特許第6652414号(P6652414)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6652414
(24)【登録日】2020年1月27日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】成形用金型及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/38 20060101AFI20200217BHJP
【FI】
   B29C33/38
【請求項の数】18
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-49052(P2016-49052)
(22)【出願日】2016年3月12日
(65)【公開番号】特開2017-74771(P2017-74771A)
(43)【公開日】2017年4月20日
【審査請求日】2018年8月16日
(31)【優先権主張番号】特願2015-202779(P2015-202779)
(32)【優先日】2015年10月14日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000168115
【氏名又は名称】KTX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096116
【弁理士】
【氏名又は名称】松原 等
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 克也
【審査官】 浅野 昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−205319(JP,A)
【文献】 特開平07−227851(JP,A)
【文献】 特開2014−205318(JP,A)
【文献】 特開昭59−232808(JP,A)
【文献】 特開2003−181838(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/00−33/76
C25D 1/00−3/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型本体と、金型本体の背面に添設された、複数の貫通孔を有するとともに少なくとも表面に導電性を有する有孔導電シートと、金型本体の背面及び有孔導電シートに該有孔導電シートの貫通孔を埋め塞いで電着した電鋳金属とを備え、
金型本体の背面に溝が形成され、有孔導電シートは溝を跨いで金型本体の背面に添設され、
有孔導電シートの溝を跨ぐ部分に電着した電鋳金属の内面と溝の内面とが、温度調節用流体を通すための流体通路の内面を構成していることを特徴とする成形用金型。
【請求項2】
有孔導電シートの溝を跨ぐ部分及び同部分に電着した電鋳金属は平らな形状である請求項記載の成形用金型。
【請求項3】
有孔導電シートの溝を跨ぐ部分及び同部分に電着した電鋳金属は金型本体から離れる方向へ湾曲した形状である請求項記載の成形用金型。
【請求項4】
金型本体と、金型本体の背面に添設された、複数の貫通孔を有するとともに少なくとも表面に導電性を有する有孔導電シートと、金型本体の背面及び有孔導電シートに該有孔導電シートの貫通孔を埋め塞いで電着した電鋳金属とを備え、
有孔導電シートは、金型本体の背面に当接した2つの当接部と、両当接部の間の、金型本体から離れる方向へ湾曲した形状である湾曲部とを含むものであり、
湾曲部に電着した同方向へ湾曲した電鋳金属の内面と金型本体の背面とが、温度調節用流体を通すための流体通路の内面を構成していることを特徴とする成形用金型。
【請求項5】
有孔導電シートの湾曲部は、金型本体の背面に取り付けられた仕切壁に当接している請求項記載の成形用金型。
【請求項6】
流体通路は、蛇行したものである請求項1〜のいずれか一項に記載の成形用金型。
【請求項7】
流体通路は、途中で分岐したものである請求項1〜のいずれか一項に記載の成形用金型。
【請求項8】
流体通路は、途中で分岐してから合流したものである請求項1〜のいずれか一項に記載の成形用金型。
【請求項9】
流体通路は、金型本体の背面にある凸状部の所定面の略全体に接するものである請求項1〜のいずれか一項に記載の成形用金型。
【請求項10】
流体通路は、金型本体の背面の略全体に接するものである請求項1〜のいずれか一項に記載の成形用金型。
【請求項11】
流体通路は、金型本体の背面にある凸状部の凸コーナー部に沿ったものである請求項1〜のいずれか一項に記載の成形用金型。
【請求項12】
流体通路は、金型本体の背面にある凸状部の凹コーナー部に沿ったものである請求項1〜のいずれか一項に記載の成形用金型。
【請求項13】
型本体の背面に溝を形成する溝形成ステップ
