特許第6652524号(P6652524)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6652524
(24)【登録日】2020年1月27日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/506 20060101AFI20200217BHJP
【FI】
   H01R13/506
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-116034(P2017-116034)
(22)【出願日】2017年6月13日
(65)【公開番号】特開2018-14318(P2018-14318A)
(43)【公開日】2018年1月25日
【審査請求日】2017年6月13日
【審判番号】不服2019-4920(P2019-4920/J1)
【審判請求日】2019年4月12日
(31)【優先権主張番号】201610586061.X
(32)【優先日】2016年7月22日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】591043064
【氏名又は名称】モレックス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(72)【発明者】
【氏名】リー ユーユー
(72)【発明者】
【氏名】ワン シャオアン
【合議体】
【審判長】 田村 嘉章
【審判官】 平田 信勝
【審判官】 小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−149389(JP,U)
【文献】 国際公開第2009/050781(WO,A1)
【文献】 特開2013−254696(JP,A)
【文献】 実開平6−36239(JP,U)
【文献】 特開2008−91117(JP,A)
【文献】 特開平1−294380(JP,A)
【文献】 特開2001−85087(JP,A)
【文献】 実開昭55−105274(JP,U)
【文献】 実開昭63−22069(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/506
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのピンが設けられた第1のハウジングと、
該第1のハウジングに着脱可能に組み合わされる第2のハウジングと、を備え、該第2のハウジングには、
前記少なくとも1つのピンの位置に対応するとともに前記少なくとも1つのピンを隙間嵌めで受け入れるために使用される少なくとも1つのピン受入孔と、
ロック解除可能な掛け金であって、前記第1のハウジングと掛止される前記掛け金と、が設けられている、電気コネクタであって、
前記第1のハウジングにはロック部品が設けられ、前記第2のハウジングには、前記ロック部品に対応するロック部品受入部が設けられ、該ロック部品受入部は、前記ロック部品を受け入れるために使用されるが該ロック部品とロックされない、電気コネクタ
【請求項2】
各ロック部品受入部は、横方向の開口部を有する、請求項に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記ピン受入孔は、両端が大きくかつ軸方向において中間部が狭い形状を有する、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記掛け金は、2つ以上であり、前記第2のハウジングの両側にそれぞれ位置付けられるかまたは前記第2のハウジングの同じ側に位置付けられる、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記掛け金は、該掛け金の一方の端部に位置付けられかつ前記第1のハウジングの係合部と掛止めされる掛止部を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記係合部は、前記第1のハウジングのエッジ部であるかまたは前記第1のハウジング上に位置付けられた凸部もしくは凹部である、請求項に記載の電気コネクタ。
【請求項7】
前記掛け金は、前記掛止部と反対側の前記掛け金の他方の端部に押圧リリース部を含み、前記掛止部は、前記押圧リリース部が押されると前記第1のハウジングの前記係合部から外される、請求項に記載の電気コネクタ。
【請求項8】
前記掛け金は、前記掛止部と前記押圧リリース部との間に位置付けられた中間部を含み、該中間部は、前記第2のハウジングに一体的に接続される、請求項に記載の電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
通常の電気コネクタは、一般的に複数のピンを備えているが、多数のピンであるので、製造、輸送および組み合わせの工程において、ピンが外に露出しかつ保護されなければ、衝突によって変形または破損するおそれがあり、そのことは接続の効果に影響を与えるとともにコネクタの耐用寿命を短くすることになる。したがって、電気コネクタは、ピンに保護構造を提供する必要がある。
【0003】
例えば、中国特許第103457075A号においては、ある電気コネクタが提供されている。図1を参照すると、この特許は、複数のピン302が設けられたコネクタ300を開示し、コネクタ300は回路基板400上に装着されている。コネクタ300はさらに、ピン302を保護するためのコネクタ保護カバー100を含む。コネクタ保護カバー100は、ピン302の一部の挿入のための4個の位置決め孔122およびピン302の他の部分を受け入れる受入溝穴124が設けられた矩形の挿入ブロック120を含む。この技術的解決策はピン302の保護を実現できるけれども、コネクタ保護カバー100がコネクタ300上で保持され得るように、ピン302および位置決め孔122の間に締まり嵌め合いが使用されている。したがって、コネクタ保護カバー100がコネクタ300上に装着される際に、ピン302の一部が位置決め孔122によって圧搾されて、それに応じて変形のリスクが生じる。
