(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ラッチハウジングは、前記ドアに固定される金属製のベースプレートと、前記ベースプレートに組み付けられて前記ベースプレートとともに内部に前記ラッチ室を形成する樹脂製の第3ハウジングとを有し、
前記第1ハウジングには、基端部位から中間部位を経て先端部位まで前記第2ハウジングに向かって延びる少なくとも2本の支持部が形成され、
前記第3ハウジングには、前記各支持部を前記中間部位で挿通させる挿通孔が形成され、
前記第2ハウジングには、前記各支持部の前記先端部位と整合する抜止部位が形成されている請求項1乃至5のいずれか1項記載の車両用ドアロック装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記従来の車両用ドアロック装置では、組み付け作業時、ねじによって円筒状軸部と受部とを締結する必要がある。より詳しくは、1本のねじを保持し、そのねじをカバーの外側から受部に挿通して円筒状軸部に螺入させるとともに、収納室の防水のためには、カバーにおけるねじが挿通される穴の周辺をシールする必要がある。このため、この車両用ドアロック装置では、組み付け作業の簡素化が難しい。
【0008】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、組み付け作業の簡素化を実現できる車両用ドアロック装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の車両用ドアロック装置は、車体と、前記車体に対して開閉可能なドアとの間に固定され、前記車体に対して前記ドアを閉じた状態で保持可能な車両用ドアロック装置であって、
内部にラッチ室が形成されたラッチハウジングと、
前記ラッチ室内に収納され、前記車体に対して前記ドアを閉じた状態で保持可能なラッチ機構と、
前記ラッチハウジングに組み付けられ、内部に収納室が形成された作動ハウジングと、
前記収納室内に収納され、前記ラッチ機構を作動可能な作動機構とを備え、
前記作動ハウジングは、樹脂製の第1ハウジングと、前記第1ハウジングに組み付けられて前記第1ハウジングとともに内部に前記収納室を形成する樹脂製の第2ハウジングとを有し、
前記第1ハウジングには、基端部位から先端部位まで前記第2ハウジングに向かって延びる少なくとも1本の突部が形成され、
前記第2ハウジングには、前記先端部位に当接する当接部位を有して前記突部を固定する受部が形成され、
前記作動機構は、前記突部によって揺動、回動又は直動可能に支持される作動部材を有し、
前記先端部位と前記当接部位とが溶着
のみされていることを特徴とする。
【0010】
本発明の車両用ドアロック装置では、第1ハウジングに形成された突部の先端部位と、第2ハウジングに形成された受部の当接部位とが溶着
のみされている。つまり、組み付け作業において、先端部位と当接部位との溶着箇所に、超音波振動子やレーザビーム等の加熱手段を配置して加熱するだけでよいので、ねじによる締結と比較して、作業を削減できる。
【0011】
したがって、本発明の車両用ドアロック装置では、組み付け作業の簡素化を実現できる。
【0012】
作動機構は、突部によって揺動、回動又は直動可能に支持される作動部材を有してい
る。この
ため、作動部材を揺動、回動又は直動可能に支持する構成を簡素化できる。
【0013】
車体にはストライカが固定されていることが望ましい。ドアには車両用ドアロック装置が固定されていることが望ましい。ラッチハウジングにはストライカが進入可能な進入口が形成されていることが望ましい。ラッチ機構は、ラッチハウジングに揺動可能に設けられ、進入口内にストライカを保持するラッチ位置と、進入口内からストライカが離反することを許容するアンラッチ位置とに変位するフォークと、ラッチハウジングに揺動可能に設けられ、フォークを固定又は開放するポールとを有していることが望ましい。突部は第1軸部と第2軸部とを有していることが望ましい。受部は、第1軸部に対応する第1軸受部と、第2軸部に対応する第2軸受部とを有していることが望ましい。そして、作動部材は、変位することによりポールに作用し、ポールにフォークを開放させることが可能な第1レバーと、第1軸部に揺動可能に支持され、一端側がドアハンドルに連結され、ドアハンドルに対する開操作により揺動して第1レバーに作用し、第1レバーを変位させることが可能な第2レバーと、第2軸部に揺動可能に支持され、一端側がロック操作部に連結され、ロック操作部に対する施錠操作又は開錠操作により揺動して第1レバーに作用し、第1レバーをポールに作用可能なアンロック位置と、ポールに作用不能なロック位置とに変位させる第3レバーとを有していることが望ましい。
【0014】
この場合、第1軸部の先端部位と第1軸受部の当接部位とが溶着され、第2軸部の先端部位と第2軸受部の当接部位とが溶着されているので、組み付け作業を一層簡素化できる。
【0015】
本発明の車両用ドアロック装置は、収納室内に収納された電気部品を備えていることが望ましい。第1ハウジングは、第1基壁部と、第1基壁部を囲む第1周縁部とを有していることが望ましい。第2ハウジングは、第2基壁部と、第2基壁部を囲む第2周縁部とを有していることが望ましい。そして、第1基壁部と第2基壁部とが対向する状態で第1周縁部と第2周縁部とが溶着されることにより、収納室が形成されていることが望ましい。
【0016】
この場合、第1、2軸部の先端部位と第1、2軸受部の当接部位とを溶着する際、第1周縁部と第2周縁部とを溶着することもできるので、組み付け作業を一層簡素化できる。また、第1周縁部と第2周縁部との溶着によって、第1周縁部と第2周縁部との間にシール部材を配置しなくても収納室への水等の侵入を抑制できるので、電気部品の不具合を抑制できる。
【0017】
突部は第3軸部を有していることが望ましい。受部は、第3軸部に対応する第3軸受部を有していることが望ましい。作動機構は、電気部品である電動モータを有していることが望ましい。そして、作動部材は、第3軸部に回動可能に支持され、電動モータに回転駆動されて第3レバーを揺動させ、第1レバーをアンロック位置とロック位置とに切り替え可能なウォームホイールを有していることが望ましい。
【0018】
この場合、第1、2軸部の先端部位と第1、2軸受部の当接部位とを溶着する際、第3軸部の先端部位と第3軸受部の当接部位とを溶着することもできるので、組み付け作業を一層簡素化できる。
【0019】
