問題が生じる。また、縮みの発生により製品の中心部と側面の高さにバラつきが生じると、デコレーションをするためにその上部をスライスして廃棄する際に、ロスが多くなるという問題や、工業的に一定の高さでスライスできないという問題が生じる。
【0004】
ケーキ類の縮みを抑制する技術としては、こんにゃく粉、糖質及び澱粉を合わせて調整した乾燥こんにゃく加工品を含むことを特徴とする焼成和洋菓子用品質改良剤(特許文献1参照)、小麦粉100質量部に対し、(A)アルギン酸プロピレングリコールエステル0.04〜0.8質量部、(B)有機酸モノアシルグリセロールを除くモノアシルグリセロール0.01〜2質量部、(C)有機酸モノアシルグリセロール0.01〜1質量部を含有するベーカリー食品(特許文献2参照)、などが開示されている。
【0005】
しかし、いまだ十分な縮み抑制効果を得ることのできるケーキ類用品質改良剤がないのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−43980号公報
【特許文献2】特開2012−24001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ケーキ類の縮み抑制効果に優れたケーキ類用品質改良剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、アルギン酸プロピレングリコールエステル、グルコノデルタラクトンの2成分を併用することにより、ケーキ類の縮みを有効に抑制できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、次の(1)〜(4)から成っている。
(1)アルギン酸プロピレングリコールエステル及びグルコノデルタラクトンを含有することを特徴とするケーキ類用品質改良剤。
(2)上記(1)記載のケーキ類用品質改良剤を含有することを特徴とするケーキ類。
(3)アルギン酸プロピレングリコールエステル及びグルコノデルタラクトンを添加することを特徴とするケーキ類の製造方法。
(4)アルギン酸プロピレングリコールエステル及びグルコノデルタラクトンを添加することを特徴とするケーキ類の縮み抑制方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明のケーキ類用品質改良剤を用いることで、ケーキ類の縮みを抑制することができ、また、口溶けの良いケーキ類を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明で用いられるアルギン酸プロピレングリコールエステル(以下、「アルギン酸エステル」という)としては特に制限はなく、食品に一般的に利用されているものを使用することができる。アルギン酸エステルの粘度に特に制限はなく、本発明においては、例えば10〜120mPa・sのものを用いることができる。なお、本明細書における粘度(mPa・s)は、1質量%水溶液の20℃における粘度(BL型回転粘度計で測定)である。
【0012】
本発明で用いられるグルコノデルタラクトンとしては特に制限はなく、食品に一般的に利用されているものを使用することができる。
【0013】
本発明のケーキ類用品質改良剤は、アルギン酸エステル及びグルコノデルタラクトンを含有するものである。該品質改良剤中のアルギン酸エステルの含有量としては、例えば5〜50質量%、好ましくは15〜40質量%、グルコノデルタラクトンの含有量としては、例えば10〜60質量%、好ましくは20〜40質量%である。
【0014】
本発明のケーキ類用品質改良剤には、本発明の目的及び効果を阻害しない範囲において、アルギン酸エステル及びグルコノデルタラクトン以外の成分を添加しても良く、例えば、コーンスターチ、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、デキストリンなどの澱粉類、ショ糖、麦芽糖、トレハロース、オリゴ糖などの糖類、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどの乳化剤、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、グアーガムなどの増粘多糖類、フマル酸、クエン酸三ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムなどの酸性剤などを添加することができる。
【0015】
