(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コイルを印刷するステップは、平らな渦巻コイルを印刷するステップを含み、該平らな渦巻コイル上を横断するリード線の一部が、前記絶縁層によって該平らな渦巻コイルから分離されるように、該絶縁層上に該平らな渦巻コイルの一端に接続される該リード線を印刷するステップを更に有する請求項1記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0007】
添付の図面は、必ずしも一定の比率ではなく、図の特定の特徴及び特定の面が、明確さ及び簡潔さのため、比率において誇張されて図示されている場合があり、または概略的に図示されている場合がある。
【0008】
図1は「寄生デバイス」2及び「ホストデバイス」4を伴うワイヤレス充電システム10の図である。「寄生デバイス」という用語は、ワイヤレス充電システム10を介して電力を受け取ろうとするデバイスを示すために使用され、「ホストデバイス」という用語は、ワイヤレス充電システム10を介して電力を提供しようとするデバイスを示すために使用される。一般に、ホストデバイス4は電源を有し、その電源は寄生デバイス内のバッテリよりも大きな容量のバッテリ形態でも、電源コンセントへの接続形態でもよい。説明のため、寄生デバイス2は、スマートフォン、ポータブルメディアプレーヤ、ウェアラブルデバイス、またはタブレット等のハンドヘルドデバイスでもよく、ホストデバイス4は、ポータブルコンピュータまたはポータブル二次電池内蔵電源等のポータブルデバイスでもよい。ワイヤレス充電システム10は、ホストデバイス4上に取り付けられたワイヤレス充電トランスミッタデバイス12と、寄生デバイス2上に取り付けられたワイヤレス充電レシーバデバイス14とを含む。ワイヤレス充電トランスミッタデバイス12とワイヤレス充電レシーバデバイス14が各自の取り付け位置にあれば、ホストデバイス4からの電力を用いて寄生デバイス2を誘導的に充電することが可能になる。
【0009】
図2aから
図2cは、ホストデバイス4上にワイヤレス充電トランスミッタデバイス12を取り付ける様々な例を示し、
図3a及び
図3bは、寄生デバイス2上にワイヤレス充電レシーバデバイス14を取り付ける二つの例を示す。
図2aでは、ホストデバイス4はポータブルコンピュータ4aであり、ワイヤレス充電トランスミッタデバイス12は、ポータブルコンピュータ4aのトップカバー12aとして使用されている。
図2bでは、ホストデバイス4はポータブルコンピュータ4bであり、ワイヤレス充電トランスミッタデバイス12は、ポータブルコンピュータ4bのパームレストカバー12bとして使用されている。
図2cでは、ホストデバイス4はポータブル二次電池内蔵電源(即ちバッテリパック)4cであり、ワイヤレス充電トランスミッタデバイス12は、ポータブル二次電池内蔵電源4cのトップカバー12cとして使用されている。
図3aでは、寄生デバイス2はスマートフォン2aであり、ワイヤレス充電レシーバデバイス14は、スマートフォン2aのバックカバー14aとして使用されている。
図3bでは、寄生デバイス2はスマートウォッチ2bであり、ワイヤレス充電レシーバデバイス14は、バックカバー14bとして使用されている。このように、ワイヤレス充電トランスミッタデバイス12とワイヤレス充電レシーバデバイス14のフォームファクタは、夫々、ホストデバイス4と寄生デバイス2上の取り付け箇所に適合するように選択できる。
【0010】
図4a及び
図4bは、例示的な一実施形態に係るワイヤレス充電トランスミッタデバイス12の層構造体を示す。これらの図では、ワイヤレス充電トランスミッタデバイス12は基板16を含み、この基板16は、一実施形態においてガラスまたはガラスセラミック製である。基板16は、ワイヤレス充電トランスミッタデバイス12の所望のフォームファクタによって、またはワイヤレス充電トランスミッタデバイス12によって被覆されるべきホストデバイスのエリアによって決まるカバー形状及びサイズを有する。基板16の内表面20上には装飾層18が施される。装飾層18上にはトランスミッタコイル22が施される。場合によっては、装飾層18は省略してもよく、それにより、トランスミッタコイル22は、装飾層18を介さず基板16の内表面20上に施される。
