特許第6652485号(P6652485)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6652485冷却プレートを有する、間接冷却装置に適合するターゲット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6652485
(24)【登録日】2020年1月27日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】冷却プレートを有する、間接冷却装置に適合するターゲット
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/34 20060101AFI20200217BHJP
   C23C 14/32 20060101ALI20200217BHJP
【FI】
   C23C14/34 C
   C23C14/32 A
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-522328(P2016-522328)
(86)(22)【出願日】2014年6月30日
(65)【公表番号】特表2016-523315(P2016-523315A)
(43)【公表日】2016年8月8日
(86)【国際出願番号】EP2014001782
(87)【国際公開番号】WO2015000577
(87)【国際公開日】20150108
【審査請求日】2017年5月2日
(31)【優先権主張番号】102013011074.2
(32)【優先日】2013年7月3日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516082866
【氏名又は名称】エリコン サーフェス ソリューションズ アーゲー、 プフェフィコン
(74)【代理人】
【識別番号】100091867
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 アキラ
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(74)【代理人】
【識別番号】100202016
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 喬
(72)【発明者】
【氏名】クラポフ デニス
(72)【発明者】
【氏名】クラスニッツァー ジークフリート
【審査官】 今井 淳一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第98/007565(WO,A1)
【文献】 特開2000−068234(JP,A)
【文献】 特表2008−521992(JP,A)
【文献】 特表2012−510546(JP,A)
【文献】 特表2002−512424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/34
C23C 14/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却ダクトを備える部品と、前記部品及びターゲットの間に位置する別の熱伝導プレート、を有するターゲット用冷却装置において、
前記別の熱伝導プレートが前記部品の冷却サイドと取り外し可能な接触状態にあること
記別熱伝導プレートと前記部品の前記冷却サイドとの間に、片側のみに粘着性を有する第1粘着性炭素膜が設けられており、該第1粘着性炭素膜は、前記部品の前記冷却サイドに面する、前記別の熱伝導プレートの一方の側へ、広範囲かつ粘着質に接着されており、
前記別の熱伝導プレートと前記ターゲットとの間に、片側のみに粘着性を有する第2粘着性炭素膜が設けられており、該第2粘着性炭素膜は、前記部品の前記冷却サイドに離背する、前記別な熱伝導プレートの他方の側と、広範囲で粘着質に接着されていること、及び
前記第1粘着性炭素膜は前記部品の前記冷却サイドには接着されておらず、また前記第2粘着性炭素膜は前記ターゲットには接着されていないこと、
を特徴とするターゲット用冷却装置。
【請求項2】
前記別熱伝導プレートがモリブデン及び/又は銅を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記別熱伝導プレートが少なくとも3mmの厚みを有する、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
請求項1に記載の冷却装置を有するターゲットであって、
スパッタリングプロセス及び/又はアーク蒸発放電のための材料源として具体化される、ことを特徴とするターゲット。
【請求項5】
前記粘着性炭素膜は0.125mmから0.5mm未満の厚みを有する、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置を有するターゲットを有するコーティング源。
【請求項7】
前記ターゲットの周囲は、高くて均一な接触圧力を創出する差し込みアタッチメントの形態の源ホルダーと協働する、ことを特徴とする請求項6に記載のコーティング源。
【請求項8】
