(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に沸騰水型原子炉(RBWR)の全体構成を示す。沸騰水型原子炉1は、電気出力1350MW用の炉心2を備えているが、出力規模はこれに限定されるものではない。炉心2に装荷された燃料集合体の体数を変更することによって、他の出力規模の炉心2を実現することができる。
【0013】
沸騰水型原子炉1は、原子炉圧力容器3内に、炉心2、気水分離器4及び蒸気乾燥器5を配置している。炉心2は、原子炉圧力容器3内で炉心シュラウド6によって取り囲まれている。気水分離器4は炉心2の上方に配置され、蒸気乾燥器5は気水分離器4の上方に配置されている。複数のインターナルポンプ(冷却材供給装置)7が原子炉圧力容器3の底部に設置され、インターナルポンプ7のインペラ(羽根車)が原子炉圧力容器3と炉心シュラウド6との間に形成されるダウンカマ内に配置される。蒸気乾燥器5からの蒸気をタービン8に供給する主蒸気配管9及び給水配管10が原子炉圧力容器3に接続されている。
【0014】
沸騰水型原子炉1の運転時、インターナルポンプ7のインペラの回転によってダウンカマ内の冷却材が加圧されて炉心2に供給される。炉心2内に供給された冷却材は、後述する各燃料集合体内に導かれ、核分裂性物質の核分裂によって発生する熱で加熱されて一部が蒸気になる。気液二相流状態の冷却材は、炉心2から気水分離器4に導かれて蒸気が分離される。分離された蒸気は、蒸気乾燥器5によって水分がさらに除去される。水分が除去された蒸気は、主蒸気配管9を流れてタービン8に供給され、タービン8が回転する。タービン8に連結された発電機11が回転し、電力を発生する。タービン8から排出された蒸気は、復水器12にて凝縮されて凝縮水となる。この凝縮水は、給水ポンプ13により給水配管10を介して原子炉圧力容器3内に導かれる。一方、気水分離器4で分離された液体の冷却材は、給水配管10を介して供給される凝縮水とダウンカマ内で混合され、再びインターナルポンプ7で加圧され、炉心2に供給される。ここで、冷却材として、軽水、軽水及び重水の混合液が用いられる。
【0015】
図2に炉心2の水平断面を示す。炉心2には、例えば720体の六角柱形状の燃料集合体14が稠密に装荷されている。Y字型制御棒15は、3体の燃料集合体14に1本の割合で配置されており、223本のY字型制御棒15が炉心2内に挿入可能に設けられている。
【0016】
図3は、炉心2のY字型制御棒15近傍の水平断面図であり、互いに隣接した3体の六角柱形状の燃料集合体14の間にY字型制御棒15が挿入された状態を示している。燃料集合体14は、六角筒形状のチャンネルボックス16内に燃料棒17を三角格子状に配置している。核燃料物質によって構成された複数のペレットが、燃料棒17の軸方向(鉛直方向)に並ぶように、燃料棒17の図示しない被覆管内に配置されている。そして、燃料棒17は、下端から上端に向かって、下部燃料領域、内部ブランケット領域、上部燃料領域及び上部ブランケット領域を備えている。内部ブランケット領域及び上部ブランケット領域には、ウラン濃縮時の残渣である劣化ウランが充填されており、下部燃料領域及び上部燃料領域には、使用済み核燃料から抽出されたウラン核種(TRU:Trans Uranium element)を含む核燃料物質からなる燃料ペレットが配置されている。
【0017】
これら燃料集合体14の下部タイプレート(図示せず)は、炉心2の下端部に配置されている炉心支持板(図示せず)に設けられる複数の燃料支持金具に支持される。燃料集合体14に冷却材を導く冷却材流路が燃料支持金具内に形成されており、燃料支持金具内に設置されたオリフィスがその冷却材流路の入口部に配置されている。
【0018】
また、
図3に示すように、Y字型制御棒15は、中心に位置するタイロッド18から外側に向かって伸びる3枚の翼19を有し、これら3枚の翼19が120度の間隔を持って配置されてY字型の形状をなし、三角格子状に配置された3体の燃料集合体14の間に位置するよう配されている。
【0019】
ここで、Y字型制御棒15を構成する翼19の構造について説明する。
図4にY字型制御棒15を構成する翼19の水平断面を示す。断面U字状のシース20の一端がタイロッド18に接続され、ステンレス鋼で形成されるシース20の内部には複数の中性子吸収材管21が1列に配列されている。中性子吸収材管21内には、ボロンカーバイト(B
