特許第6652550号(P6652550)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6652550複数のラミネーションを使用して複合シートを製造するためのデバイス及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6652550
(24)【登録日】2020年1月27日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】複数のラミネーションを使用して複合シートを製造するためのデバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/02 20060101AFI20200217BHJP
【FI】
   B29C65/02
【請求項の数】19
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-503620(P2017-503620)
(86)(22)【出願日】2015年6月24日
(65)【公表番号】特表2017-528339(P2017-528339A)
(43)【公表日】2017年9月28日
(86)【国際出願番号】EP2015064200
(87)【国際公開番号】WO2016012182
(87)【国際公開日】20160128
【審査請求日】2018年6月20日
(31)【優先権主張番号】102014110252.5
(32)【優先日】2014年7月21日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510041496
【氏名又は名称】ティッセンクルップ スチール ヨーロッパ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ThyssenKrupp Steel Europe AG
(73)【特許権者】
【識別番号】501186597
【氏名又は名称】ティッセンクルップ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【弁理士】
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ミュールハウゼ,ワルター
(72)【発明者】
【氏名】クラインシュミット,オリヴァー
(72)【発明者】
【氏名】コッホ,クラウス−ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ヒーアマン,クレメンス
【審査官】 関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−193850(JP,A)
【文献】 特開昭60−230847(JP,A)
【文献】 特開2013−014135(JP,A)
【文献】 特開昭54−041975(JP,A)
【文献】 特開2005−224968(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0173063(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0000675(US,A1)
【文献】 国際公開第2007/111189(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 65/00−65/82
B29C 63/00−63/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの外側金属カバーシートと、該カバーシートの間に配置された少なくとも1つのプラスチック層とを備える、ストリップ状複合シート(2、32、45)を製造するためのデバイス(1)であって、
前記金属カバーシートの間に配置された前記少なくとも1つのプラスチック層を有する前記金属カバーシートをラミネートするための少なくとも1つの第1のラミネートデバイス(12、25、42)であって、第1のラミネートギャップを形成する少なくとも2つのラミネートロール(12a、12b、25、42)を備える前記ラミネートデバイスを備え、
前記第1のラミネートギャップの下流側のプロセス方向において、前記第1のラミネートギャップにおける第1のラミネートステップ後に前記複合シート(2、32、45)をラミネート温度に再加熱するための加熱手段が第1の加熱ゾーン(13、26、40)に提供され、前記第1の加熱ゾーン(13、26、40)の下流側のプロセス方向において第2のラミネートデバイス(14、27、43)が配置され、前記ラミネートデバイスは、少なくとも2つのラミネートロール(14a、14b、27、40)により形成される第2のラミネートギャップを備え、前記第2のラミネートギャップの下流側に冷却ゾーン(16、30、44)が配置され
前記第2のラミネートデバイスが前記第1の加熱ゾーンの外側に配置されることを特徴とする、デバイス(1)。
【請求項2】
前記金属カバーシートを提供するために、少なくとも2つの金属ストリップ(7、8)を引き出すための対応する引き出しリール(3、4、19、21、33、35)が提供され、
前記少なくとも1つのプラスチック層を提供するために、少なくとも1つのプラスチックフィルム(6)を引き出すための少なくとも1つの引き出しリール(5、20、34)が提供され、
