特許第6652493号(P6652493)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6652493
(24)【登録日】2020年1月27日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】伝導性および対流性の温度調節シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/56 20060101AFI20200217BHJP
   A47C 7/74 20060101ALI20200217BHJP
   B60H 1/00 20060101ALI20200217BHJP
   B60H 1/32 20060101ALI20200217BHJP
【FI】
   B60N2/56
   A47C7/74 C
   B60H1/00 102V
   B60H1/32 621G
【請求項の数】18
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2016-551788(P2016-551788)
(86)(22)【出願日】2015年2月13日
(65)【公表番号】特表2017-511765(P2017-511765A)
(43)【公表日】2017年4月27日
(86)【国際出願番号】US2015015927
(87)【国際公開番号】WO2015123585
(87)【国際公開日】20150820
【審査請求日】2018年2月13日
(31)【優先権主張番号】61/940,306
(32)【優先日】2014年2月14日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511014862
【氏名又は名称】ジェンサーム インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Gentherm Incorporated
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】リンデマン、 キース、 アラン
(72)【発明者】
【氏名】ロフィ、 ジョン、 ディー.
【審査官】 森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−042594(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0070236(US,A1)
【文献】 特開2012−111318(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0097777(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00 − 2/90
A47C 7/00 − 7/74
B60H 1/00 − 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度調節アセンブリであって、
乗員を支持するように構成された支持面を有する支持部材と、
前記支持部材の前記支持面に隣接する空気を吸い込むように構成された送風機と、
前記支持部材上に配置され、主要側と廃棄側とを含む熱電デバイスと、
前記熱電デバイスの前記廃棄側に伝導的に結合された熱交換器と、
前記熱電デバイスの前記主要側に伝導的に結合され、少なくとも一部が前記支持部材の前記支持面に沿って延びる導電部材と、を有し、
動作時に、前記熱電デバイスが前記導電部材を冷却して該導電部材が前記熱電デバイスの前記主要側からの熱エネルギーを前記支持部材の前記支持面に伝導的に導入するのと同時に、前記送風機が前記支持面から前記廃棄側に結合された前記熱交換器を通じて空気を吸い込む、温度調節アセンブリ。
【請求項2】
前記支持部材の内部の流路をさらに有し、前記流路が、前記支持面から前記支持部材の一部を貫通して延び、前記送風機が、前記支持部材の前記支持面を通じて空気を前記流路内に引き込むように構成されている、請求項1に記載の温度調節アセンブリ。
【請求項3】
前記熱電デバイスおよび前記熱交換器が、前記流路内に少なくとも部分的に配置されている、請求項2に記載の温度調節アセンブリ。
【請求項4】
前記熱交換器が、前記流路内に複数のフィンを有する、請求項2または3に記載の温度調節アセンブリ。
【請求項5】
前記支持部材が、車両用のシートまたはベッドである、請求項1から4のいずれか1項に記載の温度調節アセンブリ。
【請求項6】
前記支持部材の前記支持面を通じて吸い込まれる空気は、少なくとも一部が前記支持面に沿って前記支持部材の内部で側方に向けられている、請求項1から5のいずれか1項に記載の温度調節アセンブリ。
【請求項7】
前記支持面を通じて吸い込まれる空気は、前記支持部材の側面に沿って吸い込まれる、請求項1から6のいずれか1項に記載の温度調節アセンブリ。
【請求項8】
前記支持部材の一部を通って延びる流路をさらに有し、前記流路は、隣接する前記支持面から前記支持部材の前記一部を通るように空気を導くように構成されており、前記流路は、前記支持部材の側面に沿って位置している、請求項1から7のいずれか1項に記載の温度調節アセンブリ。
【請求項9】
第1の流体ゾーンと第2の流体ゾーンとを有し、前記第1の流体ゾーンは、前記熱電デバイスと、前記熱交換器と、前記導電部材と、を含み、前記支持面を通じて吸い込まれる空気の少なくとも一部は、前記第1の流体ゾーンを通って導かれ、前記支持面を通じて吸い込まれる空気の、他の少なくとも一部は、前記第2の流体ゾーンを通って導かれる、請求項1から8のいずれか1項に記載の温度調節アセンブリ。
【請求項10】
温度調節アセンブリであって、
乗員を支持するように構成された第1の表面を有する支持部材と、
前記支持部材の内部の流路であって、空気が前記第1の表面から前記流路内に吸い込まれて前記支持部材の一部を通過するように、前記第1の表面から前記支持部材の前記一部を貫通して延びる流路と、
前記流路内に配置された熱電デバイスと、
前記熱電デバイスの第1の側に伝導的に結合された熱交換器であって、空気が前記第1の表面から前記流路内に吸い込まれて前記熱交換器を通って前記支持部材の前記一部を通過するように、前記流路内に配置された熱交換器と、
前記熱電デバイスの第2の側に伝導的に結合され、一部が前記支持部材の前記第1の表面に沿って延びる少なくとも1つの導電部材と、を有する温度調節アセンブリ。
【請求項11】
前記支持部材の内部で前記第1の表面と前記流路との間に配置された凹部と、前記凹部内に配置された透過性部材と、をさらに有する、請求項10に記載の温度調節アセンブリ。
【請求項12】
前記支持部材の前記第1の表面上に配置されたコンフォート層をさらに有し、前記少なくとも1つの導電部材が、前記透過性部材と前記コンフォート層との間に配置されている、請求項10または11に記載の温度調節アセンブリ。
【請求項13】
前記第1の表面から吸い込まれる空気は、前記第1の表面を通って前記流路内に吸い込まれるとともに、前記熱交換器を通って前記流路内に吸い込まれる、請求項10から12のいずれか1項に記載の温度調節アセンブリ。
【請求項14】
前記支持部材の前記第1の表面から吸い込まれる空気は、少なくとも一部が前記第1の表面に沿って前記支持部材の内部で側方に向けられている、請求項10から13のいずれか1項に記載の温度調節アセンブリ。
【請求項15】
前記流路は、前記支持部材の側面に沿って位置している、請求項10から14のいずれか1項に記載の温度調節アセンブリ。
【請求項16】
支持面を画定する支持構造体を含む支持アセンブリを熱的に調整する方法であって、
主要側と廃棄側とを含む熱電デバイスを動作させることと、
前記支持面に隣接する位置から、前記熱電デバイスの前記廃棄側に伝導的に結合された熱交換器を通じて空気を吸い込むことと、を含み
前記熱電デバイスを用いて、前記熱電デバイスの前記主要側に伝導的に結合され前記支持面に隣接して配置された導電部材を冷却することと、
前記支持面に隣接する位置から空気を吸い込む工程と前記導電部材を冷却する工程とを同時に実行することで、前記支持面を伝導的に冷却し、前記支持面のところで対流による調節と伝導的な調節の両方を行うことと、を含む方法。
【請求項17】
前記導電部材が、前記支持面に沿って延びる可撓性の導電部材である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
支持面を画定する支持構造体を含む支持アセンブリに隣接する空間を熱的に調整する装置であって、
送風機と、
主要側と廃棄側とを含む熱電デバイスと、
前記熱電デバイスの前記廃棄側に伝導的に結合され、前記廃棄側に隣接して前記送風機によって吸い込まれた流体を受け取る流れ経路を画定する熱交換器と、
