特許第6652956号(P6652956)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6652956時計機構の振動部材、アセンブリ、時計の発振器、時計の速度調整器、時計のムーブメント、時計及び動作方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6652956
(24)【登録日】2020年1月28日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】時計機構の振動部材、アセンブリ、時計の発振器、時計の速度調整器、時計のムーブメント、時計及び動作方法
(51)【国際特許分類】
   G04B 17/00 20060101AFI20200217BHJP
   G04C 3/04 20060101ALI20200217BHJP
【FI】
   G04B17/00 B
   G04C3/04 Z
【請求項の数】31
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-500436(P2017-500436)
(86)(22)【出願日】2015年3月20日
(65)【公表番号】特表2017-508996(P2017-508996A)
(43)【公表日】2017年3月30日
(86)【国際出願番号】EP2015056015
(87)【国際公開番号】WO2015140332
(87)【国際公開日】20150924
【審査請求日】2018年1月19日
(31)【優先権主張番号】14161204.4
(32)【優先日】2014年3月21日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】00883/14
(32)【優先日】2014年6月11日
(33)【優先権主張国】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】513114803
【氏名又は名称】ウブロ ソシエテ アノニム, ジュネーブ
【氏名又は名称原語表記】HUBLOT S.A., GENEVE
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブテ, マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ブリュメンタル, ジャン−ミシェル
【審査官】 池田 剛志
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第03338048(US,A)
【文献】 国際公開第2008/029158(WO,A2)
【文献】 特開2004−301641(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B1/00−99/00
G04C1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのおもり(4;12;204)を有し、その構成は部材の慣性モーメントを修正するよう修正可能であり、前記おもりは、前記部材が動作中または停止中に、前記おもりの構成が動的にまたは制御された状態で修正可能なよう配置される
時計機構(100)の振動部材(5;205)。
【請求項2】
前記振動部材は、時計の発振器のテンプである
請求項1に記載の部材。
【請求項3】
前記おもりは、圧電材料または磁歪材料からなり、およびまたは、前記おもりは、前記部材の第一慣性モーメントを定義する第一安定位置または前記部材の第二慣性モーメントを定義する第二安定位置を占めるよう配置される
請求項1または2に記載の部材。
【請求項4】
前記おもりの構成を修正する要素(4;4a;4b:42;204)を有し、前記おもりの構成を修正する要素は前記部材に取り付けられる
請求項1から3のいずれか一項に記載の部材。
【請求項5】
前記修正要素は、圧電材料または磁歪材料からなる
請求項4に記載の部材。
【請求項6】
前記おもり(4;204)は少なくとも第一磁気/電磁変位要素(242)またはおもりの構成を修正する要素(242)および前記おもりを第一安定位置と第二安定位置とに割出しする要素(243)を有する
請求項1から5のいずれか一項に記載の部材。
【請求項7】
前記第一磁気/電磁変位要素は磁石(242)である、
請求項に記載の部材。
【請求項8】
前記割出し要素は、ブレード(43)、特に屈曲状に予応力をかけられているブレード、を有する
請求項6または7に記載の部材
【請求項9】
第二磁気/電磁変位要素(52)、特に電磁石、を有し、前記第一および第二磁気/電磁変位要素は協同する、
