(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6652823
(24)【登録日】2020年1月28日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 11/01 20060101AFI20200217BHJP
B60C 13/00 20060101ALI20200217BHJP
【FI】
B60C11/01 A
B60C13/00 D
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-243931(P2015-243931)
(22)【出願日】2015年12月15日
(65)【公開番号】特開2017-109543(P2017-109543A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2018年10月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】▲桑▼野 慎吾
【審査官】
鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−163144(JP,A)
【文献】
特開2014−213687(JP,A)
【文献】
特開平10−67208(JP,A)
【文献】
特開昭63−106109(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 11/00−13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド部と、
前記トレッド部のタイヤ幅方向外端に連なり、タイヤ径方向内側に延びているサイドウォール部と、
前記サイドウォール部の前記タイヤ径方向外端側に設けられ、前記トレッド部と前記サイドウォール部の間に位置するバットレス部と、
前記バットレス部に設けられ、前記タイヤ幅方向外側に突出している第1凸部と
を備え、
前記第1凸部は、
前記バットレス部の表面から前記タイヤ幅方向外側に突出し、前記バットレス部の前記表面に沿って延びている主面を有する本体と、
前記本体のタイヤ周方向に隣接配置されており、前記主面に対して前記タイヤ幅方向内側に第1の間隔をあけて位置する第1段差面を有する第1側部と、
前記第1側部の前記タイヤ周方向に隣接配置されており、前記主面に対して前記タイヤ幅方向内側に前記第1の間隔とは異なる第2の間隔をあけて位置する第2段差面を有する第2側部と
を備える、空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記第2段差面が前記主面と前記第1段差面との間に位置するように、前記第1の間隔及び前記第2の間隔が設定されている、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記本体の少なくとも一部が、前記第1側部によって取り囲まれている、請求項1又は請求項2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記本体の前記タイヤ周方向両側に前記第1側部と前記第2側部が順番に配置されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記第1段差面と前記第2段差面は、前記バットレス部の表面に対して前記タイヤ幅方向外側に位置している、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記主面の外周部には、前記タイヤ幅方向外側へ突出する枠縁部が形成されている、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】
前記バットレス部には、前記第1凸部に対して前記タイヤ周方向に間隔をあけて位置するように第2凸部が形成されており、
前記第2凸部は、前記タイヤ周方向の寸法である幅及び前記タイヤ径方向の寸法である高さのうち少なくとも一方が前記第1凸部と異なる、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項8】
