(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来の製造方法にて製造された粒状排泄物処理材は、核部分が過度に圧縮されて造粒形成された場合には、適切な吸水性能(吸水スピードと吸水量)を発揮できない問題点を有している。
【0006】
また、上記製造方法においては、押出造粒機による圧縮造粒工程、乾燥装置による乾燥工程及び冷却装置による冷却工程が必須となる。よって時間当たりの製造数を増加させるためには、押出造粒機による時間当たりの造粒数、乾燥装置による時間当たりの乾燥数及び冷却装置による時間当たりの冷却数を増やすことが必要となる。
【0007】
しかしながら、一粒の造粒物を形成する圧縮時間は変わらないから、時間当たりの造粒数を増やすためには必然的に押出造粒機に関わる設備が大型化してしまう問題点を有している。
【0008】
また、一粒の造粒物の乾燥や冷却にかかる時間は変わらないから、時間当たりの乾燥数や冷却数を増やすためには自ずと乾燥装置及び冷却装置に関わる設備が大型化してしまう問題点を有している。
【0009】
加えて圧縮造粒工程で加えた水分を乾燥工程で蒸発させるという無駄が生じている。さらには乾燥工程で加えた熱を冷却工程により奪うという無駄も生じている。換言すると、従来の製造方法においては、圧縮造粒工程に起因して乾燥工程が必要であり、その乾燥工程に起因して冷却工程が必要となる。ひいては無用のCO
2を排出してしまうことに繋がる。
【0010】
さらに圧縮造粒工程で加えた水分や乾燥工程で加えた熱が構成材として含まれる吸水材や粘着材、消臭剤、芳香剤等に影響を与え、これらの劣化を招くおそれもある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、圧縮造粒を行わないで製造することができ、且つ吸水用空隙に富む構造を有する粒状排泄物処理材を提供する。
【0012】
要述すると、本発明に係る粒状排泄物処理材の製造方法は、吸水材及び粘着材を内包した第一繊維及び該第一繊維よりも繊維長の短い第二繊維を圧縮造粒せずに積み重ねて、
つまり圧縮を行わず加熱を伴う乾燥が必要となる加水を行わずに積み重ねて、繊維の堆積体から成る粒状排泄物処理材を製造することにより、当該第一・第二繊維の堆積体から成る粒状排泄物処理材を無加水且つ無圧縮で積み重ねた構造として、吸水用空隙の体積を増大させて吸水性能(吸水スピードと吸水量)の向上を図る。また、繊維長の短い第二繊維によって吸水スピードの向上を確実ならしめると共に、吸水材と繊維長の長い第一繊維により吸水量の向上を確実ならしめる。
【0013】
好ましくは、核部分と該核部分を覆う表層とから成る複合層構造
を有する粒状排泄物処理材を製造するときは、上記吸水材を内包する上記第一繊維の堆積体で上記核部分を形成する一方、上記粘着材を内包する上記第二繊維の堆積体で上記表層を形成する。
よって、製造された粒状排泄物処理材は、吸水材と繊維長の長い第一繊維により上記核部分の吸水量及び保水量を確保することができる一方、粘着材と繊維長の短い第二繊維により、排尿吸収時には隣り合う粒状排泄物処理材同士がくっついて塊状化することができ、使用済みの排泄物処理材をまとめて棄てることができる。
【0014】
好ましくは、上記核部分を繊維シートで覆うことにより、該繊維シートを介して確実に上記表層の構成材(粘着材及び第二繊維)を圧着することができる。加えて該繊維シートを構成する繊維を第二繊維として利用することができる。
【0015】
又は、上記表層を繊維シートで覆うことにより、該表層を構成する粘着材及び第二繊維が不用意に零れ落ちないようにすることができる。
【0016】
また、
粒状排泄物処理材の中心部分にシート体から成る重量調整材を介在させ
て、該重量調整材により無用に飛び散ることのない適度な重量の粒状排泄物処理材