図4bに示す実施形態では、トランスミッタコイル22は、平らな渦巻コイル22aを有する。渦巻コイル22aの両端はリード線22b、22cに接続され、リード線22b、22cは、電気コンタクト28、29に接続している。トランスミッタコイル22上には絶縁層24が施され、絶縁層24上には、電磁干渉(EMI)吸収体層26が施される。EMI吸収体層26は、トランスミッタコイル22のエリア全体を被覆すべきである。
【0011】
図5aは、「ホスト」ワイヤレス充電制御回路30へのリード線22b、22cの接続を示す。ホストワイヤレス充電制御回路30は、「ホスト」電源31に接続される。「ホスト」という用語は、ワイヤレス充電制御回路30と電源31をホストデバイスに関連付けることを意図している。(
図5aでは、トランスミッタコイル22とワイヤレス充電制御回路30との間の接続に焦点を当てるために、EMI吸収体層、絶縁層、装飾層、及び基板は図示されていない。)
図5bは、
図5aのブリッジエリア5bにおける層構造体を示す。
図5bでは、トランスミッタコイル22のリード線22bは、絶縁層24上に印刷されてもよい。その場合、他の絶縁層24aがリード線22b上に施されてもよい。残りの層は、
図4a及び
図4bに関して説明されている通りである。
図5aに戻ると、ホストワイヤレス充電制御回路30は、ホスト電源31から電圧を受け、受けた電圧を高周波の交流電流(AC)に変換し、この電流は、トランスミッタコイル22にパルスを発生させるために使用される。高周波は、例えば、100KHzから200KHzでもよい。このACがトランスミッタコイル22を流れる時、トランスミッタコイル22の周囲には電磁界が生成される。電磁界の大きさ及び方向は、トランスミッタコイル22の形状と、トランスミッタコイル22を流れるACの方向及び大きさによって決まる。ワイヤレス充電制御回路30は、例えば、電力増幅器30a及びインピーダンス変換器30bを含んでもよい。一般に、ワイヤレス充電ホスト制御回路30は、ホスト電源31から受けた電圧を高周波のACに変換し、トランスミッタコイル22にパルスを発生させる任意の適切な構成を有してよい。
【0012】
図5aは、トランスミッタコイル22が、コネクタ136及びワイヤ149でホストワイヤレス充電制御回路30に接続されてもよいことを示す。一実施形態では、コネクタ136は、トランスミッタコイル22の電気コンタクト28、29と接触するための金属ピン138、140を有する。金属ピン138、140は、各自の長さがコネクタ136の本体に対して調整可能なようにコネクタ136の本体に支持されてもよい。
図6aに示す一実施形態では、コネクタ136の本体は、ピン138を受容する形状を成す空洞142を含む。ピン138の一端は空洞142に受容され、ピン138の他端は空洞142から延出している。空洞142内の支持面143と空洞142に挿入されたピン138の端部との間には、ばね144が装着されている。ピン138の突出長、即ち、ピン138が空洞142から延出する長さは、ばね144が圧縮されていない時に最大であり、ばね144が圧縮されている時は最大未満である。
図6bに示すように、ピン140は、同様に、空洞146内の支持面147と空洞146に挿入されたピン140の端部との間にばね148が装着された状態で、コネクタ136の本体内の空洞146内に支持されてもよい。ばね144、148により、ピン138、140は、トランスミッタコイル22の電気コンタクト28、29(
図5a)と確実に接触するために必要な長さ及び力を有することができる。
【0013】
図7aは、他の一実施形態を示しており、平らな渦巻コイル22aの両端は、リード線には接続されず、電気コンタクト28、29に直接接続している。この場合、金属ピン138a、140a及びワイヤ149a、149bを備えるコネクタ136a、136bを使用してトランスミッタコイル22とワイヤレス充電制御回路30との間を接続することができる。金属ピン138a、140aは、調整可能な長さを有してもよく、金属ピン138、140(
