(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した飲料冷却注出装置では、制御盤を収容する収容部材が冷却液槽の直上に配置されているので、冷却液槽及び飲料冷却管を上から見るとき等に収容部材が邪魔になる可能性がある。また、近年、冷却等の制御が複雑化しており、それに伴い制御盤及び収容部材が大型化する傾向にある。収容部材が大型化すると、元々ファンの斜め上方に配置されていた収容部材が奥側に張り出してファンの直上に位置することが想定される。ファンの直上に収容部材が位置すると、ファンからの温風が収容部材に当たることになるので、制御盤の温度が上昇するという問題が生じうる。
【0006】
本発明は、制御盤の温度上昇を抑制させることができる飲料サーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る飲料サーバは、飲料を冷却させる冷却液を収容する冷却液槽と、冷却液内に浸漬されると共に飲料が通る飲料管と、を備えた飲料サーバであって、冷却液の冷却を制御する制御盤を収容する収容部材と、上方に空気を送るファンと、を備え、収容部材及びファンが設けられる領域と、冷却液槽及び飲料管が設けられる領域とは、水平方向に区画されており、収容部材及びファンは、鉛直方向に並んでおり、収容部材とファンとの間には、ファンからの空気を収容部材から逸れるように案内する案内部材が設けられており、収容部材と案内部材とは、空間を介して鉛直方向に並んでいる。
【0008】
この飲料サーバによれば、制御盤を収容する収容部材及びファンが設けられる領域と、冷却液槽及び飲料管が設けられる領域とは、水平方向に区画される。よって、収容部材及びファンが設けられる領域を、冷却液槽及び飲料管が設けられる領域から分けることができるので、冷却液槽及び飲料管を上から見たときに収容部材が邪魔になることはない。また、収容部材とファンとの間には、ファンからの空気を収容部材から逸れるように案内する案内部材が設けられている。この案内部材によりファンからの温風は収容部材から逸れるので、ファンからの温風により制御盤の温度が上昇する問題を回避することができる。更に、収容部材と案内部材とは空間を介して鉛直方向に並んでいるので、この空間により、案内部材から収容部材に熱を伝わりにくくすることができる。
【0009】
また、飲料管は、冷却液槽の上方に取り外し可能となっていてもよい。この場合、飲料管を冷却液槽から外して洗浄することが可能となり、飲料管のメンテナンス性を向上させることができる。また、前述したように、冷却液槽及び飲料管が設けられる領域は、収容部材及びファンが設けられる領域とは水平方向に区画されている。従って、冷却液槽及び飲料管を上から見たときに収容部材が邪魔にならないので、飲料管を冷却液槽から容易に取り外すことができる。
【0010】
また、鉛直方向から見た場合において、案内部材の端部は、収容部材の端部の外側に張り出していてもよい。このように案内部材の端部が収容部材の端部の外側に張り出していることにより、ファンからの温風をより確実に収容部材に当てないようにすることができる。従って、制御盤の温度上昇を一層確実に抑制することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、制御盤の温度上昇を抑制させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら実施形態に係る飲料サーバについて説明する。以下の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
図1は、実施形態に係る飲料サーバ1の構成を示している。飲料サーバ1は、例えば、飲食店に設けられる装置であって顧客の注文等に応じてカラン2から飲料を注出する。飲料としては、ビール及び発泡酒等のアルコール飲料、並びにアルコールを含まない飲料も含まれる。本実施形態では、飲料サーバ1がビールを提供する例について説明する。
【0015】
飲料サーバ1には、例えばビールホースが接続されており、このビールホースから飲料サーバ1の内部にビール液が供給される。飲料サーバ1は供給されたビール液を冷却する。例えば、飲料サーバ1は、直方体状となった電気冷却式の瞬間冷却式サーバである。飲料サーバ1によって冷却されたビール液は、カラン2の操作レバー2aが引かれたときにカラン2から注出される。
【0016】