突部は第4軸部を有していることが望ましい。受部は、第4軸部に対応する第4軸受部を有していることが望ましい。作動部材は、第4軸部に直動可能に支持され、第1レバーをロック位置に保持する施錠位置と、第1レバーをロック位置に保持しない開錠位置とに変位可能とされ、開錠位置ではラッチ位置にあるフォークをアンラッチ位置に変位可能とする一方、施錠位置ではラッチ位置にあるフォークをアンラッチ位置に変位不能とする第4レバーを有していることが望ましい。そして、第3レバーは、施錠操作により第4レバーを開錠位置から施錠位置に変位させる一方、開錠操作により第4レバーを施錠位置から開錠位置に変位させることが望ましい。
【0020】
この場合、第1、2軸部の先端部位と第1、2軸受部の当接部位とを溶着する際、第4軸部の先端部位と第4軸受部の当接部位とを溶着することもできるので、組み付け作業を一層簡素化できる。
【0021】
ラッチハウジングは、ドアに固定される金属製のベースプレートと、ベースプレートに組み付けられてベースプレートとともに内部にラッチ室を形成する樹脂製の第3ハウジングとを有していることが望ましい。第1ハウジングには、基端部位から中間部位を経て先端部位まで第2ハウジングに向かって延びる少なくとも2本の支持部が形成されていることが望ましい。第3ハウジングには、各支持部を中間部位で挿通させる挿通孔が形成されていることが望ましい。そして、第2ハウジングには、各支持部の先端部位と整合する抜止部位が形成されていることが望ましい。
【0022】
この場合、第1ハウジングに形成された各支持部の中間部位を第3ハウジングに形成された各挿通孔に挿通させ、第2ハウジングを第1ハウジングに組み付ける。これにより、第2ハウジングに形成された抜止部位が各支持部の先端部位と整合し、先端部位を抜け止めする。つまり、この車両用ドアロック装置では、第3ハウジングを第1、2ハウジングに組み付ける際にねじによる締結作業が不要となる。また、第1、2軸部の先端部位と第1、2軸受部の当接部位とを溶着する際、各支持部の先端部位と各抜止部位とを溶着することもできるので、組み付け作業を一層簡素化できる。
【0023】
第1ハウジング及び第2ハウジングの一方は光吸収性材料により形成されていることが望ましい。そして、第1ハウジング及び第2ハウジングの他方は光透過性材料により形成されていることが望ましい。この場合、溶着をレーザ透過溶着でできる。その結果、この車両用ドアロック装置では、超音波溶着と比較して、精密、かつ、自由度の高い溶着を実現できる。
【0024】
先端部位及び当接部位には、互いに溶融せずに当接して第1ハウジングと第2ハウジングとの間隔を設定する間隔設定面が設けられていることが望ましい。超音波溶着では、第2基壁部と、第1先端部及び第2先端部とが当接する範囲の全体に摩擦熱が発生してしまう。この点、間隔設定面を設け、レーザ透過溶着を行う際に間隔設定面にレーザ照射しないことにより、第1、2基壁部の間隔を精度良く設定できる。
【0025】
受部は、当接部位を囲むように形成され、先端部位と嵌合する嵌合部位を有していることが望ましい。この場合、嵌合部位が先端部位と嵌合することにより、先端部位に対して当接部位を精度良く位置決めできる。
本発明の別の車両用ドアロック装置は、車体と、前記車体に対して開閉可能なドアとの間に固定され、前記車体に対して前記ドアを閉じた状態で保持可能な車両用ドアロック装置であって、
内部にラッチ室が形成されたラッチハウジングと、
前記ラッチ室内に収納され、前記車体に対して前記ドアを閉じた状態で保持可能なラッチ機構と、
前記ラッチハウジングに組み付けられ、内部に収納室が形成された作動ハウジングと、
前記収納室内に収納され、前記ラッチ機構を作動可能な作動機構とを備え、
前記作動ハウジングは、樹脂製の第1ハウジングと、前記第1ハウジングに組み付けられて前記第1ハウジングとともに内部に前記収納室を形成する樹脂製の第2ハウジングとを有し、
前記第1ハウジングには、基端部位から先端部位まで前記第2ハウジングに向かって延びる少なくとも1本の突部が形成され、
前記第2ハウジングには、前記先端部位に当接する当接部位を有して前記突部を固定する受部が形成され、
前記先端部位と前記当接部位とが溶着され、
前記ラッチハウジングは、前記ドアに固定される金属製のベースプレートと、前記ベースプレートに組み付けられて前記ベースプレートとともに内部に前記ラッチ室を形成する樹脂製の第3ハウジングとを有し、
前記第1ハウジングには、基端部位から中間部位を経て先端部位まで前記第2ハウジングに向かって延びる少なくとも2本の支持部が形成され、
前記第3ハウジングには、前記各支持部を前記中間部位で挿通させる挿通孔が形成され、
前記第2ハウジングには、前記各支持部の前記先端部位と整合する抜止部位が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明の車両用ドアロック装置によれば、組み付け作業の簡素化を実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0029】
(実施例)
図1及び
図2に示すように、実施例の車両用ドアロック装置1(以下、単に「ドアロック装置1」と呼ぶ。)は、本発明の車両用ドアロック装置の具体的態様の一例である。ドアロック装置1は、図示は省略するが、自動車、バス、産業車両等の車両の車体に対して開閉可能なドアに固定されている。そして、ドアロック装置1は、車体に固定されたストライカを保持することによって、車体に対してドアを閉じた状態で保持可能である。
【0030】
図1及び
図2では、車体の左側面に設けられたドアの後端側の内部に配設されたドアロック装置1を図示している。なお、ドアロック装置1が車体の右側面に設けられたドアの後端側に固定される場合には、勝手違いになるだけである。さらに、ドアロック装置1は、テールゲート等にも設けられ得る。
【0031】
図1及び
図2に示す前後方向及び上下方向は、車両の前後方向及び上下方向を基準としている。また、
図1及び
図2に示す車両内外方向は、車両の車室内に搭乗する者を基準として、車両の左側面側を車両外側とし、その反対側を車両内側としている。
図3以降に示す前後方向、上下方向及び車両内外方向は、
図1及び
図2に対応させて表示している。
【0032】
図1に示すように、ドアロック装置1が固定された図示しないドアの外面には、外側ドアハンドルH1及びキーシリンダH2が配設されている。ドアの車室内に露出する内面には、室内ロックノブH3及び内側ドアハンドルH4が配設されている。室内ロックノブH3は、本発明の「ロック操作部」の一例である。内側ドアハンドルH4は、本発明の「ドアハンドル」の一例である。
