(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6652910
(24)【登録日】2020年1月28日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】軌道試験装置
(51)【国際特許分類】
G01N 3/34 20060101AFI20200217BHJP
G01M 17/10 20060101ALI20200217BHJP
【FI】
G01N3/34 Z
G01M17/10
【請求項の数】18
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-241817(P2016-241817)
(22)【出願日】2016年12月14日
(65)【公開番号】特開2018-96853(P2018-96853A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2019年3月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】特許業務法人 インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120237
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 良規
(72)【発明者】
【氏名】田中 博文
【審査官】
萩田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭53−001074(JP,A)
【文献】
特開2004−025989(JP,A)
【文献】
特開2012−077506(JP,A)
【文献】
特開2009−063337(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0042720(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/00 − 3/62
G01M 17/00 −17/10
B61K 9/08 − 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円周状に構築されたピットの内側面に沿ってレール締結装置およびまくらぎを介して敷設されたレールと、前記ピット内を垂直な回転軸を中心として水平回転するロータと、前記ロータに取り付けられたアームに水平に取り付けられた、前記レール上を転動する車輪と、車輪に定常横圧を付与する定常横圧付加手段と、前記レールに定常輪重を付加する定常輪重付加手段とを備えた軌道試験装置において、
前記車輪に変動輪重・横圧を負荷する変動輪重・横圧付加手段が設置されていることを特徴とする軌道試験装置。
【請求項2】
前記変動輪重・横圧付加手段は、前記アームに設置されていることを特徴とする、請求項1に記載の軌道試験装置。
【請求項3】
前記レールに輪重・横圧測定ゲージおよびレール変位センサが設置され、前記レール、前記まくらぎおよび前記ピットの側壁内部に加速度センサが設置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の軌道試験装置。
【請求項4】
前記車輪に輪重・横圧測定ゲージが設置され、前記車輪の回転軸を支持する軸箱支持装置に加速度センサが設置されていることを特徴とする、請求項1から3の何れか1つに記載の軌道試験装置。
【請求項5】
前記定常横圧付加手段は、前記回転軸に取り付けられ、前記ロータを介して前記車輪に定常横圧を付与することを特徴とする、請求項1から4の何れか1つに記載の軌道試験装置。
【請求項6】
前記定常横圧付加手段は、重錘または油圧装置からなることを特徴とする、請求項5に記載の軌道試験装置。
【請求項7】
前記定常輪重付加手段は、前記ロータに取り付けられた油圧装置からなることを特徴とする、請求項1から6の何れか1つに記載の軌道試験装置。
【請求項8】
前記変動輪重・横圧付加手段は、コンピュータシミュレーションと加振機構とをリンクさせたHILS制御による加振機により前記車輪に変動輪重・横圧を付加することを特徴とする、請求項1から7の何れか1つに記載の軌道試験装置。
【請求項9】
前記変動輪重・横圧付加手段は、電動油圧装置または不平衡重錘による強制加振機により前記車輪に変動輪重・横圧を負荷することを特徴とする、請求項1から7の何れか1つに記載の軌道試験装置。
【請求項10】
前記車輪は、前記ロータの両端部に取り付けられた前記アームに取り付けられていることを特徴とする、請求項1から9の何れか1つに記載の軌道試験装置。
【請求項11】
一方の前記車輪のフランジを上に、他方の前記車輪のフランジを下にして取り付けられていることを特徴とする、請求項10に記載の軌道試験装置。
【請求項12】
前記車輪の上下の位置とレールに対する角度は、個別に調整可能になっていることを特徴とする、請求項10または11に記載の軌道試験装置。
【請求項13】
前記車輪は、前記ロータの一方の端部に取り付けられた前記アームに一対、取り付けられ、前記ロータの他方の端部には、釣合い錘が取り付けられていることを特徴とする、請求項1から9の何れか1つに記載の軌道試験装置。
