(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記監視制御部は、前記異常検出制御により異常または通知すべき状態を検出した場合に、当該異常または通知すべき状態を検出した旨を、移動体内の出力装置に伝送して出力させることを特徴とする請求項1に記載の車載ゲートウェイ装置。
前記監視制御部は、データ収集・伝送制御において前記各データソースから収集されたデータを、移動体外のネットワークに接続されたサービス提供装置に送信するとともに、前記サービス提供装置において前記異常検出制御とは異なる監視ルールで行われる、受信した前記データに対する異常検出処理の結果を受信することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の車載ゲートウェイ装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、実施形態につき、図面を参照して説明する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の車載ゲートウェイ装置100(以下、車載GW装置と称する)が適用された車内及び車外のネットワーク構成図である。車載GW装置100は、車内のデータソース300と直接接続されたり、データソース300が接続される車載ネットワークと接続されたりする車載器である。なお、本実施形態では、車両を一例に説明するが、他の移動体(電車、自動で又は無線により遠隔操作されるロボットや飛行体など)にも適用可能である。
【0009】
車載GW装置100は、車外ネットワークと接続することができ、車内と車外を中継するネットワークノードとして構成される。車載GW装置100は、アクセスポイントを経由したWi−Fiなどの無線LAN規格に準拠する無線通信、及び基地局を中継した3GやLTE(LongTerm Evolution)などの携帯電話通信の各通信インターフェースを備えている。車載GW装置100は、車両外部の車外ネットワークと複数の通信経路(外部通信方式)で接続することができる。
【0010】
車外ネットワークは、例えば、IP(Internet Protocol)網である。車載GW装置100は、IP網を経由してサービス提供装置500に接続することができる。車載GW装置100は、車内のデータソース300から取得した各種データをサービス提供装置500にアップロードしたり、サービス提供装置500から各種データを受信したりすることができる。
【0011】
また、
図1に示すように、車載GW装置100は、Wi−Fiや3G/LTEの通信インターフェースを備えた携帯情報端末400を介して、車外ネットワークと接続することもできる。車載GW装置100は、携帯情報端末400に対し、USB接続したり、無線通信やBluetooth(登録商標)/NFCなどの規格に基づく近距離通信で接続したりすることができる。携帯情報端末400は、スマートフォンなどの多機能携帯電話機、携帯電話機、タブレット端末などの通信機能を備えたモバイル機器である。また、ユーザは、車載GW装置100とは関係なく、携帯情報端末400や他の通信機能を備えたコンピュータ装置から直接サービス提供装置500に接続することができる。
【0012】
次に、車載GW装置100は、車内のデータソース300に、直接または既設の車載ネットワークを介して接続することができる。データソース300は、例えば、マイク(集音装置)、人感センサやユーザが装着するバイタルセンサなどのセンサ機器300A、カメラ(撮影装置)が搭載されたドライブレコーダーや車内を撮影する車内カメラなどの車載カメラ300B、液晶ディスプレイ装置などの表示手段を備えたナビゲーションシステムなどの車載情報端末300C、車載LAN300Dなどがある。車載LAN300Dでは、車両制御系の車両ECUやマルチメディア系のオーディオ機器などがデータソースとなる。
【0013】
車載GW装置100は、各データソース300又は車載ネットワークが備える通信方式に応じて、データソース300毎に異なる通信方式でデータ通信を行う。例えば、センサ機器300Aは、近距離無線通信でデータ通信を行う。車載カメラ300Bは、車載GW装置100とケーブルで接続されたシリアル(UART)通信(RS232C,RS422,RS485)でデータ通信を行う。車載情報端末300Cは、LANケーブルで接続されたEthernet通信でデータ通信を行う。
【0014】
なお、車載カメラ300Bは、例えば、UART回路やMIDI端子などを含むインターフェースボードを備えることができる。この場合、車載カメラ300Bは、MIDI端子を介して車載情報端末300Cや他のディスプレイに、撮影した映像を出力して表示させることができる。
【0015】
車載LAN300Dは、CAN(controller area network)、FlexRay、LIN、MOST(media oriented systems transport)などの通信方式で車載ネットワークが組まれている。車載GW装置100は、車載LAN300Dを構成する1つ又は複数の車載ネットワークそれぞれに接続し、各通信方式でデータ通信を行う。
【0016】
図2は、車載GW装置100の構成ブロックを示す図である。車載GW装置100は、ハードウェア構成として、各データソース300(車載LAN300Dを含む)や携帯情報端末400との間の通信インターフェースを構成する通信デバイス110と、車載GW装置100全体の制御を行う制御デバイス120と、を含んでいる。
【0017】
通信デバイス110は、Ethernet、CAN、UART、USB、近距離無線通信などの車内通信(内部通信)インターフェース111と、無線通信、携帯電話通信などの車外通信(外部通信)インターフェース112と、を含む。なお、車内通信インターフェースは、上述のように、携帯情報端末400経由での車外ネットワークへの接続のために、携帯情報端末400との間の無線通信機能を含むように構成することができる。
【0018】
制御デバイス120は、主にソフトウェアによって動作する各機能部を含んで構成されている。制御デバイス120は、まず、各データソース300に対する制御を行うことができる。例えば、センサ機器300Aのセンサ制御(動作やデータ検出)、車載カメラの撮影制御(映像出力制御を含む)、車載情報端末300Cの端末制御を行うことができる。
【0019】
