(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
流路形成壁部に形成された貫通孔又は前記貫通孔の内周面を被覆する被覆筒状体に挿入可能な挿入操作具に、前記貫通孔の孔径又は前記被覆筒状体の内径よりも小径となる縮径状態と前記貫通孔の孔径よりも大径となる拡径状態とに変更可能な拡縮手段が設けられている拡縮操作装置であって、
前記拡縮手段には、前記挿入操作具に対して前記貫通孔の孔径方向に移動可能な状態で円周方向に配置される複数の可動ピースと、前記可動ピースを前記貫通孔の孔径又は前記被覆筒状体の内径よりも小径となる形態にまで径方向内方側に引退する縮径状態と前記貫通孔の孔径よりも大径となる形態で径方向外方側に円形状又は略円形状に突出する拡径状態とに変更する形態変更機構とが備えられ、
前記挿入操作具には、前記可動ピースが前記貫通孔の内面側開口縁に係止している状態で前記貫通孔の内周面又は前記被覆筒状体の内周面に対面する部位に配置される径方向外方側に弾性膨出変形可能な弾性体と、前記弾性体を前記貫通孔の孔径又は前記被覆筒状体の内径よりも小径となる収縮状態と前記貫通孔の孔径よりも大径となる膨出状態とに変更する弾性操作機構とを備えた拡張作業部が設けられ、前記可動ピースの少なくとも一部には、前記弾性操作機構の膨出状態への変更に伴う前記弾性体の弾性膨張変形を前記挿入操作具の軸芯方向から受け止める受け部が設けられている拡縮操作装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の枝管流路遮断装置の拡縮手段は、拡径状態に変更された二組の腰折れリンクの中間枢支連結部を流路形成壁部の内面における貫通孔の開口周縁に係止させるため、貫通孔密封用の拡張作業部に作用する大きな水圧(流体圧)を両腰折れリンクの中間枢支連結部で受け止めることになり、両腰折れリンク全体を頑丈に構成する必要がある。
さらに、従来の拡縮手段を構成する二組の腰折れリンクは、それの中間枢支連結部を流路形成壁部の内面における貫通孔の開口周縁に対して抜け止め係止させるだけの機能が付与されたものであり、それ以外の目的に使用されることなない。
【0007】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、拡縮手段の合理的な改良により、流路形成壁部の貫通孔又は貫通孔の内周面を被覆する被覆筒状体に対するスムーズな挿抜操作性を確保しながらも、流体圧を分散状態で確実、強固に受け止めることが可能で、且つ、使用形態の多様化をも容易に図ることのできる拡縮操作装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による第1の特徴構成は、流路形成壁部に形成された貫通孔又は前記貫通孔の内周面を被覆する被覆筒状体に挿入可能な挿入操作具に、前記貫通孔の孔径又は前記被覆筒状体の内径よりも小径となる縮径状態と前記貫通孔の孔径よりも大径となる拡径状態とに変更可能な拡縮手段が設けられている拡縮操作装置であって、
前記拡縮手段には、前記挿入操作具に対して前記貫通孔の孔径方向に移動可能な状態で円周方向に配置される複数の可動ピースと、前記可動ピースを前記貫通孔の孔径又は前記被覆筒状体の内径よりも小径となる形態にまで径方向内方側に引退する縮径状態と前記貫通孔の孔径よりも大径となる形態で径方向外方側に円形状又は略円形状に突出する拡径状態とに変更する形態変更機構とが備えら
れ、
前記挿入操作具には、前記可動ピースが前記貫通孔の内面側開口縁に係止している状態で前記貫通孔の内周面又は前記被覆筒状体の内周面に対面する部位に配置される径方向外方側に弾性膨出変形可能な弾性体と、前記弾性体を前記貫通孔の孔径又は前記被覆筒状体の内径よりも小径となる収縮状態と前記貫通孔の孔径よりも大径となる膨出状態とに変更する弾性操作機構とを備えた拡張作業部が設けられ、前記可動ピースの少なくとも一部には、前記弾性操作機構の膨出状態への変更に伴う前記弾性体の弾性膨張変形を前記挿入操作具の軸芯方向から受け止める受け部が設けられている点にある。
【0009】
上記構成によれば、挿入操作具に設けられた拡縮手段を流路形成壁部の貫通孔又は当該貫通孔の内周面を被覆する被覆筒状体に挿入するときには、円周方向に配置された複数の可動ピースを形態変更機構で縮径状態にする。これにより、複数の可動ピースは貫通孔の孔径又は被覆筒状体の内径よりも小径となる形態にまで径方向内方側に引退するので、可動ピースを流路形成壁部の貫通孔又は被覆筒状体にスムーズに挿入することができる。
次に、所定位置に挿入された複数の可動ピースを形態変更機構で拡径状態にすると、複数の可動ピースは貫通孔の孔径よりも大径となる形態で径方向外方側に円形状又は略円形状に突出する。
これにより、縮径状態から拡径状態に変更される複数の可動ピースを、流路形成壁部における貫通孔の内面側開口縁に対して軸芯方向から円形状又は略円形状に係止させる係止用の可動ピースに構成することができる、或いは、貫通孔の内周面を被覆する被覆筒状体の突出端部の全周又は略全周を抜止め状態にまで径方向外方に拡径変形させる拡張加工用の可動ピースに構成することができる。
【0010】
そのため、係止用の可動ピースに構成した場合には、複数の可動ピースが円形状又は略円形状に突出するため、拡縮手段に作用する流体圧を複数の可動ピースが貫通孔の内面側開口縁に接触する広い円形状又は略円形状の接触部位において分散支持することができる。
また、拡張加工用の可動ピースに構成した場合には、複数の可動ピースが円形状又は略円形状に突出するため、被覆筒状体の突出端部の全周又は略全周を確実に拡径変形させることができる。
したがって、拡縮手段の上述の合理的な改良により、流路形成壁部の貫通孔又は貫通孔の内周面を被覆する被覆筒状体に対するスムーズな挿抜操作性を確保しながらも、流体圧を分散状態で確実、強固に受け止めることが可能となり、且つ、使用形態の多様化をも容易に図ることができる。
【0012】
さらに、挿入操作具に設けられた拡縮手段を流路形成壁部の貫通孔又は貫通孔の内周面を被覆する被覆筒状体に挿入するときには、円周方向に配置された複数の可動ピースを形態変更機構で縮径状態にするとともに、拡張作業部の弾性体を弾性操作機構で収縮状態にする。これにより、複数の可動ピースは貫通孔の孔径又は被覆筒状体の内径よりも小径となる形態にまで径方向内方側に引退するとともに、弾性体は貫通孔の孔径又は被覆筒状体の内径よりも小径となる状態にまで収縮されるので、可動ピース及び拡張作業部の弾性体を流路形成壁部の貫通孔又は被覆筒状体にスムーズに挿入することができる。
次に、所定位置に挿入された複数の可動ピースを形態変更機構で拡径状態にすると、複数の可動ピースは貫通孔の孔径よりも大径となる形態で径方向外方側に円形状又は略円形状に突出する。
これにより、縮径状態から拡径状態に変更される複数の可動ピースを、流路形成壁部における貫通孔の内面側開口縁に対して軸芯方向から円形状又は略円形状に係止させる係止用の可動ピースに構成することができる、或いは、貫通孔の内周面を被覆する被覆筒状体の突出端部の全周又は略全周を抜止め状態にまで径方向外方に拡径変形させる拡張加工用の可動ピースに構成することができる。
さらに、拡張作業部の弾性体を弾性操作機構で膨出状態にすると、弾性体は、貫通孔の孔径よりも大径となる膨出状態にまで径方向外方側に弾性膨出変形される。
このとき、弾性体は挿入操作具の軸芯方向にも弾性膨出変形しようとするが、この弾性体の軸芯方向での弾性膨出変形を、可動ピースの少なくとも一部に設けた受け部にて受け止めることができるので、弾性体を径方向外方側に効率良く弾性膨出変形させることができる。
それ故に、例えば、拡張作業部の弾性体が、膨出状態で流路形成壁部の貫通孔を密封する弾性シール材に構成されている場合には、流路形成壁部の貫通孔を確実に密封することができる。また、拡張作業部の弾性体が、膨出状態で流路形成壁部の貫通孔の内周面を被覆する被覆筒状体を抜止め状態に拡径変形させる拡張用弾性体に構成されている場合には、被覆筒状体を抜止め状態に確実に拡径変形させることができる。
【0013】
本発明による第
2の特徴構成は、前記挿入操作具には、前記拡径状態にある前記可動ピースと前記貫通孔の内面側開口縁との間において前記貫通孔を密封可能で、且つ、前記貫通孔の孔径又は被覆筒状体の内径よりも小径となる形態にまで撓み変形可能な環状の弾性シール材と、前記拡径状態にある前記可動ピースを介して前記弾性シール材を前記貫通孔の内面側開口縁側に押圧する押圧機構が設けられている点にある。
【0014】
上記構成によれば、挿入操作具に設けられた拡縮手段及び弾性シール材を流路形成壁部の貫通孔又は当該貫通孔の内周面を被覆する被覆筒状体に挿入するときには、円周方向に配置された複数の可動ピースを形態変更機構で縮径状態にする。これにより、複数の可動ピースは貫通孔の孔径又は被覆筒状体の内径よりも小径となる形態にまで径方向内方側に引退するので、可動ピースを流路形成壁部の貫通孔にスムーズに挿入することができる。
また、弾性シール材は、流路形成壁部における貫通孔の外面側開口縁又は被覆筒状体の開口端縁との当接に伴って当該貫通孔の孔径又は被覆筒状体の内径よりも小径となる形態にまで撓み変形しながら通過したのち、可動ピースと流路形成壁部における貫通孔の内面側開口縁との間において、貫通孔を密封可能な元の状態に弾性復元力で復帰する。
次に、所定位置に挿入された複数の可動ピースを形態変更機構で拡径状態にすると、複数の可動ピースは貫通孔の孔径よりも大径となる形態で径方向外方側に円形状又は略円形状に突出する。
この状態において、押圧機構によって係止状態にある可動ピースを介して弾性シール材を前記貫通孔の内面側開口縁側に押圧することにより、弾性シール材の外周縁部全体又は略全体を流路形成壁部における貫通孔の内面側開口縁に圧着して貫通孔を確実に密封することができる。
【0015】
本発明による第
