特許第6652586号(P6652586)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6652586
(24)【登録日】2020年1月27日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】高圧反応装置
(51)【国際特許分類】
   C30B 7/10 20060101AFI20200217BHJP
   C30B 29/38 20060101ALI20200217BHJP
【FI】
   C30B7/10
   C30B29/38 D
【請求項の数】20
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-68024(P2018-68024)
(22)【出願日】2018年3月30日
(65)【公開番号】特開2018-172271(P2018-172271A)
(43)【公開日】2018年11月8日
【審査請求日】2018年7月5日
(31)【優先権主張番号】15/474,806
(32)【優先日】2017年3月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518096478
【氏名又は名称】エスエルティー テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SLT Technologies, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ラジーヴ ティルマラ パカラパティ
(72)【発明者】
【氏名】マーク ピー デヴリン
【審査官】 谷本 怜美
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−542156(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0137966(US,A1)
【文献】 特表2015−517972(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 1/00−35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料の高圧処理装置において、
処理室を収容するように構成された内部領域を画定し、前記内部領域からの外向き半径方向の力に耐えるように構成された2つ以上の半径方向拘束構造物と、
前記内部領域の軸方向の各端部に配置され、前記内部領域からの外向き軸方向の力に耐えるように構成された上側および下側冠部材と、
前記上側冠部材と前記下側冠部材を連結して、該上側冠部材と該下側冠部材を軸方向に拘束する第1の軸方向拘束構造物と、
前記2つ以上の半径方向拘束構造物を圧縮して、該2つ以上の半径方向拘束構造物を軸方向に拘束する第2の軸方向拘束構造物と、
を含む装置。
【請求項2】
前記第1の軸方向拘束構造物が、少なくとも2つのタイロッドを含むものである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第2の軸方向拘束構造物が、少なくとも2つのタイロッドを含むものである、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の軸方向拘束構造物および前記第2の軸方向拘束構造物の少なくとも1つが、ヨーク部材を含むものである、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記内部領域内に配置された加熱部を、
更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記加熱部内に配置された処理室を、
更に含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記2つ以上の半径方向拘束構造物の少なくとも1つが、高強度封止リングとセラミックリングとを有するリングアセンブリを含むものである、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記セラミックリングは、セラミック半径方向セグメントアセンブリを含むものである、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第2の軸方向拘束構造物は、動作中に、20MPaと2000MPaの間の圧力を、前記2つ以上の半径方向拘束構造物の内部断面領域に亘って加えるように構成されたものである、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記2つ以上の半径方向拘束構造物は、上側および下側ダイ拘束部材、並びに、前記上側ダイ拘束部材と前記下側ダイ拘束部材の間に挟まれた少なくとも1つの該半径方向拘束構造物を含むものである、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