飲料サーバ1は、上記のカラン2と、カラン2が取り付けられた直方体状の筐体3とを外観構成として備えている。筐体3は、例えば飲料サーバ1の外装材を構成するSUS材である。筐体3の内部には、冷却液Wを収容する直方体状の冷却液槽6と、冷却液Wに浸漬されると共に螺旋状に形成されたビールコイル(飲料管)4と、冷却液Wを冷却させる冷凍サイクル装置5とが設けられている。なお、
図1では、筐体3、ビールコイル4及び冷凍サイクル装置5の構成を簡略化して図示している。
【0017】
筐体3は脱着自在な蓋3aを備えており、この蓋3aが外されることによってビールコイル4を視認可能とされている。また、筐体3は、カラン2が取り付けられる前面パネル3bと、冷却液槽6及び冷凍サイクル装置5を挟んで前面パネル3bの反対側に位置する背面パネル3cと、筐体3を貫通する複数の貫通孔3dとを有する。貫通孔3dは、筐体3の内部の通気性を確保するために設けられる。
【0018】
ビールコイル4は螺旋状に形成されており、これにより、冷却液W内におけるビール液の流路を長く確保することができる。従って、ビールコイル4の内部のビール液を冷却液槽6の内部で十分に冷却させることができる。なお、ビールコイル4については後に詳述する。
【0019】
冷凍サイクル装置5は、冷却液W内におけるビールコイル4の外側でビールコイル4を囲むように螺旋状に伸びる冷媒管5aを備えている。更に、冷凍サイクル装置5は、コンプレッサ5b、凝縮器5c、ファン10及び制御盤20を備える。コンプレッサ5bは、冷媒管5aから流入した冷媒を圧縮して高温冷媒ガスを生成し、この高温冷媒ガスから凝縮器5cが熱を放出させることにより、凝縮器5cが高温冷媒液を生成する。凝縮器5cによって生成された高温冷媒液は、脱水機を介してキャピラリチューブに送られ、このキャピラリチューブが高温冷媒液に対して減圧と流量制御を行って例えば−8℃の冷媒を生成し、この冷媒が冷媒管5aに供給される。
【0020】
制御盤20は、コンプレッサ5b、凝縮器5c及びファン10に電気的に接続されている。制御盤20は、電気信号を出力して冷媒管5aへの冷媒の供給を制御し、これにより、冷却液Wの冷却が制御される。冷媒管5aに冷媒が供給されると、冷媒管5aの周囲において冷却液Wが冷却され、これにより冷媒管5aの周囲に氷Kが生成される。制御盤20は、氷Kの厚さが所定値よりも薄いことが検出された場合には冷媒管5aに冷媒を供給し、氷Kを厚くさせる制御を行う。一方、制御盤20は、氷Kの厚さが所定値よりも厚いことが検出された場合には、冷媒管5aへの冷媒の供給を停止して氷Kが厚くならないように制御する。
【0021】
また、飲料サーバ1は、撹拌部材7とモータ8とを備えている。撹拌部材7は、例えばプロペラであり、軸線L回りに回転する。撹拌部材7は、回転して冷却液槽6内の冷却液Wを撹拌し冷却液Wに流れを形成する。これにより、撹拌部材7は、冷却液Wとビールコイル4との熱交換、及び冷却液Wと氷Kとの熱交換を促進させる。
【0022】
図2は、筐体3から蓋3aを取り外した状態を示す斜視図である。筐体3には4個のカラン2を取り付けることが可能となっているが、
図2では2個のカラン2のみを図示している。前述したように、筐体3の内部にはビールコイル4を収容可能となっている。本実施形態では、4種類のビールコイル4を筐体3に収容可能となっている。具体的には、4種類のうち2種類のビールコイル4を一体化した外側飲料管ユニット4Aと、残り2種類のビールコイル4を一体化した内側飲料管ユニット4Bとが筐体3の内部に収容される。外側飲料管ユニット4A及び内側飲料管ユニット4Bは筐体3に脱着自在となっている。
【0023】
外側飲料管ユニット4Aは、その上部に2つの飲料流入部4aと2つの飲料流出部4bとを有し、内側飲料管ユニット4Bは、その上部に2つの飲料流入部4aを有する。また、内側飲料管ユニット4Bの飲料流入部4aの前側には、内側飲料管ユニット4Bからビール液を流出する2つの飲料流出部が設けられている。各飲料流入部から各ビールコイル4の内部にビール液が流入し、各飲料流出部から各ビールコイル4の内部のビール液が流出する。
【0024】
4つの飲料流出部は、チューブを介してカラン2のそれぞれに連結可能となっており、各操作レバー2aを引くことによってビールコイル4内のビールが注出される。このように筐体3の内部には4種類のビールコイル4が収容されており、飲料サーバ1では4種類のビールを注出可能とされている。
【0025】
