(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6652685
(24)【登録日】2020年1月27日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】水リードスルーモジュールおよび船舶の船体に水リードスルーモジュールを配置する方法
(51)【国際特許分類】
F01N 3/04 20060101AFI20200217BHJP
B63H 21/32 20060101ALI20200217BHJP
【FI】
F01N3/04 Z
B63H21/32 Z
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-530545(P2019-530545)
(86)(22)【出願日】2018年4月9日
(65)【公表番号】特表2019-526747(P2019-526747A)
(43)【公表日】2019年9月19日
(86)【国際出願番号】EP2018058959
(87)【国際公開番号】WO2019007559
(87)【国際公開日】20190110
【審査請求日】2019年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】503129903
【氏名又は名称】ワルトシラ フィンランド オサケユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】カラネン,ペーテル
(72)【発明者】
【氏名】ハッキネン,エサ
【審査官】
楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】
特開2018−140730(JP,A)
【文献】
英国特許出願公開第2469320(GB,A)
【文献】
特表2014−511451(JP,A)
【文献】
特表2003−527525(JP,A)
【文献】
特開昭60−104488(JP,A)
【文献】
実公昭51−003139(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/04
B63B 13/00
B63H 21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶の船体を通って海に排気ガス洗浄水を放出するための水リードスルーモジュールであって、
− 第1の端部および第2の端部を有するフローチューブであって、前記フローチューブは第1グレードの鋼製であり、
・ 前記フローチューブの前記第1の端部の取り付けフランジ部と、
・ 外周部を有する前記フローチューブの前記第2の端部から半径方向外側に延びる前記フローチューブの前記第2の端部の出口フランジ部と、を有する、
フローチューブと、
− 第2グレードの鋼製の平面状移行プレートであって、前記移行プレートは、外周部を有するとともに前記移行プレートの内周部を画定する開口部を有し、前記移行プレートの前記内周部は前記出口フランジ部の外周部と一致し、前記移行プレートは、前記フローチューブの前記出口フランジ部と軸方向に同一平面上に配置され、かつ前記フローチューブの前記出口フランジ部に強固に接続されている、平面状移行プレートと、
を有する、
水リードスルーモジュール。
【請求項2】
前記第1グレードの鋼および前記第2グレードの鋼は、前記第1グレードの鋼の耐食性が前記第2グレードの鋼の耐食性よりも高いように選択される、
請求項1に記載の水リードスルーモジュール。
【請求項3】
前記フローチューブは、EN 1.4547に定められているような高合金オーステナイト系ステンレス鋼製である、
請求項1に記載の水リードスルーモジュール。
【請求項4】
前記移行プレートは、DNVオフショア規格に準拠したグレードA鋼製である、
請求項1に記載の水リードスルーモジュール。
【請求項5】
シールされたハウジングが、前記フローチューブの壁から前記移行プレートまで延びる前記フローチューブの周りに配置されている、
請求項1に記載の水リードスルーモジュール。
【請求項6】
前記フローチューブは、前記取り付けフランジ部と前記出口フランジ部との間に中間フランジ部を有し、環状ハウジングが、前記中間フランジ部と前記移行プレートとの間に延びる前記フローチューブの周りに配置されている、
請求項3に記載の水リードスルーモジュール。
【請求項7】
シールされたハウジングが漏れ検出器を備える、
請求項2に記載の水リードスルーモジュール。
【請求項8】
前記出口フランジ部は、前記フローチューブの直径の少なくとも50%である距離だけ前記フローチューブから半径方向外側に延びる、
請求項1に記載の水リードスルーモジュール。
【請求項9】
船舶の船体に水リードスルーを配置する方法であって:
− 第1の端部と第2の端部とを有する第1グレードの鋼のフローチューブを提供するステップであって、前記フローチューブは、前記フローチューブの第1の端部の取り付けフランジ部と、外周部を有する前記フローチューブの第2の端部から半径方向外側に延びる前記フローチューブの前記第2の端部の出口フランジ部とを備える、ステップと、
− 外周部を有する第2グレードの平面状移行プレートを提供し、前記移行プレートの内周部が前記出口フランジ部の外周部と一致するように、前記移行プレートの前記内周部を画定する開口部を前記移行プレートに配置するステップと、