したがって、制御デバイス120は、車外ネットワークから受信したデータをデータソース300に出力したり、受信したデータに基づいてデータソース300を制御したりすることができる。また、データソース300間で、一方又は双方のデータソース300を制御することができる。例えば、センサ機器300Aで取得された検出データや車載カメラ300Bで撮影された映像を、車載情報端末300Cのディスプレイに表示する制御を行うこともできる。
【0020】
そして、本実施形態の制御デバイス120は、車内通信制御部121、車外通信制御部122、及びゲートウェイ制御部(GW制御部)123を含んでいる。
【0021】
車載GW装置100は、無線通信や携帯電話通信、UART、USB、近距離無線通信等の各デバイスドライバがインストールされている。車内通信制御部121及び車外通信制御部122は、各デバイスドライバを通じて、車内通信インターフェース111及び車外通信インターフェース112を介した通信制御を行う。また、車内通信制御部121は、デバイスドライバを介さずに、例えば、車載LAN300Dとの間の通信制御を行うこともできる。
【0022】
なお、車外通信制御部122は、Wi−Fiなどの無線通信のアクセスポイント登録処理を行うことができる。例えば、車外通信制御部122は、車両の物理的な移動に伴って各所のアクセスポイントを検出し、登録することができる。
【0023】
GW制御部123は、ネットワーク制御部123Aと、通信制御部123Bと、記憶部123Cとを含んで構成されている。ネットワーク制御部123Aは、ルーティング制御部1231、プロトコル変換部1232及びセキュリティ部1233を含んでいる。ルーティング制御部1231は、各データソース300(車載LAN300Dを含む)から収集されるデータを車外ネットワークに送信する際のルーティング制御、及び車外ネットワークから受信されたデータを各データソース300に伝送する際のルーティング制御を行う。また、車内ネットワーク内でのデータソース300間でのデータ通信におけるルーティング制御も行う。
【0024】
プロトコル変換部1232は、各データソースに対応する異なる通信方式間でのプロトコル変換処理を行う。データソース300別の通信方式をプロトコル変換表として予め保持しておくことができ、例えば、車外ネットワークから受信されたデータをデータソース300に伝送する際にプロトコル変換を行う。
【0025】
セキュリティ部1233は、SSL(Secure Sockets Layer)/TLS(Transport Layer Security)プロトコルの通信設定及び通信処理を行う。SSL/TLS通信は、データソース300毎に設定することができ、セキュリティ部1233は、車内ネットワークから車外ネットワークにデータが送信される際に、SSL/TLSの設定有無を確認し、暗号化処理を行うことができる。
【0026】
記憶部123Cは、制御デバイス120で処理される各種データ、各処理のために使用される情報、車外ネットワークから受信したデータや情報などを記憶する。
図2の例では、記憶部123Cが車載GW装置100に内蔵されているが、例えば、記憶部123Cが車載GW装置100に対して外付けされてもよい。この場合、車載GW装置100は、外付けの記憶部123Cと接続するための接続ポート(USBポートなど)を備えることができる。
【0027】
通信制御部123Bは、通信状態監視部1234、通信経路選択部1235、監視制御部1236、及びConfig設定制御部1237を含んでいる。通信制御部123Bは、Config設定情報に基づいて、通信経路選択制御、データ監視制御、及びデータソース300から収集されたデータを車外ネットワークに伝送するデータ伝送制御を行う。
【0028】
図3から
図6は、本実施形態のConfig設定情報の一例を示す図である。
【0029】
図3は、通信接続Config設定情報の一例を示す図であり、通信経路選択部1235の通信経路選択制御に用いられる。通信接続Config設定は、車内ネットワークから車外ネットワークへのデータ伝送時の通信経路設定と、車外ネットワークから車内ネットワークへのデータ受信時の通信経路設定と、が含まれる。
【0030】
本実施形態の車載GW装置100は、車両などの移動体に搭載される。このため、例えば、車載GW装置100は、ネットワークノードとして動的IPアドレスが割り当てられる。車載GW装置100は、データの送受信の際、能動的に車外ネットワークのサービス提供装置500に接続してコネクションを張る。
【0031】
車外ネットワークからデータ受信を行う場合の通信接続は、主に、Configuration設定の通信経路と、大規模データ配信の通信経路とがある。Config設定情報は、後述するように、サービス提供装置500から受信することが可能である。また、大規模データ配信は、例えば、車載情報端末300Cに用いられる地図データなどである。
【0032】
通信接続の設定内容は、自動設定又は/及び優先設定がある。車載GW装置100は、複数の通信方式の経路で、車外ネットワークに接続することができる。例えば、Wi−Fi、携帯情報端末経由及び3G/LTEの3つの経路の中から1つを選択したり、3つの経路に優先度を設定したりすることができる。また、「自動」の優先度は、例えば、Wi−fi>携帯情報端末経由>3G/LTEのように、予め任意に決めておくことができる。
【0033】
一方、車内ネットワークから車外ネットワークへのデータ伝送時の通信接続は、例えば、バイタル情報アップロードの通信経路と、車両情報アップロードの通信経路と、ログ情報アップロードの通信経路と、がある。また、車載カメラ300Bで撮影された映像や画像をアップデートする通信経路も含むことができる。これらの通信経路においても、同様に自動設定又は/及び優先設定を行うことができる。
【0034】
また、通信接続Config設定は、車載GW装置100が利用する複数の通信経路それぞれの有効/無効の設定が含まれる。Wi−Fi通信利用設定、3G/LTE通信利用設定、携帯情報端末通信利用設定の有効(ON)/無効(OFF)を設定することができる。このとき、設定された優先順位で通信経路を選択する場合、通信利用設定の有効/無効を優先させて、無効に設定された通信経路を選択しないように制御することができる。
【0035】
さらに、通信接続Config設定には、車外ネットワークの接続先であるサービス提供装置500のURL指定(登録)が含まれる。車載GW装置100は、複数のサービス提供装置500と接続する場合は、複数のURLが指定される。ここで、データノード300毎に、異なるサービス提供装置500に接続してもよい。すなわち、データソース毎に、接続するサービス提供装置500を関連付け、特定のサービス提供装置500に特定のデータソースから取得されたデータを伝送するように制御することもできる。