【0033】
外側ドアハンドルH1には、伝達ロッドC1の上端部が連結されている。ドアロック装置1は、ドアの内部において外側ドアハンドルH1よりも下方に配設されている。伝達ロッドC1の下端部は、ドアロック装置1のO/Sオープンレバー20に連結されている。
【0034】
キーシリンダH2は、ドアロック装置1の上端部に回動可能に設けられたキーシリンダ保持部C2Aに一体回転可能に保持されている。
図2に示すように、キーシリンダ保持部C2Aには、リンクロッドC2Bの上端部が連結されている。リンクロッドC2Bの下端部は、リンクレバーC2Cを介し、
図5等を示して後述するO/Sロックレバー30に接続されている。
【0035】
図1に示すように、室内ロックノブH3には、伝達ケーブルC3の一端部が接続されている。内側ドアハンドルH4には、伝達ケーブルC4の一端部が接続されている。
図2に示すように、伝達ケーブルC3の他端部は、ドアロック装置1内に引き込まれており、
図5等を示して後述するI/Sロックレバー35に接続されている。伝達ケーブルC4の他端部は、ドアロック装置1内に引き込まれており、
図5等を示して後述するI/Sオープンレバー25に接続されている。
【0036】
ドアロック装置1は、
図1〜
図4に示すラッチハウジング9と、
図1、
図2及び
図5〜
図8に示す作動ハウジング7とを備えている。
図1及び
図2に示すように、作動ハウジング7は、ラッチハウジング9に組み付けられている。
【0037】
図6〜
図8等に示すように、作動ハウジング7は、それぞれ樹脂製である第1ハウジング70及び第2ハウジング80を有している。
図7に示すように、第1ハウジング70は、第1基壁部71と、第1基壁部71を囲む第1周縁部73とを有している。
図8に示すように、第2ハウジング80は、第2基壁部81と、第2基壁部81を囲む第2周縁部83とを有している。第2ハウジング80が第1ハウジング70に組み付けられることにより、作動ハウジング7の内部に、収納室7Aが形成されている。収納室7A内には、
図5、
図6及び
図9〜
図16に示す作動機構6が収納されている。
【0038】
図4に示すように、ラッチハウジング9は、樹脂製である第3ハウジング90と、それぞれ鋼板製であるベースプレート99及びバックプレート98とを有している。第3ハウジング90にフォーク揺動軸11S及びポール揺動軸12Sを挿通し、第3ハウジング90の後方にベースプレート99を配置し、第3ハウジング90の前方にバックプレート98を配置する。そして、フォーク揺動軸11S及びポール揺動軸12Sのそれぞれの後端部をベースプレート99に加締め固定し、フォーク揺動軸11S及びポール揺動軸12Sのそれぞれの前端部をバックプレート98に加締め固定することによって、ラッチハウジング9の内部に、ラッチ室9Aが形成されている。ラッチ室9Aには、
図2、
図4及び
図11〜
図14に示すラッチ機構8が収納されている。
【0039】
ベースプレート99には、複数の固定穴99Hと、進入口99Aとが形成されている。図示しない複数の止めネジがドアの後端面に挿通され、さらに、ベースプレート99の各固定穴99Hに捩じ込まれることによって、ドアロック装置1は、進入口99Aをドアの後端面に露出させた状態でドアに固定される。進入口99Aには、ドアの開閉に伴ってドアロック装置1が移動する際、車体に固定されたストライカが相対的に進入又は離脱する。
【0040】
ここで、第1ハウジング70、第2ハウジング80及び第3ハウジング90の組み付け構成について説明する。
【0041】
本実施例では、第1ハウジング70は、光吸収性の樹脂材料により形成されている。その一方、第2ハウジング80は、光透過性の樹脂材料により形成されている。なお、同じ樹脂材料であっても、添加物や着色料等を調整することによって、光吸収性になったり、光透過性となったりする。
【0042】
図7及び
図17に示すように、第1周縁部73は、第1基壁部71の周縁に接続し、車両外側に向かって延びている。第1周縁部73は、第1基壁部71から離間する方向にフランジ状に延びる第1溶着部73Mを含んでいる。
【0043】
図8及び
図17に示すように、第2周縁部83は、第2基壁部81の周縁に接続し、車両内側に向かって延びている。第2周縁部83は、第2基壁部81から離間する方向にフランジ状に延びる第2溶着部83Mを含んでいる。
【0044】
そして、
図17を示すように、第1基壁部71と第2基壁部81とが対向し、第1周縁部73の第1溶着部73Mと、第2周縁部83の第2溶着部83Mとが対面する状態で、第1溶着部73Mと第2溶着部83Mとがレーザ透過溶着されることによって、第2ハウジング80と第1ハウジング70が接合される。
【0045】
図7、
図8及び
図17に示す領域RM1は、レーザ透過溶着の際に溶融部が形成される領域を示している。領域RM1は、一繋がりの曲線状に形成されている。第1溶着部73M及び第2溶着部83Mにおける領域RM1以外の領域は、互いに溶融せずに当接して、第1基壁部71と第2基壁部81との間隔W1を設定する。なお、第1基壁部71及び第2基壁部81は平坦でないので、間隔W1は、第1基壁部71及び第2基壁部81の部位毎に異なる値となる。
【0046】
図5〜
図7に示すように、第1ハウジング70の第1基壁部71における後方かつ下方の部位には、第1軸部75Pが形成されている。第1基壁部71における第1軸部75Pよりも前方の部位には、第2軸部75Qが形成されている。第1基壁部71の略中央に位置する部位には、第3軸部75Rと第4軸部75Sとが形成されている。第3軸部75Rは、第4軸部75Sよりも前方に位置している。第1軸部75P、第2軸部75Q、第3軸部75R及び第4軸部75Sは、本発明の「突部」の一例である。
【0047】
図18に示すように、第1軸部75P、第2軸部75Q、第3軸部75R及び第4軸部75Sはそれぞれ、基端部位75Aから先端部位75Bまで第2ハウジング80の第2基壁部81に向かって延びている。
【0048】
図8に示すように、第2ハウジング80の第2基壁部81における第1軸部75Pに対応する部位には、第1軸受部85Pが形成されている。第2基壁部81における第2軸部75Qに対応する部位には、第2軸受部85Qが形成されている。第2基壁部81における第3軸部75Rに対応する部位には、第3軸受部85Rが形成されている。第2基壁部81における第4軸部75Sに対応する部位には、第4軸受部85Sが形成されている。第1軸受部85P、第2軸受部85Q、第3軸受部85R及び第4軸受部85Sは、本発明の「受部」の一例である。