前記第2凸部は、前記第1凸部より前記タイヤ幅方向の寸法である突出量が小さい、請求項7に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、サイドウォール部のトレッド部側であるバットレス部に凸部が形成されている空気入りタイヤが開示されている。凸部は、トレッド部側からタイヤ径方向内側へ延び、タイヤ幅方向外側へ突出しており、タイヤ周方向に間隔をあけて複数設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5374362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バットレス部の凸部が形成された部分はゴム体積が大きいため、タイヤの使用中に圧縮や歪みが繰り返されることで熱が溜まり、凸部に熱破壊(亀裂や割れ)が生じることがある。特許文献1では、バットレス部の表面と凸部のタイヤ周方向に位置する面の傾斜角度を調整することで、凸部の放熱性(ブロー耐久性)を向上している。しかし、特許文献1の凸部は設計の自由度が低いため、デザイン性が良好な空気入りタイヤを形成することは困難である。
【0005】
本発明は、凸部のブロー耐久性の向上と、空気入りタイヤのデザイン性の向上を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
トレッド部と、前記トレッド部のタイヤ幅方向外端に
連なり、タイヤ径方向
内側に延びているサイドウォール部と、前記サイドウォール部の前記タイヤ径方向外端
側に設けられ、前記トレッド部と前記サイドウォール部の間に位置するバットレス部
と、前記バットレス部に設けられ、前記タイヤ幅方向外側に突出している第1凸部
とを備え、前記第1凸部は、前記バットレス部の表面から前記タイヤ幅方向外側に突出し、前記バットレス部の前記表面に沿って延びている主面を有する本体と、前記本体のタイヤ周方向に隣接配置されており、前記主面に対して前記タイヤ幅方向内側に第1の間隔をあけて位置する第1段差面を有する第1側部と、前記第1側部の前記タイヤ周方向に隣接配置されており、前記主面に対して前記タイヤ幅方向内側に前記第1の間隔とは異なる第2の間隔をあけて位置する第2段差面を有する第2側部とを備える、空気入りタイヤを提供する。
【0007】
この空気入りタイヤの第1凸部には、突出量が異なる3つの部分が形成されている。よって、第1凸部の全高を確保しつつ、第1凸部全体のゴム体積を低減できるため、使用時に第1凸部に熱が溜まることを抑制できる。また、第1凸部の表面積を広げることができるため、第1凸部の放熱性を向上できる。よって、第1凸部のブロー耐久性を向上できる。しかも、光があたることで第1凸部の周囲には陰影が生じるが、この陰影は第1凸部の各部分全ての境界に生じる。よって、第1凸部には、実際の全高より高い凸部と同様の陰影の濃淡を生じさせることができるため、空気入りタイヤのデザイン性を向上できる。
【0008】
前記第2段差面が前記主面と前記第1段差面との間に位置するように、前記第1の間隔及び前記第2の間隔が設定されている。この態様によれば、最も全高が高い本体の横に、最も全高が低い第1側部が位置し、この第1側部の横に第1側部より全高が高い第2側部が位置する。よって、本体の横に形成される段差を大きくすることができるため、濃い陰影を生じさせることができる。また、第1側部は、全高が高い本体と第2側部に挟まれた所謂溝状になる。よって、第1側部に生じる陰影より、本体の全高を実際より高く見せることができるため、空気入りタイヤのデザイン性を更に向上できる。
【0009】
前記本体の少なくとも一部が、前記第1側部によって取り囲まれている。また、前記本体の前記タイヤ周方向両側に前記第1側部と前記第2側部が順番に配置されている。また、前記第1段差面と前記第2段差面は、前記バットレス部の表面に対して前記タイヤ幅方向外側に位置している。これらの態様によれば、空気入りタイヤのデザイン性を確実に向上できる。
【0010】
前記主面の外周部には、
前記タイヤ幅方向外側へ突出する枠縁部が形成されている。この態様によれば、第1凸部の表面積を更に広げることができるため、第1凸部の放熱性を向上できる。また、枠縁部によって本体の形状を際立たせることができるため、空気入りタイヤのデザイン性を更に向上できる。
【0011】
前記バットレス部には、前記第1凸部に対して前記タイヤ周方向に間隔をあけて位置するよう
に第2凸部が形成されており、前記第2凸部は、前記タイヤ周方向の寸法である幅及び前記タイヤ径方向の寸法である高さのうち少なくとも一方が前記第1凸部と異な
る。この態様によれば、バットレス部に2種の異なる凸部が形成されるため、空気入りタイヤのデザイン性を向上できる。
【0012】
この場合、前記第2凸部は、前記第1凸部より
