特許第6652452号(P6652452)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6652452
(24)【登録日】2020年1月27日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】すり板摩耗測定装置および測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/56 20060101AFI20200217BHJP
【FI】
   G01N3/56 F
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-121224(P2016-121224)
(22)【出願日】2016年6月17日
(65)【公開番号】特開2017-223631(P2017-223631A)
(43)【公開日】2017年12月21日
【審査請求日】2018年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000196587
【氏名又は名称】西日本旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】早坂 高雅
(72)【発明者】
【氏名】久保田 喜雄
(72)【発明者】
【氏名】宮口 浩一
(72)【発明者】
【氏名】古賀 進一郎
【審査官】 長谷川 聡一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−009405(JP,A)
【文献】 特開2015−184263(JP,A)
【文献】 実開昭54−109562(JP,U)
【文献】 実開昭52−036063(JP,U)
【文献】 実開昭49−065262(JP,U)
【文献】 実開昭57−179102(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0091547(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/56
G01B 5/24
G01B 21/00
G01B 21/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
すり板の側面に配置される第1部材と、
この第1部材に対して、トロリ線と直交する平面内で回転自在に連結され、前記すり板の摩耗により生じた上面の傾斜に位置合わせされる第2部材と、
この第2部材に上端が回転自在に連結され、下端が前記第2部材の傾斜に対応して、前記第1部材の長さ方向の所定箇所を指し示す指示部材と、を具備することを特徴とするすり板摩耗測定装置。
【請求項2】
前記第1部材の長さ方向の所定箇所には、前記指示部材によって指し示される目盛り又は目印の表記が設けられることを特徴とする請求項1に記載のすり板摩耗測定装置。
【請求項3】
前記指示部材は、前記第2部材に接続された上端の回転軸を中心として回転自在に設けられるとともに、その自重により鉛直方向に配置される下げ錘であることを特徴とする請求項1又は2に記載のすり板摩耗測定装置。
【請求項4】
すり板の側面に第1部材を配置し、
この第1部材に対して、トロリ線と直交する平面内で回転自在に連結された第2部材を前記すり板の摩耗により生じた上面の傾斜に位置合わせし、
この第2部材に上端が回転自在に連結された指示部材の前記第1部材との交差位置から前記すり板の摩耗度を判定することを特徴とするすり板摩耗測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線路上のトロリ線としゅう動するパンタグラフに適用されて、すり板の摩耗度合を容易に確認することが可能なすり板摩耗測定装置および測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道分野において、電車等の集電装置として使用されているパンタグラフには、線路上のトロリ線と接触するすり板が設けられている。
このすり板では、電車の走行に伴うトロリ線との接触及びしゅう動により摩耗が生ずる。このため、定期的にすり板の摩耗量を測定し、摩耗量が摩耗限度を超えた場合には、すり板を交換する必要がある。
このようなすり板の交換は現場の経験的な判断で行うことが多く、判断を誤った場合にはトラブルに発展する恐れもある。
【0003】
そして、このような問題解決のために現場の経験に頼らずに、すり板の交換時期を知る技術が提供されている。例えば特許文献1に示される摩耗量測定装置では、第1の接触部と第2の接触部とを接触状態で相対移動させながらこれらの接触部の摩耗量を測定する技術が提供されている。
具体的には、上記摩耗量測定装置では、固定点を基準として第1の接触部の非摩擦部の変位量を測定する第1の変位量測定部と、固定点を基準として第2の接触部の非摩擦部の変位量を測定する第2の変位量測定部と、固定点を基準として第1及び第2の接触部の摩擦部の変位量を測定する第3の変位量測定部と、これら第1〜第3の変位量測定部の測定結果に基づき各接触部の摩耗量を演算する摩耗量演算部と、を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−209187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示される摩耗量測定装置では、第1〜第3の変位量測定部の測定結果に基づき各接触部の摩耗量を演算する摩耗量演算部を設ける等の複雑な構成が必要であり、このため、簡易な摩耗量測定装置が提供されることが期待されていた。