図6a及び6b)に関して上述したように、ばね装填されてもよい。
図7bは、
図7aの接続エリア7bにおける層構造体を示す。絶縁層24及びEMI吸収体層26は、金属ピン138a、140aが電気コンタクト28、29との接触を可能にする孔を含んでもよい。
【0014】
図5a及び
図5bに示すトランスミッタコイルのフォームファクタは、
図2aに示すようなワイヤレス充電トランスミッタデバイスのフォームファクタと共に使用することができる。例えば、
図8aは、ヒンジジョイント158等の旋回可能なジョイントによって接続されたベースハウジング154とカバーハウジング156を備える所謂クラムシェルファクタを有するポータブルコンピュータ150を示す。ベースハウジング154は、プロセッサ、メモリ、バッテリ等の電源、キーボード及びタッチパッド等の入力デバイス、通信デバイス、オーディオデバイス等のコンポーネントを含んでもよい。説明のため、ホストワイヤレス充電制御回路30及びホスト電源31がベースハウジング154内に示されている。カバーハウジング156は、ディスプレイデバイス155及びカメラ157が取り付けられたミッドフレーム(
図8aでは見えない)を含む。ワイヤレス充電トランスミッタカバー12は、カバーハウジング156の外側の外殻を形成するようにミッドフレームの外側即ち図面奥側に取り付けられている。トランスミッタコイル22をホストワイヤレス充電制御回路30に接続するためのコネクタ136は、ヒンジジョイント158に設けられてもよい。
【0015】
図7a及び
図7bに示すトランスミッタコイルのフォームファクタは、
図2bまたは
図2cに示すようなワイヤレス充電トランスミッタデバイスのフォームファクタと共に使用することができる。例えば、
図8bは、
図7a及び
図7bのトランスミッタコイルのフォームファクタを用いたポータブル二次電池内蔵電源180の層構造体を示す。この構造体はワイヤレス充電トランスミッタデバイス12を含み、ワイヤレス充電トランスミッタデバイス12は、基板16、装飾層18、トランスミッタコイル22、絶縁層24、及びEMI吸収体層26を含む。ワイヤレス充電トランスミッタデバイス12とバックハウジング182との間には、ホストワイヤレス充電制御回路30及びホスト電源31がある。コネクタ136a、136b及びワイヤ149a、149bが、ホストワイヤレス充電制御回路30をトランスミッタコイル22に接続している。ホストワイヤレス充電制御回路30は、ホスト電源31にも接続されている。
【0016】
図9a及び
図9bは、一実施形態に係るワイヤレス充電レシーバデバイス14の層構造体を示す。これらの図では、ワイヤレス充電レシーバデバイス14は基板32を含み、基板32は、一実施形態ではガラスまたはガラスセラミック製である。基板32は、ワイヤレス充電レシーバデバイス14の所望のフォームファクタによって、またはワイヤレス充電レシーバデバイス14によって被覆されるべき寄生デバイスのエリアによって決まるカバー形状及びサイズを有する。基板32の内表面36上には装飾層34が施される。装飾層34上にはレシーバコイル38が施される。場合によっては、装飾層34は省略してもよく、それにより、レシーバコイル38が装飾層34を介さず基板32の内表面36上に施される。
図9bに示す実施形態では、レシーバコイル38は、平らな渦巻コイル38aを有し、両端が電気コンタクト44、45に接続している。レシーバコイル38上には絶縁層40が施され、絶縁層40上には、EMI吸収体層42が施される。EMI吸収体層42は、レシーバコイル38のエリア全体を被覆すべきである。或いは、レシーバコイル38は、
図5aのトランスミッタコイルに関して示すようなフォームファクタ、即ち、電気コンタクトに接続するリード線を備えるフォームファクタを有してもよい。
【0017】
