特許第6652574号(P6652574)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6652574電子モジュール抽出フィードバックシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6652574
(24)【登録日】2020年1月27日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】電子モジュール抽出フィードバックシステム
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/64 20060101AFI20200217BHJP
   H01R 9/22 20060101ALI20200217BHJP
【FI】
   H01R13/64
   H01R9/22
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-552952(P2017-552952)
(86)(22)【出願日】2016年4月8日
(65)【公表番号】特表2018-512716(P2018-512716A)
(43)【公表日】2018年5月17日
(86)【国際出願番号】US2016026637
(87)【国際公開番号】WO2016164722
(87)【国際公開日】20161013
【審査請求日】2017年12月5日
(31)【優先権主張番号】62/145,273
(32)【優先日】2015年4月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512073770
【氏名又は名称】フェニックス コンタクト ディベロップメント アンド マニュファクチャリング、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コレル、マイケル、アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】フライ、スコット、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ケファート、タロン、コー
(72)【発明者】
【氏名】マシューズ、デイヴィス
【審査官】 高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06478597(US,B1)
【文献】 特開2011−018646(JP,A)
【文献】 特開2002−124344(JP,A)
【文献】 特開2012−146557(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R13/56−13/72
H01R9/00−9/28
H05K7/14
G11B25/00−25/10
G11B33/00−33/08
G11B33/12−33/14
H05K5/00−5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースとの間でモジュールを着脱するためのアセンブリであって、当該アセンブリは、
ベースと、ベースに取り外し可能に取り付け可能なモジュールと、フィードバックシステムからなり、
前記ベースは剛性の壁からなり、前記モジュールは内部容積を画定するハウジングからなり、前記ハウジングは剛性の外壁からなり、ハウジング壁は前記ベースに対して前記モジュールを着脱する際にベース壁に対して相対的に移動可能であり、ベース壁およびハウジング壁は、第1の長手方向軸に沿って前記ベースに対して前記モジュールの前記相対的な動きを協働的に案内し、
前記フィードバックシステムはスプリングアームと溝からなり、当該スプリングアームは前記ベース壁及びハウジング壁の一方に取り付けられ、前記溝はベース壁及びハウジング壁の他方に設けられ、前記スプリングアームは、スプリングアームの中立状態から弾性的に撓むことができるように構成され、前記スプリングアームは、スプリングアームの端部に従動子を含み、前記ベース壁およびハウジング壁が前記ベースに対して前記モジュールの相対移動を案内しているとき、前記溝は前記第1の軸と平行である第2の長手方向軸に沿って延在し、前記溝は前記第2の軸に沿って延びる側壁によって画定されており、離間した第1及び第2のカムが前記側壁から前記溝内に延在し、
モジュール壁とベース壁がベースに対するモジュールの相対的な動きを案内しているときに、前記従動子は前記溝に受け入れられ、前記従動子は、モジュールをベースに取り付けるとき溝に対して挿入方向に移動し、モジュールをベースから取り外すとき溝に対して引き出し方向に移動し、
前記従動子は、取り付けられたモジュールをベースから取り外す際、第1のカムに対して逐次移動しそして次に第2のカムに対して移動し、各カムは、前記モジュールを前記ベースから取り外す際に前記スプリングアームをスプリングアームの中立状態から離れる方向に撓ませ、