材料の高圧処理装置において、
上側冠部材と、
下側冠部材と、
上側ダイ拘束部材と、
下側ダイ拘束部材と、
前記上側ダイ拘束部材と前記下側ダイ拘束部材の間に配置されて、処理室を収容するように構成された内部領域を画定し、前記内部領域からの外向き半径方向の力に耐えるように構成された1つ以上の半径方向拘束構造物と、
前記上側冠部材と前記下側冠部材を連結する第1の軸方向拘束構造物と、
前記上側ダイ拘束部材と前記下側ダイ拘束部材を連結し、前記半径方向拘束構造物を軸方向に拘束するように構成された第2の軸方向拘束構造物と、
を含み、
前記上側および下側冠部材は、前記内部領域の軸方向の各端部に配置されて、該内部領域からの外向き軸方向の力に耐えるように構成されたものである装置。
【請求項12】
前記第1の軸方向拘束構造物は、少なくとも2つのタイロッドを含むものである、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記第2の軸方向拘束構造物は、少なくとも2つのタイロッドを含むものである、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記第1の軸方向拘束構造物および前記第2の軸方向拘束構造物の少なくとも1つが、ヨーク部材を含むものである、請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記内部領域内に配置された加熱部を、
更に含む、請求項11に記載の装置。
【請求項16】
前記加熱部内に配置された処理室を、
更に含む、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記1つ以上の半径方向拘束構造物の少なくとも1つが、高強度封止リングとセラミックリングとを有するリングアセンブリを含むものである、請求項11に記載の装置。
【請求項18】
前記セラミックリングは、セラミック半径方向セグメントアセンブリを含むものである、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記第2の軸方向拘束構造物は、動作中に、20MPaと2000MPaの間の圧力を、前記1つ以上の半径方向拘束構造物の内部断面領域に亘って加えるように構成されたものである、請求項11に記載の装置。
【請求項20】
結晶成長方法において、
処理室を収容するように構成された内部領域を画定し、前記内部領域からの外向き半径方向の力に耐えるように構成された2つ以上の半径方向拘束構造物と、該内部領域の軸方向の各端部に配置され、該内部領域からの外向き軸方向の力に耐えるように構成された上側および下側冠部材と、前記上側冠部材と前記下側冠部材を連結して、該上側冠部材と該下側冠部材を軸方向に拘束する第1の軸方向拘束構造物と、前記2つ以上の半径方向拘束構造物を圧縮して、該2つ以上の半径方向拘束構造物を軸方向に拘束する第2の軸方向拘束構造物とを含む装置を用いて、
溶媒、種結晶、および、多結晶原料を保持する前記処理室を、前記内部領域に配置する工程と、
前記処理室を、200℃より高い温度まで加熱して、前記溶媒を過熱させて、結晶性材料を形成する工程と、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、超臨界流体処理装置のための技術に関する。より詳しくは、本開示の実施形態は、高圧装置筐体内に配置された材料処理カプセルを構成するための技術を含む。
【背景技術】
【0002】
従来の結晶成長技術は、高圧装置での超臨界流体の処理を含む。そのような装置は、例えば、D’Evelynらの特許文献1に開示されている(参照により、本明細書に組み込まれる)。図1は、D’Evelynらの一実施形態による高圧装置100を、簡略に示す図である。この装置は、高強度封止リング101およびセラミックリング103を有する、2つ以上の半径方向拘束構造物110の積層体を含む。積層体は、加熱部105を囲み、加熱部105の内面は、カプセル107を中に配置しうる処理室を画定する。したがって、加熱部は、カプセルと1つ以上の半径方向拘束構造物の間に位置する。積層体は、カプセル107内で生成されて、加熱部105を通って外向きに伝えられる圧力を、半径方向に封じ込める。カプセル107内で生成された圧力の軸方向の封じ込めは、端部プラグ111、冠部材117、並びに、タイロッドまたはタイロッド固定部115によって、行われてもよい。