請求項3に記載の装置において、前記ターゲットが6mmから18mmの間の厚みを有していることを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その表面がPVDプロセスにおいて、特に真空条件下で材料源として使用されるターゲットに関する。本発明は特に、スパッタリング(すなわち、ドイツ語で「Zerstaeuben」と呼ばれるPVDプロセス)に使用されるこの種のターゲットに関する。使用に際して、この種のターゲットは通常、ターゲットを冷却するための手段が設置された源ホルダーによって保持される。本発明は特にこのようなターゲットを含むコーティング源に関する。
【背景技術】
【0002】
スパッタリングでは、ターゲットの表面は真空条件下でイオンにより衝撃を与えられる。衝撃は、この目的のために設けられた、ターゲット表面の視野に配置された基板に析出される物質をターゲット表面から取り除く(吹き飛ばす)。このために必要とされるイオンは、ターゲット表面上に形成されるプラズマによって与えられる。負の電圧をターゲットに適用することで、イオンはそこに向かって加速される。より多くのイオンが単位時間当たり流れると、より高いコーティング率が達成される。より高い電圧がターゲットに適用されると、ターゲット表面に対するイオンの衝撃速度がより高くなり、ターゲットから取り除かれるスパッタされる物質のエネルギーはより高くなる。ゆえに、より高いパワー入力が望ましい。スパッタされる物質の電離度(イオン化の程度)とパワー密度の依存性は既に知られている。これらの効果はHIPIMSプロセスで使用される。
【0003】
このようなスパッタリングターゲットに適用される中間パワー密度は一般的に、5W/cm〜30W/cmの範囲である。
【0004】
しかしながら、スパッタリングは、少ないエネルギー効率のPVDコーティング法である。これは、ターゲットに与えられるエネルギーの大部分が熱に変換され、ターゲットが加熱することを意味する。この熱は冷却プロセスにより除去されねばならない。従来技術にはこれを実現するための様々なアプローチがある。これを以下に簡単に略述する。
【0005】
a)直接冷却されるターゲット
図1に概略的に示すように、直接冷却されるターゲット1によって、ターゲット表面3において熱に変換されたパワーは、熱伝導によりターゲット物質内をターゲット裏面7に伝達される。水ダクト9内を流れる冷却液11は、その熱容量と流れ条件に従って熱の流れを運び去る。ターゲット裏面7と冷却液11の間には非常に良好な熱接触がある。しかしながら、この場合、ねじ13によってターゲットを基体15に固着する必要がある。加えて、冷却液11(例えば、水)から真空に密閉するシール17が設けられねばならない。供給ライン6もまた図1に概略で描かれている。他には、図は概略的な描写である。例えば冷却液の真空製造、分離、供給及び除去のための他の部品が当業者には既知であり、ゆえにここでは示さない。
【0006】
この直接冷却されるターゲットはその非常に良好な冷却性能のために実際に魅力的であるが、冷媒−真空シールの存在とターゲットを変えるときの水−ターゲット結合の必要な破壊のために著しい不都合を有する。従って、例えば冷却液の漏れが生じる危険がある。この危険性は、ターゲット物質の頻繁な変更が必要とされるときに特に高くなる。
【0007】
b)間接冷却されるターゲット
図2に示すように、間接冷却されるターゲットによって、ターゲット201の裏面203は源ホルダー205に(例えばねじやクランプにより)締結され、本質的に閉鎖された冷却プレート207は源ホルダー205に一体化される。例えば、冷却プレート207は、移動する液が熱を運び去る、冷媒が流れる冷却ダクト209を有する。
【0008】
この場合、冷却液ダクトは、硬い固定カバーにより境界を定められる。冷却と電気接触のために、ターゲットは、例えば周囲を又は場合によりターゲットの中央でねじによりこのカバーに締結される。この方法は、とりわけ、2つの問題を生じる。
【0009】
熱伝達は、ターゲット裏面の表面と冷却プレートの表面を介して創出される。特定の手段なしに、これら2つの表面は、理想的な滑らかな接触ペアから急激に偏向する境界面を構成する。この状況は図3に示されている。この場合の熱伝達は急激に減少し、圧力依存になる。しかし、接触圧力は例えば締結ねじにより与えられるだけであり、言い換えれば熱伝達は局所的に改善されるだけである。
【0010】
この状況は2つの表面の間に接触膜を設けることで改善できる。この膜は例えば、インジウム、錫又はグラファイトから作られる。それらの展性のために、これら膜はターゲット裏面と冷却プレートの表面の間の凸凹を補償することができる。さらに、接触圧力はその領域にわたってより一様に加わることになる。
【0011】