3の特徴構成は、前記可動ピースは、前記挿入操作具の軸芯方向の一端側ほど円周方向幅が広くなるテーパー状の第1可動ピースと、前記挿入操作具の軸芯方向の他端側ほど円周方向幅が広くなるテーパー状の第2可動ピースとを、それらの円周方向で隣接する両側辺同士を軸芯方向に摺動自在に接触させた状態で交互に配置して構成されているとともに、前記形態変更機構は、前記第1可動ピースと前記第2可動ピースとを前記貫通孔の孔径よりも大径となる前記拡径状態にまで軸芯方向に相対近接移動させる拡径変更機構と、前記拡径変更機構の拡径解除作動に伴って、前記第1可動ピースと前記第2可動ピースとを前記貫通孔の孔径又は前記被覆筒状体の内径よりも小径となる前記縮径状態にまで軸芯方向に相対離間移動させる縮径変更機構から構成されている点にある。
【0016】
上記構成によれば、テーパー方向が逆向きとなる第1可動ピースと第2可動ピースとが、それらの円周方向で隣接する両側辺同士を軸芯方向に摺動自在に接触させた状態で交互に配置されているので、第1可動ピースと第2可動ピースとを軸芯方向に摺動させることによって当該第1可動ピースと第2可動ピースとで形成されるピース外側面の外径が連続的に変化する。
そのため、縮径変更機構によって第1可動ピースと第2可動ピースとを軸芯方向に沿って相対離間移動させると、第1可動ピースと第2可動ピースとで形成される外側面の外径が貫通孔の孔径又は前記被覆筒状体の内径よりも小径となる縮径状態にまで縮径する。
また、拡径変更機構によって第1可動ピースと第2可動ピースとを軸芯方向に沿って相対近接移動させると、第1可動ピースと第2可動ピースとで形成される外側面の外径が貫通孔の孔径よりも大径となる拡径状態にまで拡径する。
したがって、拡縮手段の構造のコンパクト化を図ることができる。特に、縮径状態から拡径状態に変更される第1可動ピース及び第2可動ピースを、貫通孔の内周面を被覆する被覆筒状体の突出端部を抜止め状態にまで径方向外方に拡径変形させる拡張加工用の可動ピースに構成した場合には、第1可動ピースと第2可動ピースとで形成される拡張加工面を広く構成することができる。
【0017】
本発明による第
4の特徴構成は、
流路形成壁部に形成された貫通孔又は前記貫通孔の内周面を被覆する被覆筒状体に挿入可能な挿入操作具に、前記貫通孔の孔径又は前記被覆筒状体の内径よりも小径となる縮径状態と前記貫通孔の孔径よりも大径となる拡径状態とに変更可能な拡縮手段が設けられている拡縮操作装置であって、
前記拡縮手段には、前記挿入操作具に対して前記貫通孔の孔径方向に移動可能な状態で円周方向に配置される複数の可動ピースと、前記可動ピースを前記貫通孔の孔径又は前記被覆筒状体の内径よりも小径となる形態にまで径方向内方側に引退する縮径状態と前記貫通孔の孔径よりも大径となる形態で径方向外方側に円形状又は略円形状に突出する拡径状態とに変更する形態変更機構とが備えられ、
前記可動ピースは、前記挿入操作具に対して軸芯方向に揺動自在な第3可動ピースを円周方向に配置して構成されているとともに、前記形態変更機構は、前記第3可動ピースを軸芯方向の両側から前記拡径状態に挾持保持する挾持機構と、前記挾持機構の挾持解除作動に連動して、前記第3可動ピースを前記貫通孔の外面側開口縁
及び前記貫通孔の内面側開口縁との当接に伴って前記縮径状態に変更可能な自由揺動状態にする自由揺動機構から構成されている点にある。
【0018】
上記構成によれば、挿入操作具に対して軸芯方向に揺動自在な第3可動ピースが円周方向に配置されているので、挾持機構によって第3可動ピースを軸芯方向の両側から挾持保持するだけで、第3可動ピースの各々を貫通孔の孔径よりも大径となる形態で径方向外方側に円形状又は略円形状に突出する拡径状態に変更することができる。
また、挾持機構の挾持解除作動に連動する自由揺動機構により、第3可動ピースの各々を流路形成壁部における貫通孔の外面側開口縁又は貫通孔の内面側開口縁との当接に伴って挿抜状態に変更可能な自由揺動状態にすることができる。
したがって、係止手段の構造の簡素化を図ることができる。特に、縮径状態から拡径状態に揺動変更される第3可動ピースを、貫通孔の内周面を被覆する被覆筒状体の突出端部を抜止め状態にまで径方向外方に拡径変形させる拡張加工用の可動ピースに構成した場合には、被覆筒状体の突出端部の全周又は略全周を簡単な構造で確実に拡径変形させることができる。
【0019】
本発明による第
5の特徴構成は、前記第1可動ピースと前記第2可動ピースとを軸芯方向及び径方向の一定範囲内で移動自在に連係する連係機構が設けられている点にある。
【0020】
上記構成によれば、テーパー方向が逆向きとなる第1可動ピースと第2可動ピースとを、それらの円周方向で隣接する両側辺同士を軸芯方向に摺動自在に接触させた状態で交互に配置する際、連係機構によって第1可動ピースと第2可動ピースとを軸芯方向及び径方向の一定範囲内で移動自在に連係することができるので、第1可動ピースと第2可動ピースとの組付けの容易化を図ることができる。
【0021】
本発明による第
6の特徴構成は、
流路形成壁部に形成された貫通孔又は前記貫通孔の内周面を被覆する被覆筒状体に挿入可能な挿入操作具に、前記貫通孔の孔径又は前記被覆筒状体の内径よりも小径となる縮径状態と前記貫通孔の孔径よりも大径となる拡径状態とに変更可能な拡縮手段が設けられている拡縮操作装置であって、
前記拡縮手段には、前記挿入操作具に対して前記貫通孔の孔径方向に移動可能な状態で円周方向に配置される複数の可動ピースと、前記可動ピースを前記貫通孔の孔径又は前記被覆筒状体の内径よりも小径となる形態にまで径方向内方側に引退する縮径状態と前記貫通孔の孔径よりも大径となる形態で径方向外方側に円形状又は略円形状に突出する拡径状態とに変更する形態変更機構とが備えられ、
前記可動ピースは、前記挿入操作具に対して軸芯方向に揺動自在な第3可動ピースを円周方向に配置して構成されているとともに、前記形態変更機構は、前記第3可動ピースを軸芯方向の両側から前記拡径状態に挾持保持する挾持機構と、前記挾持機構の挾持解除作動に連動して、前記第3可動ピースを前記貫通孔の外面側開口縁又は前記貫通孔の内面側開口縁との当接に伴って前記縮径状態に変更可能な自由揺動状態にする自由揺動機構から構成され、
前記第3可動ピースを、円周方向に沿って所定数飛ばしに位置する複数のグループに分け、各グループの前記第3可動ピースを、前記挿入操作具の操作軸に摺動自在に外装した複数の取付け部材にグループ別に揺動自在に取付けるとともに、前記自由揺動機構には、前記第3可動ピースが前記自由揺動状態にあるとき、前記取付け部材の軸芯方向での間隔を前記第3可動ピースの揺動が相互に干渉しない間隔に規制する間隔規制手段が設けられている点にある。
【0022】
上記構成によれば、拡径状態では貫通孔の孔径よりも大径となる形態で径方向外方側に円形状又は略円形状に突出する第3可動ピースを、円周方向に沿って所定数飛ばしに位置する複数のグループに分けて、各グループの第3可動ピースを、挿入操作具の操作軸に摺動自在に外装した複数の取付け部材にグループ別に揺動自在に取付けてあるので、各グループの第3可動ピースの隣接間に空間を確保することができる。
それ故に、自由揺動機構の間隔規制手段により、第3可動ピースが自由揺動状態にあるとき、環状取付け部材の軸芯方向での間隔を第3可動ピースの揺動が相互に干渉しない間隔に容易に設定することができる。
【0023】
本発明による第
7の特徴構成は、前記拡張作業部の前記弾性操作機構には、前記弾性体を前記挿入操作具の軸芯方向から挟圧可能な一対の押圧部材が設けられているとともに、前記可動ピースのうち、前記係止状態において当該可動ピースに対面する一方の押圧部材よりも径方向外方に突出する部位に前記受け部が設けられている点にある。
【0024】
上記構成によれば、拡張作業部の弾性体を弾性操作機構で膨出状態にするとき、可動ピースのうち、係止状態において可動ピースに対面する一方の押圧部材よりも径方向外方に突出する部位に設けた受け部により、一方の押圧部材の外径側を超えて軸芯方向に弾性膨出変形しようとする弾性体の一部を受け止めることができるので、構造の簡素化を図りながら弾性体を径方向外方側に効率良く弾性膨出変形させることができる。
【0025】
本発明による第
8の特徴構成は、前記可動ピースの一部が、前記被覆筒状体を抜止め状態に拡径変形させる拡張加工部に構成されている点にある。
【0026】
上記構成によれば、縮径状態から拡径状態に揺動変更される可動ピースの一部を拡張加工部とする合理的な改良により、被覆筒状体の突出端部の全周又は略全周を確実に拡径変形させることができる。
【0027】
本発明による第
9の特徴構成は、前記拡張作業部の弾性体が、前記拡径状態で前記貫通孔を密封する弾性シール材に構成されている点にある。
【0028】
上記構成によれば、拡張作業部の弾性体をもって構成される弾性シール材により、流路形成壁部の貫通孔を確実に密封することができる。
【0029】
本発明による第
10の特徴構成は、前記拡張作業部の弾性体が、前記拡径状態で前記被覆筒状体を抜止め状態に拡径変形させる拡張用弾性体に構成されている点にある。
【0030】
上記構成によれば、拡張作業部の弾性体をもって構成される拡張用弾性体により、被覆筒状体を抜止め状態に確実に拡径変形させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
図1に示す流体配管系の一例である水道配管系の分岐部構造では、既設の鋳鉄製の水道管1のうち、断水状態にある更生対象領域の管内に、熱硬化性樹脂が含浸され、且つ、接着剤が塗布された筒状のライニング材を反転挿入して接着し、蒸気加熱又は常温養生等でライニング材の熱硬化性樹脂を硬化させるライニング処理(ホースライニング工法)により、水道管1の内周面にライニング処理層1Aが密着状態で一体的に形成されている。
上述の分岐部構造においては、ライニング処理が施された水道管1における分岐相当箇所の管壁部(流路形成壁部の一例)に、当該水道管1の管軸芯方向に対して交差(当該実施形態では直交)する分岐軸芯方向に沿って貫通孔2が貫通形成されているので、水道管1の貫通孔2の内周面の腐食を防止すると同時に、水道管1の内周面とライニング処理層1Aの外周面との接合面間に上水(流体)が浸入することを防止する必要がある。