【請求項14】
前記アームに一対、取り付けられた前記車輪の間隔は、可変であることを特徴とする、請求項13に記載の軌道試験装置。
【請求項15】
前記車輪の上下の位置とレールに対する角度は、調整可能になっていることを特徴とする、請求項13または14に記載の軌道試験装置。
【請求項16】
前記車輪は、前記ロータの一方の端部に取り付けられた一対の前記アームの各々に取り付けられ、前記ロータの他方の端部には、釣合い錘が取り付けられていることを特徴とする、請求項1から9の何れか1つに記載の軌道試験装置。
【請求項17】
一対の前記アームの各々に取り付けられ前記車輪の間隔は、可変であることを特徴とする、請求項16に記載の軌道試験装置。
【請求項18】
前記車輪の上下の位置とレールに対する角度は、調整可能になっていることを特徴とする、請求項16または17に記載の軌道試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、軌道試験装置、特に、鉄道の軌道を構成するレール、レール締結装置、まくらぎ、および、これらの間に介在する弾性材やこれらに付帯する軌道部材を、軌道の支持剛性の影響を考慮した動的な条件下で性能評価することができるとともに、軌道上を走行する鉄道車両の台車を構成する車輪等の性能評価をすることができる軌道試験装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の軌道試験装置(以下、従来技術という。)には、以下に説明する従来技術AからFのようなものがあった。
【0003】
従来技術Aは、円周状に敷設された軌道のレール上を車輪を転動させて、車輪とレールの転がり接触を装置内で再現して、軌道に生じる損傷の発生原因の解明や信頼性の高いレールの開発を目的とした高速軌道試験機である(非特許文献1参照)。従来技術Aは、この発明に類似するので、図面を参照しながらさらに説明する。
【0004】
図7は、従来技術Aを示す平面図、
図8は、従来技術Aを示す断面図である。
【0005】
図7、
図8において、21は、円周状に構築されたピット22の内側面に沿ってまくらぎ23を介して敷設されたレール、24は、ピット22内をモータ25により垂直な回転軸26を中心として水平回転するロータ、27は、ロータ24の両端部に取り付けられたアーム28に水平に取り付けられた、レール21上を転動する車輪、29は、ロータ24をアーム28と共に上下動させて、車輪27に定常横圧を付加する横圧付加手段としての油圧シリンダ、30は、アーム28を傾動させて車輪27に定常輪重を付加する輪重付加手段としての油圧シリンダ、31は、レール21の一部に散水する散水ノズルである。なお、レール21とまくらぎ23との間に存在するレール締結装置は、図示されていない。
【0006】
従来技術Aによれば、モータ25によりロータ24を回転軸26を中心としてアーム28と共に回転させて、レール21上を車輪27を転動させ、車輪27に横圧および輪重を横圧用油圧シリンダ29および輪重用油圧シリンダ30により付加することによって、車輪27とレール21の転がり接触を実験室的にシミュレートすることができる。
【0007】
従来技術Bは、レール輪と車輪とを接触させて転動させて、2物体間の摩耗特性や転がり疲労特性を評価する2円筒転がり接触試験機である。
【0008】
従来技術Cは、主に弾性材等の軌道部材の動的な特性を評価する高周波動特性試験機である。
【0009】
従来技術Dは、レール締結装置の実物を用いて、列車荷重を模して動的な条件下で主に疲労特性を評価するレール締結装置用四軸疲労試験機である。
【0010】
従来技術Eは、実物大の軌道模型を用いて、軌道の動的な挙動を把握する総合路盤試験装置である。
【0011】
従来技術Fは、実物大の車両を用いて、軌条輪(レール輪)上で高速走行し、車両の挙動を再現し、検証する高速車両試験台である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】日本機械学会論文集51巻461号291頁から295頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従来技術Bによれば、レールおよび車輪の要素レベルの試験しか行うことができず、しかも、軌道の支持剛性の影響を考慮した動的な条件下での試験は行えない。
【0014】
従来技術Cによれば、弾性材等の軌道部材の要素レベルの試験しか行うことができず、しかも、レールと車輪の摩耗に伴う現象を再現することができない。
【0015】
従来技術Dによれば、レール締結装置は、定盤の上に固定されるため、軌道の支持構造の影響を考慮した動的な条件下での試験は行えない。しかも、レールと車輪の摩耗に伴う現象を再現することができない。
【0016】
従来技術Eによれば、レールと車輪の接触による摩耗の影響や、軌道と車両のばね下質量の相互作用による共振現象は再現することができない。
【0017】
従来技術Fによれば、軌道は、軌条輪(レール輪)として構成されているので、軌道に着目して、軌道の支持剛性の影響を考慮した動的な評価は行えない。
【0018】
