(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の画分の成分は、糖、タンパク質、タンニン、フェノール、芳香族分子、味覚に寄与する分子、酸、微粒子および油からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
前記第1の画分及び前記第3の画分の成分は、ミネラル、ビタミン、水、抗酸化物質、植物栄養素、植物化学物質、芳香族分子、および味覚に寄与する分子からなる群より選択される、請求項1または請求項2に記載の方法。
前記第1のサイズ排除精製手段または第2のサイズ排除精製手段は、ナノ濾過、逆浸透、限外濾過およびクロスフロー濾過からなる群より選択される、請求項3に記載の方法。
前記製品またはプロセス中間体を活性炭またはゼオライト、あるいはAmberchrom(登録商標)樹脂または機能的に等価な樹脂に曝露する工程を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【背景技術】
【0003】
植物材料は摂取されると健康効果を提供することが知られている。果実および野菜は植物栄養素、抗酸化物質、栄養補助物質、ミネラルおよびビタミンなどを含む。多くの研究により、慢性疾患、例えば心疾患、脳卒中、癌および高血圧に対する保護が証明されている。
【0004】
植物材料において多くの型の植物栄養素の型が見出されており、アルカロイド、ベタレイン、カロテノイド、クロロフィルおよびクロロフィリン、フラバノイド、フラボノリガン(flavonoligan)、イソチオシアネート、モノテルペン、有機スルフィド、フェノール化合物、サパニン(sapanin)およびステロールが挙げられる。
【0005】
植物材料はまた、水溶性ビタミン、例えばビタミンC、B1、B2、ナイアシン、B6、葉酸、B12、ビオチンおよびパントテン酸を含む。水溶性ビタミンは貯蔵されず、直ちに尿中に排出される。そのため、ヒトは食事における連続供給を要求する。水溶性ビタミンは多くの植物材料中で得られるが、加熱、空気、アルカリまたは酸性条件および光への曝露の結果として容易に破壊される。
【0006】
8つの水溶性ビタミンはB複合体群として知られている:チアミン(ビタミンB
1)、リボフラビン(ビタミンB
2)、ナイアシン、ビタミンB
6、葉酸、ビタミンB
12、ビオチンおよびパントテン酸。これらのビタミンは植物材料中に広く分布している。それらの作用は身体の多くの部分で行使され、食物からのエネルギーの抽出に関与する補酵素として機能する。それらはまた、食欲、視力、皮膚、神経系および赤血球形成にとって重要である。
【0007】
ビタミンCは、細胞統合性を維持するのを助け、創傷治癒、骨および歯形成を助け、血管壁を強化し、免疫系の機能に不可欠であり、鉄の吸収および利用を改善する。このビタミンはまた、栄養疾患、例えば壊血病の予防を助ける。ビタミンCはまた、抗酸化物質として機能し、フリーラジカルスカベンジャーとしてビタミンEと共に働く。研究により、ビタミンCはある一定の癌、心疾患および白内障のリスクを低減させ得ることが示唆される。ビタミンCは体内では製造されず、常に摂取されなければならない。身体はビタミンCを常に必要とするが、その貯蔵能力は限られている。
【0008】
上記から、植物性飲料は健康に有益であることが明らかである。しかしながら、果実または野菜飲料の摂取に関連する健康に悪い結果がある。例えば、そのような飲料中の全糖量(グルコース、果糖およびスクロース)は、糖負荷に比例する迅速なインスリンまたは糖血症応答を誘発する。最適な健康のためには、炭水化物は主に低GI食物から摂取されることが推奨される。飲料、例えばオレンジおよびパイナップルに由来するものは大量の単糖類を含み、そのため、比較的高い糖血症指数を示す。
【0009】
一般的な医学的状態、例えば糖尿病およびメタボリックシンドロームは糖感受性であり、それらの糖量に基づく食物の選択による、最低糖摂取により管理される。さらに、それらのジュースを含む高または中GI植物材料の摂取は、糖のカロリー寄与の結果として体重増加および肥満と関連していた。
【0010】
健康にとって有益ではあるが、果実および野菜の摂取は不都合であり、または問題のある場合もある。例えば、固体形態では、果実および野菜は、とりわけ子供にとっては困難または不都合となり得る。野菜は調理して、摂取を促進することができるが、、これは熱に不安定なビタミンを破壊する可能性がある。
【0011】
果実および野菜はどちらも、粉砕または液化し、容易に摂取される飲料を形成させることができる。しかしながら、例えば、浮遊固体は飲料を濁らせ、負の感覚受容性および美的特性を提供する可能性があるという問題がある。さらに、野菜および果実ジュースは審美的に不愉快である可能性がある。貯蔵中、様々な成分が沈殿する可能性がある。また、貯蔵中、いくらかの成分は酸化し、変化、望ましくない呈色、味覚および芳香への変化を提供する可能性がある。
【0012】
本発明の一態様は、先行技術における問題を克服または改善し、改善された特性、または当技術分野で知られているものとは別の特性を有する植物性飲料を提供することである。
【0013】
文書、作用、材料、装置、物品などの記載は、本発明のための背景を提供する目的だけのために、この明細書に含まれる。本出願の各特許請求の優先日の前に存在するからといって、これらの事柄のいずれかまたは全ては先行技術の基礎の一部を形成した、または本発明に関連する分野における共通の一般的知識であったということは示唆されず、表されない。
【発明を実施するための形態】
【0022】
この記載を考慮した後、様々な他の実施形態および他の適用において発明がどのように実施されるかが当業者には明らかとなるであろう。しかしながら、本発明の様々な実施形態が本明細書で記載されるが、これらの実施形態は例として提示されるものにすぎず、制限するものではないことが理解される。そのようなものとして、様々な他の実施形態のこの詳細な説明は、本発明の範囲または幅を制限するものと解釈されるべきではない。さらに、利点または他の態様の記述は、特定の例示的な実施形態に当てはまるが、特許請求の範囲によりカバーされる全ての実施形態に必ずしも当てはまらない。
