(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1連結ブラケットにおいて、前記第1シートバック側連結領域を構成する面から、前記第1クッション側連結領域を構成する面までのシート幅方向におけるオフセット量と、前記第2連結ブラケットにおいて、前記第2シートバック側連結領域を構成する面から、前記第2クッション側連結領域を構成する面までのシート幅方向におけるオフセット量が異なることを特徴とする請求項3に記載の乗物用シートフレーム。
前記部品である、シートの高さを調整する高さ調整機構の主動部が、前記第1クッションサイドフレームと前記第2クッションサイドフレームのうち前記第1クッションサイドフレームにのみ設けられることを特徴とする請求項5に記載の乗物用シートフレーム。
前記部品である、乗員の着座を検知する着座センサ機構が、前記第1クッションサイドフレームと前記第2クッションサイドフレームのうち前記第1クッションサイドフレームにのみ設けられることを特徴とする請求項5に記載の乗物用シートフレーム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特に着座部の骨格となるシートクッションフレームにおいて、左右のフレームに取り付けられる部品が相違する場合には、シートバックフレームとシートクッションフレームとを連結する左右のブラケットにかかる荷重が異なってくる。そのため、後面衝突時に左右のブラケットが均等に変形しないことがある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、シートバックフレームとシートクッションフレームとを連結する左右のブラケットの衝撃吸収時における変形量を調整可能な乗物用シートフレームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、シートクッションフレームと、シートバックフレームと、前記シートクッションフレームの一方側のサイドフレームである第1クッションサイドフレームと、前記シートバックフレームの前記一方側のサイドフレームである第1シートバックサイドフレームとを連結する第1連結ブラケットと、前記シートクッションフレームの他方側のサイドフレームである第2クッションサイドフレームと、前記シートバックフレームの前記他方側のサイドフレームである第2シートバックサイドフレームとを連結する第2連結ブラケットと、を備え、部品が、前記一方側のサイドフレームと前記他方側のサイドフレームのうち前記一方側のサイドフレームにのみ設けられており、前記第1連結ブラケットに設けられる第1脆弱部と、前記第2連結ブラケットに設けられる第2脆弱部との衝撃吸収時の変形のし易さが異な
っており、前記第2脆弱部を前記第1脆弱部よりも衝撃吸収時に変形し易くしたことを特徴とする乗物用シートフレームにより解決される。
【0007】
上記の乗物用シートフレームでは、シートクッションフレームとシートバックフレームとを連結する左右の連結ブラケットのそれぞれの脆弱部の変形のし易さを相違させることで、衝撃吸収時の左右の連結ブラケットの変形量を調整することができる。
また、後面衝突時に第2連結ブラケットに第1連結ブラケットよりも強い荷重がかかる場合に、第2連結ブラケットと第1連結ブラケットとの変形量のバランスを取ることができる。
【0008】
上記の乗物用シートフレームにおいて、前記第1脆弱部と前記第2脆弱部の形状が異なることとしてよい。
こうすることで、第1脆弱部と第2脆弱部の形状に応じて、衝撃吸収時の左右の連結ブラケットの変形量を調整することができる。
【0009】
上記の乗物用シートフレームにおいて、前記第1連結ブラケットは、前記第1シートバックサイドフレームとの連結部分を含む第1シートバック側連結領域と、前記第1クッションサイドフレームとの連結部分を含む第1クッション側連結領域と、前記第1シートバック側連結領域と前記第1クッション側連結領域とを接続し、前記第1シートバック側連結領域と前記第1クッション側連結領域よりもシート外側に屈曲した前記第1脆弱部と、を有し、前記第2連結ブラケットは、前記第2シートバックサイドフレームとの連結部分を含む第2シートバック側連結領域と、前記第2クッションサイドフレームとの連結部分を含む第2クッション側連結領域と、前記第2シートバック側連結領域と前記第2クッション側連結領域とを接続し、前記第2シートバック側連結領域と前記第2クッション側連結領域よりもシート外側に屈曲した前記第2脆弱部と、を有することとしてよい。