− 前記移行プレートを前記フローチューブの前記出口フランジ部と軸方向に同一平面上に配置し、溶接によって前記フローチューブの前記出口フランジ部に堅固に接続するステップと、
− 前記移行プレートの前記外周部に一致する開口部を前記船舶の前記船体に設け、前記船舶の前記船体の前記開口部に前記移行プレートを強固に接続するステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段部による水リードスルーモジュールに関する。本発明はまた、船舶の船体に水リードスルーモジュールを配置する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃ピストンエンジンからの排気ガスを洗浄する(scrubbing)ためのスクラバー(Scrubber)ユニットが、ある程度まで船舶で使用されてきた。このようなスクラバーでは、排気ガスがスクラバーユニットに導入され、ここでアルカリ洗浄液のような洗浄媒体(scrubbing medium)が排気ガス中に噴霧され、それによってアルカリ成分が排気ガスの酸性成分と反応する。洗浄媒体は、いわゆるプロセスタンクから供給されることがある。洗浄媒体は、排気ガス流からSO
2、熱および他の成分を吸収する。例えば、より厳しい環境規制に起因して、いわゆる二段または多段スクラバーユニットが開発されてきた。このようなスクラバーユニットでは、洗浄媒体が2段階または数段階で排気ガス流中に噴霧される。
【0003】
そのようなスクラバーの例として、特許文献1が参照される。特許文献1は、大型過給内燃エンジン、特にディーゼルエンジンの排気ガスを、エンジンからの排気ガスが、少なくとも主に水で洗浄および冷却されるように、排気ガススクラバーへと導かれるシステムにおいて処理するための方法および装置を開示している。排気ガスは、排気ガス中の水蒸気を凝縮させて清浄な水を回収するために排気ガススクラバー内で冷却され、このように回収された水はエンジンの吸気に供給される。排気ガススクラバーでは、排気ガスの冷却は、連続して用意される洗浄段階と冷却段階の少なくとも2つの段階で達成される。特許文献1は、そのシステムを備えたエンジンが船舶または水中に配置された他の構造物に配置される場合、海水が熱交換器の冷却液として、同様に洗浄水として有利に使用できることを示唆する。
【0004】
特許文献2は、第1のスクラバーユニットおよび第2のスクラバーユニットと、第1のスクラバーユニット内の排気ガス入口と、第2のスクラバーユニット内の排気ガス出口と、第1のスクラバーユニットを第2のスクラバーユニットに接続する第2の導管部と、第1の洗浄媒体回路と、第2の洗浄媒体回路とを含む、船舶内の排気ガスを水性溶液で処理するためのスクラバーシステムを開示する。第1の洗浄媒体回路は、船舶の喫水線の下の船舶の船体の外側への第1の接続部を有する洗浄溶液の供給源を備え、第2の洗浄媒体回路は、船の新鮮な水の供給源を有する洗浄溶液の供給源を備える。
【0005】
海洋設備では、洗浄媒体は淡水または海水、すなわち船舶が浮遊している水であり得る。淡水が使用される場合、それは典型的には再循環されるので、同じ水が再利用されることができ、そしてブリードオフ(bleed-off)と呼ばれる再循環された淡水のごく一部が主流から迂回され、洗浄のための処理プラントに送られ、船外に排出される。使用された水は、一定量の新しい補充用の淡水(topping-up fresh water)で補われる。海水の場合、使用された全ての水は典型的には処理プラントに導かれ、典型的にはいかなる再循環も行われることなく船外に放出される。
【0006】
船舶において適切な洗浄効果を得るために必要とされる海水流の量はかなりのものであり、水はある程度腐食性である可能性があり、したがって船体を通した船舶からの水の放出は問題がある。
【0007】
本発明の目的は、船舶の船体を通って排気ガス洗浄水を海に放出するための水リードスルーモジュールを提供することであり、その中で耐腐食性および安全な操作が従来技術の解決法と比較してかなり改善される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2007/045721号
【特許文献2】国際公開第2012113977号
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、独立請求項に開示されているように実質的に達成することができ、他の請求項は、本発明の異なる実施形態のより詳細を説明する。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、船舶の船体を通って海に水を放出するための水リードスルーモジュールは:
− 第1の端部および第2の端部を有するフローチューブであって、フローチューブは第1グレードの鋼製であり、
・ そこにバルブを取り付けるためのフローチューブの第1の端部のフランジ部と、
・ 外周部を有するフローチューブの第2の端部から半径方向外側に延びるフローチューブの第2の端部の出口フランジ部と、を有する、
フローチューブと、