を製造することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る粒状排泄物処理材の製造方法は、吸水材及び粘着材を内在した繊維の堆積体から成る粒状排泄物処理材、つまり繊維を圧縮せずに
且つ加熱を伴う乾燥が必要となる加水を行わずに積み重ねて成る粒状排泄物処理材を製造できるため、製造された粒状排泄物処理材は吸水用空隙を増大させた構造を有することができると共に、加水も加熱も行わないため、上記堆積体に内在する吸水材の吸水能を減衰させることもなく該吸水能を如何なく発揮することができる。よって従来製法に比して一粒当たりの吸水スピード及び吸水量を大幅に向上した粒状排泄物処理材を製造することができる。また、製造された粒状排泄物処理材において、粘着材や、適宜含有させる消臭剤、芳香剤等もそれらの材が水分や熱の影響を受けることがないので、本来の能力を如何なく発揮することができる。
【0020】
また、製造過程においては、加水を行う圧縮造粒工程を廃することができ、これに伴い乾燥工程及び冷却工程を省略することができる。したがって当然に、圧縮造粒機、乾燥機及び冷却機を要することなく、容易且つ迅速に製造することができ、ひいてはCO
2の削減に貢献することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る粒状排泄物処理材及びその製造方法について
図1乃至
図18に基づき説明する。
【0023】
まず、本発明に係る粒状排泄物処理材について
図1乃至
図9に基づき説明する。なお、本発明に係る粒状排泄物処理材1は、
図9に示すように、愛玩動物、例えばネコやイヌ等のトイレT内に土や砂の代わりに多数敷き詰められて使用されるものであり、「粒状」の排泄物処理材である。
【0024】
本発明に係る粒状排泄物処理材1は、後述するように、製造の最終工程で切断により細分化して製造するが、切断パターンによっては、
図7,
図8に示すような角張った形状となる場合もある。しかし、粒状排泄物処理材1は大きくても最大幅が数十mm程度であり、本願ではこのような場合も含めて「粒状排泄物処理材」と称している。
【0025】
なお、この「粒状排泄物処理材」は愛玩動物や実験動物の飼育容器内の床材として使用することもできる。
【0026】
<粒状排泄物処理材の基本構成>
本発明に係る粒状排泄物処理材1は、好ましくは、
図1乃至
図5に示すように、吸水性を有する核部分2と該核部分2を覆う吸水性を有する表層3とから成る複合層構造とする。該核部分2は吸水性ポリマーの粉体から成る吸水材2aを内包する繊維(第一繊維)2bの堆積体から成り、上記表層3はデンプンの粉体等から成る粘着材3aを内包する繊維(第二繊維)3bの堆積体から成る。上記繊維は、天然繊維であっても、合成繊維であっても良い。
【0027】
本発明にあっては、上記のように、核部分2を第一繊維2bの堆積体で構成すると共に表層3を第二繊維3bの堆積体で構成することにより、多数の吸水用空隙(繊維間の空隙)を画成することができ、該空隙によって吸水スピードの向上及び吸水量の増大を図ることができる。
【0028】
詳述すると、核部分2を構成する第一繊維2bの繊維長(平均繊維長)は0.5mm〜5mmであり、表層3を構成する第二繊維3bの繊維長は0.01mm〜3mmである。この範囲の中で「第一繊維2bの繊維長>第二繊維3bの繊維長」となるように調整する。
【0029】
核部分2を構成する第一繊維2bの繊維長を可及的に長くすることにより吸水用空隙を大きく画成して核部分2の吸水スピード及び吸水量を増大することができる。また、表層3を構成する第二繊維3bの繊維長を可及的に短くすることにより、該第二繊維3bが排泄物、特に排尿の水分中を浮遊し、隣接する粒状排泄物処理材1の表層3における第二繊維3bと絡み合い、隣接する粒状排泄物処理材1同士をくっつけて塊状化させることができる。
