特許第6652887号(P6652887)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6652887
(24)【登録日】2020年1月28日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】車両用自動変速機の遊星ギヤトレイン
(51)【国際特許分類】
   F16H 3/66 20060101AFI20200217BHJP
【FI】
   F16H3/66 Z
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-104832(P2016-104832)
(22)【出願日】2016年5月26日
(65)【公開番号】特開2017-129263(P2017-129263A)
(43)【公開日】2017年7月27日
【審査請求日】2019年3月1日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0007779
(32)【優先日】2016年1月21日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 ギョン 勳
(72)【発明者】
【氏名】鞠 再 昌
(72)【発明者】
【氏名】黄 銅 煥
(72)【発明者】
【氏名】黄 聖 旭
(72)【発明者】
【氏名】金 鍾 洙
(72)【発明者】
【氏名】張 祐 槇
(72)【発明者】
【氏名】池 晟 旭
(72)【発明者】
【氏名】金 千 玉
(72)【発明者】
【氏名】趙 源 ミン
(72)【発明者】
【氏名】權 賢 植
(72)【発明者】
【氏名】朴 鍾 述
(72)【発明者】
【氏名】金 振 碩
(72)【発明者】
【氏名】金 兌 桓
【審査官】 岡本 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−527267(JP,A)
【文献】 特開2015−064085(JP,A)
【文献】 特開2014−077535(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0144486(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 3/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの動力が伝達される入力軸と、
変速された動力を出力する出力軸と、
第1、第2、第3回転要素を有する第1遊星ギヤセットと、
第4、第5、第6回転要素を有する第2遊星ギヤセットと、
第7、第8、第9回転要素を有する第3遊星ギヤセットと、
第10、第11、第12回転要素を有する第4遊星ギヤセットと、
前記第1回転要素と前記第4回転要素とを連結する第1軸と、
前記第2回転要素に連結され、前記入力軸に直接連結される第2軸と、
前記第3回転要素と前記第10回転要素とを連結する第3軸と、
前記第5回転要素に連結され、前記第2軸と選択的に連結される第4軸と、
前記第6回転要素と前記第9回転要素とを連結し、前記第2軸と選択的に連結される第5軸と、
前記第7回転要素と前記第12回転要素とを連結する第6軸と、を含むことを特徴とする車両用自動変速機の遊星ギヤトレイン。
【請求項2】
前記第1軸、第4軸、および第6軸はそれぞれ、変速機ハウジングに選択的に連結され、
前記遊星ギヤトレインは、
前記第8回転要素に連結され、前記第3軸と選択的に連結される第7軸と、
前記第11回転要素に連結され、第7軸と選択的に連結され、前記出力軸と直接連結される第8軸と、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の車両用自動変速機の遊星ギヤトレイン。
【請求項3】
前記第1遊星ギヤセットの前記第1、第2、第3回転要素はそれぞれ、第1サンギヤ、第1遊星キャリア、第1リングギヤであり、
前記第2遊星ギヤセットの前記第4、第5、第6回転要素はそれぞれ、第2サンギヤ、第2遊星キャリア、第2リングギヤであり、
前記第3遊星ギヤセットの前記第7、第8、第9回転要素はそれぞれ、第3サンギヤ、第3遊星キャリア、第3リングギヤであり、
前記第4遊星ギヤセットの前記第10、第11、第12回転要素はそれぞれ、第4サンギヤ、第4遊星キャリア、第4リングギヤであることを特徴とする請求項1に記載の車両用自動変速機の遊星ギヤトレイン。
【請求項4】
前記第1、第2、第3、第4遊星ギヤセットは、エンジン側から、第2遊星ギヤセット、第1遊星ギヤセット、第3遊星ギヤセット、第4遊星ギヤセットの順に配置されることを特徴とする請求項1に記載の車両用自動変速機の遊星ギヤトレイン。
【請求項5】
前記第1、第2、第3、第4遊星ギヤセットは、エンジン側から、第1遊星ギヤセット、第2遊星ギヤセット、第3遊星ギヤセット、第4遊星ギヤセットの順に配置されることを特徴とする請求項1に記載の車両用自動変速機の遊星ギヤトレイン。