【0023】
別段の意図が示されない限り、発明の好ましいまたは他の形態として提示される特徴は開示される発明のいずれかにおいて、単独で、または互いの任意の組み合わせで存在することができる。
【0024】
この明細書の説明および特許請求の範囲を通して「含む」という単語およびその単語のバリエーション、例えば「含んでいる」および「含み」は、他の添加物、成分、整数または工程を排除することを意図しない。
【0025】
第1の態様では本発明は植物由来飲料製品またはプロセス中間体を調製するための方法を提供し、この方法は、植物材料の粉砕または液化抽出物を提供する工程と、抽出物を精製手段に曝露し、飲料製品またはそのプロセス中間体を提供する工程であって、精製手段は望ましい成分から望ましくない成分を少なくとも部分的に分離することができる、工程とを含む。
【0026】
出願人は、選択的に様々な成分を除去しながら、他を残すように、精製方法を植物材料に適用することができることを提案する。これにより、カスタム植物抽出物飲料の調製が可能になる。
【0027】
本明細書では、「飲料製品」という用語は、動物摂取に好適な任意の飲み物、例えば実質的に純粋な水製品を含むことを意図する。
【0028】
当然のことながら、望ましい成分および望ましくない成分の定義は、検討中の飲料製品の1つ以上の特性に依存する。例えば、飲料製品が低減された糖のレベルを有するが、健康に有益な成分を保持することを意図する場合、グルコースおよび果糖は望ましくない成分であるが、ビタミンBは望ましい成分となる。所望の飲料製品によって、所定の分子は望ましく、および望ましくないものとなり得ることは明らかであろう。
【0029】
発明のある一定の実施形態では、望ましくない成分は糖(グルコースまたは果糖またはスクロースを含む)、タンパク質、タンニン、フェノール、芳香族分子、味覚または芳香に寄与する分子、酸、微粒子および油からなる群より選択される。
【0030】
発明のある一定の実施形態では、望ましい成分はミネラル、ビタミン、水、抗酸化物質、植物栄養素、植物化学物質、芳香族分子、および味覚に寄与する分子からなる群より選択される。
【0031】
本発明のある一定の実施形態は、オーストラリア特許第2010101445号において記載されるもの(純水に極めて近い果実に由来する飲料を提供する)を含む先行技術の方法とは区別される。これらの先行技術飲料は、事実上味覚、芳香、糖類、ビタミンを欠いており、ごくわずかの量の植物由来材料しか含まない。
【0032】
対照的に、本方法により生成された飲料製品は、制御されたレベルの様々な植物由来成分、例えばミネラル、ビタミン、糖、色、味覚、芳香、植物栄養素などを示す。この飲料は、基本の果実または野菜ジュースの健康効果の多くを摂取し、保持するのに良い。
【0033】
方法の1つの実施形態では、精製手段はサイズ排除精製手段である。出願人は組成の観点から、サイズに基づく方法を用いて正確に制御することができるカスタマイズされた植物性飲料を生成することができることを提案する。これは可能な限り多くの成分を除去する、およびまた、それらの成分を最大レベルまで除去する意図のみを持って前に使用されたサイズ排除方法の先行技術使用とは異なる。
【0034】
サイズ排除精製手段は、好ましくはナノ濾過、逆浸透、限外濾過、およびクロスフロー濾過ならびにLiqui−cel膜コンタクタからなる群より選択される。
【0035】
好ましくは、サイズ排除手段はナノ濾過である。「デッドエンド」ナノ濾過技術はいくつかの適用において使用可能であるが、クロスフロー(接線流としても知られている)技術が好ましい。ナノ濾過は半透膜による、より大きなサイズの溶質を水溶液から分離するための圧力駆動プロセスである。それは、典型的には低い〜中程度に高い圧力(約50−450psig)プロセスであり、この場合、一価イオンは膜を自由に通過するが高電荷の、多価塩および低分子量有機物はずっと大きな程度まで除去されるであろう。
【0036】
理論により制限されることを望まないが、クロスフロー膜濾過は濃度分極およびゲル層の効果を制御する。これは、最も迅速な、よって経済的な、連続膜濾過を提供する。プロセスはプロセス溶液流を膜表面に沿って加圧下に置くことにより実施される。クロスフロー膜濾過は高いクロスフロー速度を使用して透過を強化し、膜汚染を低減させる。保持された溶質(例えば溶解塩)は流れるプロセスストリームと共に出て行き、膜表面に蓄積しない。
【0037】
液化植物材料は直ちに膜を汚す可能性があり、これにより、プロセスは不経済なものとなり、さらには技術的に不可能なものとなる。
【0038】
膜の選択における目標は、分画分子量(MWCO)、膜組成、透過性、および除去特性、すなわち、特定の分子を保持するが、塩および他の、一般により小さなまたは逆電荷の分子を通過させる膜の総能力を最適化する(特定の適用のために)ことである。成分iのパーセント保持(Ri)は、式Ri=(1−Cip/Cir)x100%により与えられ、式中、Cipは透過物中の成分iの濃度であり、Cirは残余分中の成分iの濃度であり、どちらも重量パーセントで表される。成分のパーセント保持はまた、保持特性または膜除去係数とも呼ばれる。膜は残余分(通過しない物質)および等価物(通過する物質)の両方を有するであろう。
【0039】
有効な分離のために、分離が要求される化合物に対する除去率に比べ、対象となる成分要素に対して高い除去率を有する膜が選択される。膜が第2の化合物に比べ第1の化合物に対し高い除去率を有する場合、膜を通過する透過物溶液中の第1の化合物の濃度は、第2の化合物のものに比べ減少する。反対に、残余分中では、第2の化合物の濃度に比べ第1の化合物の濃度が増加する。膜が化合物を除去しない場合、透過物および除去部分の両方中の化合物の濃度は、供給溶液中と本質的に同じままであろう。透過物中の化合物の濃度が、供給溶液中の化合物の濃度よりも大きくなる場合、膜が化合物に対する負の除去率を有することもあり得る。膜技術の概評は、「Membranes and Membrane Separation Processes,」in Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry(VCH,1990)において見られ; Noble and Stern,Membrane Separations Technology: Principles and Applications(Elsevier,1995)もまた、参照されたい。「The Filtration Spectrum”,Osmonics,Inc.,Minnetonka,MN,1990および1984版もまた参照されたい。
