特許第6652852号(P6652852)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6652852
(24)【登録日】2020年1月28日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】シミュレータドーム
(51)【国際特許分類】
   G09B 9/05 20060101AFI20200217BHJP
   G03B 21/56 20060101ALI20200217BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20200217BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20200217BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20200217BHJP
【FI】
   G09B9/05 A
   G03B21/56
   G03B21/00 D
   G03B21/14 E
   H04N5/74 Z
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-20594(P2016-20594)
(22)【出願日】2016年2月5日
(65)【公開番号】特開2017-138533(P2017-138533A)
(43)【公開日】2017年8月10日
【審査請求日】2019年1月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100206391
【弁理士】
【氏名又は名称】柏野 由布子
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【弁理士】
【氏名又は名称】小室 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】山本 壮志
【審査官】 東 芳隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−200761(JP,A)
【文献】 特開昭58−216282(JP,A)
【文献】 特開2002−116498(JP,A)
【文献】 特開2008−287262(JP,A)
【文献】 特開2013−226231(JP,A)
【文献】 特開2014−015820(JP,A)
【文献】 特開平09−101738(JP,A)
【文献】 特開2006−133252(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0220296(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00−29/14
G03B 21/00、21/14、21/56
H04N 5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視円環状に形成されたスクリーン部と、前記スクリーン部の上方の開口を覆う天井部と、を備え、
前記スクリーン部が、平面視円環の筒状に形成されたスクリーン本体と、前記スクリーン本体の上端部から径方向において前記スクリーン本体の内側に延びる天板部と、を備え
前記天井部が、前記天板部の上面に配され、
前記天井部には、当該天井部の内側から外側に貫通する窓部が形成されると共に、前記窓部を開閉するカバー部が設けられているシミュレータドーム。
【請求項2】
前記スクリーン部の上端部に対向する前記天井部の外周端部に、径方向において内側に延びる固定用板部が形成され、
前記固定用板部が、前記天板部に重ねて配されると共に、ネジ止めによって前記天板部に固定される請求項1に記載のシミュレータドーム。
【請求項3】
前記スクリーン本体及び前記天井部が、中空の楕円体の一部を構成するように形成されている請求項1又は請求項2に記載のシミュレータドーム。
【請求項4】
前記スクリーン本体の内周面に光を投射する複数のプロジェクタを備え、
前記プロジェクタが、前記天板部の上面に配されている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のシミュレータドーム。
【請求項5】
前記天板部が、周方向において前記スクリーン本体の全体に形成された平面視環状の本体板部と、径方向において前記本体板部の内縁から内側に延びて形成されると共に周方向に間隔をあけて配列され、それぞれプロジェクタを配する複数の配置板部と、を備える請求項4に記載のシミュレータドーム。
【請求項6】