前記熱電デバイスから離れて配置され、前記熱電デバイスの前記主要側に伝導的に結合された可撓性導電部材と、を有し、
前記送風機が、前記支持構造体の前記支持面に隣接する空気を吸い込んで、前記支持面上の乗員のところを対流によって調節し、前記導電部材は前記支持面上の乗員を伝導によって冷やすように構成されている、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願と共に提出された出願データシートにおいて国外または国内の優先権主張が認められた全ての出願が、連邦規則法典第37巻1.78に基づいて、参照によって本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
本願は、その全体が参照によって本明細書に明示的に組み込まれる、2014年2月14日に出願された米国特許仮出願第61/940306号の利益を主張するものである。
【0003】
本願は、一般に、温度調節システムに関し、より詳細には、導電部材を有する温度調節システムに関する。
【背景技術】
【0004】
通常、生活空間または作業空間の温度調節のための温度調整された空気が、建物全体、選択されたオフィス、または建物内の続き部屋など、比較的広範囲の領域に供給されている。自動車のような車両の場合、通常、車両全体が、ユニットとして冷却または加熱されている。しかしながら、より選択的または制限的な気温調整が望ましい多くの状況がある。例えば、実質的に瞬間的な加熱または冷却を実現できるように、乗員シートに対して個別に空気調和を行うことが望ましいことが少なくない。例えば、夏季に日光にさらされた状態で長時間駐車させられた自動車両では、車両シートが非常に高温になり、乗員は、車両に入り車両を使用してからしばらくの間、通常の空調を行った場合でも不快を感じることがある。さらに、通常の空調を行った場合でも、暑い日には、乗員の背中および他の圧覚点が、座っている間汗ばんだままになる場合がある。冬季には、特に、通常の車両用ヒータでは車内を迅速に暖めにくい場合、乗員のシートを迅速に暖めて乗員の快適さを促進する機能を有していることが極めて望ましい。
【0005】
そのような理由で、車両シート用の様々な種類の個別温度制御システムがある。そのような温度制御システムは、通常、シートのバッククッションとシートクッションとの少なくとも一方に形成された、流路および通路の組み合わせを有する分配システムを含んでいる。熱モジュールが空気を熱的に調整し、調整された空気をシート流路および通路に供給する。調整された空気は、流路および通路内を流れ、車両シートの表面に隣接する空間を冷却または加熱する。
【0006】
したがって、このようなシステムは有用であるが、依然として、車両シート用および他のシートアセンブリ用の温度調節システムのための改良された温度制御装置および温度制御方法が望まれている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本願の一態様は、温度調節アセンブリを有している。このアセンブリは、乗員を支持するように構成された支持面を有する支持部材と、支持部材の支持面に隣接する空気を吸い込むように構成された送風機と、支持部材上に配置され、主要側と廃棄側とを含む熱電デバイスと、熱電デバイスの廃棄側に伝導的に結合された熱交換器と、熱電デバイスの主要側に伝導的に結合され、少なくとも一部が支持部材の支持面に沿って延びる導電部材と、を有し、動作時に、熱電デバイスが導電部材を冷却するのと同時に、送風機が支持面に隣接する空気を吸い込む。いくつかの態様では、このアセンブリは、支持部材の内部の流路をさらに有し、流路は、支持面から支持部材の一部を貫通して延び、送風機は、支持部材の支持面に隣接する空気を流路内に引き込むように構成されている。いくつかの態様では、熱電デバイスおよび熱交換器は、流路内に少なくとも部分的に配置されている。いくつかの態様では、支持部材は、車両用のシートである。いくつかの態様では、支持部材は、ベッドである。いくつかの態様では、導電部材は、可撓性の金属メッシュである。いくつかの態様では、このアセンブリは、支持部材の支持面を覆う、コンフォート層およびトリム層をさらに有している。いくつかの態様では、導電部材は、コンフォート層の下方で支持部材の支持面に沿って延びている。いくつかの態様では、導電部材は、熱電デバイスの主要側に伝導的に結合された、第1の導電部材および第2の導電部材を含んでいる。いくつかの態様では、このアセンブリは、導電部材と熱電デバイスの主要側とに伝導的に結合された中間部材をさらに有している。
【0008】
本願の別の態様は、温度調節アセンブリを有している。このアセンブリは、乗員を支持するように構成された第1の表面を有する支持部材と、支持部材の内部の流路であって、第1の表面から支持部材の一部を貫通して延びる流路と、流路内に配置された熱電デバイスと、熱電デバイスの第1の側に伝導的に結合され、流路内に配置された熱交換器と、熱電デバイスの第2の側に伝導的に結合され、一部が支持部材の第1の表面に沿って延びる少なくとも1つの導電部材と、を有している。いくつかの態様では、このアセンブリは、支持部材の内部で第1の表面と流路との間に配置された凹部と、凹部内に配置された透過性部材と、をさらに有している。いくつかの態様では、このアセンブリは、支持部材の第1の表面上に配置されたコンフォート層をさらに有し、少なくとも1つの導電部材は、透過性部材とコンフォート層との間に配置されている。いくつかの態様では、このアセンブリは、導電部材と第1の表面との間に配置された絶縁層をさらに有している。いくつかの態様では、このアセンブリは、中間導電部材をさらに有し、少なくとも1つの導電部材は、中間導電部材に結合され、中間導電部材は、熱電デバイスに結合されている。
【0009】
本願のさらに別の態様は、支持面を画定する支持構造体を含む支持アセンブリを熱的に調整する方法を有している。この方法は、主要側と廃棄側とを含む熱電デバイスを動作させることと、支持面に隣接する位置から熱電デバイスの廃棄側に伝導的に結合された熱交換器を通じて空気を吸い込むことと、熱電デバイスを用いて、熱電デバイスの主要側に伝導的に結合され支持面に隣接して配置された導電部材を冷却することと、支持面に隣接する位置から空気を吸い込む工程と導電部材を冷却する工程とを同時に実行することで、支持面を伝導的に冷却することと、を含んでいる。いくつかの態様では、導電部材は、支持面に沿って延びる可撓性の導電部材である。いくつかの態様では、熱電デバイスは、支持構造体内に少なくとも部分的に配置されている。
【0010】
本願の別の態様は、温度調節デバイスを有している。このデバイスは、主要側と廃棄側とを有し、空気を加熱または冷却するように構成された熱電デバイスと、熱電デバイスの廃棄側に隣接する流路を画定し、熱電デバイスの廃棄側に伝導的に結合された第1の熱交換器と、熱電デバイスを越えて延び、熱電デバイスの主要側に伝導的に結合された可撓性の第1の導電部材と、を有している。いくつかの態様では、第1の導電部材は、可撓性の織物材料である。いくつかの態様では、第1の導電部材は、可撓性の金属材料である。いくつかの態様では、第1の導電部材の長さは、少なくとも150mmである。いくつかの態様では、第1の導電部材の長さは、少なくとも200mmである。いくつかの態様では、第1の導電部材の長さは、少なくとも50mmである。いくつかの態様では、第1の導電部材の長さは、50mmおよび100mmの間である。いくつかの態様では、第1の導電部材の長さは、200mmおよび250mmの間である。いくつかの態様では、このデバイスは、中間導電部材をさらに有し、可撓性の第1の導電部材は、中間導電部材に結合され、中間導電部材は、熱電デバイスに結合されている。
【0011】
本願のさらに別の態様は、支持面を画定する支持構造体を含む支持アセンブリに隣接する空間を熱的に調整する装置を有している。この装置は、送風機と、主要側と廃棄側とを含む熱電デバイスと、熱電デバイスの廃棄側に伝導的に結合され、廃棄側に隣接して送風機からの流体を受け取る流路を画定する熱交換器と、熱電デバイスから離れて配置され、熱電デバイスの主要側に伝導的に結合された可撓性導電部材と、を有している。いくつかの態様では、可撓性導電部材は、可撓性の織物材料である。いくつかの態様では、可撓性導電部材は、可撓性の金属材料である。いくつかの態様では、可撓性導電部材の長さは、少なくとも150mmである。いくつかの態様では、可撓性導電部材の長さは、少なくとも200mmである。いくつかの態様では、可撓性導電部材の長さは、少なくとも50mmである。いくつかの態様では、可撓性導電部材の長さは、50mmおよび100mmの間である。いくつかの態様では、可撓性導電部材の長さは、200mmおよび250mmの間である。いくつかの態様では、この装置は、中間導電部材を有し、可撓性導電部材は中間導電部材に結合され、中間導電部材は、熱電デバイスに結合されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】押し出し式の換気シートシステムの断面側面図である。