【0006】
一方、トロリ線はすり板の摩耗を均等にするべく軌道上にて左右ジグザグに架設されている。従って、電車が走行するとトロリ線はすり板上を左右に振れながら移動する。
このときのすり板Sに生じる摩耗は、図5(A)に示される湾曲形状の通常摩耗と、図5(B)に示される段付き摩耗に分類できる。後者の段付き摩耗では、所定箇所に形成された段状の引っ掛かりが徐々に大きくなり、最終的に図5(B)に示されるようなV字状の段付き溝10となる。
そして、このような段付き溝10が形成された場合には、すり板Sの交換時期の判定が特に難しく、容易にすり板交換時期の判定ができる新たな技術の提供が求められていた。なお、図5において示される符号Mは、すり板Sとしゅう動するトロリ線である。
【0007】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、すり板に段付き溝が形成された場合において、簡易な構成によりすり板の交換時期の判定が可能となるすり板摩耗測定装置および測定方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明は、すり板の側面に配置される第1部材と、この第1部材に対して、トロリ線と直交する平面内で回転自在に連結され、前記すり板の摩耗により生じた上面の傾斜に位置合わせされる第2部材と、この第2部材に上端が回転自在に連結され、下端が前記第2部材の傾斜に対応して、前記第1部材の長さ方向の所定箇所を指し示す指示部材と、を具備することを特徴とする。
【0009】
そして、上記発明によれば、第1部材に対してトロリ線と直交する平面内で回転自在に連結され、かつすり板の摩耗により生じた段付き溝の上面の傾斜ラインに沿って位置合わせされる第2部材が設けられている。
また、この第2部材には、上端が第2部材に回転自在に連結された指示部材が設けられている。この指示部材は、すり板の摩耗により生じた段付き溝の上面の傾斜ラインに第2部材が位置合わせされた場合に、該第2部材の傾斜ラインに対応して、その下端が第1部材の長さ方向の所定箇所を指し示すように設置されている。
そして、この第1部材の所定箇所に、第2部材の傾斜度合いに対応した目盛り又は目印等の表記を付しておけば、当該表記を作業者が参照することにより、すり板に生じた摩耗が、該すり板の交換時期に達しているか否を容易に知ることができる。
すなわち、本発明では、すり板に段付き溝が形成された場合において、センサ及び演算手段等の複雑な機構を使用せず、簡易な構成により容易に当該すり板の交換時期の判定が可能となる。
【0010】
また、本発明では、前記第1部材の長さ方向の所定箇所には、前記指示部材によって指し示される目盛り又は目印等の表記が設けられることを特徴とする。
【0011】
そして、上記発明によれば、第1部材の長さ方向の所定箇所に、指示部材によって指し示される目盛り又は目印等の表記が設けられているので、当該表記を作業者が参照することにより、すり板に生じた摩耗が、該すり板の交換時期に達しているか否を容易に知ることができる。
【0012】
また、本発明では、前記指示部材が、前記第2部材に接続された上端の回転軸を中心として回転自在に設けられるとともに、その自重により鉛直方向に配置される下げ錘であることを特徴とする。
【0013】
そして、上記発明によれば、指示部材が、第2部材に接続された上端の回転軸を中心として回転自在に設けられるとともに、その自重により鉛直方向に配置される下げ錘により構成されているので、第2部材の傾斜度合いに対応して該指示部材の下部が、第1部材の長さ方向の所定箇所を指し示すことができる。そして、この第1部材の所定箇所にて、第2部材の傾斜度合いに対応した目盛り又は目印等の表記を付しておけば、当該表記を作業者が参照することにより、すり板に生じた摩耗が、該すり板の交換時期に達しているか否を容易に知ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、すり板に段付き溝が形成された場合において、センサ及び演算手段等の複雑な機構を使用せず、簡易な構成により、容易に当該すり板の交換時期の判定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態に係るすり板摩耗測定装置を示す図であって、(A)は概略構成図、(B)は段付き溝の傾斜度合に応じて第2直線部材の角度が変更される様子を示す図である。
図2】段付き溝の傾斜度合を示す「l/d」についての説明図である。
図3】段付き溝の傾斜度合を示す「l/d」としゅう動時間増加比との関係を示すグラフである。
図4】(A)〜(D)はすり板の摩耗が進行する様子を段階的に示す図であって、特に(D)は交換時期に達したすり板を示している。