前記タイヤ幅方向の寸法である突出量が小さい。この態様によれば、突出量が小さい第2凸部の存在により、突出量が大きい第1凸部を際立たせることができるため、空気入りタイヤのデザイン性を確実に向上できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、バットレス部に形成した第1凸部に突出量が異なる3つの部分が形成されているため、第1凸部に熱が溜まることを抑制できるとともに、第1凸部の放熱性を向上できる。よって、第1凸部のブロー耐久性を向上できる。また、第1凸部の各部分の境界で陰影が生じるため、空気入りタイヤのデザイン性を向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0016】
図1から
図5は、本実施形態に係る空気入りタイヤ(以下「タイヤ」と略す)10を示す。
図1及び
図2に示すように、タイヤ10は、設定されたトレッドパターンのトレッド部12を備えている。トレッド部12のタイヤ幅方向両外端には、タイヤ径方向内側に延びるサイドウォール部14,14が形成されている。サイドウォール部14のタイヤ径方向内端には、タイヤホイルに配置されるビード部16が形成されている。トレッド部12とサイドウォール部14の境界部分には、タイヤ幅方向外側へ突出する環状リブ18が形成されている。タイヤ10を構成するゴムの内部には、それぞれ図示しないベルト、カーカス、及びビードワイヤが配置されている。
【0017】
トレッド部12には、タイヤ周方向に延びる複数の主溝20と、タイヤ幅方向に延びる複数の横溝22とが形成されている。トレッド部12には、主溝20と横溝22によって複数のブロック24が形成されている。これらのブロック24には、タイヤ幅方向に延びる複数のサイプ26(
図3参照。)が設けられている。以下の説明では、タイヤ幅方向の外側端に位置するブロック24Aをショルダーブロックという。また、サイドウォール部14のタイヤ径方向外端側、具体的にはショルダーブロック24Aの接地端Aからサイドウォール部14のタイヤ幅方向の最大幅となる位置Bに至る領域をバットレス部28という。
【0018】
図3を併せて参照すると、バットレス部28には、表面(基準面)28aからタイヤ幅方向外側へ突出する2種の凸部30,50が、タイヤ周方向に間隔をあけて交互に形成されている。これら凸部30,50は、ショルダーブロック24Aの外側端面からタイヤ径方向内側に延びるように形成されている。凸部30,50は、ショルダーブロック24A及びサイドウォール部14の剛性を補完する機能と、車両がオフロードを走行した際に岩等の障害物に接触してトラクションを生じさせる機能を備えている。
【0019】
第1凸部30と第2凸部50とは、タイヤ周方向の寸法である幅W1,W2が異なるように形成されている。また、第1凸部30と第2凸部50とは、タイヤ径方向の寸法である高さT1,T2も異なるように形成されている。さらに、
図4及び
図5を参照すると、第1凸部30と第2凸部50とは、タイヤ幅方向の寸法である突出量P1,P2も異なるように形成されている。
【0020】
(第1凸部の詳細)
図3及び
図4に示すように、第1凸部30は、概ねT字形状の凸部本体32を中心とし、この凸部本体32のタイヤ周方向両側に、第1側部40と第2側部45が順番に隣接配置されている。本実施形態では、凸部本体32のタイヤ径方向内側を取り囲むように第1側部40,40が配置され、これら第1側部40,40のタイヤ周方向外側に第2側部45,45がそれぞれ配置されている。
【0021】
凸部本体32は、バットレス部28の表面28aに対してタイヤ幅方向外側に間隔P1aをあけて位置する主面33を備えている。第1側部40は、バットレス部28の表面28aに対してタイヤ幅方向外側に間隔P1bをあけて位置する第1段差面41を備えている。第2側部45は、バットレス部28の表面28aに対してタイヤ幅方向外側に第1段差面41とは異なる間隔P1cをあけて位置する第2段差面46を備えている。各面33,41,46は、バットレス部28の表面28aに沿って延びている。
【0022】
第1段差面41は、主面33に対してタイヤ幅方向内側に第1の間隔P1a−P1bをあけて位置する。第2段差面46は、主面33に対してタイヤ幅方向内側に第2の間隔P1a−P1cをあけて位置する。第2段差面46が主面33と第1段差面41との間に位置するように、第2の間隔P1a−P1cは第1の間隔P1a−P1bより小さく設定されている。即ち、第1凸部30には、全高が最も高い凸部本体32と全高が最も低い第1側部40とが、タイヤ周方向に隣接配置されている。