【0030】
なお、本発明において、第一繊維2b、第二繊維3bとして用いる天然繊維は、例えば木材のバージンパルプ、古紙再生パルプ、竹パルプ、茶殻、オカラ、ケナフ等の植物繊維を主に用いる。また、植物繊維は、オムツや生理用品等の廃材を粉砕して得ることができる。また、第一繊維2b、第二繊維3bとして合成繊維を用いることもできる。
【0031】
さらに、本発明においては、第一繊維2b又は/及び第二繊維3bを染料又は顔料で着色し若しくは第一繊維2b又は/及び第二繊維3bの繊維間の間隙に染料粉又は顔料粉を介在させて、排尿吸収時に染料が浸潤するか顔料の色が透過するようにして、使用前・使用後の判別がつくように構成しても良い。なお、第一繊維2b又は/及び第二繊維3bをリトマス等の酸塩基指示薬(PH指示薬)により着色すれば、排尿による変色に基づき動物の下部尿路疾患を発見することも期待できる。
【0032】
また、核部分2を構成する吸水材2aの粒径(平均粒径)は100μm〜600μmであり、表層3を構成する粘着材3aの粒径は10μm〜100μmである。この範囲の中で「吸水材2aの粒径>粘着材3aの粒径」となるように調整する。
【0033】
核部分2を構成する吸水材2aの粒径を可及的に大きくすることにより核部分2の吸水量を増大することができる。また、表層3を構成する粘着材3aの粒径を可及的に小さくすることにより、該粘着材3aが排泄物、特に排尿の水分と素早く反応して粘性を帯び、隣接する粒状排泄物処理材1同士をくっつけて塊状化させることができる。
【0034】
なお、本発明において、吸水材2aとしては、ポリアクリル酸系ポリマー、デンプンーアクリル酸系ポリマー等の吸水性ポリマーの粉体を用いる。また、粘着材3aとしては、コーンスターチ、タピオカスターチ、馬鈴薯スターチ等のデンプンの粉体又はCMC(carboxymethyl cellulose)やMC(methylcellulose)の粉体又はグアーガムの粉体又はデキストリンの粉体等を用いる。但し、本発明においては、後記するように、粘着材3aを溶いて第二繊維3bに含浸して、粘着材3aを内包した第二繊維3bの堆積体を構成することも実施に応じ任意である。
【0035】
核部分2は、
図1乃至4に示すように、具体的には第一核部分2Aと第二核部分2Bの積層構造となっており、該第一核部分2Aと第二核部分2Bとの間には一対の仕切りシート5で画成された吸水性空間6を有している。この吸水性空間6も上記吸水用空隙と共に吸水スピードの向上及び吸水量の増大に貢献する。さらに、第一核部分2A同士が重なるようにさらに折り重ね又は積み重ねて、
図5に示すような、四層構造の核部分2とすることも実施に応じ任意である。
【0036】
なお、仕切りシート5は不織布又はティッシュペーパー又はトイレットペーパー等である。また、仕切りシート5を例えば青色の染料又は顔料で着色したシートとすれば、核部分2が排尿を吸収した際に、染料が核部分2に滲潤するか又は顔料の色が核部分2を透過して上記着色した色が露見するため、当該色の露見により排尿吸収前か吸収後かの判別が可能となり、さらにリトマス等の酸塩基指示薬(PH指示薬)により着色すれば、排尿による変色に基づき動物の下部尿路疾患を発見することも期待できる。また、この仕切りシート5は実施に応じ省略することも可能である。
【0037】
また、本発明に係る粒状排泄物処理材1は、側部に小片状の圧搾部を周方向に連続して設け、該圧搾部4にて堆積した構成繊維(第一繊維2b,第二繊維3b)がばらけないようにすることができる。加えて該圧搾部4は、後述するように、製造時には細分化するための切断箇所となる。
【0038】
また、本発明に係る粒状排泄物処理材1は、
図6に示すように、表層3を設けず、核部分2のみとすることもできる。この場合には、上記した吸水材2a及び粘着材3aを内包した第一繊維2b及び第二繊維3bの堆積体で核部分2を構成する。