図5】(A)はすり板に生じた湾曲形状の通常摩耗、(B)すり板に生じた段付き摩耗を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態について図1図4を参照して説明する。
図1(A)は本実施形態に係るすり板摩耗測定装置100の全体構成を示す図であって、主に第1直線部材11と、第2直線部材12と、指示部材13とから構成される。
【0017】
第1直線部材11はすり板Sの側面に接触させた状態で該すり板Sの長さ方向に沿って水平配置されるものである。
第2直線部材12は、基端部に位置する回転軸14を介して、第1直線部材11に対して矢印a方向に回転自在に連結されるものであって、図1(B)に鎖線で示されるように、トロリ線と直交する平面内にて回転する。
そして、この第2直線部材12は回転軸14を介した第1直線部材11に対する矢印a方向への回転により、すり板Sの摩耗により生じた段付き溝10の上面の傾斜ライン(符号Lで示す)に位置合わせされる。
なお、図1(B)において、符号12で示される第2直線部材は、すり板Sが交換時期に到達した場合の傾斜状態を示し、符号12(12A)で示される第2直線部材は、すり板Sが交換時期に到達しない場合の傾斜状態を示し、符号12(12B)で示される第2直線部材は、すり板Sが交換時期を過ぎている場合の傾斜状態を示している。
【0018】
指示部材13は、その上端部が、第2直線部材12の先端部に設けられた回転軸15を介して回転自在に連結された下げ錘であって、その自重により鉛直方向に配置される。
また、この指示部材13の下端部は第1直線部材11の長さ方向の所定箇所を指し示す指針部16となっており、該指針部16によって指し示される第1直線部材11には、目盛り17が設けられている。
【0019】
この目盛り17としては、段付き溝10の傾斜ラインLの傾斜度合を示す「l/d」の値が付されている。
図2を参照して分かるように、ここで示される「l」はすり板Sの上面と段付き溝10の最深部との間の高さ距離を表し、また、「d」はすり板Sの長さ方向に沿う該すり板Sの傾斜開始位置と段付き溝10の最深部との間の距離を表しており、このような位置関係に基づき、第1直線部材11の長さ方向の所定箇所には、段付き溝10の傾斜ラインLの傾斜度合を示す「l/d」の値(具体的には、0,0.1,0.2,0.3・・・・)が付されている。
なお、図2内の符号Mは段付き溝10内に入り込んだトロリ線を示している。また、図2では、2つの傾斜面の中で、他方側の傾斜状態を「l´/d´」で示しているが、これは後述する図3での試験結果を分かり易くするために区別している。
【0020】
この目盛り17の値である「l/d」を決定するためのしゅう動試験について、図2図4を参照して説明する。
トロリ線Mはすり板Sの摩耗を均等にするべく、左右ジグザグに架設されている。従って、電車が走行するとトロリ線Mはすり板S上を移動する。このときすり板S上に段があると、すり板Sはその段で拘束され、他の箇所に比べてその箇所のしゅう動時間が長くなる。
このため、本しゅう動試験では、図2に示すような段付き溝10を有するすり板Sを使用した上で、図3に示すように、該すり板Sの段形状として横軸に「l/d」の比を取り、縦軸に、段が無い場合のしゅう動時間(T(s))と、段がある場合のしゅう動時間(T(s))との比を取ることで、すり板Sに生じる摩耗の傾向を明らかにした。
そして、この図3を参照して分かるように、形状パラメータとして設定した「l/d」が0.2程度になった場合に、しゅう動時間が2倍を超えることから、すり板Sの摩耗量も2倍程度に増加し、段形状が急速に進展するものと考えられる。
【0021】
本実施形態のすり板摩耗測定装置100の作用を摩耗測定方法とともに説明すれば、図1に示されるように、まず、第1直線部材11をすり板Sの側面かつ長さ方向に沿って水平配置した後、段付き溝10の上面の傾斜ラインLに沿って第2直線部材12を位置合わせする。
そして、この状態で、図1(B)に実線で示されるように、指示部材13の下端に位置する指針部16が、第1直線部材11の目盛り17に付された、段付き溝10の傾斜ラインLの傾斜度合「l/d」を示す「0.2」を指し示した場合に、すり板Sが交換時期に到達したと判断できる。
また、この状態で、図1(B)に符号12(12A)で示されるように、指示部材13の指針部16が、第1直線部材11の目盛り17に付された、段付き溝10の傾斜ラインLの傾斜度合「l/d」を示す「0.2」に満たない場合には、すり板Sが交換時期に到達せず、そのまま継続使用しても問題ないと判断できる。
また、図1(B)に符号12(12B)で示されるように、指示部材13の指針部16が、第1直線部材11の目盛り17に付された、段付き溝10の傾斜ラインLの傾斜度合「l/d」を示す「0.2」を越えている場合には、すり板Sが交換時期を過ぎており、早急に交換が必要であると判断できる。
【0022】
本実施形態に示されるすり板摩耗測定装置100は、段付き溝10の上面の傾斜ラインLに沿って第2直線部材12を位置合わせした状態で、指示部材13の下端に位置する指針部16が、第1直線部材11の目盛り17に付された、段付き溝10の傾斜ラインLの傾斜度合「l/d」を示す「0.2」を指し示したか否かにより、すり板Sが交換時期に到達した否かの判断が可能となる。