4C)等の中性子吸収材22が充填されており、中性子吸収領域を形成している。
図4は、この中性子吸収領域における水平断面を示している。シース20には複数の孔(図示せず)が設けられており、これら複数の孔を介して冷却材を流通させることにより、中性子吸収材管21を冷却することができる。
【0020】
Y字型制御棒15は、原子炉圧力容器3の底部に個別に設けられた制御棒駆動装置23(
図1参照)に連結されている。制御棒駆動装置23は、Y字型制御棒15の炉心2への挿入及び炉心2からの引き抜きの各操作を実行する。制御棒駆動装置23はモーター駆動であり、Y字型制御棒15の鉛直方向の位置を微調整することが可能である。
【0021】
本発明に係る沸騰水型原子炉1は、燃料集合体14とY字型制御棒15との干渉を防止するため、互いに隣接した3体の燃料集合体14の間でかつY字型制御棒15を構成する3枚の翼19のそれぞれの水平方向延長上に鉛直方向に延びる鉛直ガイドを設置できるように構成されている。
【0022】
以下、鉛直ガイドの実施例を図面を用いて説明する。なお、各図中、同一の構成要素には同一の符号を付し、重複した説明は適宜省略する。
【実施例1】
【0023】
図5は、本発明の第1の実施例に係る鉛直ガイドを設置した炉心2のY字型制御棒15近傍の鳥瞰図であり、
図6は、同水平断面図である。
【0024】
図5に示すように、鉛直ガイド24は、四角柱形状の部材で構成され、その下端には、先細形状に形成された挿入部25が設けられている。この挿入部25を燃料支持金具26の上面に設けられた嵌合部27に挿入することにより、鉛直ガイド24を燃料支持金具26に設置することができる。
【0025】
鉛直ガイド24の上端部は、三又形状のガイドアーム28によって相互に連結されている。これにより、3本の鉛直ガイド24を燃料支持金具26に一体に設置することが可能となる。鉛直ガイド24の高さは、Y字型制御棒15の上端部がガイドアーム28と干渉しないように、鉛直ガイド24を燃料支持金具26に設置したときにその上端部が燃料集合体14の上端よりも上方に突出する高さに設定されている。
【0026】
図6に示すように、Y字型制御棒15の中心から見た鉛直ガイド24の幅(T1)は、Y字型制御棒15の翼の厚さ(T2)より大きく、かつ燃料集合体14間の間隙幅(G1)より小さく設定されている。これにより、燃料集合体14とY字型制御棒15との干渉を防止すると共に、燃料集合体14及びY字型制御棒15の振動や揺れを抑制することが可能となる。
【0027】
次に、本実施例に係る炉心2の燃料交換手順を、
図7及び
図8を用いて説明する。
図7は、鉛直ガイド24を炉心2に常設する場合の燃料交換手順を示す図であり、
図8は、鉛直ガイド24を炉心2に常設しない場合の燃料交換手順を示す図である。
【0028】
まず、鉛直ガイド24を炉心2に常設する場合の燃料交換手順を説明する。
【0029】
(1)核燃料の臨界を防止するため、Y字型制御棒15を互いに隣接した3体の燃料集合体14の間に全挿入し、沸騰水型原子炉1の運転を停止する(
図7(a)参照)。
【0030】
(2)燃料交換機あるいは専用の吊り具(図示せず)でガイドアーム28を掴み、Y字型制御棒15の中心とガイドアーム28の中心とが一致するように3本の鉛直ガイド24を移動する。その後、鉛直ガイド24を鉛直下方向に降下させ、鉛直ガイド24の挿入部25を燃料支持金具26の嵌合部27に挿入し、燃料支持金具26に設置する(
図7(b)参照)。
【0031】
(3)燃料交換機で使用済み燃料集合体14aを鉛直ガイド24に沿って引き抜き後、その空きスペース29に未使用の燃料集合体14bを鉛直ガイド24に沿って装荷する(
図7(c)参照)。
【0032】
(4)以上で鉛直ガイド24を炉心2に常設する場合の燃料交換作業が完了する(
図3(d)参照)。
【0033】
一方、鉛直ガイド24を常設しない場合は、上記(1)〜(3)に続いて、以下の手順を行う。
【0034】
(5)燃料交換機又は専用の吊り具によってガイドアーム28を掴み、鉛直上方向に引き上げて燃料支持金具26から取り外す(
図8(d)参照)。
【0035】
(6)以上で鉛直ガイド24を炉心2に常設しない場合の燃料交換作業が完了する(
図8(e)参照)。
【0036】