【0039】
なお、本発明にあっては、既述した第一繊維2bや第二繊維3bの堆積体中に香料、抗菌剤、消臭剤、芳香剤等を含有することも実施に応じ任意である。
【0040】
また、核部分2を構成する第一繊維2bの堆積中に、後述するシート体の重量調整材7の他に、粉体の重量調整材として、茶、木、オカラ、フェルト等の有機物の粉体又は炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、ベントナイト、ゼオライト等の無機物の粉体を含有して、重量を調整することがある。
【0041】
<粒状排泄物処理材の実施例1>
実施例1に係る粒状排泄物処理材1は、
図1,
図7に示すように、既述の二層構造の核部分2と該核部分2を覆う表層3とを備える基本構成を有する。本実施例が本発明における基本的な粒状排泄物処理材1を示しているが、後記する実施例6に示すように、本発明は核部分2のみで表層3を備えない構成をも包含する。なお、
図7の斜視図においては、粒状排泄物処理材1の形状を明確にするために、外表面に存する粘着材3a及び第二繊維3bを表さずに描いている。
【0042】
また、本実施例に係る粒状排泄物処理材1には、上部と下部にエンボス加工による凹凸部8(凹部8a及び凸部8b)を形成し、上部及び下部の外表面で露出する表層3の粘着材3a及び第二繊維3bを定着させると共に排泄物と接する面積を増大して吸水スピードの向上を図る。該エンボス加工により、
図1,
図7に示すように、上下方向から若干圧縮されて扁平状となる。なお、上部のみ又は下部のみに凹凸部8を形成することも実施に応じ任意である。
【0043】
<粒状排泄物処理材の実施例2>
実施例2に係る粒状排泄物処理材1は、
図2に示すように、既述の二層構造の核部分2と該核部分2を覆う表層3とを備える基本構成を有し且つ該核部分2を繊維シート3cで覆う構成を有している。すなわち、本実施例の粒状排泄物処理材1は表層3を繊維シート3cを介して核部分2の外表面に圧着する構成を有している。
【0044】
本実施例において好ましくは、繊維シート3cの表面を起毛させ、該起毛した繊維を第二繊維3bとして利用し、該起毛繊維たる第二繊維3bを用いて粘着材3aを核部分2の外表面に圧着する。若しくは、繊維シート3c自体に溶いた粘着材3aを含浸し、したがって粘着材3aを含浸した起毛繊維を第二繊維3bとして利用することができる。
【0045】
又は繊維シート3cの表面に第二繊維3bと粘着材3aを直接圧着する。この際には粘着材3aをその粘着能を減衰しない範囲で湿らせて粘性を帯びさせ、該粘性を利用して第二繊維3bと共に繊維シート3cの表面に圧着する。
【0046】
繊維シート3cとしては、不織布、ティッシュペーパー又はトイレットペーパーが最適である。なお、本実施例においては、仕切りシート5を繊維シート3cとして利用して核部分2を覆うことも実施に応じて任意である。この場合には仕切りシート5が外表面となるように核部分2を構成し該核部分2を覆った仕切りシート5上に表層3を構成する。
【0047】
また、本実施例においても、実施例1と同様に、上部と下部にはエンボス加工による凹凸部8(凹部8a及び凸部8b)を形成し、上部及び下部の外表面で露出する表層3の粘着材3a及び第二繊維3bを定着させると共に排泄物と接する面積を増大して吸水スピードの向上を図る。なお、本実施例においても、上部のみ又は下部のみに凹凸部8を形成することも実施に応じ任意である。
【0048】
<粒状排泄物処理材の実施例3>
実施例3に係る粒状排泄物処理材1は、
図3,
図8に示すように、既述の二層構造の核部分2と該核部分2を覆う表層3とを備える基本構成を有し且つ該表層3を繊維シート3dで覆う構成を有している。すなわち、本実施例の粒状排泄物処理材1は表層3を構成する粘着材3a及び第二繊維3bを繊維シート3dで覆い、該粘着材3aの剥がれ落ちを有効に防止する構成を有している。
