【実施例】
【0023】
[ケーキ類用品質改良剤の作製]
(1)原材料
1)アルギン酸エステル1(商品名:ダックロイドPF−H;キッコーマンバイオケミファ社製;粘度:80〜100mPa・s(メーカー公称値))
2)アルギン酸エステル2(商品名:ダックロイドPF;キッコーマンバイオケミファ社製;粘度:45〜55mPa・s(メーカー公称値))
3)アルギン酸エステル3(商品名:ダックロイドEFR;キッコーマンバイオケミファ社製;粘度:25〜45mPa・s(メーカー公称値))
4)アルギン酸ナトリウム(商品名:ダックアルギンNSPMR;キッコーマンバイオケミファ社製)
5)キサンタンガム(商品名:グリンステッドキサンタンクリア−80;ダニスコジャパン社製)
6)グアーガム(商品名:SUPERGEL CSA 200/50;三唱社製)
7)グルコノデルタラクトン(商品名:リケンラクトン;理研ビタミン社製)
8)フマル酸(商品名:フマル酸;扶桑化学工業社製)
9)クエン酸三ナトリウム(商品名:クエン酸三ナトリウム(結晶);昭和化工社製)
10)リン酸二水素ナトリウム(商品名:リン酸一ナトリウム;太平化学産業社製)
11)コーンスターチ(商品名:コーンスターチCD−Y;サンエイ糖化社製)
【0024】
(2)ケーキ類用品質改良剤の配合
上記原材料を用いて作製したケーキ類用品質改良剤1〜13の配合組成を表1及び2に示した。この内、表1のケーキ類用品質改良剤1〜5は本発明に係る実施例であり、表2のケーキ類用品質改良剤6〜13はそれらに対する比較例である。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
(3)ケーキ類用品質改良剤の製造方法
表1及び2に記載の量の等倍量の原材料を2L容のポリエチレン製の袋に入れ、その袋の口を縛ったものを手で持ち、5分間均一に混合してケーキ類用品質改良剤1〜13を得た。
【0028】
[蒸しケーキの作製と評価]
(1)原材料
1)殺菌液卵(商品名:エクセルエッグHV;キューピータマゴ社製)
2)上白糖(商品名;フジ日本精糖社製)
3)製菓用起泡性乳化油脂(商品名:パティグラース−500;理研ビタミン社製)
4)薄力粉(商品名:バイオレット;日清製粉社製)
5)ベーキングパウダー(商品名:BP(O);オリエンタル酵母工業社製)6)製菓用油脂(商品名:フレンジーT;理研ビタミン社製)
7)水
8)ケーキ類用品質改良剤1〜13
9)アルギン酸エステル1(商品名:ダックロイドPF−H;キッコーマンバイオケミファ社製;粘度:80〜100mPa・s(メーカー公称値))
10)グルコノデルタラクトン(商品:リケンラクトン;理研ビタミン社製)
【0029】
(2)蒸しケーキの配合及び使用量
上記原材料を用いて作製した蒸しケーキ1〜15の配合割合を、使用する小麦粉(薄力粉)を100質量部として表3及び4に示した。この内、表3の蒸しケーキ1〜6は本発明に係る実施例であり、表4の蒸しケーキ7〜14はそれらに対する比較例であり、表4の蒸しケーキ15はケーキ類用品質改良剤を用いず、かつ、アルギン酸エステル及びグルコノデルタラクトンを用いずに作製した対照である。また使用した小麦粉(薄力粉)の全量は200gとした。
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】
(3)蒸しケーキの製造方法
表3及び4に示した原材料を5コート縦型ミキサー(型式:万能混合撹拌機5DMr;ワイヤーホイッパー装着;品川工業所社製)に入れ、該ミキサーにて、1分間低速で撹拌した後、生地比重が0.48g/cm
3になるまで高速で撹拌し、ケーキ生地を得た。得られたケーキ生地を45gに分割し、カップ状のグラシン紙に入れてスチーマーボックス(型式:K−1DX;アサミ社製)に入れ、92℃で16分蒸し上げ、蒸しケーキ1〜15を得た。
【0033】
(4)比容積の測定及び外観の評価
得られた蒸しケーキ1〜15を室温で30分間冷却した後、ポリエチレン製の袋に密閉し、さらに室温にて24時間保管後、グラシン紙から取り出した蒸しケーキ1〜15について、レーザー体積計(型式:SELNAC−Win VM2000;アステックス社製)にて比容積(cm
3/g)を測定した。また、併せて外観の評価を行った。外観の評価は、表5の評価基準に従い、ケーキ類用品質改良剤を用いず、かつ、アルギン酸エステル及びグルコノデルタラクトンを用いずに作製した対照(蒸しケーキ15)との比較を、10名のパネラーで行った。結果はそれぞれ10名の評点の平均値を求め、下記基準にて記号化した。結果を表7に示す。
◎:平均点3.5以上
○:平均点2.5以上、3.5未満
△:平均点1.5以上、2.5未満
×:平均点1.5未満
【0034】
【表5】
【0035】
(5)官能評価
得られた蒸しケーキ1〜15を室温で30分間冷却した後、ポリエチレン製の袋に密閉し、さらに室温にて24時間保管後、口溶けについての官能評価を行った。評価は、表6の評価基準により、10名のパネラーで行った。結果はそれぞれ10名の評点の平均値を求め、下記基準にて記号化した。結果を表7に示す。