こうすることで、衝撃吸収時に左右の連結ブラケットの脆弱部がそれぞれシート外側に屈曲するようにし、シートバックフレームへの衝撃を軽減できる。
【0010】
上記の乗物用シートフレームにおいて、前記第1連結ブラケットにおいて、前記第1シートバック側連結領域を構成する面から、前記第1クッション側連結領域を構成する面までのシート幅方向におけるオフセット量と、前記第2連結ブラケットにおいて、前記第2シートバック側連結領域を構成する面から、前記第2クッション側連結領域を構成する面までのシート幅方向におけるオフセット量が異なることとしてよい。
こうすることで、第1脆弱部と第2脆弱部のそれぞれのオフセット量を調整することにより、それぞれの脆弱部の変形のし易さを制御できる。
【0011】
上記の乗物用シートフレームにおいて、前記第1シートバック側連結領域を構成する面と、前記第1クッション側連結領域を構成する面とは同一面内にあり、前記第2シートバック側連結領域を構成する面よりも前記第2クッション側連結領域を構成する面がシート内側又はシート外側にあることとしてよい。
こうすることで、第2連結ブラケットに設けられる第2脆弱部が、第1連結ブラケットに設けられる第1脆弱部よりも衝撃吸収時に変形し易くすることができる。
【0013】
上記の乗物用シートフレームにおいて、
前記部品である、シートの高さを調整する高さ調整機構の主動部が、前記第1クッションサイドフレームと前記第2クッションサイドフレームのうち前記第1クッションサイドフレームにのみ設けられることとしてよい。
こうすることで、高さ調整機構の主動部の荷重がかかる第1連結ブラケットよりも、高さ調整機構の主動部の荷重がかからない第2連結ブラケットを変形しやすくすることにより、衝撃吸収時の第1連結ブラケットと第2連結ブラケットとをバランス良く変形させることができる。
【0014】
上記の乗物用シートフレームにおいて、
前記部品である、乗員の着座を検知する着座センサ機構が、前記第1クッションサイドフレームと前記第2クッションサイドフレームのうち前記第1クッションサイドフレームにのみ設けられることとしてよい。
こうすることで、着座センサ機構の分の荷重がかかる第1連結ブラケットよりも、着座センサ機構の分の荷重がかからない第2連結ブラケットを変形しやすくすることにより、衝撃吸収時の第1連結ブラケットと第2連結ブラケットとをバランス良く変形させることができる。
【0015】
また、前記課題は、シートクッションフレームと、シートバックフレームと、前記シートクッションフレームの一方側のサイドフレームである第1クッションサイドフレームと、前記シートバックフレームの前記一方側のサイドフレームである第1シートバックサイドフレームとを連結する第1連結ブラケットと、前記シートクッションフレームの他方側のサイドフレームである第2クッションサイドフレームと、前記シートバックフレームの前記他方側のサイドフレームである第2シートバックサイドフレームとを連結する第2連結ブラケットと、を備え、部品が、前記一方側のサイドフレームと前記他方側のサイドフレームのうち前記一方側のサイドフレームにのみ設けられており、前記第1連結ブラケットには第1脆弱部が設けられ、前記第2連結ブラケットには第2脆弱部が設けられ、前記第1脆弱部は前記第1連結ブラケットの前端から後端に亘って連続して設けられており、前記第2脆弱部は前記第2連結ブラケットの前端から後端に亘って連続して設けられて
おり、前記第2脆弱部を前記第1脆弱部よりも衝撃吸収時に変形し易くしたことを特徴とする乗物用シートフレームにより解決される。
上記の乗物用シートフレームによれば、シートクッションフレームとシートバックフレームとを連結する左右の連結ブラケットのそれぞれの脆弱部の変形のし易さを相違させることで、衝撃吸収時の左右の連結ブラケットの変形量を調整することができる。