【0033】
そのため、
図1〜
図7に示す本発明の第1実施形態の第1拡縮操作装置A1では、水道管1とライニング処理層1Aとに亘る貫通孔2の内周面2aを被覆する被覆筒状体Cの一例で、ライニング処理層1Aを含む水道管1の厚みよりも大なる分岐軸芯方向長さを備えた金属製のブッシュ3を抜止め状態に拡径変形させる機能、及び、水道管1における貫通孔2の内面側開口縁1bに対して分岐軸芯方向から係止させることにより水圧に抗して所定挿入位置に保持させる機能が備えられており、以下において第1拡縮操作装置A1の構成について詳述する。
【0034】
第1拡縮操作装置A1の基本構成として、水道管1の貫通孔2内又はブッシュ3内に挿入操作可能な挿入操作具の一例である内外二重構造の操作軸Bに、水道管1の貫通孔2の孔径又はブッシュ3の内径よりも小径となる縮径状態と水道管1の貫通孔2の孔径よりも大径となる拡径状態とに変更可能な拡縮手段Kが設けられている。
この拡縮手段Kには、操作軸Bに対して貫通孔2の孔径方向に移動可能な状態で円周方向に配置される複数の可動ピースPと、可動ピースPを貫通孔2の孔径又はブッシュ3の内径よりも小径となる形態にまで径方向内方側に引退する縮径状態(
図5参照)と貫通孔2の孔径よりも大径となる形態で径方向外方側に円形状又は略円形状に突出する拡径状態(
図7参照)とに変更する第1形態変更機構Dとが備えられている。
そのため、操作軸Bに設けられた拡縮手段Kの可動ピースPを水道管1の貫通孔2内又はブッシュ3内に挿入するときには、円周方向に配置された複数の可動ピースPを第1形態変更機構Dで縮径状態にする。これにより、複数の可動ピースPは貫通孔2の孔径又はブッシュ3の内径よりも小径となる形態にまで径方向内方側に引退するので、可動ピースPを水道管1の貫通孔2又はブッシュ3に対してスムーズに挿入することができる。
【0035】
次に、所定位置に挿入された複数の可動ピースPを第1形態変更機構Dで拡径状態にすると、複数の可動ピースPは貫通孔2の孔径よりも大径となる形態で径方向外方側に円形状又は略円形状に突出する。
これにより、縮径状態から拡径状態に変更される複数の可動ピースPを、
図6に示すように、水道管1における貫通孔2の内面側開口縁1bに対して分岐軸芯方向から円形状又は略円形状に係止させることが可能な抜止め係止用の可動ピースPに構成することができる、或いは、
図25に示すように、貫通孔2の内周面を被覆するブッシュ3の下側突出端部3bを抜止め状態にまで径方向外方に拡径変形させる拡張加工用の可動ピースPに構成することができる。
【0036】
そのため、抜止め係止用の可動ピースPに構成した場合には、複数の可動ピースPが円形状又は略円形状に突出するため、拡縮手段Kに作用する水圧(流体圧)を複数の可動ピースPが貫通孔2の内面側開口縁1bに接触する広い円形状又は略円形状の接触部位にて分散支持することができる。
また、拡張加工用の可動ピースPに構成した場合には、複数の可動ピースPが円形状又は略円形状に突出するため、ブッシュ3の下側突出端部3bの全周を確実に拡径変形させることができる。
【0037】
拡張加工用の可動ピースPによるブッシュ拡径方法の一つとして、可動ピースPを拡径状態に変更したのち、拡径状態にある可動ピースPでブッシュ3の下側突出端部3bを分岐軸芯方向から押圧して、当該ブッシュ3の下側突出端部3bを抜止め状態に拡径変形させる方法を挙げることができる。他の方法としては、縮径状態にある可動ピースPを拡径対象のブッシュ3の下側突出端部3b内に配置し、縮径状態にある可動ピースPの拡径状態への変更動作でブッシュ3の下側突出端部3bを抜止め状態に拡径変形させる方法を挙げることができる。
【0038】
さらに、操作軸Bには、可動ピースPが貫通孔2の内面側開口縁1bに係止している状態で貫通孔2の内周面2a又はブッシュ3の内周面に対面する部位に配置される径方向外方側に弾性膨出変形可能な円筒状のゴム製の弾性体5と、弾性体5を貫通孔2の孔径又はブッシュ3の内径よりも小径となる収縮状態と貫通孔2の孔径よりも大径となる膨出状態とに変更する弾性操作機構10とを備えた拡張作業部Eが設けられている。
また、可動ピースPの少なくとも一部には、弾性操作機構10の膨出状態への変更に伴う弾性体5の弾性膨張変形を操作軸Bの軸芯方向(分岐軸芯方向と同じ)から受け止める受け部4が設けられている。
【0039】
そして、拡張作業部Eの弾性体5を弾性操作機構10で膨出状態にすると、弾性体5は、貫通孔2の孔径よりも大径となる膨出状態にまで径方向外方側に弾性膨出変形される。
このとき、弾性体5は軸芯方向にも弾性膨出変形しようとするが、この弾性体5の軸芯方向での弾性膨出変形を、可動ピースPの少なくとも一部に設けた受け部4にて受け止めることができるので、弾性体5を径方向外方側に効率良く弾性膨出変形させることができる。
それ故に、例えば、拡張作業部Eの弾性体5が、膨出状態で水道管1の貫通孔2を密封する弾性シール材に構成されている場合(
図18参照)には、水道管1の貫通孔2を確実に密封することができる。また、拡張作業部Eの弾性体5が、
図1、
図6に示すように、膨出状態で水道管1の貫通孔2の内周面を被覆するブッシュ3を抜止め状態に拡径変形させる拡張用弾性体に構成されている場合には、ブッシュ3を抜止め状態に確実に拡径変形させることができるとともに、ブッシュ3による密封性(水密による防錆性、防腐性)を高めることができる。
【0040】
操作軸Bは、
図1、
図6において、軸芯方向に相対摺動自在に嵌合された内側操作軸6と外側操作軸7の下端側の一部分だけを表している。この外側操作軸7の下端部と当該外側操作軸7から突出する内側操作軸6の下側軸部分とに亘る領域に上述の拡縮手段K及び拡張作業部Eが配置されている。
【0041】
ブッシュ3は、硬質の被覆筒状本体である金属(ステンレス鋼、銅合金等)製のブッシュ本体3Aと、当該ブッシュ本体3Aの外周面に形成されるゴム製の弾性層3Bとからなり、ブッシュ3の挿入時には、弾性層3Bの外周面に接着剤を塗布して接着層が形成されている。
【0042】
また、拡張作業部Eの弾性操作機構10としては従来から種々の形態のものが開発され、そのいずれの形態でも使用可能である。
当該実施形態に用いられる弾性操作機構10は、
図1、
図6に示すように、操作軸Bの外側操作軸7の先端に、水道管1の貫通孔2の孔径よりも大径で、且つ、弾性体5を軸芯方向の上方側から押圧可能な円環状の上側押圧面11aを有する上側押圧部材11を螺合固定するとともに、外側操作軸7の下端部から突出する内側操作軸6の下側軸部分には、ブッシュ3の内径よりも小径で、且つ、弾性体5を軸芯方向の下方側から押圧可能な円板状の下側押圧面12aを有する下側押圧部材12を軸芯方向に摺動自在に外装してある。
下側押圧部材12の筒軸部12Aには、上側押圧部材11の上側押圧面11aと下側押圧部材12の下側押圧面12aとの間で挟圧させる弾性体5が装着されている。
下側押圧部材12の筒軸部12Aは、上側押圧部材11の軸孔11Aに対して伸縮自在に入り込み配置されているとともに、上側押圧部材11の下端近傍部位及び下側押圧部材12の筒軸部12Aの上端近傍部位には、上側押圧部材11と下側押圧部材12との離脱移動を阻止する離脱防止部13の構成部材で、操作軸Bの軸芯方向から当接するボルト利用の離脱阻止部材13A、13Bが設けられている。
【0043】
弾性体5に対してブッシュ3を軸芯方向から外装し、ブッシュ3の一端が上側押圧部材11の上側押圧面11aに当接された設定装着位置において、弾性体5を少し拡張させてブッシュ3を抜止め保持する。
【0044】
そして、拡張作業部Eの弾性操作機構10を水道管1の貫通孔2に送り込み、ブッシュ3をライニング処理層1Aを含む水道管1の貫通孔2の内周面に対する設定装着位置に配置する。ブッシュ3が設定装着位置に配置された状態では、ブッシュ3の上下両端部が貫通孔2の外面側開口縁1a及び内面側開口縁1bよりも上方及び下方に設定長さ突出する。
この状態で外側操作軸7と内側操作軸6との相対移動操作、換言すれば、外側操作軸7に対する内側操作軸6の上方移動操作によって両押圧部材11,12を相対近接移動させると、両押圧部材11,12の両押圧面11a,12aに当接している弾性体5が径方向外方に弾性膨出変形される。すると、
図6に示すように、ブッシュ3の上下の両突出端部3a,3bは、貫通孔2の外面側開口縁1a及び内面側開口縁1b側を略屈曲起点として径方向外方側に屈曲変形される。
これにより、ブッシュ3は、それの弾性層3Bがライニング処理層1Aを含む水道管1の貫通孔2の内周面に圧接状態で密着し、且つ、弾性層3Bの外周面に形成された接着層が貫通孔2の内周面2aに強く接着された状態で係合装着される。
【0045】
次に、第1拡縮操作装置A1の拡縮手段Kについて詳述する。
この拡縮手段Kの可動ピースPは、操作軸Bに対して軸芯方向に揺動自在な金属製又は樹脂製の第3可動ピース20を円周方向に配置して構成されている。当該実施形態においては、円周方向に八つ(複数の一例)の第3可動ピース20を配置して構成されている。
この八つの第3可動ピース20は、円周方向に沿って一つ飛ばし(所定数飛ばしの一例)に位置する二つ(複数の一例)グループに分けられ、各グループの第3可動ピース20は、操作軸Bの内側操作軸6の下側軸部分に摺動自在に外装した二つ(複数の一例)の第1・第2取付け部材21,22にグループ別に揺動自在に取付けられている。
第1・第2取付け部材21,22の各々は、操作軸Bの軸芯方向視において八角形状に形成され、円周方向に沿って一つ飛ばしに位置する四つの辺部の各々に、第3可動ピース20の径方向内方側の基端部が軸芯方向に撓み変形可能なゴム板等の弾性連結体23を介して揺動自在に取付けられている。
各弾性連結体23は、それに止めピン等で連結された第3可動ピース20を拡径状態、換言すれば、操作軸Bの軸芯に対して直交又は略直交する水平又は略水平姿勢に維持可能な弾性保持力を有し、且つ、第3可動ピース20の径方向外方側の先端部が貫通孔2の外面側開口縁1a又は貫通孔2の内面側開口縁1bに軸芯方向から当接したとき、その当接に伴って撓み変形して第3可動ピース20の縮径状態への変更を許容する弾性保持力に構成されている。