前記従動子は、ベースにモジュールを取り付ける際、第2のカムに対して逐次移動しそして次に第1のカムに対して移動し、各カムは、前記モジュールを前記ベースに取り付ける際に前記スプリングアームをスプリングアームの中立状態から離れる方向に撓ませ、
前記第1のカムは、前記スプリングアームと協働して前記第1のカムを前記従動子が通過する動きに抵抗する第1の最大力を生成するように形作られ、そして前記第2のカムは、前記スプリングアームと協働して前記第2のカムを前記従動子が通過する動きに抵抗する、前記第1の最大力とは異なる第2の最大力を生成するように形作られており、
モジュールの着脱時の前記スプリングアームは、モジュールのベースに対する着脱中に、ベースに対するモジュールの相対的な位置の触覚的なフィードバックをオペレータに発生させる、アセンブリ。
【請求項2】
前記第1および第2のカムの各々は、前記カムの第1の側に第1のカム面を有し、前記カムの第2の側に第2のカム面を有し、第1のカム面は、モジュールをベースから取り外し中にスプリングアームの中立状態から離れるようにスプリングアームを偏向させ、第2のカム面は、モジュールをベースに取り付け中にスプリングアームの中立状態から離れるようにスプリングアームを偏向させ、各カムの第1及び第2のカム面は、互いに対称ではない、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記スプリングアームは、前記モジュールが前記ベースに完全に取り付けられたときに中立状態にある、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記ベースに対して前記モジュールの着脱時に前記従動子が前記第1のカムと前記第2のカムとの間に配置されたとき、前記スプリングアームは中立状態にある、請求項1記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記モジュールは第1の電気コネクタ半体からなり、前記ベースは第2の電気コネクタ半体からなり、前記第1及び第2の電気コネクタ半体は、当該第1の電気コネクタ半体と当該第2の電気コネクタ半体との間の電気的接続及び切断を行うために互いに取り外し可能に接続可能であり、前記第1の電気コネクタ半体および前記第2の電気コネクタ半体は、前記第1のカムと前記第2のカムとの間に従動子が配置されるとき、互いに電気的に接続されない、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項6】
2つのワークピースを互いに取り付けながら、オペレータ触覚フィードバックを提供するアセンブリであって、
第1のワークピースと、第2のワークピースと、当該2つのワークピースを互いに取り付ける際に、前記第1のワークピースと前記第2のワークピースとの相対位置のオペレータ・フィードバックを提供するフィードバック装置と、からなり、
各ワークピースは剛性の壁からなり、第1のワークピース壁は、前記第1のワークピースと前記第2のワークピースを互いに取り付けるときに第2のワークピース壁部分に沿って相対的に移動可能であり、第1のワークピースの壁および第2のワークピースの壁は、第1のワークピースと第2のワークピースを互いに取り付ける際に第2のワークピースに対して第1のワークピースの相対移動を協働的に案内するように構成されており、
前記フィードバック装置は、前記第1のワークピース壁の変形可能部分を形成するスプリングアームと、前記スプリングアームの端部の従動子と、前記第2のワークピース壁上の離間した第1及び第2のカムと、からなり、
前記従動子は、2つのワークピースを互いに取り付けた状態で、第1のカムさらに第2のカムに対して逐次移動し、
第1および第2のカムの各々は、前記従動子と協働して、ワークピースを互いに取り付ける間に前記従動子がカムに対して移動するときに、スプリングアームの中立状態からスプリングアームを徐々に変位させるように構成されており、このスプリングアームの変位により、前記第1および第2のカムのそれぞれを前記従動子が通過する動きに抵抗する最大力を生成し、それによって前記2つのワークピースを互いに取り付ける際に、前記2つのワークピースの互いに対する相対的な位置の触覚的なフィードバックをオペレータに発生させ、
前記第1のカムは、第1の最大力を生成するように形成され、前記第2のカムは、前記第1の最大力と異なる第2の最大力を生成するように形成され、これにより前記第1のカムによって生成される触覚フィードバックのレベルが、前記第2のカムによって生成される触覚フィードバックのレベルとは異なる、アセンブリ。
【請求項7】