【請求項6】
前記第1、第2、第3、第4遊星ギヤセットは、エンジン側から、第1遊星ギヤセット、第2遊星ギヤセット、第4遊星ギヤセット、第3遊星ギヤセットの順に配置されることを特徴とする請求項1に記載の車両用自動変速機の遊星ギヤトレイン。
【請求項7】
前記第7軸と前記第8軸とを選択的に連結する第1クラッチと、
前記第2軸と前記第5軸とを選択的に連結する第2クラッチと、
前記第2軸と前記第4軸とを選択的に連結する第3クラッチと、
前記第3軸と前記第7軸とを選択的に連結する第4クラッチと、
前記第1軸を前記変速機ハウジングに選択的に連結する第1ブレーキと、
前記第6軸を前記変速機ハウジングに選択的に連結する第2ブレーキと、
前記第4軸を前記変速機ハウジングに選択的に連結する第3ブレーキと、をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の車両用自動変速機の遊星ギヤトレイン。
【請求項8】
エンジンの動力が伝達される入力軸と、
変速された動力を出力する出力軸と、
第1、第2、第3回転要素を有する第1遊星ギヤセットと、
第4、第5、第6回転要素を有する第2遊星ギヤセットと、
第7、第8、第9回転要素を有する第3遊星ギヤセットと、
第10、第11、第12回転要素を有する第4遊星ギヤセットと、を含み、
前記入力軸は、前記第2回転要素と直接連結され、
前記出力軸は、前記第11回転要素と直接連結され、
前記第1回転要素は、前記第4回転要素と直接連結され、変速機ハウジングに選択的に連結され、
前記第3回転要素は、前記第10回転要素と直接連結され、
前記第6回転要素は、前記第9回転要素と直接連結され、
前記第7回転要素は、前記第12回転要素と直接連結され、変速機ハウジングに選択的に連結され、
前記第5回転要素は、前記変速機ハウジングに選択的に連結されることを特徴とする車両用自動変速機の遊星ギヤトレイン。
【請求項9】
前記第11回転要素は、前記第8回転要素と選択的に連結され、
前記第2回転要素は、前記第6回転要素と選択的に連結され、
前記第2回転要素は、前記第5回転要素と選択的に連結され、
前記第3回転要素は、前記第8回転要素と選択的に連結されることを特徴とする請求項8に記載の車両用自動変速機の遊星ギヤトレイン。
【請求項10】
前記第1遊星ギヤセットの前記第1、第2、第3回転要素はそれぞれ、第1サンギヤ、第1遊星キャリア、第1リングギヤであり、
前記第2遊星ギヤセットの前記第4、第5、第6回転要素はそれぞれ、第2サンギヤ、第2遊星キャリア、第2リングギヤであり、
前記第3遊星ギヤセットの前記第7、第8、第9回転要素はそれぞれ、第3サンギヤ、第3遊星キャリア、第3リングギヤであり、
前記第4遊星ギヤセットの前記第10、第11、第12回転要素はそれぞれ、第4サンギヤ、第4遊星キャリア、第4リングギヤであることを特徴とする請求項8に記載の車両用自動変速機の遊星ギヤトレイン。
【請求項11】
前記第1、第2、第3、第4遊星ギヤセットは、エンジン側から、第2遊星ギヤセット、第1遊星ギヤセット、第3遊星ギヤセット、第4遊星ギヤセットの順に配置されることを特徴とする請求項8に記載の車両用自動変速機の遊星ギヤトレイン。
【請求項12】
前記第1、第2、第3、第4遊星ギヤセットは、エンジン側から、第1遊星ギヤセット、第2遊星ギヤセット、第3遊星ギヤセット、第4遊星ギヤセットの順に配置されることを特徴とする請求項8に記載の車両用自動変速機の遊星ギヤトレイン。
【請求項13】
前記第1、第2、第3、第4遊星ギヤセットは、エンジン側から、第1遊星ギヤセット、第2遊星ギヤセット、第4遊星ギヤセット、第3遊星ギヤセットの順に配置されることを特徴とする請求項8に記載の車両用自動変速機の遊星ギヤトレイン。
【請求項14】
前記第11回転要素と前記第8回転要素とを選択的に連結する第1クラッチと、
前記第2回転要素と前記第6回転要素とを選択的に連結する第2クラッチと、
前記第2回転要素と前記第5回転要素とを選択的に連結する第3クラッチと、
前記第3回転要素と前記第8回転要素とを選択的に連結する第4クラッチと、
前記第1回転要素および前記第4回転要素を前記変速機ハウジングに選択的に連結する第1ブレーキと、
前記第7回転要素および前記第12回転要素を前記変速機ハウジングに選択的に連結する第2ブレーキと、
前記第5回転要素を前記変速機ハウジングに選択的に連結する第3ブレーキと、をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の車両用自動変速機の遊星ギヤトレイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用自動変速機に係り、より詳しくは、最小限の構成要素を用いて少なくとも10個の前進変速段を実現し、かつ、変速比(またはギヤ比)幅を増大化させることで、動力伝達性能と燃費を向上させ、段間比の線形性を確保することができる車両用自動変速機の遊星ギヤトレインに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動変速機分野において、多段化は、車両の燃費向上と運転性を極大化するための技術として研究が行われている。