【0046】
そのため、第3可動ピース20を水道管1の貫通孔2に挿入する場合には、
図5(a)に示すように、第3可動ピース20はそれの径方向外方側の先端部が上方側に揺動した縮径状態に変化する。第3可動ピース20を水道管1の貫通孔2から抜き出す場合には、
図5(b)に示すように、第3可動ピース20はそれの径方向外方側の先端部が下方側に揺動した縮径状態に変化する。
また、第3可動ピース20が縮径状態で水道管1の貫通孔2を通過した直後に、当該第3可動ピース20は弾性連結体23の弾性復元力で元の拡径状態である水平又は略水平姿勢に復帰揺動する。
【0047】
第1拡縮操作装置A1の第1形態変更機構Dは、第3可動ピース20を操作軸Bの軸芯方向両側から拡径状態に挾持保持する挾持機構D1と、挾持機構D1の挾持解除作動に連動して、第3可動ピース20を貫通孔2の外面側開口縁1a又は貫通孔2の内面側開口縁1bとの当接に伴って縮径状態に変更可能な自由揺動状態にする自由揺動機構D2から構成されている。そのうち、自由揺動機構D2には、第3可動ピース20が自由揺動状態にあるとき、第1・第2取付け部材21,22の軸芯方向での配置間隔を第3可動ピース20の揺動が相互に干渉しない間隔に規制する間隔規制手段Fが設けられている。
【0048】
次に、第1形態変更機構Dの挾持機構D1について説明する。
外側操作軸7の下端部から下方側に突出する内側操作軸6の下側軸部分には、ブッシュ3の内径よりも小径な上側挾持部材25が軸芯方向に摺動自在に外装され、内側操作軸6の下端部には、ブッシュ3の内径よりも小径な下側挾持部材26が固定されている。そのうち、上側挾持部材25は、拡張作業部Eの弾性操作機構10の構成部材である下側押圧部材12の背面側部位(下面側部位)に一体形成して構成されている。
上側挾持部材25と下側挾持部材26との相対向する側面には、複数の第3可動ピース20の径方向中間部位の上面側及び下面側を軸芯方向から挾持する円環状の挾持突起25e、26eが一体形成されている。
【0049】
そして、外側操作軸7と内側操作軸6との相対移動操作、換言すれば、外側操作軸7に対する内側操作軸6の上方移動操作によって上側挾持部材25と下側挾持部材26とを近接移動させると、上側挾持部材25の挾持突起25eは、上方側に位置する第1グループの第3可動ピース20の上面に当接し、下側挾持部材26の挾持突起26eは、下方側に位置する第2グループの第3可動ピース20の下面に当接する。
この当接状態で上側挾持部材25と下側挾持部材26とが更に相対近接移動すると、第1グループの第3可動ピース20の第1取付け部材21と第2グループの第3可動ピース20の第2取付け部材22とが軸芯方向から当接したのち、第1グループの第3可動ピース20の弾性連結体23の弾性延伸作用及び第1グループの第3可動ピース20の弾性連結体23の弾性延伸作用により、第1グループの第3可動ピース20と第2グループの第3可動ピース20とが、
図7に示すように、第1・第2取付け部材21,22の当接面を通る平面に沿って円周方向で交互に入り込み、且つ、それらの上側面同士及び下側面同士を揃えた円板状の拡径状態で挾持固定される。
【0050】
次に、可動ピースPの少なくとも一部に形成される受け部4について説明する。
図6に示すように、上側挾持部材25と下側挾持部材26との間で拡径状態に挾持固定される第3可動ピース20のうち、下側押圧部材12の背面側部位に一体形成されている上側挾持部材25の外側面よりも径方向外方に突出する円環状又は略円環状の環状ピース部分をもって受け部4が構成されている。
この受け部4は、操作軸Bの軸芯に対する直交方向に沿う偏平な偏平受け面4aと、当該偏平受け面4aの径方向外方側に連続し、且つ、径方向外方側ほど拡張作業部Eの弾性体5側に近接位置する傾斜受け面4bとから構成されている。
【0051】
そして、
図6に示すように、拡張作業部Eの弾性体5を弾性操作機構10で膨出状態にすると、弾性体5の一部は、ブッシュ3の下側突出端部3bと上側挾持部材25の外側面との間の環状空間15を通して下方側に弾性膨出変形するが、この弾性体5の弾性膨出変形部分を受け部4で受け止めることができる。
図6においては、弾性体5の弾性膨出変形部分を受け部4の偏平受け面4aで受け止めた状態が表されているが、弾性体5の弾性膨出変形状況によっては、受け部4の偏平受け面4aと傾斜受け面4bとで受け止める可能性があり、さらに、受け部4の傾斜受け面4bのみで受け止める可能性もある。
特に、受け部4の傾斜受け面4bでは、弾性体5の弾性膨出変形部分の径方向外方への逃げを効率良く抑制することができる。
【0052】
第1形態変更機構Dの自由揺動機構D2は、外側操作軸7に対する内側操作軸6の下方移動操作によって上側挾持部材25と下側挾持部材26とを離間移動させることにより、第3可動ピース20を貫通孔2の外面側開口縁1a又は貫通孔2の内面側開口縁1bとの当接に伴って縮径状態に変更可能な自由揺動状態にする機構であり、この自由揺動機構D2は挾持機構D1の挾持解除作動を利用して構成されている。
つまり、自由揺動機構D2は挾持機構D1の構造をもって兼用構成され、さらに、この挾持機構D1の操作部と拡張作業部Eの弾性操作機構10の操作部とは共通に構成され、例えば、
図14、
図15に示すように、外側操作軸7と内側操作軸6とを上下方向に相対移動させる回転操作部としての拡縮用操作ナット61で兼用構成されている。
【0053】
自由揺動機構D2に設けられる間隔規制手段Fは、
図1、
図4、
図5に示すように、一対の第1間隔規制部材31と一対の第2間隔規制部材32と一対の第3間隔規制部材33と一対の第4間隔規制部材34とから構成されている。
【0054】
第1間隔規制部材31は、上側挾持部材25と第1グループの第3可動ピース20の第1取付け部材21との間隔S1を第3可動ピース20の揺動半径以上の設定間隔に規制する。
詳しくは、第1間隔規制部材31の中間部は、第1取付け部材21に貫通形成された第1挿通孔21aに相対移動自在に挿通され、第1間隔規制部材31の上端部は上側挾持部材25にねじ止めや接着等で固着され、第1間隔規制部材31の下端部には、第1取付け部材21の下面に当接する抜止め用の第1頭部31aが形成されている。
上側挾持部材25と下側挾持部材26との離間移動によって第1間隔規制部材31の第1頭部31aが第1取付け部材21の下面に当接した状態では、上側挾持部材25と第1取付け部材21との間隔が第3可動ピース20の揺動半径以上の設定間隔に規制される。
【0055】
第2間隔規制部材32は、上側挾持部材25と第2グループの第3可動ピース20の第2取付け部材22との間隔S2を設定間隔に規制することにより、第1取付け部材21と第2取付け部材22との間隔S3を第1間隔規制部材31との協働で第3可動ピース20の揺動半径以上の設定間隔に規制する。
詳しくは、第2間隔規制部材32の中間部は、第1取付け部材21に貫通形成された第2挿通孔21b及び第2取付け部材22に貫通形成された第3挿通孔22aに相対移動自在に挿通され、第2間隔規制部材32の上端部は上側挾持部材25にねじ止めや接着等で固着され、第2間隔規制部材32の下端部には、第2取付け部材22の下面に当接する抜止め用の第2頭部32aが形成されている。
上側挾持部材25と下側挾持部材26との離間移動によって第2間隔規制部材32の第2頭部32aが第2取付け部材22の下面に当接した状態では、第1間隔規制部材31の第1頭部31aが第1取付け部材21の下面に当接した状態にある。そのため、第1間隔規制部材31と第2間隔規制部材32との協働により、第1取付け部材21と第2取付け部材22との間隔が第3可動ピース20の揺動半径以上の設定間隔に規制される。
【0056】
第3間隔規制部材33は、第1取付け部材21と下側挾持部材26との間隔S4を設定間隔に規制する。
詳しくは、第3間隔規制部材33の中間部は、第2取付け部材22に貫通形成された第4挿通孔22b及び下側挾持部材26に貫通形成された第5挿通孔26aに相対移動自在に挿通され、第3間隔規制部材33の上端部は第1取付け部材21にねじ止めや接着等で固着され、第3間隔規制部材33の下端部には、下側挾持部材26の下面に当接する抜止め用の第3頭部33aが形成されている。
上側挾持部材25と下側挾持部材26との離間移動によって第3間隔規制部材33の第3頭部33aが下側挾持部材26の下面に当接した状態では、第1取付け部材21と下側挾持部材26との間隔S4が設定間隔に規制される。
【0057】
第4間隔規制部材34は、第2取付け部材22と下側挾持部材26との間隔S5を第3可動ピース20の揺動半径以上の設定間隔に規制する。
詳しくは、第4間隔規制部材34の中間部は、下側挾持部材26に貫通形成された第6挿通孔26bに相対移動自在に挿通され、第4間隔規制部材34の上端部は第2取付け部材22にねじ止めや接着等で固着され、第4間隔規制部材34の下端部には、下側挾持部材26の下面に当接する抜止め用の第4頭部34aが形成されている。
上側挾持部材25と下側挾持部材26との離間移動によって第4間隔規制部材34第4頭部34aが下側挾持部材26の下面に当接した状態では、第2取付け部材22と下側挾持部材26との間隔が第3可動ピース20の揺動半径以上の設定間隔に規制される。
【0058】
尚、第2取付け部材22には、挾持機構D1で第3可動ピース20を操作軸Bの軸芯方向両側から拡径状態に挾持保持したとき、第1間隔規制部材31の第1頭部31aが入り込む逃し孔22cが貫通形成されている。
また、下側挾持部材26には、挾持機構D1で第3可動ピース20を操作軸Bの軸芯方向両側から拡径状態に挾持保持したとき、第1間隔規制部材31の第1頭部31a及び第2間隔規制部材32の第2頭部32aが入り込む逃し孔26c、26dが貫通形成されている。
【0059】
〔第2実施形態〕
図8〜
図13に示す本発明の第2実施形態の第2拡縮操作装置A2では、水道管1の貫通孔2を密封する機能と、水道管1における貫通孔2の内面側開口縁1bに対して軸芯方向から係止させることにより水圧に抗して第2拡縮操作装置A2を所定挿入位置に保持する機能とが備えられている。