図2】吸い込み式の換気シートシステムの断面側面図である。
図3】本開示によるハイブリッドシート温度調節システムの一実施形態の断面側面図である。
図4】本開示の一実施形態によるハイブリッドシート温度調節システムの、図3の一部を拡大して示す断面側面図である。
図5図4のシート温度調節システムの上面図である。
図6】本開示による図4のシート温度調節システムの修正実施形態の上面図である。
図7】本開示による導電部材に結合され、その導電部材に沿った温度勾配を示す一実施形態の熱電デバイスの側面図である。
図8】本開示による導電部材に結合され、その導電部材に沿った温度勾配を示す別の実施形態の熱電デバイスの側面図である。
図9】本開示によるシート温度調節システムの別の実施形態の上面図である。
図10】本開示によるシート温度調節システムの別の実施形態の上面図である。
図11】本開示による、直列に配置された一連の熱電デバイス(TED)を示す図である。
図12】本開示による、温度を測定する車載サーミスタを示す図である。
図13】本開示によるシート温度調節システムの別の実施形態の上面図である。
図14】本開示によるシート温度調節システムの別の実施形態の断面側面図である。
図15】本開示によるシート温度調節システムの別の実施形態の断面側面図である。
図16A】本開示によるシート温度調節システムの別の実施形態の断面側面図である。
図16B】本開示の別の実施形態によるハイブリッドシート温度調節システムの断面側面図である。
図17A】本開示によるシート温度調節システムの別の実施形態の断面側面図である。
図17B図17Aに示す実施形態の上面図である。
図18】本開示によるシート温度調節システムの別の実施形態の断面側面図である。
図19A】本開示による、熱伝導素子を熱電デバイスに結合する一実施形態の上面図である。
図19B図19Aに示す実施形態の側面図である。
図20A】本開示による、熱伝導素子を熱電デバイスに結合する別の実施形態の上面図である。
図20B図20Aに示す実施形態の側面図である。
図21A】本開示による、熱伝導素子を熱電デバイスに結合する別の実施形態の上面図である。
図21B図21Aに示す実施形態の側面図である。
図21C図21Aに示す実施形態の別の上面図である。
図21D図21Cに示す実施形態の可撓性導電部材と熱電デバイスとの間の接続を示す拡大図である。
図22A】本開示による熱電デバイスの一実施形態を示す図である。
図22B】本開示による可撓性導電部材の一実施形態を示す図である。
図22C図22Bに示す可撓性導電部材の断面図である。
図23】可撓性導電部材と熱電デバイスとの間の結合を示す図である。
図24】本開示による、可撓性導電部材と熱電デバイスとの間の結合を示す図である。
図25】本開示による、熱伝導部材を熱電デバイスに結合する別の実施形態の側面図である。
図26】本開示による、熱伝導部材を熱電デバイスに結合する別の実施形態の側面図である。
図27A】本開示による、熱伝導部材を熱電デバイスに結合する別の実施形態を示す図である。
図27B図27Aに示す実施形態の断面図である。
図28A】本開示による、熱伝導部材を熱電デバイスに結合する別の実施形態を示す図である。
図28B図28Aに示す実施形態の別の図である。
図28C図28Bに示す実施形態の断面図である。
図29】本開示による、熱電デバイスに結合された熱伝導部材の一構成に対する調整ゾーンの一実施形態を示す図である。
図30】本開示による、熱電デバイスに結合された熱伝導部材の一構成に対する調整ゾーンの別の実施形態を示す図である。
図31】本開示による、複数の熱伝導部材を熱電デバイスに結合する別の実施形態を示す図である。
図32】本開示による、複数の熱伝導部材を熱電デバイスに結合する別の実施形態を示す図である。
図33】本開示による、複数の熱伝導部材を熱電デバイスに結合する別の実施形態を示す図である。
図34】本開示による、熱伝導部材を熱電デバイスに結合する別の実施形態を示す図である。
図35】本開示による、熱伝導部材を熱電デバイスに結合する別の実施形態を示す図である。
図36】本開示による、熱伝導部材を熱電デバイスに結合する別の実施形態を示す図である。
図37】本開示による、熱伝導部材を熱電デバイスに結合する別の実施形態を示す図である。
図38A】本開示によるシート温度調節システムの別の実施形態を示す図であり、シート制御システムの上面図である。
図38B】本開示によるシート温度調節システムの別の実施形態を示す図であり、図38Aの断面図である。
図39A図38Aおよび図38Bに示す実施形態をさらに示す図であり、シート制御システムの上面図である。
図39B図38Aおよび図38Bに示す実施形態をさらに示す図であり、図39Aの断面図である。
図40】本開示によるシート温度調節システム用のマニホールドシステムの実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、押し出し式の換気シートシステム100の一実施形態を示している。図1に示すように、図示したシステムは、(断面で示す)シート部102および背もたれ部104を有している。システムは、シート部102用の送風機106と背もたれ部104用の送風機108とを含んでいてよい。送風機106、108は、シートに形成された流路110、112に空気を押し込むことができる。このようにして、乗員室から吸い込まれた空気をシートに押し込んで、シートに座っている乗員に快適さを与えることができる。送風機110、112は、冷却または加熱された空気を乗員に選択的に供給するための(例えば、後述する)熱電モジュールを含んでいてよい。押し出し式のシステムの考えられる1つの欠点は、送風機によって受け取られた後で熱電モジュールに送られる空気が、車両の暖房、換気、および空調(HVAC)システムの構成と、送風機において電力の風力への変換が非効率であることとに起因して、周囲空気よりも高温になる場合があることである。
【0014】
図2は、引き込み式の換気シートシステム200の一実施形態を示している。図2に示すように、図示した引き込み式のシステム200は、(断面で示す)シート部202および背もたれ部204を有していてよい。システム200は、シート部202用の送風機206と背もたれ部204用の送風機208とを含んでいてよい。この構成では、送風機206、208は、シートに形成された流路210、212を通じてシートの上面から空気を引き込むことができる。このようにして、座っている乗員の隣を通って乗員室から吸い込まれた空気をシートに引き込んで、シートに座っている乗員に快適さを与えることができる。しかしながら、このシステムでは、能動冷却が行われないか、能動加熱が行われないか、またはその両方が行われない。
【0015】
図3および図4は、対流性温度調整および伝導性温度調整の組み合わせを用いたシート温度調節システム300の一実施形態を示している。ある構成では、調整された表面A(例えば、乗員に最も近い「上」面)を通じて(矢印406、412で示す)空気の吸い込みまたは引き込みを行うシート換気システムつまり熱電アセンブリ302によって、対流冷却が行われる。送風機410は、上面Aから(断面で示す)シートに形成された流路414を通じて(矢印406、412で示すように)空気を引き込むことができる。伝導冷却は、外面つまり調整された表面Aの下方の表面Bに沿って延びる可撓性導電部材404(例えば、導電材料からなる編組)を有する熱電デバイスつまりTED408によって行うことができる。図示した構成では、可撓性導電部材404は、(例えば、シートのトリムおよびカバーの少なくとも一方の下か、中間層の下か、またはその両方に可撓性の導電素子404を配置することで)調整された表面Aの下に位置している。シートのトリムおよびカバーの少なくとも一方は、シート用の皮革、内張り、または他の適切なカバーであってよい。いくつかの実施形態では、トリム層の下であって導電部材の上方に、中間層(例えば、クッション、スペーサファブリックなど)が配置されていてもよい。いくつかの実施形態では、後述するように、導電部材は、上面の真下に配置されていてよく、あるいは、支持部材つまりクッション303に組み込まれていてもよい。以下に示す図面の多くで、図を明確にするために、上面がしばしば省略されることに留意されたい。
【0016】