複数の貫通孔を有するとともに少なくとも表面に導電性を有する有孔導電シートを、溝を跨いで金型本体の背面に添設するシート添設ステップと
電鋳加工を施すことにより、金型本体の背面及び有孔導電シートに該有孔導電シートの貫通孔を埋め塞ぐように電鋳金属を電着させて、有孔導電シートの溝を跨ぐ部分に電着した電鋳金属の内面と溝の内面とが、温度調節用流体を通すための流体通路の内面を構成するようにする電鋳ステップとを含むことを特徴とする成形用金型の製造方法。
【請求項14】
溝形成ステップでは、金型本体の背面に溝を機械加工する請求項13記載の成形用金型の製造方法。
【請求項15】
溝形成ステップでは、金型本体の背面に凹所を機械加工した後、凹所に仕切壁を取り付けて溝を形成する請求項13記載の成形用金型の製造方法。
【請求項16】
複数の貫通孔を有するとともに少なくとも表面に導電性を有する有孔導電シートの2つの当接部を金型本体の背面に当接させ、両当接部の間を金型本体から離れる方向へ湾曲した形状である湾曲部とするシート添設ステップと
電鋳加工を施すことにより、金型本体の背面及び有孔導電シートに該有孔導電シートの貫通孔を埋め塞ぐように電鋳金属を電着させて、有孔導電シートの湾曲部に電着した同方向へ湾曲した電鋳金属の内面と金型本体の背面とが、温度調節用流体を通すための流体通路の内面を構成するようにする電鋳ステップとを含むことを特徴とする成形用金型の製造方法。
【請求項17】
シート添設ステップでは、有孔導電シートの湾曲部を、金型本体の背面に取り付けた仕切壁に当接させる請求項16記載の成形用金型の製造方法。
【請求項18】
シート添設ステップでは、有孔導電シートを金型本体の背面に仮止めする請求項13〜17のいずれか一項に記載の成形用金型の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂、ゴム等の成形に用いる成形用金型に係り、詳しくは温度調節用流体を流すための流体通路の構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
樹脂、ゴム等の成形に用いる成形用金型では、温度調節(成形前に加熱し、成形後に冷却する等)の目的で、油、水等の温度調節用流体を流すための金属配管を金型の背面に取り付けている。金属配管の取付構造としては、次の(1)〜(3)が知られている。
(1)金型の背面に金属配管を曲げて沿わせ、部分的に薄い金属板で押さえ、金属板をスポット溶接で固定する。
(2)金型の背面に金属配管を曲げて沿わせ、銀ロウ等の金属溶接で固定する。
(3)金型の背面に金属配管を曲げて沿わせ、金網等で仮止めした後、電鋳加工を施して固定する(特許文献1)。
【0003】
しかし、これらの構造では、次の問題があった。
・剛性のある金属配管を金型の背面の形状に沿わせて曲げる必要があり、同形状への追従性に限界があるため、金属配管に金型から浮いた部分ができてしまい(密着性不備)、熱伝導のロスが発生する。また、図17に示すように、金属配管59を、金型本体51の背面53の凸コーナー部54に当てようとすると線当たりし、凹コーナー部55に当てようとすると空洞56ができるので、いずれも熱伝導しにくく温度調節効率が悪い。
図18(a)に示すように、金属配管59の曲げ加工では、曲げアールを小さくしようとしても限界がある(径に応じた最小曲げアールがある)ため、一定以上の蛇行間隔が必要になる。また、同図(b)に示すように、金属配管59の曲げた外側で肉厚が薄くなる。
図19に示すように、金属配管59で分岐のある流体通路を形成しようとすると、複数本の金属配管59が必要になり、それらを接続する作業も必要になる。
・金属配管は、金型の背面に位置が決まるので、金型の表面(成形面)から任意の位置(距離)に設けることができない。
・さらに、上記(2)では、金属配管に沿って長く金属溶接するので、溶接熱による金型の変形が発生する場合がある。
【0004】
また、金属配管を用いないで流体通路を形成した構造として、次の(4)も知られている。
(4)金型の背面に、ワックス等の消失性材料を置いた後、又は機械加工した溝を消失性材料で埋めた後、その上から電鋳加工を施し、最後に消失性材料を除去することで流体通路を得る(特許文献2,3)。
【0005】
しかし、この構造では、後工程での消失性材料の除去が必要となる。また、形状が複雑な流体通路の場合には、消失性材料の除去が困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−227851号公報
【特許文献2】特開2014−205318号公報