− 第2グレードの平面状移行プレートであって、外周部を有し、平面内で移行プレートの内周部を画定する開口部を有し、移行プレートの内周部は出口フランジ部の外周部と一致し、移行プレートは、フローチューブの出口フランジ部と軸方向に同一平面上に配置され、かつフローチューブの出口フランジ部に溶接によって強固に接続されている、平面状移行プレートと、
を有する。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、第1グレードの鋼および第2グレードの鋼は、第1グレードの鋼の耐食性が第2グレードの鋼の耐食性よりも高いように選択される。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、第1グレードの鋼は、EN 1.4547に定められているような高合金オーステナイト系ステンレス鋼である。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、第2グレードの鋼は、DNV(Det Norske Veritas)オフショア規格(off-shore standards)に準拠したグレードA鋼である。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、第1グレードの鋼は、超二相(super duplex)である。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、第1グレードの鋼は、EN 1.4547に定められているような高合金オーステナイト系ステンレス鋼であり、第2グレードの鋼は、DNV(Det Norske Veritas)オフショア規格に準拠したグレードA鋼である。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、第1グレードの鋼は、EN 1.4547に定められているような高合金オーステナイト系ステンレス鋼であり、第2グレードの鋼は二相鋼(duplex steel)である。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、シールされたハウジングが、フローチューブの壁から移行プレートまで延びるフローチューブの周りに配置されている。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、フローチューブは、取り付けフランジ部と出口フランジ部との間に中間フランジ部を有し、環状ハウジングが、中間フランジ部と移行プレートとの間に延びるフローチューブの周りに配置される。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、シールされたハウジングは漏れ検出器を備える。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、出口フランジ部は、フローチューブの直径Dtの少なくとも50%である距離Dだけフローチューブから半径方向外向きに延びる。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、移行プレートは、互いに強固に接合された2つの別々の鋼製部品でできている。移行プレートの前記2つの別々の部分は、両方とも第2グレードの鋼である異なる材料で作られている。半径方向内側部分は出口フランジ部分の外周部に溶接され、第2の外側部分は移行プレートの内側部分の外周部に溶接されている。内側部分は二相鋼製であることができ、第2の部分はDNVオフショア規格に準拠したグレードAの鋼製であることができる。
【0022】
船舶の船体に水リードスルーを配置する方法であって:
− 第1の端部と第2の端部とを有する第1グレードの鋼のフローチューブを提供するステップであって、フローチューブは、フローチューブの第1の端部の取り付けフランジ部と、外周部を有するフローチューブの第2の端部から半径方向外側に延びるフローチューブの第2の端部の出口フランジ部とを備える、ステップと、
− 外周部を有する第2グレードの鋼製の平面状移行プレートを提供し、移行プレートの内周部が出口フランジ部の外周部と一致するように、移行プレートの内周部を画定する開口部を移行プレートに配置するステップと、
− 移行プレートをフローチューブの出口フランジ部と軸方向に同一平面上に配置し、溶接によってフローチューブの出口フランジ部に堅固に接続するステップと、
− 移行プレートの外周部に一致する開口部を船舶の船体に設け、溶接によって船舶の船体の開口部に移行プレートを強固に接続するステップと、
を含む。
【0023】
本特許出願に提示された本発明の例示的な実施形態は、添付の特許請求の範囲の適用可能性に制限をもたらすと解釈されるべきではない。「有する、含む」という動詞は、この特許出願では、記載されていない特徴の存在も排除しないオープンな限定として使用されている。従属請求項に記載されている特徴は、他に明示的に述べられていない限り、互いに自由に組み合わせることができる。本発明の特徴として考えられる新規な特徴は、特に添付の特許請求の範囲に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
以下において、本発明は、添付の例示的な概略図を参照して説明される。
【0025】
【
図1】本発明の実施形態による水リードスルーモジュールを示す。