前記スクリーン部の内周面のうち、プロジェクタの光が投射される投射領域の外側の領域に、前記内周面から突出すると共に前記スクリーン部の軸方向に延びるスクリーン内側リブが形成されている請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のシミュレータドーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シミュレータドームに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、乗物の運転練習や、乗物の研究開発等においては、シミュレータドームが用いられている。
特許文献1には、スクリーンと背面板とにより天井を支持して構成されたシミュレータドームが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2781755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種のシミュレータドームでは、天井部(天井)が、平面視円環状に形成されたスクリーン部(スクリーン及び背面板)の上端部に重ねて配される。しかしながら、従来のシミュレータドームでは、天井部を配するスクリーン部の上端部の領域が小さいため、天井部をスクリーン部の上端部に安定して配置することが難しい。その結果、天井部をスクリーン部の上端部に取り付ける作業が面倒である、という問題がある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みたものであって、天井部をスクリーン部に対して容易に取り付けることが可能なシミュレータドームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によるシミュレータドームは、平面視円環状に形成されたスクリーン部と、前記スクリーン部の上方の開口を覆う天井部と、を備え、前記スクリーン部が、平面視円環の筒状に形成されたスクリーン本体と、前記スクリーン本体の上端部から径方向において前記スクリーン本体の内側に延びる天板部と、を備え、前記天井部が、前記天板部の上面に配され、前記天井部には、当該天井部の内側から外側に貫通する窓部が形成されると共に、前記窓部を開閉するカバー部が設けられていることを特徴とする。
【0007】
上記構成のシミュレータドームによれば、天井部が天板部の上面に配置されるため、天井部をスクリーン部上に安定して配することが可能となる。これにより、天井部をスクリーン部の上端部に容易に取り付けることができる。
【0008】
上記構成のシミュレータドームによれば、天板部全体の大きさを小さくすることができる。これにより、シミュレータドームの軽量化、及び、製造コスト削減を図ることができる。
また、上記構成のシミュレータドームによれば、作業者の手を窓部からシミュレータドームの内部に入れることが可能となる。これにより、例えば、作業者は、天板部上に配されているプロジェクタ等の各種部品の操作(例えばメンテナンス作業など)を、シミュレータドームの外側から行うことができる。また、スクリーン部と天井部とのネジ止め部分がシミュレータドームの内側にあっても、作業者はシミュレータドームの外側からネジ止め部分を操作することができる。すなわち、スクリーン部に対する天井部の着脱作業を容易に行うことができる。
また、窓部はカバー部によって閉じることができるため、シミュレータドームを使用する際に、窓部からシミュレータドームの内部に光が入り込むことを防止できる。
【0009】
さらに、前記シミュレータドームでは、前記スクリーン部の上端部に対向する前記天井部の外周端部に、径方向において内側に延びる固定用板部が形成され、前記固定用板部が、前記天板部に重ねて配されると共に、ネジ止めによって前記天板部に固定されてもよい。
【0010】
上記構成のシミュレータドームによれば、スクリーン部と天井部とのネジ止め部分がシミュレータドームの外側に現れないため、シミュレータドームの外観意匠の向上を図ることができる。
【0013】
また、前記シミュレータドームでは、前記スクリーン本体及び前記天井部が、中空の楕円体の一部を構成するように形成されていてもよい。
【0014】
上記構成のシミュレータドームによれば、スクリーン部(特にスクリーン本体)や天井部に曲げ荷重が生じ難くなるため、剛性の高いシミュレータドームを提供することができる。
【0015】
前記シミュレータドームは、前記スクリーン本体の内周面に光を投射する複数のプロジェクタを備え、前記プロジェクタが、前記天板部の上面に配されていてもよい。
【0016】