【特許文献3】特開2014−205319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的は、流体通路の三次元的自由度が高く、従来の金属配管のような密着性不備に起因する熱伝導ロスがなく、また、従来のワックス等の消失性材料のような除去の手間及び困難の問題がない成形用金型を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の成形用金型は、金型本体と、金型本体の背面に添設された、複数の貫通孔を有し且つ少なくとも表面に導電性を有する有孔導電シートと、金型本体の背面及び有孔導電シートに該有孔導電シートの貫通孔を埋め塞いで電着した電鋳金属とを備え、電鋳金属の内面が、温度調節用流体を通すための流体通路の内面の少なくとも一部を構成しているのに加え、下記段落0011の(1)の構成又は下記段落0013の(2)の構成を採用したことを特徴とする。
【0009】
本発明の成形用金型の製造方法は、金型本体の背面に、複数の貫通孔を有するとともに少なくとも表面に導電性を有する有孔導電シートを添設するシート添設ステップと、電鋳加工を施すことにより、金型本体の背面及び有孔導電シートに該有孔導電シートの貫通孔を埋め塞ぐように電鋳金属を電着させて、電鋳金属の内面が、温度調節用流体を通すための流体通路の内面の少なくとも一部を構成するようにする電鋳ステップとを含むのに加え、下記段落0016の(1)の態様又は下記段落0018の(2)の態様を採用したことを特徴とする。
【0010】
[作用]
(i)有孔導電シートは、従来の剛性のある金属配管よりも柔軟性があるため、金型本体の背面に沿って追従性良く且つ容易に曲げながら添設することができる。添設した有孔導電シートは、電鋳金属の電着の基礎となり、また複数の貫通孔が電鋳液を通すことから、添設した有孔導電シートの外面のみならず内面にも電鋳金属が電着する。
(ii)有孔導電シートに該有孔導電シートの貫通孔を埋め塞いで電着した電鋳金属は、上述したように曲げた有孔導電シートの形状と倣った形状となり、また、有孔導電シートを通して金型本体の背面にも電着し一体化される。
(iii)その電鋳金属の内面が流体通路の内面の少なくとも一部を構成するため、流体通路の三次元的自由度が高く、また、従来の金属配管のような密着性不備に起因する熱伝導ロスがない。
(iv)また、電鋳加工後の電鋳金属の内側の電鋳液は容易に抜き取ることができることから、従来のワックス等の消失性材料のような除去の手間及び困難性の問題がない。
【0011】
ここで、流体通路の構成として、次の(1)又は(2)を採用する
(1)金型本体の背面に溝が形成され、有孔導電シートは溝を跨いで金型本体の背面に添設され、有孔導電シートの溝を跨ぐ部分に電着した電鋳金属の内面と溝の内面とが流体通路の内面を構成している例。この例では、さらに次の(a)又は(b)を例示できる。
(a)有孔導電シートの溝を跨ぐ部分及び同部分に電着した電鋳金属は平らな形状である。
(b)有孔導電シートの溝を跨ぐ部分及び同部分に電着した電鋳金属は金型本体から離れる方向へ湾曲した形状である。
【0012】
この(1)の例によれば、溝の深さを増減することにより、流体通路を金型の表面(成形面)から任意の位置(距離)に設けることができる。
【0013】
(2)有孔導電シートは、金型本体の背面に当接した2つの当接部と、両当接部の間の、金型本体から離れる方向へ湾曲した形状である湾曲部とを含むものであり、湾曲部に電着した同方向へ湾曲した電鋳金属の内面と金型本体の背面とが流体通路の内面を構成している。
【0014】
有孔導電シートの湾曲部は、金型本体の背面に取り付けられた仕切壁に当接していてもよい。
【0015】
流体通路の形状や金型本体の背面における形成位置は、特に限定されないが、次の(a)〜(g)の態様を例示できる。
(a)蛇行した流体通路。
(b)途中で分岐した流体通路。
(c)途中で分岐してから合流した流体通路。
(d)金型本体の背面にある凸状部の所定面の略全体に接する流体通路。
(e)金型本体の背面の略全体に接する流体通路。
(f)金型本体の背面にある凸状部の凸コーナー部に沿った流体通路。
(g)金型本体の背面にある凸状部の凹コーナー部に沿った流体通路。
【0016】
本発明の成形用金型の製造方法は、次の(1)又は(2)の態様を採用する
(1)シート添設ステップより前に、金型本体の背面に溝を形成する溝形成ステップを含み、
シート添設ステップでは、有孔導電シートを、溝を跨いで金型本体の背面に添設し、
電鋳ステップでは、有孔導電シートの溝を跨ぐ部分に電着した電鋳金属の内面と溝の内面とが流体通路の内面を構成するようにする態様。
【0017】
溝形成ステップでは、金型本体の背面に溝を機械加工してもよいし、金型本体の背面に凹所を機械加工した後、凹所に仕切壁を取り付けて溝を形成してもよい。機械加工の種類は、特に限定されず、公知の切削加工、放電加工等でよい。
【0018】
(2)シート添設ステップでは、有孔導電シートの2つの当接部を金型本体の背面に当接させ、両当接部の間を金型本体から離れる方向へ湾曲した形状である湾曲部とし、