第1のラミネートステップの前に、前記少なくとも2つの金属ストリップ(7、8)及び前記少なくとも1つのプラスチックフィルム(6)を予熱するための手段(9、10、11、23、26、36、37、39)が提供される、ことを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記少なくとも1つの金属カバーシートを提供するために、少なくとも1つの金属ストリップを引き出すための少なくとも1つの引き出しリールが提供され、
少なくとも1つの面上にラミネートされたプラスチックフィルムを有する少なくとも1つの金属ストリップを引き出すための少なくとも1つの引き出しリールが提供され、
前記複合シートを形成するための前記第1のラミネートステップの前に、少なくとも1つの面上にラミネートされた前記プラスチックフィルムを有する前記少なくとも1つの金属ストリップ、及び前記少なくとも1つの金属ストリップを予熱するための手段が提供される、ことを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記金属カバーシートを提供するために、少なくとも2つの金属ストリップを引き出すための対応する引き出しリール(33、35)が提供され、
前記少なくとも1つのプラスチック層を提供するために、少なくとも1つのプラスチックフィルムを引き出すための少なくとも1つの引き出しリール(34)が提供され、
少なくとも1つの面上にラミネートされたプラスチックフィルムを有する金属ストリップを製造するために、ラミネート形成ステップの前に、前記少なくとも1つの金属ストリップ及び前記少なくとも1つのプラスチックストリップを予熱するための手段(36、37)が提供され、
前記ラミネート形成ステップの下流側のプロセス方向において、前記複合シートを形成するための前記第1のラミネートステップの前に、少なくとも1つの面上にラミネートされた前記プラスチックフィルムを有する前記少なくとも1つの金属ストリップ、及び少なくとも1つのさらなる金属ストリップを予熱するための手段(38、39)が提供される、ことを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第1のラミネートギャップの下流側の前記複合シート(2、32、45)の前記金属カバーシートを加熱するための手段(15)が提供されることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれかに記載のデバイス。
【請求項6】
前記第1のラミネートギャップの下流側の前記複合シート(2、32、45)の前記金属カバーシートを加熱するための前記手段(15)として、放射加熱手段、レーザ又はLEDが提供されることを特徴とする、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記複合シート(2、32、45)が、前記ラミネート温度まで放射、誘導及び/又は対流加熱される熱トンネルが、前記第1の加熱ゾーン(13、26、40)に提供されることを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれかに記載のデバイス。
【請求項8】
前記複合シート(2、32、45)の伝導加熱のためのダブルベルトプレスが、前記第1の加熱ゾーン(13、40)に提供されることを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれかに記載のデバイス。
【請求項9】
前記冷却ゾーン(16、30、44)が、ダブルベルトプレス、空冷セクション、水ミスト冷却セクション、水冷セクション、又は、これらの冷却セクションの組合せとして設計されることを特徴とする、請求項1から請求項8のいずれかに記載のデバイス。
【請求項10】
前記金属ストリップのためのストリップ誘導手段(22)が提供され、これにより、前記金属ストリップは、前記第1のラミネートギャップの下流側の前記複合シート(32)の前記第1の加熱ゾーン(26)を通して予熱されるように案内され得ることを特徴とする、請求項1から請求項9のいずれかに記載のデバイス。
【請求項11】
前記プラスチックフィルムを予熱するための前記手段(11、23)が、前記第1のラミネートデバイス(12、25)の前記ラミネートギャップのすぐ上流側に配置されることを特徴とする、請求項1から請求項10のいずれかに記載のデバイス。
【請求項12】
さらなるラミネートデバイス(29)を有する少なくとも1つのさらなる加熱ゾーン(28)が、プロセス方向において前記冷却ゾーン(30)の上流側に提供され、
前記さらなるラミネートデバイス(29)は、前記さらなる加熱ゾーン(28)の出力側に配置され、ラミネートギャップを形成する少なくとも2つのラミネートロールを有する、ことを特徴とする、請求項1から請求項11のいずれかに記載のデバイス。
【請求項13】
温度調節可能なラミネートロール(12a、12b、14a、14b、25、27、29、41、42、43)が提供されることを特徴とする、請求項1から請求項12のいずれかに記載のデバイス。
【請求項14】
少なくとも2つの金属カバーシートと、該カバーシートの間に配置されたプラスチック層とを備える、ストリップ状複合シートを製造するための方法であって、
引き出しリールを用いて少なくとも2つの金属ストリップ及び少なくとも1つのプラスチックフィルムを提供するステップと、