【0049】
好ましくは、繊維シート3dは粘着材3aや第二繊維3bが不用意に零れ落ちない程度の大きさの通水孔を有する構成とし、該粘着材3a及び第二繊維3bを覆いつつ排尿を速やかに受け入れると共に、これら粘着材3a及び第二繊維3bを排尿中に漂わせて、隣接する粒状排泄物処理材1との塊状化を可能とする。繊維シート3dは、好ましくは不織布、ティッシュペーパー又はトイレットペーパーを用いる。
【0050】
なお、本実施例においては、表層3を繊維シート3dで覆う構成を有しているため、表層3の構成材(粘着材3a及び第二繊維3b)を定着させるためのエンボス加工は必須ではなく、当該加工を行うか否かは適宜選択できる。また、繊維シート3d自体に、溶いた粘着材3aを含浸させ、該粘着材3aを含浸した繊維シート3dで第二繊維3bを覆うこともできる。
【0051】
<粒状排泄物処理材の実施例4>
実施例4に係る排泄物処理材1は、
図4に示すように、既述の二層構造の核部分2と該核部分2を覆う表層3とを備える基本構成を有し且つ核部分2の中央、つまり排泄物処理材1の中心部分に重量調整材7を介在させる構造を有する。該重量調整材7はシート体のものであり、既述の粉体の重量調整材とは別途に介在させる。
【0052】
本実施例の場合には核部分2の第一核部分2Aと第二核部分2B間の一対の仕切りシート5で画成された吸水空間6内に重量調整材7を介在させる構造を有する。好ましくは、重量調整材7には通水性のための貫通孔7aを穿設し、上部核部分2Aと下部核部分2B間の排尿の往来を自由にし、該上部核部分2A又は下部核部分2Bの一方の吸水量が飽和状態となるのを有効に防止する。なお、本実施例のように吸水空間6が中心部分にない場合でも中心部分に重量調整材7を介在することができるのは勿論である。
【0053】
上記のとおり、本実施例に係る排泄物処理材1にあっては、重量調整材7により無用に飛び散ることのない適度な重量に調整することができると共に嵩増しも行うことができる。重量調整材7は重量を調整することができ、容易にカット可能なシート体であれば如何なるシート体でも良いが、嵩増しの観点からも、吸水性及び通水性の観点からも、厚紙、すなわち段ボール原紙、ボール紙、画用紙等をはじめとする厚手の紙材又は段ボールが望ましい。また、既述のように容易にカット可能なシート体であれば合成樹脂製のシートでも良い。
【0054】
また、重量調整材7に染料で着色を施し、又は顔料で着色を施したり模様を描いたりし、他方、第一・第二繊維2b・3bに着色を施さず又は顔料粉・染料粉を含まない構成にすることにより、排尿吸収時に染料が浸潤するか、顔料の色が透過するようにして、使用前・使用後の判別がつくように構成することもできる。また、重量調整材7そのものの色を、非着色又は顔料粉・染料粉を含まない構成の第一・第二繊維2b・3bを通して、排尿吸収時に露見させても良い。
【0055】
また、重量調整材7をリトマス等の酸塩基指示薬(PH指示薬)により着色すれば、非着色又は顔料粉・染料粉を含まない構成の第一・第二繊維2b・3bを通して、排尿の変色、すなわち排尿のPHを確認することができる。
【0056】
<粒状排泄物処理材の実施例5>
実施例5に係る排泄物処理材1は、
図5に示すように、既述の四層構造の核部分2と該核部分2を覆う表層3とを備える基本構成を有する。本発明においては、このように核部分2において積層数を増やして吸水量を増大することができる。よって、核部分2が本実施例で示した四層構造や実施例1乃至4で示した二層構造の他、三層構造や五層以上の積層構造とすることも実施に応じ任意である。
【0057】
<粒状排泄物処理材の実施例6>
実施例6に係る排泄物処理材1は、