電鋳ステップでは、有孔導電シートの湾曲部に電着した同方向へ湾曲した電鋳金属の内面と金型本体の背面とが流体通路の内面を構成するようにする態様。
【0019】
シート添設ステップでは、有孔導電シートの湾曲部を、金型本体の背面に取り付けた仕切壁に当接させてもよい。
【0020】
ート添設ステップでは、有孔導電シートを金型本体の背面に仮止めすることが好ましい
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、流体通路の三次元的自由度が高く、従来の金属配管のような密着性不備に起因する熱伝導ロスがなく、また、従来のワックス等の消失性材料のような除去の手間及び困難の問題がないという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施例1の成形用金型の製造方法を示し、(a1)と(a2)は形成した金型本体を背面側から見た斜視図と部分断面図、(b1)と(b2)は溝を形成したときの斜視図と部分断面図、(c1)と(c2)は金網を添設したときの斜視図と部分断面図、(d1)と(d2)は電鋳金属を形成してできた成形用金型の斜視図と部分断面図である。
図2】(a)は同電鋳金属を形成するときの初期の部分断面図、(b)は同電鋳金属が電着する途中の部分断面図、(c)は同電鋳金属が形成されて網目を塞いだときの部分断面図、(d)は比較例として金網に代えてステンレス鋼薄板を用いた場合の部分断面図である。
図3】(a)は実施例2の成形用金型の部分断面図、(b)は実施例3の成形用金型の部分断面図である。
図4】(a)は実施例4の成形用金型の部分斜視図、(b)はIVb−IVb断面図、(c)はIVc−IVc断面図である。
図5】実施例4の変更例の成形用金型の部分斜視図である。
図6】(a)は実施例5の成形用金型の部分斜視図、(b)はVIb−VIb断面図、(c)はVIc−VIc断面図である。
図7】(a)は実施例6の成形用金型の部分斜視図、(b)はVIIb−VIIb断面図である。
図8】(a)は実施例7の成形用金型の部分斜視図、(b)はVIIIb−VIIIb断面図である。
図9】(a)は実施例8の成形用金型の部分斜視図、(b)はIXb−IXb断面図である。
図10】(a)は実施例8の変更例の成形用金型の部分斜視図、(b)はXb−Xb断面図である。
図11】(a)は実施例9の成形用金型の部分斜視図、(b)はXIb−XIb断面図である。
図12】(a)は実施例10の成形用金型の部分斜視図、(b)はXIIb−XIIb断面図である。
図13】(a)は実施例11の成形用金型の部分斜視図、(b)はXIIIb−XIIIb断面図である。
図14】(a)は実施例12の成形用金型の部分斜視図、(b)はXIVb−XIVb断面図である。
図15施例13の成形用金型の部分断面である。
図16施例14の成形用金型の部分断面図である。
図17】従来例の成形用金型の部分断面図である。
図18】(a)は別の従来例に用いられる曲げた金属配管の部分斜視図、(b)はXVIIIb−XVIIIb断面図である。
図19】さらに別の従来例の成形用金型の部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
1.成形用金型
樹脂、ゴム、エラストマー等の各種成形に用いる成形用金型を例示でき、その成形としては、プレス成形、射出成形、スラッシュ成形、真空成形、回転成形、ブロー成形、RIM成形、スタンピング成形、注入成形、発泡成形等を例示できる。
【0024】
2.金型本体
金型本体の材料及び製造方法による種別は、特に限定されず、ニッケル、銅等の電鋳型、炭素鋼、ステンレス鋼、ニッケル鋼等からの切削型、鋳鉄、銅、真鍮等の鋳造型や板金加工型等を例示できる。
【0025】
3.有孔導電シート
複数の貫通孔を有するとともに少なくとも表面に導電性を有する有孔導電シートとしては、特に限定されないが、次のものを例示できる。
(1)金網
金属線を編んだものである。多数の網目が、複数の貫通孔に相当する。
金属線の材料としては、特に限定されないが、鉄、炭素鋼、ステンレス鋼、銅、ニッケル、銅等を例示できる。好ましくは電鋳金属と同じ材料(例えばニッケル電鋳にはニッケル線、銅電鋳には銅線)である。
(2)金属以外の導電線による網
カーボン線等を編んだものである。多数の網目が、複数の貫通孔に相当する。
(3)メタルラス(エキスパンドメタル)
金属板に多数の切り込みを入れ、引っ張って網目を作ったものである。多数の網目が、複数の貫通孔に相当する。
(4)パンチングメタル
パンチングプレスで複数の貫通孔を形成した金属板である。
(5)表面に導電層を備えた非導電線よりなる網