また、後面衝突時に第2連結ブラケットに第1連結ブラケットよりも強い荷重がかかる場合に、第2連結ブラケットと第1連結ブラケットとの変形量のバランスを取ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、シートクッションフレームとシートバックフレームとを連結する左右の連結ブラケットのそれぞれの脆弱部の変形のし易さを相違させることで、衝撃吸収時の左右の連結ブラケットの変形量を調整することができる。
【0017】
本発明の一側面によれば、第1脆弱部と第2脆弱部の形状に応じて、衝撃吸収時の左右の連結ブラケットの変形量を調整することができる。
【0018】
本発明の一側面によれば、衝撃吸収時に左右の連結ブラケットの脆弱部がそれぞれシート外側に屈曲するようにし、シートバックフレームへの衝撃を軽減できる。
【0019】
本発明の一側面によれば、第1脆弱部と第2脆弱部のそれぞれのオフセット量を調整することにより、それぞれの脆弱部の変形のし易さを制御できる。
【0020】
本発明の一側面によれば、第2連結ブラケットに設けられる第2脆弱部が、第1連結ブラケットに設けられる第1脆弱部よりも衝撃吸収時に変形し易くすることができる。
【0021】
本発明の一側面によれば、後面衝突時に第2連結ブラケットに第1連結ブラケットよりも強い荷重がかかる場合に、第2連結ブラケットと第1連結ブラケットとの変形量のバランスを取ることができる。
【0022】
本発明の一側面によれば、高さ調整機構の主動部の荷重がかかる第1連結ブラケットよりも、高さ調整機構の主動部の荷重がかからない第2連結ブラケットを変形しやすくすることにより、衝撃吸収時の第1連結ブラケットと第2連結ブラケットとをバランス良く変形させることができる。
【0023】
本発明の一側面によれば、着座センサ機構の分の荷重がかかる第1連結ブラケットよりも、着座センサ機構の分の荷重がかからない第2連結ブラケットを変形しやすくすることにより、衝撃吸収時の第1連結ブラケットと第2連結ブラケットとをバランス良く変形させることができる。
【0024】
本発明によれば、シートクッションフレームとシートバックフレームとを連結する左右の連結ブラケットのそれぞれの脆弱部の変形のし易さを相違させることで、衝撃吸収時の左右の連結ブラケットの変形量を調整することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態に係る乗物用シート及び乗物用シートの骨格となる乗物用シートフレームについて、
図1乃至
図11を参照しながら説明する。
【0027】
本実施形態は、シートクッションフレームと、シートバックフレームと、前記シートクッションフレームの一方側のサイドフレームである第1クッションサイドフレームと、前記シートバックフレームの前記一方側のサイドフレームである第1シートバックサイドフレームとを連結する第1連結ブラケットと、前記シートクッションフレームの他方側のサイドフレームである第2クッションサイドフレームと、前記シートバックフレームの前記他方側のサイドフレームである第2シートバックサイドフレームとを連結する第2連結ブラケットと、を備え、前記第1連結ブラケットに設けられる第1脆弱部と、前記第2連結ブラケットに設けられる第2脆弱部との衝撃吸収時の変形のし易さが異なる乗物用シートフレームの発明に関するものである。なお、以下の実施形態では、本発明に係る乗物用シートフレームを車両用シートフレームに適用した場合を例として説明する。
【0028】
なお、以下の説明中、「前後方向」とは、車両用シートの着座者から見たときの前後方向を意味し、車両の走行方向と一致する方向である。「シート幅方向」とは、車両用シートの横幅方向を意味し、車両用シートの着座者から見たときの左右方向と一致する。また、以下において「左」とは着座者から見たときの左を指し、同様に「右」とは着座者から見たときの右を指す。また、「高さ方向」とは、車両用シートの高さ方向を意味し、車両用シートを正面から見たときの上下方向と一致している。
【0029】
まず、
図1に基づき、本実施形態に係る車両用シートSの基本構成について説明する。
図1に示すように、車両用シートSは、シートバックS1、シートクッションS2及びヘッドレストS3を有する。また、シートクッションS2の下部には、シート本体(車両用シートSの主要部)を前後方向にスライド移動させるためのスライドレール機構30が配置されている。さらに、車両用シートSは、その骨格として、