可撓性導電部材404は、上面Aの下方に配置されると、伝導によって乗員に冷却効果または暖房効果をもたらすのに十分なほど上面の近くに位置することができる。特定の実施形態では、可撓性導電部材の一部は、上面の0.5mmおよび200mmの範囲に位置している。特定の実施形態では、可撓性導電部材404は、上面Aの一部を形成するように上面Aに沿って延びていてよく、あるいは、上面Aの下方を部分的に延びていてよく、あるいは、その両方に延びていてもよく、また、可撓性導電部材404は、上面Aに沿って部分的に延びていてもよい。図示した実施形態は、シートを貫通して延びる流路内に配置された熱電デバイスつまりTED408を示しているが、本明細書において説明する各実施形態の修正構成では、熱電デバイスつまりTED408は、異なる構成または修正された構成における支持構造体上に配置されていてよく、または支持構造体に結合されていてよい。例えば、流路は、シートつまり支持構造体の上面、側面、または底面に沿って配置されていてよい。熱電デバイスつまりTED408またはその一部は、シートつまり支持構造体の側面、上面、または底面に沿って配置された流路内に配置されていてよく、あるいは、支持構造体の側部、上部、または底部に沿って配置された流路内に配置されていてよく、あるいは、その両方に配置されていてもよい。
【0017】
熱電デバイスは、ペルチェ回路を含むペルチェ熱電モジュールであってよい。ペルチェ回路は、回路に電流が流れたときにそれぞれが加熱または冷却される2つの側を有する種類の熱電デバイスである。例えば、熱電デバイス内の第1の方向に電圧が印加されると、一般に、一方の側が発熱し、反対側が熱を吸収する(すなわち、「冷却される」)。熱電デバイスは、回路の極性を切り替えることで逆の効果を生み出すことができるように構成されていてよい。通常、熱電デバイスは、異なる材料を含む閉回路を有している。閉回路に直流電圧が印加されると、異なる材料の接合部に温度変化が生じる。したがって、電流が熱電デバイスを流れる方向に応じて、熱が放出または吸収される。熱電デバイスは、電気的に直列に接続された、そのようないくつかの接合部を含んでいてよい。接合部は、デバイスの低温側および高温側を一般に形成する2枚のセラミックプレートの間に挟まれていてよい。低温側と高温側は、ある量の空気または他の流体との熱伝達を容易にする1つ以上の熱伝達デバイス(例えば、フィン402などのフィン、または部材404などの可撓性導電部材)に熱的に結合していてよい。したがって、空気または他の流体を熱電デバイス(例えば、ペルチェ回路)の低温側と高温側の少なくとも一方を通って通過させるか、またはその近くを通過させて、空気または他の流体の選択的な加熱および冷却の少なくとも一方を行うことができる。いくつかの実施形態では、熱電デバイスを作動させるための制御モジュールが使用されていてもよい。
【0018】
図4に示すように、図示した実施形態の熱電モジュール302は、熱電デバイス408(ペルチェ回路)を含んでいる。熱電デバイス408の一方の側は、熱電デバイス408の「高温」側つまり廃棄側を形成する(フィンの形態であってよい)熱交換器404に結合されている。熱電デバイス408の反対側は、可撓性の熱伝導部材404(例えば、熱伝導性の可撓性編組)に結合されている。図4に示すように、モジュール408の廃棄側の熱交換器404は、シート301に形成された流路414内に配置されていてよい。流路414は、例えばシート301の下に位置するファンつまり送風機410と流体連通状態にある。ある構成では、ファンつまり送風機410は、(例えば、流路414内で)熱電モジュール302のより近くに配置されていてよく、あるいは、(例えば、送風機を熱電モジュール302に近接または隣接して配置するか、同じハウジング内に配置するか、またはその両方に配置することで)熱電モジュール302と一体化されていてよく、あるいは、その両方であってもよい。送風機は、シートの「上」面から流路414への空気の吸い込みまたは引き込みを行い、空気を廃棄側熱交換器402に通過させることができる。このようにして、熱伝導性の可撓性部材404が冷却される間、流路414内に配置された熱交換器402から熱が除去される。必要に応じて、周囲空気からの熱が流路414内のフィン402によって吸収されて(すなわち、フィン402を通過する空気が冷却されて)熱電デバイス408の他方の側に結合された熱伝導性の可撓性部材404を加熱することができるように、熱電デバイス408を「逆」に動作させることができる。
【0019】
一実施形態では、可撓性導電部材404は、銅編組材料と銅メッシュ材料の少なくとも一方を有している。しかしながら、他の実施形態では、他の材料(例えば、アルミニウム、黒鉛、graphemeなど)が用いられていてよく、あるいは、他の構成(例えば、非編組構成、薄いストライプなど)が用いられていてよく、あるいは、その両方が用いられていてもよい。部材404について、可撓性導電部材404の可撓性部分であるものとして説明したが、可撓性でなくてもよいことも理解されたい。例えば、一実施形態では、可撓性導電部材404の乗員に近接する部分と乗員に接触する部分の少なくとも一方のみが可撓性であってもよい。
【0020】
本願の図4および以下の図面は、シート部とバック部とを有する標準的な自動車シートにおいて、対流性温度調整と伝導性温度調整の組み合わせを有する温度調節シートシステム302を示している。しかしながら、本明細書において説明する温度調節シートアセンブリの特定の特徴および態様が他のシート構成と他の様々な用途および環境とにおいて用いられてもよいことを理解されたい。例えば、本明細書において説明する対流性温度調整と伝導性温度調整の組み合わせの特定の特徴および態様は、例えば、航空機、船舶などの他の車両での使用に適応していてもよい。さらに、対流性温度調整と伝導性温度調整の組み合わせの特定の特徴および態様は、例えば、職場と住宅の少なくとも一方で使用されている、椅子、ソファ、劇場用シート、マットレス、マットレス用トッパー、およびオフィス用シートなど、静的環境での使用に適応していてよもよい。さらに、対流性温度調整と伝導性温度調整の組み合わせの特定の特徴および態様は、空間が冷却される構成(例えば、収納棚)において用いることができる。
【0021】
図5は、図4のシステム302の上面図を示している。図5に示すように、可撓性の熱伝導部材404は、シート301の流路からクッション303の表層面Bの一部にわたって延びていてよい。図6は、修正実施形態を示しており、4つの導電部材604、605、606、607がクッション303のより広い部分を覆うように熱電デバイス608から延びている。上述したように、特定の構成では、クッションの導電部材および表層面Bは、トリム層つまり上層(例えば、内張り、皮革、布などのシートカバー材料)と、上層とシートクッションとの間に配置された中間層(例えば、スペーサファブリック、コンフォート層、追加のクッション層など)との少なくとも一方によって覆われていてよい。特定の構成では、導電部材またはその一部が、トリム層つまり上層の一部を形成していてよく、あるいは、(設けられている場合には)中間層の上方に配置されていてよく、あるいは、その両方であってもよい。トリム層つまり上層(例えば、内張り、皮革、布)と中間層との少なくとも一方は、空気がトリム層つまり上層と中間層との少なくとも一方を通過して流路に流入することができるように、通気性材料からなっていてよく、あるいは、空気を通過させるための穴および通路の少なくとも一方が穿孔または他の方法で形成されていてよく、あるいは、その両方であってもよい。
【0022】
図7および図8は、可撓性導電部材の厚さの利点および潜在的な欠点を示している。一般には、導電部材がより厚くなると、より薄い導電部材と比べて温度の伝導がより良好になることが予想される。しかしながら、一般には、導電部材がより薄くなると、より柔らかくなり、シートに座っている乗員にとってより快適になることが予想される。
【0023】
図7に示すように、厚い編組704が熱電デバイス708に接続されている場合、矢印710で示すように、編組704の厚さによって、編組704全体にわたって温度の伝導が良好になる。編組の長さXに沿った温度722を示すグラフ720に示すように、編組の温度が編組の長さに沿って著しく変化することはなく、すなわち、熱電デバイスに近い編組の温度は、熱電デバイスから最も遠い編組の温度とほとんど同じであり、周囲温度724よりも低い状態を維持している。さらに、ユーザは、シートに座っているときにシートカバーの下方の厚い編組を感じたり、編組を覆っていないシート面と比べて、編組の真上のシート面に明確な温度差を感じたりすることがある。図4に示す実施形態と同様に、熱交換器702は、熱電デバイス708の廃棄側に結合されていてもよい。
【0024】
薄い編組804に関して、同様の温度グラフが図8に示されている。グラフ820に示すように、編組804に沿った温度822は、図7に示す厚い編組704よりも薄い編組804でより大きく変動する。さらに、熱電デバイス808から遠く離れた編組804の温度822は、厚い編組704の場合に比べて、より高く、周囲温度824により近い。このより広い温度勾配は、ユーザにとって不快となり得る、シートでの不均一な温度感覚を生じさせることがある。さらに、冷却の全体的なレベルが低下することがある。薄い編組804は、より柔らかく、したがって、シートクッション内の異なる「感覚」を軽減させることにつながるが、厚い編組ほど熱伝導性が高くなく、編組に沿った不均一な温度勾配につながり、そのことが、シートクッションを通じてユーザによって感じられる場合がある。図4に示す実施形態と同様に、熱交換器802は、熱電デバイス808の廃棄側に結合されていてもよい。