【0049】
図18に示すように、第1軸受部85P、第2軸受部85Q、第3軸受部85R及び第4軸受部85Sはそれぞれ、当接部位85Aと、当接部位85Aを囲むように形成された嵌合部位85Bとを有している。嵌合部位85Bは、円筒形状であったり、円筒の一部が切り欠かれた形状であったり、角筒形状であったりする。
【0050】
第1軸部75P、第2軸部75Q、第3軸部75R及び第4軸部75Sには、後述するI/Sオープンレバー25、I/Sロックレバー35、ウォームホイール39及び直動ロックレバー40が予め装着される。
【0051】
第2ハウジング80が第1ハウジング70に組み付けられた状態では、第1軸受部85Pは、当接部位85Aが第1軸部75Pの先端部位75Bに当接することによって、第1軸部75Pを固定する。第2軸受部85Qは、当接部位85Aが第2軸部75Qの先端部位75Bに当接することによって、第2軸部75Qを固定する。第3軸受部85Rは、当接部位85Aが第3軸部75Rの先端部位75Bに当接することによって、第3軸部75Rを固定する。第4軸受部85Sは、当接部位85Aが第4軸部75Sの先端部位75Bに当接することによって、第4軸部75Sを固定する。
【0052】
この際、第1軸受部85P、第2軸受部85Q、第3軸受部85R及び第4軸受部85Sのそれぞれの嵌合部位85Bは、対応する第1軸部75P、第2軸部75Q、第3軸部75R及び第4軸部75Sの先端部位75Bと嵌合し、先端部位75Bを精度良く位置決めする。
【0053】
そして、
図17に示すように、第1ハウジング70の第1溶着部73Mと、第2ハウジング80の第2溶着部83Mとがレーザ透過溶着される工程において、同時に、
図18に示すように、第1軸部75Pの先端部位75Bと第1軸受部85Pの当接部位85Aとがレーザ透過溶着され、第2軸部75Qの先端部位75Bと第2軸受部85Qの当接部位85Aとがレーザ透過溶着され、第3軸部75Rの先端部位75Bと第3軸受部85Rの当接部位85Aとがレーザ透過溶着され、第4軸部75Sの先端部位75Bと第4軸受部85Sの当接部位85Aとがレーザ透過溶着される。
【0054】
図18に示す領域RM2は、レーザ透過溶着の際に溶融部が形成される領域を示している。領域RM2は、例えば、円環状に形成されてもよいし、円形状、多角形状に形成されてもよい。先端部位75B及び当接部位85Aにおける領域RM1以外の領域には、間隔設定面75W、85Wが設けられている。間隔設定面75W、85Wは、互いに溶融せずに当接して、第1基壁部71と第2基壁部81との間隔W1を設定する。なお、間隔W1は、第1軸部75P、第2軸部75Q、第3軸部75R及び第4軸部75Sが設けられる部位毎に異なる値となる。
【0055】
図5〜
図7に示すように、第1ハウジング70には、2本の支持部76P、76Qが形成されている。支持部76Pは、第1ハウジング70の第1周縁部73における後方、かつ上方の端部の近傍で、第1基壁部71に凸設されている。支持部76Qは、第1ハウジング70の第1周縁部73における後方、かつ下方の端部の近傍で、第1基壁部71に凸設されている。
図19に示すように、支持部76P、76Qは、基端部位76Aから中間部位76Cを経て先端部位76Bまで第2ハウジング80の第2基壁部81に向かって延びている。
【0056】
図3及び
図4に示すように、第3ハウジング90には、2つの挿通孔96P、96Qが形成されている。挿通孔96Pは、第3ハウジング90の上端側で、車両内外方向に貫設されている。挿通孔96Qは、第3ハウジング90の下端側で、車両内外方向に貫設されている。
【0057】
図8に示すように、第2ハウジング80には、2つの抜止部位86P、86Qが凹設されている。抜止部位86Pは、第2ハウジング70の第2周縁部83における後方、かつ上方の端部の近傍に凹設されている。抜止部位86Pは、支持部76Pの先端部位76Bと整合している。抜止部位86Qは、第2ハウジング70の第2周縁部83における後方、かつ下方の端部の近傍に凹設されている。抜止部位86Qは、支持部76Qの先端部位76Bと整合している。
【0058】
第2ハウジング80が第1ハウジング70に組み付けられる前に、第3ハウジング90を第1ハウジング70に仮り組みする。この際、
図7等に示すように、第1ハウジング70には、第1基壁部71の後端部に、溝状のガイド部71Jが凹設されている。
図4に示すように、第3ハウジング90の車両外側、かつ上方の端面には、リブ90Jが凸設されている。そして、ガイド部71Jによってリブ90Jを案内させながら、第3ハウジング90を第1ハウジング70に接近させることにより、第3ハウジング90が適正位置で第1ハウジング70に仮り組みされる。
【0059】
その結果、
図19に示すように、第3ハウジング90の挿通孔96Pは、第1ハウジング70の支持部76Pを中間部位76Cで挿通させる。第3ハウジング90の挿通孔96Qは、第1ハウジング70の支持部76Qを中間部位76Cで挿通させる。
【0060】
次に、第2ハウジング80が第1ハウジング70に組み付けられる。この状態では、第1ハウジング70の支持部76Pの先端部位76Bを第2ハウジング80の抜止部位86Pに嵌入させることにより、支持部76Pの先端部位76Bを精度良く位置決めする。第1ハウジング70の支持部76Qの先端部位76Bを抜止部位86Qに嵌入させることにより、支持部76Pの先端部位76Bを精度良く位置決めする。支持部76P、76Qの先端部位76Bは、抜止部位86P、86Qの底部に当接した状態となる。
【0061】
そして、
図17に示すように、第1ハウジング70の第1溶着部73Mと、第2ハウジング80の第2溶着部83Mとがレーザ透過溶着される工程において、同時に、
図19に示すように、支持部76Pの先端部位76Bと、抜止部位86Pとがレーザ透過溶着され、支持部76Qの先端部位76Bと、抜止部位86Qとがレーザ透過溶着される。
図19に示す領域RM3は、レーザ透過溶着の際に溶融部が形成される領域を示している。領域RM3は、例えば、円環状に形成されてもよいし、円形状、多角形状に形成されてもよい。
【0062】