非導電線の材料としては、樹脂、有機繊維糸、無機繊維糸等を例示できる。導電層としては、金属めっき層、導電塗料の塗布層、銀鏡層、真空蒸着金属層、スパッタリング金属層等を例示できる。
(6)表面に導電層を備えた穴あき樹脂シート
成形で複数の貫通孔を形成した樹脂シートである。導電層としては、上記と同様のものを例示できる。
【0026】
有孔導電シートの貫通孔の大きさは、特に限定されないが、網の目開き又は孔直径としては0.1〜1.0mmが好ましく、0.2〜0.5mmがより好ましい。貫通孔が小さすぎると電鋳液が入りにくく、貫通孔が大きすぎると電鋳で埋まりにくい。
貫通孔の数は、特に限定されないが、有孔導電シートの単位面積当たり25個/cm 以上が好ましい。
【0027】
有孔導電シートは添設した金型本体の背面に仮止めされることが好ましい。仮止めの手段としては、スポット溶接部、接着剤によるスポット接着部等を例示できる。
【0028】
4.電鋳金属
電鋳金属の材料は、特に限定されないが、ニッケル(ニッケル−コバルト合金等の合金を含む)、銅(銅−コバルト合金等の合金を含む)等を例示できる。
【実施例】
【0029】
以下、本発明を具体化した成形型用金型の実施例について、図面を参照して説明する。なお、実施例で記す材料、構成、数値は例示であって、適宜変更できる。
【0030】
<実施例1>
図1及び図2は、実施例1の成形用金型及びその製造方法を示している。この成形用金型は、図1(d1)(d2)に示すように、金型本体1と、金型本体1の背面に添設された有孔導電シートとしての金網5と、金網5にその複数の貫通孔を埋め塞いで電着した電鋳金属8とを備える。
【0031】
金型本体1は、ニッケルにより厚さ15mmに形成されたものであり、中央部が凹となった表面(成形面)2と、中央部が凸となった背面3とを備えている。背面3には深さ10mm、幅10mmで広範囲に蛇行した溝4が形成されている。
【0032】
有孔導電シートとしての金網5は、線径0.14mmのステンレス鋼線よりなる60メッシュ、目開き0.28mmのものであり、その多数の網目6が複数の貫通孔に相当する。金網5は蛇行した帯状であり、溝4を平らに跨いで金型本体1の背面3に添設され、溝4より両側方の金型本体1の背面3にスポット溶接部7によって仮止めされている。
【0033】
電鋳金属8は、金型本体1の背面3及び金網5に該金網5の網目6を埋め塞いで厚さ約3mmに電着したニッケルの層である。金網5の溝4を跨ぐ部分に電着した電鋳金属8は平らな形状である。また、金網5の溝4より両側方の部分に電着した電鋳金属8は、網目6を通して金型本体1の背面3にも電着して一体化している。
【0034】
金網5の溝4を跨ぐ部分に電着した電鋳金属8の内面と、溝4の内面とが、蛇行した流体通路10の内面を構成している。流体通路10の金型本体1表面2からの距離は5mmである。流体通路10の両端部に流入管11と流出管12が電鋳金属8を突き抜けて取り付けられ、温度調節用流体を流すことができるようになっている。
【0035】
次に、上記成形用金型の製造方法を、工程順に説明する。
(1)金型本体形成ステップ:図1(a1)(a2)に示すように、金型本体1を公知の方法(例えばニッケル電鋳加工)により形成する。
(2)溝形成ステップ:図1(b1)(b2)に示すように、金型本体1の背面3に溝4を機械加工する。
(3)シート添設ステップ:図1(c1)(c2)に示すように、金型本体1の背面3に金網5を添設し、スポット溶接部7によって仮止めする。スポット溶接部7は、金網5の要所にスポット溶接機の電極(図示略)を押し当て、該電極と金型本体1との間に電流を流して形成する。このスポット溶接時の熱はわずかであり、金型本体1にはほとんど影響を与えない。
【0036】
(4)電鋳ステップ:図1(d1)(d2)に示すように、金型本体1の背面及び金網5に公知の電鋳加工により電鋳金属8を形成する。この電鋳加工の経過を図2に示す。図2(a)のように金網5の網目6を通して溝4の中にも電鋳液15が入る。このため、同図(b)のように電鋳金属8は金網5の内面側にも電着し、やがて同図(c)のように網目6を埋めて塞ぐ。また、電鋳金属8は金網5の網目6を通して金型本体1の背面にも電着するので、電鋳金属8と金網5が金型本体1の背面に「面」で固定され、強度が高くなり、熱的結合性も高くなる。
【0037】
なお、図2(d)に示す比較例は、金網に代えて無孔のステンレス鋼薄板20を用いたものであるが、電鋳金属8は、ステンレス鋼薄板20の内面側には電着しない。このため、ステンレス鋼薄板20はその両縁部が金型本体1の背面に「線」で固定され、強度が落ち、熱的結合性も落ちる。
【0038】
本実施例によれば、次の作用効果が得られる。
(i)金網5は、従来の剛性のある金属配管よりも柔軟性があるため、金型本体1の背面3に沿って追従性良く且つ容易に曲げながら添設することができる。添設した金網5は、電鋳金属8の電着の基礎となり、また複数の網目6が電鋳液15を通すことから、添設した金網5の外面のみならず内面にも電鋳金属8が電着する。