【0036】
図4は、車載LANConfig設定情報の一例を示す図である。車載LANConfig設定情報は、監視制御部1236の監視制御に用いられる。車載LAN300Dは、例えば、車両ECUで監視される車両情報を車載GW装置100に出力することができる。
【0037】
車載LANConfig設定情報は、車両情報転送(アップロード)周期、平均車速閾値、運転時間閾値などの設定情報が含まれる。また、サービス提供装置500に伝送する車両情報を選択するためのON/OFF設定情報も含まれる。例えば、車速、エンジン回転数、水温、消費燃料、走行距離、セレクトレバー位置などの各車両情報の伝送ON/OFFを設定することができる。
【0038】
図5は、センサ機器Config設定情報の一例を示す図である。センサ機器Config設定情報は、監視制御部1236の監視制御に用いられる。センサ機器300Aは、例えば、ユーザの心拍数、脈拍の間隔、血圧などを測定又は/及び算出して車載GW装置100に出力することができる。
【0039】
センサ機器Config設定情報は、バイタル情報転送(アップロード)周期、心拍数転送閾値、心拍数異常閾値などの設定情報が含まれる。サービス提供装置500に伝送するバイタル情報を選択するためのON/OFF設定情報も含まれる。例えば、心拍数、脈拍間隔、脈波伝搬時間、振幅値などの各バイタル情報の伝送ON/OFFを設定することができる。
【0040】
図6は、ログConfig設定情報の一例を示す図である。GW制御部123は、制御デバイス120全体の各処理の正常/異常を示すログを収集することができる。GW制御部123に含まれる各部は、それぞれの処理毎にログを生成して記憶領域に記憶する。ログConfig設定情報は、蓄積されたログ情報をサービス提供装置500にデータ伝送するタイミングを設定する。
【0041】
Config設定制御部1237は、制御デバイス120に入力されたConfig設定情報を、通信経路選択部1235及び監視制御部1236が利用できるように所定の記憶領域にセット(更新)する。
【0042】
ここで、Config設定情報は、車載情報端末300Cを介して設定することができる。Config設定制御部1237は、例えば、車載情報端末300CのディスプレイにConfig設定入力画面を表示し、該入力画面からユーザによって入力されたConfig設定情報を記憶することができる。車載情報端末300CでConfig設定情報が入力され、セットされた場合、Config設定制御部1237は、セット(更新)されたConfig設定情報を所定のタイミング及び所定の通信経路で、サービス提供装置500にアップロードする。
【0043】
また、Config設定情報は、サービス提供装置500で設定することもできる。例えば、ユーザは、携帯情報端末400からサービス提供装置500に接続し、サービス提供装置500が、Config設定制御部1237と同様のConfig設定機能を提供することができる。サービス提供装置500は、携帯情報端末400のディスプレイにConfig設定入力画面を表示し、該入力画面からユーザによって入力されたConfig設定情報をサービス提供装置500内の記憶領域に記憶することができる。そして、サービス提供装置500は、車載GW装置100からのConfig取得要求に基づいて、設定されたConfig設定情報を伝送する。Config設定制御部1237は、サービス提供装置500から受信したConfig設定情報を更新する。
【0044】
図7は、Config設定情報の更新登録処理を示すフローチャートである。ユーザは、携帯情報端末400からサービス提供装置500に接続し、サービス提供装置500が提供するConfig設定機能を通じて、ユーザ別にConfig設定情報を登録(更新)することができる(S501,S601)。つまり、車外ネットワーク側でConfig設定情報を更新登録することができる。
【0045】
車載GW装置100は、例えば、車両のイグニッションスイッチのON/OFFに連動して、車両のバッテリなどから電力供給を受けて起動することができる(S101)。車載GW装置100は、起動時にサービス提供装置500に接続して、サービス提供装置500に直接更新・登録されたConfig設定情報を取得することができる。このとき、車載GW装置100は、
図3に示した通信接続Config設定情報に基づいて、通信経路選択処理を行う(S102)。
【0046】
車載GW装置100(Config設定制御部1237)は、選択された通信経路でサービス提供装置500にConfig設定情報取得要求を送信する(S103)。サービス提供装置500は、要求に応答してConfig設定情報を伝送する(S502)。車載GW装置100は、受信したConfig設定情報を更新する(S104)。
【0047】
また、上述したように、車載情報端末300CがConfig設定機能を提供することができる。車載情報端末300Cは、ユーザが入力したConfig設定情報を車載GW装置100に出力する(S301)。車載GW装置100は、入力されたConfig設定情報を更新する(S105)。車載情報端末300C側、つまり、車内ネットワーク側でConfig設定情報が更新登録された場合、車載GW装置100は、通信接続Config設定情報に基づいて、通信経路選択処理を行い(S106)、所定のタイミングでサービス提供装置500にConfig設定情報をアップロードする(S107)。サービス提供装置500は、車載GW装置100からアップロードされたConfig設定情報を、ユーザ別に更新登録する(S503)。
【0048】
なお、車載GW装置100とサービス提供装置500との間のデータ通信は、予め設定されるユーザの識別IDや車両GW装置100の固体識別子(例えば、MACアドレス)などを用いて、双方で認証を行うことができる。車載GW装置100は、サービス提供装置500との間のデータ通信において、アップロードするデータは、固体識別子が含まれるように制御する。
【0049】
図8は、通信経路接続処理を示すフローチャートである。車載GW装置100(通信制御部123B)は、起動後、
図3に示す通信接続Config設定情報を取得する(S110)。車載GW装置100は、接続フラグがONの通信経路に対して通信接続処理を行う(S111)。接続フラグとは、各通信方式の通信利用設定における有効(ON)/無効(OFF)である。