図2に示される車両用シートフレームF1を有する。車両用シートフレームF1は、シートバックフレーム10と、シートクッションフレーム20と、を主な構成要素としている。
【0030】
シートバックフレーム10は、逆さU字形のアッパフレーム11と、シート幅方向左端部をなすシートバックサイドフレーム12L(第1シートバックサイドフレームに相当)と、シート幅方向右端部をなすシートバックサイドフレーム12R(第2シートバックサイドフレームに相当)と、シートバックサイドフレーム12Lとシートバックサイドフレーム12Rの下端部の間に架設されたロアメンバーフレーム13と、を有する。また、シートバックサイドフレーム12Lとシートバックサイドフレーム12Rの下端部の間にはリクライニング機構のリクライニング軸14がシートバックサイドフレーム12Lとシートバックサイドフレーム12Rを貫通した状態でセットされている。
【0031】
シートクッションフレーム20は、上方から見たときに方形枠状の外形形状を有しており、シート幅方向左端部に位置するクッションサイドフレーム21L(第1クッションサイドフレームに相当)と、シート幅方向右端部に位置するクッションサイドフレーム21L(第2クッションサイドフレームに相当)と、シートクッションフレーム20の前端部を構成するパンフレーム22と、を主たる構成要素とする。また、クッションサイドフレーム21Lの後端部の上方部分は、連結ブラケット23Lを介してシートバックサイドフレーム12Lの下端部に取り付けられている。同様に、クッションサイドフレーム21Rの後端部の上方部分は、連結ブラケット23Rを介してシートバックサイドフレーム12Rの下端部に取り付けられている。詳細については後述するが、連結ブラケット23Lと連結ブラケット23Rにはそれぞれ衝撃入力時に変形し易い形状に構成された脆弱部が設けられており、例えば後面衝突時に連結ブラケット23Lと連結ブラケット23Rの脆弱部が潰れることにより衝撃が効率良く吸収されるようになっている。
【0032】
また、クッションサイドフレーム21L及びクッションサイドフレーム21Rの後端部の下方部分同士は、
図2に示すように、シート幅方向に沿って延出する部材によって連結されている。この部材は、中空部材としての連結パイプ24であり、具体的には丸パイプからなる。また、連結パイプ24のシート幅方向における両端部は、筒状部材としての端部スリーブ28L及び端部スリーブ28Rを介してクッションサイドフレーム21Lとクッションサイドフレーム21Rに支持されている。
【0033】
また、クッションサイドフレーム21Lとクッションサイドフレーム21Rの間には、臀部支持部材としてのSバネ25がシート幅方向に複数並べられて設けられている。このSバネ25は、シート着座者である乗員の臀部を支持するために設けられており、前後方向に長く延出している。また、Sバネ25の前端部は、パンフレーム22の上端面に固定されている。また、Sバネ25の後端部は、クッションサイドフレーム21Lとクッションサイドフレーム21Rの間に配置された係合フック26とL字アングル状の固定ブラケット27によって上述の連結パイプ24に留められている。
【0034】
本実施形態の車両用シートSは、シートクッションS2の高さを調整するための高さ調整機構40を備えている。この高さ調整機構40は、上下方向においてシートクッションフレーム20とスライドレール機構30のアッパレール32Lとの間に配置されている。そして、乗員が高さ調整操作(例えば、不図示の昇降ボタンを押す操作)を実行すると、高さ調整機構40の可動部(詳細には、後述する主動リンク41や従動リンク43等)が動作する。これにより、シートクッションS2を含むシート本体の高さが調整されることになる。
【0035】
以下、本実施形態に係る高さ調整機構40の構成について
図3及び
図4を参照しながら説明する。
図3及び
図4に示すように、高さ調整機構40は、主動リンク41と、ピニオンギア42と、従動リンク43,44とを有する。主動リンク41及び従動リンク43,44は、シートクッションS2と共に前後方向及び上下方向に揺動する。
【0036】
また、主動リンク41は、金属製の板部材からなり、シートクッションフレーム20を構成するクッションサイドフレーム21Lとクッションサイドフレーム21Rのうち、シート幅方向外側のクッションサイドフレーム(本実施形態ではクッションサイドフレーム21Lである)側に配置されている。