(ii)金網5に該金網5の網目6を埋め塞いで電着した電鋳金属8は、上述したように曲げた金網5の形状と倣った形状となり、また、金網5を通して金型本体1の背面3にも電着し一体化される。
(iii)その電鋳金属8の内面と溝4の内面とが流体通路10の内面を構成するため、流体通路10の三次元的自由度が高く、また、従来の金属配管のような密着性不備に起因する熱伝導ロスがない。
(iv)また、電鋳加工後の電鋳金属8の内側の電鋳液15は容易に抜き取ることができることから、従来のワックス等の消失性材料のような除去の手間及び困難性の問題がない。
(v)流体通路10の金型本体1の表面2からの距離は5mmであるが、溝4の深さを増減することによりこの距離を任意に変更することができる。
【0039】
<実施例2>
次に、図3(a)に要部を示す実施例2の成形用金型は、次の点で実施例1と相違し、その他の構成及び製造方法は実施例1と共通するものである。金型本体1の背面3に形成された溝4の深さが5mmである。金網5の溝4を跨ぐ部分及び同部分に電着した電鋳金属8が金型本体1から離れる方向へ湾曲した形状である。電鋳金属8の内面の頂部は金型本体1の背面3から5mmの高さである。流体通路10の金型本体1の表面2からの距離は10mmとなる。この実施例2によっても、実施例1と同様の作用効果が得られる。
【0040】
<実施例3>
次に、図3(b)に要部を示す実施例3の成形用金型は、次の点で実施例1と相違し、その他の構成及び製造方法は実施例1と共通するものである。金型本体1の背面3に溝が形成されていない。金網5は、シート添設ステップで金型本体1の背面3に当接してスポット溶接部7で仮止めされた2つの当接部と、両当接部の間の、シート添設ステップで金型本体1から離れる方向へ湾曲した形状とされた湾曲部とを含むものである。湾曲部に電着した電鋳金属8も金型本体1から離れる方向へ湾曲した形状であり、その内面と金型本体1の背面とが蛇行した流体通路10の内面を構成している。電鋳金属8の内面の頂部は金型本体1の背面3から10mmの高さである。流体通路10の金型本体1の表面2からの距離は15mmとなる。この実施例3によっても、実施例1と同様の作用効果が得られる。
【0041】
以下で説明する実施例4〜14は、それぞれで説明する点で実施例1等と相違し、その他の構成及び製造方法は実施例1と共通するものである。これらの実施例4〜14によっても、実施例1と同様の作用効果が得られる。
【0042】
<実施例4及びその変更例>
図4に示す実施例4の成形用金型は、実施例1の流体通路の蛇行間隔を小さくしたものである(実施例2においても実施可能)。溝4は、実施例1よりも蛇行の折り返しを小さくして形成されている。金網5は実施例1のようには蛇行しない幅広の帯状である。金網5は、溝4の蛇行により並んだ複数の溝要素4aを跨ぐように金型本体1の背面3に添設され、各溝要素4aより両側方の金型本体1の背面3にスポット溶接部7によって仮止めされている。金網5の溝4を跨ぐ部分に電着した電鋳金属8の内面と、溝4の内面とが、蛇行した流体通路10の内面を構成している。
【0043】
溝4は容易に機械加工することができるので、前述した金属配管の曲げ加工(図18(a))よりも、蛇行の折り返しを小さくすることができ、もって流体通路10の蛇行間隔を小さくすることができる。図4(b)に例示した流体通路10の蛇行間隔は、流体通路10の幅以下である。前述したように、金属配管は曲げた外側で管厚が薄くなりやすいが(図18(b))、図4(c)に示すように、溝4においては折り返しの外側でそのような問題がない。また、図5に示す変更例のように、溝4をコ字状に折り返すこともできる。
【0044】
<実施例5>
図6に示す実施例5の成形用金型は、実施例3の流体通路の蛇行間隔を実施例4のように小さくしたものである(実施例2においても実施可能)。金網5は幅広の帯状である。金網5は、シート添設ステップで金型本体1の背面3に当接してスポット溶接部7で仮止めされた2つの当接部と、両当接部の間の、シート添設ステップで金型本体1から離れる方向へ湾曲した形状とされた湾曲部とを含むものである。湾曲部は平面視で蛇行するように形成され、図6(b)の断面視では当接部と湾曲部とが幅方向に繰り返されている。湾曲部に電着した電鋳金属8の内面と、溝4の内面とが、蛇行した流体通路10の内面を構成している。
【0045】
金網5は柔軟に変形させることができるので、前述した金属配管の曲げ加工(図18(a))よりも、蛇行の折り返しを小さくすることができ、もって流体通路10の蛇行間隔を小さくすることができる。図6(b)に例示した流体通路10の蛇行間隔は、流体通路10の幅以下である。前述したように、金属配管は曲げた外側で管厚が薄くなりやすいが(図18(b))、図6(c)に示すように、金網5及び電鋳金属8においては、折り返しの外側でそのような問題がない。