なお、上述したしゅう動試験では、トロリ線Mの張力を9.8kNに設定し、かつパンタグラフ押上力を59Nに設定した状態で、トロリ線Mが距離d(mm)を移動するのに要する時間(段が無い場合:T(s)、段が有る場合:T(s))を計測した。
【0023】
また、トロリ線Mとのしゅう動によりすり板Sに生じる摩耗は、例えば図4(A)〜(D)に示されるように進行する。
具体的には、これら図4(A)〜(D)に示されるように段付き溝10の摩耗の進行によって、傾斜ラインLの傾斜度合「l/d」を示す値が徐々に大きくなって行くが、この値が、図4(D)に示す「0.2」に達した場合に、上記すり板摩耗測定装置100を用いて、段付き溝10の上面の傾斜状態を確認する(図4の斜線部分の形状に一致しているか否かを確認する)ことで、すり板Sが交換時期に到達したと判断できる。
なお、すり板Sの交換時期の傾斜度合「l/d」を示す「0.2」という値は、すり板Sの材質により異なることは当然である。例えば、通常使用される炭素と銅の焼結体である場合は「0.2」の基準値を用い、これより硬質の材料を使用する場合には「0.3」といった比較的大きい基準値を用いるなど、すり板Sの材質に応じて、該すり板Sの交換時期となる基準値「l/d」を適宜変更すると良い。
【0024】
以上詳細に説明したように本実施形態に示されるすり板摩耗測定装置100では、すり板Sの側面に配置される第1直線部材11と、この第1直線部材11に回転自在に連結されてすり板Sの摩耗により生じた上面の傾斜ラインLに位置合わせされる第2直線部材12と、この第2直線部材12に回転自在に連結されてその下端に位置する指針部16が第1直線部材11の長さ方向の所定箇所を指し示す指示部材13と、が具備される。
【0025】
そして、このようなすり板摩耗測定装置100を用いた測定方法をその作用とともに説明すれば、第1直線部材11をすり板Sの側面かつ長さ方向に沿って水平配置した後、段付き溝10の上面の傾斜ラインLに沿って第2直線部材12を位置合わせする。
そして、この状態で、指示部材13の下端に位置する指針部16が、第1直線部材11の目盛り17に付された、段付き溝10の傾斜ラインLの傾斜度合「l/d」を示す「0.2」を指し示した場合(又は0.2以上の値を示した場合)に、すり板Sが交換時期に到達したと判断できる。
すなわち、上記すり板摩耗測定装置100では、すり板Sに段付き溝10が形成された場合において、センサ及び演算手段等の複雑な機構を使用せず、簡易な構成により容易に当該すり板Sの交換時期の判定が可能となる効果を奏する。
【0026】
なお、上記実施形態では、指示部材13の下端に位置する指針部16が、第1直線部材11に表記した目盛り17(具体的には、0,0.1,0.2,0.3・・・・との目盛り17)を指し示すようにした。
しかし、このような表記に限定されず、傾斜ラインLの傾斜度合「l/d」の中で、すり板Sの交換判定時期を示す「0.2」のみに目印となるマークを付し、このマークを、指示部材13の下端に位置する指針部16が指し示したか否かにより、すり板Sの交換時期に到達したかを判定しても良い。
【0027】
また、上記実施形態では、第1直線部材11の上面に第2直線部材12を重ねて配置し、第2直線部材12の上面に指示部材13を重ねて配置しているが、これに限定されず、第1直線部材11の同じ側に第2直線部材12及び指示部材13を配置しても良い。その際、第2直線部材12及び指示部材13が互いに干渉することを最小限に抑えるために、各部材の厚さを薄厚にするとともに、折り畳み時に出っ張らないように、回転軸14及び15の位置を、第1直線部材11の幅方向に沿ってずらすように設定(例えば、図1において、回転軸14を第1直線部材11の右端部下側、回転軸15を第1直線部材11の左端部上側に設置)をすると良い。また直線部材は、直線、あるいは線状に限らず、すり板の側面に沿って配置し、あるいは、すり板の上面に沿って位置合わせする操作に適した形状であれば、板状や棒状であってもよい。
【0028】
また、上記実施形態では、第1直線部材11の所定箇所に目盛り17を設けたが、これに限定されず、指示部材13側に設けても良い。その際、指示部材13が交差する第1直線部材11の交差箇所に目印を設け、この目印が、指示部材13に設けた目盛りを指し示すことで、段付き溝10の傾斜ラインLの傾斜度合「l/d」を知るようにしても良い。
【0029】
また、上記実施形態では、指示部材13をその自重により鉛直となるようにしたが、これに限定されず、段付き溝10の傾斜状態を測定する際に、作業車者の手作業により、該指示部材13を垂直となるように回転させても良い。
【0030】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、線路上のトロリ線としゅう動するパンタグラフに適用されて、該すり板の摩耗度合を容易に確認することが可能なすり板摩耗測定装置および測定方法に関する。
【符号の説明】
【0032】
10 段付き溝
11 第1直線部材
12 第2直線部材
13 指示部材
14 回転軸
15 回転軸
16 指針部
17 目盛り
100 すり板摩耗測定装置
L 傾斜ライン
M トロリ線
S すり板
図1
図2
図3
図4
図5