このような自動変速機の多段化は、エンジンのダウンサイジング(downsizing)に伴う動力性能および運転効率の極大化のためにも必要である。特に、自動変速機分野の競争力確保のためにも、変速前後の加速度、およびエンジン速度のリズム感など、運転性に非常に密接な指標として用いられる段間比の線形性に優れる高効率多段変速機構造の開発が切実に要求される。
ところが、自動変速機は、変速段が増加するほど構成部品数が増加し、搭載性および原価、重量、伝達効率などがむしろ悪化する。
したがって、多段化による燃費改善効果を増大させるためには、少ない部品数で最大限の動力効率を引き出せる遊星ギヤトレインの開発が重要である。
【0003】
このことから、最近は、8速変速段を実現する自動変速機の開発が活発に行われており、更にそれ以上の変速段をめざす遊星ギヤトレインの研究開発も進められている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、従来の8速変速段を実現する自動変速機の場合、段間比の線形性確保のために重要な因子である変速比幅(Span)が6.5〜7.5と低い水準に維持されていることから、動力性能および燃費向上の効果が大きくないという問題がある。
また、8速変速段を実現する自動変速機の変速比幅を9.0以上とする場合にも、変速段の段間比の線形性を確保しにくいという問題もあった。これにより、エンジンの運転効率および車両の運転性が低下するため、少なくとも9速以上の変速段を実現する高効率自動変速機の開発が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−117824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、最小限の構成要素を用いて少なくとも10個の前進変速段と1個の後進変速段を実現し、かつ、変速比幅を増大させることで、エンジンの動力伝達性能および燃費を向上させ、段間比の線形性を確保することができる車両用自動変速機の遊星ギヤトレインを提供することにある。
また、他の目的とするところは、高段の前進変速段で走行の際、停止した状態で負荷を受ける遊星キャリアがないようにすることで、ピニオンシャフトの耐久性能を維持できるようにする車両用自動変速機の遊星ギヤトレインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた本発明の車両用自動変速機の遊星ギヤトレインは、エンジンの動力が伝達される入力軸と、変速された動力を出力する出力軸と、第1、第2、第3回転要素を有する第1遊星ギヤセットと、第4、第5、第6回転要素を有する第2遊星ギヤセットと、第7、第8、第9回転要素を有する第3遊星ギヤセットと、第10、第11、第12回転要素を有する第4遊星ギヤセットと、第1回転要素と第4回転要素とを連結する第1軸と、第2回転要素に連結され、入力軸に直接連結される第2軸と、第3回転要素と第10回転要素とを連結する第3軸と、第5回転要素に連結され、第2軸と選択的に連結される第4軸と、第6回転要素と第9回転要素とを連結し、第2軸と選択的に連結される第5軸と、第7回転要素と第12回転要素とを連結する第6軸と、を含むことを特徴とする。
【0007】
第1軸、第4軸、および第6軸はそれぞれ、変速機ハウジングに選択的に連結され、遊星ギヤトレインは、第8回転要素に連結され、第3軸と選択的に連結される第7軸と、第11回転要素に連結され、第7軸と選択的に連結され、出力軸と直接連結される第8軸と、をさらに含むことが好ましい。
第1遊星ギヤセットの第1、第2、第3回転要素はそれぞれ、第1サンギヤ、第1遊星キャリア、第1リングギヤであり、第2遊星ギヤセットの第4、第5、第6回転要素はそれぞれ、第2サンギヤ、第2遊星キャリア、第2リングギヤであり、第3遊星ギヤセットの第7、第8、第9回転要素はそれぞれ、第3サンギヤ、第3遊星キャリア、第3リングギヤであり、第4遊星ギヤセットの第10、第11、第12回転要素はそれぞれ、第4サンギヤ、第4遊星キャリア、第4リングギヤであることが好ましい。
【0008】
いくつかの態様において、第1、第2、第3、第4遊星ギヤセットは、エンジン側から、第2遊星ギヤセット、第1遊星ギヤセット、第3遊星ギヤセット、第4遊星ギヤセットの順に配置されることがよい。
いくつかの態様において、第1、第2、第3、第4遊星ギヤセットは、エンジン側から、第1遊星ギヤセット、第2遊星ギヤセット、第3遊星ギヤセット、第4遊星ギヤセットの順に配置されることがよい。
いくつかの態様において、第1、第2、第3、第4遊星ギヤセットは、エンジン側から、第1遊星ギヤセット、第2遊星ギヤセット、第4遊星ギヤセット、第3遊星ギヤセットの順に配置されることがよい。