図4に示すように、ラッチ機構8は、フォーク11とポール12とを有している。フォーク11は、進入口99Aに対して上方に位置するフォーク揺動軸11Sに揺動可能に支持されている。フォーク揺動軸11Sには、捩じりコイルバネ11Tが装着されている。ポール12は、進入口99Aに対して下方に位置するポール揺動軸12Sに揺動可能に支持されている。ポール揺動軸12Sには、捩じりコイルバネ12Tが装着されている。
【0063】
図11に示すように、フォーク11は、捩じりコイルバネ11Tにより、フォーク揺動軸11S周りでD11方向に揺動するように付勢されている。フォーク11の進入口99A側に位置する部位は、内側凸部11Aと外側凸部11Bとに分岐している。そして、内側凸部11Aと外側凸部11Bとの間に形成された切り欠き部11Cには、進入口99A内に進入したストライカS1が収まるようになっている。
図11に示す状態では、フォーク11が進入口99Aの底部でストライカS1を保持している。内側凸部11Aのポール12に対面する先端側には、後述するストッパ面12Aと当接可能なラッチ面11Dが形成されている。
【0064】
ポール12は、捩じりコイルバネ12Tにより、ポール揺動軸12S周りでD12方向に揺動するように付勢されて、
図11に示す姿勢を保持している。
【0065】
ポール12における進入口99Aの底部側に位置する部位には、ストッパ面12Aが形成されている。ストッパ面12Aは、上述のラッチ面11Dに対面するように形成されている。ストッパ面12Aを構成する円弧は、フォーク11側で途切れており、そこからポール揺動軸12S側に延びる摺動面12Cが形成されている。一方、ポール12におけるポール揺動軸12Sを挟んでストッパ面12Aとは反対側には、被当接部12Bが形成されている。
図4に示すように、被当接部12Bは、前方に向かって柱状に突出している。
図3に示すように、被当接部12Bの前端は、ラッチ室9Aから第3ハウジング90を通過して前向きに突出し、収納室7A内に進入している。
【0066】
図11に示すように、ポール12は、フォーク11が進入口99Aの底部でストライカS1を保持した状態で、内側凸部11Aのラッチ面11Dにストッパ面12Aが当接することにより、フォーク11をD11方向に揺動させないように固定する。
図11に示すフォーク11の位置は、進入口99A内にストライカS1を保持するラッチ位置である。
【0067】
また、
図12に示すように、後述する慣性レバー29がポール12の被当接部12Bに当接して押し上げると、ポール12は、捩じりコイルバネ12Tの付勢力に抗しつつ、ポール揺動軸12S周りでD12方向とは逆方向に揺動する。この際、ストッパ面12Aがラッチ面11Dから離間するので、ポール12がフォーク11の揺動を開放する。そして、フォーク11が捩じりコイルバネ11Tの付勢力によりフォーク揺動軸11S周りでD11方向に揺動して、進入口99A内からストライカS1が離反することを許容するアンラッチ位置に変位する。
【0068】
逆に、ストライカS1が進入口99A内に進入する場合、ストライカS1が外側凸部11Bを押すので、フォーク11がD11方向とは逆方向に揺動し、
図12に示すアンラッチ位置から
図11に示すラッチ位置に復帰する。この際、外側凸部11B及び内側凸部11Aの先端が順次、摺動面12Cに摺接する。そして、内側凸部11Aが摺動面12Cから離間すると、ポール12は、D12方向に揺動して、
図11に示す元の姿勢に復帰する。このため、ストッパ面12Aがラッチ面11Dと当接し、ラッチ位置にあるフォーク11の揺動を固定する。その結果、ラッチ機構8は、車体に対してドアを閉じた状態で保持する。
【0069】
図3及び
図4に示すように、第3ハウジング90の収納室7A側の面の上部には、フォーク追従レバー59が揺動可能に支持されている。
図4に示すように、フォーク追従レバー59の一端部には、凸部59Aが形成されている。
図11及び
図12に示すように、フォーク追従レバー59の凸部59Aは、フォーク11の外周面に当接している。これにより、フォーク追従レバー59は、フォーク11がラッチ位置とアンラッチ位置との間で変位する際に、フォーク11に追従して揺動する。
図3及び
図4に示すように、フォーク追従レバー59の他端部には、凸部59Bが形成されている。フォーク追従レバー59の凸部59Bは、収納室7A内に突出している。
【0070】
図5、
図6及び
図9〜
図10に示すように、作動機構6は、O/Sオープンレバー20、I/Sオープンレバー25、慣性レバー29、O/Sロックレバー30、I/Sロックレバー35、直動ロックレバー40、電動モータM1、ウォームホイール39、アジャSWレバー50及びスイッチSW1、SW2、SW3を有している。電動モータM1及びウォームホイール39も、本発明の「ロック操作部」の一例である。
【0071】
慣性レバー29は、本発明の「第1レバー」の一例である。I/Sオープンレバー25は、本発明の「第2レバー」の一例である。I/Sロックレバー35は、本発明の「第3レバー」の一例である。直動ロックレバー40は、本発明の「第4レバー」の一例である。電動モータM1は、本発明の「電気部品」の一例である。
【0072】
図6及び
図7に示すように、第1ハウジング70において、第1基壁部71における後方かつ下方の部位には、O/Sオープンレバー揺動軸20Sが後向きに凸設されている。O/Sオープンレバー20は、O/Sオープンレバー揺動軸20Sに揺動可能に支持されている。
図6に示すように、O/Sオープンレバー揺動軸20Sには、捩じりコイルバネ20Tが装着されている。
図11に示すように、O/Sオープンレバー20は、捩じりコイルバネ20Tにより、O/Sオープンレバー揺動軸20S周りでD20方向に揺動するように付勢されている。
【0073】
図7に示すように、O/Sオープンレバー揺動軸20Sには、嵌合溝部24が凹設されている。
図3に示すように、第3ハウジング90には、嵌合板部94Lが形成された軸受部94が形成されている。図示は省略するが、O/Sオープンレバー揺動軸20Sの嵌合溝部24と、軸受部94の嵌合板部94Lとが嵌合することにより、O/Sオープンレバー20がO/Sオープンレバー揺動軸20Sに対して抜け止めされている。
【0074】
図1及び
図11に示すように、O/Sオープンレバー20の一端部は、作動ハウジング7の外部に突出しており、その一端部に、伝達ロッドC1の下端部が連結されている。
【0075】
図5及び
図6に示すように、慣性レバー29は、前後方向に延びる揺動軸心X29周りで揺動可能にO/Sオープンレバー20の他端部20Bに支持されている。