さらに、この第2拡縮操作装置A2には、
図16、
図17に示すように、水道管1の貫通孔2の内周面2aを被覆する被覆筒状体Cの一例で、ライニング処理層1Aを含む水道管1の厚みよりも大なる軸芯方向長さを備えた金属製のブッシュ3を抜止め状態に拡径変形させる機能をも有しており、以下において第2拡縮操作装置A2の構成について詳述する。
【0060】
第2拡縮操作装置A2の基本構成としては、上述の第1実施形態の第2拡縮操作装置A2と同様に、水道管1の貫通孔2内又はブッシュ3内に挿入可能な操作軸Bに、水道管1の貫通孔2の孔径又はブッシュ3の内径よりも小径となる縮径状態と水道管1の貫通孔2の孔径よりも大径となる拡径状態とに変更可能な拡縮手段Kが設けられている。
この拡縮手段Kには、操作軸Bに対して貫通孔2の孔径方向に移動可能な状態で円周方向に配置される複数の可動ピースPと、可動ピースPを貫通孔2の孔径又はブッシュ3の内径よりも小径となる形態にまで径方向内方側に引退する縮径状態(
図8参照)と貫通孔2の孔径よりも大径となる形態で径方向外方側に円形状又は略円形状に突出する拡径状態(
図9参照)とに変更する第2形態変更機構Gとが備えられている。
【0061】
そのため、操作軸Bに設けられた拡縮手段Kを水道管1の貫通孔2内又はブッシュ3内に挿入するときには、円周方向に配置された複数の可動ピースPを第2形態変更機構Gで縮径状態にする。これにより、複数の可動ピースPは貫通孔2の孔径又はブッシュ3の内径よりも小径となる形態にまで径方向内方側に引退するので、可動ピースPを水道管1の貫通孔2又はブッシュ3に対してスムーズに挿入することができる。
次に、所定位置に挿入された複数の可動ピースPを第2形態変更機構Gで拡径状態にすると、複数の可動ピースPは貫通孔2の孔径よりも大径となる形態で径方向外方側に円形状又は略円形状に突出する。
これにより、縮径状態から拡径状態に変更される複数の可動ピースPを、
図9に示すように、水道管1における貫通孔2の内面側開口縁1bに対して軸芯方向から円形状又は略円形状に係止させる抜止め係止用の可動ピースPに構成することができる、或いは、図示はしていないが、貫通孔2の内周面を被覆するブッシュ3の下側突出端部3bを抜止め状態にまで径方向外方に拡径変形させる拡張加工用の可動ピースPに構成することができる。
【0062】
拡張加工用の可動ピースPによるブッシュ拡径方法の一つとして、可動ピースPを拡径状態に変更したのち、拡径状態にある可動ピースPでブッシュ3の下側突出端部3bを軸芯方向から押圧して、当該ブッシュ3の下側突出端部3bを抜止め状態に拡径変形させる方法を挙げることができる。他の方法としては、縮径状態にある可動ピースPを拡径対象のブッシュ3の下側突出端部3b内に配置し、縮径状態にある可動ピースPの拡径状態への変更動作でブッシュ3の下側突出端部3bを抜止め状態に拡径変形させる方法を挙げることができる。
【0063】
さらに、操作軸Bには、上述の第1実施形態の第1拡縮操作装置A1と同様に、可動ピースPが貫通孔2の内面側開口縁1bに係止している状態で貫通孔2の内周面2a又はブッシュ3の内周面に対面する部位に配置される径方向外方側に弾性膨出変形可能な円筒状の弾性体5と、弾性体5を貫通孔2の孔径又はブッシュ3の内径よりも小径となる収縮状態と貫通孔2の孔径よりも大径となる膨出状態とに変更する弾性操作機構10とを備えた拡張作業部Eが設けられている。
この拡張作業部Eの構成は、第1実施形態の第1拡縮操作装置A1で説明した拡張作業部Eの構成又は機能と実質的に同一であるから、同一の構成又は機能箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
また、可動ピースPの少なくとも一部には、弾性操作機構10の膨出状態への変更に伴う弾性体5の弾性膨張変形を操作軸Bの軸芯方向から受け止める受け部4が設けられている。
【0064】
次に、第2拡縮操作装置A2の拡縮手段Kについて詳述する。
この拡縮手段Kの可動ピースPは、操作軸Bの軸芯方向の一端側である上端側ほど円周方向幅が広くなるテーパー状の金属製又は樹脂製の第1可動ピース41と、操作軸Bの軸芯方向の他端側である下端側ほど円周方向幅が広くなるテーパー状の金属製又は樹脂製の第2可動ピース42とを円周方向で交互に配置することにより構成されている。
テーパー方向(勾配方向)が逆向きの配置関係にある第1可動ピース41の円周方向両側のテーパー状の側辺41a,41bと第2可動ピース42の円周方向両側のテーパー状の側辺42a,42bとのうち、円周方向で隣接する両側辺41a,42b同士及び両側辺41b,42a同士が軸芯方向に摺動自在に接触する。
この第1可動ピース41と第2可動ピース42との軸芯方向での摺動により、当該第1可動ピース41の円弧状外面41cと第2可動ピース42の円弧状外面41cとで形成される円形状外側面の外径が連続的に変化する。
【0065】
第2形態変更機構Gは、第1可動ピース41と第2可動ピース42とを貫通孔2の孔径よりも大径となる拡径状態にまで軸芯方向に相対近接移動させる拡径変更機構G1と、拡径変更機構G1の拡径解除作動に伴って、第1可動ピース41と第2可動ピース42とを貫通孔2の孔径又はブッシュ3の内径よりも小径となる縮径状態にまで軸芯方向に相対離間移動させる縮径変更機構G2から構成されている。
そのため、縮径変更機構G2によって第1可動ピース41と第2可動ピース42とを軸芯方向に沿って相対離間移動させると、第1可動ピース41の円弧状外面41cと第2可動ピース42の円弧状外面42cとで形成される円形状外側面の外径が貫通孔2の孔径又はブッシュ3の内径よりも小径となる縮径状態にまで縮径する。
また、拡径変更機構G1によって第1可動ピース41と第2可動ピース42とを軸芯方向に沿って相対近接移動させると、第1可動ピース41の円弧状外面41cと第2可動ピース42の円弧状外面42cとで形成される円形状外側面の外径が貫通孔2の孔径よりも大径となる拡径状態にまで拡径する。
当該実施形態においては、第1可動ピース41が円周方向に三つ(複数の一例)配置され、第2可動ピース42も円周方向に三つ(複数の一例)配置されている。
【0066】
第1可動ピース41と第2可動ピース42は、拡径状態にあるときに上辺41d,42d同士及び下辺41e,42e同士が合致した最大外径の円筒体を構成する。この拡径状態から縮径状態に移行するにしたがって、第1可動ピース41と第2可動ピース42とが軸芯方向に沿って上下に離間移動するため、第1可動ピース41の側辺41a,41bの小幅側部位と第2可動ピース42の側辺42a,42bの小幅側部位とが重合することになる。この重合箇所を除く第1可動ピース41の側辺41a,41bの大幅側部位と第2可動ピース42の側辺42a,42bの大幅側部位との対向面間には,
図10に示すように略三角状の空隙43が発生する。
また、第1可動ピース41の円弧状内面41f及び第2可動ピース42の円弧状内面42fは、縮径状態で内側操作軸6の外周面に接触し、縮径状態から拡径状態側に移行するに伴って内側操作軸6の外周面から次第に径方向外方側に離間する。
【0067】
次に、第2形態変更機構Gの拡径変更機構G1について説明する。
外側操作軸7の下端部から下方側に突出する内側操作軸6の下側軸部分には、貫通孔2の孔径又はブッシュ3の内径よりも小径な第2上側挾持部材45が軸芯方向に摺動自在に外装され、内側操作軸6の下端部には、ブッシュ3の内径よりも小径な第2下側挾持部材46が固定されている。そのうち、第2上側挾持部材45は、拡張作業部Eの弾性操作機構10の構成部材である下側押圧部材12の背面側部位(下面側部位)に一体形成して構成されている。
第2上側挾持部材45と第2下側挾持部材46との相対向する対向面には、円周方向で交互に配置された複数の第1可動ピース41と第2可動ピース42を軸芯方向から挾持する截頭円錐形状の第2挾持面45a,46aが形成されている。
【0068】
そして、外側操作軸7と内側操作軸6との相対移動操作、換言すれば、外側操作軸7に対する内側操作軸6の上方移動操作によって第2上側挾持部材45と第2下側挾持部材46とを近接移動させると、第2上側挾持部材45の第2挾持面45aは、第1可動ピース41の上辺41dのみに当接し、第2下側挾持部材46の第2挾持面46aは、第2可動ピース42の下辺42eのみに当接する。
この当接状態で第2上側挾持部材45と第2下側挾持部材46とが更に相対近接移動すると、第1可動ピース41と第2可動ピース42とが軸芯方向に沿って相対近接移動され、第1可動ピース41の円弧状外面41cと第2可動ピース42の円弧状外面42cとで形成される円形状外側面の外径が貫通孔2の孔径よりも大径となる拡径状態にまで拡径する。最大拡径状態になると、第2上側挾持部材45の第2挾持面45aは、第1可動ピース41の上辺41dと第2可動ピース42の上辺42dに当接し、第2下側挾持部材46の第2挾持面46aは、第1可動ピース41の下辺41eと第2可動ピース42の下辺42eに当接する。この最大拡径状態では、可動ピース41と第2可動ピース42は第2上側挾持部材45と第2下側挾持部材46との間において挾持固定される。
【0069】
第2形態変更機構Gの縮径変更機構G2は、外側操作軸7に対する内側操作軸6の下方移動操作によって第2上側挾持部材45と第2下側挾持部材46とを離間移動させる拡径変更機構G1の移動機能を利用しており、さらに、第1可動ピース41の円弧状外面41cと第2可動ピース42の円弧状外面42cとで形成される円形状外側面に巻回装着可能で、且つ、巻回装着状態では第1可動ピース41及び第2可動ピース42に対して縮径側への移動力を付与するゴム等の環状弾性体47が主要構成として備えられている。