【0050】
本実施形態では、接続フラグがONの通信経路が複数ある場合、複数の通信経路全ての通信接続を維持するように、制御される。すなわち、車載GW装置100の監視制御やデータ収集・伝送制御に関係なく、接続フラグがONの複数の通信経路全てに対し、常時接続状態を維持するように制御される。そして、データソース300毎に、各通信経路の通信状態に応じてConfig設定に基づく適切な通信経路選択を行い、車外ネットワークとの間でデータ通信を行う。
【0051】
通信状態監視部1234は、接続フラグがONの通信経路の通信状態(接続中/遮断)を監視する(S112)。通信状態監視部1234は、各通信経路の通信状態を通信制御部123Bに出力する。次に、通信状態監視部1234は、接続状態監視終了信号(例えば、車両のイグニッションスイッチのOFF信号)の有無を確認する(S113)。監視を終了しない場合は、ステップS114に進み、通信制御部123Bは、接続フラグがONの通信経路が遮断されていないと判別された場合(S114のNO)、通信状態の監視を継続する。一方、遮断されていると判別された場合(S114のYES)、ステップS111に戻り、通信制御部123Bは、接続フラグがONで、遮断されている通信経路に対し、再度通信接続処理を行う。一方、ステップS113において、接続状態監視終了信号の入力があり、監視を終了する場合は、ステップS115に進み、接続中の全ての通信経路の遮断処理を行う。
【0052】
図9は、データソース毎の監視制御を示すフローチャートである。
【0053】
通信制御部123Bは、各データソース300のConfig設定情報を取得する(S131)。ここで、通信状態監視と同様に、例えば、車両のイグニッションスイッチのOFF信号などのデータソースの監視制御を終了する信号の有無を確認する(S132)。監視制御を行うと判別された場合(S132のNO)、データソース300毎に設定されたConfig設定情報に基づく監視制御を行う。
【0054】
データソース300は、時系列に連続したデータを車載GW装置100に出力することができる。Config設定情報に基づく監視制御は、データソース300から収集されるデータを監視し、例えば、閾値を超えるデータが検出された場合に異常発生を検知する異常検出制御(S133)と、データソース300から収集されたデータを、車外ネットワークに伝送するデータ収集・伝送制御(S134)とが含まれる。
【0055】
監視制御部1236は、データソース300から出力されるデータを対象に、データソース毎に異常検出を行い、異常が検出された場合、例えば、車載情報端末300Cに異常が検出された旨を表示する通知処理を行うことができる。
【0056】
図10及び
図11は、異常監視制御の一例を示す図である。
図10は、車載LANConfig設定情報に基づく異常監視制御の処理フローを示すフローチャートである。
【0057】
図10に示すように、監視制御部1236は、車載LAN300D(車両ECUなど)から車両情報を取得する(S133A)。監視制御部1236は、設定された運転時間間隔での平均車速を算出する(S133B)。監視制御部1236は、算出された平均車速が、車載LANConfig設定情報で設定された平均車速閾値を超えているか否かを判定する判定処理を行う(S133C)。判定処理の結果、算出された平均車速が、平均車速閾値を超えていなければ(S133DのYES)、異常通知フラグをOFFであるか否かを確認する(S133E)。異常通知フラグがONである場合(S133EのNO)、異常通知フラグをOFFに更新する(S133H)。
【0058】
一方、ステップS133Dにおいて、判定処理の結果、算出された平均車速が、平均車速閾値を超えていると判別された場合(S133DのNO)、異常通知フラグをONに更新する(S133F)。監視制御部1236は、異常通知フラグがONであることに基づいて、車載情報端末300Cへの通知処理を行う(S133G)。
【0059】
図11は、センサ機器Config設定情報に基づく監視制御の処理フローを示すフローチャートである。
図11に示すように、監視制御部1236は、センサ機器300A(心拍計や脈拍計などのバイタルセンサ)からバイタル情報を取得する(S1331)。監視制御部1236は、取得されたバイタル情報から心拍数を算出し(S1332)、算出された心拍数を保存する(S1333)。監視制御部1236は、算出された心拍数が、センサ機器Config設定情報で設定された心拍数異常閾値を超えているか否かを判定する判定処理を行う(S1334)。判定処理の結果、算出された心拍数が、心拍数異常閾値を超えていなければ(S1335のYES)、異常通知フラグをOFFであるか否かを確認する(S1336)。異常通知フラグがONである場合(S1336のNO)、異常通知フラグをOFFに更新する(S1339)。
【0060】
一方、ステップS1335において、判定処理の結果、算出された心拍数が、心拍数異常閾値を超えていると判別された場合(S1335のNO)、異常通知フラグをONに更新する(S1337)。監視制御部1236は、異常通知フラグがONであることに基づいて、車載情報端末300Cへの通知処理を行う(S1338)。
【0061】
図12は、監視制御部1236のデータ収集・伝送制御を示すフローチャートである。データ収集・伝送制御は、データ伝送制御、通信経路選択、及び通信遮断時のデータ保持の各処理を含んでいる。
【0062】
データ伝送制御は、Config設定情報に基づいて、車外ネットワークに伝送するデータのフィルタリング制御と、データ伝送タイミング制御とを行う。監視制御部1236は、各データソース300からデータを取得し(S1341)、Config設定情報に基づいて、収集したデータの伝送可否判定処理を行う(S1342)。
【0063】
例えば、閾値を設定し、閾値を超えるデータのみを伝送することができる。監視制御部1236は、Config設定情報に基づいて、伝送対象データであるか否かを判定し(S1343)、収集されたデータが伝送対象データであれば、該当するデータを車外ネットワークに伝送するように制御する(S1343のYES)。一方、収集されたデータが伝送対象データでなければ、そのデータは、車外ネットワークに伝送しないように制御する(S1343のNO)。
【0064】