図11に示すように、慣性レバー29は、
図6に示す捩じりコイルバネ29Tにより、揺動軸心X29周りでD29方向に揺動するように付勢されている。
【0076】
外側ドアハンドルH1が開操作されて伝達ロッドC1が下降すると、
図12に示すように、O/Sオープンレバー20の一端部が押し下げられて、O/Sオープンレバー20がD20方向とは逆方向に揺動し、慣性レバー29を上昇させる。
【0077】
図5及び
図6に示すように、I/Sオープンレバー25は、第1軸部75Pに揺動可能に支持されている。I/Sオープンレバー25における第1軸部75Pから下方に離間する一端部25Aには、
図1及び
図2に示す伝達ケーブルC4の他端部が連結されている。つまり、I/Sオープンレバー25は、伝達ケーブルC4を介して、内側ドアハンドルH4に連結されている。
【0078】
図5及び
図6に示すように、I/Sオープンレバー25の一端部25Aよりも上方の部位には、作用部25Bが形成されている。I/Sオープンレバー25は、内側ドアハンドルH4に対する開操作により、
図5の紙面に向かって反時計方向に揺動する。これにより、作用部25BがO/Sオープンレバー20の他端部20Bを押し上げ、慣性レバー29を上昇させる。
【0079】
図6及び
図7に示すように、第1ハウジング70において、第1基壁部71における上方の部位には、アジャSWレバー揺動軸50Sが車両内側に向かって凸設されている。そして、アジャSWレバー揺動軸50Sの前端面から、O/Sロックレバー揺動軸30Sが車両内側に向かって凸設されている。
【0080】
図5及び
図6に示すように、アジャSWレバー50は、アジャSWレバー揺動軸50Sに揺動可能に支持されている。アジャSWレバー50は、
図6に示す捩じりコイルバネ50Tにより、
図5の紙面に向かって時計方向に付勢されている。
図15に示すように、アジャSWレバー50の一端部50Aには、
図3に示すフォーク追従レバー59の凸部59Bが連結されている。
【0081】
フォーク追従レバー59がアンラッチ位置に移動するフォーク11に追従して揺動すると、アジャSWレバー50は、
図15に二点鎖線で示す位置から実線で示す位置に揺動して、スイッチSW1をONにする。スイッチSW1のON/OFF信号は、車両の室内灯を点灯又は消灯するための制御に利用される。
【0082】
図5及び
図6に示すように、O/Sロックレバー30は、O/Sロックレバー揺動軸30Sに揺動可能に支持されている。O/Sロックレバー30には、径内方向に凹む係合凹部30Dが凹設されている。O/Sロックレバー30は、車両内側に向かって突出する連結軸部30Jを有している。
図2に示すように、連結軸部30Jは、第2ハウジング80の外部に突出している。連結軸部30Jの先端部には、リンクレバーC2Cが一体回転可能に固定されている。
【0083】
O/Sロックレバー30は、キーシリンダH2に対する施錠操作又は開錠操作により、
図16に二点鎖線で示す位置と、実線で示す位置との間で揺動する。
図16に二点鎖線で示すO/Sロックレバー30の位置は、
図5及び
図10に示す位置と同じである。O/Sロックレバー30は、キーシリンダH2に対する施錠操作に対応して、
図16に実線で示す位置に揺動し、スイッチSW2をONにする。スイッチSW2のON/OFF信号は、ドアの施錠/開錠の制御及びドアロック装置1の状態把握に利用される。
【0084】
図5及び
図6に示すように、I/Sロックレバー35は、第2軸部75Qに揺動可能に支持されている。I/Sロックレバー35の一端部35Aには、
図1及び
図2に示す伝達ケーブルC3の他端部が連結されている。つまり、I/Sロックレバー35は、伝達ケーブルC3を介して、室内ロックノブH3に連結されている。I/Sロックレバー35は、室内ロックノブH3に対する施錠操作により、
図5に示す位置から、
図10に示す位置に揺動する。また、I/Sロックレバー35は、室内ロックノブH3に対する開錠操作により、
図10に示す位置から、
図5に示す位置に揺動する。
【0085】
図5及び
図6に示すように、I/Sロックレバー35の上部には、カム35Cが形成される。
図9に示すように、I/Sロックレバー35の車両外側を向く面には、作用部35Bが車両外側を向かって凸設されている。
【0086】
図5及び
図6に示すように、ウォームホイール39は、第3軸部75Rに回動可能に支持されている。
図9に示すように、ウォームホイール39の車両外側を向く面には、I/Sロックレバー35のカム35Cと係合可能なカム部39Cが形成されている。リモコンキー等に対する施錠操作又は開錠操作により、電動モータM1が作動すると、ウォームホイール39は、電動モータM1に回転駆動されて、
図5の紙面に向かって時計方向又は反時計方向に回動する。そして、ウォームホイール39は、カム部39Cとカム35Cとの係合により、I/Sロックレバー35を
図5に示す位置と、
図10に示す位置との間で揺動させる。
【0087】
図5及び
図6に示すように、直動ロックレバー40は、上下方向に延びる長穴40Hに第4軸部75Sが挿通されることによって、第4軸部75Sに直動可能に支持されている。第4軸部75Sは、断面略「C」字形状とされている。直動ロックレバー40は、長穴40Hよりも上方で二股となる略「Y」字形状である。
【0088】
図6及び
図9に示すように、直動ロックレバー40における後方かつ上方に分岐する部位には、直動凸部40Eが車両外側に向かって凸設されている。
図7に示すように、第1ハウジング70の第1基壁部71には、第4軸部75Sよりも上方かつ後方の位置で上下方向に延びる直動溝部71Eが凹設されている。直動凸部40Eが直動溝部71Eによって案内されることにより、直動ロックレバー40が傾斜することなく上下方向に直動可能となっている。
【0089】
図5及び
図6に示すように、直動ロックレバー40の下端部には、凹部40Bが凹設されている。
図5に示すように、凹部40Bには、I/Sロックレバー35の作用部35Bが係合している。
【0090】
図9に示すように、直動ロックレバー40の前方かつ上方に分岐する部位の先端には、係合凸部40Cが車両外側に向かって凸設されている。
図5、
図10及び
図16に示すように、係合凸部40Cは、O/Sロックレバー30の係合凹部30D内に突出している。
【0091】
I/Sロックレバー35が室内ロックノブH3に対する施錠操作、又はリモコンキー等に対する施錠操作により、
図5に示す位置から、