【0025】
図9は、システム900の別の実施形態の上面図であり、熱電デバイス908が、2つ以上の導電部材(例えば、図示した構成では、参照番号904、905、906、907で示す4つの導電部材)に結合されている。図4に示す実施形態と同様に、熱交換器902は、熱電デバイス908の廃棄側に結合されていてもよく、あるいは、支持部材またはクッション903に形成された流路内に配置されていてもよい。いくつかの実施形態では、各導電部材の長さは、約200mmから約250mmの間であってよい。他の実施形態では、各導電部材の長さは、少なくとも約50mmか、少なくとも約75mmか、少なくとも約100mmか、少なくとも約125mmか、少なくとも約150mmか、少なくとも約200mmか、または少なくとも約225mmであってよい。他の実施形態では、各導電部材の長さは、約100mmから約300mmの間か、約125nmから約275nmの間か、または約150nmから約250nmの間であってよい。上述したように、特定の構成では、導電部材およびクッションの表層面Bが、トリム層つまり上層(例えば、内張り、皮革、布などのシートカバー材料)と、上層とシートクッションとの間に配置された中間層(例えば、スペーサファブリック、コンフォート層、追加のクッション層など)との少なくとも一方によって覆われていてよい。特定の構成では、導電部材またはその一部が、トリム層つまり上層の一部を形成していてよく、あるいは、(設けられている場合には)中間層の上方に配置されていてよく、あるいは、その両方であってもよい。
【0026】
図10は、システムが支持部材つまりクッション1003に形成された2つ以上の流路(例えば、図示した構成では4つの流路)を含んでいる一実施形態を示している。各流路は、温度調整された「ゾーン」1001A、1001B、1001C、1001Dを画定している。各流路つまりゾーンは、熱電デバイス1002A、1002B、1002C、1002Dなど、1つの熱電デバイスと1つの廃棄側熱交換器との少なくとも一方を含んでいてよい。導電部材1004A、1004B、1004C、1004Dによって示すように、1つ以上の導電部材(例えば、伝導性の可撓性編組)が熱電デバイスのそれぞれに結合されていてよい。いくつかの実施形態では、各導電部材の長さは、(例示的な1つの長さ1005が示されているが)約50mmから約100mmの間であってもよい。他の実施形態では、各導電部材の長さは、少なくとも25mmか、少なくとも40mmか、少なくとも50mmか、少なくとも65mmか、または少なくとも75mmであってよい。他の実施形態では、各導電部材の長さは、25mmおよび125mmの間か、35mmおよび100mmの間か、または50mmおよび75mmの間であってよい。上述したように、特定の構成では、導電部材1004A〜1004Dおよびクッションの表層面Bは、トリム層つまり上層(例えば、内張り、皮革、布などのシートカバー材料)と、上層とシートクッションとの間に配置された中間層(例えば、スペーサファブリック、コンフォート層、追加のクッション層など)との少なくとも一方によって覆われていてよい。特定の構成では、導電部材またはその一部が、トリム層つまり上層の一部を形成していてよく、あるいは、(設けられている場合には)中間層の上方に配置されていてよく、あるいは、その両方であってもよい。
【0027】
図10は、1つの導電素子が各流路に結び付けられている様子を示している。図10には示されていないが、単一の送風機(または複数の送風機の組み合わせ)によって流路のそれぞれから空気を引き込むように、各流路が送風機と結び付けられていてよく、あるいは、マニホールドシステムが下方と内部の少なくとも一方に設けられていてよく、あるいは、その両方であってもよい。複数の熱電デバイスを含む実施形態では、熱電デバイスは、図11に示すように直列に配置されていてよく、または並列に配置されていてもよい。図11に示すように、熱電デバイスが直列に配置されている場合、必要な配線をより短くすることができる。熱電デバイスが並列に配置されている場合、1つの熱電デバイスの故障が残りの熱電デバイスに影響を与えることはなく、残りのデバイスは動作し続けることになる。図12に示すように、システムは、熱電デバイスの温度を測定する少なくとも1つの車載サーミスタを含んでいてよい。この温度情報を、制御システムと安全システムの少なくとも一方の一部として使用することができる。
【0028】
図13は、複数の熱電デバイスが使用されているが、1つの熱電デバイスのみがサーミスタを含んでいる、システム1300の一実施形態を示している。図13に示すように、シート1303は、各流路が、1つ以上の導電部材(例えば、伝導性の可撓性編組)に接続された熱電デバイスを含む、支持部材つまりクッション1303に形成された複数の流路を有していてよい。導電部材1304A、1304B、1304C、1304Dのそれぞれは、熱電デバイス1302A、1302B、1302C、1302Dに接続されている。図示したように、熱電デバイス1302A、1302B、1302Cのそれぞれは、2線式熱電デバイスであり、その一方で、熱電デバイス1302Dは、この熱電デバイスの温度を測定するためのサーミスタを備えた4線式熱電デバイスである。他の実施形態では、熱電デバイス1302A、1302B、1302C、1302Dのうちの1つ以上が、それらの熱電デバイスの温度を測定するサーミスタを含んでいてよい。導電部材全体にわたる伝導損失を最低限に抑えるために、望ましくは、熱電デバイスをシートの上面つまり「A」面のできるだけ近くに配置すべきである。上述したように、特定の構成では、導電部材1304A〜1304Dおよびクッション1303の表層面Bは、トリム層つまり上層(例えば、内張り、皮革、布などのシートカバー材料)と、上層とシートクッションとの間に配置された中間層(例えば、スペーサファブリック、コンフォート層、追加のクッション層など)との少なくとも一方によって覆われていてよい。特定の構成では、導電部材またはその一部が、トリム層つまり上層の一部を形成していてよく、あるいは、(設けられている場合には)中間層の上方に配置されていてよく、あるいは、その両方であってもよい。
【0029】
上述したように、一実施形態では、熱電デバイスと廃棄側熱交換器は、クッションの上面の下であって、シートを貫通して延びる流路のほぼ内部に配置されている。図14および図15は、シート1403内の熱電アセンブリのための2つの位置を示している。図14に示すように、熱電アセンブリ1400は、シート1403の上面に近接または隣接して配置されていてよい。図4に関連して上述した熱電アセンブリ302と同様に、表層面Bに沿って延びる可撓性導電部材1404(例えば、導電材料からなる編組)を有する熱電デバイス1408によって、伝導冷却を実現することができる。図示した実施形態では、可撓性導電部材1404は、(例えば、可撓性の導電素子1404をシートのトリムおよびカバーの少なくとも一方の下に配置することで)調整された表面の下に位置している。いくつかの実施形態では、フィン1402が熱電デバイス1408の廃棄側つまり高温側に配置されていてもよい。図3および図4に関連して上述したように、空気をクッション1403および熱交換器1402に引き込めるように流路1414が設けられていてもよい。
【0030】
他の実施形態では、図15に示すアセンブリ1500によって示すように、熱電アセンブリは、シート1503内のより深い位置に配置されていてもよい。図示した実施形態では、可撓性導電部材1504は、(例えば、可撓性導電素子1504をシートのトリムおよびカバーの少なくとも一方の下に配置することで)調整された表面の下に位置している。いくつかの実施形態では、フィン1502が熱電デバイス1508の廃棄側つまり高温側に配置されていてもよい。図15に示すように、熱電デバイス1508と熱交換器(例えば、フィン1502)の少なくとも一方をシート1503の流路1514内のより深い位置に配置することの1つの欠点は、導電部材1504よりも通常は高温である周囲空気1520が、矢印1522で示すように、流路1514内を通過するときに相対的に低温の可撓性導電部材1504を加熱する場合があることである。周囲空気によって部材1504にこのような熱が移動することで、熱損失が増大する。この熱損失を軽減するために、導電部材の露出された表面に断熱材料1540が塗布されていてよい。断熱材料1540は、導電部材1504を包む絶縁シースであってよく、あるいは、部材1504の空気流に面する側のコーティングであってもよい。