さらに、データ伝送制御では、データ伝送のタイミングも制御することができる。例えば、データソース300が短い時間間隔でデータを出力する場合、全てのデータを車外ネットワークに伝送すると、通信量が増えてしまう。そこで、Config設定情報に基づいて、データソースのデータ出力時間間隔よりも長いデータ転送間隔を設定する。監視制御部1236は、Config設定情報に基づいて、ステップS1343で伝送対象データとして判別されたデータの送信タイミングを判別する(S1344)。監視制御部1236は、現時点が設定された送信タイミング(転送周期)であれば(S1344のYES)、伝送対象データを車外ネットワークに伝送するように制御し、送信タイミングでなければ(S1344のNO)、伝送対象データを車外ネットワークに伝送しないように制御する。
【0065】
このように、データソース300から時系列に連続して出力されるデータのうち、所定タイミングのデータのみ伝送するように間引いて送信量を少なくすることができる。なお、異常検出制御で異常が検出されたデータは、必ず車外ネットワークに伝送されるように、フィルタリング制御及びデータ伝送タイミング制御を行うことができる。また、フィルタリング制御及びデータ伝送タイミング制御は、上述のように連動させているが、いずれか一方の制御を適用するように構成することもできる。
【0066】
通信経路選択部1235は、監視制御部1236によるデータ収集・伝送制御における車外ネットワークへの通信経路選択処理を行う。通信経路選択部1235は、通信状態監視部1234による通信経路の監視に基づいて通信状態を確認すると共に(S1345)、通信接続Config設定情報から伝送するデータのデータソース300毎に、指定された又は優先順位に基づいて接続中の通信経路を選択する(S1346)。
【0067】
監視制御部1236は、通信経路選択部1235によって通信経路が選択された場合(S1347のYES)、Config設定情報に基づいて収集されたデータを、車外通信制御部122を介して車外ネットワーク(サービス提供装置500)に伝送する(S1348)。なお、車外ネットワークに伝送したデータは、車載GW装置100から適宜削除するように構成してもよい。
【0068】
ここで、通信経路選択部1235は、通信接続Config設定情報で設定された通信経路が全て遮断状態である場合、接続中の通信経路を選択できない。そこで、監視制御部1236は、指定された又は優先順位に基づく通信経路が選択できないとき(S1347のNO)、車外ネットワークへのデータ伝送が行えないものとして、通信遮断時のデータ保持処理を行う(S1349)。
【0069】
通信遮断時のデータ保持処理は、監視制御部1236によって収集されたデータを、通信経路が利用可能となるまで時系列に一時的に蓄積する処理である。監視制御部1236は、ステップS1348のデータ送信処理において、前回のデータ伝送タイミングでデータ伝送が行えずに一時的に保持されたデータを、今回収集されたデータと一緒に車外ネットワークに送信することができる。
【0070】
例えば、データ送信タイミングにおいて、Wi−Fiが利用できず、3G/LTEが利用できる場合、データ送信を行わずに一時的に保存し、Wi−Fiが利用できるようになったときに、まとめて車外ネットワークへのデータ送信を行うことができる。この場合、例えば、車載カメラ300Bで撮影された映像を車外ネットワークに伝送する場合、データ容量が大きいため、Wi−Fiが利用できる環境下になるまで一時的に映像データを保持しておき、Wi−Fiが利用可能なときにまとめて伝送することができる。
【0071】
したがって、車外ネットワークへの送信するデータ容量やデータの優先度に基づいて、例えば、車載カメラ300Bの映像データは、Wi−Fiのみ通信経路、車載LAN300Dの車両情報は、Wi−Fi又は3G/LTEの通信経路、異常監視制御で検出された異常情報は、全ての通信経路(Wi−Fi,3G/LTE,携帯情報端末経由のいずれか)、と設定することができる。
【0072】
なお、本実施形態の異常監視制御とデータ収集・伝送制御とは、独立して実行される。つまり、データソース300から収集された各種データが、通信遮断で車外ネットワークに伝送できない状態であっても、異常監視制御によって検出された異常ステータスを、車載情報端末300Cを介してユーザに通知することができる。このため、車外ネットワークとの通信状態に関係なく、ユーザに対して異常ステータスの通知を行うことができる。
【0073】
次に、サービス提供装置500のサービス例について説明する。例えば、サービス提供装置500は、車載GW装置100から受信した車両情報やバイタル情報を、車両運行情報、ユーザの健康管理情報として提供することができる。例えば、ユーザは、携帯情報端末400からサービス提供装置500に接続すると、車載GW装置100から受信した車両情報やバイタル情報に基づく各モニタリング結果(モニタリング画面)を閲覧することができる。
【0074】
また、サービス提供装置500は、車載GW装置100から受信した車両情報やバイタル情報のモニタリング結果に対し、車載GW装置100に、情報提供を行うことができる。例えば、サービス提供装置500は、監視制御部1236の異常検出制御とは異なる閾値を設定して異常検出を行ったり、平均車速以外に受信した複数の車両情報(エンジン回転数、水温、消費燃料、走行距離、セレクトレバー位置など)から複合的な異常検出を行ったりして、検出結果を車載GW装置100にフィードバックすることができる。なお、車載GW装置100の異常検出制御は、サービス提供装置500の異常検出制御とは独立して行われる。サービス提供装置500の異常検出制御は、通信が遮断された状態では、車載GW装置100から車両情報やバイタル情報などを取得できないためである。監視制御部1236での異常検出制御は、通信遮断時であっても継続して行われる。
【0075】
また、他のサービス例として、音声認識処理がある。車載GW装置100は、データソースとして集音マイクからユーザの音声情報を取得することができる。車載GW装置100は、音声情報をサービス提供装置500に送信する。サービス提供装置500は、音声認識機能を備え、受信した音声情報をテキスト変換することができる。この音声認識機能を活用し、サービス提供装置500は、例えば、ユーザが、「暑い」と発声したと認識した場合、車内エアコンの空調温度を所定温度低下させるエアコン制御信号を生成して、車両GW装置100に送信することができる。車両GW装置100は、受信したエアコン制御信号を車載LAN300Dに送出し、車両ECUによる車内エアコンの空調温度を低下させる制御が行われるようにすることができる。
【0076】
図13から