また、主動リンク41の長手方向一端部は、アッパレール32Lの上面に設置されたリンク支持部32aにピボットピン41bを介して揺動自在に支持されている。
また、主動リンク41の長手方向他端部は、
図3及び
図4に示すように略扇状の外形形状をなしている。さらに、略扇状となった主動リンク41の長手方向他端部の前端部にはギア歯が形成されている。つまり、主動リンク41の長手方向他端部は、セクタギア41aを構成しており、
図3に示すようにピニオンギア42と噛み合っている。
ピニオンギア42は、シートクッションフレーム20に設けられたクッションサイドフレーム21Lに対して回転自在に取り付けられている。また、ピニオンギア42は、クッションサイドフレーム21Lに取り付けられた駆動モータと連結している。
なお、主動リンク41、セクタギア41a、ピニオンギア42を含み、高さ調整機構40を主に動作させる機構部分を主動部40Mとし、主動部40Mによる動作に従動してシートの高さを調整する機構部分を従動部とする。
【0037】
従動リンク43(高さ調整機構40の従動部に相当)は、金属製の板部材からなり、主動リンク41の揺動動作に従動して揺動するリンクである。従動リンク43は、シートクッションフレーム20のクッションサイドフレーム21L及びアッパレール32Lのそれぞれに対して揺動自在に支持されている。
具体的に説明すると、従動リンク43の長手方向一端部は、
図3に示すように、アッパレール32Lの上面に設置されたリンク支持部32bにピボットピン43aを介して揺動自在に支持されている。また、従動リンク43の長手方向他端部は、
図3に示すように、クッションサイドフレーム21Lの下端部にピボットピン43bを介して揺動自在に支持されている。
【0038】
また、従動リンク44(高さ調整機構40の従動部に相当)は、
図4に示すように主動リンク41と対をなしている。具体的に説明すると、主動リンク41と従動リンク44とは、連結パイプ24、端部スリーブ28L及び端部スリーブ28Rによって連結されている。
より詳しく説明すると、主動リンク41の長手方向両端部のうち、セクタギア41aが形成されている側の端部は、その後方部分に半円状の切り欠き部分41rを有する。かかる切り欠き部分41rには、連結パイプ24のシート幅方向一端部が嵌め込まれた状態の端部スリーブ28Lが嵌合しており、両者は、溶接にて固定されている。
他方、従動リンク44の長手方向両端部のうち、クッションサイドフレーム21Rに支持されている側の端部は、その後方部分に半円状の切り欠き部分44rを有する。かかる切り欠き部分44rには、連結パイプ24のシート幅方向他端部が嵌め込まれた状態の端部スリーブ28Rが嵌合しており、両者は、溶接にて固定されている。
【0039】
以上のように構成された高さ調整機構40の動作について説明すると、シート着座者である乗員が高さ調整操作(例えば、不図示の昇降ボタンを押す操作)を実行することにより、ピニオンギア42に連結した駆動モータが駆動してピニオンギア42が回転する。
ピニオンギア42が回転すると、ピニオンギア42とセクタギア41aとの噛み合い位置が変化する。これに伴って、主動リンク41及び従動リンク43、44が揺動する。このとき、主動リンク41及び従動リンク44に溶接されている端部スリーブ28L,28R、及び端部スリーブ28L,28Rに嵌め込まれた連結パイプ24が一体的に揺動するようになる。これにより、シートクッションフレーム20のクッションサイドフレーム21L及びクッションサイドフレーム21Rは、連結パイプ24と端部スリーブ28L及び端部スリーブ28Rに対して、これらの中心軸を回動中心として相対的に回動するようになる。この結果、シートクッションフレーム20が昇降し、シート本体の高さが調整されるようになる。
【0040】
ここで、
図5には、第1の実施形態に係る車両用シートフレームF1の背面図を示した。
図5に示す背面図は、車両用シートフレームF1をシートバックフレーム10の後部から見たときの図に対応する。
図5に示されるように、車両用シートフレームF1においては、高さ調整機構40の主動部40Mが、クッションサイドフレーム21Lとクッションサイドフレーム21Rのうち、クッションサイドフレーム21Lにのみ取り付けられている。