前記第1および第2のカムは、前記従動子が前記第1のカムと前記第2のカムとの間にあるとき、前記第2のワークピースを前記第1のワークピースに対してデテント位置に維持するように、前記従動子と協働する、請求項6に記載のアセンブリ。
【請求項8】
2つのワークピースを互いに取り外しながらオペレータ触覚フィードバックを提供するアセンブリであって、
第1のワークピースと、第2のワークピースと、その2つのワークピースを互いに分離している間に、互いに対して前記第1のワークピースと前記第2のワークピースとの相対位置のオペレータ・フィードバックを提供するフィードバック装置と、からなり、
各ワークピースは壁を含み、第1のワークピースの壁は、前記第1のワークピースと前記第2のワークピースを互いに取り外すときに当該第2のワークピースの壁に沿って相対的に移動可能であり、前記第1のワークピースおよび第2のワークピースの壁は、第2のワークピースに対して第1のワークピースの相対移動を協働的に案内するように構成され、
前記フィードバック装置は、前記第1のワークピースの壁の一部を形成するスプリングアームと、前記スプリングアームの端部の従動子と、前記第2のワークピースの壁上の離間した第1及び第2のカムと、からなり、
前記従動子は、2つのワークピースを互いに取り外す際に第1のカムと第2のカムとに対して引き続いて移動し、
前記第1および第2のカムの各々は、前記従動子と協働して、その2つのワークピースを互いに対して取り外す際に前記従動子が前記カムに対して移動するときに、前記スプリングアームをスプリングアームの中立状態から離れて次第に撓ませるように構成され、スプリングアームの撓みは、前記第1および第2のカムのそれぞれを前記従動子が通過する動きに抵抗する最大力を生成し、それによってその2つのワークピースを互いに取り外している際に当該2つのワークピースの相対的な位置の触覚フィードバックをオペレータに生成し、
第1のカムは、第1の最大力を生成するように形成され、第2のカムは、前記第1の最大力と異なる第2の最大力を生成するように形成され、これにより前記第1のカムによって生成される触覚フィードバックのレベルが、前記第2のカムによって生成される触覚フィードバックのレベルとは異なる、アセンブリ。
【請求項9】
前記第1のワークピースと第2のワークピースを互いから取り外す際に、前記第1のカムは、前記スプリングアームを第1のレートに変位させ、そして前記第2のカムは、前記スプリングアームを第1のレートと異なる第1のレートに変位させる、請求項8に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記第1のワークピースは第1の電気コネクタ半体からなり、前記第2の電気コネクタは第2の電気コネクタ半体からなり、前記第1の電気コネクタ半体と前記第2の電気コネクタ半体との間の電気的接続及び切断を行うために、第1及び第2の電気コネクタ半体は、互いに取り外し可能に機械的に接続可能であり、前記第1及び第2の電気コネクタ半体は、前記第1のワークピースと前記第2のワークピースとの取り外しの際に前記従動子が第1のカムと第2のカムとの間に位置するとき、互いに電気的に接続されていない、請求項8に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、代理人ドケット番号14−1319−P3で2015年4月9日に出願された”UIO BiModal Extraction Module(UIOバイモーダル抽出モジュール)”という名称の米国仮特許出願62/145、273号に優先権を主張し、この優先権の出願は、本明細書に完全に参照して取り込まれる。
【0002】
本開示は、電子モジュールをベースに取り付け又はベースから取り外すための電子モジュールシステムに関し、特に、ベースとの間で前記モジュールを着脱する際に、オペレータにモジュールとベースとの間の分離状態を触覚的にフィードバックする、電子機器モジュールシステムに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
プロセス制御システムに使用するための出願人のデータ信号入出力システムは、PCT国際公開WO2015187687A1に開示されている。この入出力システムは、入出力モジュールをベースに取り付けるための多数の電気コネクタを有するベースを含む。各入出力モジュールは、ベースの電気コネクタとの電気的接続を形成する整合(matching)電気コネクタを有する。
【0004】
ベースは、ベースとの間でモジュールを着脱するのを助ける剛性ガイド壁を含む。各モジュールは、モジュールがベースに着脱されている間に、ガイド壁に沿って移動する剛性のハウジング壁を含む。
【0005】
