(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6652837
(24)【登録日】2020年1月28日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】追加包装を伴わない袋入りカテーテル
(51)【国際特許分類】
A61M 1/00 20060101AFI20200217BHJP
【FI】
A61M1/00
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-543141(P2015-543141)
(86)(22)【出願日】2013年11月20日
(65)【公表番号】特表2015-534900(P2015-534900A)
(43)【公表日】2015年12月7日
(86)【国際出願番号】US2013071060
(87)【国際公開番号】WO2014081859
(87)【国際公開日】20140530
【審査請求日】2016年10月18日
【審判番号】不服2018-11516(P2018-11516/J1)
【審判請求日】2018年8月27日
(31)【優先権主張番号】13/682,420
(32)【優先日】2012年11月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591018693
【氏名又は名称】シー・アール・バード・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100167243
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 充
(72)【発明者】
【氏名】コンウェイ,アンソニー・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】グリンド,サラ・エル
【合議体】
【審判長】
芦原 康裕
【審判官】
高木 彰
【審判官】
井上 哲男
(56)【参考文献】
【文献】
特表2011−506009(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0208368(US,A1)
【文献】
特表2010−533562(JP,A)
【文献】
中国実用新案第2139835(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿道カテーテルセットであって、
集尿袋と、
前記集尿袋の内部に位置決めされる尿道カテーテルと、
を備え、
前記集尿袋が、前記尿道カテーテルセットの包装として構成され、
前記集尿袋が、前記尿道カテーテルセットの構成要素を収容するための最も外側の包装であり、
前記集尿袋は、該集尿袋の一端における開口部から該集尿袋の他端に至る長さを有し、
前記尿道カテーテルは、前記集尿袋の前記長さの少なくとも半分にわたっており、
前記尿道カテーテルセットは、さらに、ワイプ、パッドおよび手袋からなる群から選択される、前記集尿袋によって包装された1つ以上の構成要素を備え、
前記集尿袋は、前記1つ以上の構成要素を囲んで折り畳まれ、それ自体に連結されて前記尿道カテーテルセットのための前記包装を形成する
尿道カテーテルセット。
【請求項2】
流体の小包を更に備え、前記流体の小包が、前記集尿袋の内部に位置決めされる、請求項1に記載の尿道カテーテルセット。
【請求項3】
前記ワイプ、前記パッド、及び前記手袋を備える、請求項1に記載の尿道カテーテルセット。
【請求項4】
導入器先端をさらに備え、前記導入器先端が、該導入器先端に解放可能に連結された導入器先端カバーを備える、請求項1に記載の尿道カテーテルセット。
【請求項5】
前記流体の小包内の流体は潤滑剤であり、前記尿道カテーテルセットが、前記流体の小包内の前記流体以外の追加の潤滑剤を含まない、請求項2に記載の尿道カテーテルセット。
【請求項6】
尿道カテーテルセットのケースであって、
複数の尿道カテーテルセットであって、各々が集尿袋と尿道カテーテルとを備える複数の尿道カテーテルセットを備え、
前記尿道カテーテルが、前記集尿袋の内部に位置決めされ、
前記集尿袋が、前記尿道カテーテルセットのための包装として構成され、
前記尿道カテーテルセットのための前記包装が、該尿道カテーテルセットの構成要素を収容するための、最も外側の包装を備え、