具体的な実施形態によれば、高圧装置100は、カプセル107の軸方向端部と端部プラグ111とに近接した、圧力伝達媒体物109も含んでいてもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第8435347号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この装置設計は、従来の装置構成からの大きな改善を示しているが、本発明者は、この装置が、高圧反応中に変形しうることを見出した。具体的には、本発明者は、非常に高い圧力下では、ダイ積層体によって画定された内部領域内の加熱部が、ダイ積層体の隣接したリングアセンブリ間の間隙に押し込まれ、リングアセンブリ角部の亀裂を生じて、保守または交換のために加熱部をリングアセンブリから取り外すのを、より難しくさせることを見出した。更に、本発明者は、この望ましくない押出および破損を、ダイ積層体内のリングアセンブリを軸方向に拘束することによって、防ぎうることも見出した。
【0005】
したがって、非常に高い処理圧力に耐えうる、改良した装置構成が必要である。本発明は、この要求を、他の要求と共に実現する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下の記載は、本発明のいくつかの態様の基本的理解とために、本発明の概要を簡略に提供するものである。この概要は、本発明を、広範囲に概観するものではない。本発明の主要/重要な要素を特定することも、本発明の範囲を限定することも、意図していない。単に、後述する詳細な記載の前置きとして、本発明のいくつかの概念を簡略に示すことだけを目的としている。
【0007】
本発明は、概して、D’Evelynらが、特許文献1で開示した装置構成の改良に関する。上記のように、本発明者は、非常に高い圧力下では、ダイ積層体によって画定された内部領域内の加熱部が、ダイ積層体の隣接したリングアセンブリ間の間隙に押し込まれ、リングアセンブリ角部の亀裂を生じて、更に、保守または交換のために加熱部をリングアセンブリから取り外すのを、より難しくさせることを見出した。更に、本発明者は、この望ましくない押出および破損は、ダイ積層体内のリングアセンブリを軸方向に拘束することによって、防ぎうることも見出した。この目的のために、請求した発明による装置は、ダイ積層体を圧縮して、動作中の内部領域の圧力による間隙の形成を防ぐための軸方向拘束構造物を含む。
【0008】
本発明の一態様は、軸方向拘束構造物を有して、半径方向拘束部材の相対的軸方向移動を防ぐ装置である。一実施形態において、この装置は、(a)処理室を収容するように構成された内部領域を画定し、内部領域からの外向き半径方向の力に耐えるように構成された2つ以上の半径方向拘束構造物と、(b)内部領域の軸方向の各端部に配置され、内部領域からの外向き軸方向の力に耐えるように構成された上側および下側冠部材と、(c)上側冠部材と下側冠部材を連結して、上側冠部材と下側冠部材を軸方向に拘束する第1の軸方向拘束構造物と、(d)2つ以上の半径方向拘束構造物を圧縮して、2つ以上の半径方向拘束構造物を軸方向に拘束する第2の軸方向拘束構造物とを含む。
【0009】
本発明の他の態様は、上記装置を用いて、溶媒を過熱させて、結晶性材料を生成する方法である。
【0010】
本開示は、既知の処理技術による状況下で、これらの利益などを実現する。しかしながら、本開示の本質および利点は、明細書の後述部分および添付の図面を参照することで、更に理解されうる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の一実施形態による高圧装置を、簡略に示す図である。
図2A】本開示の実施形態による軸方向拘束構造物を有する高圧装置を、簡略に示す図である。
図2B】本開示の実施形態による軸方向拘束構造物を有する高圧装置を、簡略に示す図である。
図3A】本開示の実施形態による軸方向拘束構造物を有する高圧装置を、簡略に示す図である。
図3B】本開示の実施形態による軸方向拘束構造物を有する高圧装置を、簡略に示す図である。
図4】本開示の実施形態による、超臨界流体中の材料の処理方法の簡略なフローチャート800である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示によれば、超臨界流体処理装置に関する技術を提供する。より詳しくは、本開示の実施形態は、高圧装置筐体内に配置された材料処理カプセルを構成するための技術を含む。具体的な実施形態において、本開示は、高圧高温でアモノサーマル法を用いて、窒化ガリウム結晶(以下、バルク結晶と称する)が中で成長しうる反応容器を保持する装置および方法を提供する。装置は、典型的な円筒状容器の場合には半径方向および軸方向として分類しうる全方向に、適切な保持特性を提供するものである。更に、詳細な設計パラメータに応じて、装置は、1200℃までの温度で、2000MPaまでの圧力で、更に、バルク結晶の十分な成長に必要な、例えば約1時間と約180日の間の時間、動作可能である。