従来技術Aによれば、従来技術BからFの有する問題点を部分的に解決することはできるが、従来技術Aは、レール21の摩耗や損傷状況の解明を主目的としたものであり、鉄道の軌道を構成するレール、レール締結装置、まくらぎ、および、これらの間に介在する弾性材やこれらに付帯する軌道部材を、軌道の支持剛性の影響を考慮した条件下で性能評価することはできなかった。
【0019】
また、従来技術Aによれば、車輪26に与える加振力が定常成分しか設定することができないので、動的な荷重変動の影響を考慮することはできなかった。
【0020】
従って、この発明の目的は、鉄道の軌道を構成するレール、レール締結装置、まくらぎ、および、これらの間に介在する弾性材やこれらに付帯する軌道部材を、軌道の支持剛性の影響を考慮した動的な条件下で性能評価することができるとともに、軌道上を走行する鉄道車両の台車を構成する車輪等の性能評価をすることができる軌道試験装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この発明は、上記目的を達成すべくなされたものであって、下記を特徴とするものである。
【0022】
請求項1に記載の発明は、円周状に構築されたピットの内側面に沿ってレール締結装置およびまくらぎを介して敷設されたレールと、前記ピット内を垂直な回転軸を中心として水平回転するロータと、前記ロータに取り付けられたアームに水平に取り付けられた、前記レール上を転動する車輪と、車輪に定常横圧を付与する定常横圧付加手段と、前記レールに定常輪重を付加する定常輪重付加手段とを備えた軌道試験装置において、前記車輪に変動輪重・横圧を負荷する変動輪重・横圧付加手段が設置されていることに特徴を有するものである。
【0023】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記変動輪重・横圧付加手段は、前記アームに設置されていることに特徴を有するものである。
【0024】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記レールに輪重・横圧測定ゲージおよびレール変位センサが設置され、前記レール、前記まくらぎおよび前記ピットの側壁内部に加速度センサが設置されていることに特徴を有するものである。
【0025】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3の何れか1つに記載の発明において、前記車輪に輪重・横圧測定ゲージが設置され、前記車輪の回転軸を支持する軸箱支持装置に加速度センサが設置されていることに特徴を有するものである。
【0026】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4の何れか1つに記載の発明において、前記定常横圧付加手段は、前記回転軸に取り付けられ、前記ロータを介して前記車輪に定常横圧を付与することに特徴を有するものである。
【0027】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記定常横圧付加手段は、重錘または油圧装置からなることに特徴を有するものである。
【0028】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6の何れか1つに記載の発明において、前記定常輪重付加手段は、前記ロータに取り付けられた油圧装置からなることに特徴を有するものである。
【0029】
請求項8に記載の発明は、請求項1から7の何れか1つに記載の発明において、前記変動輪重・横圧付加手段は、コンピュータシミュレーションと加振機構とをリンクさせたHILS制御による加振機により前記車輪に変動輪重・横圧を付加することに特徴を有するものである。
【0030】
請求項9に記載の発明は、請求項1から7の何れか1つに記載の発明において、前記変動輪重・横圧付加手段は、電動油圧装置または不平衡重錘による強制加振機により前記車輪に変動輪重・横圧を負荷することに特徴を有するものである。
【0031】
請求項10に記載の発明は、請求項1から9の何れか1つに記載の発明において、前記車輪は、前記ロータの両端部に取り付けられた前記アームに取り付けられていることに特徴を有するものである。
【0032】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の発明において、一方の前記車輪のフランジを上に、他方の前記車輪のフランジを下にして取り付けられていることに特徴を有するものである。
【0033】
請求項12に記載の発明は、請求項10または11に記載の発明において、前記車輪の上下の位置とレールに対する角度は、個別に調整可能になっていることに特徴を有するものである。
【0034】
請求項13に記載の発明は、請求項1から9の何れか1つに記載の発明において、前記車輪は、前記ロータの一方の端部に取り付けられた前記アームに一対、取り付けられ、前記ロータの他方の端部には、釣合い錘が取り付けられていることに特徴を有するものである。
【0035】
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の発明において、前記アームに一対、取り付けられた前記車輪の間隔は、可変であることに特徴を有するものである。