図17は、他の実施態様を説明するための図である。
図13は、環境センサの通信接続Config設定情報の一例を示す図である。環境センサは、上述のセンサ機器300Aである。環境センサとして、温度センサ、湿度センサ、気圧センサ、衝撃(加速度)、照度センサなどがある。設定内容及び設定値については、
図3の例と同様に、車内ネットワークから車外ネットワークへのデータ伝送時の通信経路が設定されている。なお、
図13の例では、複数のセンサを1つの環境センサとして共通した通信接続Config設定情報が規定されているが、センサ毎に個別に規定することもできる。
【0077】
図14は、環境センサConfig設定情報の一例を示す図である。
図14に示す環境センサConfig設定情報を適用することで、温度センサ、湿度センサ、気圧センサ、衝撃(加速度)、照度センサなど各環境センサをデータソースとする、
図9〜
図11で説明した監視制御(異常検出制御及びデータ収集・伝送制御)を行うことができる。なお、
図14の例では、複数のセンサを1つの環境センサとして共通した転送周期が規定されているが、センサ毎に個別に規定することもできる。
【0078】
図15は、環境センサConfig設定情報に基づく異常監視制御の処理フローを示すフローチャートである。
【0079】
図15に示すように、監視制御部1236は、各環境センサからセンサ情報を取得する(S133a)。監視制御部1236は、取得したセンサ情報を保存すると共に(S133b)、環境センサConfig設定情報で設定されたセンサ毎に、対応する閾値を超えているか否かを判定する判定処理を行う(S133c)。判定処理の結果、収集されたセンサ情報が閾値を超えていなければ(S1335のYES)、異常通知フラグをOFFであるか否かを確認する(S1336)。異常通知フラグがONである場合(S1336のNO)、異常通知フラグをOFFに更新する(S1339)。一方、ステップS1335において、判定処理の結果、センサ情報が閾値を超えていると判別された場合(S1335のNO)、異常通知フラグをONに更新する(S1337)。監視制御部1236は、異常通知フラグがONであることに基づいて、車載情報端末300Cへの通知処理を行う(S1338)。
【0080】
図16は、車載カメラConfig設定情報の一例を示す図である。車載カメラ300Bは、例えば、車内撮影カメラや車外撮影カメラなど、1つ又は複数のカメラを備えるように構成することができる。
【0081】
例えば、車外撮影カメラで撮影された撮影情報から車両外部の移動体(撮影範囲に飛び込んでくる移動体など)を検知することができる。また、道路などに置かれるロードコーン(カラーコーン(登録商標))を、車外撮影カメラで撮影された撮影情報から検知することができる。また、車外撮影カメラで撮影された情報から車両付近の人及び人までの距離を検知することができる。これら
図16に示す車載カメラConfig設定情報を適用することで、車載カメラ300Bをデータソースとする、
図9〜
図11で説明した監視制御(異常検出制御及びデータ収集・伝送制御)を行うことができる。なお、
図16の例では、1つのデータソースから異なる複数の監視制御を行い、共通した転送周期が規定されているが、個別に設定することもできる。
【0082】
図17は、車載カメラConfig設定情報に基づく異常監視制御の処理フローを示すフローチャートである。
【0083】
図17に示すように、監視制御部1236は、車載カメラ300Bから撮影情報を取得する(S133d)。監視制御部1236は、撮影情報に、各監視制御毎に規定された異常検出対象を映っているのか、映っている人や物との距離を算出するなどの画像処理を行い、異常判定処理を行う(S133e)。判定処理の結果、異常が検出されなければ、(S1335のYES)、異常通知フラグをOFFであるか否かを確認する(S1336)。異常通知フラグがONである場合(S1336のNO)、異常通知フラグをOFFに更新する(S1339)。一方、ステップS1335において、判定処理の結果、異常が検出されれば(S1335のNO)、異常通知フラグをONに更新する(S1337)。監視制御部1236は、異常通知フラグがONであることに基づいて、車載情報端末300Cへの通知処理を行う(S1338)。
【0084】
本実施形態の車載GW装置100は、複数の外部通信方式の中から各データソース300別に通信経路を選択すると共に、複数の外部通方式を所定の優先順で並べた優先設定に基づいて、複数の外部通信方式の各通信接続状態に応じてデータソース300毎に通信経路を切り替える。このとき、通信経路を切り替えることには、所定の通信経路以外の通信経路では車外ネットワークと接続しないことが含まれる。
【0085】
そして、データソース300から出力されるデータを監視し、データソース300に応じて選択された通信経路で車外ネットワークにデータを伝送する。このように構成することで、車両などの移動体内のデータソース300を、安定して移動体外のネットワークに接続しつつ、移動体内のデータソース300に応じた適切な通信経路を選択して移動体外のネットワークと接続することができる。
【0086】
このため、外部通信方式の各通信状態を考慮して、各データソース300のデータ種別に応じたサービス提供装置500へのアップロードを安定して行うことができる。また、データ容量が大きいデータを通信速度の大きい通信経路で伝送することができ、通信コストを低減することもできる。
【0087】
また、データソース300毎に設定された伝送タイミングでサービス提供装置500にデータ伝送を行うことで、車外ネットワークにアップロードされるデータ量を低減することができると共に、データソース300毎に接続先を切り替えて複数の各サービス提供装置500にデータ伝送を行うことができる。
【0088】
また、伝送タイミングにおいて、データソース300別の通信経路が遮断されている場合、データされるデータを一時的に記憶するとともに、次回の伝送タイミング時に、前回の伝送タイミングで未送信のデータを再送信する再送信処理を行うので、サービス提供装置500にアップロードされるデータの欠損を防止することができる。
【0089】
また、車載GW装置100は、車外ネットワークへのデータのアップロードとは独立して、異常検出制御を行い、監視ルールを満たすデータを検出する。そして、監視ルールを満たすデータが検出された場合、車載情報端末300Cのディスプレイ装置やスピーカーなどの出力装置を介して、ユーザに通知する通知処理を行う。このため、外部通信に依存せずにユーザや車両の異常検出及びユーザへの通知を行うことができる。