図10に示す位置に揺動すると、凹部40B及び作用部35Bを介して、その変位が直動ロックレバー40に伝達され、直動ロックレバー40が
図5に示す位置から
図10に示す位置に押し上げられる。
【0092】
その一方、I/Sロックレバー35が室内ロックノブH3に対する開錠操作、又はリモコンキー等に対する開錠操作により、
図10に示す位置から、
図5に示す位置に揺動すると、凹部40B及び作用部35Bを介して、その変位が直動ロックレバー40に伝達され、直動ロックレバー40が
図10に示す位置から
図5に示す位置に引き下げられる。
【0093】
O/Sロックレバー30がキーシリンダH2に対する施錠操作により、
図5及び
図10に示す位置から、
図16に実線で示す位置に揺動すると、係合凹部30D及び係合凸部40Cを介して、その変位が直動ロックレバー40に伝達され、直動ロックレバー40が
図5に示す位置から
図10に示す位置に引き上げられる。
【0094】
その一方、O/Sロックレバー30がキーシリンダH2に対する開錠操作により、
図16に実線で示す位置から
図5及び
図10に示す位置に揺動すると、係合凹部30D及び係合凸部40Cを介して、その変位が直動ロックレバー40に伝達され、直動ロックレバー40が
図10に示す位置から
図5に示す位置に押し下げられる。
【0095】
図9及び
図11〜
図14に示すように、直動ロックレバー40における長穴40Hと凹部40Bとの間には、第1面44A、第2面44B及び第3面44Cが形成されている。第1面44A、第2面44B及び第3面44Cは、直動ロックレバー40の車両外側を向く面に形成されている。第1面44A及び第3面44Cはそれぞれ、上下方向に延在する平坦面であり、第1面44Aが第3面44Cよりも車両内側にずれている。第2面44Bは、第1面44Aの下端と、第3面44Cの上端とに接続する傾斜面である。
【0096】
図5、
図6及び
図11〜
図14に示すように、慣性レバー29の前面には、突出部29Aが前向きに凸設されている。突出部29Aは、直動ロックレバー40の直動に応じて、第1面44A、第2面44B及び第3面44Cに摺接する。
【0097】
図3及び
図11〜
図14に示すように、第3ハウジング90の収納室7A側には、慣性レバー案内面90Gが形成されている。慣性レバー案内面90Gは、ポール12の被当接部12Bよりも車両外側に位置する下向きの平坦面である。慣性レバー案内面90Gは、被当接部12Bから離間するように車両外側に向かって延びている。
図11に示すように、O/Sオープンレバー20が揺動していない状態では、慣性レバー案内面90Gは、上下方向において、被当接部12Bの下端と、慣性レバー29の上端との間に位置している。
【0098】
図11及び
図12に示す直動ロックレバー40の位置は、
図5に示す直動ロックレバー40の位置と同じである。
図13及び
図14に示す直動ロックレバー40の位置は、
図10に示す直動ロックレバー40の位置と同じである。
【0099】
直動ロックレバー40が
図5、
図11及び
図12に示す位置にある状態では、慣性レバー29の突出部29Aが直動ロックレバー40の第1面44Aに当接することにより、慣性レバー29が上向きに起立する状態に保持される。この場合において、
図12に示すように、慣性レバー29が上昇すれば、被当接部12Bに当接して、ポール12にフォーク11を開放させる。
【0100】
その一方、直動ロックレバー40が
図10、
図13及び
図14に示す位置に変位すると、慣性レバー29の突出部29Aが直動ロックレバー40の第2面44Bに摺接し、さらに、第3面44Cに当接することにより、慣性レバー29が車両外側に向かって傾斜する状態に保持される。この場合において、
図14に示すように、慣性レバー29が上昇すれば、慣性レバー案内面90Gに当接して、慣性レバー29が被当接部12Bから離間し、ポール12がフォーク11を固定したままとなる。
【0101】
図11及び
図12に示す慣性レバー29の位置は、ポール12に作用可能なアンロック位置である。
図13及び
図14に示す慣性レバー29の位置は、ポール12に作用不能なロック位置である。直動ロックレバー40は、
図10、
図13及び
図14に示す位置では、第3面44Cが突出部29に当接して、慣性レバー29をロック位置に保持する。
図10、
図13及び
図14に示す直動ロックレバー40の位置は、施錠位置である。
【0102】
その一方、直動ロックレバー40は、
図5、
図11及び
図12に示す位置では、第3面44Cが突出部29から離間して、慣性レバー29を
図13及び
図14に示すロック位置に保持しない。慣性レバー29は、捩じりコイルバネ29Tの付勢力によって、突出部29Aを第1面44Aに当接させる。また、慣性レバー29に衝撃が作用する場合、慣性レバー29は、突出部29Aを第1面44Aから離間させて、ロック位置に変位する。
図5、
図11及び
図12に示す直動ロックレバー40の位置は、開錠位置である。
【0103】
直動ロックレバー40は、
図5、
図11及び
図12に示す開錠位置では、慣性レバー29を起立させて、
図11に示すラッチ位置にあるフォーク11を
図12に示すアンラッチ位置に変位可能とする。その一方、
図10、
図13及び
図14に示す施錠位置では、慣性レバー29を傾斜させて、
図11に示すラッチ位置にあるフォーク11を
図12に示すアンラッチ位置に変位不能とする。
【0104】
直動ロックレバー40は、
図5に示すように、開錠位置に変位すると、スイッチSW3内の一つの接点をONにする。その一方、直動ロックレバー40は、
図10に示すように、施錠位置に変位すると、スイッチSW3内の別の接点をONにする。スイッチSW3内の2つの接点のON/OFF信号は、ドアの施錠/開錠の制御及びドアロック装置1の状態把握に利用される。
【0105】
このよう構成であるドアロック装置1は、車両の搭乗者の各種操作に応じて、車体に対してドアを閉じた状態で保持したり、ドアを開放させたり、ドアを閉じた状態で施錠又は開錠したりすることができる。
【0106】
<作用効果>
実施例のドアロック装置1では、
図18に示すように、第1ハウジング70の第1基壁部71に形成された第1軸部75P、第2軸部75Q、第3軸部75R及び第4軸部75Sのそれぞれの先端部位75Bと、第2ハウジング80の第2基壁部81に形成された第1軸受部85P、第2軸受部85Q、第3軸受部85R及び第4軸受部85Sのそれぞれの当接部位85Aとがレーザ透過溶着