【0046】
<実施例6>
図7に示す実施例6の成形用金型は、実施例1の溝の構成及び形成方法を変更したものである(実施例2においても実施可能)。溝形成ステップでは、金型本体1の背面3に幅広の凹所13を機械加工した後、凹所13に複数の仕切壁14を取り付けることにより、凹所13の内壁と仕切壁14との間及び仕切壁14どうしの間に、蛇行した溝4を形成している。金網5は幅広の帯状である。金網5は、溝4の蛇行により並んだ複数の溝要素4aを連続して跨ぐように金型本体1の背面3に添設され、金型本体1の背面3と仕切壁14にスポット溶接部7で仮止めされている。金網5の溝4を跨ぐ部分に電着した電鋳金属8の内面と、溝4の内面とが、蛇行した流体通路10の内面を構成している。
【0047】
仕切壁14の厚さで流体通路10の蛇行間隔が決まるから、仕切壁14を薄いものにすれば流体通路10の蛇行間隔を小さくできる。仕切壁14としては金属板や金属網を用いることができ、これらは凹所13の底に溶接(レーザー溶接、スポット溶接等)等で固定することができる。金属網を用いた場合、その網目は前記電鋳金属8の電鋳加工時に塞がれる。
【0048】
<実施例7>
図8に示す実施例7の成形用金型は、実施例3の流体通路の構成及び形成方法を変更したものである(実施例2においても実施可能)。金型本体1の背面3には複数の仕切壁14が取り付けられている。仕切壁14に関しては実施例6で説明したとおりである。金網5は幅広の帯状である。金網5は、シート添設ステップで金型本体1の背面3に当接してスポット溶接部7で仮止めされた2つの当接部と、両当接部の間の、シート添設ステップで金型本体1から離れる方向へ湾曲した形状とされた幅広の湾曲部とを含むものである。幅広の湾曲部は、複数の仕切壁14の端部に当接してスポット溶接部7で仮止めされている。幅広の湾曲部に電着した電鋳金属8の内面と、仕切壁14の側面と、金型本体1の背面3とが、蛇行した流体通路10の内面を構成している。
【0049】
<実施例8及びその変更例>
図9に示す実施例8の成形用金型は、実施例1の蛇行した流体通路を分岐のある流体通路10に変更したものである(実施例2においても実施可能)。溝4は、途中で分岐して2つの溝要素4aになってからまた合流するように、金型本体1の背面3に形成されている。金網5は幅広の帯状である。金網5は、2つ溝要素4aを跨ぐように金型本体1の背面3に添設され、各溝要素4aより両側方の金型本体1の背面3にスポット溶接部7によって仮止めされている。金網5の溝4を跨ぐ部分に電着した電鋳金属8の内面と、溝4の内面とが、流体通路10の内面を構成している。図10に示す変更例のように、溝4を3つ以上(同図では4つ)に分岐することもできる。
【0050】
前述したように、金属配管で分岐のある流体通路を形成しようとすると複数本の金属配管とそれらの接続作業が必要になるが(図19)、溝4と金網5と電鋳金属8によれば分岐した流体通路10を容易に形成することができる。
【0051】
<実施例9>
図11に示す実施例9の成形用金型は、実施例5の蛇行した流体通路を分岐のある流体通路10に変更したものである(実施例2においても実施可能)。金網5は幅広の帯状である。金網5は、シート添設ステップで金型本体1の背面3に当接した2つの当接部と、両当接部の間の、シート添設ステップで金型本体1から離れる方向へ湾曲した形状とされた湾曲部とを含むものである。湾曲部は平面視で1つから途中で4つに分岐してからまた1つに合流するように形成され、図11(b)の断面視では当接部と湾曲部とが幅方向に繰り返されている。湾曲部に電着した電鋳金属8の内面と、金型本体1の背面3とが、分岐のある流体通路10を形成している。
【0052】
前述したように、金属配管で分岐のある流体通路を形成しようとすると複数本の金属配管とそれらの接続作業が必要になるが(図19)、金網5と電鋳金属8によれば分岐した流体通路10を容易に形成することができる。
【0053】
<実施例10>
図12に示す実施例10の成形用金型は、実施例1の蛇行した流体通路を、金型本体1の背面3にある凸状部31の頂面の略全体に接する幅広の流体通路10に変更したものである(実施例2においても実施可能)。凸状部31の頂面にはその周縁部を残して幅広の溝4が形成され、溝4の両端には流入管と流出管(図示略)を嵌合する凹部16が形成されている。金網5は、溝4を平らに跨いで凸状部31の頂面に添設され、溝4の周囲の凸状部31の頂面にスポット溶接部7によって仮止めされている。金網5の溝4を跨ぐ部分に電着した電鋳金属8の内面と、溝4の内面とが、幅広の流体通路10の内面を構成している。
【0054】