【0013】
装置の設計は、100立方センチメートル(cc)より大きい反応容積を保持するように、サイズ変更が可能であり、13リットルより大きい反応容積を保持するように、サイズ変更するのに成功した。当業者であれば、本開示の概念、原理、および、分析を採用して、例えば、約25リットルより大きいか、約50リットルより大きいか、約100リットルより大きいか、約1000リットルより大きいか、または、約10,000リットルより大きいなど、もっと大きい容量を保持し、更に/若しくは、より高い温度および圧力のための装置を設計しうる。装置の更なる詳細は、本明細書を通して、特に、以下の記載で分かるだろう。
【0014】
図2Aおよび2Bを参照すると、本発明の装置200、250の2つの実施形態を示している。図示したように、装置200、250は、材料を高圧処理するために構成され、処理室(不図示)を収容するように構成された内部領域270を画定する2つ以上の半径方向拘束構造物201を含む。半径方向拘束構造物は、内部領域からの外向き半径方向の力に耐えるように構成される。装置は、内部領域の軸方向各端部に配置された上側および下側冠部材202、217も含み、内部領域からの外向き軸方向の力に耐えるように構成される。第1の軸方向拘束構造物(第1のタイロッドとも称される)231は、上側冠部材と下側冠部材を連結して、上側冠部材と下側冠部材を軸方向に拘束し、第2の軸方向拘束構造物(第2のタイロッドとも称される)235は、2つ以上の半径方向拘束構造物を圧縮して、2つ以上の半径方向拘束構造物を軸方向に拘束する。上側および下側冠部材202、217、並びに、それらの各々に関連する上側および下側端部プラグ251、211は、従来からのもので、例えば、図1の装置に関連して記載したようなものである。ある実施形態において、上側および下側冠部材202、217は、フランジまたは同様の冠部閉鎖構造物(不図示)を含んでいてもよく、それは、開閉自在で、冠部材全体を取り外す必要なく、半径方向拘束構造物の内側へのアクセスを可能にする。本開示において、特に関心すべき点は、半径方向および軸方向の拘束構造物である。
【0015】
本発明の装置における半径方向の拘束性は、いくつかの積み重ねた半径方向拘束構造物201によって提供されうる。一実施形態において、半径方向拘束構造物は、一体構造物、または、その代わりに半径方向くさび形セグメントの組合せであってもよい、少なくとも1つのセラミックリング203を含む。一実施形態において、1つ以上の高強度封止リングが、セラミックリング203を取り囲んでいる。一実施形態において、図2に示すように、半径方向拘束構造物201は、上側および下側ダイ拘束部材219、221によって、保持されている。その代わりに、ダイ拘束部材は、一連の半径方向拘束構造物の一部でありうる。以下、これらの積み重ねたリングアセンブリを、ダイ積層体と総称する。
【0016】
装置は、上側冠部材と下側冠部材間の相対的変位に対する構造的耐性または剛性を提供する、第1の軸方向拘束構造物(例えば、第1のタイロッド)231を、更に含む。更に、装置は、半径方向拘束部材201同士の相対的軸方向変位に対する構造的耐性または堅さを提供する第2の軸方向拘束構造物(例えば、第2のタイロッド)235も含む。一実施形態において、第2の軸方向拘束構造物は、半径方向拘束部材同士を連結して、それらの相対的軸方向移動を防ぐ。この連結状態は、異なる構成を用いても実現しうる。例えば、上側および下側ダイ拘束部材219、221を用いた図2の実施形態において、第2の軸方向拘束構造物を、上側ダイ拘束部材および下側ダイ拘束部材に連結している。
【0017】
動作中に、例えばカプセル(不図示)内の圧力によるダイ積層体内の内部圧力が、冠部材202、217に外向きの力を加える軸方向負荷241を生成する。上記のように、ダイ積層体が軸方向に拘束されていないと、リングアセンブリと比べて大きい加熱部(不図示)の熱膨張と、制限された冠部材の外向きの動きとが、加熱部とダイ積層体間の摩擦と組み合わさって、隣接したリングアセンブリ同士を分離し、生じた間隙に加熱部の外径部を押し込んで、セラミックリング203の角部の亀裂を生じうる。ある実施形態において、軸方向の力261が、その傾向を相殺して働き、隣接したリングアセンブリ同士の分離を防ぎ、リングアセンブリ同士の密着状態を維持して、更に、加熱部の外径部が、動作条件下で押し出されるのを防ぐ。ある実施形態において、軸方向の力261は、セラミックリング203の内径部の熱膨張によって生成される。ある実施形態において、軸方向の力261の少なくとも一部は、上側ダイ拘束部材と下側ダイ拘束部材の間に連結された1つ以上のタイロッド、または、軸方向拘束部材を、予め挿入することによって生成される。ある実施形態において、軸方向の力261は、2つ以上の半径方向拘束構造物またはリングアセンブリの内部断面領域に亘って計算した圧力に対応し、動作条件下で、約20MPaと約2000MPaの間か、約30MPaと約500MPaの間か、約40MPaと約200MPaの間である。