【0009】
遊星ギヤトレインは、第7軸と第8軸とを選択的に連結する第1クラッチと、第2軸と第5軸とを選択的に連結する第2クラッチと、第2軸と第4軸とを選択的に連結する第3クラッチと、第3軸と第7軸とを選択的に連結する第4クラッチと、第1軸を変速機ハウジングに選択的に連結する第1ブレーキと、第6軸を変速機ハウジングに選択的に連結する第2ブレーキと、第4軸を変速機ハウジングに選択的に連結する第3ブレーキと、をさらに含むことが好ましい。
本発明の実施形態に係る車両用自動変速機の遊星ギヤトレインは、エンジンの動力が伝達される入力軸と、変速された動力を出力する出力軸と、第1、第2、第3回転要素を有する第1遊星ギヤセットと、第4、第5、第6回転要素を有する第2遊星ギヤセットと、第7、第8、第9回転要素を有する第3遊星ギヤセットと、第10、第11、第12回転要素を有する第4遊星ギヤセットと、を含み、入力軸は、第2回転要素と直接連結され、出力軸は、第11回転要素と直接連結され、第1回転要素は、第4回転要素と直接連結され、変速機ハウジングに選択的に連結され、第3回転要素は、第10回転要素と直接連結され、第6回転要素は、第9回転要素と直接連結され、第7回転要素は、第12回転要素と直接連結され、変速機ハウジングに選択的に連結され、第5回転要素は、変速機ハウジングに選択的に連結されることを特徴とする。
【0010】
第11回転要素は、第8回転要素と選択的に連結され、第2回転要素は、第6回転要素と選択的に連結され、第2回転要素は、第5回転要素と選択的に連結され、第3回転要素は、第8回転要素と選択的に連結されることがよい。
第1遊星ギヤセットの第1、第2、第3回転要素はそれぞれ、第1サンギヤ、第1遊星キャリア、第1リングギヤであり、第2遊星ギヤセットの第4、第5、第6回転要素はそれぞれ、第2サンギヤ、第2遊星キャリア、第2リングギヤであり、第3遊星ギヤセットの第7、第8、第9回転要素はそれぞれ、第3サンギヤ、第3遊星キャリア、第3リングギヤであり、第4遊星ギヤセットの第10、第11、第12回転要素はそれぞれ、第4サンギヤ、第4遊星キャリア、第4リングギヤであることが好ましい。
【0011】
いくつかの態様において、第1、第2、第3、第4遊星ギヤセットは、エンジン側から、第2遊星ギヤセット、第1遊星ギヤセット、第3遊星ギヤセット、第4遊星ギヤセットの順に配置されることができる。
いくつかの態様において、第1、第2、第3、第4遊星ギヤセットは、エンジン側から、第1遊星ギヤセット、第2遊星ギヤセット、第3遊星ギヤセット、第4遊星ギヤセットの順に配置されることができる。
いくつかの態様において、第1、第2、第3、第4遊星ギヤセットは、エンジン側から、第1遊星ギヤセット、第2遊星ギヤセット、第4遊星ギヤセット、第3遊星ギヤセットの順に配置されるこよができる。
【0012】
遊星ギヤトレインは、第11回転要素と第8回転要素とを選択的に連結する第1クラッチと、第2回転要素と第6回転要素とを選択的に連結する第2クラッチと、第2回転要素と第5回転要素とを選択的に連結する第3クラッチと、第3回転要素と第8回転要素とを選択的に連結する第4クラッチと、第1回転要素および第4回転要素を変速機ハウジングに選択的に連結する第1ブレーキと、第7回転要素および第12回転要素を変速機ハウジングに選択的に連結する第2ブレーキと、第5回転要素を変速機ハウジングに選択的に連結する第3ブレーキと、をさらに含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、本発明の車両用自動変速機の遊星ギヤトレインは、単純遊星ギヤセットである4個の遊星ギヤセットを、7個の制御要素で組み合わせることで、少なくとも10個の前進変速段および1個の後進変速段を実現することができる。
また、10.0以上の変速比幅を確保することで、エンジンの運転効率を極大化することができる。
さらに、多段化により段間比の線形性を確保することができるため、変速前/後の加速度、およびエンジン速度のリズム感などの運転性を向上させることができる。
なお、高段の前進変速段で走行時、及び停止時に負荷を受ける遊星キャリアがないようにすることで、円滑な潤滑作動ができるようにしたことによりピニオンギヤに連結されるピニオンシャフトの耐久性能を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態に係る遊星ギヤトレインの構成図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る遊星ギヤトレインに適用される制御要素の変速段別の作動表である。
図3】本発明の第1実施形態に係る遊星ギヤトレインに適用される制御要素の変速段別の他の作動表である。
図4】本発明の第2実施形態に係る遊星ギヤトレインの構成図である。
図5】本発明の第3実施形態に係る遊星ギヤトレインの構成図である。
図6】本発明の第4実施形態に係る遊星ギヤトレインの構成図である。