2つのラミネートロールにより形成されるラミネートギャップを有する第1のラミネートデバイスに供給される前に、前記金属ストリップ及び前記プラスチックフィルムを予熱するステップと、
特に請求項1から請求項13のいずれかに記載のデバイスを使用して、前記第1のラミネートデバイス内で、前記金属ストリップの間に配置された前記少なくとも1つのプラスチックフィルムを有する少なくとも2つの金属ストリップをラミネートして、複合シートを形成するステップと、を含み、
前記複合シートは、前記第1のラミネートギャップの下流側の第1の加熱ゾーン内で再びラミネート温度まで加熱され、ラミネートギャップを形成する少なくとも2つのラミネートロールを備える第2のラミネートデバイス内で、第2のラミネートステップに供され、冷却ゾーン内で冷却され、
前記第2のラミネートデバイスが前記第1の加熱ゾーンの外側に配置されることを特徴とする方法。
【請求項15】
前記複合シートの前記金属カバーシートが、前記第1のラミネートギャップを通過した後に放射加熱されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第2のラミネートステップの後、前記複合シートが前記冷却ゾーンにおいて冷却される前に、前記複合シートが、さらなるラミネートデバイスを有する少なくとも1つのさらなる加熱ゾーンを通過し、
前記さらなるラミネートデバイスは、前記少なくとも1つのさらなる加熱ゾーンの出力側に配置されている、
ことを特徴とする、請求項14又は請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも2つの金属ストリップが、前記第1のラミネートギャップの下流側に提供された前記第1の加熱ゾーンを通して予熱されるように案内され、前記第1のラミネートギャップ内でラミネートされて複合シートを形成すること
を特徴とする、請求項14から請求項16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つのプラスチックフィルムが、前記第1のラミネートギャップ内への進入直前に、加熱手段により0℃から150℃の間の温度まで加熱され
前記少なくとも1つのプラスチックフィルムが、ポリアミド及びポリエチレンのブレンドであることを特徴とする、請求項14から請求項17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
ラミネートギャップの少なくとも2つのラミネートロールの温度が、対応するラミネートステップの前に、加熱された金属ストリップの温度まで調節されることを特徴とする、請求項14から請求項18のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つの外側金属カバーシートと、カバーシートの間に配置された少なくとも1つのプラスチック層とを備える、ストリップ状複合シートを製造するためのデバイスに関し、デバイスは、金属カバーシートの間に配置された少なくとも1つのプラスチック層を有する金属カバーシートをラミネートして複合シートを形成するための、少なくとも1つの第1のラミネートデバイスであって、第1のラミネートギャップを形成する少なくとも2つのラミネートロールを備えるラミネートデバイスを備える。
【0002】
さらに、本発明は、少なくとも2つの金属カバーシートと、カバーシートの間に配置された少なくとも1つのプラスチック層とを備える、ストリップ状複合シートを製造するための方法に関し、方法は、
引き出しリールを用いて少なくとも2つの金属ストリップ及び少なくとも1つのプラスチックフィルムを提供するステップと、
2つのラミネートロールにより形成されるラミネートギャップを有する第1のラミネートデバイスに供給される前に、金属ストリップ及びプラスチックフィルムを予熱するステップと、
第1のラミネートデバイス内で、金属ストリップの間に配置された少なくとも1つのプラスチックフィルムを有する少なくとも2つの金属ストリップをラミネートして、複合シートを形成するステップとを含む。
【背景技術】
【0003】
金属カバーシートの間に配置されたプラスチック層を有する2つの金属カバーシートからなる複合シートは、サンドイッチシートとも呼ばれるが、例えば自動車製造において通例使用される中実材料鋼板と比較して、極めて大きな軽量化の可能性を有する。例えば、鋼/プラスチック/鋼の層順序及び0.5mm/1mm/0.5mmの厚さを有するサンドイッチシートは、1.91mmの厚さを有する同等の一体型の種類と比較して、事実上同じ屈曲特性を有する。しかしながら、複合シート又はサンドイッチシートは、最大40%低い重量を有する。対応する複合シートを製造するために、これまで、ラミネートデバイスも備えるダブルベルトプレスの形態のラミネートデバイスが使用されている。金属カバーシート用に提供される金属ストリップ、及びプラスチック層用に提供されるプラスチックフィルムは、ダブルベルトプレスに継続的に供給される。ダブルベルトプレスにおいて、金属ストリップ及びプラスチックフィルムは、ダブルベルトプレス内に配置されたラミネートデバイス内に誘導される前に、まず加熱ゾーンにおいてラミネート温度まで加熱される。