モジュールを診断目的のためにモジュールをベースから一時的に取り外してベースから電気的に切り離すことはオペレータにとってしばしば有用である。モジュールがまだガイド壁にある間に、モジュールがベースから電気的に切断されたことを示すオペレータのベースからモジュールの取り外し触覚フィードバックをオペレータに提供することが有用である。また、モジュールがベースから離れるさらなる動きによってモジュールがベースから完全に分離するであろう触覚フィードバックをオペレータに提供することも有用である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1のワークピースまたはモジュールを第2のワークピースまたはベースに着脱する際に使用するためのフィードバックシステムであって、2つのワークピース間の分離の状態についてオペレータに触覚フィードバックシステムを提供する。
【0007】
開示されたフィードバックシステムは、第1のワークピースおよび第2のワークピースを含むアセンブリの一部を形成する。各ワークピースは剛性の壁を含み、第1および第2のワークピースを互いに着脱する際に、第1のワークピースの壁部は、第2のワークピースの壁部に沿って相対的に移動可能である。第1及び第2のワークピースの壁は、その2つのワークピースの着脱中に、ベースに対するモジュールの相対的な動きを協働的に案内するように構成されている。
【0008】
フィードバックシステムは、第1のワークピース壁の変形可能部分を形成するスプリングアームと、そのスプリングアームの端部にある従動子(フォロワー)(follower)と、第2のワークピース上の離間した第1及び第2のカムと、を含む。
【0009】
従動子は、2つのワークピースを互いに着脱する間に、これらのカムに対して逐次移動する。
【0010】
第1および第2のカムの各々は、従動子と協働して、2つのワークピースの着脱中に従動子がカムに対して移動する際にスプリングアームの中立状態から離れるようにスプリングアームを徐々に変位させるように構成されており、このスプリングアームの変位によって、着脱時に2つのワークピースの互いに対する相対的な位置のオペレータへの触覚的なフィードバックを発生させるように構成されている。
【0011】
第1の実施形態では、第1のカムは、スプリングアームを中立状態から離れた第1の最大距離に撓ませるように成形され、第2のカムは、スプリングアームを中立状態から第2の最大距離に撓ませるように形成されており、第1の最大距離は第2の最大距離から異なっており、これによって、第1のカムによって生成される触覚フィードバックのレベルが、第2のカムによって生成される触覚フィードバックのレベルとは異なる。
【0012】
第2の実施形態では、複数のカムが、第2のワークピース壁に形成された溝内に配置される。従動子は、カムに係合して触覚フィードバックを生成するために、2つのワークピースの着脱中に溝内に受け入れられる。
【0013】
可能な実施形態では、フィードバックシステムによって生成された触覚フィードバックは、モジュールがベースに電気的に接続されるようになったか、またはモジュールがベースから電気的に切断されるようになったかを示す。
【0014】
本開示の他の目的および特徴は、この記述が進行し、1つ以上の例示的な実施形態を記述するときに明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】ベース及びベースに取り付けられた多数の電子モジュールの斜視図である。
図2】ベース及びベースに取り付けられたある一つのモジュールを通して得られた垂直断面図である。
図3図2のハイライト”A”の拡大図であり、ベースとの間でモジュールの着脱中にオペレータ・フィードバックを提供するフィードバックシステムを示す。
図4図3と同様であるが、モジュールがベースに取り付けられたときの溝内の従動子の位置を示している。
図5図4と同様であるが、モジュールがベースから部分的に取り外されたときに、従動子が第1のカムと第2のカムとの間に位置する際のベースに対するモジュールのデテント(detent:戻り止め、移動止め)位置を示す。
図6】モジュールをベースから取り外す際のベースに対するモジュール変位の関数としての引き抜き力のチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1および図2は、複数の第2のワークピースまたはモジュール(12)を取り外し可能に取り付ける第1のワークピースまたはベース(10)を示す。各モジュール(12)は、電子コンポーネントを収容する内部チャンバを画定するハウジング(13)を含む。ベース(10)および各モジュール(12)はまた、ベースに対するモジュール(12)の着脱中に、ベース(10)に対するモジュール(12)の相対位置のオペレータ触覚フィードバックを提供するそれぞれのフィードバックシステム(14)を協働的に規定する。
【0017】