図7】本発明の第5実施形態に係る遊星ギヤトレインの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を添付した図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の第1実施形態に係る遊星ギヤトレインの構成図である。
図1に示したとおり、本発明の第1実施形態に係る遊星ギヤトレインは、同一軸線上に配置される第1、第2、第3、第4遊星ギヤセットPG1、PG2、PG3、PG4と、入力軸ISと、出力軸OSと、第1、第2、第3、第4遊星ギヤセットPG1、PG2、PG3、PG4の回転要素のうちの少なくとも1つ以上に連結される8個の軸TM1〜TM8と、制御要素である4個のクラッチC1〜C4および3個のブレーキB1〜B3と、変速機ハウジングHとを備える。
そして、入力軸ISから入力される回転動力が第1、第2、第3、第4遊星ギヤセットPG1、PG2、PG3、PG4の相互補完作動により変速されて、出力軸OSを介して出力される。
ここで、遊星ギヤセットは、エンジン側から、第2、第1、第3、第4遊星ギヤセットPG2、PG1、PG3、PG4の順に配置される。
【0017】
入力軸ISは、入力部材であり、エンジンのクランクシャフトからの回転動力がトルクコンバータを介してトルク変換が行われて、入力される。
出力軸OSは、出力部材であり、入力軸ISと平行に配置され、変速された駆動力を差動装置を介して駆動軸に伝達する。
【0018】
第1遊星ギヤセットPG1は、シングルピニオン遊星ギヤセットであり、第1サンギヤS1と、第1サンギヤS1と外接で噛み合う、第1ピニオンギヤP1を回転可能に支持する第1遊星キャリアPC1と、第1ピニオンギヤP1と内接で噛み合う第1リングギヤR1とをそれぞれ、第1、第2、第3回転要素N1、N2、N3として含む。
第2遊星ギヤセットPG2は、シングルピニオン遊星ギヤセットであり、第2サンギヤS2と、第2サンギヤS2と外接で噛み合う、第2ピニオンギヤP2を回転可能に支持する第2遊星キャリアPC2と、第2ピニオンギヤP2と内接で噛み合う第2リングギヤR2とをそれぞれ、第4、第5、第6回転要素N4、N5、N6として含む。
【0019】
第3遊星ギヤセットPG3は、シングルピニオン遊星ギヤセットであり、第3サンギヤS3と、第3サンギヤS3と外接で噛み合う、第3ピニオンギヤP3を回転可能に支持する第3遊星キャリアPC3と、第3ピニオンギヤP3と内接で噛み合う第3リングギヤR3とをそれぞれ、第7、第8、第9回転要素N7、N8、N9として含む。
第4遊星ギヤセットPG4は、シングルピニオン遊星ギヤセットであり、第4サンギヤS4と、第4サンギヤS4と外接で噛み合う、第4ピニオンギヤP4を回転可能に支持する第4遊星キャリアPC4と、第4ピニオンギヤP4と内接で噛み合う第4リングギヤR4とをそれぞれ、第10、第11、第12回転要素N10、N11、N12として含む。
8個の軸TM1〜TM8のうち4個の軸によって第1回転要素N1と第4回転要素N4とが直接連結され、第3回転要素N3と第10回転要素N10とが直接連結され、第6回転要素N6と第9回転要素N9とが直接連結され、第7回転要素N7と第12回転要素N12とが直接連結される。
【0020】
8個の軸TM1〜TM8の構成を説明すると、次の通りである。
ただし、8個の軸TM1〜TM8は、遊星ギヤセットPG1、PG2、PG3、PG4の回転要素のうち複数の回転要素を相互直接連結したり、遊星ギヤセットPG1、PG2、PG3、PG4の回転要素のうちの1つの回転要素に直接連結されて、1つの回転要素と共に回転しながら動力を伝達する回転部材であるか、遊星ギヤセットPG1、PG2、PG3、PG4の回転要素のうちの1つの回転要素を変速機ハウジングHに直接連結して、1つの回転要素を固定する固定部材であってもよい。
【0021】
第1軸TM1は、第1回転要素N1(第1サンギヤS1)と第4回転要素N4(第2サンギヤS2)とを直接連結し、変速機ハウジングHに選択的に連結される。
第2軸TM2は、第2回転要素N2(第1遊星キャリアPC1)に連結され、入力軸ISと直接連結される。
第3軸TM3は、第3回転要素N3(第1リングギヤR1)と第10回転要素N10(第4サンギヤS4)とを直接連結する。
第4軸TM4は、第5回転要素N5(第2遊星キャリアPC2)に連結され、第2軸TM2と選択的に連結されたり、変速機ハウジングHに選択的に連結される。
【0022】
第5軸TM5は、第6回転要素N6(第2リングギヤR2)と第9回転要素N9(第3リングギヤR3)とを直接連結し、第2軸TM2と選択的に連結される。
第6軸TM6は、第7回転要素N7(第3サンギヤS3)と第12回転要素N12(第4リングギヤR4)とを直接連結し、変速機ハウジングHに選択的に連結される。
第7軸TM7は、第8回転要素N8(第3遊星キャリアPC3)に連結され、第3軸TM3と選択的に連結される。