図10aは、「寄生」ワイヤレス充電制御回路46へのレシーバコイル38の接続を示しており、「寄生」ワイヤレス充電制御回路46は「寄生」電力ストレージ48に接続されている。寄生電力ストレージ48は、例えば充電式バッテリでもよい。「寄生」という用語は、ワイヤレス充電回路46及び電力ストレージ48を寄生デバイスに関連付けることを意図している。コネクタ136c、136dの金属ピン138b、140bは、夫々、電気コンタクト44、45と接触する。コネクタ136c、136dのワイヤ149c、149dは、寄生ワイヤレス充電制御回路46に接続されている。金属ピン138b、140bは、調整可能な長さを有してもよく、金属ピン138、140に関して上述したように、ばね装填されてもよい。
図10bは、
図10aの接続エリア10bにおける層構造体を示す。この層構造体は、
図7bにおいて上述したものと同様である。
図10aに示すように、寄生ワイヤレス充電制御回路46は、例えば、インピーダンス変換器50、整流器52、及びDC/DCコンバータ54を含んでもよい。(磁界がレシーバコイル内に交流電流を発生させる。従って、レシーバコイルは、ある動作周波数において電流の位相をずらす共振回路が必要である。)一般に、寄生ワイヤレス充電制御回路46は、レシーバコイル38内で発生する交流電流を、寄生電力ストレージ48を充電するための直流電流に変換する任意の適切な構成を有してよい。
【0018】
ワイヤレス充電レシーバデバイス14のレシーバコイル38が、
図1に示すように、ワイヤレス充電トランスミッタデバイス12のトランスミッタコイル22に近接して配置される時、トランスミッタコイル22によって生成される電磁界は、レシーバコイル38内に交流電流を発生させる。(一実施形態では、レシーバコイル38とトランスミッタコイル22は、互いの距離が5mm以内であれば近接しているとみなされる。レシーバコイル38とトランスミッタコイル22が直接接触し、互いの距離が本質的にゼロである時、最高のパフォーマンスが実現される。)寄生ワイヤレス充電制御回路46は、寄生デバイス2の寄生電力ストレージ48を充電するために、この交流電流を直流電流に変換する。電磁界をレシーバコイル38に最も効率的に結合するには、レシーバコイル38とトランスミッタコイル22との間の間隔がゼロであることが理想的である。しかしながら、実際には、レシーバコイル38とトランスミッタコイル22は少なくともガラス基板16(
図4a及び
図4b)、32(
図9a及び
図9b)の厚みだけ離間しているため、ゼロ間隔は起こりえない。例えば、3mmの間隔であれば、0.56の結合係数を有することがあり、1mmの間隔であれば、0.75の結合係数を有することがある。一般に、密な近接とは、コイル間の間隔が3mm以下、好ましくは2mm以下、より好ましくは1.5mm以下であるということを意味してよい。
【0019】
図11は、ワイヤレス充電レシーバデバイス14を組み込んだハンドヘルドデバイス188の図を示す。ハンドヘルドデバイス188は、フロントカバー194を備えるハウジング190と、バックカバーとしてのワイヤレス充電レシーバデバイス14とを有する。ワイヤレス充電レシーバデバイス14の細部は
図11には示されていない。ハウジング190内には集積回路(IC)基板192があり、IC基板192は、寄生ワイヤレス充電制御回路46を含んでもよい。また、ハウジング190内には寄生電力ストレージ(即ちバッテリ)48がある。IC基板192は、寄生ワイヤレス充電制御回路46をワイヤレス充電レシーバデバイス14内のレシーバコイルに結合するために使用されるコネクタ196を有する。
【0020】
装飾層18(例えば、
図4a及び
図4b)、34(例えば、
図9a及び
図9b)は、対象デバイスのディスプレイのブラックマトリクスとして、即ち、当該ワイヤレス充電デバイスがそのディスプレイの背面にてカバーとして使用される場合のブラックマトリクスとして機能することができるように、及び/または、対象デバイスの内部コンポーネントを外から見えないように隠すことができるように、不透明または半透明でもよい。好ましくは、装飾層18、34は、トランスミッタコイル22(例えば、
図4a及び
図4b)とレシーバコイル38(例えば、
図9a及び