ダブルベルトプレス内に配置され、カレンダの形態であるラミネートデバイスは、高いライン圧力を用いて、続いて、同様にダブルベルトプレスにより形成され、ストリップ状複合シートが冷却される冷却ゾーンを用いて、金属シートとプラスチック層との間の最終接着を形成する。冷却ゾーンにおいて、異なる冷却温度及び冷却速度が設定され得る。ダブルベルトプレスにおいて、加熱ゾーン及び冷却ゾーンの両方における熱輸送は、ベルト速度で移動する、又は静止するように構成されたアルミニウムプレートとの直接的又は間接的接触により生じる。複合シートの表面が損傷しないように、静止アルミニウムプレートと複合シートとの間に、移動する輸送ベルトが必要である。対応する知られたデバイスの製造速度は、これまで、製造プロセスにおける高度の経済性を得るためには不十分であったことが示されている。さらに、例えば複合シートをさらに処理する際に、金属層とプラスチック層との間の剥離を防止するためには、金属シートとプラスチック層との間の接着性を増加させることが、常に必要とされている。
【0004】
国際公開第2009/043777号には、2つの外側金属カバーシートと、カバーシートの間に配置されたプラスチック層とを有する複合シートを製造するための方法が開示されており、説明されているように、複合シートを製造するためにダブルベルトプレスが使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2009/043777号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この先行技術を発端として、本発明は、経済性、すなわち製造速度が大幅に増加され得ると同時に、さらなる処理中の複合シートの剥離の危険性が低減され得る、複合シートを製造するための方法及びデバイスを提供するという目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の教示によれば、この目的は、ストリップ状複合シートを製造するための問題の種類のデバイスにおいて、第1のラミネートギャップの下流側のプロセス方向において、第1のラミネートギャップにおける第1のラミネートステップ後に複合シートをラミネート温度に再加熱するための加熱手段が第1の加熱ゾーンに提供され、第1の加熱ゾーンの下流側のプロセス方向において第2のラミネートデバイスが配置され、前記ラミネートデバイスは、少なくとも2つのラミネートロールにより形成される第2のラミネートギャップを備え、第2のラミネートギャップの下流側に冷却ゾーンが配置されることで達成される。
【0008】
本発明によるデバイスの場合、実際のラミネート操作のためのダブルベルトプレス、すなわち統合されたラミネートデバイスを有するダブルベルトプレスを使用することが必要ではなくなり、したがって、製造速度が増加され得る。金属カバーシートとプラスチック層との間の接続は、第1のラミネートデバイス及び下流側の第2のラミネートデバイスの両方のラミネートロールを用いて提供される。第1のラミネートデバイス及び第2のラミネートデバイスは両方とも、より高い製造速度で、金属シートとプラスチック層との間のラミネートプロセスを実行することができる。
【0009】
本発明によるデバイスの第1の改良によれば、金属カバーシートを提供するために、少なくとも2つの金属ストリップを引き出すためのそれぞれの引き出しリールが提供され、少なくとも1つのプラスチック層を提供するために、少なくとも1つのプラスチックフィルムを引き出すための少なくとも1つの引き出しリールが提供され、複合シートを形成するための第1のラミネートステップの前に、少なくとも2つの金属ストリップ及び少なくとも1つのプラスチックフィルムを予熱するための手段が提供される。しかしながら、プラスチック層を1つずつの製品の形態で提供することも考えられる。金属ストリップは、好ましくは、少なくとも2つの金属ストリップを予熱するための手段により、100℃から300℃の温度まで予熱される。プラスチックフィルムは、好ましくは、50℃から150℃の温度に予熱される。
【0010】
金属ストリップの予熱中、後者は、例えば横磁場もしくは縦磁場誘導を用いて誘導加熱されてもよく、例えば2つのローラ間の抵抗加熱により伝導加熱されてもよく、対流炉及び高温空気、赤外線放射体もしくは近赤外線放射体(NIR放射体)、ラインレーザもしくは他のレーザダイオード、ガスエジェクタもしくはガスバーナーを用いて間接的もしくは直接的に加熱されてもよく、又は共に移動する加熱可能なローラによる接触加熱により加熱されてもよい。例えば、予熱中、可能な限り寸法的に安定である複合シートを製造することができるように、塑性変形は生じない。
【0011】
プラスチック層は、例えば、高温空気を使用した対流炉、赤外線放射体、又はガスエジェクタ、特に間接ガスエジェクタ、又はガスバーナー、又は共に移動する加熱可能なロールを介した接触加熱により、ラミネート温度に加熱される。
【0012】
本発明によるデバイスの第1の代替の改良によれば、少なくとも1つの金属カバーシートを提供するために、少なくとも1つの金属ストリップを引き出すための少なくとも1つの引き出しリールが提供され、少なくとも1つの面上にラミネートされたプラスチックフィルムを有する少なくとも1つの金属ストリップを引き出すための少なくとも1つの引き出しリールが提供され、複合シートを形成するための第1のラミネートステップの前に、少なくとも1つの面上にラミネートされたプラスチックフィルムを有する少なくとも1つの金属ストリップ、及び少なくとも1つの金属ストリップを予熱するための手段が提供される。この代替の実施形態により、プラスチックフィルムはすでに金属ストリップ上にラミネートされているため、ラミネートステップが単純化され得る。