【0031】
図16Aは、アセンブリ1600の一構成を示しており、上層1605(例えば、皮革または布地)とシート1603の表層面Bとの間に多孔質スペーサ材料1601(例えば、「コンフォート層」)が配置されている。この構成では、可撓性の熱伝導部材1604は、スペーサ材料1601の開口または隙間を通って延びていてよい。多孔質スペーサ材料1601によって、シートの換気作用が促進され、すなわち、上面を通じたシート内の流路への空気の引き込みが可能になることが望ましい。図示した実施形態では、可撓性導電部材1604は、(例えば、可撓性の導電素子1604をシートのトリム1605およびカバーの少なくとも一方の下に配置することで)調整された表面の下に位置している。いくつかの実施形態では、フィンつまり熱交換器1602は、熱電デバイス1608の廃棄側つまり高温側に配置されていてよく、図示したように、熱電デバイスは、シートを貫通して延びる流路1614内に配置されていてよい。修正された構成では、導電部材1604またはその一部を収容する溝または流路がシート1603に形成されていてもよく、あるいは、シートの溝または流路が、導電部材1604またはその一部を収容するスペーサ材料1601の開口または隙間と組み合わせて使用されていてよく、あるいは、その両方であってもよい。
【0032】
図16Bは、図16Aに示すアセンブリと同様の熱電アセンブリ1600の一実施形態を示しているが、図16Bに示すアセンブリ1600は、補助加熱層1611を含んでいる。補助加熱層1611は、支持面Bに沿って延びるようにトリム層つまり上層1605と支持面Bとの間に設けられていてよい。いくつかの実施形態では、補助加熱層1611は、可撓性部材1604に隣接していてよく、あるいは、可撓性部材1604の上方または下方にあってもよい。いくつかの実施形態では、補助加熱層1611は、抵抗ヒータであってよい。
【0033】
他の構成では、シートは、スペーサ(通気性)材料を受け入れ可能な凹部または隙間を含んでいてよい。図17Aに示すように、上述した実施形態と同様に、流路1714内に配置された熱電デバイス1708であって、コンフォート層1701およびトリム層1705の下方で表層面Bに沿って延びる可撓性導電部材1704を有する熱電デバイス1708によって、伝導冷却を実現することができる。コンフォート層つまり平滑化層1701は、例えば接着と縫製の少なくとも一方によって、トリム層1705に取り付けられていてよい。コンフォート層つまり平滑化層1701は、ユーザに不快感を生じさせることがある導電部材からの「リードスルー」つまり熱伝達/冷却を抑制または軽減するように構成されていてよい。いくつかの実施形態では、フィン1702が熱電デバイス1708の廃棄側つまり高温側に配置されていてもよい。シート1703は凹部または隙間1731を含み、その中には、横方向への空気の移動を可能にする通気性材料1730が配置されていてよい。凹部1731は、シートの上面Aを向いて(すなわち、流路1714の上方で)トリム層1705およびコンフォート層1701の下方に配置されていてよい。通気性材料1730によって、熱電デバイス1708および可撓性導電部材1704から空気が横方向に移動することが可能になり、引き込まれた低温の空気がシートの調整された表面に良好に分配される。矢印120、1722、1724で示すように、送風機1706が、上面Aからの空気を、トリム層1705、コンフォート層1701、横方向通気性材料1730、および流路1714に引き込むことができる。いくつかの実施形態では、可撓性導電材料を通過させる切り込みまたはスリットが表層面Bに設けられていてもよい。図17Bに示すように、表層面Bは、可撓性導電部材1704を通過させるスロット1712を含んでいてよい。
【0034】
図18は、例えば、乗員から離れた位置で低温の空気がシート1803に吸い込まれるのを抑制するために、断熱材料1840が可撓性導電部材1804の一側面に設けられている一実施形態を示している。図18に示すように、上述した実施形態と同様に、流路1814内に配置された熱電デバイス1808であって、表層面Bに沿って延びる可撓性導電部材1804を有する熱電デバイス1808によって、伝導冷却を実現することができる。いくつかの実施形態では、フィン1802が熱電デバイス1808の廃棄側つまり高温側に配置されていてもよい。断熱材料1840は、可撓性導電部材1804と表層面Bとの間の可撓性導電部材1804の一側面に設けられていてよい。断熱材料1840は、乗員から離れた位置で低温の空気がシート1803に吸い込まれるのを抑制する一方、シート1803の上面から流路1814内に空気が流入することを可能にする。一実施形態では、断熱材料は、Volara(登録商標)などの架橋発泡体のような発泡体を含んでいてよい。図17Aと同様に、上述したように、図18に示す実施形態は、シート1803の凹部に配置された通気性材料1830を含んでいてよく、通気性材料1830によって、熱電デバイス1808および可撓性導電部材1804から空気が横方向に移動するのが可能になり、引き込まれた低温の空気がシートの調整された表面に良好に分配される。通気性材料1830は、周囲のシート1803の材料と同様の構造支持を実現しながら通気性材料1830を通る空気流を概ね可能にするように構成されていてよい。
【0035】
図19から図35は、対流性温度調整と伝導性温度調整の組み合わせを用いたシートシステムのさらなる開示および実施形態を示している。例えば、図19から図35は、可撓性の熱伝導部材を熱電デバイスに結合する様々な実施形態および方法を示している。
【0036】
図19Aおよび図19Bは、可撓性導電部材に関する構成の一実施形態の2つの図を示している。この実施形態では、単一の可撓性導電部材1904が熱電デバイス1908に接続されている。図示したように、いくつかの実施形態では、フィン1902などの1つ以上の熱伝達デバイスが熱電デバイス1908の廃棄側つまり高温側に配置されていてもよい。
【0037】
図20Aおよび図20Bに、可撓性導電部材に関する構成の別の実施形態が示されている。この実施形態では、2つの可撓性導電部材2004A、2004Bが熱電デバイス2008に接続されている。2つの可撓性導電部材2004A、2004Bは、シートに配置されたときに、さらなる領域をカバーするように距離Xだけ互いに広げられていてよい。図20Bの側面図つまり断面図に示すように、2つの可撓性部材2004A、2004Bは、熱電デバイス2008に接続されたときに互いに積み重ねられていてよい。図20Aおよび図20Bには2つの可撓性導電部材が示されているが、他の構成は、積層配置または平行配置で熱電デバイスに接続された3つ、4つ、5つ、または6つの可撓性導電部材を含んでいてもよい。図示したように、いくつかの実施形態では、フィン2002などの1つ以上の熱伝達デバイスが熱電デバイス2008の廃棄側つまり高温側に配置されていてもよい。
【0038】
図20Aおよび図20Bに示すような積層配置の代わりに、図21Aから図21Dに示すように、1つ以上の可撓性導電部材が熱電デバイスに直列または横方向に接続されていてもよい。図示したように、可撓性導電部材2104A、2104Bは、熱電デバイス2108に並んで接続され、つまり横方向に接続されている。図20Aおよび図20Bに関連して上述した構成と同様に、可撓性導電部材2014A、2014Bは、さらなる範囲をより均一にカバーするように距離X’だけ互いに広げられていてよい。図示したように、いくつかの実施形態では、フィン2102などの1つ以上の熱伝達デバイスが熱電デバイス2108の廃棄側つまり高温側に配置されていてもよい。
【0039】
冷却機能を実現することに関連して上述した実施形態を説明したが、これらの実施形態は、加熱モードで動作して加熱空気をシートの調整された表面に供給する送風機の有無にかかわらず適用可能である。
【0040】
図22Aから図22Cは、可撓性導電部材を熱電デバイスに取り付ける組立工程に関する1つの問題を示している。熱電デバイスの一構成は、例えば外側銅層などの導電層を含んでいてよい。図示したように、この熱電デバイス2208の外側銅層は非常に平坦であるが、可撓性導電部材2204のメッシュは平坦ではなく、すなわち、重複ワイヤまたは編組ワイヤの構成による粗な表面を有している。ワイヤを織るかまたは編むことで、空隙を有する凹凸のある表面が形成され、それによって、熱電デバイス2208の平坦な表面への可撓性導電部材2204のはんだ付けまたは取り付けが困難になることがある。図23には、このはんだ付けまたは取り付けが困難なことが示されている。可撓性導電部材2304を熱電デバイス2308に直接はんだ付けするか、または他の方法で取り付けることで、熱電デバイスと可撓性導電部材との接続が不十分になることがある。この不十分な接続によって性能が低下することがある。さらに、熱電デバイスと可撓性導電部材との間のはんだ付けされた接続部における空隙が、熱電デバイスに高温点を形成することがあり、使用時に機械疲労または熱疲労を生じ得る点になることがある。図示したように、いくつかの実施形態では、フィン2303などの1つ以上の熱伝達デバイスが熱電デバイス2308の廃棄側つまり高温側に配置されていてもよい。