【0040】
開始点として、所望の化合物を保持するが、供給ストリーム中に存在する望ましくない化合物は、膜を通過させることが予想される分画分子量(MWCO、これはしばしば膜細孔サイズと関連する)を有する膜が選択される。所望のMWCOは一般に精製される化合物の分子量より小さく、かつ、典型的には、精製される化合物を含む溶液から除去されることになっている望ましくない汚染物質の分子量より大きい。例えば、200ダルトンの分子量を有する化合物を精製するためには、約200ダルトン未満のMWCOを有する膜が選択される。約100ダルトンのMWCOを有する膜はまた、例えば、好適な候補となるであろう。本発明において使用される膜は、一部、それらのMWCOに基づき、所望の分離によって、限外濾過(UF)膜、ナノ濾過(NF)膜、または逆浸透(RO)膜として分類される。この発明のために、UF、NF、およびRO膜はPure Water Handbook,Osmonics,Inc.(Minnetonka Minn.)において規定されるように分類される。RO膜は典型的に約200ダルトン未満の公称MWCOを有し、ほとんどのイオンを除去し、NF膜は一般に約150ダルトン〜約5kDaの公称MWCOを有し、UF膜は一般に約1kDa〜約300kDaの公称MWCOを有する。
【0041】
この明細書を通して、「約」という用語は値、例えば分画分子量および細孔サイズとの関連で使用される。当業者が認識するように、フィルタに帰する分子量値は、細孔サイズまたは分画分子量を測定するための手段またはフィルタ製造者に依存する可能性があり、値は絶対的に挙げることができない。当業者であれば、本明細書で提供される分子量または細孔サイズに対する技術開始点が提供されれば、濾過工程の目的を考えて、適切なファイラ(filer)を決定することができるであろう。列挙された値からの1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、7%、9%、または10%のばらつきが適用され得る。
【0042】
特定の分離のための適切な膜を選択する際に考慮される第2のパラメータは、膜のポリマ型である。各ゾーンで使用される膜は無機、有機、または無機および有機の混合に関係なく、従来の膜材料から製造される。典型的な無機材料としては、ガラス、セラミック、サーメット、金属などが挙げられる。セラミック膜が、UFゾーンでは好ましい。NFおよびROゾーンで好ましい有機材料は、等方性であるか異方性であるかに関係なく、典型的にはポリマであり、薄層または「皮」が繊維のボア側またはシェル側のいずれか上に存在する。繊維のための好ましい材料は、ポリアミド、ポリベンズアミド、ポリスルホン(スルホン化ポリスルホンおよびスルホン化ポリエーテルスルホンなどを含む)、ポリスチレン、例えば、スチレン含有コポリマ、例としてアクリロ−ニトリル−スチレン、ブタジエン−スチレンおよびスチレン−ビニルベンジルハライドコポリマ、ポリカーボネート、セルロースポリマ、例えば酢酸セルロース、ポリプロピレン、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリビニルアルコール、フルオロカーボンなどである。NFおよびRO膜はしばしば、ポリマ区別層に加えて多孔性サポート基材から構成される。
【0043】
好適な膜組成を選択するのに特に重要なのは膜表面電荷である。要求されるMWCO範囲内で、成分要素のイオン電荷および汚染物質のものに適切である表面電荷を有する膜が選択される。特定の膜に対するMWCOは一般に不変であるが、供給溶液のpHを変化させると、膜表面電荷を変えることにより膜の分離特性に影響を与えることができる。例えば、中性pHで正味負の表面電荷を有する膜は、単純に溶液のpHを低下させることにより、正味中性の電荷を有するように調整することができる。溶液pHを調整する追加の効果は、汚染物質上および対象となる成分要素上のイオン電荷を調節することである。よって、好適な膜ポリマ型およびpHを選択することにより、汚染物質および膜の両方が中性であり、汚染物質の通過を促進する系を得ることができる。例えば、汚染物質が中性pHで負電荷を持つ場合、汚染物質をプロトン化するために、供給溶液のpHを低下させることがしばしば望ましい。もちろん、膜の損傷を避けるために、特定の膜に対する許容されるpH範囲に関しては、製造者の指示に従わなければならない。
【0044】
一般に、他の可溶性成分要素からのタンパク質、油および他の微粒子の分離は、通常、限外濾過(UF)膜と呼ばれる膜を使用する。発明の方法において使用するのに好適なUF膜は、いくつかの商業製造者から入手可能であり、Millipore Corp.(Bedford、Mass.)、Osmonics、Inc.(Minnetonka、Minn.)、Filmtec(Minneapolis、Minn.、UOP、Desalination Systems、Advanced Membrane Technologies)、およびNittoが挙げられる。
【0045】