この方法の不都合は、特に垂直に設置されたターゲットにおいて接触膜を設けることが不便で、難しい点である。これは特に、ターゲット物質を頻繁に変更する必要があるときに関連する。グラファイト膜の場合、横の熱伝導率は実際に良好であるが、縦方向(transverse)の熱伝導率は小さい。ゆえに、膜の縦方向の熱伝導率が冷却プロセスを妨げないように、グラファイト膜は一方で薄くなければならない。他方で、取り付けの際の膜への損傷を防ぐために、或る膜厚みが必要である。この理由のために、0.5mm程度の厚みのグラファイト膜が使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、従来技術から公知の装置と比べて、特にターゲット物質の変更を改善する、ターゲット用の改良された冷却装置の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、先に概要を述べた間接冷却装置の改良に基づく。本発明によれば、この課題は、第1及び第2の粘着性炭素膜(接着剤付き炭素膜)が、ターゲットと、熱を運び去るための冷却ダクトを有する部品の間の別なプレートの両サイドに取り付けられることにより解決される。ターゲット本体が設置される前に、当該膜は、ターゲットには接着されず別なプレートに間隙無しに一様に接着される。これにより、ターゲット本体の裏面と炭素膜との間で非常に良好な熱接触及びターゲットの容易な変更が保証される。そのとき、ターゲット本体は源ホルダーに容易に設置できる。それゆえ、ターゲットに接触する第1の炭素膜は、ターゲット本体の裏面と別なプレートとの接触膜の機能を果たし、第2の炭素膜は、別なプレートと冷却プレートの表面との接触膜の機能を果たす。
【0014】
この粘着性炭素膜の使用は真空技術の分野では習慣的ではない。粘着性炭素膜を製造するのに使用される接着剤は真空条件下でかなりのガス放出(outgasing)を受け、従って真空にマイナスの効果を与えるため、また対応する揮発性成分が真空下で処理すべき基板の汚染を生じるため、このような物質は使用されない。
【0015】
対照的に、本発明者等は大変驚くべきことに、前述したように使用される粘着性膜がいかなる知覚可能な態様でも先に記述した不都合を受けないことを発見した。このための説明は、ターゲット面の裏面との密着と、炭素膜によるメンブランとの接触とにより、接着剤のガス放出が徹底的に遅くなり、従って関係が無くなるという事実にあろう。
【0016】
本発明を、図面に則して、また様々な例示の実施形態に関連して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】直接冷却を用いた従来のコーティング源を示す図である。
図2】間接冷却を用いた従来のコーティング源を示す図である。
図3図2に係る冷却を用いたコーティング源における制限された熱接触を示す図である。
図4】取り付けられた粘着性炭素膜を有する本発明に係るターゲットの実施形態を通る断面図である。
図5】第1実施形態の間接冷却によるコーティング源に一体化された、本発明に係るターゲットを示す図である。
図6】第2実施形態のコーティング源に一体化された、本発明に係るターゲットを示す図である。
図7】差し込みプロフィールを有するターゲットを示す図である。
図8】別な実施形態の対応する設計を概略的に描く図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図4aは、ターゲット401を対応的に示し、そのターゲット裏面403はそこに設けられた炭素膜(カーボンフィルム)407を有する。炭素膜は一方の面が粘着性であって、0.1mmから0.5mm未満の厚みを有する。好ましくは、この実施例で選択されている炭素膜の厚みは0.125mmである。実施例では、製造識別番号KU−CB1205−AVのKunze社製の接触膜(コンタクトフィルム)が使用された。
【0019】
図4は、ターゲット裏面と粘着性炭素膜の間の境界面のより拡大した詳細図である。ここで、炭素膜は、炭素膜を粘着性膜に変質させる粘着膜(粘着フィルム)409と、炭素膜(炭素フィルム)411を含む。
【0020】
図4に従うターゲットは、図5に示すように、間接冷却を用いたコーティング源に容易に一体化できる。粘着性炭素膜507を備えたターゲット501は、ねじ513によって源ホルダー505の前面に締結されている。冷却ダクト509を有する冷却プレートが源ホルダーに一体化しており、炭素膜507は冷却プレートの裏面503に対して押圧され、冷却プレートとの良好な熱接触を創出している。本発明によれば、炭素膜がターゲット裏面に接着するという事実のため、ターゲットがコーティング室において垂直に設置されていてもターゲットを変えることは非常に容易である。
【0021】
間接冷却の改良された変形例は、図6に示すように移動メンブランを用いた間接冷却である。その設計は図に示されたものと似ており、粘着性炭素膜607を有するターゲット601、源ホルダー605及び冷却ダクト609を有する。しかし、この好ましい実施形態では、冷却ダクト609を炭素膜607から分離する冷却プレートの壁は、可撓性メンブラン603として具体化されている。冷媒は例えば水である。ターゲットの変更においては、水シール(ウォーターシール)を除去する必要はない。ターゲット601が適切な手段(例えばクランプ613やねじによって)源ホルダー605に締結された場合、次に冷却ダクト609内に広がる静水圧が、メンブラン603をターゲット裏面に対して、従って粘着性炭素膜607に対して一様に押圧し、良好な広範囲の熱接触が創出される。
【0022】
この場合、粘着性炭素膜が重要な役割を果たすという事実が以下の表1から見事に実証されている。表1は、様々なスパッタリングパワーと2つの異なる材料組成に対して粘着性炭素膜を有する又は有しない場合のターゲット温度を比較している。
【0023】
【表1】
【0024】
表1の測定番号1にあるように、本発明に係る粘着性炭素膜を有しないターゲットは、機械的理由のために2.5kWのスパッタリングパワーまで安全に操作できる。本発明に係る粘着性炭素膜を有するターゲットを用いることで、パワー適合性が2倍以上になる。