上記構成のシミュレータドームによれば、プロジェクタが天板部の上面に配されることで、従来のようにプロジェクタを天井部の内面に吊るす場合と比較して、プロジェクタがスクリーン部に対して振動することを抑制できる。
また、プロジェクタが天板部の上面に配されることで、シミュレータドームの製造時やメンテナンス時において、プロジェクタを取り付けたり取り外したりする際に、作業者がプロジェクタを支持する必要が無くなる。すなわち、プロジェクタの取付作業、メンテナンス作業等の各種作業を容易に行うことが可能となる。
【0017】
また、プロジェクタを設置するための構造物(例えばフレーム、配線等)を別途設ける必要が無いため、プロジェクタの光によってプロジェクタの周囲が明るくなっても、その光によって視認され得る構造物の数を減らすことができる。したがって、シミュレータドームにおけるシミュレーションの臨場感を向上させることができる。
また、プロジェクタを設置するための部材を別途設ける必要が無いため、シミュレータドームの軽量化も図ることができる。
【0018】
また、前記シミュレータドームでは、前記天板部が、周方向において前記スクリーン本体の全体に形成された平面視環状の本体板部と、径方向において前記本体板部の内縁から内側に延びて形成されると共に周方向に間隔をあけて配列され、それぞれプロジェクタを配する複数の配置板部と、を備えてもよい。
【0019】
さらに、前記シミュレータドームでは、前記スクリーン部の内周面のうち、前記プロジェクタの光が投射される投射領域の外側の領域に、前記内周面から突出すると共に前記スクリーン部の軸方向に延びるスクリーン内側リブが形成されていてもよい。
【0020】
上記構成のシミュレータドームによれば、投射領域に映し出される映像や画像に影響を与えることなく、かつ、シミュレータドームの外観意匠を良好に保ちながら、スクリーン部の強度向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、天井部をスクリーン部の上端部に容易に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係るシミュレータドームを示す側面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るシミュレータドームを示す上面図である。
図3図2のIII−III矢視断面図である。
図4図1〜3のシミュレータドームのうち天井部を除いた構成を示す上面図である。
図5図1〜3のシミュレータドームのスクリーン分割体及び天井分割体を示す斜視図である。
図6図1〜3のシミュレータドームにおいて、スクリーン分割体及び天井分割体の端部を周方向から見た要部拡大図である。
図7図1〜3のシミュレータドームにおいて、スクリーン分割体及び天井分割体の周方向の中間における要部拡大断面図である。
図8】本発明の他の実施形態に係るシミュレータドームのうち天井部を除いた構成を示す上面図である。
図9】本発明の他の実施形態に係るシミュレータドームを示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図1〜7を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1〜4に示すように、本実施形態に係るシミュレータドーム1は、スクリーン部2と、天井部3と、を備える。また、本実施形態のシミュレータドーム1は、複数のプロジェクタ4を備える。
【0024】
スクリーン部2は、平面視円環状に形成されている。スクリーン部2は、平面視円環の筒状に形成されたスクリーン本体11と、スクリーン本体11の上端部から径方向においてスクリーン本体11の内側に延びる天板部12と、を備える。
【0025】
スクリーン本体11は、例えば単純な円筒状に形成されてもよいが、本実施形態では中空の楕円体の一部をなすように形成されている。より具体的に説明すれば、本実施形態のスクリーン本体11は、その軸方向の中途部が、径方向においてスクリーン本体11の軸方向の両端部よりも外側に膨らむように形成されている。
スクリーン本体11の下方の開口は、床板部6によって覆われている。また、スクリーン本体11には、シミュレータドーム1に出入りするためのドア13が設けられている。
【0026】
図1,2,4〜6に示すように、スクリーン本体11の外周面には複数のスクリーン外側リブ14が形成されている。各スクリーン外側リブ14は、スクリーン本体11の外周面から突出すると共にスクリーン本体11の下端部から上端部まで延びて形成されている。複数のスクリーン外側リブ14は、スクリーン本体11の周方向に間隔をあけて配されている。本実施形態において、複数のスクリーン外側リブ14は等間隔で配列されている。スクリーン外側リブ14は、スクリーン部2の剛性を向上させる役割を果たす。