ベース(10)は、モジュールを着脱するためのモジュールガイド(16)を含む。モジュールガイド(16)は、モジュール(12)をベース(10)から着脱する際に、モジュール(12)の剛性のハウジング壁(20)と協働するフラットな剛性の平面壁(18)を含む。ハウジング壁(20)は、モジュール(12)をベース(10)に着脱する際に、ベース壁(18)の剛性部分に対して移動する。
【0018】
ベース壁(18)とモジュール壁(20)は、互いに接触し、そしてモジュール(12)の着脱中に、ベース壁(18)と平行な平面に沿って、またはモジュール壁(20)と平行な移動軸(21)に沿って、ベース(10)に対するモジュール(12)の相対移動を協働的に案内するように構成されている。モジュールをベースから取り外す際に、モジュールは、軸(21)に沿って取り外し方向に(図2に見られるように、図の上部に向かって)ベース(10)に対して移動する。モジュールをベースに取り付ける際に、軸(21)に沿って取り付け方向に(図2に見られるように、図面の底部に向かって)ベース(10)に対して移動する。
【0019】
各モジュール(12)はまた、モジュール(12)がベース(10)に旋回可能に取り付けられた細長いラッチ(22)を有する。モジュール(12)がベース(10)に取り付けられた時、ラッチ(22)は、図2に示すラッチ位置に回動し、ベース(10)の止め部材又は棚(レッジ)(24)と係合して、ベース(10)からモジュール(12)の取り外しに抵抗する。
【0020】
フィードバックシステム(14)は、ベース(10)とモジュール(12)の両方の構造を含み、これらは協働して、ベース(10)に対するモジュール(12)の着脱中にオペレータ・フィードバックを生成する。図2及び3は、フィードバックシステム(14)を示す。
【0021】
フィードバックシステム(14)は、モジュールガイド(16)の一体部分として成形されたスプリングアーム(26)を含む。ベース壁(18)は、ベース(10)のモジュール容量と同じ数のスプリングアームによって部分的に形成されている。例えば、図示されたベース(10)は8個のモジュール12を搭載しているので、ベース(10)は8個の同様のスプリングアーム(26)を含む。各スプリングアームはベース(10)に取り付けられたそれぞれのモジュール(12)に関連付けられている。スプリングアーム(26)に隣接するベース壁(18)の部分(27)は剛性の壁部である。
【0022】
従動子(28)は、各スプリングアーム(26e)の自由端に形成されている。従動子(28)は、スプリングアームの自由端から突出し、スプリングアームに関連するモジュール(12)の着脱中にモジュール壁(20)に向かって延びる。従動子は、従動子の両側に第1のプロフィール(29a)及び第2のプロフィール(29b)を有するカムプロフィールを含む。各プロフィール(29a、29b)は、移動軸(21)又はベース壁(18)の平面に対して鋭角に傾斜した略平坦な面又はランプ(傾斜部、傾斜路)として形成されている。図示されている実施形態では、ランプ(29a、29b)は、移動軸(21)に対して約45度の角度で傾斜している。
【0023】
溝(30)は、モジュール壁(20)に形成され、モジュール壁(20)の下端(34)にある開放端(32)から上端へと延びる。溝(30)は、モジュールの着脱時に移動軸と平行でモジュール壁(20)に平行な軸に沿って延びる側壁(36)によって画定される。側壁(36)は、溝(30)の上端を規定する略平坦な端壁(37)を画定する。端壁(37)は、移動軸(21)に対して約45度の角度で傾斜している。
【0024】
第1カム(38)及び第1カムから離間した第2カム(40)は、側壁(36)から溝(30)内に延びている。各カム(38,40)は、以下に詳細に説明するように、モジュール(12)の着脱中に従動子(28)をカムする(偏向させる)夫々のカムプロフィールを有する。カムプロフィールの形状は、カムのデザインで知られているような、移動軸(21)に沿った相対的なモジュール変位に対する従動子の変位を規定する。従動子(28)をカムすることで、スプリングアーム(26)を中立状態から離れるようにそらし、以下でより詳細に説明するように、オペレータ触覚フィードバックを生成する。
【0025】
図示された実施形態における各カム(38,40)のカムプロフィールは、カムの第1の側に夫々の第1の平面またはランプ(42)と、反対側の、カムの第2の側に夫々の第2の平面またはランプ(44)を含む。第1のカム(38)上のランプ(42,44)の参照番号は、第1のカム(38)に付随する文字”a”を有し、それらが第1のカム(38)に関連付けられていることを示す。第2のカム(40)上のランプ(42,44)の参照番号は、第2のカム(40)に付随する文字”b”を有し、それらが第2のカム(40)に関連付けられていることを示す。
【0026】