【0013】
本発明によるデバイスの第2の代替の改良によれば、金属カバーシートを提供するために、少なくとも2つの金属ストリップを引き出すためのそれぞれの引き出しリールが提供され、少なくとも1つのプラスチック層を提供するために、少なくとも1つのプラスチックフィルムを引き出すための少なくとも1つの引き出しリールが提供され、少なくとも1つの面上にラミネートされたプラスチックフィルムを有する金属ストリップを製造するために、ラミネート形成ステップの前に、少なくとも1つの金属ストリップ及び少なくとも1つのプラスチックフィルムを予熱するための手段が提供される。さらに、ラミネート形成ステップの下流側のプロセス方向において、複合シートを形成するための第1のラミネートステップの前に、少なくとも1つの面上にラミネートされたプラスチックフィルムを有する少なくとも1つの金属ストリップ、及び少なくとも1つのさらなる金属ストリップを予熱するための手段が提供される。
【0014】
本発明によるデバイスのさらなる改良によれば、第1のラミネートギャップの下流側で複合シートの金属カバーシートを加熱するための手段が提供される。通例、ラミネートプロセス中、複合シートに張力が生じるため、複合シートの金属カバーシートを加熱するための手段は、好ましくは、第1のラミネートギャップのすぐ下流側に提供される。カバーシート及びプラスチックフィルムがラミネートギャップを通って移動する際、温度により誘発される、特にプラスチック層の幅の変化が典型的に生じ、したがって、複合シートの冷却中に応力が生じる。前記応力を回避するために、第1のラミネートギャップの下流側で、複合シートの金属カバーシートを加熱するための手段が使用され、標的化された様式でカバーシートを加熱する。
【0015】
好ましくは、第1のラミネートギャップの下流側で複合シートの金属カバーシートを加熱するための手段として、放射加熱手段、レーザ又はLEDが提供される。放射により、したがって非接触式で動作する加熱手段は、表面にいかなる損傷ももたらさないだけでなく、外側から金属カバーシートに極めて正確に定量されたエネルギーを伝達することができるという利点を有する。ここで、好ましくはラインレーザ又は他のレーザダイオードが使用され、したがって、結果として、ラミネートギャップから出た直後のカバーシートの極めて正確な加熱が生じ得る。しかしながら、例えばNIR放射体等の他の放射加熱手段もまた考えられる。
【0016】
本発明のさらなる改良によれば、複合シートがラミネート温度まで放射、誘導及び/又は対流加熱される熱トンネルが、第1の加熱ゾーンに提供される。熱トンネル、すなわち、例えば筐体を用いて閉鎖された空間領域内における放射、誘導及び対流加熱は、好適な様式又はプロセスに特定の様式で複合シートを確実に加熱することができ、したがって、前記複合シートはまた、より高いプロセス速度でさらなるラミネートステップに供給され得る。
【0017】
その代替として、第1の加熱ゾーンに、複合シートの伝導加熱のためのダブルベルトプレスが提供されてもよい。ダブルベルトプレスは、その上に設置されて複合シートに熱を伝達する温度調節されたアルミニウムプレートと共に動作する。表面誤差を回避するために、又は表面の損傷を回避するために、アルミニウムプレートと複合シートの表面との間にベルトが配置され、共に移動する。さらにラミネートステップを実行するように意図されない場合は、ダブルベルトプレスであっても、加熱操作中に比較的高い製造速度に達することができる。この点において、本実施形態によれば、誘導加熱のためのダブルベルトプレスであってもよい加熱ゾーンはまた、同等に高い製造速度を保証する。
【0018】
デバイスのさらなる改良によれば、第2のラミネートギャップの下流側に冷却ゾーンが配置され、冷却ゾーンは、ダブルベルトプレス、空冷セクション、水ミスト冷却セクション、水冷セクション又は前述の冷却セクションの組合せとして設計される。ストリップ状複合シートの制御された冷却によって、複合シートがさらなる処理ステップ、例えば組立てに可能な限り速やかに供給され得ることが確実となる。
【0019】
さらなる改良によれば、金属ストリップのためのストリップ誘導手段が提供され、それにより、金属ストリップは、第1のラミネートギャップの下流側の予熱のための複合シートの第1の加熱ゾーンを通して誘導され得、したがって、第1のラミネートギャップの下流側の加熱ゾーンにおける熱は、第1のラミネートステップの前の金属ストリップの予熱にも適用され得ることから、少なくとも2つの金属ストリップを予熱するための手段を提供するための装置に対する費用が削減され得る。例えば、ここで、第1のラミネーションの上流側の予熱のための、及び第1のラミネーションの下流側の加熱プロセスのための別個の加熱領域を有する、複数の加熱領域を有する第1の加熱ゾーンを使用することができる。したがって、本発明によれば、特にコンパクトなデバイス構成がさらに得られる。
【0020】
さらなる改良によれば、プラスチックフィルムを予熱するための手段が第1のラミネートデバイスのラミネートギャップのすぐ下流側に配置され、したがって、ラミネートギャップ内への進入までの温度損失は特に小さく、したがって、ラミネートギャップにおいて、プラスチックフィルムの特に制御されたラミネート温度が設定及び維持され得る。