また、第1可動ピース41の上辺41d及び第2可動ピース42の上辺42dには、第2上側挾持部材45の截頭円錐形状の第2挾持面45aに対して軸芯方向から当接することにより、第1可動ピース41及び第2可動ピース42の径方向での拡縮移動を案内する円錐形状の上側ガイド凹部41g、42gが形成されているとともに、第1可動ピース41の下辺41e及び第2可動ピース42の下辺42eには、第2下側挾持部材46の截頭円錐形状の第2挾持面46aに対して軸芯方向から当接することにより、第1可動ピース41及び第2可動ピース42の径方向での拡縮移動を案内する円錐形状の下側ガイド凹部41h、42hが形成されている。
【0070】
そして、外側操作軸7と内側操作軸6との相対移動操作、換言すれば、外側操作軸7に対する内側操作軸6の下方移動操作によって第2上側挾持部材45と第2下側挾持部材46とを離間移動させると、第1可動ピース41の円弧状外面41cと第2可動ピース42の円弧状外面42cとで形成される円形状外側面に巻回装着された環状弾性体47の縮径付勢力により、第1可動ピース41と第2可動ピース42とが軸芯方向に沿って相対離間移動し、第1可動ピース41の円弧状外面41cと第2可動ピース42の円弧状外面42cとで形成される円形状外側面の外径が貫通孔2の孔径、又は、ブッシュ3の内径よりも小径となる縮径状態にまで縮径する。
【0071】
次に、第1可動ピース41及び第2可動ピース42との少なくとも一部に形成される受け部4について説明する。
図17に示すように、第2上側挾持部材45と第2下側挾持部材46との間で拡径状態に挾持固定される第1可動ピース41及び第2可動ピース42のうち、下側押圧部材12の背面側部位に一体形成されている第2上側挾持部材45の外側面よりも径方向外方に突出する円環状又は略円環状の環状ピース部分をもって受け部4が構成されている。
この受け部4は、径方向外方側ほど拡張作業部Eの弾性体5側に近接位置する傾斜受け面4c(
図9参照)に構成されている。
【0072】
そして、
図16、
図17に示すように、拡張作業部Eの弾性体5を弾性操作機構10で膨出状態にすると、弾性体5の一部は、ブッシュ3の下側突出端部3bと第2上側挾持部材45の外側面との間の環状空間を通して下方側に弾性膨出変形するが、この弾性体5の弾性膨出変形部分を受け部4の傾斜受け面4cで効率良く受け止めることができる。
【0073】
第2形態変更機構Gには、第1可動ピース41と第2可動ピース42とを軸芯方向及び径方向の一定範囲内で移動自在に連係する連係機構Hが設けられている。
この連係機構Hは、第2上側挾持部材45と三つの第1可動ピース41とを連係する第1連係機構部H1と、第2下側挾持部材46と三つの第2可動ピース42とを連係する第2連係機構部H2と、円周方向に沿って交互に配置される第1可動ピース41と第2可動ピース42とを連係する第3連係機構部H3とから構成されている。
【0074】
第1連係機構部H1は、第2上側挾持部材45の第2挾持面45aの截頭円錐状表面のうち、三つの第1可動ピース41の取付け中心位置には係合頭部51a付きの第1係合ピン51を突設する。他方、各第1可動ピース41の円弧状内面41fの円周方向中央部には、第2挾持面45aの第1係合ピン51に対して径方向外方側から係脱自在で、かつ、係合状態では第2挾持面45aの截頭円錐形状表面に沿った軸芯方向の移動を許容する融通を備えた第1係合溝52が形成されている。
【0075】
第2連係機構部H2は、第2下側挾持部材46の第2挾持面46aの截頭円錐状表面のうち、三つの第2可動ピース42に対する取付け中心位置には係合頭部53a付きの第2係合ピン53を突設する。他方、各第2可動ピース42の円弧状内面42fの円周方向中央部には、第2挾持面46aの第2係合ピン53に対して径方向外方側から係脱自在で、かつ、係合状態では第2挾持面46aの截頭円錐形状表面に沿った軸芯方向の移動を許容する融通を備えた第2係合溝54が形成されている。
【0076】
第3連係機構部H3は、第1可動ピース41の両側辺41a,41bと第2可動ピース42の側辺42a,42bとのうち、円周方向で隣接する一方の側辺41a,42aの小幅側部位には、円周方向の外方側に突出する第3係合ピン55を突設する。円周方向で隣接する他方の側辺41b,42bには、第3係合ピン55が円周方向から係合可能で、且つ、係合状態では縮径状態から拡径状態までの範囲における軸芯方向での第1可動ピース41と第2可動ピース42との相対移動を許容するスリット状の第3係合溝56が形成されている。
【0077】
〔第3実施形態〕
図14、
図15は、本発明の第1実施形態の第1拡縮操作装置A1をブッシュ装着機として用いた第3実施形態を示す。
この実施形態の水道配管系の分岐構造では、水道管1の分岐形成箇所に、当該水道管1の貫通孔2に軸芯方向から連通する分岐管部100を備えた分割構造の割T字継手101が、水道管1の外周面との間に密封用のシール材102を介装した状態で外装固定されている。この割T字継手101の分岐管部100には、一つ又は複数の分岐管103がフランジ接合され、そのうち、最上部の分岐管103には、第1拡縮操作装置A1を上下方向に移動自在に支持するブッシュ挿入装置200が取付けられている。
そのため、第3実施形態のブッシュ装着機は、本発明の第1実施形態の第1拡縮操作装置A1とブッシュ挿入装置200とからが構成されている。
【0078】
ブッシュ挿入装置200としては従来から種々の形態のものが開発され、そのいずれの形態でも使用可能である。
当該実施形態で用いられるブッシュ挿入装置200は、最上部の分岐管103に、操作軸Bを構成する内側操作軸6及び外側操作軸7を上下方向に貫通支持するためのボス部201を備えた第1軸受け部材202が取付けられている。この第1軸受け部材202の複数個所に螺合固定された連結支持軸203の上端部に亘って第2軸受け部材204が取付けられ、第1軸受け部材202と第2軸受け部材204とに亘って、操作ハンドル205を備えた送りネジ軸206が取付けられている。
また、外側操作軸7の上端に取付けた昇降連結部材207には、送りネジ軸206のネジ軸部206Aに螺合されたネジコマ208を相対回転不能な状態で取付けるとともに、内側操作軸6の上側ネジ軸部6aには、昇降連結部材207にスラストベアリング60を介して当接し、且つ、当接状態での螺合操作によって外側操作軸7と内側操作軸6とを上下方向に相対移動させる回転操作部としての拡縮用操作ナット61が螺合されている。
【0079】
この拡縮用操作ナット61は、自由揺動機構D2を兼用構成する挾持機構D1及び拡張作業部Eの弾性操作機構10を操作する共通の回転操作部に構成されている。
つまり、拡縮用操作ナット61は、第1拡縮操作装置A1の第1形態変更機構Dを構成する挾持機構D1を挟持作動させる機能と、自由揺動機構D2を自由揺動状態に変更する機能(換言すれば、挾持機構D1を挟持解除作動させる機能)と、拡張作業部Eの弾性操作機構10を圧縮作動状態と圧縮解除作動状態とに切り替える機能をつかさどる。
また、昇降連結部材207には、水圧による内側操作軸6の上昇移動を防止するべく、拡縮用操作ナット61の上端に当接する上昇規制部材62がボルト63等で脱着自在に設けられている。
【0080】
そして、ブッシュ挿入装置200による第1拡縮操作装置A1の送込み作業前の準備作業として、拡張作業部Eの弾性体5の所定位置にブッシュ3を装着するとともに、第1形態変更機構Dの自由揺動機構D2を自由揺動状態にし、この状態で拡縮用操作ナット61の上端に当接する上昇規制部材62を昇降連結部材207に取付ける。
この準備作業後にブッシュ挿入装置200の操作ハンドル205を操作して第1拡縮操作装置A1を送り込む。この送込み途中において、各グループの第3可動ピース20は、貫通孔2の外面側開口縁1aとの当接に伴って縮径状態に揺動し、貫通孔2の通過後に元の拡径状態に復帰する。この復帰時点の状態を
図14において示し、第1拡縮操作装置A1の要部の詳細は
図1に示している。
【0081】
第1拡縮操作装置A1の拡張作業部Eと各グループの第3可動ピース20及び第1形態変更機構Dが所定位置に挿入された状態で、
図15に示すように、拡縮用操作ナット61の上端に当接している上昇規制部材62を昇降連結部材207から撤去する。すると、水圧によって内側操作軸6が上昇し、各グループの第3可動ピース20が挾持機構D1の上側挾持部材25と下側挾持部材26との間で挟持され、第1グループの第3可動ピース20と第2グループの第3可動ピース20とが、
図7に示すように、第1・第2取付け部材21,22の当接面を通る平面に沿って円周方向で交互に入り込み、且つ、それらの上側面同士及び下側面同士を揃えた円板状の拡径状態で挾持固定される。
この状態では、拡張作業部Eの弾性体5の圧縮は不十分であるため、拡縮用操作ナット61を回転操作して拡張作業部Eの弾性体5を更に圧縮する。この弾性体5の弾性膨出変形によってブッシュ3の上側突出部分及び下側突出部分を径方向外方に抜け止め状態で拡径変形させる。これにより、ブッシュ3は、それの弾性層3Bがライニング処理層1Aを含む水道管1の貫通孔2の内周面に圧接状態で密着される。
【0082】
〔第4実施形態〕
図16、
図17は、本発明の第2実施形態の第2拡縮操作装置A2をブッシュ装着機として用いた第4実施形態を示す。
この第4実施形態の水道配管系の分岐構造、及び、最上部の分岐管103に取付けられたブッシュ挿入装置200は、上述の第3実施形態と同一であり、同一の構成箇所には、第3実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
ブッシュ挿入装置200には、第1拡縮操作装置A1に代えて第2拡縮操作装置A2が取付けられている。
【0083】
そして、ブッシュ挿入装置200による第2拡縮操作装置A2の送込み作業前の準備作業として、拡張作業部Eの弾性体5の所定位置にブッシュ3を装着する。また、第2形態変更機構Gの縮径変更機構G2を構成する環状弾性体47の縮径付勢力により、第1可動ピース41と第2可動ピース42とを軸芯方向に沿って相対離間移動させ、第1可動ピース41の円弧状外面41cと第2可動ピース42の円弧状外面42cとで形成される円形状外側面の外径を貫通孔2の孔径よりも小径となる縮径状態にまで縮径する(