ナノ濾過膜は、分離が分子量およびイオン電荷の両方に基づくクラスの膜である。これらの膜は典型的には、膜を通過する種のサイズの観点から逆浸透と限外濾過膜の間に入る。ナノ濾過膜は典型的に、ミクロ細孔および膨潤したポリマネットワークにおける鎖間の開口を有する。非イオン化分子のための分画分子量は典型的に約100−20,000ダルトンの範囲にある。同じ分子量のイオンでは、膜除去(保持)は、電荷密度の増加のために、特定の膜では0、1、2、3などのイオン電荷で漸次増加するであろう(例えば、Eriksson,P.,「Nanofiltration Extends the Range of Membrane Filtration,」Environmental Progress,7:58−59(1988)を参照されたい)。ナノ濾過はまた、Chemical Engineering Progress,pp.68−74(March 1994),Rautenbach et al.,Desalination 77:73(1990)において記載される。「The Filtration Spectrum”,Osmonics,Inc.,Minnetonka,MN,1990および1984版もまた、参照されたい。
【0046】
典型的な適用では、対象となる糖類は、ナノ濾過膜により保持され、汚染塩および他の望ましくない成分は通過するであろう。発明の方法において有用なナノ濾過膜は典型的には、約40%〜約100%、好ましくは約70%〜約100%の対象となる糖に対する保持特性を有する。発明で使用されるナノフィルタ膜は、従来のナノフィルタ膜のいずれか1つとすることができ、ポリアミド膜が特に好適である。いくつかの商業製造者、例えばMillipore Corp.(Bedford、Mass.)、Osmonics、Inc.(Minnetonka、Minn.)、Filmtec、UOP、Advanced Membrane Technologies、Desalination Systems、および Nittoなどは、発明の方法において使用するのに好適なナノ濾過膜を分配する。例えば、好適な膜としては、Osmonics MX07、YK、GH(G−10)、GE(G−5)、およびHL膜などが挙げられる。
【0047】
逆浸透(RO)膜もまた、様々な水性溶質を通過させる一方、選択された分子を保持する。一般に、浸透は、純粋な液体(通常水)が半透膜を通過して、溶液(通常、糖または塩および水)中に入り、溶液を希釈し、2つの液体間の浸透圧平衡を達成するプロセスを示す。対照的に、逆浸透は圧力駆動膜プロセスであり、この場合、外圧の膜システムへの適用により、逆の流れが起き、水分子が生理食塩水または糖溶液コンパートメントから膜システムの純水コンパートメントに入る。RO膜は、半透性および非多孔性であり、水中に溶解された物質の浸透圧を超える圧力で、水性供給物がそこにポンピングされる必要がある。RO膜は効果的に低分子量分子(約<200ダルトン)およびまた、イオンを水から効果的に除去することができる。好ましくは、逆浸透膜は、約40%〜約100%、好ましくは約70%〜約100%の対象となる成分要素に対する保持特性を有するであろう。好適なRO膜としては、Filmtec BW−30、Filmtec SW−30、Filmtec SW−30HR、UOP RO膜、Desal RO膜、Osmonics RO膜、Advanced Membrane Technologies RO膜、およびNitto RO膜などが挙げられるが、これらに限定されない。好適なRO膜の1つの例はMillipore Cat.No.CDRN500 60(Millipore Corp.、Bedford、Mass.)である。
【0048】
本方法で使用される膜は公知の膜構造のいずれにおいても使用され得る。例えば、膜は平面、プレートおよびフレーム、管状、渦巻き、中空繊維などとすることができる。好ましい実施形態では、膜は渦巻きである。膜は任意の好適な構成において使用することができ、クロスフローまたはデプス構成のいずれかが挙げられる。本発明による限外濾過、ナノ濾過および逆浸透精製に好ましい、「クロスフロー」濾過では、対象となる成分要素が精製される「供給物」または溶液は膜表面に対して平行または接線のいずれかの膜チャネルを通って流れ、残余分(リサイクルまたは濃縮とも呼ばれる)ストリームおよび透過ストリームに分離される。効率的な膜を維持するために、供給ストリームは、膜により除去された蓄積粒子を一掃するために、せん断力および/または乱流を生成させるのに十分高い速度で、膜表面に平行に流れなければならない。クロスフロー濾過はこのように、3つのストリーム−供給物、透過物および残余分の流れを必要とする。対照的に、「デッドエンド」または「デプス」フィルタは2つのストリーム−供給物および濾液(または透過物)のみを有する。膜により除去された全ての粒子および大分子を保持するリサイクルまたは残余分ストリームは、リサイクルストリームが生成される膜モジュールに完全にリサイクルすることができ、または、システムから部分的に除去することができる。発明の方法が低分子量成分から糖類を精製するために使用される場合、例えば、所望の糖類は残余分ストリーム(または、デプスフィルタでは供給ストリーム)に含まれ、一方、透過物ストリームは除去された汚染物質を含む。
【0049】
発明の精製方法は、濾過が実施される圧力、流速、および温度を調整することにより、さらに最適化することができる。UF、NF、およびROは、一般に、膜を通過する溶液の浸透圧を克服するために周囲を超えて圧力を増加させることを必要とする。最大および推奨動作圧に関する膜製造者の指示に従うことができ、段階的な調整を行うことによりさらなる最適化が可能である。例えば、UFのために推奨される圧力は一般に約25〜約100psiの間、NFでは約50psi〜約1500psiの間、およびROでは約100〜約1500psiの間であろう。濃縮物(供給溶液)および透過物の両方の流速はまた、所望の精製を最適化するように調整することができる。また、特定の膜のための製造者の推奨は、段階的な調整を行うことにより最適化プロセスを開始する開始点として機能する。
【0050】
膜は、使用後または膜の透過性が減少した後のいずれかに、容易に洗浄することができる。洗浄は、そのように望まれる場合、わずかに上昇した温度で、水または苛性アルカリ溶液ですすぐことにより実施することができる。ストリームが少量の酵素を含む場合、少量の界面活性剤、例えばULTRASIL(登録商標)の存在下でのすすぎは有用である。また、プレフィルタ(100−200μm)を使用して、より高価なナノ濾過膜を保護することができる。所望であれば、他の洗浄剤を使用することができる。洗浄方法の選択は、洗浄される膜に依存し、膜製造者の指示を考慮すべきである。洗浄は、前方フラッシングまたは後方フラッシングを用いて達成することができる。