【0021】
少なくとも1つのさらなる加熱ゾーンの出力側に配置され、ラミネートギャップを形成する少なくとも2つのラミネートロールを有するさらなるラミネートデバイスを有する少なくとも1つのさらなる加熱ゾーンが、プロセス方向において冷却ゾーンの上流側に提供される場合、さらなるラミネートデバイスにより使用され得る接着効果を改善する時間依存的でもあるプロセスにより、カバーシートと間に配置されたプラスチック層との間の接着性がさらに増加され得る。全体的に、より高いプロセス速度にもかかわらず、金属シートとプラスチック層との間の接着性のさらなる増加が達成され得る。
【0022】
使用されるラミネートデバイスの全て、又は少なくとも1つにおいて、温度調節可能なラミネートロールが好ましくは提供されるが、これは、後者がラミネーションに関する接続の特に制御された構築を確実とし得るためである。例えば予熱又は加熱プロセスにおけるカバーシートの温度に対応するラミネートロールの設定温度のため、金属ストリップとプラスチック層との間の相対的移動が回避され得る。
【0023】
本発明の第2の教示によれば、示された目的は、複合シートが、第1のラミネートギャップの下流側の第1の加熱ゾーン内で再びラミネート温度まで加熱され、ラミネートギャップを形成する少なくとも2つのラミネートロールを備える第2のラミネートデバイス内で、第2のラミネートステップに供され、冷却ゾーン内で冷却される方法により達成される。すでに以前に説明したように、第1のラミネートステップである事前ラミネートステップ及び第2のラミネートステップへの分割により、プロセス速度が大幅に上昇され得る。さらに、冷却ゾーンにおける制御された冷却により達成される効果は、複合シートがその製造直後にさらなる処理ステップに、例えばトリミング又は組立てに供給され得るということである。
【0024】
金属複合シートの金属カバーシートが、第1のラミネートギャップを通過した後に放射加熱される場合、カバーシートは、例えば、第1のラミネートギャップの出口で直接加熱されてもよく、したがって、金属ストリップとプラスチック層との間の温度差に起因して生じる応力は、複合シートにおいて回避される、又は補償される。例えば、レーザ、特にラインレーザ又はLEDが、放射加熱手段として使用される。この2つの加熱手段は、例えば金属カバーシートの吸収挙動に対して調整された波長で、金属カバーシートの極めて正確な特定の領域を加熱することができる。加熱は、レーザ、例えばレーザダイオード又はラインレーザが使用される場合、空間的に極めて正確に導入され得る。しかしながら、ラミネートギャップの出力側のIR又はNIR放射体の使用もまた考えられる。カバーシートはまた、例えば、製造プロセス中、各ラミネートデバイスの下流側で加熱されてもよい。
【0025】
方法のさらなる改良によれば、第2のラミネートステップの後、複合シートが冷却ゾーンにおいて冷却される前に、複合シートが、少なくとも1つのさらなる加熱ゾーンの出力側に配置されたさらなるラミネートデバイスを有する少なくとも1つのさらなる加熱ゾーンを通過する場合、ラミネートプロセスは、例えば、合計3つ以上のラミネートステップに分割され得る。このようにして、金属シートとプラスチック層との間の接着能力及び製造速度が、一方で増加され得る。
【0026】
本方法のさらなる改良によれば、少なくとも2つの金属ストリップが、第1のラミネートギャップの下流側に提供された第1の加熱ゾーンを通して予熱されるように誘導され、第1のラミネートギャップ内でラミネートされて複合シートを形成する場合、デバイスのコンパクトな構成が確実となり得るだけでなく、第1の加熱ゾーンのエネルギーを使用することにより、エネルギー的に有利な方法が提供され得る。
【0027】
少なくとも1つのプラスチックフィルムが、第1のラミネートギャップ内への進入直前に、加熱手段により好ましくは50℃から150℃の間の温度まで加熱される場合、プラスチックフィルムの低減された熱損失のために、特に制御されたラミネートプロセスが達成され得るだけでなく、プラスチックフィルムが増加した温度を有する長さがそのようにして最小限とされ得るため、プラスチックフィルムが断裂するリスクが低減され得る。プラスチック層の最適なラミネーションを可能とするために、金属ストリップは、好ましくは、100℃から300℃の温度に予熱又は再加熱される。
【0028】
本方法の改良によれば、ラミネートギャップの少なくとも2つのラミネートロールの温度は、好ましくは、それぞれのラミネートステップの前に、加熱された金属ストリップの温度まで調節される。これにより達成される効果は、金属ストリップの熱が、ラミネートロールから流れ去ることができず、むしろ2つの金属ストリップの間に配置されたプラスチックフィルムのみから流れ去るということである。その結果、ラミネートステップは、対応して温度調節されるラミネートロールが使用される場合、高度に制御される。
以降、図面と併せて例示的実施形態を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、2つのラミネートデバイスを有する複合シートを製造するためのデバイスの第1の例示的実施形態の概略断面図である。