図1に示されるように、筐体3の内部において、ビールコイル4、冷却液槽6、撹拌部材7及びモータ8が設けられる領域A1は、前述したコンプレッサ5b、凝縮器5c、ファン10及び制御盤20が設けられる領域A2とは、水平方向に区画されている。領域A2は領域A1よりも背面パネル3c側に設けられる。コンプレッサ5b、凝縮器5c、ファン10及び制御盤20は、冷却液槽6よりも背面パネル3c側に配置されている。
【0026】
図3に示されるように、制御盤20はコントロールボックス21の内部に収容されている。コントロールボックス21はファン10の直上に配置されている。コントロールボックス21、ファン10、凝縮器5c及びコンプレッサ5bは、鉛直上方から鉛直下方に向かってこの順に配置されている。
【0027】
凝縮器5cの上部にはファン10が乗せられるシュラウド22が配置されており、シュラウド22にはコントロールボックス21の下部が固定されている。具体的には、コントロールボックス21は、シュラウド22に固定される柱状の固定部21aと、固定部21aの後側に位置する後方部21bとを含む。固定部21aはファン10の前側に配置されており、後方部21bはファン10の上方に配置される。
【0028】
図3及び
図4に示されるように、ファン10は、鉛直方向に沿った軸線を中心として回転する羽根部11と、羽根部11を囲むようにシュラウド22上に配置された包囲部材12とを備える。包囲部材12は、シュラウド22から立設する4枚の側壁部を有しており、平面視において四角形状に配置される。羽根部11は、包囲部材12の内側に設けられており、羽根部11が回転すると、羽根部11から上方に温風が排出される。羽根部11は、筐体3の底面に形成された孔部から外気を吸い込んで上方に温風を吹き上げる。
【0029】
ファン10とコントロールボックス21との間には、風案内板23(案内部材)が配置される。コントロールボックス21と風案内板23とは、空間Cを介して鉛直方向に並んでいる。風案内板23は、ファン10からの温風をコントロールボックス21から逸らすために設けられる。風案内板23は、例えば金属で構成されており、固定部21aの側面に溶接によって固定されている。
【0030】
風案内板23は、固定部21aの側面から斜め上方に延在する傾斜部23aと、傾斜部23aから上方に延在する立設部23bとを有する。傾斜部23aは後方部21bの下方に位置しており、立設部23bは後方部21bの側方に位置している。水平面に対する立設部23bの角度は、水平面に対する傾斜部23aの角度よりも大きく、水平面に対する立設部23bの角度は例えば90°である。この風案内板23により、ファン10から傾斜部23aの下面に当てられた温風は、傾斜部23aに沿って斜め上方に移動し、立設部23bの外側に解放される。また、風案内板23の傾斜部23aの上側に位置する空間Cには、その上下に位置する機器(コンプレッサ5b及びコントロールボックス21等)から伸びる配線24を通すことが可能とされている。
【0031】
図5は、コントロールボックス21、風案内板23及びファン10を示す平面図である。
図5に示されるように、鉛直方向から見た場合において、風案内板23の端部23cは、コントロールボックス21の端部21cの外側に張り出している。傾斜部23aと立設部23bとの境目部分は、コントロールボックス21の端部21cよりも背面パネル3c側に位置する。また、鉛直方向から見た場合において、コントロールボックス21及び風案内板23は、ファン10の60%程度を覆うように配置されている。
【0032】
以下では、本実施形態に係る飲料サーバ1の作用効果について説明する。
【0033】
図1に示されるように、制御盤20を収容するコントロールボックス21及びファン10が設けられる領域A2と、冷却液槽6及びビールコイル4が設けられる領域A1とは、水平方向に区画される。よって、コントロールボックス21及びファン10が設けられる領域A2を、冷却液槽6及びビールコイル4が設けられる領域A1から分けることができるので、冷却液槽6及びビールコイル4を上から見たときにコントロールボックス21が邪魔になることはない。
【0034】
また、前述したように、本実施形態の飲料サーバ1は4種類のビールを注出可能となっており、更に冷却等の制御が複雑化されているので、制御盤20及びコントロールボックス21は従来よりも大型化している。従って、コントロールボックス21は、従来よりも背面パネル3c側に張り出しており、ファン10の直上に位置している。しかしながら、コントロールボックス21とファン10との間には、ファン10からの空気をコントロールボックス21から逸れるように案内する風案内板23が設けられている。この風案内板23によりファン10からの温風はコントロールボックス21から逸れるので、ファン10からの温風により制御盤20の温度が上昇する問題を回避することができる。更に、コントロールボックス21と風案内板23とは空間Cを介して鉛直方向に並んでいるので、この空間Cにより、風案内板23からコントロールボックス21に熱を伝わりにくくすることができる。