【0023】
詳しくは、凸部本体32は、頭部34と延伸部35とからなる概ねT字状のデザイン突起である。頭部34は、タイヤ周方向に広がる概ね逆台形状であり、ショルダーブロック24Aの外側端面に形成されている。延伸部35は、頭部34からタイヤ径方向内側に向けて漸次横幅が狭くなる台形状に形成されている。また、主面33の外周部には、タイヤ幅方向外側へ突出する枠縁部36(ソーカット段差)が更に形成されている。この枠縁部36は、主面33の外周部を取り囲むように突出した凸条である。
【0024】
第1側部40は、頭部34から延伸部35のタイヤ径方向内端を越えて延びている。第1側部40は溝状であり、凸部本体32のタイヤ周方向外側に位置する外側壁37と、第2側部45のタイヤ周方向内側に位置する内側壁47と、第1段差面41とで画定されている。外側壁37と内側壁47とは、概ね平行に延びている。凸部本体32の両側に位置する一対の第1側部40,40は、延伸部35のタイヤ径方向内側の連続部42で連続している。連続部42は、一対の第2側部45,45の内側壁47,47と第1段差面41とで画定されている。凸部本体32の外周部は、一対の第1側部40,40と連続部42とで概ねU字形状に取り囲まれている。
【0025】
第2側部45は、第1側部40と同様に、頭部34から延伸部35のタイヤ径方向内端を越えて延びている。詳しくは、第2側部45は、凸部本体32のタイヤ径方向外端と同じ位置から、連続部42のタイヤ径方向内端と同じ位置まで延びるように設けられている。第2側部45のタイヤ周方向の幅は、第1側部40のタイヤ周方向の幅より大きく形成されている。
【0026】
凸部本体32が表面28aから突出する量に相当する間隔P1aは、2mm以上5mm以下の範囲、好ましくは3mm以上4mm以下の範囲に設定される。これは、凸部本体32の間隔P1aを5mmより高く設定すると、凸部本体32の肉厚が厚くなるため、使用中に凸部本体32に熱が溜まり、凸部本体32に熱破壊が生じる可能性があるためである。また、凸部本体32の間隔P1aを5mmより高くした第1凸部30は、第1側部40や第2側部45を設けなくても、デザイン的な見栄えを十分確保できるためである。また、凸部本体32の間隔P1aを2mmより低く設定すると、第1凸部30の肉厚が薄くなり過ぎるため、サイドウォール部14及びショルダーブロック24Aの剛性補完が不十分になり、第1凸部30のデザイン的な見栄えが乏しくなるためである。
【0027】
このような範囲で形成された凸部本体32は、単独では必ずしも見栄えが良好であるとは言えない。そのため、凸部本体32に形成する枠縁部36が突出する量に相当する間隔P1−P1aは、0.5mm以上1.5mm以下の範囲、好ましくは1.0mmに設定されている。この枠縁部36を形成した凸部本体32は、形状(縁)を際立たせることができるため、凸部本体32(第1凸部30)の見栄えを向上できる。
【0028】
また、凸部本体32の横に隣接する第1側部40が表面28aから突出する量に相当する間隔P1bは、0.5mm以上3.5mm以下の範囲、好ましくは1mm以上3mm以下の範囲に設定されている。このように第1側部40を設定すると、凸部本体32の外側壁37の全高(主面33と第1段差面41の差)を最大で6mmに設定できる。なお、第2側部45が表面28aから突出する量に相当する間隔P1cは、間隔P1aの範囲内の数値と間隔P1bの範囲内の数値との概ね中間に設定される。また、
図6に示すように、バットレス部28に形成されている環状リブ18が表面28aから突出する量P3と比較すると、凸部本体32の間隔P1aは突出量P3以上であり、第1側部40及び第2側部45の間隔P1b,P1cは突出量P3より大きい。
【0029】
このように、第1凸部30には、突出量が異なる3つの部分32,40,45が形成されているため、光があたることでこれらの境界に陰影が生じる。しかも、最も全高が高い凸部本体32の横に、最も全高が低い第1側部40が位置しているため、凸部本体32の横に形成される段差を大きくすることができる。また、第1側部40は、凸部本体32と第2側部45に挟まれた溝状とされている。よって、凸部本体32の横には、凸部本体32自身によって形成される陰影と、第1側部40である溝に生じる陰影より、濃い陰影を生じさせることができる。その結果、凸部本体32の全高を実際より高く見せることができるため、タイヤ10のデザイン性を更に向上できる。言い換えれば、デザイン性(見栄え)を向上するために、第1凸部30(凸部本体32)の突出量を過剰に大きくする必要はない。