のみされている。つまり、組み付け作業において、先端部位75Bと当接部位85Aとの溶着箇所に、レーザビームを配置して加熱するだけでよいので、ねじによる締結と比較して、作業を削減できる。
【0107】
したがって、実施例のドアロック装置1では、組み付け作業の簡素化を実現できる。
【0108】
また、このドアロック装置1では、
図17に示すように、第1ハウジング70の第1基壁部71と、第2ハウジング80の第2基壁部81とが対向する状態で、第1ハウジング70の第1周縁部73の第1溶着部73Mと、第2ハウジング80の第2周縁部83の第2溶着部83Mとがレーザ透過溶着されることにより、収納室7Aが形成されている。このレーザ透過溶着工程の際、第1ハウジング70の第1基壁部71に形成された第1軸部75P、第2軸部75Q、第3軸部75R及び第4軸部75Sのそれぞれの先端部位75Bと、第2ハウジング80の第2基壁部81に形成された第1軸受部85P、第2軸受部85Q、第3軸受部85R及び第4軸受部85Sのそれぞれの当接部位85Aとをレーザ透過溶着する工程も同時に行われるので、組み付け作業を一層簡素化できる。また、第1周縁部73と第2周縁部83との溶着によって、第1周縁部73と第2周縁部83との間にシール部材を配置しなくても収納室7Aへの水等の侵入を抑制できる。その結果、このドアロック装置1では、電動モータM1やスイッチSW1〜SW3の不具合を抑制できる。
【0109】
さらに、このドアロック装置1では、
図19に示すように、第1ハウジング70に形成された支持部76P、76Qの中間部位76Cを第3ハウジング90に形成された挿通孔96P、96Qに挿通させ、第2ハウジング80を第1ハウジング70に組み付ける。これにより、第2ハウジング80に形成された抜止部位86P、86Qが支持部76P、76Qの先端部位76Bと整合し、先端部位76Bを抜け止めする。つまり、このドアロック装置1では、第3ハウジング90を第1、2ハウジング70、80に組み付ける際にねじによる締結作業が不要となる。また、第1軸部75P、第2軸部75Q、第3軸部75R及び第4軸部75Sのそれぞれの先端部位75Bと、第1軸受部85P、第2軸受部85Q、第3軸受部85R及び第4軸受部85Sのそれぞれの当接部位85Aとをレーザ透過溶着する工程の際、同時に、支持部76P、76Qの先端部位76Bと抜止部位86P、86Qとをレーザ透過溶着する。その結果、このドアロック装置1では、組み付け作業をより一層簡素化できる。
【0110】
また、このドアロック装置1では、第1ハウジング70が光吸収性の樹脂材料により形成され、第2ハウジング80が光透過性の樹脂材料により形成され、溶着をレーザ透過溶着としていることにより、超音波溶着と比較して、精密、かつ、自由度の高い溶着を実現できる。
【0111】
さらに、このドアロック装置1では、
図18に示すように、先端部位75B及び当接部位85Aに設けられた間隔設定面75W、85Wは、互いに溶融せずに当接して第1ハウジング70の第1基壁部71と第2ハウジング80の第2基壁部81との間隔W1を設定する。このため、当接する範囲の全体に摩擦熱が発生する超音波溶着と比較して、間隔W1を精度良く設定できる。その結果、第1軸部75P、第2軸部75Q、第3軸部75R及び第4軸部75Sに支持されるI/Sオープンレバー25、I/Sロックレバー35、直動ロックレバー40及びウォームホイール39の回動又は直動をスムーズに行わせることができる。
【0112】
また、このドアロック装置1では、
図18に示すように、第1軸受部85P、第2軸受部85Q、第3軸受部85R及び第4軸受部85Sのそれぞれの嵌合部位85Bは、対応する第1軸部75P、第2軸部75Q、第3軸部75R及び第4軸部75Sの先端部位75Bと嵌合するので、先端部位75Bを精度良く位置決めできる。その結果、第1軸部75P、第2軸部75Q、第3軸部75R及び第4軸部75Sに支持されるI/Sオープンレバー25、I/Sロックレバー35、直動ロックレバー40及びウォームホイール39の回動又は直動をスムーズに行わせることができる。
【0113】
さらに、このドアロック装置1では、ネジを1本も使用しないで、第1ハウジング70、第2ハウジング80及び第3ハウジング90の組み付け作業を行うことを実現している。その結果、組み付け作業を大幅に簡素化でき、製造コストの低廉化を実現できる。
【0114】
(変形例)
図7に示すように、実施例1に係る第1ハウジング70では、第1周縁部73よりも上方でキーシリンダ保持部C2Aを保持する部位が一体成形されていたが、
図20に示すように、この部位を別部材279としてもよい。この場合、別部材279の根元部には、車両外側に向かって突出する接合凸部279Nが形成され、第1周縁部73には、接合凹部273Nが車両外側に向かって凹むように形成される。そして、接合凸部279Nを接合凹部273Nに嵌入させた後、第2ハウジング80の第2周縁部83の第2溶着部83Mを別部材279における接合凸部279Nの周辺に、車両内側から当接させる。その後、第1溶着部73Mと第2溶着部83Mとがレーザ透過溶着されることによって、別部材279が第1周縁部73と第2周縁部83とに挟まれた状態で、第1ハウジング70及び第2ハウジング80に接合される。
【0115】
変形例のドアロック装置1でも、組み付け作業の簡素化を実現できる。また、別部材279として、形状違いのものを複数用意することにより、ドアロック装置1の品種変更を容易に実施できる。
【0116】
以上において、本発明を実施例及び変形例に即して説明したが、本発明は上記実施例及び変形例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0117】
例えば、実施例では、溶着として、レーザ透過溶着を採用しているが、この構成には限定されず、熱板溶着や超音波溶着等であってもよい。
【0118】
実施例では、突部は、I/Sオープンレバー25、I/Sロックレバー35、ウォームホイール39及び直動ロックレバー40を回動又は直動可能に支持する第1〜4軸部75P、75Q、75R、75Sであったが、この構成には限定されず、単なる支柱等であってもよい。
【0119】
実施例では、第1軸部75P及び第1軸受部85Pの組、第2軸部75Q及び第2軸受部85Qの組、第3軸部75R及び第3軸受部85Rの組、第4軸部75S及び第4軸受部85Sの組の全てで溶着を行っているが、この構成には限定されず、少なくとも1組について溶着を行えば、本発明に含まれる。