本実施例に係る鉛直ガイド24を設置した沸騰水型原子炉1によれば、燃料初装荷時又は燃料交換時に、互いに隣接した燃料集合体14の間でかつY字型制御棒15を構成する3枚の翼19のそれぞれの水平方向延長上に鉛直ガイド24を設置することにより、燃料集合体14とY字型制御棒15との干渉を防止すると共に、燃料集合体14及びY字型制御棒15の振動や揺れを抑制することができる。その結果、Y字型制御棒15を保護すると共に、燃料初装荷作業又は燃料交換作業を円滑に行うことが可能となる。
【0037】
また、鉛直ガイド24の水平断面を四角形とし、そのいずれかの側面が最も近接する燃料集合体14の側面と平行に対向する向きに鉛直ガイド24を配置することにより、燃料集合体14と鉛直ガイド24とが面で接触し得ることとなり、燃料集合体14の振動抑制効果を向上させることができる。
【0038】
また、鉛直ガイド24を炉心2内に常設した場合は、沸騰水型原子炉1の運転中も、燃料集合体14とY字型制御棒15との干渉を防止すると共に、燃料集合体14及びY字型制御棒15の振動や揺れを抑制することができる。
【0039】
また、鉛直ガイド24を炉心2内に常設した場合は、鉛直ガイド24の断面積分だけ冷却材の流路面積が減少し、水対燃料体積比が小さくなる。これにより、冷却材による中性子減速効果が抑制され、高速中性子や共鳴領域の中性子が増加するため、超ウラン核種の転換比を高めることができ、局所での発熱量を増加させることが可能となる。
【実施例2】
【0040】
本発明の第2の実施例に係る鉛直ガイド24について、第1の実施例と比較して説明する。
図9は、本実施例に係る鉛直ガイド24を設置した炉心2のY字型制御棒15近傍の水平断面図である。
図9において、第1の実施例(
図6参照)との相違点は、鉛直ガイド24の水平断面を円形とした点である。
【0041】
本実施例に係る鉛直ガイド24を設置した沸騰水型原子炉1によれば、第1の実施例と同様の効果に加えて、以下の効果が得られる。
【0042】
鉛直ガイド24の水平断面を円形としたことにより、鉛直ガイド24の製作が容易となる。ただし、第1の実施例では、鉛直ガイド24の側面と燃料集合体14の側面とが面接触し得るのに対し、本実施例では、鉛直ガイド24の側面と燃料集合体14の側面とが面接触し得ないため、燃料集合体14の振動抑制効果が、第1の実施例に比べて若干劣る可能性はある。
【実施例3】
【0043】
本発明の第3の実施例に係る沸騰水型原子炉1について、第1の実施例と比較して説明する。
図10は、本実施例に係る鉛直ガイド24を設置した炉心2のY字型制御棒15近傍の水平断面図である。
図10において、第1の実施例(
図6参照)との相違点は、鉛直ガイド24の水平断面を六角形とした点である。
【0044】
本実施例に係る鉛直ガイド24を設置した沸騰水型原子炉1においても、第1の実施例と同様の効果が得られる。なお、鉛直ガイド24の水平断面は、第1の実施例では四角形とし、本実施例では六角形としたが、燃料集合体14の振動抑制効果を向上させる観点では、隣接する燃料集合体14の側面と平行に対向する側面を有する限り、どのような水平断面であっても良い。
【実施例4】
【0045】
本発明の第4の実施例に係る鉛直ガイド24について、第1の実施例と比較して説明する。
図11は、本実施例に係る鉛直ガイド24を設置した炉心2のY字型制御棒15近傍の水平断面図である。
図11において、第1の実施例(
図6参照)との相違点は、水面断面が四角形の鉛直ガイド24の各側面に鉛直方向に延びる溝30を設けた点である。
【0046】
本実施例に係る鉛直ガイド24を設置した沸騰水型原子炉1によれば、第1の実施例と同様の効果に加えて、以下の効果が得られる。
【0047】
鉛直ガイドの各側面に設けた溝30が冷却材の流路となり、鉛直ガイド24付近を流れる冷却材の流量が、第1の実施例と比べて増加する。これにより、燃料集合体14の外周部において、鉛直ガイド24に近接する部分を流れる冷却材の流量とそれ以外の部分を流れる冷却材の流量との差が小さくなり、燃料集合体14の外縁部における冷却効果の不均衡を改善することができる。なお、本実施例では、鉛直ガイド24の各側面に溝30を1つずつ設ける構成としたが、溝30の数、位置、大きさ等は適宜変更可能である。
【実施例5】
【0048】
本発明の第5の実施例に係る鉛直ガイド24について、第2の実施例との相違点を中心に説明する。