【0027】
図3〜6に示すように、プロジェクタ4は、スクリーン本体11の内周面に光(映像又は画像)を投射する。スクリーン本体11においてプロジェクタ4の光が投射される投射領域は、例えば内周面全体であってもよいが、本実施形態では、内周面のうち上端領域及び下端領域を除く領域となっている。すなわち、本実施形態における投射領域の上端及び下端は、スクリーン本体11の内周面の上端及び下端よりも若干内側に位置している。
【0028】
図3、5〜7に示すように、スクリーン本体11の内周面のうち投射領域の外側の領域(前述した内周面の上端領域、下端領域)には、スクリーン内側リブ16A〜16Dが形成されている。スクリーン内側リブ16A〜16Dは、スクリーン本体11の内周面から突出すると共にスクリーン本体11の軸方向に延びている。スクリーン内側リブ16A〜16Dは、スクリーン本体11の周方向に間隔をあけて複数配列されている。本実施形態において、複数のスクリーン内側リブ16A〜16Dは、等間隔で配列されている。
【0029】
一部のスクリーン内側リブ16A,16Cは、周方向において前述したスクリーン外側リブ14に対応する位置に形成されている。また、残りのスクリーン内側リブ16B,16Dは、周方向において隣り合うスクリーン外側リブ14の中間に形成されている。
スクリーン本体11の内周面の上端領域に形成されたスクリーン内側リブ16C,16Dは、天板部12の下面に接続されて天板部12を下側から支持する天板支持リブ16C,16Dである。周方向においてスクリーン外側リブ14に対応する位置に形成された天板支持リブ16Cは、天板部12の内周縁まで到達している。
【0030】
図3〜7に示すように、天板部12は、スクリーン本体11の周方向全体に形成されている。すなわち、天板部12は、平面視円環の板状に形成されている。本実施形態において、プロジェクタ4は天板部12の上面に配されている。より具体的には、プロジェクタ4は天板部12の上面のうち内周縁側の領域に配されている。複数のプロジェクタ4は、天板部12の周方向に間隔をあけて配されている。径方向における天板部12の長さは、少なくとも天板部12の上面に配されたプロジェクタ4から出射した光が天板部12の内側を通ってスクリーン本体11の内周面に到達するように設定されればよい。
【0031】
本実施形態において、スクリーン部2は、図1〜5に示すように、周方向に配列された複数のスクリーン分割体20をネジ止め等によって連結することで構成されている。各スクリーン分割体20は、スクリーン本体11を構成する本体分割部21と、天板部12を構成する天板分割部22と、を備える。
周方向における各スクリーン分割体20の両端には、スクリーン外側リブ14、及び、これに対応するスクリーン内側リブ16A,16Cが形成されている。周方向に隣り合う二つのスクリーン分割体20は、互いのスクリーン外側リブ14及びスクリーン内側リブ16A,16Cを、周方向に重ね合せた上でネジ止め等により相互に連結することで、互いに固定される。
【0032】
図1,3に示すように、天井部3は、上記したスクリーン部2の上方の開口を覆っている。天井部3は、天板部12の上面に配されている。天井部3は、平面視円形状に形成されている。天井部3は、スクリーン部2の径方向における天井部3の中央部が、スクリーン部2の上端部に対向する天井部3の外周端部に対して上方に膨らむように形成されている。すなわち、天井部3は、内側に空間を有し、下方に向けて開口する椀状に形成されている。
さらに、本実施形態の天井部3は、スクリーン本体11と共に中空の楕円体(球体を含む)の一部を構成している。このため、天井部3の内面及び外面は、それぞれスクリーン本体11の内周面及び外周面に滑らかに連なる。
【0033】
本実施形態の天井部3は、図1,2,5,6に示すように、その外面から突出すると共に、天井部3の外周端部から中央部まで延びる天井外側リブ31を複数備える。複数の天井外側リブ31は、周方向において複数のスクリーン外側リブ14に各々対応する位置に形成されている。
天井外側リブ31は、天井部3がスクリーン部2上に配された状態で、スクリーン外側リブ14の上端に当接し、スクリーン外側リブ14の上端から延長するように位置する。
【0034】
本実施形態において、天井部3の外周端部には、図5〜7に示すように、径方向において内側に延びる固定用板部36が形成されている。固定用板部36は、天板部12の上面に重ねて配されると共に、ネジ止めによって天板部12に固定される。図7において、符号37は、固定用板部36を天板部に固定するためのネジである。