【0051】
本発明では、ジュースは任意の果実、野菜、サトウキビまたはココナツから得られ、この場合、飲料水または植物由来飲料を生成させることが望ましい。
【0052】
果実ジュースは、果実から抽出した後、直接加工することができ、または好ましくは完成ジュースであり、これは、前もって濾過され、種子、果肉および種々の固体が除去されている。また、ジュースは自然に沈殿させ、固体および液体画分にすることができる(本明細書では、「ジュースプラズマ(plasma)」と呼ばれる)。この液体画分を、吸引、デカンティングまたは他の方法により固体から除去する。固体およびジュースプラズマはコース濾過(サンドフィルタ)または遠心分離により分離することができる。ジュースの固体およびジュースプラズマへの分離は、酸性化または低温殺菌されていないジュースの使用のいずれかにより加速させることができる。完成果実ジュースの使用はより効率的なUFプロセスを可能にし、というのも、フィルタは即座には詰まらないからである。目詰りが問題となる場合、ジュース固体は多くの伝統的な方法、例えば遠心分離、浮選などのいずれか1つにより低減される必要があろう。
【0053】
本発明の実施では、清澄ジュースまたはジュースプラズマがUF膜を通過させられる。オレンジジュースを処理するための本発明の実施で使用される濾過膜は当業者によく知られている標準濾過ユニットである。膜は、任意の標準組成、例えばポリスルホン、フルオロポリマ、酢酸セルロースなどを有することができる。
【0054】
UF膜は30〜1,000オングストローム(1μ)の間の細孔サイズを有することができ、これは、約2000ダルトン〜約100,000ダルトンの分画分子量(MWCO)範囲に対応する。これは、「濁った」成分、果肉、油、可溶性香味および油溶性の色を保持することができるということを基礎に選択される。これは、水、糖類(グルコース、果糖、スクロース、ラフィノースおよびスタキオース)、クエン酸、アスコルビン酸、水溶性ビタミン、ミネラル、水溶性成分(植物栄養素、抗酸化物質、栄養補助物質(neutraceuticles)、ミネラル)、皮化合物および揮発性芳香族および香味成分のほとんどを透過させる。
【0055】
UF透過物は回収され、約200ダルトンのサイズのMWCOを有し、グルコースおよび果糖(MW約180ダルトン)が、最小の保持で通過されるように選択されたNF膜を通過させられる。この濾過工程はまた、ミネラル、揮発性芳香族および香味成分要素、クエン酸、アスコルビン酸が透過物として水と共に通過するようにする。
【0056】
この濾過工程により、UF透過物画分の濃縮物が得られ、これはクエン酸、アスコルビン酸、水溶性ビタミン、水溶性成分(植物栄養素、抗酸化物質、栄養補助物質、およびミネラル)、皮化合物およびいくらかの他の残留糖類に富む。
【0057】
UF透過物は、任意で、例えば、例として、UF透過物をポリマ吸着樹脂と接触させて、苦い皮および褐色成分を除去するように処理される。このために有用な市販の吸着樹脂としては、スチレンジビニルベンゼン樹脂が挙げられ、Dow Chemical Company、Midland、Ml、およびRohm and Haas Co.、Philadelphia、PAから入手可能である。
【0058】
NF透過物中のグルコースおよび果糖は、さらなる濾過を使用して、水、ミネラル、アスコルビン酸ならびに揮発性芳香族および香味化合物のほとんどを除去することにより濃縮することができる。NFおよびRO膜のMWCOはしばしば重複するので、この工程のためにいずれかの膜を使用することができる。MWCOは任意のサイズとすることができるが好ましくは、グルコースおよび果糖のもの(MW約180ダルトン)未満であり、これらの糖類が透過物に入らないように保持される。「The Filtration Spectrum”,Osmonics,Inc.,Minnetonka,MN,1990および1984版が参照される。
【0059】
揮発性芳香族または香味化合物、ミネラルおよびアスコルビン酸(ビタミンC)をほんの微量の糖と共に含むこの最終水透過物は、UF濃縮物または濃縮されたグルコースおよび果糖を含む最終ROまたはNF残余分を添加するために、直接水画分として使用することができ、様々な組成の飲料を生成することができる。
【0060】
そのような複数の濾過工程を連続してリアルタイムで、または、個々に異なる時間で実施することは発明の範囲内にある。さらに、方法の1つの実施形態では、RO/NF透過物(主に水である)、前の濾過工程に添加される。この実施形態の利点は、透過物がNF残余分と一緒にされた場合、糖を透過物中に除去する体積および効率を増加させるように作用することで知られている。
【0061】
少なくとも水、アスコルビン酸、揮発性芳香族または香味化合物を含むこの最終透過物はまた、活性炭または生物学的に活性化された工程によりさらに加工することができ、ミネラル、他の植物成分およびせいぜい、ほんの微量の糖を含む飲料水が生成され、除菌後瓶詰めに好適なものとされる。また、水に富むこの同じ最終透過物は、様々な量のUF透過物濃縮物(栄養分および酸が高い)、あるいは最終ROまたはNF残余分(グルコースおよび果糖が高い)、あるいはUF残余分を添加することにより飲料を生成させるために使用することができる。この新規飲料混合物は任意の量の栄養分リッチUF透過物、RO/NF糖残余分およびRO/NF透過物のいずれかを有することができ、飲料の味覚、栄養分および糖(カロリー)状態を変化させることができる。
【0062】
本分離プロセスが実施される温度は重要ではない。しかしながら、15℃〜37℃の温度が好ましい。
【0063】
栄養酸化および減衰を低減させるために、不活性ガス雰囲気下、ジュースの自然pHで、低い露光量で加工された低固体またはジュースプラズマおよびペクチン浄化ジュースを使用することもまた好ましい。濃縮物滅菌は、高圧滅菌、UV滅菌あるいは二炭酸ジメチル(DMDC)または栄養分成分要素の活性を保存する他の方法の使用のいずれかにより実施されるのが好ましい。
【0064】