ランプ(42,44)は、各々が移動軸(21)又はモジュール壁(20)に対して傾斜したほぼ平坦な表面である。図示された実施形態では、ランプ(42a)は移動軸(21)に対して約25度の角度で傾斜し、ランプ(44a)は移動軸(21)に対して約45度の角度で傾斜している。ランプ(42b)は、移動軸(21)に対して約45度の角度で傾斜し、ランプ(44b)は、移動軸(21)に対して約25度の角度で傾斜している。
【0027】
ランプ(42,44)は、ベース(10)からモジュール(12)が係合または離脱中に従動子(28)を変位させ、オペレータ・フィードバックを提供する。各ランプ(42,44)の勾配は、移動軸(21)に沿ったモジュールの移動に対する従動子の変位を確立する。側壁(36)の平坦な底壁(46)の上方の各ランプ(42,44)の最大高さは、ランプによって発生する従動子の最大変位を確立する。
【0028】
図2及び図3は、ベース10上に完全に取り付けられ、着座したモジュール(12)を示している。モジュール壁(20)は、スプリングアーム(26)に対向し、スプリングアームの従動子(28)は溝(30)に受け入れられている。従動子(28)は、溝(30)の上端に隣接して位置し、カム(38,40)から離間している。従動子(28)と溝の底部(46)との間には小さな隙間(ギャップ)がある。スプリングアーム(26)は、中立状態、すなわち、溝内のカムによってカムされていない(偏向されていない)状態にある。図示された実施形態では、スプリングアーム(26)は、ビーム曲げにさらされていないストレスのない状態にある。他の実施形態では、スプリングアーム(26)は、溝の底部に係合し、中立状態にありながらわずかに曲がってもよい。
【0029】
モジュールがベースにラッチされている間、モジュールラッチ(22)は、ラッチされた位置にあり、モジュールのスプリングアーム(26)に対して押圧し、そしてモジュールのスプリングアームが変位してモジュールから離れるのを抵抗するに十分な長さを有する。
【0030】
次に、ベース(10)からのモジュール(12)の取り外しについて説明する。モジュールを取り外す前に、モジュールラッチ(22)がストッパ(24)から解放されてモジュール(12)をベース(10)からラッチ解除する。これはまた、ラッチ(22)をスプリングアーム(26)から離れるように動かし、ラッチがスプリングアームのカム作用に抵抗しないようにする。突起(28)は、図4に示すように、端壁(37)に隣接する溝30にある。
【0031】
モジュール(12)は次にオペレータによって把持され、抽出方向に上方に引かれて、軸(21)に沿ったモジュール(12)の相対的な移動を始める。第1カム(38)の第1ランプ(42)が突起(28)に係合するまで、突起(28)は溝(30)にあって、スプリングアーム(26)は中立位置にある。モジュール壁(18)はベース壁(20)に対して移動する。
【0032】
従動子(28)はランプ(42a)を上に移動する。ランプ(42a)は、従動子(28)を溝床(46)から離間するようにカムし(偏向させ)、スプリングアーム(26)の弾性撓みまたは変形を引き起こす。ランプ(42a)は、従動子がランプ(42a)に沿って移動するときにスプリングアームを徐々に撓ませる、すなわち、スプリングアームがランプに沿って移動すると、中立位置からのスプリングアームの変位が増加する。オペレータは、抽出方向におけるモジュール(12)の移動に対して抵抗が増加することがわかり、それにより、軸(26)に沿ったモジュール(12)の相対的な位置とベース(10)に対するモジュール(12)の分離状態の触覚的なフィードバックを受けることができる。
【0033】
第1のランプ(42a)に乗り上がった後に、従動子(28)は、第1のカム(38)の第2のランプ(44a)に乗り下げ、カム(38、40)の間に位置するようになる。図5を参照する。第1のランプ(42a)が従動子(28)を通過した後、スプリングアーム(26)はその中立状態に復帰し始める。オペレータは、抽出方向において、従動子が第2のランプ(44a)に乗り下がるにつれ、モジュール(12)の動きに対する抵抗の減少を知覚し、ベース(10)に対するモジュール(12)の分離状態及び軸(21)に沿ったモジュール(12)の相対的な位置についてのさらなる触覚的なフィードバックをオペレータに提供する。モジュール壁(20)は、ベース壁(18)に対して留まり、ベース壁(18)から完全に分離されていない。
【0034】
第2のカム(40)の第1のランプ(42b)が突起(28)と係合して突起(28)にカム作用を開始するまで、突起(28)は溝(30)に留まり、スプリングアーム(28)は中立状態にある。ランプ(42b)は、従動子がランプ(42b)に沿って移動するときにスプリングアームを次第に偏向させる。オペレータは、抽出方向におけるモジュール(12)の移動に対する抵抗の増加を知覚し、それにより、ベース(10)に対するモジュール(12)の分離状態と軸(26)に沿ったモジュール(12)の相対的な位置についての触覚的なフィードバックが提供される。