◎:平均点3.5以上
○:平均点2.5以上、3.5未満
△:平均点1.5以上、2.5未満
×:平均点1.5未満
【0036】
【表6】
【0037】
【表7】
【0038】
結果より、本発明のケーキ類用品質改良剤1〜5を添加して得られた蒸しケーキ1〜5、並びにアルギン酸エステル及びグルコノデルタラクトンを添加して得られた蒸しケーキ6は、対照と比較して比容積が高く、外観が好ましい評価であり、十分に縮みが抑制されていた。また、口溶けも好ましい評価であった。これに対し、比較例のケーキ類用品質改良剤6〜13を添加して得られた蒸しケーキ7〜14は、対照と比較して比容積が低いか、又はやや高い程度であり、外観の評価が好ましくなく、縮みの抑制が不十分であった。
【0039】
[シフォンケーキの作製と評価]
(1)原材料
1)殺菌液卵(商品名:エクセルエッグHV;キューピータマゴ社製)
2)卵白(商品名:凍結卵白;キューピータマゴ社製)
3)上白糖(商品名;フジ日本精糖社製)
4)製菓用起泡剤(商品名:パティグラース−100;理研ビタミン社製)
5)薄力粉(商品名:バイオレット;日清製粉社製)
6)ベーキングパウダー(商品名:BP(O);オリエンタル酵母工業社製)7)製菓用油脂(商品名:フレンジーT;理研ビタミン社製)
8)製菓用液体ショートニング(商品名:フレンジーL;理研ビタミン社製)
9)蜂蜜(商品名:BK−6ふんわりアカシアはちみつ;加藤美蜂園本舗社製)
10)水
11)ケーキ類用品質改良剤1〜13
12)アルギン酸エステル1(商品名:ダックロイドPF−H;キッコーマンバイオケミファ社製;粘度:80〜100mPa・s(メーカー公称値))
13)グルコノデルタラクトン(商品:リケンラクトン;理研ビタミン社製)
【0040】
(2)シフォンケーキの配合及び使用量
上記原材料を用いて作製したシフォンケーキ1〜15の配合割合を、使用する小麦粉(薄力粉)を100質量部として表8に示した。この内、表8のシフォンケーキ1〜6は本発明に係る実施例であり、表9のシフォンケーキ7〜14はそれらに対する比較例であり、表9のシフォンケーキ15はケーキ類用品質改良剤を用いず、かつ、アルギン酸エステル及びグルコノデルタラクトンを用いずに作製した対照である。また使用した小麦粉(薄力粉)の全量は200gとした。
【0041】
【表8】
【0042】
【表9】
【0043】
(3)シフォンケーキの製造方法
表8及び9に示した原材料を、10コート縦型ミキサー(型式;カント―ミキサー;ワイヤーホイッパー装着;関東混合機工業社製)に入れ、該ミキサーにて、1分間低速で撹拌した後、生地比重が0.37g/cm
3になるまで高速で撹拌し、ケーキ生地を得た。得られたケーキ生地を330gずつ直径18cmの丸型に入れ、固定窯(型式;BKS−622:七洋製作所社製)を用いて上火180℃下火160℃で36分焼成し、シフォンケーキ1〜15を得た。
【0044】
(4)中心部の高さの測定及び外観の評価
得られたシフォンケーキ1〜15を丸型から取り出し、室温で50分間冷却した後、ポリエチレン製の袋に密閉し、さらに室温にて24時間保管後、中心部にノギスを挿して、中心部の高さ(mm)を測定した。また併せて外観の評価を行った。外観の評価は、表10の評価基準に従い、ケーキ類用品質改良剤を用いず、かつ、アルギン酸エステル及びグルコノデルタラクトンを用いずに作製した対照(シフォンケーキ15)との比較を、10名のパネラーで行った。結果はそれぞれ10名の評点の平均値を求め、下記基準にて記号化した。結果を表12に示す。
◎:平均点3.5以上
○:平均点2.5以上、3.5未満
△:平均点1.5以上、2.5未満
×:平均点1.5未満
【0045】
【表10】
【0046】
(5)官能評価
シフォンケーキ1〜15を室温で50分間冷却した後、ポリエチレン製の袋に密閉し、さらに室温にて24時間保管後、口溶けについての官能評価を行った。評価は、表11の評価基準により、10名のパネラーで行った。結果はそれぞれ10名の評点の平均値を求め、下記基準にて記号化した。結果を表12に示す。
◎:平均点3.5以上
○:平均点2.5以上、3.5未満
△:平均点1.5以上、2.5未満
×:平均点1.5未満
【0047】
【表11】
【0048】
【表12】
結果より、本発明のケーキ類用品質改良剤1〜5を添加して得られたシフォンケーキ1〜5、並びにアルギン酸エステル及びグルコノデルタラクトンを添加して得られたシフォンケーキ6は、対照と比較して中心部の高さが高く、上面に陥没がなく、縮みが抑制されていた。また口溶けも好ましい評価であった。これに対し、比較例のケーキ類用品質改良剤を6〜13を添加して得られたシフォンケーキ7〜14は、対照と比較して中心部の高さがやや高いものの、上面に陥没が見られ、縮みの抑制が不十分であった。