本発明のケーキ類用品質改良剤の製造方法としては特に制限はなく、例えば、粉末状のアルギン酸エステル及びグルコノデルタラクトンを均一に混合することにより、粉末状のケーキ類用品質改良剤を得ることができる。
【0016】
本発明のケーキ類用品質改良剤の使用対象であるケーキ類としては、例えば、スポンジケーキ、シフォンケーキ、ロールケーキ、マフィン、パウンドケーキ、パンケーキ、どら焼きなどの焼成菓子や、蒸しパン、蒸しケーキ、饅頭などの蒸し菓子などが挙げられる。本発明のケーキ類用品質改良剤を含有するケーキ類も本発明の形態の一つである。
【0017】
本発明のケーキ類用品質改良剤の使用方法は特に制限はなく、例えば、ケーキ類の生地を調整する際に、原材料と一緒に混合して用いることができる。該原材料としては、穀粉類(例えば、小麦粉、米粉など)、澱粉類(例えば、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、ワキシーコーンスターチ、コーンスターチ、小麦澱粉、又はこれらを原料として得られるエーテル化工澱粉、エステル化工澱粉、架橋化工澱粉、酸化工澱粉など)、糖類、卵、水、油脂類(例えば、マーガリン、ショートニング、製菓用油脂、バターなど)、製菓用起泡剤(製菓用起泡性乳化油脂を含む)、乳製品(例えば、牛乳、濃縮乳、生クリーム、脱脂粉乳、練乳、チーズなど)、果実、果実加工品、ココア、ココアパウダー、チョコレート類、ナッツ類、洋酒類、膨張剤(例えば、ベーキングパウダー、重曹など)、調味料(例えば、香料、甘味料、酸味料、食塩など)、着色料、酸化防止剤などが挙げられる。
【0018】
本発明のケーキ類用品質改良剤の使用量としては、ケーキ類の生地の原材料中の穀粉類及び/又は澱粉類100質量部に対して、例えば0.1〜5質量部、好ましくは0.3〜3質量部である。
【0019】
以上のように、本発明のケーキ類用品質改良剤を使用することでケーキ類の縮みを抑制することができるが、ケーキ類の製造時に、アルギン酸エステルとグルコノデルタラクトンを別々に添加することによっても、本発明のケーキ類用品質改良剤を使用した場合と同等の効果を得ることができる。アルギン酸エステル及びグルコノデルタラクトンを添加することを特徴とするケーキ類の製造方法、並びに、アルギン酸エステル及びグルコノデルタラクトンを添加することを特徴とするケーキ類の縮み抑制方法も、本発明の形態の一つである。
【0020】
本発明のケーキ類の製造方法及び縮み抑制方法は、ケーキ類の製造工程においてアルギン酸エステル及びグルコノデルタラクトンを添加すること以外は、一般的なケーキ類の公知の製造方法に従い実施することができる。例えば、アルギン酸エステル及びグルコノデルタラクトンを添加して生地を調整した後、該生地を蒸し又は焼成などの方法で加熱することにより、縮みの抑制されたケーキ類を製造することができる。アルギン酸エステル及びグルコノデルタラクトンの添加方法に特に制限はないが、例えば、ケーキ類の生地調整工程において、穀粉類、澱粉類、糖類、卵、水、製菓用起泡剤などの原材料と共に、アルギン酸エステル及びグルコノデルタラクトンを混合することができる。
【0021】
本発明のケーキ類の製造方法及び本発明のケーキ類の縮み抑制方法において、ケーキ類の製造時に、アルギン酸エステルとグルコノデルタラクトンを別々に添加する際の、アルギン酸エステル及びグルコノデルタラクトンの使用量としては、ケーキ類の生地の原材料中の穀粉類及び/又は澱粉類100質量部に対して、アルギン酸エステルが、例えば0.005〜2.5質量部、好ましくは0.045〜1.2質量部、グルコノデルタラクトンが、例えば0.01〜3質量部、好ましくは0.06〜1.2質量部である。
【0022】
以下に実施例を比較例と共に挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
【実施例】
【0023】
[ケーキ類用品質改良剤の作製]
(1)原材料
1)アルギン酸エステル1(商品名:ダックロイドPF−H;キッコーマンバイオケミファ社製;粘度:80〜100mPa・s(メーカー公称値))
2)アルギン酸エステル2(商品名:ダックロイドPF;キッコーマンバイオケミファ社製;粘度:45〜55mPa・s(メーカー公称値))
3)アルギン酸エステル3(商品名:ダックロイドEFR;キッコーマンバイオケミファ社製;粘度:25〜45mPa・s(メーカー公称値))
4)アルギン酸ナトリウム(商品名:ダックアルギンNSPMR;キッコーマンバイオケミファ社製)
5)キサンタンガム(商品名:グリンステッドキサンタンクリア−80;ダニスコジャパン社製)