【0025】
様々なターゲット物質、即ち他のAlTi又はAlCr比を有するもの及び純粋なアルミニウム、チタン及び/又はクロムターゲットを有するものは同様の品質イメージをもたらす。6mm〜18mmのターゲット厚みが使用されるとき、本発明は特に良好な効果を実証する。好ましくは、ターゲット厚みは6mm〜12mmである。
【0026】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、ターゲット701が、ターゲット裏面703に粘着性炭素膜705と図7に従う差し込みプロフィール(bayonet profile)707を有するターゲットの形態で具体化される。この実施形態に係る好ましいコーティング源は、メンブランと差し込みアタッチメント用の片割れ要素とを有する、図6に示す間接冷却を有する。これにより、高くて均一な接触圧力の創出が可能となる。この好ましい実施形態は、粉末冶金ターゲットに関連して特に有利である、というのもこれらターゲットは150℃の温度以上で機械的に弱まり、熱膨張が増大するからである。この熱応力は、ターゲット温度と、差し込みアタッチメントによりもたらされる機械的間隙とを減少させることで、著しく低減される。クロムターゲットに対して、例えば100W/cmまでのパワー密度(出力密度)が可能である。
【0027】
気相からの析出プロセスのために使用される材料源として具体化され、前面及び裏面を有するターゲットであって、粘着性炭素膜が裏面に接着されることを特徴とするターゲットが開示される。
【0028】
ターゲットは、スパッタリングプロセス及び/又はアーク蒸発放電のための材料源として具体化されてもよい。粘着性炭素膜は例えば0.125mm〜0.5mmの厚み、好ましくは0.125mmの厚みを有する。
【0029】
前述したタイプのターゲットを有し、源ホルダー上に位置決めされるコーティング源であって、冷却ダクトを用いた間接冷却が一体化したコーティング源が開示される。
【0030】
コーティング源には、好ましくは、冷却ダクトを粘着性炭素膜から分離する壁が可撓性メンブランの形態で具体化され、壁により粘着性炭素膜はメンブランと広範囲に接触する。
【0031】
コーティング源のターゲットの周囲は好ましくは、差し込みアタッチメントの形態の源ホルダーと協働するように具体化され、よってより高くより均一な接触圧力が創出される。
【0032】
間接冷却されるコーティング源では、冷却ダクトをターゲットの裏面から分離する壁に粘着性炭素膜を接着することも可能である。これは、当該壁がメンブランとして具体化されても可能である。しかしながらこれは、膜が損傷した場合に、膜が源ホルダーから除去され(これは労働集約的である)、次いで交換されねばならないという不都合を有する。粘着性炭素膜が十分薄い場合、ターゲット裏面と、冷却ダクトをターゲットの裏面から分離する壁との両方に、粘着性炭素膜を取り付けることも可能である。
【0033】
本発明の別な実施形態によれば、高熱伝導率を有する別なプレートが、ターゲットと、熱を運び去るための冷却ダクトを有する部品の間に設けられる。このプレートは例えばモリブデンプレートや銅プレートである。前記別なプレートは、冷却ダクトを含む部品に取り外し可能に接触してもよい。再び、非常に良好な広範囲の熱接触が得られることが重要である。本発明によれば、前記別なプレートの両サイドには、粘着性炭素膜が設けられる。この場合、前述したように、粘着性炭素膜が別なプレートのターゲット裏面設けられていること重要である。好ましくは、このようにして具体化されたプレートは、両サイドに粘着性炭素膜を具備している。これにより、ターゲットサイドでの良好な広範囲の熱接触と、冷却ダクトを含む部品との良好な熱接触の両方が得られる。従って、このようにして具体化された前記別なプレートは、両サイドを粘着性炭素膜で覆われる。この別なプレートは、それが十分な安定性を有する十分な厚みになるように容易に選択でき、そのためターゲットを変更する際に必要な操作・取り扱いによって何ら問題が生じない。この実施形態は、冷却ダクト部品やターゲットのような高価な部品がそれらに接着される膜を有する必要が無いという利点を有する。少なくとも銅が別なプレートのために使用される場合、これは非常に安価な変形例である。2つの粘着性炭素膜のうちの1つが損傷した場合でも、この別なプレートの交換は僅かな費用しかかからない。
【0034】
図8は、この実施形態の対応する設計を概略的に描いている。図面は、熱が最終的に運び去られる冷却ダクト807を有する部品805を示す。それに載置されているのは、別な熱伝導プレート803であり、その一方のサイドは第1粘着性炭素膜811を具備し、他方のサイドはターゲット801が配置される第2粘着性炭素膜809を具備している。粘着性炭素膜に簡単な操作に対して十分な安定性を与えるように、別な熱伝導プレート803が十分な厚みになるように選択されている。別な熱伝導プレート803の厚みは例えば、少なくとも3mm、好ましくは少なくとも5mm、特に好ましくは少なくとも1cmである。
【符号の説明】
【0035】
401 ターゲット
403 ターゲット裏面
407 炭素膜(カーボンフィルム)
409 粘着膜(粘着フィルム)
411 炭素膜(炭素フィルム)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8