図9b)との間でエネルギーを伝送するために用いられる電磁界に対する干渉を回避するように高い電気抵抗を有する非導電層である。装飾層18、34は、任意の望ましい色を有してよい。更に、装飾層18、34は、ロゴ等の一つ以上のグラフィックデザインまたは文字デザインを組み込んでもよい。
【0021】
一実施形態では、装飾層18、34とトランスミッタコイル22及びレシーバコイル38は、インク印刷技術または薄膜技術を用いて、夫々、基板16(例えば
図4a及び
図4b)、32(例えば、
図9a及び
図9b)上に印刷される。印刷ステップ毎に複数の色を印刷することが望ましい場合は、インクジェット印刷またはその他のデジタル印刷技術が用いられてもよい。これらの装飾層のいずれか等の非導電層の印刷のために、シルクスクリーン印刷の代替方法として、非導電性の真空蒸着が使用されてもよい。装飾層18、34とトランスミッタコイル22及びレシーバコイル38は、印刷によって非常に薄くすることができ、例えば、10から180μmの範囲の層厚にすることができる。また、ガラス基板16、32も薄くすることができ、例えば、0.1から1.5mmの厚みにすることができる。これにより、トランスミッタコイル22とレシーバコイル38との間の間隔は、エネルギーの効率的な伝送のために最小にすることができる。また、これにより、ワイヤレス充電トランスミッタデバイス12及びレシーバデバイス14は、夫々、ホストデバイス及び寄生デバイスとの一体化によってホストデバイス及び寄生デバイスの厚みを大きく増加することがないように薄くすることができるようになる。
【0022】
絶縁層24(例えば、
図4a及び
図4b)、24a(
図5b)、40(例えば、
図9a及び
図9b)は、トランスミッタコイル22及びレシーバコイル38を水分、埃、化学物質、及び極端に高いまたは低い温度から保護するために使用される。絶縁層24は、
図5a及び
図5bに示すトランスミッタのフォームファクタにおいて電気的分離のために使用されてもよい。これらの絶縁層のいずれかにおいて用いられる絶縁材料は、一実施形態ではコンフォーマルコーティング材料でもよい。コーティング材料の例としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、またはシリコーン樹脂が挙げられる。これらの絶縁層のいずれかの厚みは、一実施形態では10から200μmの範囲でもよい。
【0023】
EMI吸収体層26、40は、電磁周波数干渉を吸収するために使用される。EMI吸収体層26、40には任意の適切なEMI吸収体が使用されてよい。典型的には、EMI吸収体は、ポリマー樹脂における金属材料フィラーの形態になる。これらの吸収体層のいずれかの厚みは、0.08mmから0.25mmの範囲でもよい。
【0024】
図12は、例示的な一実施形態に係るワイヤレス充電デバイスを製造する処理のブロック図で、このワイヤレス充電デバイスは、ワイヤレス充電トランスミッタデバイス12及びレシーバデバイス14のいずれであってよい。
図12において、56では、基板(
図4bの基板16または
図9aの基板32に対応)は、対象デバイス(ホストデバイスまたは寄生デバイス)の選択エリアを被覆するようにこの対象デバイス上に取り付けるために選択された形状及びサイズを付与される。一般に、この基板は、二次元(2D)のカバー形状、または皿形またはそり形等の三次元(3D)のカバー形状を有してもよい。また、対象デバイス上にこの基板を取り付けるために、この基板は、タブ及びスロット(図示せず)等の取り付け機能部を含んでもよい。
【0025】
一実施形態では、56にて提供される基板はガラス製である。他の実施形態では、この基板はガラスセラミック製である。ガラスまたはガラスセラミック基板は、任意の適切な処理を用いて強化されてもよい。一実施形態では、この基板は、少なくとも200MPaの圧縮応力下にある少なくとも一方の表面と、この基板の厚みの少なくとも1%の層深さ(DOL)を有する圧縮応力層とを有する強化ガラスまたはガラスセラミック製である。
【0026】