方法の一実施形態では、サイズ排除精製手段は約90ダルトン超の公称分画分子量を有する。
【0065】
別の実施形態では、サイズ排除精製手段は、約100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、300または400ダルトン超の公称分画分子量を有する。
【0066】
方法のさらに別の実施形態では、サイズ排除精製手段は約500ダルトン超の公称分画分子量を有する。
【0067】
ある一定の実施形態では、サイズ排除精製手段は約1500ダルトン未満の公称分画分子量を有する。
【0068】
方法のいくつかの形態は第2のサイズ排除精製手段を含む。方法の一実施形態では、第2のサイズ排除精製手段は約90ダルトン超の公称分画分子量を有する。
【0069】
別の実施形態では、第2のサイズ排除精製手段は約100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、300または400ダルトン超の公称分画分子量を有する。
【0070】
方法のさらに別の実施形態では、第2のサイズ排除精製手段は約500ダルトン超の公称分画分子量を有する。
【0071】
ある一定の実施形態では、第2のサイズ排除精製手段は約2000ダルトン未満の公称分画分子量を有する。
【0072】
第3、第4、第5、第6またはそれ以上のその後のサイズ排除精製手段は本方法に組み込まれ得ることが企図される。
【0073】
方法の好ましい形態では、植物材料の液化抽出物は、植物ジュース濃縮プロセスの副産物である。よって、本方法は、副産物を有用で潜在的に販売可能な飲料製品に変換するのに有用である。副産物はジュース加工で現在使用されている任意の濃縮プロセス、例えば濾過、蒸発、および凍結の結果であり得る。
【0074】
1つの実施形態では、植物材料液化抽出物は濾過透過物、または任意で蒸発または凍結により生成される低糖ジュースである。
【0075】
下記は濃縮副産物ストリームがどのようにして飲料水を含む飲料にされ得るかを説明する。例示的な工程は下記の通りである:
1.果肉、種、微生物、皮および他の固体を、0.45ミクロン以下の細孔サイズ、好ましくは0.22ミクロンの細孔サイズの膜を通す濾過により除去すること。好ましくは、この濾過は、任意で0.2ミクロン直径の細孔サイズを有するクロスフロー濾過ユニットである。
2.望ましいミネラル、ビタミン、グルコース、果糖および他の糖成分(複数可)を水と共に透過物として通過させることができるように選択された約1500ダルトンの分画分子量のナノ濾過膜を通して、濃縮副産物廃液ストリームを加工すること。植物ジュースの効率的な濾過または蒸発濃縮結果として、濃縮副産物が非常に低いレベルの残留グルコースおよび果糖を有する場合、透過物中の糖は非常に低く、製品中では望ましい。
【0076】
工程1および2から形成された透過物は、さらに活性または生物学的活性炭およびゼオライトまたはAmberChrom(登録商標) CG−161を用いてポリッシングすることができ、芳香および糖が除去され、水は芳香および味覚がより中性となる。
【0077】
また、ビタミンおよびミネラルは200ダルトンMW分画を有するNF濾過膜を通すさらなる濾過によりグルコースおよび果糖成分から除去することができる。この配列は本質的に、水、糖類およびほとんどのカチオン性ミネラルが膜を透過することができるようにする。ビタミン、例えばビタミンA(MW333)、D(MW384)、E(MW430.71)、K(MW450.70)、B1(MW300.84)、B6(MW205.64)およびB12(MW1355.4)は、透過物に入らないように保持され、残余分として残る。
【0078】
透過物に適用される、約180ダルトン未満のMWCOのさらに任意的な濾過工程はグルコースおよび果糖を水、ミネラルならびに低分子量芳香族および香味化合物から分離し、飲料水が生成される。この製品はまた、滅菌および瓶詰め前に水飲料の芳香および味覚を中和する以上で記載されるポリッシングを必要とする場合がある。この最終水透過物はまた、以上で概説されるポリッシング工程前に、ビタミンなどを含む200〜1500ダルトンMWCO画分と逆ブレンドすることができ、ビタミン水が生成される。ビタミン安定性を保護する全ての手段、すなわち空気、光および熱などなどの低減が、加工中にとられることが好ましい。これは元の副産物よりも清浄な画分を効果的に生成する。
【0079】
また、この濃縮副産物廃液ストリームはROまたはNF膜のいずれか、約90または100ダルトン超のMWCO膜、または特定的には、約180ダルトン未満のMWCOを有し、ほとんどのグルコースおよび果糖を除去するのに好適な膜を通過させることができる。この濾過工程の透過物はミネラル、低分子量芳香族および香味成分ならびにアスコルビン酸(元の副産物廃液ストリーム中に存在すれば)を含むであろう。
【0080】
以上で例示されるように、ある一定の実施形態では、方法は製品またはプロセス中間体を活性炭、好ましくは粉状または顆粒状活性炭(GAC)のいずれかに曝露する工程を含む。活性炭は生物活性炭(BAC)であってもよい。BACは活性炭に結合する有機成分要素を消費し、これで生き延びる微生物の集団を有し、使用されるにつれ濾過媒体が効果的に再生される。BACからの最終製品中への微生物の活性の漏れは、UV光により不活性化することができ、または0.22ミクロン濾過により除去することができる。
【0081】
別のポリッシング工程は製品またはプロセス中間体の鉱物、例えばゼオライトへの曝露である。ゼオライトは、微小孔性固体のファミリーのアルミノシリケートメンバーであり、より一般的なメンバーは、方沸石、菱沸石、クリノプチロライト、ヒューランダイト、ナトロライト、フィリプサイト、および束沸石である。そのような自然の、または人造のゼオライトを使用して、除去される分子の分子直径を超える細孔サイズを有する、さらに、好適には疎水性または親水性のいずれかであることに基づき、分子を捕捉および除去することができる。鉱物式例は下記、ナトロライトのための式である:Na
2Al
2Si
3O
10・2H
2O。
【0082】