前記集尿袋は、該集尿袋の一端における開口部から該集尿袋の他端に至る長さを有し、
前記尿道カテーテルは、前記集尿袋の前記長さの少なくとも半分にわたっており、
前記尿道カテーテルセットのケースは、さらに、ワイプ、パッドおよび手袋からなる群から選択される、前記集尿袋によって包装された1つ以上の構成要素を備え、
前記集尿袋は、前記1つ以上の構成要素を囲んで折り畳まれ、それ自体に連結されて前記尿道カテーテルセットのための前記包装を形成し、
前記ケースは、前記複数の尿道カテーテルセットを収容する容器をさらに備える、ケース。
【請求項7】
前記容器が、箱、トレイ、又は袋である、請求項6に記載の尿道カテーテルセットのケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本出願は、2012年11月20日に出願された米国特許出願第13/682,420号の優先権の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本発明は、追加包装を伴わずに提供され得る尿道カテーテル及び収集袋に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]尿道カテーテルキットは、尿道カテーテルと、集尿袋と、例えば、消毒ワイプ、一対の手袋、吸収剤パッド、水を含有する小包、潤滑剤、説明書若しくは製品情報、又はこれらの品目のうちのいくつかを含む小包と、を含む。そのようなキットは、カテーテル及び他の構成要素を清潔に又は滅菌状態に保持し、それらを一緒に保持するように、包装内に提供される。例えば、このキットは、袋又はトレイで提供され得る。使用者又は医療専門家は、包装を開封し、いくつかの構成要素を取り出して、カテーテルを対象に挿入する。清潔な構成要素及び滅菌カテーテルを提供するために、便利なシステムに対する必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004]本発明は、追加包装を伴わずに提供され得る尿道カテーテル及び収集袋に関する。本発明は、尿道カテーテルセットを含む。このセットは、収集袋と、尿道カテーテルと、を含むことができる。カテーテルは、収集袋の内部にある。収集袋は、セットの包装として構成される。また収集袋は、セットの唯一の包装である。
【0005】
[0005]実施形態において、本発明は、尿道カテーテルセットのケースを含む。このケースは、容器と、複数の本カテーテルセットと、を含む。複数のセットは、容器内内にある。収集袋は、セットの唯一の包装である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】[0006]本収集袋及び尿道カテーテルの実施形態を概略的に示す。
【
図2】[0007]空洞を形成するように巻かれた、又は折り畳まれた構成で、本発明による袋の実施形態の断面図を概略的に示す。
【
図3】[0008]空洞を形成するように巻かれた、又は折り畳まれた構成で、本発明による袋の別の実施形態の断面図を概略的に示す。
【
図4】[0009]空洞を形成するように巻かれた、又は折り畳まれた構成で、本発明による拡張部を有する袋の実施形態の断面図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0010]本発明は、追加包装を伴わずに提供され得る尿道カテーテル及び収集袋に関する。例えば、尿道カテーテルは、収集袋に収容することができ、収集袋は、折り畳まれてカテーテル及び任意の追加の構成要素又は印刷された情報のための包装を形成することができる。
【0008】
[0011]実施形態において、本発明は、収集袋と、尿道カテーテルと、を含むカテーテルセットに関する。カテーテルは、収集袋の内部にあり得る。収集袋は、セットの包装として構成され得る。セットは、収集袋以外の包装内にはない。セットは、尿道カテーテルを取り扱う、若しくは挿入するため、又はそれをしながら使用される他の品目を含むこともできる。そのような品目としては、導入器先端、ワイプ、潤滑剤、パッド、手袋、又はそれらの複数を挙げることができる。本セットにおいて、これらの品目は、収集袋によって包装される。例えば、収集袋は、これらの品目を囲んで折り畳まれ得るか、又は巻かれ得る。収集袋は、それがこれらの品目を囲んで折り畳まれるか、又は巻かれるとき、それ自体に連結して包装を形成する(例えば、閉じる又は封止する)ことができる。