【
図2】本発明の別の実施形態による水リードスルーモジュールを示す。
【
図3】本発明の実施形態による水リードスルーモジュールを備えた船舶の排気ガススクラバーを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、船舶の船体12を通って排気ガス洗浄水を海に放出するためのリードスルーモジュール10を概略的に示す。水リードスルーモジュール10は、4つの異なる図によって
図1に示されている。
図1aは船体12の外側から見た正面図であり、
図1bは側面図であり、
図1dは船体の内側の後方図であり、
図1cは上面図である。リードスルーモジュール10は、船に設置された排気ガススクラバーから排出される洗浄水のための水中出口(submerged outlet)として機能することを特に意図している。以下の説明では、簡単のため、水リードスルーモジュール10はモジュール10と称される。
【0027】
モジュール10は、第1の端部14.1と第2の端部14.2と長手方向中心軸16とを有するフローチューブ14を有する。船の排気ガススクラバーの腐食性の放出水に対処するために、フローチューブは、耐食鋼製である。
【0028】
フローチューブ14は、スクラバーからフローチューブへの放出チャネルとバルブとを取り付けるためのフローチューブ14の第1の端部14.1にある取り付けフランジ部18、およびフローチューブ14の第2の端部14.2にある出口フランジ部20を有する。出口フランジ部20は、フローチューブ14の第2の端部14.2から半径方向外側に延びるように構成されている。出口フランジは外周部を有し、これは有利には円形である。一般に、チューブ14およびフランジ部18、20に使用される鋼は、第1グレードの鋼(first grade steel)と呼ばれる。
【0029】
このような第1グレードの鋼の好ましい例としては、高合金オーステナイト鋼および二相(またはオーステナイト−フェライト)鋼がある。高合金オーステナイト系ステンレス鋼の例としては、重量パーセントの化学組成C 0.01/N 0.20/Cr 20/Ni 18/Mo 6.1/その他Cuを有するEN 1.4547に定められた鋼であり得る。二相鋼の例としては、重量パーセントの化学組成C 0.03/N 0.22/Cr 21.5/Ni 1.5/Mo 0.3/その他5Mn Cuを有するEN 1.4162に定められた鋼であり得る。
【0030】
耐腐食性の指標として、耐孔食性等価数(Pitting Resistant Equivalent number)PRENを使用することができる。PREN値は、次の式を使用して計算される:PREN=1×%Cr+3.3×%Mo+16×%N、ただし、例外として、モリブデン含有量が1.5%以上のステンレス鋼は、PREN値が合金中のタングステン[W]を考慮に入れ、式:PREN=1・%Cr+3.3(%Mo+0.5・%W)+16・%Nで定義される。PRE値が高いほど、鋼の耐食性は高くなる。有利には、第1グレードの鋼の耐孔食性等価数は40以上であり、第2グレードの鋼の耐孔食相当数は40未満である。
【0031】
さらに、モジュール10は、外周部22’を有するとともに移行プレートの内周部22”を画定する開口部23を備える平面状移行プレート22を有する。移行プレートの内周部22”は、出口フランジ部20の外周部20’と一致し、それらの周部は互いに突き合わされる。移行プレート22は、出口フランジ部20と軸方向に面一(同一平面上)に配置され、かつ溶接によってフローチューブ14の出口フランジ部20に強固に接続されている。移行プレート22は、船舶の船体12に使用される鋼と同等の通常鋼製である。
【0032】
モジュール10は、フローチューブ14、取り付けフランジ部18および出口フランジ部20、ならびに出口フランジ部20に溶接された移行プレート22を有するように製造工場で事前に製造されることができる。モジュールが船舶の船体12に組み付けられるとき、モジュール10の周囲寸法に対応する孔が船体12に作られ、モジュールは、移行プレート22の外周部22’であるその周辺部で船体に溶接される。フローチューブ14は、オプションで船体12に取り付けられた補強材26を利用して、いくつかの適切に配置された支持ブラケット24によって支持されている。
【0033】
図2は、
図1の実施形態の特徴に加えていくつかの追加の特徴を含む、本発明の別の実施形態による水リードスルーモジュール10を概略的に示す。水リードスルーモジュール10は、4つの異なる図として図に示されている。
図2aは船体12の外側の正面図であり、
図2bは側面図であり、
図2dは船体の内側の後ろ側の図であり、
図2cは上面図である。
図1の実施形態のように、リードスルーモジュールは、船舶に設置された排気ガススクラバーから放出される洗浄水のための水中出口として機能することを特に意図している。以下の説明では、水リードスルーモジュール10は簡単にするためにモジュールと称される。
【0034】
モジュール10は、第1の端部14.1と第2の端部14.2と、スクラバーからフローチューブへの放出チャネルとバルブとを取り付けるためのフローチューブ14の第1の端部14.1にある取り付けフランジ部18と、フローチューブ14の第2の端部14.2にある出口フランジ部20とを有するフローチューブ14を有する。出口フランジ部20は、フローチューブ14の第2の端部14.2から半径方向外側に延びるように構成されている。出口フランジは、外周部を有し、これは有利には円形である。