【0004】
したがって、従来技術の上記の問題を回避することができる電気コネクタを開発することが必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の目的は、電気コネクタのピンを保護できるだけでなく、容易に組み合わされかつ確実に保持されることができる電気コネクタを提供することである。
【0006】
本明細書において反映されかつ広く記載されているように、本開示のこれらおよび他の利点を達成するため、および本開示の目的に従って、本開示は電気コネクタを提供し、該電気コネクタは、少なくとも1つのピンを含む第1のハウジングと、該第1のハウジングに着脱可能に組み合わされる第2のハウジングと、を備えている。該第2のハウジングには、少なくとも1つのピンの位置に対応するとともに少なくとも1つのピンを隙間嵌めで受け入れるために使用される少なくとも1つのピン受入孔と、ロック解除可能な掛け金であって、第1のハウジングと掛止めされる掛け金と、が設けられている。
【0007】
ある実施形態では、第1のハウジングにはロック部品が設けられ、第2のハウジングには、該ロック部品に対応するロック部品受入部が設けられ、該ロック部品受入部は、ロック部品を受け入れるために使用されるがロック部品とロックされない。
【0008】
ある実施形態では、各ロック部品受入部は、横方向の開口部を含んでもよい。
【0009】
ある実施形態では、ピン受入孔は、両端が大きくかつ軸方向において中間部が狭い形状を有してもよい。
【0010】
ある実施形態では、掛け金は、第2のハウジングの両側にそれぞれ位置付けられるかまたは第2のハウジングの同じ側に位置付けられた2つ以上の個数として提供されてもよい。
【0011】
ある実施形態では、掛け金は、該掛け金の端部に位置付けられるとともに第1のハウジングの係合部に掛止めされる掛止部を含んでもよい。
【0012】
ある実施形態では、係合部は、第1のハウジングのエッジ部または第1のハウジング上に位置付けられた凸部もしくは凹部であってもよい。
【0013】
ある実施形態では、掛け金は、掛止部と反対側の掛け金の他方の端部における押圧リリース部を含んでもよく、掛止部は、押圧リリース部が押されると第1のハウジングの係合部から外される。
【0014】
ある実施形態では、掛け金は、掛止部および押圧リリース部の間に位置付けられた中間部を含んでもよく、該中間部は、第2のハウジングに一体的に接続される。
【0015】
本開示の有益な効果は、本開示による電気コネクタが、中に設けられたピンおよびロック部品を、製造および輸送の過程において衝突されかつ変形されることから保護することができるだけでなく、電気コネクタの第2のハウジングがその上に掛け金を含んでおり、該掛け金が第1のハウジングおよび第2のハウジング間の組み合わせおよび取り外しの操作を容易にし、かつ、その掛け金がきつ過ぎる条件または緩過ぎる条件が生じないように掛止め状態を安定にするので、取り外した後、そのことは第2のハウジング上の掛け金を破損することがなく、その結果、第2のハウジングを繰り返し使用できることにある。
【0016】
本開示の上記および他の目的、特徴、態様および利点は、添付図面と組み合わせた本開示の下記の詳細な説明によってさらに明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本開示に含まれる図面は本開示に対するさらなる理解を実現し、かつ明細書に組み込まれて明細書の一部を構成し、その図面は本開示の実施形態を示し、かつ下記の詳細な説明と併せて本開示の概念を表す。
【0018】
図1】従来の電気コネクタの概略図である。
図2】本開示による組み合わされる前の電気コネクタの斜視図である。
図3】本開示による組み合わされる前の電気コネクタの別の角度からの斜視図である。
図4】本開示による組み合わされた後の電気コネクタの斜視図である。
図5A】本開示による組み合わされた後の電気コネクタの上面図である。
図5B図5AのZ−Zの線に沿った断面図である。
図5C図5AのY−Y線に沿った断面図である。
【符号の説明】
【0019】
11 第2のハウジング
12 ピン受入孔
13 ロック部品受入部
14 掛け金
14a 掛止部
14b 押圧リリース部
14c 中間部
31 第1のハウジング
32 ピン
33 ロック部品
34 係合部
100 コネクタ保護カバー
120 挿入ブロック
122 位置決め孔
124 受入溝穴
300 コネクタ
302 ピン
400 回路基板
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示について添付図面と組み合わせて詳細に説明する。
【0021】
本開示による電気コネクタは、少なくとも1つのピン32が設けられた第1のハウジング31と、第1のハウジング31に着脱可能に組み合わされる第2のハウジング11とを備えている。また、第2のハウジング11は、衝突されることかつ破損されることから各ピン32を保護するために、少なくとも1つのピン32の位置に対応するとともに少なくとも1つのピン32を隙間嵌めで受け入れるために使用されるピン受入孔12が設けられる。図5A図5Bおよび図5Cに最良に示されるように、各ピン受入孔12の半径方向のサイズは、対応するピン32の半径方向のサイズよりも大きく、このため第2のハウジング11が第1のハウジング31に組み合わされた後、ピン受入孔12とピン32との間の状態は隙間嵌めになっている。すなわち、第2のハウジング11が第1のハウジング31に組み合わされた場合、ピン受入孔12およびピン32の間のサイズの差異のために、ピン受入孔12およびピン32の間の嵌め合いが極めて緩やかであり、このことで圧搾によって各ピン32が変形されないことを保証する。しかしながら、他の実施形態では、各ピン32および各ピン受入孔12は、図に示された形状、構造およびサイズに限定されず、例えばそれらは円筒の形状に限定されず、ピン受入孔12が隙間嵌めの構造でピン32を受け入れることができる限り、それらは実際の要求に応じて設定されることができ、すべてのそれらの実施形態は本開示の保護範囲に含まれることが理解されるはずである。