図8参照)。この状態で拡縮用操作ナット61の上端に当接する上昇規制部材62を昇降連結部材207に取付ける。
【0084】
この準備作業後にブッシュ挿入装置200の操作ハンドル205を操作して第2拡縮操作装置A2を送り込む。第2拡縮操作装置A2の拡張作業部Eと縮径状態にある第1可動ピース41及び第2可動ピース42が所定位置に挿入された状態で、
図17に示すように、拡縮用操作ナット61の上端に当接している上昇規制部材62を昇降連結部材207から撤去する。すると、水圧によって内側操作軸6が上昇し、第2上側挾持部材45と第2下側挾持部材46とに押圧されて第1可動ピース41と第2可動ピース42とが軸芯方向に沿って相対近接移動される。これにより、第1可動ピース41の円弧状外面41cと第2可動ピース42の円弧状外面42cとで形成される円形状外側面の外径が貫通孔2の孔径よりも大径となる拡径状態にまで拡径する(
図9参照)。
この状態では、拡張作業部Eの弾性体5の圧縮は不十分であるため、拡縮用操作ナット61を回転操作して拡張作業部Eの弾性体5を更に圧縮する。この弾性体5の弾性膨出変形によってブッシュ3の上側突出部分及び下側突出部分を径方向外方に抜け止め状態に拡径変形させる。これにより、ブッシュ3は、それの弾性層3Bがライニング処理層1Aを含む水道管1の貫通孔2の内周面に圧接状態で密着される。
【0085】
〔第5実施形態〕
図18は、本発明の第2実施形態の第2拡縮操作装置A2を分岐流路遮断機として用いた第5実施形態を示す。この実施形態では、水道管1の貫通孔2を拡張作業部Eの弾性体5で水密状態に密封する。そのため、第2拡縮操作装置A2の拡縮手段Kの詳細は第2実施形態で記載した通りである。
第5実施形態の水道配管系の分岐構造では、割T字継手101の分岐管部100にフランジ接合された分岐管103には、操作軸Bを構成する内側操作軸6及び外側操作軸7を上下方向に貫通支持する作業ケース120が取付けられている。
作業ケース120の天板121から上方に突出する外側操作軸7の上端部には、筒状の取付け部材122が複数本のボルト123で脱着自在に取り付けられている。この取付け部材122には、水圧による内側操作軸6の上昇移動を防止するべく、当該内側操作軸6の上端に当接する上昇規制部材124がボルト125等で脱着自在に設けられている。
【0086】
この第5実施形態においては、第2拡縮操作装置A2の送り込み装置の簡易タイプとして一対の手動巻き取り式のウインチ300が用いられている。各ウインチ300のウインチ本体301から繰り出されるチェーン302の両端のフック303を、作業ケース120の天板121に設けられた取付けリング304と取付け部材122に設けられた取付けリング305に係止し、この状態でウインチ本体301のレバー306を巻き取り操作することにより、第2拡縮操作装置A2を所定位置にまで送り込むことができる。
【0087】
〔第6実施形態〕
図19〜
図24は、本発明の第1実施形態で説明した第1拡縮操作装置A1を、水道管1の貫通孔2を管内側から密封する分岐流路遮断機に改良したもので、例えば、水道管1の貫通孔2の内周面に装着されたブッシュ3の水密性を水圧試験で確認する場合等に使用される。
分岐流路遮断機への改良は、操作軸Bから拡張作業部Eを撤去し、これに代えて、操作軸Bの外側操作軸7の下端部に取付けられ、且つ、内側操作軸6の外周面に沿って軸芯方向に摺動自在な上側挾持部材25には、拡径状態にある第3可動ピース20と水道管1の貫通孔2の内面側開口縁1bとの間において、貫通孔2の内面側開口縁1bに対して分岐軸芯方向から円環状に当接することにより当該貫通孔2を密封可能な環状のゴム製の弾性シール材70が取付けられている。
この弾性シール材70は、無負荷状態(自然状態)では貫通孔2の孔径及び拡径状態にある第3可動ピース20の外径よりも大なる外径に構成され、且つ、貫通孔2の外面側開口縁1a又は内面側開口縁1bとの当接に伴って、又は、貫通孔2に装着されたブッシュ3の上端縁又は下端縁との当接に伴って貫通孔2の孔径又はブッシュ3の内径よりも小径となる形態にまで撓み変形可能に構成されている。
また、弾性シール材70の環状の周縁部分である外周部70aは、他の部位より軸芯方向厚みが大に構成され、弾性シール材70の厚肉外周部70aには、拡径状態にある第3可動ピース20の外周側の円環状又は略円環状の環状ピース部分、つまり、外周側が水道管1の内周面側に向かって突出する環状突出部20Aが軸芯方向から嵌合する嵌合溝70bが形成されている。
【0088】
拡径状態にある第3可動ピース20の環状突出部20Aを介して弾性シール材70の厚肉外周部70aを水道管1における貫通孔2の内面側開口縁1b側に押圧する押圧機構71が設けられている。この押圧機構71は、内側操作軸6の上側ネジ軸部6aに螺合された拡縮用操作ナット61から構成されている。
拡縮用操作ナット61は、外側操作軸7の上端面に当接した状態での回転操作によって、外側操作軸7に対して内側操作軸6を上方に移動させることにより、拡径状態にある第3可動ピース20の環状突出部20Aで弾性シール材70の厚肉外周部70aを水道管1における貫通孔2の内面側開口縁1b側に押圧して水密状態に密封する。
【0089】
次に、上述の如く構成された分岐流路遮断機による水道管1の貫通孔2の密封処理作業について説明する。
図19、
図20に示すように、送り込み装置としての手動巻き取り式のウインチ300による第1拡縮操作装置A1の送込み作業前の準備作業として、第1形態変更機構Dの自由揺動機構D2を自由揺動状態にし、この状態で内側操作軸6の上側ネジ軸部6aの上端に当接する上昇規制部材124を取付け部材122に取付ける。
この準備作業後にウインチ本体301のレバー306を操作して第1拡縮操作装置A1の拡縮手段K及び弾性シール材70を水道管1内の所定位置にまで送り込む。
この送込み途中において、各グループの第3可動ピース20は、貫通孔2に装着されたブッシュ3の上端縁との当接に伴ってブッシュ3の内径よりも小径となる縮径状態にまで揺動し、その縮径状態でブッシュ3内を通過する。この第3可動ピース20に続いて弾性シール材70が貫通孔2に装着されたブッシュ3の上端縁に当接する。弾性シール材70もブッシュ3の上端縁との当接に伴ってブッシュ3の内径よりも小径となる縮径状態にまで撓み変形し、撓み変形状態のままブッシュ3内を通過する。
各グループの第3可動ピース20及び弾性シール材70は、ブッシュ3の通過直後に元の拡径状態に弾性復帰する。この復帰時点の状態を
図19、
図20において示している。
【0090】
次に、
図19、
図20に示すように、押圧機構71の一例である内側操作軸6に螺合されている拡縮用操作ナット61を操作して、内側操作軸6を外側操作軸7に対して上方に移動させる。すると、第1実施形態で詳述したように、各グループの第3可動ピース20が挾持機構D1の上側挾持部材25と下側挾持部材26との間で挟持され、第1グループの第3可動ピース20と第2グループの第3可動ピース20とが、第1・第2取付け部材21,22の当接面を通る平面に沿って円周方向で交互に入り込み、且つ、それらの上側面同士及び下側面同士を揃えた円板状の拡径状態で挾持固定される(
図6、
図7参照)。
この拡径状態にある第3可動ピース20の外周側の円環状又は略円環状の環状ピース部分が、弾性シール材70の厚肉外周部70aの嵌合溝70bに対して軸芯方向から嵌合する。
さらに、内側操作軸6の拡縮用操作ナット61を操作して、内側操作軸6を外側操作軸7に対して上方に移動させると、拡径状態で円形状又は略円形状にある第3可動ピース20の環状突出部20Aを介して弾性シール材70の環状の厚肉外周部70aが水道管1における貫通孔2の内面側開口縁1bに水密状態で押圧される。これにより、弾性シール材70の厚肉外周部70aが水道管1における貫通孔2の内面側開口縁に円形状に圧着され、水道管1の貫通孔2を確実に密封することができる。
複数の可動ピースPが貫通孔2の内面側開口縁1bに接触する広い円形状又は略円形状の接触部位にて分散支持することができる。
【0091】
当該実施形態においては、水道管1の貫通孔2が密封された状態で、作業ケース120の給水部120Aから圧力水を注入し、ブッシュ3の外周面と水道管1の貫通孔2の内周面との間を通して水道管1の内周面とライニング処理層1Aの外周面との接合面間に圧力水が浸入するか否かの水圧試験を行う。この水圧試験により、水道管1の貫通孔2に装着されたブッシュ3の止水性能を確認する。
尚、作業ケース120の給水部120Aには、図示はしないが開閉弁を備えた給水管が接続されている。
【0092】
次に、
図23、
図24に示すように、内側操作軸6に螺合されている拡縮用操作ナット61を操作して、内側操作軸6を外側操作軸7に対して下方に移動させる。これにより、第1形態変更機構Dの自由揺動機構D2が自由揺動状態となり、この自由揺動状態で内側操作軸6の上側ネジ軸部6aの上端に当接する上昇規制部材124を取付け部材122に取付ける。その後、ウインチ本体301のレバー306を操作して第1拡縮操作装置A1の拡縮手段K及び弾性シール材70を作業ケース120内にまで引き上げる。
この引き上げ途中において、弾性シール材70が貫通孔2に装着されたブッシュ3の下端縁に当接する。この弾性シール材70はブッシュ3の下端縁との当接に伴ってブッシュ3の内径よりも小径となる縮径状態にまで撓み変形し、撓み変形状態のままブッシュ3内を通過する。この弾性シール材70に続いて各グループの第3可動ピース20は、貫通孔2に装着されたブッシュ3の下端縁との当接に伴ってブッシュ3の内径よりも小径となる縮径状態にまで揺動し、その縮径状態でブッシュ3内を通過する。この通過状態を
図23、
図24において示している。
各グループの第3可動ピース20及び弾性シール材70は、ブッシュ3の通過直後に元の拡径状態に弾性復帰する。
【0093】
〔第7実施形態〕
図25は、本発明の第1実施形態で説明した第1拡縮操作装置A1をスリーブ装着機として組付けた第7実施形態を示す。