図12は、本実施例に係る鉛直ガイド24を設置した炉心2のY字型制御棒15近傍の水平断面図である。
図12において、第2の実施例(
図9参照)との相違点は、水平断面が円形の鉛直ガイド24の側面に鉛直方向に延びる溝30を複数設けた点である。
【0049】
本実施例に係る鉛直ガイド24を設置した沸騰水型原子炉1によれば、第2の実施例と同様の効果に加えて、以下の効果が得られる。
【0050】
鉛直ガイドの側面に設けた複数の溝30が冷却材の流路となり、鉛直ガイド24付近を流れる冷却材の流量が、第2の実施例と比べて増加する。これにより、燃料集合体14の外周部において、鉛直ガイド24に近接する部分を流れる冷却材の流量とそれ以外の部分を流れる冷却材の流量との差が小さくなり、燃料集合体14の外縁部における冷却効果の不均衡を改善することができる。なお、本実施例では、鉛直ガイド24の側面に溝30を4つ設ける構成としたが、溝30の数、位置等は適宜変更可能である。
【実施例6】
【0051】
本発明の第6の実施例に係る鉛直ガイド24について、第3の実施例と比較して説明する。
図13は、本実施例に係る鉛直ガイド24を設置した炉心2のY字型制御棒15近傍の水平断面図である。
図13において、第3の実施例(
図10参照)との相違点は、水平断面が六角形の鉛直ガイド24の各側面に鉛直方向に延びる溝30を設けた点である。
【0052】
本実施例に係る鉛直ガイド24を設置した沸騰水型原子炉1によれば、第3の実施例と同様の効果に加えて、以下の効果が得られる。
【0053】
鉛直ガイドの各側面に設けた溝30が冷却材の流路となり、鉛直ガイド24付近を流れる冷却材の流量が、第3の実施例と比べて増加する。これにより、燃料集合体14の外周部において、鉛直ガイド24に近接する部分を流れる冷却材の流量とそれ以外の部分を流れる冷却材の流量との差が小さくなり、燃料集合体14の外縁部における冷却効果の不均衡を改善することができる。なお、本実施例では、水平断面が六角形の鉛直ガイド24の各側面に溝30を1つずつ設ける構成としたが、溝30の数、位置等は適宜変更可能である。
【実施例7】
【0054】
本発明の第7の実施例に係る鉛直ガイド24について、第1の実施例と比較して説明する。
図14は、本実施例に係る鉛直ガイド24を設置した炉心2のY字型制御棒15近傍の鳥瞰図であり、
図15は、同水平断面図である。
図14及び
図15において、第1の実施例(
図6参照)との相違点は、3本の鉛直ガイド24と一体となってY字型制御棒15の外周を覆う薄板状の保護板31を鉛直ガイド24に取り付けた点である。保護板31には、
図14に示すように、複数の流路孔32が設けられており、これら複数の流路孔32を介して冷却材を流通させることにより、Y字型制御棒15の翼19を冷却することができる。なお、流路孔32の数、位置、大きさ等は適宜変更可能である。
【0055】
本実施例に係る鉛直ガイド24を設置した沸騰水型原子炉1によれば、第1の実施例と同様の効果に加えて、以下の効果が得られる。
【0056】
燃料初装荷時又は燃料交換時に鉛直ガイド24と保護板31が一体となってY字型制御棒15の外周を覆うことにより、鉛直ガイド24に沿って移動中の燃料集合体14がY字型制御棒15と接触することを防止し、Y字型制御棒15を保護することができる。
【0057】
また、鉛直ガイド24間に保護板31を設けたことにより、ガイドアーム28で連結された3本の鉛直ガイド24の全体の構造強度が向上する。これにより、3本の鉛直ガイド24の挿入部25間の位置ずれが抑制され、3本の鉛直ガイド24の各挿入部25を燃料支持金具26の3つの嵌合部27にそれぞれ容易に挿入することが可能となる。
【実施例8】
【0058】
本発明の第8の実施例に係る鉛直ガイド24について、第7の実施例と比較して説明する。
図16は、本実施例に係る鉛直ガイド24を設置した炉心2のY字型制御棒15近傍の水平断面図である。
図16において、第7の実施例(
図15参照)との相違点は、鉛直ガイド24の水平断面を円形とした点である。
【0059】
本実施例に係る鉛直ガイド24を設置した沸騰水型原子炉1によれば、第7の実施例と同様の効果に加えて、以下の効果が得られる。
【0060】
鉛直ガイド24の水平断面を円形としたことにより、鉛直ガイド24の製作が容易となる。