【0090】
(第2実施形態)
図18は、第2実施形態の車載ゲートウェイ装置100(以下、車載GW装置と称する)が適用された車内及び車外のネットワーク構成図である。車載GW装置100は、上記第1実施形態と同様である。本実施形態の車載GW装置100は、他の移動体(無人有人と問わず、通信機器を備える他の移動体や車載GW装置100Aを搭載した他の移動体など)や、サービス提供装置500以外の他の外部接続機器600と、車外ネットワークを介して接続することができる。
【0091】
例えば、複数の移動体それぞれに車載GW装置100を搭載し、移動体間で連携を図ることができる。
図18に示すように、車載GW装置100が搭載された第1の移動体と、車載GW装置100Aが搭載された第2の移動体と、が無線通信で相互に通信し、連携することができる。
【0092】
図16に示した車載カメラConfig設定情報を一例に説明すると、例えば、第1の移動体と第2の移動体とがお互いに関連して移動しているとする。並走又は先行する第1の移動体が、監視制御において障害物(人や車両を含む)を検知したとき、第2の移動体に障害物の検知情報を無線通信で直接伝送し、第2の移動体にリアルタイムに知らせるように構成することができる。この場合、
図3に示した通信接続Config設定情報に、双方の移動体の設定情報(車載GW装置100AのMACアドレスなど)が設定され、
図16に示した車載カメラConfig設定情報には障害物(人や車両を含む)を検知したときの制御として、登録された他の車載GW装置100に、検知情報を伝送する処理が設定される。なお、第2の移動体に障害物の検知情報を無線通信で直接伝送する際、
図17に示したように、第1の移動体の車載情報端末300Cのディスプレイ装置やスピーカーなどの出力装置を介して、ユーザに通知する通知処理を行うこともできる。
【0093】
さらに、本実施形態では、複数の移動体間の通知処理に加えて、監視制御部1236が、異常検知に伴う制御を移動体に行うよう、アシスト処理を行うことができる。車載GW装置100は、車載LAN300Dを通じて移動体の制御を行う車両ECU(車両制御装置)に、車両制御に関する通知処理や車両制御に関する制御信号の出力処理を行うことができる。車両ECUは、監視制御部1236から出力される通知に基づいて走行停止や減速、ハンドルの自動回避操作などの車両制御を行ったり、監視制御部1236から出力された制御信号に基づいて走行停止や減速、ハンドルの自動回避操作などの車両制御を行ったりすることができる。上述の例で言うと、第1の移動体で障害物が検知された場合、車載GW装置100は、車両ECUに走行停止や減速、ハンドルの自動回避操作に関する通知や制御信号の出力を行い、第1の移動体の制御をアシストすることができる。また、第2の移動体に搭載された車載GW装置100Aも同様であり、第1の移動体の車両制御と同期させて又は独立して、第1の移動体から受信した通知に基づいて第2の移動体の走行停止や減速、ハンドルの自動回避操作などの制御をアシストすることができる。
【0094】
なお、本実施形態の異常検出制御に用いられる監視ルールは、例えば、車載カメラConfig設定情報に予め設定されるとともに、監視ルールに対してアシスト処理に用いられる走行停止や減速、ハンドルの自動回避操作などの車両制御に関する通知や制御信号が予め紐付けられている。
【0095】
また、本実施形態では、車載GW装置100は、外部接続機器600と無線通信で接続することができる。外部接続機器600とは、例えば、持ち運び可能な携帯型の端末装置(Ex、タブレットコンピュータ)である。また、外部接続機器600としては、例えば、無線通信機能を備えた取り外し可能な車載情報端末300Cであってもよい。
【0096】
監視制御部1236は、上述した障害物の検知情報などを外部接続機器600に送信する通知処理(スピーカーからの音声出力を含んでもよい)を行うことができる。外部接続機器600への通知処理は、上述したアシスト処理と同期して又は独立して行うことができる。
【0097】
図19は、第2実施形態のデータソース毎の監視制御及び異常監視制御の処理フローを示すフローチャートである。なお、
図19の例では、車載カメラConfig設定情報に基づく異常監視制御の処理フローを示している。
【0098】
通信制御部123Bは、各データソース300のConfig設定情報を取得する(S131)。データソースの監視制御を終了する信号がなければ(S132のNO)、データソース300毎に設定されたConfig設定情報に基づく監視制御を行う(S133)。
【0099】
監視制御部1236は、車載カメラ300Bから撮影情報を取得する(S133−1)。監視制御部1236は、撮影情報に、各監視制御毎に規定された異常検出対象を映っているのか、映っている人や物との距離を算出するなどの画像処理を行い、異常判定処理を行う(S133−2)。
【0100】
このとき、本実施形態では、車載GW装置100に接続された車載マイク(集音装置)に入力された音情報を収集し、例えば、車内の乗車しているユーザの音声や音量などから、緊急度や危険度のレベルを判定することもできる。音声の場合、車載GW装置100は、車外のサービス提供装置500(音声認識機能を有するサーバ)に音声情報を送信し、音声認識結果をサービス提供装置500から受信することができる。このとき、サービス提供装置500側で、音声認識結果に基づいて緊急度や危険度の判別処理を行い、緊急度や危険度の判別結果を車載GW装置100に送信することもできる。
【0101】
判定処理の結果、異常が検出されなければ、(S133−3のYES)、異常通知フラグをOFFであるか否かを確認する(S133−4)。異常通知フラグがONである場合(S133−4のNO)、異常通知フラグをOFFに更新する(S133−5)。一方、ステップS133−3において、判定処理の結果、異常が検出されれば(S133−3のNO)、異常通知フラグをONに更新する(S133−7)。監視制御部1236は、異常通知フラグがONであることに基づいて、車内への通知処理を行う(S133−8)。
【0102】