【0018】
第1および第2の軸方向拘束構造物は、(図2に示したような)タイロッド、(図3A、3Bに示したような)ヨーク部331、335、または、当業者が利用しうる他の構造技術によって形成しうる。軸方向拘束機能は、軸方向拘束構造物に予め張力を加えておくか、処理圧力により生成した力の方向を変化させるか、半径方向拘束構造物と軸方向拘束構造物間の相対的温度差を生かすか、または、それらを組み合わせることによって、実現しうる。
【0019】
ある実施形態において、第1のタイロッド231および第2のタイロッド235の各組は、装置の軸に対し対称に配置され、軸方向の機械的負荷が、各組を構成するタイロッド同士で略均等に分けられるようにされる。ある実施形態において、第1のタイロッド231の組、および、第2のタイロッド235の組の少なくとも1つは、2つのタイロッドの組、3つのタイロッドの組、4つのタイロッドの組、5つのタイロッドの組、または、6つのタイロッドの組を含む。
【0020】
タイロッド固定部115は、例えば、鋼、低炭素鋼、SA723鋼、SA266炭素鋼、4340鋼、A−286鋼、鉄基超合金、304ステンレス鋼、310ステンレス鋼、316ステンレス鋼、340ステンレス鋼、410ステンレス鋼、17−4析出硬化ステンレス鋼、ジルコニウムおよび、その合金、チタンおよび、その合金、並びに、Monel(登録商標)、Inconel(登録商標)、Hastelloy(登録商標)、Udimet(登録商標)500、Stellite(登録商標)、Rene(登録商標)41、および、Rene(登録商標)88として一般的に知られた他の材料からなる群から、選択される材料を含みうる。
【0021】
図3Aおよび図3Bを参照すると、ある代わりの実施形態300、350において、ダイ積層体は、1組のタイロッドではなく、1つ以上の第1のヨーク部材335によって、軸方向に拘束される。ある代わりの実施形態において、冠部材を、1つ以上の第2のヨーク部材331によって、軸方向に拘束する。ある実施形態において、第1のヨーク部材335および第2のヨーク部材331の少なくとも1つは、矩形の内側開口部を有する構造物を含む。ある実施形態において、第1のヨーク部材335および第2のヨーク部材331の少なくとも1つは、張力が加わった鋼線を含む。他の軸方向拘束構造物も可能である。
【0022】
ある実施形態において、閉鎖可能な開口部、または、冠状挿入物が、冠部材または冠部板に設けられて、大きな軸方向の負荷を支持できる性能を保持しながら、カプセル、加熱部、および、他の構成要素の挿入および取り外しを可能にする。
【0023】
具体的な実施形態による使用方法を、以下に簡単に記載する。
【0024】
上記のような、または、他のものであってもよい、高圧結晶成長または材料処理用の装置を用意し、その装置は、半径方向拘束構造物に囲まれて冠部板とダイ拘束部材間に連結されたタイロッドによって軸方向に支持された(例えば、円筒状の)内部またはカプセル領域を含み、内部領域へと冠部板部材を通り抜ける開口領域は、冠部閉鎖構造物によって閉じうる;
溶媒を保持した処理室またはカプセルを用意する;
処理室を内部領域に配置して、冠部閉鎖構造物を閉じる;
処理室を、熱エネルギーで処理し、処理室内の温度を200℃より高くなるまで上昇させて、溶媒を過熱させる;
過熱された溶媒の処理から、結晶性材料を形成する;
処理室から熱エネルギーを除去して、カプセルの温度を、第1の温度から、第1の温度より低い第2の温度に変化させる;
冠部閉鎖構造物を取り外すことによって、高圧装置の内部領域への開口領域を開ける;
処理室を、カプセル領域から取り除く;
処理室を開ける;
結晶性材料を取り除く;
必要に応じて、他の工程を行う。
【0025】
上記のような一連の工程は、本開示の一実施形態による方法を提供する。具体的な実施形態において、本開示は、構成された支持部材を有する高圧装置によって提供される方法、および、結果的に得られる結晶性材料を、提供する。工程を追加するか、1つ以上の工程を除くか、または、1つ以上の工程を異なる順序で提供する代わりの他の方法も、本発明の請求項の範囲を逸脱することなく、提供しうる。本発明の方法および構造物の詳細は、本明細書を通して、特に、以下の記載から、分かるだろう。
【0026】
図4は、超臨界流体中の材料を処理する方法の簡略なフローチャート800を示す。この図面は、一例にすぎず、本発明の請求項の範囲を、不当に限定すべきではない。
【0027】