図6に示すように、核部分2のみから成り、表層3は形成しない構成を有する。本実施例における核部分2は、粒径の異なる吸水材2aと粘着材3aを内在した繊維長の異なる第一繊維2bと第二繊維3bの堆積体から成り、吸水用空隙の数や体積を確保して、吸水量を確保しつつ吸水スピードを向上することができる。また、本実施例においても粘着材3aと第二繊維3bとが、隣接する粒状排泄物処理材1との塊状化に貢献する。
【0058】
また、本実施例においても、実施例1や実施例2と同様に、上部と下部にはエンボス加工による凹凸部8(凹部8a及び凸部8b)を形成することができる。なお、本実施例においても、上部のみ又は下部のみに凹凸部8を形成することも実施に応じ任意である。
【0059】
上記のとおり、本発明における粒状排泄物処理材1は多彩な実施例を有する。なお、説明の便宜上、実施例1乃至6の6つに分けて説明したが、本発明にあっては、各実施例の特徴的な構成を複合的に有する排泄物処理材1とすることを排除するものではない。
【0060】
次いで、
図10乃至
図18に基づき、本発明に係る排泄物処理材の製造方法について説明する。
【0061】
<製造方法の基本フロー>
本発明に係る製造方法は、既述した本発明に係る粒状排泄物処理材1の製造方法であって、
図10に示すように、基本的には、工程A(繊維パネル形成工程)、工程B(核部分集合体形成工程)、工程C(表層集合体形成工程)、工程D(圧搾部形成工程)及び工程E(細分化工程)を有し、基本的にはこの順で作業を行う。但し、工程Cにおいては、工程c1(表層構成材配置工程)と工程c2(表層構成材圧着工程)を有し、工程Bと工程c1を同時に行うこと又は/及び工程Dの後に工程c2を経ることもある。詳細は後述する。
【0062】
以下、工程A乃至Eを順を追って説明する。なお、説明の便宜上、核部分2と表層3の複合層構造を備える粒状排泄物処理材1(例えば実施例1乃至5の粒状排泄物処理材1)を製造する場合について説明し、核部分2のみから成る粒状排泄物処理材1(例えば実施例6の粒状排泄物処理材1)を製造する場合については後述する。
【0063】
<工程A:繊維パネル形成工程>
工程Aたる繊維パネル形成工程は、後に核部分2となる第一繊維2bを吸水材2aと共に板状に堆積させて繊維パネル11を形成する工程である。
【0064】
本工程においては、
図11に示すように、ダクト27から落ちてくる第一繊維2bにチャンバ28から吸水材2aを供給し、両者を既知の積繊装置21を用いて板状に堆積させる。
【0065】
積繊装置21は、内側に吸引手段を有する回転ドラム22と、該回転ドラム22に外装され、同回転ドラム22と共に回転可能に配設する外筒23とを備え、該外筒23は上記吸引手段によって吸水材2aを含んだ第一繊維2bを堆積させて繊維パネル11を形成する。
【0066】
また、回転ドラム22の下位にはベルトコンベア26を配し、形成された繊維パネル11を搬送する。
【0067】
回転ドラム22内は隔壁24によって第一ゾーン25Aと第二ゾーン25Bとに分けられ、ダクト27に対向する第一ゾーン25Aにおいて吸引を行い、ベルトコンベア26に対向する第二ゾーン25Bにおいては吸引を行わない構成となっている。そのため、第一ゾーン25Aに対応する外筒23の外周面上に第一繊維2bを吸引して繊維パネル11を形成し、形成された繊維パネル11は外筒23と共に回転し第二ゾーン25Bに対応する位置までくると吸引が停止される。
【0068】
あとはベルトコンベア26に設けられた吸引手段26aにより第二ゾーン25Bに対応する位置に存する繊維パネル11を引き剥がし、ベルトコンベア26上に載置する。この際にベルトコンベア26上には予め仕切りシート5が載置されており、
図12に示すように、この仕切りシート5上に繊維パネル11が載置されて搬送される。これによりベルトコンベア26の吸引手段による繊維パネル11の型崩れを防止する。なお、仕切りシート5を省略して、繊維パネル11を直接ベルトコンベア26上に載置して搬送することも実施に応じて任意である。