【0009】
[0012]本発明は、カテーテルセットの包装として構成された集尿袋を含む。包装として、集尿袋は、セットの構成要素を収容するように折り畳まれるか、又は巻かれる。収集袋を、それが包装する構成要素を囲んで固定することができる。例えば、接着剤は、袋の一部分を袋の別の部分に連結することができる。例えば、シール(例えば、裏面に接着剤の付いた紙)を使用して、袋の一部分を袋の別の部分に連結することができる。袋は、これらの包装のケース内で、又は使用者若しくは医療専門家によって運ばれるときに、包装の一体性を維持するために十分な強度でそれ自体に固定され得る。折り畳まれた、又は巻かれた収集袋内に収容される構成要素は、袋の内部にはない。これらの構成要素は、収集袋の外面に接触し得るが、それらはその内面に接触しない。
【0010】
[0013]袋の内部は、袋が使用されているときに尿が集まる空間である。カテーテル及び任意の流体(例えば、水)の小包、並びに任意の把持デバイスは、袋の内部にあり得る。実施形態において、他の構成要素は、袋の内部にない。袋を開封した後、対象に最初に導入されるカテーテルの端部は、袋が包装として構成されるとき、及びカテーテルが袋の内部にあるとき、袋からわずかに突き出すことがある。対象に最初に導入されるカテーテルの端部は、袋が包装として構成されるとき、導入器先端の内部にあってもよい。実施形態において、カテーテル全体(対象に最初に導入される端部を含む)は、袋が包装として構成されるとき、袋の内部にあり、対象に最初に導入される端部は、袋の開口部付近に位置する。カテーテル内の尿の流れは、袋の開口部を通じて袋に入る。
【0011】
[0014]収集袋は、セットの他の構成要素を収容するのを補助するために、1つ以上の任意のフラップを含むことができる。フラップは、尿を収容することができる内部空間を含まない。当然のことながら、袋は、袋の内部の一部分を画定するが、フラップに似た領域を提供する形状を有することができる。しかしながら、本明細書において使用される場合、フラップという用語は、内部空間を画定しない袋の一部分を指す。
【0012】
[0015]本カテーテルセットは、袋以外の包装を必要としないか、又は含まないが、セットの個別の構成要素は、それら自体の包装内にあってもよい。例えば、親水性カテーテルを含むセットは、小包に入った水を含むことができる。カテーテルの使用時に、小包を破って水を放出し、親水性カテーテルの滑り性を増加させる。この小包は、水のための容器である。包装としての袋は、水の小包を含む。同様に、潤滑剤又は(例えば、抗菌)ワイプが小包内にあり得る。そのような小包は、袋以外の包装ではない。包装としての袋は、潤滑剤又はワイプの小包を含む。同様に、導入器先端又は袋の開口部のカバーは、袋以外の包装ではない。
【0013】
[0016]セットの構成要素は、例えば、導入器先端、ワイプ、潤滑剤、パッド、手袋、又はそれらの複数を含むことができる。好適なワイプは、カテーテルを挿入する人物が、対象の尿道の周囲を拭くために使用することができる抗菌ワイプを含む。ワイプは、カテーテルを挿入する人物の手で使用することができる。セットは、1つ以上のワイプを含むことができる。各ワイプは、小包内にあり得る。好適なパッドとしては、いかなる漏出した尿も吸収するための吸収剤パッドが挙げられる。好適な手袋としては、プラスチック又はラテックス手袋、例えば、検査手袋が挙げられる。手袋は、一対の手袋として提供され得る。手袋を使用して、カテーテルを挿入する人物の皮膚と、カテーテル及び/又は対象の尿道付近の組織との接触を防ぐことができる。
【0014】
[0017]カテーテルは、様々な尿道カテーテルのうちのいずれかであり得る。例えば、カテーテルは、親水性カテーテルであり得る。カテーテルは、シリコーンゴムから作製することができ、ラテックスフリーであり得る。セット全体は、ラテックスフリーであり得る。
【0015】
[0018]実施形態において、本尿道カテーテルセットは、収集袋と、尿道カテーテルと、を含む。カテーテルは、収集袋の内部にあり得る。収集袋は、セットの包装として構成され得る。また収集袋は、セットの唯一の包装である。