【0041】
図24および図25に示す一実施形態では、熱電デバイス2408と可撓性導電部材2404(例えば、銅編組)との間に、平坦な熱中間銅板2407が配置されていてもよい。そのような構成により、熱電デバイス2408への良好なはんだ付け(例えば、可撓性導電部材に対する熱電デバイスの銅板の「フラットオンラフ」ではなく、中間銅板に対する熱電デバイスの「フラットオンフラット」な銅板)が可能になり、可撓性導電部材を多種多様に構成すること(例えば、編組の複数の「オフシュート」)と、シートをより良好にカバーすることとが可能になる場合がある。図25は、図24に示すアセンブリの側面図を示している。図示したように、可撓性導電部材2404は、平坦な中間銅板2407に接続されており、平坦な中間銅板2407は、熱電デバイス2408にはんだ付けされているか、または他の方法で取り付けられている。この「フラットオンフラット」接続によって、部材同士のはんだ接続が改善され、耐久性および熱伝達に関する利点がもたらされる。図示したように、いくつかの実施形態では、フィン2404などの1つ以上の熱伝達デバイスが熱電デバイス2408の廃棄側つまり高温側に配置されていてもよい。
【0042】
図26から図28に、中間プレートと可撓性部材との組立体の様々な実施形態が示されている。図26に示すように、平坦な中間プレート2607は、可撓性導電部材2604の扁平な「チューブ」の内部に嵌め込まれる。いくつかの実施形態では、中間プレート2607と可撓性導電部材2604との間の接続を改善するために、中間プレートは「予めスズめっきされて」いてもよい。図27に、複数の可撓性導電部材を有する中間プレートと可撓性部材との組立体アセンブリが示されている。この実施形態では、可撓性導電部材2704A、2704Bは、平坦な中間プレート2707に直列に接続されている。図27Bに示すように、中間プレート2707は、複数の「プロング」を有していてよく、それによって、可撓性部材2704A、2704Bのそれぞれを「プロング」のうちの1つに嵌め込んで、可撓性部材と中間プレートとをしっかりと接続することができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、可撓性導電部材が中間プレートに接続されたときに互いに接触したり重なり合ったりしないように、中間プレートから延びる「プロング」は互いに分離されていてよい。図28Aから図28Cに示すように、中間プレート2807は、可撓性導電部材2804A、2804Bが隙間Zだけ分離されるように構成されている。中間プレート2807の「プロング」は、可撓性導電部材と中間プレートとがしっかりと接続するように、可撓性導電部材2804A、2804Bの内部に嵌め込まれる。隙間Zは、中間部材2807のプロングの周りに可撓性導電部材2804A、2804Bの厚さ分の隙間を確保するように構成されている。
【0044】
図29から図35には、形状、サイズ、および構成が修正された可撓性の導電素子が描かれている。上述したように、熱電デバイスに接続された複数の可撓性導電部材を使用することによって、特定の構成では、シートつまり調整された表面をより柔軟にカバーすることができる。図29および図30は、可撓性導電部材の2つの異なる構成によってそれぞれ異なる冷却ゾーン領域が形成されている様子を示している。図29では、単一の可撓性導電部材2904によって冷却ゾーン領域2940が形成されている。図30には、2つの可撓性導電部材3004A、3000Bが熱電デバイスに接続されることで得られたより大きい冷却ゾーン3040が示されている。
【0045】
図31から図35は、熱電デバイスに接続された複数の可撓性導電部材の様々な構成を示している。図31に示すように、複数の可撓性導電部材3104A〜3104Cが、中間プレート3107を介して熱電デバイスに接続されている。同様に、図32および図33にそれぞれ示す中間プレート3207および3307は、複数の可撓性導電部材3204A〜3204Cおよび3304A〜3304Dを取り付けるための別の構成を示している。これらの構成によって、図29および図30に示す構成と比べて、均一で大きな調整ゾーンが形成される。図34および図35に示すように、可撓性導電部材は、導電部材3404、3504で示すように、平坦で非矩形状に構成されていてもよい。可撓性導電部材は、調整すべき支持部材および支持面のサイズおよび構成に応じて、非矩形状を含む任意の形状に切断されていてよい。これらの構成では、冷熱または温熱がより大きい範囲に分配される。
【0046】
図36は、本開示の実施形態において使用可能な熱電アセンブリの別の構成を示している。この熱電デバイスは、上述した温度調節アセンブリのいずれにも使用可能である。図示した構成では、熱電デバイスは、第1の銅板3641aと、第1の断熱層3640aと、第1の相互接続層3642aと、熱電ペレット3608と、第2の相互接続層3642bと、第2の絶縁層3640aと、第2の銅板3641bとから構成されている。銅板3641a、3641bの外面上には、熱電デバイスから熱を奪う熱伝達デバイスを形成するように、フィン3602a、3602bが配置されていてもよい。この実施形態では、熱電デバイスは、デバイスの両側にフィンを含んでいる。しかしながら、上述した実施形態で説明したように、デバイスの一方の側のフィンは省略されていてもよく、銅板は可撓性導電部材に結合されていてもよい。いくつかの構成では、絶縁層3640a、3640bは、エポキシまたはポリイミドから形成されていてもよい。例示的な熱電デバイスのさらなる詳細については、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる、2006年10月12日に出願された米国特許出願第11/546928号(米国特許出願公開第2008/0087316号明細書)に記載されている。
【0047】
図37は、図36に関連して上述した実施形態と同様の熱電アセンブリの別の構成を示しており、類似の構成要素には類似の番号が使用されている。このアセンブリは、デバイスの外側のフィンの代わりに、導電プレートを含んでいてよく、例えば、熱電デバイスを含む追加の層を越えて延び、可撓性部材3604をはんだ付け3705または他の方法で取り付ける表面を形成する銅板3741を含んでいてよい。上述したように、可撓性部材3604を熱電アセンブリに伝導的に結合させるために、他の構成が設けられていてもよい。
【0048】
図38A図38B図39A、および図39Bは、本開示によるシート用の別の温度調節システムを示している。図38A(上面図)および図38B(断面図)に示すように、可撓性部材3804は、図17Aおよび17Bに関連して上述したコンフォート層1701およびトリム層1705のようなコンフォート層およびトリム層(共に図示せず)の下方の表面に沿って延びるように、開口、流路、またはスロット3812を通って延びていてよい。いくつかの構成では、可撓性部材3804a〜3804dは、(図示したように)スペーサつまり分配層3801a〜3801dの上方にあってよく、あるいは下方にあってもよい。図38Aおよび図38Bに示すスペーサ層3801a〜3801dは、可撓性部材3804a〜3804dとシートの支持層3803との間に設けられていてよい。スペーサ層3801a〜3801dは、支持層3803に形成された凹部内に位置していてもよい。いくつかの実施形態では、可撓性部材3804a〜3804dおよびスペーサ層3801a〜3801dの上方には、図39Aおよび図39Bに関連して後述するコンフォート層3955のようなコンフォート層が配置されていてもよい。スペーサ層3801a〜3801dの構成によって、2つの表面の間、例えば、支持層3803と、図17Aおよび図17Bに関連して上述した外側トリム層およびコンフォート/平滑化層の両方を含んでいてよいトリム/カバー層との間の空間を維持しながら、空気が構造体を通過して横向きおよび上向きに流れることができるようになっていてもよい。スペーサ層は、ハニカム状発泡材料、内部に流路および通路が形成された材料、3Dスペーサファブリック、メッシュネッティングファブリック、スペーサプレートなど、様々な材料から形成されていてもよい。一例として、1つの好ましい材料は、3MESH(登録商標)という商品名で販売されており、ドイツのミュラー・テキスタイル社または米国ロードアイランド州のミュラー・テキスタイルズ社から市販されている。他の好ましいスペーサデバイスおよびスペーサプレートは、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第8777320号明細書に開示されている。流路3814a、3814bは、図40により詳細に示すように、シートパンの底部に取り付けられたマニホールドシステムの一部である流路3876、3872に流体接続されていてよい。