【0035】
さらに、モジュール10は、外周部22’を有するとともに移行プレートの内周部22”を画定する開口部23を備える平面状移行プレート22を有する。移行プレートの内周部22”は、出口フランジ部20の外周部20’と一致し、それらの周縁は互いに突き合わされる。移行プレート22は、出口フランジ部20と軸方向に面一に配置され、かつ溶接によってフローチューブ14の出口フランジ部20に強固に接続されている。
【0036】
モジュールはさらに、フローチューブ14の周りに環状に配置されたシールハウジング28を有する。ハウジングは、フローチューブ14の外壁からその端部の間で移行プレート22まで延びる。このようにして、出口フランジ部20と移行プレート22との間の溶接接合部は、ハウジング28によって囲まれている。ハウジングは、符号28’で示される円錐形の破線で示されるように異なる形状であってもよいが、
図2ではフローチューブは、取り付けフランジ部18と出口フランジ部20との間に中間フランジ部を有し、環状ハウジング28は、中間フランジ部21と移行プレート22との間に延びるフローチューブ14の周りに配置されている。
【0037】
図2cおよび2dに示されるように、シールハウジングは漏れ検出器30を備えている。漏れ検出器は、実際には、フロートレベル測定装置、警報フロートまたは圧力センサーとして実現されることができる。出口フランジ部20と移行プレート22との間の溶接接合部が破損して漏れる場合、漏れは、ハウジング28に入る水によるハウジング内の圧力の上昇によって検出されることができる。フロートは、ハウジング内の水面の上昇を示す。
【0038】
図2の
図2Cを参照すると、出口フランジ部20は、フローチューブの直径Dtの少なくとも50%である距離Dだけフローチューブから半径方向外側に延びている。
【0039】
モジュール10は、フローチューブ14、取り付けフランジ部18および出口フランジ部20、ならびに移行プレート22およびハウジング28を有するように製造工場で事前に製造されることができる。
【0040】
本発明による水リードスルーモジュール10は、第1端部と第2端部と長手方向中心軸とを有する高合金オーステナイト系ステンレス鋼のフローチューブ14を提供するステップであって、フローチューブは、それにバルブを取り付けるためのフローチューブの第1の端部にある取り付けフランジ部18と、外周部20’を有するフローチューブの第2の端部から半径方向外側に延びるフローチューブの第2の端部にある出口フランジ部20とを備える、ステップと、外周部22’を有する平坦な移行プレート22を設け、移行プレートの内周部22”が出口フランジ部20の外周部20’に一致するように、移行プレート22の内周部22”を画定する開口部23を移行プレート22に配置するステップと、移行プレート22をフローチューブ1の出口フランジ部20と軸方向に同一平面上に配置、溶接によって移行プレート22をフローチューブ1の出口フランジ部20に強固に接続するステップと、移行プレート22の外周部22’に一致する開口部を船舶の船体12に設け、移行プレートを船舶の船体の開口部に溶接によって強固に接続するステップと、によって製造される。
【0041】
モジュールがドックヤードで船舶の船体12に組み付けられるとき、モジュール10の周囲寸法に対応する孔が船体12に作られ、モジュールはその周囲で船体に溶接され、この周囲は移行プレート22の外周部22’である。フローチューブ14は、オプションで船体12に取り付けられる補強材26を利用して、いくつかの適切に配置された支持ブラケット24によって支持されている。
【0042】
図3は、船体12を有する船舶100を概略的に示す。船舶は、エンジンから船舶100の外側に延びる排気ガスチャネル104を備えた少なくとも1つの内燃エンジン(機関)102を含む。船舶はさらに排気ガスを浄化するように構成された排気ガススクラバー106を有する。排気ガススクラバーは、海水を排気ガス流中に噴霧するように構成された海水導入システム108を有する。排気ガススクラバーは、船体12内でスクラバー106から
図1または
図2のうちの1つに記載されているようなリードスルー10まで延びる洗浄水放出システム110を有する。リードスルー10は、船舶は海上にあるとき、水面112の下にある。
【0043】
図面では、船体12、移行プレート22、チューブ14、およびそのフランジ部は、例示目的のためだけに異なる線の太さで示されていることが留意されるべきである。
【0044】
本発明は、現時点で最も好ましい実施形態であると考えられるものに関連して例として本明細書に記載されているが、本発明は開示された実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲に定義されるように、本発明の範囲内に含まれるその特徴、および他のいくつかの応用の様々な組み合わせまたは修正を網羅することが意図されることが理解されるべきである。そのような組み合わせが技術的に実現可能である場合、上記の任意の実施形態に関連して述べられた詳細は、他の実施形態と関連して使用されてもよい。