固定用板部36は、例えば周方向において天井部3の外周端部全体に形成されてもよいが、本実施形態では、周方向に間隔をあけて複数形成されている。一部の固定用板部36は、周方向において天井外側リブ31に対応する位置に形成されている。また、残りの固定用板部36は、周方向において隣り合う天井外側リブ31の中間に形成されている。
【0035】
また、本実施形態の天井部3は、図3,5〜7に示すように、複数の天井内側リブ32を備える。各天井内側リブ32は、径方向において天井部3の内側に突出している。各天井内側リブ32は、天井部3の外周端部のうち周方向において天井外側リブ31(スクリーン外側リブ14)に対応する位置に形成されている。各天井内側リブ32は、天井外側リブ31に対応する位置に形成された固定用板部36に接続されている。
【0036】
また、天井部3には、図1〜3,5,7に示すように、天井部3の内側から外側に貫通する窓部33A,33Bが形成されている。また、天井部3には、窓部33A,33Bを開閉するカバー部34が設けられている。
【0037】
窓部33A,33Bは、天井部3に複数形成されている。複数の窓部33A,33Bは、天井部3の外周端部及び中央部の各近傍において、周方向に間隔をあけて配列されている。複数の窓部33A,33Bには、天井外側リブ31の近傍に形成された第一窓部33Aと、天井部3の外周端部において、周方向に隣り合う二つの天井外側リブ31の中間に形成された第二窓部33Bと、が含まれている。第一窓部33Aは、周方向において同一の天井外側リブ31の両側に形成されている。
【0038】
カバー部34は、天井部3の外側から窓部33A,33Bを開閉するように設けられている。カバー部34は、例えば蝶番などによって天井部3に対して回動自在に設けられてもよいが、本実施形態ではネジ止め等によって天井部3に対して着脱自在に設けられている。
【0039】
本実施形態において、天井部3は、図1〜3,5に示すように、スクリーン部2の場合と同様に、周方向に配列された複数の天井分割体35をネジ止め等によって連結することで構成されている。
周方向における各天井分割体35の両端には、天井外側リブ31、天井内側リブ32及び固定用板部36が形成されている。周方向に隣り合う二つの天井分割体35は、互いの天井外側リブ31及び天井内側リブ32を周方向に重ね合せた上で、互いの天井外側リブ31をネジ止め等により相互に連結することで、互いに固定される。
【0040】
以上説明したように、本実施形態のシミュレータドーム1では、天井部3がスクリーン部2の天板部12の上面に配されている。このため、天井部3をスクリーン部2上に安定して配することが可能となる。これにより、天井部3をスクリーン部2の上端部に容易に取り付けることができる。
また、本実施形態のシミュレータドーム1では、スクリーン本体11と天板部12とが一体に形成されているため、スクリーン部2全体の強度も向上できる。
【0041】
また、本実施形態のシミュレータドーム1では、プロジェクタ4が天板部12の上面に配されている。このため、従来のようにプロジェクタ4を天井部3の内面に吊るす場合と比較して、プロジェクタ4がスクリーン部2に対して振動することを抑制できる。
また、プロジェクタ4が天板部12の上面に配されることで、シミュレータドーム1の製造時やメンテナンス時において、プロジェクタ4を取り付けたり取り外したりする際に、作業者がプロジェクタ4を支持する必要が無くなる。すなわち、プロジェクタ4の取付作業、メンテナンス作業等の各種作業を容易に行うことが可能となる。
【0042】
また、プロジェクタ4が天板部12の上面に配されることで、プロジェクタ4を設置するための構造物(例えばフレーム、配線等)を別途設ける必要が無くなる。このため、プロジェクタ4の光によってプロジェクタ4の周囲が明るくなっても、その光によって視認され得る構造物の数を減らすことができる。したがって、シミュレータドーム1におけるシミュレーションの臨場感を向上させることができる。
また、プロジェクタ4を設置するための構造物を別途設ける必要が無いため、シミュレータドーム1の軽量化も図ることができる。
【0043】
また、本実施形態のシミュレータドーム1では、内側に位置するスクリーン部2の天板部12及び天井部3の固定用板部36が、ネジ止めによって相互に固定される。このため、スクリーン部2と天井部3とのネジ止め部分がシミュレータドーム1の外側に現れず、シミュレータドーム1の外観意匠の向上を図ることができる。特に、本実施形態では、スクリーン本体11及び天井部3が中空の楕円体(球体を含む)の一部を構成するため、スクリーン本体11の外周面と天井部3の外面とが滑らかに連なる外観を有するシミュレータドーム1を提供することが可能となる。