第8軸TM8は、第11回転要素N11(第4遊星キャリアPC4)に連結され、第7軸TM7と選択的に連結され、出力軸OSと直接連結される。
【0023】
そして、8個の軸TM1〜TM8のうち、軸同士で相互選択的に連結される部分には、4個のクラッチC1、C2、C3、C4が配置される。
また、8個の軸TM1〜TM8のうち、軸と変速機ハウジングHとが選択的に連結される部分には、3個のブレーキB1、B2、B3が配置される。
【0024】
つまり、4個のクラッチC1〜C4と3個のブレーキB1〜B3の配置位置を説明すると、次の通りである。
第1クラッチC1は、第7軸TM7と第8軸TM8との間に配置されており、第7軸TM7と第8軸TM8とを選択的に連結する。
第2クラッチC2は、第2軸TM2と第5軸TM5との間に配置されており、第2軸TM2と第5軸TM5とを選択的に連結する。
第3クラッチC3は、第2軸TM2と第4軸TM4との間に配置されており、第2軸TM2と第4軸TM4とを選択的に連結する。
第4クラッチC4は、第3軸TM3と第7軸TM7との間に配置されており、第3軸TM3と第7軸TM7とを選択的に連結する。
【0025】
第1ブレーキB1は、第1軸TM1と変速機ハウジングHとの間に配置されており、第1軸TM1を変速機ハウジングHに選択的に連結する。
第2ブレーキB2は、第6軸TM6と変速機ハウジングHとの間に配置されており、第6軸TM6を変速機ハウジングHに選択的に連結する。
第3ブレーキB3は、第4軸TM4と変速機ハウジングHとの間に配置されており、第4軸TM4を変速機ハウジングHに選択的に連結する。
上記で第1、第2、第3、第4クラッチC1、C2、C3、C4と第1、第2、第3ブレーキB1、B2、B3とからなる各制御要素は、油圧によって摩擦結合される多板式油圧摩擦結合ユニットからなってもよい。
【0026】
図2は、本発明の第1実施形態に係る遊星ギヤトレインに適用される制御要素の変速段別の作動表である。
図2に示したとおり、本発明の第1実施形態に係る遊星ギヤトレインは、各変速段において、制御要素である第1、第2、第3、第4クラッチC1、C2、C3、C4および第1、第2、第3ブレーキB1、B2、B3のうち、3個の制御要素が作動する。本発明の第1実施形態は、1つの後進変速段と10個の前進変速段を実現することができ、変速過程を説明すると、次の通りである。
【0027】
前進1速変速段D1では、第2、第4クラッチC2、C4と第2ブレーキB2が同時に作動する。これにより、第2軸TM2と第5軸TM5とが第2クラッチC2の作動により相互連結され、第3軸TM3と第7軸TM7とが第4クラッチC4の作動により相互連結された状態で、第2軸TM2に入力軸ISの回転動力が入力され、第6軸TM6が第2ブレーキB2の作動により固定要素として作動する。したがって、入力軸ISの回転動力が前進1速変速段に変速が行われて、第8軸TM8を介して出力される。
前進2速変速段D2では、第2、第3クラッチC2、C3と第2ブレーキB2が同時に作動する。これにより、第2軸TM2と第5軸TM5とが第2クラッチC2の作動により相互連結され、第2軸TM2と第4軸TM4とが第3クラッチC3の作動により相互連結された状態で、第2軸TM2に入力軸ISの回転動力が入力され、第6軸TM6が第2ブレーキB2の作動により固定要素として作動する。したがって、入力軸ISの回転動力が前進2速変速段に変速が行われて、第8軸TM8を介して出力される。
【0028】
前進3速変速段D3では、第2クラッチC2と第1、第2ブレーキB1、B2が同時に作動する。これにより、第2軸TM2と第5軸TM5とが第2クラッチC2の作動により相互連結された状態で、入力軸ISの回転動力が第2軸TM2に入力され、第1軸TM1、第6軸TM6がそれぞれ第1、第2ブレーキB1、B2の作動により固定要素として作動する。したがって、入力軸ISの回転動力が前進3速変速段に変速が行われて、第8軸TM8を介して出力される。
前進4速変速段D4では、第1、第2クラッチC1、C2と第2ブレーキB2が同時に作動する。これにより、第7軸TM7と第8軸TM8とが第1クラッチC1の作動により相互連結され、第2軸TM2と第5軸TM5とが第2クラッチC2の作動により相互連結された状態で、入力軸ISの回転動力が第2軸TM2に入力され、第6軸TM6が第2ブレーキB2の作動により固定要素として作動する。したがって、入力軸ISの回転動力が前進4速変速段に変速が行われて、第8軸TM8を介して出力される。
【0029】
前進5速変速段D5では、第1、第2クラッチC1、C2と第1ブレーキB1が同時に作動する。これにより、第7軸TM7と第8軸TM8とが第1クラッチC1の作動により相互連結され、第2軸TM2と第5軸TM5とが第2クラッチC2の作動により相互連結された状態で、入力軸ISの回転動力が第2入力軸TM2を介して入力され、第1軸TM1が第1ブレーキB1の作動により固定要素として作動する。したがって、入力軸ISの回転動力が前進5速変速段に変速が行われて、第8軸TM8を介して出力される。