図2図2は、少なくとも2つのラミネートデバイスを有する複合シートを製造するためのデバイスの第2の例示的実施形態の概略断面図である。
図3図3は、デバイスのさらなる例示的実施形態を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、概略断面図において、ストリップ状複合シート2を製造するためのデバイス1を示し、複合シートは、少なくとも2つの外側金属カバーシートと、カバーシートの間に配置された少なくとも1つのプラスチック層とを備える。金属カバーシートは、引き出しリール3及び4から金属ストリップ7、8として提供され、プラスチック層は、引き出しリール5からプラスチックフィルム6により提供される。金属ストリップ7、8は、金属ストリップを例えば誘導、伝導、対流及び/又は放射加熱する予熱手段9、10に供給される。ここで、伝導加熱は、電流の使用、及び直接的な熱接触、すなわち熱伝導の両方によって生じ得る。プラスチックフィルム6もまた、第1のラミネートステップの前に予熱手段11に供給され、前記予熱手段は、好ましくは、第1のラミネートデバイス12のラミネートギャップのすぐ近くに配置される。
【0031】
プラスチックフィルムは、例えば、対流、放射、又は、例えば温度調節された接触ロールを使用した直接熱接触による伝導で予熱される。予熱された金属ストリップ7、8及び予熱されたプラスチックフィルム6は、ラミネートギャップを形成する2つのラミネートロール12a、12bを備える第1のラミネートデバイス12に供給される。2つの金属ストリップ7、8及びプラスチックフィルム6に対するラミネート圧力は、ラミネートロール12a及び12bの間の距離、すなわちラミネートギャップにより設定され得る。好適なプラスチックは、特に熱可塑性樹脂、例えばポリアミド及びポリエチレンのブレンドである。繊維強化プラスチックもまた使用され得る。プラスチックは、例えば、変形又は別の変化を生じることなく下流側の塗装及び乾燥ステップに耐えるために、好ましくは200℃まで耐熱性である。金属ストリップは、好ましくは鋼で構成され、例えば、0.1mmから0.8mmの厚さを有する。同様に、異なる鋼合金及び/もしくは厚さ、ならびに他の材料との組合せ、又は例えばアルミニウム合金及び/もしくはマグネシウム合金等の他の材料の組合せもまた使用され得る。最終的な複合シートのプラスチック層の厚さは、例えば、0.3mmから2.5mmである。
【0032】
図1に示されるデバイスは、プロセス方向において第1のラミネートデバイス12の下流側に第1の加熱セクション13を備え、その出口に第2のラミネートデバイス14が配置される。加熱ゾーン13において、複合シートは、好適な様式で、又はプロセスに特定の様式で、例えば100℃から300℃のラミネート温度まで再び加熱され、2つのラミネートロール14a、14bにより形成されるラミネートギャップ内で再びラミネートされる。このようにして、金属ストリップ7、8と、プラスチックフィルム6からなるプラスチック層との間の接着性がさらに増加される。
【0033】
同時に、それぞれの場合において接続がラミネートギャップにおいて形成されるため、2つの材料、すなわち金属とプラスチックとの間の接続を提供するためにダブルベルトプレスが使用されない。その結果、製造速度が大幅に増加する。加熱ゾーン13は、複合シート2が第1のラミネートデバイス12を通過した後、一般に対流、放射、又は例えば加熱可能なロールを用いた接触加熱により複合シート2を加熱する。さらに、第1のラミネートギャップの下流側で複合シートの金属カバーシートを加熱するための手段15が提供されてもよく、前記手段は、この例において、レーザビーム源、例えばダイオードレーザ又はラインレーザとして設計されている。
【0034】
第1のラミネートステップの直後に、又はラミネートデバイス12の下流側で金属カバーシートを加熱するための手段15は、金属カバーシート7、8が再加熱され、したがってラミネートデバイス12により複合シートに導入された応力が補償又は排除され得ることを可能にする。加熱手段15による金属ストリップ7、8の追加的な加熱によって、金属ストリップからプラスチック層6に熱が流れ去ることになり、したがって、金属ストリップ7、8及びプラスチック層6の異なる温度のために応力が補償される。さらに、ここで、温度が好ましくは金属ストリップ温度に調節された温度調節ラミネートロール12a、12bが、補助的に作用する。
【0035】
複合シートがラミネートデバイス14における第2のラミネートステップを通過した後、まだストリップ状の複合シートは、冷却ゾーン16において制御された様式で冷却され、ストリップから複合シート2を切り出すさらなる処理ステーション17に供給される。同様に、ストリップ状複合シートの巻回も考えられる。図1に示されるように、第1の加熱ゾーンは熱トンネルとして設計され、複合シートを、例えば100℃から300℃の範囲内のラミネート温度まで放射、誘導及び/又は対流加熱する。
【0036】
冷却ゾーン16はまた、例えば、ダブルベルトプレス、空冷セクション、水ミスト冷却セクションもしくは水冷セクション、又は前述の冷却セクションの組合せとして設計されてもよい。このようにして、シートは、その製造後、複合シートがさらに組立てデバイス17等によって容易に処理され得る温度まで冷却される。
【0037】