別のポリッシング工程は、濾過透過物をさらに加工するためのAmberchrom(登録商標) CG−161の使用を含むことができる。Amberchrom(登録商標)樹脂は、残留糖レベルを低減させる目的のために組み込むことができ、残留糖が低減される。Amberchrom(登録商標) CG−161樹脂に対する詳細な適用注意は、Rohn and Haas Company、Philadelphia USAから入手可能である。機能的に等価な樹脂もまた、本方法の範囲内に含まれる。
【0083】
いわゆる「ポリッシング」工程は典型的には、精製プロセスの終わり、またはこれに向かって配置され、いくつかの実施形態では、源植物材料に由来する残留低分子量芳香族および香味成分要素を除去することを目標とする。
【0084】
上記で言及されるように、方法は飲料製品またはプロセス中間体を第2または第3のサイズ排除精製手段に曝露する工程を含むことができ、第2のサイズ排除精製手段は第1のサイズ排除精製手段より低く、異なる分画分子量を有する。第3のサイズ排除手段は糖を排除するために約90〜約180ダルトン未満の間の分子量を有する。このアプローチにより、規定された分子量「バンド」内の成分の選択が可能になり、飲料製品の高レベルのカスタマイゼーションが提供される。
【0085】
例えば、方法は>約1500ダルトンの公称分画を有する精製手段を、約200ダルトンの分画分子量を有する精製手段と組み合わせて含み得る。第3のサイズ排除手段は糖を排除するために90〜約180ダルトン未満の間のMWCOを有する。第3のサイズ排除手段は、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180または190Daの分子量を有し得る。このアプローチは3つの透過物バンドを提供する。1つのバンドは約200超および約1500ダルトン未満のMWCOを有する成分を有する(「栄養分画分」を提供するため)。第2のバンドは約90〜約200ダルトンの間のMWCO成分を有する成分を有し(「グルコースおよび果糖画分」を提供するため)、第3のバンドは約90〜約180ダルトン未満の間のMWCOの成分を有する(「水画分」と呼ばれる)。第1および3の濾過バンドの再ブレンディングは、新規ジュース飲料を生成し、よって、これは、望ましくない成分、例えばグルコースおよび果糖を排除しているが、非糖ミネラル成分のほとんどを維持する。非改良果実および野菜ジュース中の多量の単糖類の摂取の有害健康効果を考えると、糖が低減された果実ジュースの提供は当技術分野に大きく貢献する。
【0086】
本方法は他の処理方法、例えば低温殺菌、保存剤の添加、栄養補助食品の添加などを含み得る。
【0087】
いくつかの実施形態では、方法はサイズ排除精製プロセスの副産物を保持し、その副産物の画分をプロセス製品と再び組み合わせる工程を含む。例えば、サイズ排除精製工程は果糖およびグルコースを除去し得る。
【0088】
本方法のための植物系開始材料は、植物の機械的に調製されたジュースまたは粉砕物とすることができる。また、開始材料は、別のプロセスのプロセス中間体とすることができる。例えば、果実または野菜またはサトウキビジュースが濃縮された後に残っている液体画分は、商業上、LSJ(低糖ジュース)と呼ばれる。濃縮物、よってLSJを生成するプロセスは蒸発、濾過(逆浸透)および凍結濃縮を含むいくつかである。
【0089】
多くの状況において、植物材料のいくらかの前処理が必要とされることが認識されるであろう。さもなければ、閉塞が起こる。例えば、例えばクロスフロー濾過または限外濾過などのプロセスが有用であろう。したがって、いくつかの実施形態では、方法は前処理工程を含む。
【0090】
本開示に基づいて、当業者は下記植物のうちの1つ(または混合物)から飲料を調製することができることを認識するであろう:果実、例えばオレンジ、リンゴ、トマト、ブドウ、パイナップル、マンゴー、ベリー類;ココナツミルク;サトウキビなど;野菜、例えばニンジン、セロリ、ビート、カボチャ、およびカブなど。
【0091】
第2の態様では、本発明さらに、本明細書で記載される方法により生成される植物由来飲料製品またはそのプロセス中間体を提供する。
【0092】
1つの実施形態では、本方法の製品は下記特性:
・匂い#3Aを超えるおよび/または飲料水に対して許容される閾値匂いを超える芳香/匂い成分要素;
・1cmのパス長を有する石英キュベットを通して測定した場合、研究室グレード逆浸透水の420nmおよび520nmでの分光測光吸光度の合計を超える見かけの色または吸光度;
・約0.1Bx糖を超え、または約0.005Bx糖を超え;および/または未処理ジュース中の糖の量より低い;
・飲料に適した飲料水に匹敵するものを超える、それ以上の顕著な味覚
・約50ppmを超える全溶解固形物(TDS);
・約600ppmを超える全有機炭素(TOC);および
・約0.5を超える、好ましくは約0.5NTUを超える濁度
のいずれか1つ以上を有する。
【0093】
別の実施形態では、本方法の製品は純水に非常に似ており、下記特性:
・匂い#3A未満、および/または飲料水に対して許容される閾値匂い未満の芳香/匂い成分要素;
・1cmのパス長を有する石英キュベットを通して測定した場合、研究室グレード逆浸透水の420nmおよび520nmでの分光測光吸光度の合計を超える見かけの色または吸光度;
・約0.1Bx糖未満、または約0.005Bx糖未満;および/または未処理ジュース中の糖の量より低い;
・飲料に適した飲料水に匹敵するものを超える、それ以上の顕著な味覚なし;
・約50ppm未満の全溶解固形物(TDS);
・約600ppm未満の全有機炭素(TOC);および
・約0.5未満、好ましくは約0.5NTU未満の濁度
のいずれか1つ以上を有する。
【0094】
好ましくは、上記で規定される飲料はフィルタ濃縮された低糖ジュース残留物から生成される。低糖ジュースは、蒸発、濾過または凍結濃縮により提供され得る。1つの実施形態では、この実施形態を生成するために使用されるプロセスは、糖を含まない水を生成させるための約>100〜約<180ダルトンの間の濾過の工程を含む。
【0095】
本発明を以下、下記非限定的な例を参照することにより、より詳細に記載する。