この基板ガラスの強化は、イオン交換法によって化学的に、または熱強化法によって行われてもよい。一実施形態では、この強化は、基板ガラスが、200MPaよりも大きい圧縮応力と、15μmよりも深い表面圧縮層深さを備える表面圧縮層を有するようなものである。この深さは、ガラスの表面からガラスの厚み方向へ測定される。好ましくは、この強化は、このガラスが、600MPaよりも大きい圧縮応力と、25μmよりも深い表面圧縮層深さを備える表面圧縮層を有するようなものである。より好ましくは、この強化は、圧縮応力が650MPaよりも大きく、表面圧縮層の深さが30μmから50μmの範囲にあるようなものである。一部の実施形態では、この強化ガラスは、イオン交換法によって強化可能なアルミノシリケートガラスまたはアルミノボロシリケートガラスでもよい。しかし、この強化ガラスは、イオン交換法または熱強化法によって形成されたものに限定されない。この強化ガラスを生成するために、ガラス内に圧縮層を誘発する任意の適切な手段が用いられてよい。
【0027】
58にて、当該処理は、シルクスクリーン印刷を用いて、装飾層(
図4bの装飾層18または
図9bの装飾層40に対応)を印刷することを伴う。この印刷では、非導電性のカラーインク(例えば、ブラック、ホワイト、または他の色)が使用される。この方法は、シルクスクリーン印刷を用いて前記基板の表面(
図4bの内表面20または
図9bの内表面32に対応)上に非導電性のインクを堆積し、その後、そのインクを硬化させることを伴う。装飾層の印刷は、例えば、装飾層が二つ以上のカラーインクを使用する場合は、段階的に行われてもよい。60にて、コイル(
図4bのトランスミッタコイル22または
図9bのレシーバコイル38に対応)及び電気コンタクト(
図4bのコンタクト28、29または
図9bの電気コンタクト44、45に対応)が、同様にシルクスクリーン印刷を用いて装飾層上に印刷され、その後、そのインクを硬化する。このコイル及び電気コンタクトには、銅インクまたは銀インク等の導電性インクが印刷に用いられる。尚、装飾層及びコイルの印刷には、シルクスクリーン印刷以外の他の印刷方法が用いられてもよい。
【0028】
62にて、絶縁材料が、絶縁層(絶縁層24または
図9bの絶縁層40に対応)を形成するために、刷毛塗りまたは吹き付けを用いて、印刷されたコイルの上面に施される。この絶縁層は、シルクスクリーン印刷またはその他の適切な印刷方法によって印刷されてもよい。絶縁材料が硬化された後、64にて、EMI吸収体層(EMI吸収体層26または
図9bのEMI吸収体層42に対応)を形成するために、EMI吸収体材料が絶縁層上に施される。EMI吸収体層は、コイルのエリア全体を被覆すべきである。EMI吸収体材料は、絶縁層に張り付けることができる接着剤を備えるシート状のものでもよい。
図5aに示すコイルのフォームファクタが印刷される場合、ブリッジエリアのリード線(リード線22bに対応)を、コイルに用いられるものと同一のインク及び方法を用いてステップ62の後に絶縁層上に印刷することができ、その後、任意で、そのリード線上に絶縁材料を施し、その後、コイルのエリア全体にEMI吸収体層を施すステップ64を行うことができる。
【0029】
本発明は、限られた数の実施形態に関して説明されたが、本開示の恩恵を受ける当業者には、本明細書に開示された本発明の範囲から逸脱しないその他の実施形態に想到できることが分かるだろう。従って、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ制限されるべきである。
【0030】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0031】
実施形態1
電子デバイス用のワイヤレス充電デバイスを製造する方法であって、
ガラスまたはガラスセラミック製であり、当該電子デバイスのエリアを被覆するように構成された形状及びサイズを有する基板を提供するステップと、
導電性インクを用いて、当該基板の表面上または当該基板の当該表面上の装飾層上にコイルを印刷するステップを有する方法。
【0032】
実施形態2
前記印刷されたコイル上に電磁干渉吸収体層を施すステップを更に有する実施形態1記載の方法。
【0033】
実施形態3
前記印刷されたコイルと前記電磁干渉吸収体層との間に絶縁層を介在させるように、当該電磁干渉吸収体層を施すステップの前に、当該印刷されたコイル上に当該絶縁層を施すステップを更に有する実施形態2記載の方法。