【0022】
図2〜4に示されるように、ピン32の数は6個であり、ピン受入孔12の数は7個であり、各ピン32は1つのピン受入孔12に対応する。しかしながら、他の実施形態では、ピン32の数は実際の要求に応じて設定されることができるのに対して、ピン受入孔12の数はピン32の数と同じでもよくもしくはピン32の数より多くてもよいし、または、ピン受入孔12はピン32のすべてもしくは一部を受け入れる一体型の穴として構成され得ることは理解されるはずである。これらの実施形態は、本開示の保護範囲に含まれる。
【0023】
第2のハウジング11は、ロック解除できる掛け金14がさらに設けられ、第2のハウジング11が第1のハウジング31に組み合わされた後に偶発的に外れることなく、第1のハウジング31および第2のハウジング11が互いに確実に保持されることを保証するように、掛け金14は第1のハウジング31と掛止めされることができる。
【0024】
図に示されている特定の実施形態では、掛け金14は、掛止部14a、押圧リリース部14bおよび中間部14cを含む。掛止部14aは、鉤の形状でもよく、掛け金14の一方の端部に位置付けられて第1のハウジング31の係合部34をその上で掛け金する。押圧リリース部14bは、掛止部14aと反対側の掛け金14の他方の端部に位置付けられ、中間部14cは、掛止部14aおよび押圧リリース部14bの間に位置付けられている。押圧リリース部14bが内側に押されると、中間部14cが枢軸点として動作し、梃の原理によって、掛止部14aが外側に移動するので第1のハウジング31の係合部34から外される。
【0025】
実施形態では、係合部34は第1のハウジング31のエッジ部である。しかしながら、他の実施形態では、第1のハウジング31は、掛止部14aに係合する係合部34として凸部または凹部が設けられ得ることは理解されるはずである。
【0026】
図2および図4に示されるように、掛け金14および第2のハウジング11は一体的に構成され、すなわち、掛け金14の中間部14cは第2のハウジング11に一体的に接続される。しかしながら、他の実施形態では、掛け金14が分離した部品でも可能であることは理解されるはずである。
【0027】
なお、図2に示されている実施形態では、掛け金14は1つの個数だけで提供され、第2のハウジング11の1つの側に位置付けられている。しかしながら、掛け金14は、第2のハウジング11の両側にそれぞれにある、または、第2のハウジング11の同じ側に並んで位置付けられた2つ以上の個数として提供されることができ、このためより確実に第2のハウジング11および第1のハウジング31をともに保持することは理解されるはずである。
【0028】
実施形態では、第1のハウジング31は、ロック部品33がさらに設けられ、ロック部品33は、電気コネクタが別の整合コネクタまたは他の機構に接続される場合には、電気コネクタおよび別の整合コネクタまたは他の機構をともにロックするために使用される。この場合に、第2のハウジング11は、第1のハウジング31のロック部品33に対応するロック部品受入部13がさらに設けられ、ロック部品受入部13はロック部品33を受け入れるために使用されるが、ロック部品33とロックされない。ロック部品受入部13はロック部品33とロックされないので、第2のハウジング11は第1のハウジング31に容易に組み合わされかつ第1のハウジング31から容易に外されることができ、ロック部品33はこの工程において破損されない。
【0029】
さらに、図2〜4に示されるように、ロック部品受入部13は、溝のような構造を形成するように横方向の開口部を含む。しかしながら、他の実施形態では、ロック部品受入部13は横方向の開口部を含む必要はなく、貫通穴の形でもよいことは理解されるはずである。
【0030】
図5Bおよび図5Cに最良に示されるように、各ピン32が1つのピン受入孔12に対応する場合には、各ピン受入孔12は、両端が大きくかつ軸方向において中間部が狭い形状を有し、このため第2のハウジング11が第1のハウジング31に対して組み合わされる場合に、ピン受入孔12がピン32をより良好に案内してピン受入孔12の中に入れることができる。本開示はこれに限定されず、ピン受入孔12が標準的な円筒の孔または他の適切な形状であってもよい。
【0031】
上記の実施形態および利点は単なる例示に過ぎず、本開示を制限するように判断することはできない。この中の記載は、実施例の説明を意図したものであり、特許請求の範囲を制限するものではない。様々な代替、変更および修正は、当業者に明らかである。この中に記載された例示の実施形態の特徴、構造、方法、および他の特性が、様々なやり方で組み合わされて、他のおよび/または代替の例示の実施形態を得ることができる。
【0032】
本開示の特徴は、本開示の趣旨から逸脱することなく多くの形において実施されることができ、上記の実施形態は上記に記載されたいかなる細部にも限定されず、特に断りのない限り、添付された特許請求の範囲によって画定される範囲内にあると広く解釈され、したがって、特許請求の範囲の範囲および境界内に包摂される等価な解決策のすべての修正および変更は、添付された特許請求の範囲によってカバーされなければならないということが理解されるはずである。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C