【0035】
また、ビールコイル4は、冷却液槽6の上方に取り外し可能となっている。前述したように、冷却液槽6及びビールコイル4を上から見たときにコントロールボックス21が邪魔にならないので、ビールコイル4を冷却液槽6から容易に取り外すことができる。また、ビールコイル4を冷却液槽6から外して洗浄することも可能であり、ビールコイル4のメンテナンス性を向上させることができる。
【0036】
また、鉛直方向から見た場合において、風案内板23の端部23cは、コントロールボックス21の端部21cの外側に張り出している。このように風案内板23の端部23cがコントロールボックス21の端部21cの外側に張り出していることにより、ファン10からの温風をより確実にコントロールボックス21に当てないようにすることができる。従って、制御盤20の温度上昇を一層確実に抑制することができる。
【0037】
また、風案内板23は、コントロールボックス21に固定されて斜め上方に傾斜する傾斜部23aと、傾斜部23aから更に上方に延在する立設部23bとを備えている。このように、風案内板23は斜めに配置されるので、風案内板23の下部に熱を滞留させにくくすることができる。そして、ファン10からの温風は、傾斜部23aの下面で斜め上方に移動して、立設部23bの外側にスムーズに流れることとなる。また、立設部23bは、コントロールボックス21に沿って上方に延在しているので、立設部23bによって温風からコントロールボックス21を保護することもできる。更に、鉛直方向から見た場合において、風案内板23は、ファン10の全面を覆っていないので、筐体3の内部(特にファン10の上方)の通気性を確保することができる。
【0038】
また、風案内板23の傾斜部23aには、風案内板23の上下に位置する機器から伸びる配線24を通すことが可能とされている。このように、風案内板23を配線24のためのスペースとして有効利用することができる。また、風案内板23の傾斜部23aに配線24を通すことにより、配線24がファン10に巻き込まれる事態を回避することもできる。
【0039】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。すなわち、本発明は、各請求項の要旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。
【0040】
例えば、前述の実施形態では、コンプレッサ5b及び凝縮器5cが冷却液槽6の背面パネル3c側に配置されている例について説明した。しかしながら、コンプレッサ及び凝縮器の位置は、上記の例に限定されず適宜変更可能である。例えば、コンプレッサが冷却液槽6の下部に配置されていてもよい。
【0041】
また、前述の実施形態では、風案内板23が金属で構成される例について説明した。このように風案内板23が金属製である場合、板金等によって風案内板23を容易に製造することが可能となる。但し、風案内板の材料は、金属に限定されず適宜変更可能である。例えば、風案内板は樹脂製であってもよい。このように風案内板が樹脂で構成されている場合、風案内板による断熱効果を高めることができる。
【0042】
また、前述の実施形態では、風案内板23が傾斜部23aと立設部23bとを有する例について説明した。しかしながら、案内部材の形状、数及び大きさは、上記の例に限定されず適宜変更可能である。また、制御盤20を収容する収容部材(コントロールボックス21)の形状、数及び大きさについても適宜変更可能であり、ファンの形状、数及び大きさについても適宜変更可能である。更に、前述の実施形態では、風案内板23の傾斜部23aに配線24が通される例について説明したが、配線24を別の場所に通してもよい。
【0043】
また、前述の実施形態では、ビールコイル4が冷却液槽6に脱着自在となっている例について説明したが。ビールコイルは冷却液槽に対して脱着自在となっていなくてもよい。冷却液槽の内部に配置されるビールコイルの数は3つ以下又は5つ以上であってもよい。更に、ビールコイル、冷凍サイクル装置、撹拌部材及びモータの構成についても適宜変更可能である。