【0096】
実施例
実施例1:オレンジジュースからのジュースプラズマの生成
搾りたてのオレンジジュースは単純に、セラムまたはプラズマ中に懸濁される固体を含む。組み合わせて、ジュースにはその色および味覚が与えられる。しかしながら、ルーチン的に、瓶詰めのためのジュースを調製するため、および稠度のためにジュースが有する固体の量を低減させることが一般的である。固体を低減させたにもかかわらず、ジュースは普通のオレンジジュースのように見える。そのようなオレンジジュースは、その低下した固体パーセンテージに関係なく、0.45または0.22ミクロンのサイズを通す濾過により滅菌することができず、他の形態の処理を必要とする。
【0097】
この発明は、搾りたてのオレンジジュースは透明な、ほとんど無色の液体(プラズマまたはセラム)および固体沈殿物に分離することができることを提案する。固体から吸引またはデカントされるそのようなジュースプラズマはその後、特に、0.45ミクロン濾過を通して濾過され、固体がさらに低減され、感染のリスクが低減される。
【0098】
最終ジュース中の固体を0.45ミクロン未満まで低減するプロセスは、重力のみを使用するものより、下記のいずれかによりさらに最適化することができる;
1.特にジュースがph=4.6を超える場合(すなわちニンジンジュース)、プラズマからの固体の分離を改善するために、ジュースを酸性化すること。
2.プラズマからの固体の分離を改善するための高速遠心分離またはデカンティング。
【0099】
この沈殿させたプラズマは、0.22〜0.45ミクロン濾過、すなわちクロスフロー限外濾過に通過させることにより、固体量がさらに低減され得る。
【0100】
得られたオレンジジュースプラズマは、元のジュースの栄養分の多くを有し、沈殿する固体を有さない。重要なことには、このプラズマはフィルタ滅菌され、低温殺菌を必要としない。必要なら、プラズマは、プラズマを酸化する可能性のある付着酸素を除去するために窒素ガスで前処理された活性炭を使用して、脱色およびまたは脱臭することができる。
【0101】
実施例2:低糖オレンジジュースの生成
フレッシュオレンジジュースは、分画して、主にグルコースおよび果糖を除去することができる。これを行うために、生フレッシュジュース中の固体を低減させる必要がある。これは、ジュースを沈殿させる(上記実施例1)またはジュースをメカニカルセパレータ、例えば遠心分離機またはデカンター(Westfaliaセパレータ)により加工することにより実施することができる。固体は、分画されたジュースの後の再構成のために維持される。
【0102】
低固体ジュースまたはストレートジュースまたはジュースプラズマは、約2000ダルトンの膜(Koch膜ポリエーテルソルホン(Polyethersolfone))を用いて限外濾過により濾過することができる。これにより全ての「濁った」成分、残った果肉、油、可溶性香味および油溶性香味がこの透過物から除去される。この画分は2000ダルトンを超える分子サイズを有する成分要素を含むものとして特徴づけられる(画分1)。
【0103】
透過物は水、糖類例えばグルコースおよび果糖、クエン酸、アスコルビン酸、水溶性ビタミン、ミネラル、植物栄養素、抗酸化物質、皮化合物および香味成分などを含むであろう。この画分は2000ダルトン未満の分子サイズを有する成分要素を含むものとして特徴付けられる(画分2)。
【0104】
画分2は、分画分子量=200ダルトンを有する膜を含むNF(Perma渦巻き要素)を用いてさらに濾過することができる。グルコースおよび果糖を通過させるために選択されたこの膜は、200ダルトン未満の分子サイズを有する成分要素を透過させる。これにより、画分2は、200〜2000ダルトンの分子サイズ範囲を有する成分要素を含むように変更される。この透過物は、200ダルトン未満である分子サイズ成分要素を構成し、これはグルコースおよび果糖を含む(画分3)。
【0105】
画分3は、さらに、ミネラル、水、揮発性芳香族化合物およびフルーツ酸の多くを透過物として通過させる150ダルトン分子サイズNF膜(Perma渦巻き要素)を通して濾過させることができ、果糖およびグルコースが後に残る。この画分4は、元のオレンジジュースから生じる150ダルトン未満の分子サイズである成分要素のほとんどを含む。
【0106】
効果的に、グルコースおよび果糖を含むものを除く全ての画分は、再び組み合わせることができ、より低い糖またはカロリーのオレンジジュースが生成される。天然グルコースおよび果糖は、必要なら、植物甘味料、例えばステビアなどと置換することができ、それらは非常にカロリーが低いが、依然として甘さを提供する。
【0107】
濾過は連続プロセスで酸化を防止するために不活性ガスを使用する不活性条件下にて連続して実施することが好ましい。
【0108】
実施例3:オレンジミネラル水の生成
上記実施例から、画分4は元のオレンジジュース由来の150ダルトン未満の分子サイズであり、著しい糖量(あれば)を排除した成分要素を含み、これはさらに加工することができ、瓶詰めに好適な、ミネラル、フルーツ酸に富む飲料に適した飲料水を生成させることができる。
【0109】
画分4は、活性炭を通してさらに加工することができ、この画分中に存在する残留味覚および揮発性低分子量芳香族化合物が除去される。この目的のために特有の炭素は、生成される水中の中性味覚および芳香を得るための、炭素量および接触時間の研究室試験により決定することができる。
【0110】
生成された生オレンジジュース由来のミネラル水は、滅菌し(0.22ミクロン絶対濾過または他の手段により)、瓶詰めすることができる。
【0111】
実施例4:オレンジ栄養水の生成
以上で記載されるこの画分4はまた、他の個々の画分と活性炭処理前後のいずれかで再び組み合わせることができる。200〜2000ダルトンの間の分子サイズの成分要素を有する画分2は、主にオレンジ果実のビタミン、植物栄養素および抗酸化物質を含み、大部分は水性の画分4に任意の割合で添加することができ、低カロリー栄養水が製造される。
【0112】
この栄養水は、すなわちVelcorinまたは他の手段により滅菌し、市販用に瓶詰めすることができる。