前進6速変速段D6では、第1、第2、第3クラッチC1、C2、C3が同時に作動する。これにより、第7軸TM7と第8軸TM8とが第1クラッチC1の作動により相互連結され、第2軸TM2と第5軸TM5とが第2クラッチC2の作動により相互連結され、第2軸TM2と第4軸TM4とが第3クラッチC3の作動により相互連結されて、すべての遊星ギヤセットが1つの部材として回転する状態となる。したがって、第2入力軸TM2を介して入力された入力軸ISの回転動力が速度の変化なく出力される前進6速変速段が第8軸TM8を介して出力される。
【0030】
前進7速変速段D7では、第1、第3クラッチC1、C3と第1ブレーキB1が同時に作動する。これにより、第7軸TM7と第8軸TM8とが第1クラッチC1の作動により相互連結され、第2軸TM2と第4軸TM4とが第3クラッチC3の作動により相互連結された状態で、入力軸ISの回転動力が第2入力軸TM2を介して入力され、第1軸TM1が第1ブレーキB1の作動により固定要素として作動する。したがって、入力軸ISの回転動力が前進7速変速段に変速が行われて、第8軸TM8を介して出力される。
前進8速変速段D8では、第1、第4クラッチC1、C4と第1ブレーキB1が同時に作動する。これにより、第7軸TM7と第8軸TM8とが第1クラッチC1の作動により相互連結され、第3軸TM3と第7軸TM7とが第4クラッチC4の作動により相互連結された状態で、入力軸ISの回転動力が第2入力軸TM2を介して入力され、第1軸TM1が第1ブレーキB1の作動により固定要素として作動する。したがって、入力軸ISの回転動力が前進8速変速段に変速が行われて、第8軸TM8を介して出力される。
【0031】
前進9速変速段D9では、第3、第4クラッチC3、C4と第1ブレーキB1が同時に作動する。これにより、第2軸TM2と第4軸TM4とが第3クラッチC3の作動により相互連結され、第3軸TM3と第7軸TM7とが第4クラッチC4の作動により相互連結された状態で、入力軸ISの回転動力が第2入力軸TM2を介して入力され、第1軸TM1が第1ブレーキB1の作動により固定要素として作動する。したがって、入力軸ISの回転動力が前進9速変速段に変速が行われて、第8軸TM8を介して出力される。
前進10速変速段D10では、第2、第4クラッチC2、C4と第1ブレーキB1が同時に作動する。これにより、第2軸TM2と第5軸TM5とが第2クラッチC2の作動により相互連結され、第3軸TM3と第7軸TM7とが第4クラッチC4の作動により相互連結された状態で、入力軸ISの回転動力が第2入力軸TM2を介して入力され、第1軸TM1が第1ブレーキB1の作動により固定要素として作動する。したがって、入力軸ISの回転動力が前進10速変速段に変速が行われて、第8軸TM8を介して出力される。
【0032】
後進変速段REVでは、第4クラッチC4と第2、第3ブレーキB2、B3が同時に作動する。これにより、第3軸TM3と第7軸TM7とが第4クラッチC4の作動により相互連結された状態で、入力軸ISの回転動力が第2入力軸TM2を介して入力され、第6軸TM6、第4軸TM4がそれぞれ第2、第3ブレーキB2、B3の作動により固定要素として作動する。したがって、入力軸ISの回転動力が後進変速段に変速が行われて、第8軸TM8を介して出力される。
【0033】
図3は、本発明の第1実施形態に係る遊星ギヤトレインに適用される制御要素の変速段別の他の作動表である。
つまり、図3に示したとおり、本発明の第1実施形態に係る遊星ギヤトレインは、1つの後進変速段と11個の前進変速段を実現することができる。
つまり、第3、第4クラッチC3、C4と第2ブレーキB2が同時に作動して実現される変速段を新たな前進1速変速段D1とし、図2の前進1速変速段から前進10速変速段D1〜D10を新たな前進2速変速段から前進11速変速段D2〜D11に設定することができる。前進2速変速段から前進11速変速段D2〜D11における変速過程は上述したので、ここでは、前進1速変速段D1への変速過程のみ説明する。
図3において、前進1速変速段D1では、第3、第4クラッチC3、C4と第2ブレーキB2が同時に作動する。第2軸TM2と第4軸TM4とが第3クラッチC3の作動により相互連結され、第3軸TM3と第7軸TM7とが第4クラッチC4の作動により相互連結された状態で、入力軸ISの回転動力が第2軸TM2に入力され、第6軸TM6が第2ブレーキB2の作動により固定要素として作動する。したがって、入力軸ISの回転動力が前進1速変速段に変速が行われて、第8軸TM8を介して出力される。
【0034】
図4は、本発明の第2実施形態に係る遊星ギヤトレインの構成図である。
本発明の第1実施形態に係る遊星ギヤトレインでは、遊星ギヤセットが、エンジン側から、第2遊星ギヤセットPG2、第1遊星ギヤセットPG1、第3遊星ギヤセットPG3、第4遊星ギヤセットPG4の順に配置されているが、第2実施形態に係る遊星ギヤトレインでは、図4に示したとおり、遊星ギヤセットが、エンジン側から、第1遊星ギヤセットPG1、第2遊星ギヤセットPG2、第3遊星ギヤセットPG3、第4遊星ギヤセットPG4の順に配置されたという相違がある。