【0030】
また、3つの部分32,40,45により、第1凸部30の全高(P1a)を確保しつつ、第1凸部30全体のゴム体積を低減できる。よって、使用時に第1凸部30に熱が溜まることを抑制できるうえ、第1凸部30の表面積を広げて放熱性を向上できる。また、凸部本体32の外周部には枠縁部36が設けられており、この枠縁部36によって第1凸部30の表面積を更に広げることができるため、第1凸部30の放熱性を更に向上できる。その結果、第1凸部30のブロー耐久性を向上できるため、第1凸部30に熱破壊が生じることを防止できる。
【0031】
(第2凸部の詳細)
図3及び
図5に示すように、第2凸部50は、第1凸部30を形成したショルダーブロック24Aに対してタイヤ周方向に隣接するショルダーブロック24Aから、タイヤ径方向内側に延びるように設けられている。この第2凸部50は、タイヤ径方向外端からタイヤ径方向内側に向けて、タイヤ周方向の横幅が漸次狭くなるようにした台形状に形成されている。また、第2凸部50は、タイヤ周方向の両側の側縁部51,51からタイヤ周方向中央の頂部52にかけて、タイヤ径方向外側へ突出する概ね断面三角形状に形成されている。
【0032】
図4及び
図6を併せて参照すると、第2凸部50の頂部52が表面28aから突出するタイヤ幅方向の突出量P2は、凸部本体32の突出量P1aより小さく、環状リブ18の突出量P3よりも小さく形成されている。本実施形態の突出量P2は、第2側部45の突出量P1cと概ね同一に設定されている。また、第2凸部50のタイヤ周方向の最大幅W2は、第1凸部30の最大幅W1より狭く形成されている。さらに、第2凸部50のタイヤ径方向の高さT2は、第1凸部30の高さT1より低く形成されている。
【0033】
このように、バットレス部28には、横幅W1,W2及び全高T1,T2が異なる2種の凸部30,50が形成されているため、タイヤ10のデザイン性を向上できる。しかも、横幅W1,W2及び全高T1,T2が大きい第1凸部30に、全高P1a〜P1cが異なる3つの部分32,40,45を形成している。よって、シンプルな形状の第2凸部50の存在により、形状が複雑で陰影の濃淡が形成される第1凸部30を際立たせることができる。その結果、ブロー耐久性を向上しつつ、タイヤ10のデザイン性を確実に向上できる。また、各凸部30,50は、タイヤ10のトラクション性能の向上に有効である。しかも、タイヤ10の撓み(変形)が大きい箇所、例えばサイドウォール部14の最大幅部分やショルダーブロック24Aの剛性を各凸部30,50によって補完できる。
【0034】
なお、本発明の空気入りタイヤ10は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0035】
例えば、凸部30,50は、タイヤ10の撓みが最も大きいサイドウォール部14の剛性を補完するために、環状リブ18からタイヤ径方向内側へ延びるように設けてもよい。また、第1側部40の第1段差面41は、凸部本体32を更に際立たせるために、バットレス部28の表面28aよりタイヤ幅方向内側に位置するようにしてもよい。また、バットレス部28には、2種の凸部30,50を設けたが、第1凸部30だけを設けてもよいうえ、3種以上の凸部を設けてもよい。また、第1凸部30と第2凸部50とは、タイヤ周方向の幅及びタイヤ径方向の高さの両方が異なるようにしたが、一方だけが異なるようにしてもよい。
【0036】
また、最も大きい突出量P1aの凸部本体32の横に最も小さい突出量P1bの第1側部40を配置したが、第2側部45の突出量P1cを第1側部40の突出量P1bより低くしてもよい。また、凸部本体32のタイヤ周方向の両側に、それぞれ第1側部40と第2側部45とを配置したが、凸部本体32のタイヤ周方向の一方だけに、第1側部40と第2側部45を配置してもよい。
【符号の説明】
【0037】
10…タイヤ
12…トレッド部
14…サイドウォール部
16…ビード部
18…環状リブ
20…主溝
22…横溝
24…ブロック
24A…ショルダーブロック
26…サイプ
28…バットレス部
28a…表面
30…第1凸部
32…凸部本体
33…主面
34…頭部
35…延伸部
36…枠縁部
37…外側壁
40…第1側部
41…第1段差面
42…連続部
45…第2側部
46…第2段差面
47…内側壁
50…第2凸部
51…側縁部
52…頂部