6)グアーガム(商品名:SUPERGEL CSA 200/50;三唱社製)
7)グルコノデルタラクトン(商品名:リケンラクトン;理研ビタミン社製)
8)フマル酸(商品名:フマル酸;扶桑化学工業社製)
9)クエン酸三ナトリウム(商品名:クエン酸三ナトリウム(結晶);昭和化工社製)
10)リン酸二水素ナトリウム(商品名:リン酸一ナトリウム;太平化学産業社製)
11)コーンスターチ(商品名:コーンスターチCD−Y;サンエイ糖化社製)
【0024】
(2)ケーキ類用品質改良剤の配合
上記原材料を用いて作製したケーキ類用品質改良剤1〜13の配合組成を表1及び2に示した。この内、表1のケーキ類用品質改良剤1〜5は本発明に係る実施例であり、表2のケーキ類用品質改良剤6〜13はそれらに対する比較例である。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
(3)ケーキ類用品質改良剤の製造方法
表1及び2に記載の量の等倍量の原材料を2L容のポリエチレン製の袋に入れ、その袋の口を縛ったものを手で持ち、5分間均一に混合してケーキ類用品質改良剤1〜13を得た。
【0028】
[蒸しケーキの作製と評価]
(1)原材料
1)殺菌液卵(商品名:エクセルエッグHV;キューピータマゴ社製)
2)上白糖(商品名;フジ日本精糖社製)
3)製菓用起泡性乳化油脂(商品名:パティグラース−500;理研ビタミン社製)
4)薄力粉(商品名:バイオレット;日清製粉社製)
5)ベーキングパウダー(商品名:BP(O);オリエンタル酵母工業社製)6)製菓用油脂(商品名:フレンジーT;理研ビタミン社製)
7)水
8)ケーキ類用品質改良剤1〜13
9)アルギン酸エステル1(商品名:ダックロイドPF−H;キッコーマンバイオケミファ社製;粘度:80〜100mPa・s(メーカー公称値))
10)グルコノデルタラクトン(商品:リケンラクトン;理研ビタミン社製)
【0029】
(2)蒸しケーキの配合及び使用量
上記原材料を用いて作製した蒸しケーキ1〜15の配合割合を、使用する小麦粉(薄力粉)を100質量部として表3及び4に示した。この内、表3の蒸しケーキ1〜6は本発明に係る実施例であり、表4の蒸しケーキ7〜14はそれらに対する比較例であり、表4の蒸しケーキ15はケーキ類用品質改良剤を用いず、かつ、アルギン酸エステル及びグルコノデルタラクトンを用いずに作製した対照である。また使用した小麦粉(薄力粉)の全量は200gとした。
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】
(3)蒸しケーキの製造方法
表3及び4に示した原材料を5コート縦型ミキサー(型式:万能混合撹拌機5DMr;ワイヤーホイッパー装着;品川工業所社製)に入れ、該ミキサーにて、1分間低速で撹拌した後、生地比重が0.48g/cmになるまで高速で撹拌し、ケーキ生地を得た。得られたケーキ生地を45gに分割し、カップ状のグラシン紙に入れてスチーマーボックス(型式:K−1DX;アサミ社製)に入れ、92℃で16分蒸し上げ、蒸しケーキ1〜15を得た。
【0033】
(4)比容積の測定及び外観の評価
得られた蒸しケーキ1〜15を室温で30分間冷却した後、ポリエチレン製の袋に密閉し、さらに室温にて24時間保管後、グラシン紙から取り出した蒸しケーキ1〜15について、レーザー体積計(型式:SELNAC−Win VM2000;アステックス社製)にて比容積(cm/g)を測定した。また、併せて外観の評価を行った。外観の評価は、表5の評価基準に従い、ケーキ類用品質改良剤を用いず、かつ、アルギン酸エステル及びグルコノデルタラクトンを用いずに作製した対照(蒸しケーキ15)との比較を、10名のパネラーで行った。結果はそれぞれ10名の評点の平均値を求め、下記基準にて記号化した。結果を表7に示す。
◎:平均点3.5以上
○:平均点2.5以上、3.5未満
△:平均点1.5以上、2.5未満
×:平均点1.5未満
【0034】
【表5】
【0035】
(5)官能評価
得られた蒸しケーキ1〜15を室温で30分間冷却した後、ポリエチレン製の袋に密閉し、さらに室温にて24時間保管後、口溶けについての官能評価を行った。評価は、表6の評価基準により、10名のパネラーで行った。結果はそれぞれ10名の評点の平均値を求め、下記基準にて記号化した。結果を表7に示す。
◎:平均点3.5以上
○:平均点2.5以上、3.5未満
△:平均点1.5以上、2.5未満
×:平均点1.5未満
【0036】
【表6】
【0037】
【表7】
【0038】