例えば、後面衝突時において、クッションサイドフレーム21Lに取り付けられる連結ブラケット23Lには、クッションサイドフレーム21Rに取り付けられる連結ブラケット23Rと比べて主動部40Mの分の荷重が多くかかることとなる。そのため、仮に連結ブラケット23Lと連結ブラケット23Rとを同様の形状、素材により同程度の変形のし易さで形成した場合には、連結ブラケット23Lの変形量が連結ブラケット23Rの変形量よりも大きくなり、車両用シートフレームF1が左右において均等に変形しない可能性がある。
そこで、車両用シートフレームF1においては、連結ブラケット23Lと連結ブラケット23Rとにそれぞれ設けられる脆弱部の機構に差異を設けることにより、連結ブラケット23Lと連結ブラケット23Rの変形のし易さが相違するようにしている。
以下、
図6及び
図7を参照しながら、連結ブラケット23Lと連結ブラケット23Rとの構成の詳細について説明する。
【0041】
図6は、高さ調整機構40の主動部40Mが設けられた側のフレームを連結する連結ブラケット23Lの正面図(A)及び側面図(B)を示している。
また、
図7は、高さ調整機構40の主動部40Mが設けられていない側のフレームを連結する連結ブラケット23Rの正面図(A)及び側面図(B)を示している。
【0042】
図6(A)に示されるように、連結ブラケット23Lは、リクライニング軸14用のシャフト貫通孔231Lと、クッションサイドフレーム21Lと連結ブラケット23Lとを締結するボルトを挿通するボルト締結用孔232L,233Lが設けられている。なお、リクライニング軸14にはリクライニング機構が取り付けられ、リクライニング機構を介して連結ブラケット23Lにはシートバックフレーム10が連結されている。
【0043】
また、
図6(A)及び(B)に示されるように、連結ブラケット23Lには、シートバックサイドフレーム12Lとの連結部分となるシャフト貫通孔231Lを含むシートバック側連結領域235L(第1シートバック側連結領域に相当)と、クッションサイドフレーム21Lとの連結部分(の一部)となるボルト締結用孔233Lを含むクッション側連結領域236L(第1クッション側連結領域に相当)と、シートバック側連結領域235Lとクッション側連結領域236Lとを接続し、シートバック側連結領域235Lとクッション側連結領域236Lよりもシート外側に屈曲した脆弱部237L(第1脆弱部に相当)と、を有する。
【0044】
ここで、
図6(B)に示されるように、シートバック側連結領域235Lのシート内側方向(連結ブラケット23Lを車両用シートフレームF1に取り付けた場合のシート内側方向)の端面と、クッション側連結領域236Lのシート内側方向の端面とは、同一面内に存在しており、両者のシート幅方向におけるずれ幅を示すオフセット量は略0となっている。すなわち、脆弱部237Lは、シートバック側連結領域235Lとの接続部分と、クッション側連結領域236Lとの接続部分がシート幅方向において略同一面内に位置する形状となっている。
【0045】
次に、
図7(A)に示されるように、連結ブラケット23Rは、リクライニング軸14用のシャフト貫通孔231Rと、クッションサイドフレーム21Rと連結ブラケット23Rとを締結するボルトを挿通するボルト締結用孔232R,233Rが設けられている。なお、リクライニング軸14にはリクライニング機構が取り付けられ、リクライニング機構を介して連結ブラケット23Rにはシートバックフレーム10が連結されている。
【0046】
また、
図7(A)及び(B)に示されるように、連結ブラケット23Rには、シートバックサイドフレーム12Rとの連結部分となるシャフト貫通孔231Rを含むシートバック側連結領域235R(第2シートバック側連結領域に相当)と、クッションサイドフレーム21Rとの連結部分(の一部)となるボルト締結用孔233Rを含むクッション側連結領域236R(第2クッション側連結領域に相当)と、シートバック側連結領域235Rとクッション側連結領域236Rとを接続し、シートバック側連結領域235Rとクッション側連結領域236Rよりもシート外側に屈曲した脆弱部237R(第2脆弱部に相当)と、を有する。