しかし、遊星ギヤセットの回転要素間の連結関係および制御要素の作動は同一であるので、第2実施形態の遊星ギヤトレインは、第1実施形態の遊星ギヤトレインと同様の変速段および変速過程を実現する。
【0035】
図5は、本発明の第3実施形態に係る遊星ギヤトレインの構成図である。
図5に示したとおり、本発明の第1実施形態に係る遊星ギヤトレインでは、遊星ギヤセットが、エンジン側から、第2遊星ギヤセットPG2、第1遊星ギヤセットPG1、第3遊星ギヤセットPG3、第4遊星ギヤセットPG4の順に配置されているが、第3実施形態に係る遊星ギヤトレインでは、遊星ギヤセットが、エンジン側から、第1遊星ギヤセットPG1、第2遊星ギヤセットPG2、第4遊星ギヤセットPG4、第3遊星ギヤセットPG3の順に配置されたという相違がある。
しかし、遊星ギヤセットの回転要素間の連結関係および制御要素の作動は同一であるので、第3実施形態の遊星ギヤトレインは、第1実施形態の遊星ギヤトレインと同様の変速段および変速過程を実現する。
【0036】
図6は、本発明の第4実施形態に係る遊星ギヤトレインの構成図であり、図7は、本発明の第5実施形態に係る遊星ギヤトレインの構成図である。
図6図7に示したとおり、本発明の第1実施形態に係る遊星ギヤトレインでは、遊星ギヤセットが、エンジン側から、第2遊星ギヤセットPG2、第1遊星ギヤセットPG1、第3遊星ギヤセットPG3、第4遊星ギヤセットPG4の順に配置されているが、第4、第5実施形態に係る遊星ギヤトレインでは、遊星ギヤセットが、エンジン側から、第1遊星ギヤセットPG1、第2遊星ギヤセットPG2、第3遊星ギヤセットPG3、第4遊星ギヤセットPG4の順に配置されたという相違がある。
しかし、遊星ギヤセットの回転要素間の連結関係および制御要素の作動は同一であるので、第4、第5実施形態の遊星ギヤトレインは、第1実施形態の遊星ギヤトレインと同様の変速段および変速過程を実現する。
【0037】
本発明の第1から第5実施形態に係る遊星ギヤトレインは、4個の遊星ギヤセットPG1、PG2、PG3、PG4を、4個のクラッチC1、C2、C3、C4と3個のブレーキB1、B2、B3の作動制御により、少なくとも10個の前進変速段と1個の後進変速段を実現することができる。
また、10.0以上の変速比幅が確保されるので、エンジンの運転効率を極大化することができる。
さらに、高効率多段化により段間比の線形性を確保することで、変速前/後の加速度、およびエンジン速度のリズム感などの運転性を向上させることができる。
なお、高段(前進7速または8速変速段以上)の前進変速段で走行の際、停止した状態で負荷を受ける遊星キャリアがないようにすることで、円滑な潤滑によりピニオンギヤに連結されるピニオンシャフトの耐久性能を維持することができる。
【0038】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されず、本発明の実施形態から当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって容易に変更されて均等と認められる範囲のすべての変更を含む。
【符号の説明】
【0039】
B1:第1ブレーキ
B2:第2ブレーキ
B3:第3ブレーキ
C1:第1クラッチ
C2:第2クラッチ
C3:第3クラッチ
C4:第4クラッチ
D1:前進1速変速段
D2:前進2速変速段
D3:前進3速変速段
D4:前進4速変速段
D5:前進5速変速段
D6:前進6速変速段
D7:前進7速変速段
D8:前進8速変速段
D9:前進9速変速段
D10:前進10速変速段
D11:前進11速変速段
H:変速機ハウジング
IS:入力軸
N:ニュートラル
OS:出力軸
P1:第1ピニオンギヤ
P2:第2ピニオンギヤ
P3:第3ピニオンギヤ
P4:第4ピニオンギヤ
PC1:第1遊星キャリア(N2:第2回転要素)
PC2:第2遊星キャリア(N5:第5回転要素)
PC3:第3遊星キャリア(N8:第8回転要素)
PC4:第4遊星キャリア(N11:第11回転要素)
PG1:第1遊星ギヤセット
PG2:第2遊星ギヤセット
PG3:第3遊星ギヤセット
PG4:第4遊星ギヤセット
R1:第1リングギヤ(N3:第3回転要素)
R2:第2リングギヤ(N6:第6回転要素)
R3:第3リングギヤ(N9:第9回転要素)
R4:第4リングギヤ(N12:第12回転要素)
REV:後進変速段
S1:第1サンギヤ(N1:第1回転要素)
S2:第2サンギヤ(N4:第4回転要素)
S3:第3サンギヤ(N7:第7回転要素)
S4:第4サンギヤ(N10:第10回転要素)
TM1:第1軸
TM2:第2軸
TM3:第3軸
TM4:第4軸
TM5:第5軸
TM6:第6軸
TM7:第7軸
TM8:第8軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7