【0044】
また、本実施形態のシミュレータドーム1では、天井部3に窓部33A,33Bが形成されている。このため、作業者の手を窓部33A,33Bからシミュレータドーム1の内部に入れることができる。これにより、スクリーン部2と天井部3とのネジ止め部分(特にネジ37)がシミュレータドーム1の内側にあっても、作業者はシミュレータドーム1の外側からネジ止め部分を操作することができる。すなわち、スクリーン部2に対する天井部3の着脱作業を容易に行うことができる。また、作業者は、天板部12上に配されているプロジェクタ4等の各種部品の操作(例えばメンテナンス作業など)を、シミュレータドーム1の外側から行うこともできる。
【0045】
また、上記窓部33A,33Bはカバー部34によって閉じることができるため、シミュレータドーム1を使用する際に、シミュレータドーム1の外側から内部に光が入り込むことを防止できる。
【0046】
また、本実施形態のシミュレータドーム1では、スクリーン部2の内周面のうち投射領域の外側の領域(上端領域、下端領域)に、スクリーン内側リブ16A〜16Dが形成されている。このため、スクリーン部2の投射領域に映し出される映像や画像に影響を与えることなく、かつ、シミュレータドーム1の外観意匠を良好に保ちながら、スクリーン部2の強度向上を図ることができる。
【0047】
また、本実施形態のシミュレータドーム1では、スクリーン本体11及び天井部3が中空の楕円体(球体を含む)の一部を構成するように形成されている。このため、スクリーン部2(特にスクリーン本体11)や天井部3に曲げ荷重が生じ難くなり、剛性の高いシミュレータドーム1を提供することが可能となる。
【0048】
また、本実施形態のシミュレータドーム1において、天井部3は、スクリーン部2の径方向における天井部3の中央部が、スクリーン部2の上端部に対向する天井部3の外周端部に対して上方に膨らむように形成されている。このため、天井部3の内面がスクリーン部2の上端部よりも上方に間隔をあけて位置するため、プロジェクタ4をスクリーン部2の天板部12上に配することができる。
また、プロジェクタ4の設置部分よりも上方に、シミュレータドーム1の内部空間が形成されるため、プロジェクタ4の設置部分と天井部3の内面との空間を作業スペースとして活用できる。したがって、シミュレータドーム1の組み立てやメンテナンスを容易に行うことができる。
【0049】
また、本実施形態のシミュレータドーム1では、天板部12が天板部上側リブ15や天板支持リブ16C,16Dによって支持されている。このため、天板部12の強度を向上できる。
【0050】
また、本実施形態のシミュレータドーム1では、天井部3の内面のうち天井部3の外周端部に天井内側リブ32が形成されている。このため、シミュレータドーム1の外観意匠を良好に保ちながら、天井部3の強度向上を図ることができる。
また、本実施形態のシミュレータドーム1では、天井内側リブ32が固定用板部36に接続されている。これにより、固定用板部36の強度を向上できる。
【0051】
以上、本発明の詳細について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
【0052】
天板部12は、例えば図8に示すように、周方向においてスクリーン本体11の全体に形成された平面視環状の本体板部17と、径方向において本体板部17の内縁から内側に延びて形成された複数の配置板部18と、を備えてもよい。複数の配置板部の上面には、それぞれプロジェクタ4が配される。
図8に例示した構成を含むシミュレータドームによれば、天板部12全体の大きさを上記実施形態と比較して小さくすることができる。これにより、シミュレータドームの軽量化、及び、製造コスト削減を図ることができる。
【0053】
また、プロジェクタ4は、例えば天板部12の上面に配されなくてもよい。すなわち、プロジェクタ4は、例えば天井部3の内面に吊るされてもよい。また、例えば、スクリーン部2の上端部や天井部3に別途フレームを設けた上で、このフレームにプロジェクタ4を取り付けてもよい。
【0054】
また、本発明のシミュレータドームは、例えば図9に示すように、天井部を備えなくてもよく、少なくともスクリーン部2を備えていればよい。
【符号の説明】
【0055】
1 シミュレータドーム
2 スクリーン部
3 天井部
4 プロジェクタ
11 スクリーン本体
12 天板部
16A,16B,16C,16D スクリーン内側リブ
17 本体板部
18 配置板部
33A 第一窓部(窓部)
33B 第二窓部(窓部)
34 カバー部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9