【0016】
[0019]セットは、流体の小包を含むこともできる。流体の小包は、収集袋の内部にあり得る。セットは、導入器先端、ワイプ、潤滑剤、パッド、手袋、又はそれらの複数を含むこともできる。導入器先端、ワイプ、潤滑剤、パッド、手袋、又はそれらの複数は、収集袋によって包装され得る。例えば、収集袋は、導入器先端、ワイプ、潤滑剤、パッド、手袋、又はそれらの複数を囲んで折り畳まれ、それ自体に連結されてセットの包装を形成する。実施形態において、セットは、導入器先端、ワイプ、潤滑剤、パッド、及び手袋を含む。実施形態において、導入器先端は、その導入器先端に解放可能に連結される導入器先端カバーを含む。実施形態において、セットは、追加の潤滑剤を含まない。
【0017】
[0020]実施形態において、本発明は、尿道カテーテルセットのケースを含む。ケースは、容器と、複数のカテーテルセットと、を含む。ケース内の各カテーテルセットは、収集袋と、尿道カテーテルと、を含む。カテーテルは、収集袋の内部にあり、収集袋は、セットの包装として構成され、セットは、追加包装を含まない。容器は、複数のカテーテルセットを収容する。容器は、例えば、箱、トレイ、又は袋であり得る。
【0018】
[0021]実施形態において、尿道カテーテルは、収集袋内に収容することができ、収集袋は、折り畳んで、カテーテル及び任意の追加の構成要素又は印刷された情報のための包装を形成することができる。
【0019】
[0022]
図1は、本収集袋及び尿道カテーテルの実施形態を概略的に示す。袋1は、真っ直ぐなカテーテル3を収容して示される。真っ直ぐなカテーテル3は、袋1の開口部7の近位に導入器先端5を具備する。袋1は、任意の把持具9(ハンドルの実施形態)、及び任意の拡張部11(フラップの実施形態である)を含む。流体の小包の実施形態である、小袋13も示される。
【0020】
[0023]
図2は、空洞15を形成するように巻かれた、又は折り畳まれた構成で、袋1の実施形態の断面図を概略的に示す。空洞15は、導入器先端、ワイプ、潤滑剤、パッド、手袋、又はそれらの複数等の追加の品目を収容することができる。これらの追加の品目は、図示されていない。袋1を、例えば、接着剤17又は紙シール19によって、空洞15を有する構成で固定することができる(
図3)。
図2及び3に示される実施形態において、袋1の側面部分21及び23は、折り畳まれるか、又は巻かれて空洞19を形成する。
図4は、2つの拡張部11が巻かれるか、又は折り畳まれて空洞19を形成する実施形態を概略的に示す。
【0021】
[0024]本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、その内容について別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を含むことに留意すべきである。したがって、例えば、「1つの化合物(a compound)」を含有する組成物についての言及は、2つ以上の化合物の混合物を含む。「又は」という用語は、その内容について別段の明確な指示がない限り、「及び/又は」を含むその意味で一般に用いられることも留意すべきである。
【0022】
[0025]本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、「構成された」という用語は、特定のタスクを行うか、又は特定の構成を採用するように構築若しくは構成されたシステム、装置、又は他の構造を説明することも留意すべきである。「構成された」という用語は、例えば、配置された及び構成された、構築された及び配置された、適合された及び構成された、適合された、構築された、製造された、並びに配置された等の他の同様の表現と同義的に使用することができる。
【0023】
[0026]本明細書における全ての刊行物及び特許出願は、本発明が属する技術分野における従来技術のレベルを示す。
【0024】
[0027]本発明は、様々な特定かつ好適な実施形態及び技法を参照して説明された。しかしながら、本発明の趣旨及び範囲内に留まる一方、多くの変型及び修正が行われ得ることを理解すべきである。
【符号の説明】
【0025】
3…カテーテル
5…導入器先端
7…開口部
9…把持具
11…拡張部
13…小袋
15…空洞
17…接着剤
19…紙シール
21…側面部分