【0034】
実施形態4
前記コイルを印刷するステップは、平らな渦巻コイルを印刷するステップを含み、当該平らな渦巻コイル上を横断するリード線の一部が、前記絶縁層によって当該平らな渦巻コイルから分離されるように、当該絶縁層上に当該平らな渦巻コイルの一端に接続される当該リード線を印刷するステップを更に有する実施形態3記載の方法。
【0035】
実施形態5
前記コイルはシルクスクリーン印刷を用いて印刷される実施形態1記載の方法。
【0036】
実施形態6
前記導電性インクは銅または銀を含む実施形態1記載の方法。
【0037】
実施形態7
前記印刷されたコイルの層厚は、10から180μmの範囲にある実施形態1記載の方法。
【0038】
実施形態8
前記コイルを印刷するステップの前に、非導電性インクを用いて前記基板の前記表面上に前記装飾層を印刷するステップを更に有する実施形態1記載の方法。
【0039】
実施形態9
前記装飾層はシルクスクリーン印刷を用いて印刷される実施形態8記載の方法。
【0040】
実施形態10
前記コイルは前記装飾層上に印刷され、当該装飾層の層厚は10から200μmの範囲にある実施形態1記載の方法。
【0041】
実施形態11
電子デバイス用のワイヤレス充電デバイスであって、
ガラスまたはガラスセラミック製であり、当該電子デバイスのエリアを被覆するように構成された形状及びサイズを有する基板と、
当該基板の表面上に形成された層状の誘導充電構造体であって、電流に応答して電磁界を生成するためまたは電磁界に応答して電流を発生させるためのコイルを含む層状の誘導充電構造体と、
を有するワイヤレス充電デバイス。
【0042】
実施形態12
前記コイルの層厚は10から180μmの範囲にある実施形態11記載のワイヤレス充電デバイス。
【0043】
実施形態13
前記層状の誘導充電構造体は、非導電性材料を含む装飾層を更に有し、当該装飾層は、前記基板の前記表面と前記コイルとの間に配置されている実施形態11記載のワイヤレス充電デバイス。
【0044】
実施形態14
前記層状の誘導充電構造体は、前記コイル上に配置された電磁干渉吸収体層を更に有する実施形態11記載のワイヤレス充電デバイス。
【0045】
実施形態15
前記層状の誘導充電構造体は、前記コイル上且つ当該コイルと前記電磁干渉吸収体層との間に配置された絶縁層を更に有する実施形態14記載のワイヤレス充電デバイス。
【0046】
実施形態16
前記コイルは平らな渦巻コイルを有する実施形態11記載のワイヤレス充電デバイス。
【0047】
実施形態17
前記コイルは、前記平らな渦巻コイルの両端に接続されたリード線を更に備え、当該リード線は電気コンタクトに接続する実施形態16記載のワイヤレス充電デバイス。
【0048】
実施形態18
前記リード線の一方は、前記平らな渦巻コイルの少なくとも一部の上方を横断し、絶縁材料によって当該平らな渦巻コイルから分離されている実施形態17記載のワイヤレス充電デバイス。
【0049】
実施形態19
前記基板は、200MPaより大きな圧縮応力下にある少なくとも一方の表面と、15μmよりも深い層深さを有する圧縮応力層とを有する強化ガラス製である実施形態11記載のワイヤレス充電デバイス。
【0050】
実施形態20
ハウジングと、
カバーとして当該ハウジングの側部に取り付けられたワイヤレス充電レシーバデバイスであって、当該ワイヤレス充電レシーバデバイスは、ガラスまたはガラスセラミック製の基板と、当該基板の表面に形成された層状の誘導充電構造体とを備え、当該層状の誘導充電構造体はレシーバコイルを有し、当該レシーバコイルは、電磁界に応答して電流を発生させるものであるワイヤレス充電レシーバデバイスと、
当該ハウジング内に配置されたワイヤレス充電制御回路及び電力ストレージであって、当該ワイヤレス充電制御回路は、当該レシーバコイル及び当該電力ストレージに結合され、当該レシーバコイル内で発生する当該電流によって当該電力ストレージを充電するように構成されるワイヤレス充電制御回路及び電力ストレージと、
を備えたハンドヘルドデバイス。