結果より、本発明のケーキ類用品質改良剤1〜5を添加して得られた蒸しケーキ1〜5、並びにアルギン酸エステル及びグルコノデルタラクトンを添加して得られた蒸しケーキ6は、対照と比較して比容積が高く、外観が好ましい評価であり、十分に縮みが抑制されていた。また、口溶けも好ましい評価であった。これに対し、比較例のケーキ類用品質改良剤6〜13を添加して得られた蒸しケーキ7〜14は、対照と比較して比容積が低いか、又はやや高い程度であり、外観の評価が好ましくなく、縮みの抑制が不十分であった。
【0039】
[シフォンケーキの作製と評価]
(1)原材料
1)殺菌液卵(商品名:エクセルエッグHV;キューピータマゴ社製)
2)卵白(商品名:凍結卵白;キューピータマゴ社製)
3)上白糖(商品名;フジ日本精糖社製)
4)製菓用起泡剤(商品名:パティグラース−100;理研ビタミン社製)
5)薄力粉(商品名:バイオレット;日清製粉社製)
6)ベーキングパウダー(商品名:BP(O);オリエンタル酵母工業社製)7)製菓用油脂(商品名:フレンジーT;理研ビタミン社製)
8)製菓用液体ショートニング(商品名:フレンジーL;理研ビタミン社製)
9)蜂蜜(商品名:BK−6ふんわりアカシアはちみつ;加藤美蜂園本舗社製)
10)水
11)ケーキ類用品質改良剤1〜13
12)アルギン酸エステル1(商品名:ダックロイドPF−H;キッコーマンバイオケミファ社製;粘度:80〜100mPa・s(メーカー公称値))
13)グルコノデルタラクトン(商品:リケンラクトン;理研ビタミン社製)
【0040】
(2)シフォンケーキの配合及び使用量
上記原材料を用いて作製したシフォンケーキ1〜15の配合割合を、使用する小麦粉(薄力粉)を100質量部として表8に示した。この内、表8のシフォンケーキ1〜6は本発明に係る実施例であり、表9のシフォンケーキ7〜14はそれらに対する比較例であり、表9のシフォンケーキ15はケーキ類用品質改良剤を用いず、かつ、アルギン酸エステル及びグルコノデルタラクトンを用いずに作製した対照である。また使用した小麦粉(薄力粉)の全量は200gとした。
【0041】
【表8】
【0042】
【表9】
【0043】
(3)シフォンケーキの製造方法
表8及び9に示した原材料を、10コート縦型ミキサー(型式;カント―ミキサー;ワイヤーホイッパー装着;関東混合機工業社製)に入れ、該ミキサーにて、1分間低速で撹拌した後、生地比重が0.37g/cmになるまで高速で撹拌し、ケーキ生地を得た。得られたケーキ生地を330gずつ直径18cmの丸型に入れ、固定窯(型式;BKS−622:七洋製作所社製)を用いて上火180℃下火160℃で36分焼成し、シフォンケーキ1〜15を得た。
【0044】
(4)中心部の高さの測定及び外観の評価
得られたシフォンケーキ1〜15を丸型から取り出し、室温で50分間冷却した後、ポリエチレン製の袋に密閉し、さらに室温にて24時間保管後、中心部にノギスを挿して、中心部の高さ(mm)を測定した。また併せて外観の評価を行った。外観の評価は、表10の評価基準に従い、ケーキ類用品質改良剤を用いず、かつ、アルギン酸エステル及びグルコノデルタラクトンを用いずに作製した対照(シフォンケーキ15)との比較を、10名のパネラーで行った。結果はそれぞれ10名の評点の平均値を求め、下記基準にて記号化した。結果を表12に示す。
◎:平均点3.5以上
○:平均点2.5以上、3.5未満
△:平均点1.5以上、2.5未満
×:平均点1.5未満
【0045】
【表10】
【0046】
(5)官能評価
シフォンケーキ1〜15を室温で50分間冷却した後、ポリエチレン製の袋に密閉し、さらに室温にて24時間保管後、口溶けについての官能評価を行った。評価は、表11の評価基準により、10名のパネラーで行った。結果はそれぞれ10名の評点の平均値を求め、下記基準にて記号化した。結果を表12に示す。
◎:平均点3.5以上
○:平均点2.5以上、3.5未満
△:平均点1.5以上、2.5未満
×:平均点1.5未満
【0047】
【表11】
【0048】
【表12】
結果より、本発明のケーキ類用品質改良剤1〜5を添加して得られたシフォンケーキ1〜5、並びにアルギン酸エステル及びグルコノデルタラクトンを添加して得られたシフォンケーキ6は、対照と比較して中心部の高さが高く、上面に陥没がなく、縮みが抑制されていた。また口溶けも好ましい評価であった。これに対し、比較例のケーキ類用品質改良剤を6〜13を添加して得られたシフォンケーキ7〜14は、対照と比較して中心部の高さがやや高いものの、上面に陥没が見られ、縮みの抑制が不十分であった。