【0049】
図39Aおよび図39Bは、第2のコンフォート層3955をさらに含む、図38Aおよび図39Bと同様の構成を示している。第2のコンフォート層3955によって、温度調節アセンブリ内への空気流は、開口3950のような特定の位置に制限される。第2のコンフォート層3955は、可撓性導電部材3904a〜3904dとスペーサ層3901a〜3901dとの間に配置されている。第2のコンフォート層3955は、その間に隙間つまり流路3982を画定する2つ以上のコンフォート発泡体を含んでいてよい。隙間つまり流路3982によって、図17Aおよび図17Bに関連して上述したトリム層1701のようなトリム層が下方の支持層3803に直接固定できるようになっていてよい。第2のコンフォート層3955の開口部3950によって、シートアセンブリ内の流路3914a、3914bなどの特定の流路から空気流が導入される。これらの流路は、図40に示すシステム4000のようなマニホールドシステムに接続されていてもよい。本明細書で説明する各実施形態では、トリム層つまり上層(例えば、内張り、皮革、布などのシートカバー材料)と中間層との少なくとも一方は、空気がトリム層つまり上層と中間層との少なくとも一方を通過して流路に流入することができるように、通気性材料からなっていてよく、あるいは、空気を通過させるための穴および通路の少なくとも一方が穿孔または他の方法で形成されていてよく、あるいは、その両方であってもよい。
【0050】
導電部材3904a〜3904dは、乗員とシートが接触する領域に配置されていてよく、また、導電部材3904a〜3904dは、図39Aおよび図39Bに示すように互い向かって延びているか、あるいは点線で示すように長手方向に延びていてよい。分配層つまりスペーサ層3901a〜3901dは、上述したように、乗員との接触領域でそれぞれの導電部材3904a〜3904dと重なっていてもよい。分配層つまりスペーサ層は、乗員の周囲の空気をシートに吸い込むように、乗員とシートが接触する領域に隣接する領域にまで延びていてもよい。
【0051】
図39Bに示すように、第2のコンフォート層3955は、導電部材3904が(図示したように)部分的に埋め込まれるか、または導電部材3904の上部と第2のコンフォート層3955の上面とが同一平面になるように完全に埋め込まれる凹部を含んでいてよい。あるいは、導電部材3904は、第2のコンフォート層3955の凹部内に配置されていなくてもよい。図39Bには、熱電デバイスの廃棄側に結合された熱交換器との間に空間が示されているが、熱交換器は、導電部材3904bの長さを最小限に抑えるように、分配層つまりスペーサ層3901に当接していてよく、あるいは、その上方を延びていてもよい。
【0052】
図40は、シートアセンブリ4003のシートパンに下方から取り付けられたマニホールドシステム4000を示している。マニホールドシステム4000は、単一のファンつまり送風機4060を複数の流路4070、4072、4074、4076つまり熱電デバイスに結合している。マニホールドシステム4000は、図38A図38B図39A図39Bに示すように、ユーザに隣接する表面から流路を介して温度調節シートアセンブリに空気を吸い込むことができる。
【0053】
上述したように、可撓性導電部材は、銅メッシュ材料または銅編組材料を含んでいてよい。これらの材料は、熱伝導率が高く、熱電デバイスの銅接続部に直接はんだ付けすることができるために有利である。しかしながら、他の実施形態では、可撓性導電部材用として、アルミニウムメッシュ、または、アルミニウム編組、または、黒鉛、または、graphoneなどの他の導電材料を使用することができる。
【0054】
開示された各実施形態の説明の助けとして、上記では、上向き、上部、下向き、下部、垂直、水平、上流側、および下流側といった語を用いて、添付の図面について説明した。しかしながら、図示した実施形態を様々な所望の位置に配置かつ配向できることが理解されよう。
【0055】
上述した説明では、様々な構成要素について、「バック」クッションまたは「シート」クッションと結び付けられるものとして説明した。修正実施形態では、バッククッションのサブ構成要素とシートクッションのサブ構成要素を逆にしたり、それらを同じにしたりすることができることを理解されたい。さらに他の実施形態では、図示した実施形態の様々な構成要素を互いに組み合わせたり、例えば背もたれ部の上部および底部など、シートの異なるゾーンに適用したり、あるいは、その両方を行ったりすることができる。他の実施形態では、バッククッションの機能とシートクッションの機能を、熱的に調整される乗員領域の異なるゾーン、例えば、バックシートアセンブリおよび後部シートアセンブリに適用したり、左側シートアセンブリおよび右側シートアセンブリに適用したりすることができる。
【0056】
本明細書ではいくつかの実施形態および例が開示されているが、本願は、具体的に開示された実施形態を超えて、本発明の他の代替実施形態および使用の少なくとも一方と、その修正例および均等例とに拡張する。また、各実施形態の特定の特徴および態様を様々に組み合わせたり、部分的に組み合わせたりすることが可能であり、そのような組み合わせが依然として本発明の範囲内であるとも考えられる。したがって、開示された発明の様々な態様を形成するために、開示された実施形態の様々な特徴および態様を互いに組み合わせたり、互いに置き換えたりすることが可能であることを理解されたい。したがって、本明細書で開示された本発明の範囲は、上述の開示された特定の実施形態に制限されるべきではなく、以下の特許請求の範囲を公正に読むことによってのみ決定されるべきである。
【0057】
本明細書に開示された実施形態には様々な修正例および代替形態が可能であるが、その具体例について図面に示し、本明細書において詳しく説明した。しかしながら、本発明が、開示された特定の形態および方法に限定されず、逆に、上述した様々な実施形態および添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲に含まれるすべての修正例、均等例、および代替例を含むべきであることを理解されたい。本明細書に開示されたいずれの方法も、記載された順序で実施する必要はない。本明細書に開示された方法は、ユーザによる特定の動作を含んでいるが、そのような動作を任意の第三者が明示的または暗示的に指示することを含んでいてもよい。例えば、「向ける」または「作動させる」といった動作はそれぞれ、「向けることを指示する」または「作動させることを指示する」ことを含んでいる。本明細書に開示された範囲は、それらの範囲のあらゆる重複部分、部分範囲、および組み合わせも包含する。「まで」、「少なくとも」、「よりも大きい」、「よりも小さい」、「の間」などの文言は、記載された数を含んでいる。「約」または「およそ」などの用語が先行する数字は、記載された数を含んでいる。例えば、「約10mm」は「10mm」を含んでいる。「実質的に」などの用語が先行する用語または句は、記載された用語または句を含んでいる。例えば、「実質的に平行」は「平行」を含んでいる。
【0058】
好ましい実施形態の上述の説明では、特定の新規の特徴について図示し、説明し、指摘したが、図示された装置の詳細とその使用の形態における様々な省略、置換、および変更が、本開示の趣旨から逸脱することなく当業者によって可能であることが理解されよう。したがって、本発明の範囲を制限するのではなく例示することを意図した上述の説明によって、本発明の範囲は制限されるべきではない。
図1
図2
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図5
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図16A
図16B
図17A
図17B
図18
図19A
図19B
図20A
図20B
図21A
図21B
図21C
図21D
図22A
図22B
図22C
図23
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図27A
図27B
図28A
図28B
図28C
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図30
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図38A
図38B
図39A
図39B
図40