【0069】
<工程B:核部分集合体形成工程>
工程Bたる核部分集合体形成工程は、上記工程Aで形成した繊維パネル11を積層して核部分集合体12を形成する工程である。
【0070】
本工程における繊維パネル11の積層については既知のガイド装置を用いて、
図13(A)に示すように、一枚の繊維パネル11を折り畳むことにより行うか、二つのベルトコンベアラインを用いて、
図13(B)に示すように、二枚の繊維パネル11を重ねることにより行う。
【0071】
何れにしても、後に排泄物処理材1の核部分2となる部分の集合体12、例えば二層構造の核部分を形成する場合には第一核部分2Aと第二核部分2Bとなる部分を積層した核部分集合体12を形成する。なお、既述のように、本発明に係る排泄物処理材1の核部分2は三層以上の積層構造をも包含するため、当該三層以上の積層構造の核部分2を形成する場合には、対応する積層構造となるように一枚の繊維パネル11を折り畳むか、又は複数枚の繊維パネル11を重ねることとなる。
【0072】
また、既述した実施例4の粒状排泄物処理材1のように核部分2内にシート体から成る重量調整材7を介在させた排泄物処理材1を製造する場合には、本工程における積層時に層と層の間に重量調整材7を介在させることとなる。三層以上の積層構造の核部分2を形成する場合は全ての層間に重量調整材7を介在させることもできるし、任意の層間に重量調整材7を介在させることもできる。
【0073】
また、本工程において、積層前の繊維パネル11の積層面に凹凸を形成し、当該凹凸が形成された積層面同士を重ねることにより、核部分集合体12、ひいては核部分2内に確実に吸水用間隙を形成するようにしても良い。
【0074】
また、既述した実施例2の粒状排泄物処理材1において、仕切りシート5を繊維シート3cとして利用する場合には、
図13(A),(B)に示した状態とは逆に、仕切りシート5が外表面となるように折り畳み又は重ねて核部分集合体12を形成することができる。また、予め仕切りシート5に溶いた粘着材3aを含浸させておくことができる。
【0075】
<工程C:表層集合体形成工程>
工程Cたる表層集合体形成工程は、核部分集合体12の外表面に表層構成材たる粘着材3aや第二繊維3bを配する工程c1と、当該核部分集合体12の外表面に配した表層構成材を定着させる工程c2とを有し、
図14,
図15に示すように、工程Bで形成する核部分集合体12を覆う表層集合体13、つまり後に粒状排泄物処理材1の表層3となる部分の集合体を形成する工程である。
【0076】
工程c1たる表層構成材配置工程は、
図14に示すように、核部分集合体12の外表面に表層構成材たる粘着材3aや第二繊維3bを吹き付け等により配置する工程である。本工程においては、既述した実施例2の排泄物処理材1のように核部分2の外表面に繊維シート3cを介して表層3を形成する場合には、当該繊維シート3cで核部分集合体12を覆い、該繊維シート3cの外表面に粘着材3a及び第二繊維3bを配置するか、又は繊維シート3cの表面を起毛させ該起毛繊維を第二繊維3bとして利用し、繊維シート3cの外表面に粘着材3aのみを配置する。また、既述した実施例3の粒状排泄物処理材1のように表層構成材を繊維シート3dで覆う構成の表層3を形成する場合には、本工程時に配置した粘着材3a及び第二繊維3bを繊維シート3dで覆う。
【0077】
また、工程c2たる表層圧着工程は、工程c1で配された粘着材3a及び第二繊維3bを圧着する工程であり、該圧着により核部分集合体12の外表面に表層集合体13を形成する。当該圧着は既知のローラー加工又は既知のエンボス加工により行う。好ましくは、
図15に示すように、エンボス加工による凹部8a及び凸部8bを形成して、粘着材3a及び第二繊維3bを定着させる。
【0078】
<工程D:圧搾部形成工程>
工程Dたる圧搾部形成工程は、