ステップS133−8の通知処理は、上記第1実施形態の車内の車載情報端末300Cへの通知処理と、車両制御系への通知処理とがあり、車両制御系への通知処理は、上述した監視制御部1236によるアシスト処理である。ここで、アシスト処理は、上述したように、移動体の走行停止や減速、ハンドルの自動回避操作などがあるが、これらの移動体の制御において、音情報に基づく緊急度や危険度のレベルを反映することができる。例えば、緊急度のレベルが「高」の場合、急ブレーキ制動にて走行を停止させることができる。緊急度のレベルが「低」であれば、急ブレーキ制動よりも小さい制動力で走行を停止させるように制御することができる。このとき、ユーザの声が所定値よりも大きいときやユーザの発話に「あぶない!」などの緊急性の高い言葉が含まれている場合、緊急度のレベルを「高」に設定したりすることができる。
【0103】
また、車外の通知処理として、車載GW装置100は、Config設定情報(例えば、車載カメラConfig設定情報)を参照し、Config設定情報に規定された車外の他の車載GW装置100A、外部接続機器600又は/及びサービス提供装置500に、異常通知フラグがONであることに基づく通知処理を行う(S133−9)。
【0104】
ステップS134では、上記第1実施形態同様に、データソース300から収集されたデータを、車外ネットワークに伝送するデータ収集・伝送制御を行うが、ステップS133−9において、異常通知フラグがONであることに基づく車外への通知処理において、必要なデータ(例えば、検知された障害物の画像や音)を、該当する車外の接続先に伝送するように構成することもできる。
【0105】
このように本実施形態では、上記第1実施形態の各機能に加えて、サービス提供装置500以外の他の車載GW装置100Aや外部接続機器600との間で直接やり取りを行い、車外連携を図ることができる。なお、他の車載GW装置100Aや外部接続機器600との間の通信においても、上記第1実施形態同様に、複数の外部通方式を所定の優先順で並べた優先設定を含む通信接続Config設定情報が規定されている。このため、車載GW装置100(通信経路選択部1235)は、通信接続Config設定情報に基づいて、複数の外部通信方式の各通信接続状態に応じてデータソース毎に通信経路を切り替えて、他の車載GW装置100Aや外部接続機器600に接続することができる。
【0106】
また、車外連携と共に又は独立して、監視制御部1236は、異常判定処理と共に異常判定結果に応じた移動体の制御をアシストするアシスト処理を行い、判定された異常に対して移動体の走行停止や減速、ハンドルの自動回避操作などの制御を自動的に行わせることができる。
【0107】
本実施形態を適用した具体例について説明すると、第1の移動体が無人車両(自動操作車両)、第2の移動体が有人車両であり、第1の移動体と第2の移動体が一緒に走行している場合、無人車両側で車載GW装置100が障害物(例えば、人)を検知した場合、無人車両は、有人車両又は有人車両を操作するユーザが保持する外部接続機器600に、通知処理(画像や音声)を行うと共に、走行停止や減速などの車両制御を自動的に行うことができる。このように構成することで、無人車両の事故を防止することができる。
【0108】
また、外部接続機器600は、通知された異常に対する移動体の制御指示の入力を受け付け、受け付けた制御指示を無人車両の車載GW装置100に伝送することもできる。つまり、無人車両は、車載GW装置100を介して、外部接続機器600から遠隔操作することもできる。
【0109】
他の具体例として、異常が検知された車両の所定の距離範囲にある1つ又は複数の車両に、通知処理を行い、周囲の各車両がアシスト処理を行うこともできる。例えば、事故を起こした車両が、事故現場付近の車両又は事故現場に近づく車両に事故の発生を通知することで、ユーザが自ら又はアシスト処理によって自動的に、車両の走行を停止したり、減速したり、回避操作を行ったりすることができる。事故に伴う二次災害の防止や事故の拡大防止を図ることができる。
【0110】
以上、本実施形態について説明したが、車載ゲートウェイ装置100は、車載ゲートウェイシステムとして構成することができる。例えば、通信デバイス110及び制御デバイス120を個別の装置として構成し、これらを相互に接続した車載ゲートウェイシステムとして構成することができる。また、同様に、制御デバイス120の各機能部も、適宜個別の処理装置として構成して、車載ゲートウェイシステムとして構成することもできる。
【0111】
また、制御デバイス120の各機能は、プログラムによって実現可能であり、各機能を実現するために予め用意されたコンピュータプログラムが補助記憶装置に格納され、CPU等の制御部が補助記憶装置に格納されたプログラムを主記憶装置に読み出し、主記憶装置に読み出された該プログラムを制御部が実行することで、各部の機能を動作させることができる。
【0112】
また、上記プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された状態で、車載GW装置100に提供することも可能である。コンピュータ読取可能な記録媒体としては、CD−ROM等の光ディスク、DVD−ROM等の相変化型光ディスク、MO(Magnet Optical)やMD(Mini Disk)などの光磁気ディスク、フロッピー(登録商標)ディスクやリムーバブルハードディスクなどの磁気ディスク、コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア、SDメモリカード、メモリスティック等のメモリカードが挙げられる。また、本発明の目的のために特別に設計されて構成された集積回路(ICチップ等)等のハードウェア装置も記録媒体として含まれる。また、通信デバイス110を介して車外ネットワークから車載GW装置100に各部を実現するためのプログラムを提供し、インストールさせることもできる。
【0113】
なお、本発明の実施形態を説明したが、当該実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【解決手段】実施形態の車載ゲートウェイ装置は、外部通信及び内部通信の各インターフェースを備える通信デバイスと、内部通信によって各データソースから収集されたデータを移動体外に伝送する制御デバイスとを有する。移動体外のネットワーク側で設定又は更新されたデータソース毎のConfig情報を記憶するとともに、各データソースから出力されるデータを監視してデータソース毎に異常検出を行う異常検出制御と、異常検出制御とは独立した各データソースから収集されるデータを移動体外に伝送するデータ収集・伝送制御とを行い、データソースに応じて選択された通信経路で移動体外のネットワークにデータを伝送する。このとき、複数の外部通信方式の各通信接続状態に応じてデータソース毎に通信経路を切り替える。