【0036】
請求項15に記載の発明は、請求項13または14に記載の発明において、前記車輪の上下の位置とレールに対する角度は、個別に調整可能になっていることに特徴を有するものである。
【0037】
請求項16に記載の発明は、請求項1から9の何れか1つに記載の発明において、前記車輪は、前記ロータの一方の端部に取り付けられた一対の前記アームの各々に取り付けられ、前記ロータの他方の端部には、釣合い錘が取り付けられていることに特徴を有するものである。
【0038】
請求項17に記載の発明は、請求項16に記載の発明において、一対の前記アームの各々に取り付けられ前記車輪の間隔は、可変であることに特徴を有するものである。
【0039】
請求項18に記載の発明は、請求項16または17に記載の発明において、前記車輪の上下の位置とレールに対する角度は、調整可能になっていることに特徴を有するものである。
【発明の効果】
【0040】
この発明によれば、鉄道の軌道を構成するレール、レール締結装置、まくらぎ、および、これらの間に介在する弾性材やこれらに付帯する軌道部材を、軌道の支持剛性の影響を考慮した動的な条件下で性能評価することができるとともに、軌道上を走行する鉄道車両の台車を構成する車輪等の性能評価をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】この発明の軌道試験装置の一実施形態を示す平面図である。
【
図2】この発明の軌道試験装置の一実施形態を示す断面図である。
【
図3】この発明の軌道試験装置の他の実施形態を示す平面図である。
【
図4】この発明の軌道試験装置の他の実施形態を示す断面図である。
【
図5】この発明の軌道試験装置のさらに他の実施形態を示す平面図である。
【
図6】この発明の軌道試験装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
この発明の軌道試験装置の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0043】
図1は、この発明の軌道試験装置の一実施形態を示す平面図、
図2は、この発明の軌道試験装置の一実施形態を示す断面図である。
【0044】
図1、
図2において、1は、円周状に構築されたピット2の内側面に沿ってまくらぎ3を介して敷設されたレールである。レール1は、レール締結装置(図示せず)によってまくらぎ3に固定されている。4は、ピット2内をモータ5により垂直な回転軸6を中心として水平回転するロータ、7は、ロータ4の両端部に取り付けられたアーム8に水平に取り付けられた、レール1上を転動する車輪、9は、ロータ4をアーム8と共に上下動させて、車輪7に定常横圧を付加する定常横圧付加手段としての重錘、10は、アーム8を介して車輪7に定常輪重を付加する定常輪重付加手段としての油圧装置である。なお、まくらぎ3は、ピット2の内側面に直接、固定してもよいし、弾性材を介して弾性支持してもよい。
【0045】
11は、アーム8に設置された、車輪7に変動輪重・横圧を負荷する変動輪重・横圧付加手段である。変動輪重・横圧付加手段11としては、コンピュータシミュレーションと加振機構とをリンクさせたHILS(Hardware In the Loop Simulation)制御による加振機により車輪7に変動輪重・横圧を付加するもの、あるいは、電動油圧装置または不平衡重錘による強制加振機による強制加振により車輪7に変動輪重・横圧を付加するものである。12は、レール1に設置された輪重・横圧測定ゲージ、13は、レール1に設置されたレール変位センサ、14は、レール1、まくらぎ3およびピット2の側壁内部に設置された加速度センサ、15は、車輪7に設置された輪重・横圧測定ゲージ、16は、車輪7の回転軸(軸輪)を支持する軸箱支持装置19に設置された加速度センサ、17は、レール1の一部に散水する散水ノズルである。水に代えて油を塗布することもできる。
【0046】
このように構成されている、この発明の軌道試験装置によれば、変動輪重・横圧付加手段11が設置されているとともに、輪重・横圧測定ゲージ12、レール変位センサ13が設置されているので、あたかも実軌道上を実台車が走行している状態を模擬可能となり、しかも、鉄道の軌道を構成するレール、レール締結装置、まくらぎ、および、これらの間に介在する弾性材やこれらに付帯する軌道部材を、軌道の支持剛性の影響を考慮した動的な条件下で性能評価することができ、しかも、軌道上を走行する車両の台車を構成する車輪7等の性能評価をすることもできる。
【0047】
また、軸箱支持装置19に加速度センサ16を取り付けることによって、軸箱加速度を測定し、実際の輪重・横圧変動を評価することができる(
図1参照)。
【0048】
なお、レール締結装置、まくらぎ3、および、これらの間に介在させる弾性材やこれらに付帯する軌道部材を装置内に設置し、これらを交換することによって、その性能を評価することも可能である。
【0049】
さらに、試験装置の各部に設置した各種センサは、装置の異常を検出し、装置を自動停止させることに用いることもできる。
【0050】
なお、
図1、