【0035】
ランプ(42b)に乗り上がった後、従動子(28)は、第2のカム(40)の第2のランプ(44b)に乗り下がる。オペレータは、抽出方向におけるモジュール(42)の移動への抵抗の減少を知覚し、ベース(10)に対するモジュール(12)の分離状態と軸(21)に沿ったモジュール(12)の相対的な位置についての触覚的なフィードバックがさらに提供される。
【0036】
軸(21)に沿って抽出方向へのモジュール(12)の継続的な移動により、突起(28)が溝(30)の下端から出てくるようにする。モジュール壁(20)は、ベース壁(18)を越えて移動し、ベース壁との接触を失う。モジュール(12)は、ベース(10)から完全に分離する。
【0037】
図示されたベース(10)は、多数の電気コネクタ半体(48)を含み(図2を参照)、この電気コネクタ半体(48)は、モジュールがベースに取り付けられたときにモジュール(12)によって担持されるそれぞれの対応する電気コネクタ半体(50)との電気的接続を形成する。電気コネクタ半体は、従来のものであり、コネクタ半体間の電気的接続を形成するための整合ピン(matching pin)やソケットコネクタを備えている。第1の電気コネクタ半体(48)と第2の電気コネクタ半体(50)とは、電気コネクタ半体間の電気的接続を行ったり切断したりするために、機械的に互いに取り外し可能に接続可能である。モジュール(12)をベース(10)に取り付ける際に、コネクタ半体間の機械的および電気的接続を形成するために、ベース壁(18)およびモジュール壁(20)は、コネクタ半体を互いに整列させて配置する。
【0038】
図示されたフィードバックシステム(14)は、溝(30)に沿ってカム(38,40)を位置決めし、ベース(10)からのモジュール(12)の取り外し中にオペレータ・フィードバックを提供するようにオペレータに次のことを知らせる:
(a)電気コネクタ半体(48,50)は電気的に分離されており、モジュール(12)はもはやベース(10)に電気的に接続されていない;
(b)モジュール(12)は、ちょうどベース(10)から離脱して係合から解かれる。
【0039】
また、図示のフィードバックシステム(14)のカム(38,40)は、図5に示すように、従動子(28)がカム(38,40)の間に位置するときに従動子(28)と協働し、電気的に切断されたモジュール(12)をベース(10)に対してデテント(戻り止め)位置に保持しおよび維持することができる。
【0040】
図6は、ベースに対してモジュールの変位又は移動の関数としてモジュール(12)をベース(10)から取り外すのに必要な典型的な引き出し力のチャート(52)である。図3は、チャート(52)の上部に沿って再生され、モジュール変位の関数として溝(30)に沿った従動子(28)の相対位置を示している。
【0041】
最初に、モジュール(12)は、コネクタ半体(48、50)が互いに機械的且つ電気的に接続された状態でベース(10)に取り付けられる。前もって記載し、図2で示されているように、従動子(28)は、溝(30)の上端に隣接して位置し、カム(38,40)から離間している。
【0042】
最初の引き出し力は、電気コネクタ半体(48,50)を分離するのに必要な力によって確立される、通常、コネクタ半体を分離するために必要とされる力は、コネクタ半体によって把持されるピンやソケット接続の数の関数である。チャート(52)は、4ピンコネクタおよび11ピンコネクタのための典型的な引き出し力を示す。図示された実施形態では、コネクタの半分を分離するために、約3.5ミリメートルの変位が必要である。
【0043】
コネクタ半体(48,50)が分離した後、必要な抽出(又は引き出し)力は著しく低下する。従動子(28)は、まだ第1のカム(38)には到達しておらず、第1のカム(38)から近接している。
【0044】
モジュール(12)の継続した変位は、従動子(28)を第1のカムに係合させ、ランプ(42a)に上がって移動する。ランプ(42a)は、従動子(28)のランプ(傾斜面)(29b)よりも小さい角度で傾斜しているために、従動子(28)は、従動子がランプ上を移動する際にランプ(29b)と実質的に線接触する。引き出し力は、従動子がランプ(42a)の上を移動するにつれ、約2mmの変位の間に増加し、コネクタ半体を切り離すのに必要な力より大きい引き出し力でピークとなる。
【0045】
従動子(28)がランプ(42a)を通過してランプ(44a)に係合した後、従動子(28)がランプ(44a)を下ってから第1のカム(38)を通過するにつれ、引き出し力は急速に低下する。
【0046】