本実施例によれば、凸状部31の頂面の略全体に接する流体通路10を温度調節用流体が広がって流れるので、凸状部31の頂面の全体ないしその反対の表面2をより均一に温度調節することができる。
【0055】
<実施例11>
図13に示す実施例11の成形用金型は、実施例3の蛇行した流体通路を、金型本体1の背面3にある凸状部31の頂面の略全体に接する幅広の流体通路10に変更したものである(実施例2においても実施可能)。金網5は、凸状部31の側面に当接した周縁の(断面視では2つの)当接部と、両当接部の間の、凸状部31の頂面から離れる方向へ湾曲した形状である湾曲部とを含むものである。当接部は凸状部31の側面にスポット溶接部7で仮止めされている。湾曲部に電着した電鋳金属8の内面と、凸状部31の頂面とが、流体通路10の内面を構成している。
【0056】
本実施例によっても、凸状部31の頂面の略全体に接する流体通路10を温度調節用流体が広がって流れるので、凸状部31の頂面の全体ないしその反対の表面2をより均一に温度調節することができる。
【0057】
<実施例12>
図14に示す実施例12の成形用金型は、実施例3の蛇行した流体通路を、金型本体1の背面3の略全体に接する流体通路10に変更したものである(実施例2においても実施可能)。金網5は、背面3の平坦部に当接した周縁の(断面視では2つの)当接部と、両当接部の間の、背面3から離れる方向へ湾曲した形状である湾曲部とを含むものである。当接部は背面3の平坦部にスポット溶接部7で仮止めされている。湾曲部に電着した電鋳金属8の内面と、金型本体1の背面3の略全体とが、流体通路10の内面を構成している。
【0058】
本実施例によれば、背面3の略全体に接する流体通路10を温度調節用流体が広がって流れるので、背面3の全体ないしその反対の表面2をより均一に温度調節することができる。
【0059】
<実施例13>
図15に示す実施例13の成形用金型は、実施例1の蛇行した流体通路に代えて又は加えて、金型本体1の背面3にある凸状部31の凸コーナー部32及び凹コーナー部33に流体通路10を形成したものである(実施例2においても実施可能)。溝4は、凸コーナー部32及び凹コーナー部33に形成されている。金網5は、溝4を平らに又は湾曲して跨いで背面3に添設され、溝4より両側方の背面3にスポット溶接部7によって仮止めされている。金網5の溝4を跨ぐ部分に電着した電鋳金属8の内面と、溝4の内面とが、流体通路10の内面を構成している。
【0060】
前述したように、金属配管は凸コーナー部及び凹コーナー部に線当たりして熱伝導しにくいが(図17)、本実施例の流体通路10は凸コーナー部32及び凹コーナー部33の付近に「面」で固定されて熱伝導しやすいため、温度調節効率が良い。
【0061】
<実施例14>
図16に示す実施例14の成形用金型は、実施例3の蛇行した流体通路に代えて又は加えて、金型本体1の背面3にある凸状部31の凸コーナー部32及び凹コーナー部33に流体通路10を形成したものである(実施例2においても実施可能)。金網5は、背面3に当接した2つの当接部と、両当接部の間の、各コーナー部32,33から離れる方向へ湾曲した形状である湾曲部とを含むものである。当接部は背面3にスポット溶接部7で仮止めされている。湾曲部に電着した電鋳金属8の内面と、各コーナー部32,33付近の背面3とが、流体通路10の内面を構成している。
【0062】
本実施例の流体通路10も凸コーナー部32及び凹コーナー部33の付近に「面」で固定されて熱伝導しやすいため、温度調節効率が良い。
【0063】
なお、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、例えば次のように、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することができる。
(1)流体通路の断面積や断面形状を流体通路の流れ方向において変化させて、金型の部位に応じて温度調節効率を変えること。これは、従来の金属配管では困難なことであるが、本発明では容易なことである。
(2)実施例10〜12において、金網5の湾曲部を、金型本体1の背面3に取り付けた仕切壁(図示略)に当接させること。この仕切壁により、湾曲部に電着した電鋳金属8を支えて補強することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 金型本体
2 表面
3 背面
4 溝
4a 溝要素
5 金網
6 網目
7 スポット溶接部
8 電鋳金属
10 流体通路
11 流入管
12 流出管
13 凹所
14 仕切壁
15 電鋳液
16 凹部
20 ステンレス鋼薄板
31 凸状部
32 凸コーナー部
33 凹コーナー部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19