【0047】
ここで、
図7(B)に示されるように、シートバック側連結領域235Rのシート内側方向(連結ブラケット23Rを車両用シートフレームF1に取り付けた場合のシート内側方向)の端面と、クッション側連結領域236Rのシート内側方向の端面とは、同一面内には存在しておらず、両者のシート幅方向におけるずれ幅を示すオフセット量はd(>0)となっている。すなわち、シートバック側連結領域235Rの端面よりも、クッション側連結領域236Rの端面がよりシート内側に位置している。換言すれば、脆弱部237Rは、シートバック側連結領域235Rとの接続部分よりも、クッション側連結領域236Rとの接続部分の方がよりシート内側に位置する形状となっている。
また、脆弱部237Rは、シートバック側連結領域235Rとの接続部分よりも、クッション側連結領域236Rとの接続部分の方がよりシート外側に位置する形状としてもよい。
【0048】
上記のように、連結ブラケット23Lのオフセット量よりも、連結ブラケット23Rのオフセット量を大きくしたことにより、連結ブラケット23R(脆弱部237R)が、連結ブラケット23L(脆弱部237L)よりも変形し易くなる。換言すれば、連結ブラケット23Lのオフセット量よりも、連結ブラケット23Rのオフセット量を大きくしたことにより、連結ブラケット23Lが連結ブラケット23Rよりも変形し難くなる。
こうして、連結ブラケット23Lには主動部40Mの荷重がかかる分、連結ブラケット23Rよりも変形し難くしたことで、連結ブラケット23Lと連結ブラケット23Rの変形量が均等にとなるように調整可能となる。
【0049】
次に、
図8及び
図9を参照しながら、本発明の第2の実施形態に係る車両用シートフレームF2について説明する。
第2の実施形態に係る車両用シートフレームF2は、クッションサイドフレーム21L及びアッパレール32Lとの間に、高さ調整機構40ではなく、乗員の着座を検知する着座センサ機構50が設けられている点で第1の実施形態に係る車両用シートフレームF1と相違するが、その他の点においては共通している。以下では主に相違点について説明する。
【0050】
図8には、第2の実施形態に係る車両用シートフレームF2の斜視図を、
図9には、着座センサ機構50の取り付け部分に関する側面図を示した。
【0051】
第2の実施形態に係る車両用シートフレームF2では、着座センサ機構50は、シートクッションフレーム20を構成するクッションサイドフレーム21Lとクッションサイドフレーム21Rのうち、シート幅方向外側のクッションサイドフレーム(本実施形態ではクッションサイドフレーム21Lである)に対してのみ設けられている。
【0052】
図8及び
図9に示されるように、着座センサ機構50は、シート前方部に設けられたシートポジションセンサ50Aと、シート後方部に設けられたシートウェイトセンサ50Bとを備える。
ここで、
図9に示されるように、シートポジションセンサ50Aの上部は、ブラケット51Aによりクッションサイドフレーム21Lに取り付けられており、シートポジションセンサ50Aの下部はアッパレール32Lに当接するように設けられている。なお、シートポジションセンサ50Aにより乗員のシート前後方向での位置が検出可能となっている。
【0053】
また、
図9に示されるように、シートウェイトセンサ50Bの上部は、ブラケット51Bによりクッションサイドフレーム21Lに取り付けられており、シートウェイトセンサ50Bの下部はアッパレール32Lに当接するように設けられている。なお、シートウェイトセンサ50Bによりシート積載物の重量、重心位置が検出可能となっている。
【0054】
上述したように、第2の実施形態に係る車両用シートフレームF2においては、着座センサ機構50が、クッションサイドフレーム21Lとクッションサイドフレーム21Rのうち、クッションサイドフレーム21Lにのみ取り付けられている。後面衝突時において、クッションサイドフレーム21Lに取り付けられる連結ブラケット23Lには、クッションサイドフレーム21Rに取り付けられる連結ブラケット23Rと比べて着座センサ機構50の分の荷重がかかることとなる。
そこで、車両用シートフレームF2においても、
図6及び