従動子(28)がランプ(42a)を通過して移動する際の引き出し力の比較的突然のまたは急な低下は、電気コネクタ半体(48,50)が電気的にお互いから切断されたフィードバックをオペレータに提供する。モジュールのハウジング壁(20)は、ベース壁(18)に対して留まっている。
【0047】
引き出し力の低下はまた、モジュール12がベース10に対してデテント位置に達したことをオペレータに知らせる。図5に示すように、図示された実施形態におけるカム従動子(28)は、第1のカム(38)と第2のカム(40)との間に密接して受け入れられている。モジュール(12)の、デテント位置に対する挿入方向または引き出し方向の相対的な動きは、カム(38,40)によって抵抗を受ける。しばしば診断目的のために電気コネクタ半体を一時的に切り離すことは有用である。モジュール(12)をデテント位置に維持することにより、モジュールがベースから完全に分離されることを必要とせずに、オペレータは電気コネクタ半体が切り離されたことを知ることができる。
【0048】
図4に示すデテント位置からの抽出方向へのモジュール(12)の引き続く変位によって、突起ランプ(29b)は第2のカム(40)のランプ(42b)に対して係合する。ランプ(29b,42b)は、従動子ランプ(29b)がランプ(42b)と実質的に平面接触するように、互いに実質的に平行である。ランプ(42a)と比較してランプ(42b)の平面接触及び急勾配の傾斜は、チャート(52)に見られるように従動子を第2のカム(40)を通過させるのに必要な最大引き抜き力を増加させる。この力の増大は、モジュール(12)がベース(10)から完全に外れるようになっているというフィードバックをオペレータに提供する。
【0049】
次に、ベース(10)へのモジュール(12)の取り付けについて説明する。
【0050】
モジュール(12)をベース(10)に取り付ける際に、従動子(28)を第2のカム(40)に通過させさらに第1のカム(38)に通過させて移動させるためのモジュール(12)に加えられる挿入力は、従動子(28)を第1のカム(38)に通過させさらに第2のカム(40)に通過させるように移動させるのに必要な引き抜き力を本質的に反映する。ランプ(44b)の傾斜は、従動子(28)を第2のカム(40)に通過させて移動させるのに必要な最大の挿入力が、カム(40)を通過させる対応する最大の引き出し力よりも小さくなるように、ランプ(42b)の傾斜よりも小さい。ランプ(44a)の傾斜は、従動子(28)を第1のカム(38)に通過させて移動させるのに必要な最大の挿入力が、第1のカム(38)を通過させる対応する最大の引き出し力よりも大きくなるように、ランプ(42a)の傾斜よりも大きい。
【0051】
図示された実施形態は、ベースと電気的に接続する電子モジュールを備えたフィードバックシステム(14)の使用を示す。第1のワークピースに対して第2のワークピースを着脱する際に、第2のワークピースを第1のワークピースに取り付け、または第1のワークピースから取り外し中のワークピース間の分離状態をオペレータに知らせるオペレータへの触覚フィードバックが望ましく、他の実施形態におけるフィードバックシステム(14)を使用することができる。
【0052】
第1および第2のワークピースは、互いに電気的に接続可能である必要はない。
【0053】
さらに、フィードバックシステム(14)は、他のフィードバック機構とは独立して分離状態の触覚ユーザ・フィードバックを提供する。フィードバックシステム(14)は、コネクタ半体(48,50)によって担持されるピンおよびソケットの数にかかわらず、繰り返し可能なユーザ・フィードバックを提供する。フィードバックシステム(14)はまた、モジュールハウジング(13)をベース(10)に取り付けるために、電気コネクタおよび他の取り付け方法が使用されていない場合であっても、触覚ユーザ・フィードバックを提供する。
【0054】
図示されたモジュールラッチ(22)は、モジュールがベースにラッチされたときにスプリングアーム(26)に接触するように設計されている。他の従来のラッチ設計は、フィードバックシステム(14)の構成要素と係合または相互作用しない代替の実施形態で提供することができる。
【0055】
異なる実施形態では、第1および第2のカム(38,40)の各々のカム面は、図2に示すように、軸(21)に対して15度と60度の角度の間で傾斜し、ベース(10)に対するモジュール(12)の着脱に過度に影響を与えることなく、触覚的なフィードバックを生成する。
【0056】
本開示は、詳細に説明された1つまたは複数の実施形態を含んでいるが、その1つまたは複数の実施形態は、各々が修正可能であり、ここで示された正確な詳述に本開示の範囲を限定するものではなく、当業者にとって自明である変更も含むことが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6