具体的な実施形態において、方法は、開始の工程801で始まる。方法は、上記のような、または、他のものであってもよい高圧結晶成長または材料処理用の装置を用意すること(工程803を参照)によって、始まる。ある実施形態において、装置は、半径方向拘束構造物に囲まれて、冠部板とダイ拘束部材間に連結したタイロッドによって軸方向に支持された(例えば、円筒状の)内部またはカプセル領域を有する。ある実施形態において、カプセル領域へと冠部板部材を通り抜ける開口領域は、冠部閉鎖構造物によって閉じうる。
【0028】
具体的な実施形態において、方法は、例えば、アンモニアなどの溶媒を保持するカプセルまたは処理室を用意する(工程805を参照)。具体的な実施形態において、方法は、溶媒、出発種結晶、および、多結晶原料を保持するカプセルを、カプセル領域の内部領域に配置する(工程807を参照)。方法は、熱エネルギーでカプセルを処理し(工程809を参照)、カプセル内の温度を、20℃より高い温度まで上昇させて、溶媒を過熱させる。
【0029】
図4を参照すると、方法は、過熱された溶媒の処理から、結晶性材料を形成する(工程811を参照)。ある実施形態において、結晶性材料は、GaN、AlGaN、InGaNなどのガリウム含有窒化物結晶を含む。具体的な実施形態において、方法は、カプセルから熱エネルギーを除去し(工程813を参照)、カプセルの温度を、第1の温度から、第1の温度より低い第2の温度に変化させる。エネルギーを除去して、温度を適切なレベルに低下させると、方法は、少なくともカプセルを適切な位置に機械的に保持していた冠部材内の開口領域を開ける(工程815を参照)。ある実施形態において、方法は、カプセルを、カプセル領域から取り除き(工程817を参照)、装置から解放させる。
【0030】
具体的な実施形態において、ここで、カプセルは、装置から解放されている。具体的な実施形態において、カプセルを開ける、工程819。ある実施形態において、結晶性材料を、カプセルの内部領域から取り除く、工程821。実施形態によっては、更に挿入または追加される他の工程があるか、または、ある工程を取り除いてもよい。具体的な実施形態において、方法は、停止の工程823で終了する。
【0031】
上記のような一連の工程は、本開示の一実施形態による方法を提供する。具体的な実施形態において、本開示は、構成された支持部材を有する高圧装置によって提供される方法、および、結果的に得られる結晶性材料を提供する。工程を追加するか、1つ以上の工程を除くか、または、1つ以上の工程を異なる順序で提供する代わりの他の方法も、本発明の請求項の範囲を逸脱することなく、提供しうる。
【0032】
ある実施形態において、上記のような方法などによって成長させたガリウム含有窒化物結晶またはブールを、スライスするか切断して、ウエハを形成する。スライス、切断、または、ソーイングを、内径ソーイング、外径ソーイング、固定砥粒マルチワイヤーソーイング、固定砥粒マルチブレードソーイング、マルチブレードスラリーソーイング、マルチワイヤースラリーソーイング、イオン注入、および、層分離などの従来から知られた方法によって、行いうる。ウエハは、従来から知られた方法により、ラッピングするか、研磨するか、および、化学‐機械的に磨いてもよい。
【0033】
1つ以上の活性層を、十分に結晶化したガリウム含有窒化物ウエハ上に積層してもよい。活性層は、発光ダイオード、レーザダイオード、光検出器、アバランシェフォトダイオード、トランジスタ、整流器、および、サイリスタの少なくとも1つ;トランジスタ、整流器、ショットキー整流器、サイリスタ、PINダイオード、金属‐半導体‐金属ダイオード、高電子移動度トランジスタ、金属半導体電界効果トランジスタ、金属酸化物電界効果トランジスタ、電力用金属酸化物半導体電界効果トランジスタ、電力用金属絶縁体半導体電界効果トランジスタ、バイポーラ接合トランジスタ、金属絶縁体電界効果トランジスタ、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ、電力用絶縁ゲートバイポーラトランジスタ、電力用縦型接合電界効果トランジスタ、カスケードスイッチ、内部サブバンドエミッタ、量子井戸赤外線光検出器、量子ドット赤外線光検出器、太陽電池、および、光電気化学的水分解および水素生成用ダイオードの1つなどの、光電子装置または電子装置に組み込んでもよい。
【0034】
具体的な実施形態を十分に記載したが、様々な変更、および、代わりの構成、並びに、等価物を用いてもよい。したがって、上記のような記載および図面は、添付の請求項によって画定される本開示の範囲を限定するものと捉えるべきではない。
【符号の説明】
【0035】
200、250、300、350 装置
201 半径方向拘束構造物
202、217 冠部材
203 セラミックリング
211、251 端部プラグ
219、221 ダイ拘束部材
231、235 軸方向拘束構造物
331、335 ヨーク部
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4