図2において、アーム8に設置された、車輪7は、何れも、フランジを上にして取り付けられているが、一方の車輪7のフランジを上に、他方の車輪7のフランジを下にして取り付けても良い。これによって、レール頭部の両方の角部(ゲージコーナー)でレール1と車輪7を接触させることが可能となるので、曲線走行中の台車における内軌側と外軌側での、レール1と車輪7の接触点の違いについて設定し、台車の走行状態を模擬することができる。
【0051】
また、
図1、
図2において、アーム8に設置された、車輪7の上下の位置とレールに対する角度を個別に調整可能にしても良い。これによって、曲線走行中の台車における前軸と後軸での、レール1と車輪7の接触点の違い、すなわち、台車の前後軸それぞれの輪軸左右変位とアタック角を設定し、台車の走行状態を模擬することができる。
【0052】
この発明の軌道試験装置の他の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0053】
図3は、この発明の軌道試験装置の他の実施形態を示す平面図、
図4は、この発明の軌道試験装置の他の実施形態を示す断面図である。
【0054】
図3、
図4において、
図1、
図2におけると同一番号は、同一物を示し、説明は省略する。
図1、
図2の軌道試験装置と異なる点は、
図1、
図2の軌道試験装置では、ロータ4の両端部に取り付けられたアーム8に車輪7が取り付けられているのに対して、
図3、
図4の軌道試験装置では、ロータ4の一方の端部に取り付けられたアーム8に車輪7が一対、取り付けられ、ロータ4の他方の端部には、釣合い錘18が取り付けられている点にある。
【0055】
図3、
図4に示す軌道試験装置によれば、
図1、
図2に示す軌道試験装置の有する効果の他、台車の走行状態を直接模擬することができる。また、車輪7の間隔を可変とすれば、輪軸間の距離(軸距)の影響も検討することができる。
【0056】
また、
図3、
図4において、アーム8に設置された、車輪7の上下の位置とレールに対する角度を調整可能としても良い。これによって、曲線走行中の台車における前軸と後軸での、レール1と車輪7の接触点の違い、すなわち、台車の前後軸それぞれの輪軸左右変位とアタック角を設定し、台車の走行状態を模擬することができる。
【0057】
この発明の軌道試験装置のさらに他の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0058】
図5は、この発明の軌道試験装置のさらに他の実施形態を示す平面図、
図6は、この発明の軌道試験装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【0059】
図5、
図6において、
図1、
図2におけると同一番号は、同一物を示し、説明は省略する。
図1、
図2の軌道試験装置と異なる点は、
図1、
図2の軌道試験装置では、ロータ4の両端部に取り付けられたアーム8に車輪7が取り付けられているのに対して、
図5、
図6の軌道試験装置では、ロータ4の一方の端部に取り付けられた一対のアーム8の各々に車輪7が取り付けられ、ロータ4の他方の端部には、釣合い錘18が取り付けられている点にある。
【0060】
図5、
図6に示す軌道試験装置によれば、
図1、
図2に示す軌道試験装置の有する効果の他、車輪7の間隔を可変とすれば、輪軸間の距離の影響も検討することができる。
【0061】
また、
図5、
図6において、アーム8に設置された、車輪7の上下の位置とレールに対する角度を個別に調整可能としても良い。これによって、曲線走行中の台車における前軸と後軸での、レール1と車輪7の接触点の違い、すなわち、台車の前後軸それぞれの輪軸左右変位とアタック角を設定し、台車の走行状態を模擬することができる。
【0062】
以上、説明したように、この発明によれば、変動輪重・横圧付加手段11が設置されているとともに、レール1に輪重・横圧測定ゲージ12およびレール変位センサ13が設置され、レール1、まくらぎ3およびピット2の側壁内部に加速度センサ14が設置され、車輪7に輪重・横圧測定ゲージ15が設置され、軸箱支持装置19に加速度センサ16が設置されているので、あたかも実軌道上を実台車が走行している状態を模擬可能となり、しかも、鉄道の軌道を構成するレール、レール締結装置、まくらぎ、および、これらの間に介在する弾性材やこれらに付帯する軌道部材を、レール1の支持剛性の影響を考慮した動的な条件下で性能評価することができ、しかも、軌道上を走行する鉄道車両の台車を構成する車輪7等の性能評価をすることもできる。
【符号の説明】
【0063】
1:レール
2:ピット
3:まくらぎ
4:ロータ
5:モータ
6:回転軸
7:車輪
8:アーム
9:重錘
10:油圧装置
11:変動輪重・横圧付加手段
12:輪重・横圧測定ゲージ(レール用)
13:レール変位センサ
14:加速度センサ(レール、まくらぎ、ピット側壁用)
15:輪重・横圧測定ゲージ(車輪用)
16:加速度センサ(軸箱用)
17:散水ノズル
18:釣合い錘
19:軸箱支持装置
21:レール
22:ピット
23:まくらぎ
24:ロータ
25:モータ
26:回転軸
27:車輪
28:アーム
29:油圧装置
30:油圧装置
31:散水ノズル