図16、
図17に示すように、工程Bにて形成された核部分集合体12に押圧加工を施し同核部分集合体12の一部を平面視線状又は平面視帯状に圧縮した圧搾部4を複数形成する工程である。
【0079】
本工程における押圧加工はエンボス加工が最適である。確実に圧搾部4を形成できると共に、曲線状等の複雑なパターンで押圧することもできるためである。よって、
図17に示すように格子状のパターンの他、
図18に示すように曲線状を含むパターンとすることもできる。
【0080】
<工程E:細分化工程>
工程Eたる細分化工程は、工程Dで圧搾部4が形成された核部分集合体12を該圧搾部4に沿って細分化する工程である。これにより本発明に係る粒状排泄物処理材1を一度に多数粒製造できる。
【0081】
<本発明に係る製造方法の例外フロー>
上記のとおり、本発明に係る製造方法は基本的には、
図10に示すように、工程A→工程B→工程C(工程c1→工程c2)→工程D→工程Eの順に行うが、例外的に工程Cが有する工程c1を工程Bと同時に行うこともできる。
【0082】
すなわち、工程Bにおいて、工程Aで形成した繊維パネル11の表面に表層構成材を吹き付け等により配置し(工程c1)、該表層構成材が配された繊維パネル11を積層し核部分集合体12を形成することができる。
【0083】
この場合、工程Bにおいて、一枚の繊維パネル11を折り重ねて積層する場合には、該繊維パネル11の表層構成材(粘着材3aや第二繊維3b)が配された面(表面)が外表面となるようにするのは言うまでもない。また、工程Bにおいて複数枚の繊維パネル11を重ねて積層する場合には、最上層となる繊維パネル11の表層構成材が配された面(表面)を核部分集合体12の上面とし、最下層となる繊維パネル11の表層構成材が配された面(表面)を同核部分集合体12の下面とするように積層することは勿論である。
【0084】
なお、この例外フローの場合にも、実施例2に係る粒状排泄物処理材1を製造するために繊維シート3cを介在させることができる。また、実施例3に係る粒状排泄物処理材1を製造するために表層構成粉体を繊維シート3dで覆うこともできる。
【0085】
また、工程c2を工程Dの後に行うこともできる。すなわち、工程Dで核部分集合体12に圧搾部4を形成した後に、該圧搾部4を有する核部分集合体12に配されている表層構成材を圧着する工程c2を行うことができる。
【0086】
上記のとおり、本発明に係る製造方法の例外フローにおいては、工程c1を工程Bと同時に行うこと又は/及び工程c2を工程Dの後に行うことができる。したがって、例外フローは以下のとおりとなる。
例外フロー1:工程A→工程B(工程c1含む)→工程c2→工程D →工程E
例外フロー2:工程A→工程B(工程c1含む)→工程D →工程c2→工程E
例外フロー3:工程A→工程B→工程c1 →工程D →工程c2→工程E
【0087】
なお、既述の製造方法は、説明の便宜上、核部分2と表層3の複合層構造を備える粒状排泄物処理材1(例えば実施例1乃至5の粒状排泄物処理材1)を製造する場合について説明した。
しかし、核部分2のみから成る粒状排泄物処理材1(例えば実施例6の粒状排泄物処理材1)を製造する場合については、工程Aにおいて第一繊維2b及び第二繊維3bを吸水材2aと粘着材3aと共に堆積させて繊維パネル11を形成する点、及び表層を形成する必要がないので工程Cを省略する点が異なるのみで、その余の工程については、核部分2と表層3の複合層構造を備える粒状排泄物処理材1の製造工程と同様である。
【0088】
また、第一繊維2bや第二繊維3bに着色を施す場合には工程Aや工程Cにおいて既知の方法により行うことができる。また、第一繊維2bや第二繊維3bの堆積体に顔料粉、染料粉、香料、抗菌剤、消臭剤、芳香剤、粉体の重量調整材等を内在させる場合も工程Aや工程Cにおいて既知の方法により行うことができる。