この実施形態の水道配管系の分岐構造では、水道管1に一体形成された分岐管部80のフランジ81に、当該フランジ81の径方向内方側の角部に対して上方から係合する環状係合部82aを備え、且つ、分岐管部80内に摺接状態で嵌合する金属製のスリーブ保持筒82と、当該スリーブ保持筒82の環状係合部82aの外周面に接する状態で配置される円環状のガスケット83と、このガスケット83の径方向外方側部位において、スリーブ保持筒82の環状係合部82aとの間でガスケット83の装着溝部を形成する金属製の溝形成リング84とが配置されている。
【0094】
スリーブ保持筒82には、当該スリーブ保持筒82の上端面の径方向内方側の角部に対して上方から係合する環状係合部85aを備え、且つ、分岐管部80の内周面全域の防錆対象領域を被覆する被覆筒状体の一例である金属製の防錆スリーブ85が、その下端部をライニング処理層1Aの貫通孔(流路形成壁部に形成された貫通孔の一例)2に貫通させた状態で配置する。
分岐管部80のフランジ81には、板フランジ86をボルト87・ナット88を介して脱着自在に取付けることにより、分岐管部80のフランジ81と板フランジ86との間を水密にした状態でスリーブ保持筒82及び防錆スリーブ85を抜止め装着してある。
スリーブ保持筒82の内周面には、防錆スリーブ85の外周面との間を密封するシール材89が装着されているとともに、防錆スリーブ85の外周面の下端側部には、ライニング処理層1Aの貫通孔2との間を密封する弾性層90が形成されている。
また、操作軸Bを構成する内側操作軸6と外側操作軸7とのうち、外側操作軸7の下半部位は、防錆スリーブ85の内周面に接触又は近接する大径の拡径成形補助筒部7Aに形成されている。
【0095】
そして、加圧連結部材91が取り外されている状態において、内側操作軸6に螺合されている拡縮用操作ナット61を操作して、内側操作軸6を外側操作軸7に対して上方に移動させる。すると、第1実施形態で詳述したように、各グループの第3可動ピース20が外側操作軸7の下端部に一体形成された上側挾持部材25と下側挾持部材26との間で挟持され、第1グループの第3可動ピース20と第2グループの第3可動ピース20とが、第1・第2取付け部材21,22の当接面を通る平面に沿って円周方向で交互に入り込み、且つ、それらの上側面同士及び下側面同士を揃えた円板状の拡径状態で挾持固定される(
図6、
図7参照)。
この拡径状態にある第3可動ピース20の外周側の円環状又は略円環状の環状ピース部分が、防錆スリーブ85の下側突出端部に当接する。
【0096】
次に、内側操作軸6の上端部と加圧連結部材91とを連結し、この加圧連結部材91と板フランジ86との間には、防錆スリーブ85の下側突出端部を抜止め状態にまで径方向外方に拡径形成するための拡張動力源となる油圧ジャッキ92を設ける。
この状態で油圧ジャッキ92を伸長作動させると、拡径状態にある第3可動ピース20の外周側の環状ピース部分が防錆スリーブ85の下側突出端部に対して軸芯方向から押圧される。この押圧作用に伴って、防錆スリーブ85の下側突出端部は、ライニング処理層1Aの貫通孔2の内面側開口縁を略屈曲起点として径方向外方側に屈曲変形され、且つ、第3可動ピース20の外周側の環状ピース部分における傾斜面又は曲面に沿って拡径形成される。これにより、防錆スリーブ85の下側突出端部は、それの弾性層90がライニング処理層1Aの貫通孔の内周面に圧接状態で密着し、且つ、弾性層90の外周面に形成された接着層が貫通孔2の内周面2aに強く接着された状態で係合装着される。
【0097】
当該実施形態では、第3可動ピース20の一部である外周側の環状ピース部分における傾斜面又は曲面が、防錆スリーブ85の下側突出端部を拡径形成するための拡張加工部に構成されている。
そして、縮径状態から拡径状態に揺動変更された第3可動ピース20の一部を拡張加工部とする合理的な改良により、防錆スリーブ85の下側突出端部の全周又は略全周を確実に拡径変形させることができる。
【0098】
尚、第3可動ピース20の縮径状態から拡径状態への変更動作、又は、第1可動ピース41及び第2可動ピース42の縮径状態から拡径状態への変更動作を利用して、防錆スリーブ85の下側突出端部の全周又は略全周を拡径変形させてもよい。この場合も、第3可動ピース20の一部又は第1可動ピース41及び第2可動ピース42の一部が、防錆スリーブ85等の被覆筒状体Cを抜止め状態に拡径形成させる拡張加工部を構成することになる。
【0099】
〔第8実施形態〕
図26は、本発明の第1実施形態で説明した第2拡縮操作装置A2をスリーブ装着機として組付けた第8実施形態を示す。
この実施形態の水道配管系の分岐構造においても、スリーブ保持筒82及び防錆スリーブ85等の主要構成は第7実施形態と同一又は略同一である。
異なる点は、外側操作軸7の略全体が、防錆スリーブ85の内周面に接触又は近接する大径の拡径成形補助筒部に形成され、この外側操作軸7の上端部には、防錆スリーブ85の下側突出端部を拡径形成するための拡張動力源となる油圧ジャッキ92を取付け可能なフランジ部7Bが一体形成されている。
さらに、操作軸Bには、拡径状態にある第1可動ピース41及び第2可動ピース42の外周側の円環状又は略円環状の環状ピース部分が防錆スリーブ85の下側突出端部に係止している状態で、ライニング処理層1Aの貫通孔2の内周面に対面する部位に配置される径方向外方側に弾性膨出変形可能な円筒状の弾性体5と、弾性体5を貫通孔2の孔径又はブッシュ3の内径よりも小径となる収縮状態と貫通孔2の孔径よりも大径となる膨出状態とに変更する弾性操作機構10とを備えた拡張作業部Eが設けられている。
また、板フランジ86に取付けられた複数本の連結支持軸93の上端部に渡って加圧連結部材91が取付けられている。
【0100】
そして、加圧連結部材91が取り外されている状態において、内側操作軸6の上側ネジ軸部6aに螺合されている拡縮用操作ナット61を操作して、内側操作軸6を外側操作軸7に対して上方に移動させる。すると、第2実施形態で詳述したように、第2上側挾持部材45と第2下側挾持部材46とに押圧されて第1可動ピース41と第2可動ピース42とが軸芯方向に沿って相対近接移動される。これにより、第1可動ピース41の円弧状外面41cと第2可動ピース42の円弧状外面42cとで形成される円形状外側面の外径が貫通孔2の孔径よりも大径となる拡径状態にまで拡径する(
図9参照)。
この拡径状態にある第1可動ピース41及び第2可動ピース42の外周側の円環状又は略円環状の環状ピース部分が、防錆スリーブ85の下側突出端部に当接又は近接する。
【0101】
次に、内側操作軸6の上端部と加圧連結部材91とを連結し、この加圧連結部材91と板フランジ86との間には、防錆スリーブ85の下側突出端部を抜止め状態にまで径方向外方に拡径形成するための拡張動力源となる油圧ジャッキ92を設ける。
この状態で油圧ジャッキ92を伸長作動させると、内側操作軸6に対して外側操作軸7が下方に移動し、両押圧部材11,12の両押圧面11a,12aに当接している弾性体5が径方向外方に弾性膨出変形される。すると、防錆スリーブ85の上下の両突出端部は、貫通孔2の外面側開口縁及び内面側開口縁を略屈曲起点として径方向外方側に屈曲変形される。
これにより、防錆スリーブ85の下側突出端部は、それの弾性層90がライニング処理層1Aの貫通孔の内周面に圧接状態で密着し、且つ、弾性層90の外周面に形成された接着層が貫通孔2の内周面2aに強く接着された状態で係合装着される。
【0102】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の第1実施形態では、操作軸Bの内側操作軸6に摺動自在に外装された第1・第2取付け部材21,22と各グループの第3可動ピース20とを、ゴム板等の弾性連結体23を介して揺動自在に取付けたが、各グループの第3可動ピース20と第1・第2取付け部材21,22とを枢支ピン等で揺動自在に枢支連結してもよい。
【0103】
(2)上述の第1実施形態では、操作軸Bの内側操作軸6に摺動自在に外装された第1・第2取付け部材21,22と各グループの第3可動ピース20とを揺動自在に連結する弾性連結体23の弾性保持力により、無負荷状態(自然状態)において、第3可動ピース20を操作軸Bの軸芯に対して直交又は略直交する水平又は略水平姿勢に保持するように構成したが、無負荷状態(自然状態)において、第3可動ピース20の先端が下方に位置する下向き姿勢又は第3可動ピース20の先端が上方に位置する上向き姿勢に保持するように構成してもよい。
【0104】
(3)上述の第1実施形態では、操作軸Bの内側操作軸6に摺動自在に外装された複数の取付け部材21,22に各グループの第3可動ピース20をグループ別に分けて揺動自在に取付けたが、第3可動ピース20を、貫通孔2の孔径よりも大径となる形態で径方向外方側に円形状又は略円形状に突出する拡径状態に変更することができる場合には、第3可動ピース20を一つの取付け部材に取付けてもよい。
【0105】
(4)上述の各実施形態では、水道管1の貫通孔2やブッシュ3等に挿入操作可能な挿入操作具として内外二重構造の操作軸Bを例に挙げて説明したが、この挿入操作具を単一の操作軸から構成してもよい。さらに、軸以外の部材から構成してもよい。
【0106】
(5)上述の第1実施形態では、第2形態変更機構Gの縮径変更機構G2の主要部を、第1可動ピース41及び第2可動ピース42に対して縮径側への移動力を付与するゴム等の環状弾性体47から構成したが、第2上側挾持部材45と第2下側挾持部材46との間に軸芯方向に沿う圧縮コイルスプリングを介装して構成してもよい。
要するに、縮径変更機構G2としては、第1可動ピース41と第2可動ピース42とを貫通孔2の孔径又はブッシュ3の内径よりも小径となる縮径状態にまで軸芯方向に相対離間移動させることのできるものであれば、如何なる構造に構成してもよい。
【0107】
(6)上述の実施形態では、流路形成壁部として水道管1の管壁部やライニング処理層1Aで構成される管壁部を例に挙げて説明したが、水道管1に外装される割T字継手101など、流体の流路を形成する壁部であればよい。
また、貫通孔2としては、軸芯方向に貫通孔が連続した流路状であってもよい。