ここで、図2は、デバイスのさらなる例示的実施形態を示し、デバイスは、まず、金属ストリップ及びプラスチックフィルムのそれぞれの引き出しリール19、20及び21を備える。プラスチックフィルムが引き出しリール20から引き出され、ストリップ誘導手段22を介して、第1のラミネートデバイス25のすぐ上流側に配置された予熱23に供給される。プラスチックフィルムの予熱のこの配置により達成され得る効果は、プラスチックフィルムが、特に正確に制御された温度で第1のラミネートステップに供され得るということである。
【0038】
金属ストリップは、引き出しリール19及び21から引き出され、ストリップ誘導手段22を介してデバイスの加熱ゾーン26を通して誘導され、複合シートと同時にラミネート温度まで加熱される。加熱ゾーン26から出た後、金属ストリップは、引き出しリール20からのプラスチックフィルムと共に、第1のラミネートデバイス25の第1のラミネートギャップ内に誘導され、そこで接続されてストリップ状複合シート32を形成する。このようにして、特に金属ストリップに対する追加的な予熱セクションが省略され得るため、複合シートを製造するためのデバイスの特にコンパクトな構成が達成される。第1のラミネートデバイス25における第1のラミネートステップ後、複合シートは、さらなるラミネートデバイス27の方向へ、加熱ゾーン26を通過する。第1の加熱ゾーン26の最後には、複合シートは、100℃から300℃の間にあるラミネート温度を有する。複合シート32は、再びラミネートされる。
【0039】
複合シートは、その後、例えば、複合シートをラミネート温度まで再加熱する第2の加熱ゾーンとして設計されるダブルベルトプレス28を通過する。第2の加熱ゾーン28の出力側のさらなるラミネートデバイス29は、さらなるラミネートステップを実行し、カバーシートとプラスチック層との間の接着性を増加させる。したがって、金属ストリップとプラスチック層との間の接着性を改善するために、複合シートの製造中、特に時間依存的でもある接着メカニズムが使用可能である。第3のラミネートデバイス29の出力側には、例えば、同様にダブルベルトプレスとして設計される冷却ゾーン30が提供され、前記冷却ゾーンは、ストリップを制御された様式で処理温度まで冷却し、したがって、ストリップ状複合シート32は、作業ステーション31において、例えばシートとして組み立てられてもよく、又はコイルの形態で巻回されてもよい。必要に応じて、第2の加熱ゾーン28及び第3のラミネートデバイス29は省略されてもよく、したがって、それらは図2において破線として示されている。
【0040】
ラミネートデバイス25、27、29において提供されるラミネートロールの温度は、好ましくは、特に金属カバーシート又は金属ストリップの温度に調節され、したがって、熱は、金属ストリップからラミネートロールの方向に輸送されない。このようにして、ラミネートプロセス中の金属ストリップとプラスチックフィルムとの間の温度差は小さく維持され、したがって、全体としてのラミネートプロセスがより制御される。例えば、第1、第2及び任意選択で第3のラミネートデバイスにおける3つのラミネートステップにより、製造速度を上昇させ、増加した処理速度を得ることが可能である。このようにして、少なくとも2つの金属カバーシートと、カバーシートの間に配置されたプラスチック層とを有する複合シートを経済的に製造することが可能である。
【0041】
図3は、デバイスのさらなる例示的実施形態を示し、デバイスは、まず、金属ストリップ及びプラスチックフィルムのそれぞれの引き出しリール33、34及び35を備える。金属ストリップ及びプラスチックフィルムは、まず、引き出しリール33及び34から引き出され、予熱手段36、37に供給される。ラミネートステップにおいて、1つの面上にラミネートされた少なくとも1つのプラスチックフィルムを有する金属ストリップを製造するために、予熱された金属ストリップ及び予熱されたプラスチックフィルムは、ラミネートギャップを備えるラミネートデバイス41に供給される。金属ストリップは、1つの面上にラミネートされた少なくとも1つのプラスチックフィルムと共に、プロセス方向において予熱手段38に供給される。さらなる金属ストリップが引き出しリール35から引き出され、金属ストリップがラミネートギャップを備えるラミネートデバイス42に供給される前に予熱手段39に供給され、この金属ストリップは、1つの面上にラミネートされた少なくとも1つのプラスチックフィルムを備える予熱された金属ストリップと共に、第1のラミネートステップにおいて複合シート45を製造するためにラミネートデバイス42内に導入される。加熱ゾーン40が、プロセス方向において第1のラミネートデバイス42の下流側に続き、その加熱ゾーンの出口において、第2のラミネートデバイス43が配置される。複合シート45は、好適な様式で、又はプロセスに特定の様式で、例えば100℃から300℃のラミネート温度まで再び加熱され、ラミネートデバイス43において再びラミネートされる。このようにして、金属ストリップとプラスチックフィルムとの間の接着性がさらに増加される。
【0042】
複合シートがラミネートデバイス43における第2のラミネートステップを通過した後、まだストリップ状の複合シートは、冷却ゾーン44において制御された様式で冷却され、例えばストリップから複合シートを切り出すさらなる処理ステーション(図示せず)に供給される。ストリップ状複合シートの巻回もまた考えられる。
図1
図2
図3