図7に示した、連結ブラケット23L及び連結ブラケット23Rの構成を採用することにより、連結ブラケット23R(脆弱部237R)を、連結ブラケット23L(脆弱部237L)よりも変形し易くする。これにより、車両用シートフレームF2において、連結ブラケット23Lと連結ブラケット23Rの変形量が均等となるように調整することができる。
【0055】
次に、
図10及び
図11を参照しながら、本発明の第3の実施形態に係る車両用シートフレームF3について説明する。
第3の実施形態に係る車両用シートフレームF3は、クッションサイドフレーム21Lとシートバックサイドフレーム12Lとを脆弱部を有さない連結ブラケット123Lにより連結し点で第1の実施形態に係る車両用シートフレームF1と相違するが、その他の点においては共通している。以下では相違点について説明する。
【0056】
図10には、第3の実施形態に係る車両用シートフレームF3の斜視図を示した。
図11には、高さ調整機構40の主動部40Mが設けられた側のフレームを連結する連結ブラケット123Lの正面図(A)及び側面図(B)を示した。
【0057】
図10に示されるように、第3の実施形態に係る車両用シートフレームF3では、クッションサイドフレーム21Lの後端部の上方部分は、連結ブラケット123Lを介してシートバックサイドフレーム12Lの下端部に取り付けられている。
【0058】
また、
図11(A)に示されるように、連結ブラケット123Lは、リクライニング軸14用のシャフト貫通孔124Lと、クッションサイドフレーム21Lと連結ブラケット123Lとを締結するボルトを挿通するボルト締結用孔125L,126Lが設けられている。なお、リクライニング軸14にはリクライニング機構が取り付けられ、リクライニング機構を介して連結ブラケット23Lにはシートバックフレーム10が連結されている。
【0059】
なお、
図11(A)、(B)に示されるように、連結ブラケット123Lにおいては、衝撃入力時に変形し易い形状に構成された脆弱部が設けられていない。すなわち、連結ブラケット123Lにおいては、連結ブラケット23Lと異なり、シャフト貫通孔124Lと、ボルト締結用孔126Lとの間にシート外側に屈曲した部分を有していない。
一方で、連結ブラケット23Rには
図7に示されるように脆弱部237Rが設けられているため、連結ブラケット23R(脆弱部237R)を、連結ブラケット123Lよりも変形し易くすることができる。
これにより、後面衝突時において、クッションサイドフレーム21Lに取り付けられる連結ブラケット123Lには、クッションサイドフレーム21Rに取り付けられる連結ブラケット23Rと比べて高さ調整機構40の主動部40Mの分の荷重が多くかかる場合においても、連結ブラケット123Lと連結ブラケット23Rの変形量が均等となるように調整可能となる。なお、第3の実施形態において連結ブラケット23Rの脆弱部237Rの形状は、
図7に示した形状に限定されるものではなく、例えば
図6に示した連結ブラケット23Lのようにオフセット量を略0にした形状としてもよいし、他の形状としてもよい。
【0060】
以上においては、主として本発明を適用した車両用シートフレームの一例に関して説明したが、本発明は船舶、航空機等の他の乗物のシートについても同様に適用可能である。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0061】
例えば、連結ブラケットに設けられる脆弱部は、連結ブラケットの一部をシート外側に屈曲させて構成する態様に限定されるものではない。例えば、連結ブラケットにおいて、脆弱部を構成する部分の金属組織を、脆弱部以外を構成する部分の金属組織よりも強度を弱くすることにより、脆弱部を構成してもよいし、連結ブラケットに折れ曲がりを誘発するビードを設けることで脆弱部を構成してもよい。
【0062】
また、上記の実施形態では、一例として左側のフレームに高さ調整機構40の主動部40Mや着座センサ機構50を設けた例について説明したが、右側のフレームに高さ調整機構40の主動部40Mや着座センサ機構50を設けることとしてもよい。この場合には、右側のフレームを連結する連結ブラケットを、左側のフレームを連結する連結ブラケットよりも衝撃入力時に変形し難い構成(例えば連結ブラケットのオフセット量を連結ブラケットよりも小さくする)とすればよい。