【実施例9】
【0061】
本発明の第9の実施例に係る鉛直ガイド24について、第7の実施例と比較して説明する。
図17は、本実施例に係る鉛直ガイド24を設置した炉心2のY字型制御棒15近傍の水平断面図である。
図17において、第7の実施例(
図15参照)との相違点は、鉛直ガイド24の水平断面を六角形とした点である。
【0062】
本実施例に係る鉛直ガイド24を設置した沸騰水型原子炉1においても、第7の実施例と同様の効果が得られる。
【実施例10】
【0063】
本発明の第10の実施例に係る鉛直ガイド24について、第7の実施例と比較して説明する。
図18は、本実施例に係る鉛直ガイド24を設置した炉心2のY字型制御棒15近傍の水平断面図である。
図18において、第7の実施例(
図15参照)との相違点は、水平断面が四角形の鉛直ガイド24の各側面に鉛直方向に延びる溝30を設けた点である。
【0064】
本実施例に係る鉛直ガイド24を設置した沸騰水型原子炉1によれば、第7の実施例と同様の効果に加えて、以下の効果が得られる。
【0065】
鉛直ガイドの各側面に設けた溝30が冷却材の流路となり、鉛直ガイド24付近を流れる冷却材の流量が、第7の実施例と比べて増加する。これにより、燃料集合体14の外周部において、鉛直ガイド24に近接する部分を流れる冷却材の流量とそれ以外の部分を流れる冷却材の流量との差が小さくなり、燃料集合体14の外縁部における冷却効果の不均衡を改善することができる。なお、本実施例では、鉛直ガイド24の各側面に溝30を1つずつ設ける構成としたが、溝30の数、位置等は適宜変更可能である。
【実施例11】
【0066】
本発明の第11の実施例に係る鉛直ガイド24について、第8の実施例と比較して説明する。
図19は、本実施例に係る鉛直ガイド24を設置した炉心2のY字型制御棒15近傍の水平断面図である。
図19において、第8の実施例(
図16参照)との相違点は、水平断面が円形の鉛直ガイド24の側面に鉛直方向に延びる溝30を複数設けた点である。
【0067】
本実施例に係る鉛直ガイド24を設置した沸騰水型原子炉1によれば、第8の実施例と同様の効果に加えて、以下の効果が得られる。
【0068】
鉛直ガイド24の水平断面を円形としたことにより、鉛直ガイド24の製作が容易となる。
【0069】
鉛直ガイドの側面に設けた複数の溝30が冷却材の流路となり、鉛直ガイド24付近を流れる冷却材の流量が、第8の実施例と比べて増加する。これにより、燃料集合体14の外周部において、鉛直ガイド24に近接する部分を流れる冷却材の流量とそれ以外の部分を流れる冷却材の流量との差が小さくなり、燃料集合体14の外縁部における冷却効果の不均衡を改善することができる。なお、本実施例では、鉛直ガイド24の側面に溝30を4つ設ける構成としたが、溝30の数、位置等は適宜変更可能である。
【実施例12】
【0070】
本発明の第12の実施例に係る鉛直ガイド24について、第9の実施例と比較して説明する。
図20は、本実施例に係る鉛直ガイド24を設置した炉心2のY字型制御棒15近傍の水平断面図である。
図20において、第9の実施例(
図17参照)との相違点は、水平断面が六角形の鉛直ガイド24の各側面に鉛直方向に延びる溝30を設けた点である。
【0071】
本実施例に係る鉛直ガイド24を設置した沸騰水型原子炉1によれば、第9の実施例と同様の効果に加えて、以下の効果が得られる。
【0072】
鉛直ガイドの各側面に設けた溝30が冷却材の流路となり、鉛直ガイド24付近を流れる冷却材の流量が、第9の実施例と比べて増加する。これにより、燃料集合体14の外周部において、鉛直ガイド24に近接する部分を流れる冷却材の流量とそれ以外の部分を流れる冷却材の流量との差が小さくなり、燃料集合体14の外縁部における冷却効果の不均衡を改善することができる。なお、本実施例では、鉛直ガイド24の各側面に溝30を1つずつ設ける構成としたが、溝30の数、位置等は適宜変更可能である。
【0073】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は、上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成の一部を加えることも可能であり、ある実施例の構成の一部を削除し、あるいは、他の実施例の一部と置き換えることも可能である。