求項6から8のいずれか一項に記載の部材を有するアセンブリ。
【請求項10】
機械エネルギーを電力に変換する要素(4;4a;4b)を有し、特に変換要素は圧電または磁歪材料からなり、およびまたは、太陽エネルギーを電力に変換する要素、特に光電池パネル、を有し、前記変換要素は前記部材に取り付けられる
請求項1から8のいずれか一項に記載の部材を有するアセンブリ。
【請求項11】
前記変換要素は、前記おもり、およびまたは前記修正要素からなる
求項10に記載のアセンブリ。
【請求項12】
電気回路(7)、特にコンピュータ(7)、を有し、前記回路は特に前記部材に取り付けられ、特に前記部材の回転軸(1)に取り付けられる
請求項1からのいずれか一項に記載の部材を有するアセンブリ、または請求項から11のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記電気回路は参照発振器(6)、特に共振電気回路に基づく発振器またはクオーツ発振器、を有する、
請求項12に記載のアセンブリ
【請求項14】
前記部材の動きの特徴に関するセンサ素子(4;4a;4b:204)、特に衝撃または加速度センサ素子、を有し、前記センサ素子は特に部材に取り付けられる、
請求項1から8のいずれか一項に記載の部材を有するアセンブリ、または請求項9から13のいずれか一項に記載のアセンブリ
【請求項15】
前記センサ素子は、前記おもりおよびまたは前記修正要素からなる、
請求項14に記載のアセンブリ
【請求項16】
全体がまたはほぼ全体が圧電材または磁歪材からなる、
請求項1から8のいずれか一項に記載の部材を有するアセンブリ、または請求項9から15のいずれか一項に記載のアセンブリ
【請求項17】
請求項1から8のいずれか一項に記載の振動部材(5;205)または請求項9から16のいずれか一項に記載のアセンブリと、
渦巻ばね(2)、特に圧電材料または磁歪材料または幾何学変形をしたときに電流を発生させる能力を有する材料からなる、渦巻ばねを有する、
時計の発振器(100;300)
【請求項18】
前記渦巻ばね(2)は電気導体として使用され、およびまたは、電気導体としての役割を果たす少なくとも2つの渦線を有する、
請求項17に記載の発振器
【請求項19】
前記修正要素と、前記修正要素を駆動する電子システムとの間に電力を伝えることを可能とする複数の要素を有する
請求項17または18に記載の発振器
【請求項20】
請求項1から8のいずれか一項に記載の回転部材(5;205)または請求項9から16のいずれか一項に記載のアセンブリを有する、
時計の速度調整器
【請求項21】
請求項17から19のいずれか一項に記載の発振器(100;300)または請求項1から8のいずれか一項に記載の部材(5)または請求項9から16のいずれか一項に記載のアセンブリまたは請求項20に記載の緩急針を有する、
時計のムーブメント(110:310)
【請求項22】
請求項21に記載のムーブメント(110;310)または請求項17から19のいずれか一項に記載の発振器(100;300)または請求項1から8のいずれか一項に記載の部材(5)または請求項9から16のいずれか一項に記載のアセンブリまたは請求項20に記載の緩急針を有する、
時計(120;130)、特に携帯時計、特に腕時計
【請求項23】
−渦巻ばね(2)、および
−請求項1から8のいずれか一項に記載の振動部材(5;205)または請求項9から16のいずれか一項に記載のアセンブリ、
−を有する時計の発振器(100:300)の、
または
−請求項20に記載の速度調整器の、
動作方法、特に自動動作方法であって、
−前記部材のムーブメントの 現在の周波数またはある期間中、特にスライディング期間中、のムーブメントの平均周波数を決定し;
−前記決定した周波数を参照周波数と比較し;
−周波数誤差の場合、動作中または停止中の前記部材の慣性を修正し、特に前記おもりの構成を修正する要素を作動させることにより修正する
各ステップを有する、動作方法。
【請求項24】
前記修正ステップは、おもりの変形およびまたはおもりの変位、特に屈曲状に予応力をかけられている ブレードの変形、を含む
請求項23に記載の動作方法。
【請求項25】
前記修正ステップは、電気信号、特に電圧、を修正要素、特に電磁石(52)、にかけることを含む
請求項23または24に記載の動作方法。
【請求項26】
前記修正ステップは、電気信号、特に電圧、を圧電材料または磁歪材料からなる前記修正要素、およびまたは、圧電材料または磁歪材料からなる前記おもり、にかけること、およびまたは、前記修正ステップは、磁気信号、特に磁場、を圧電材料または磁歪材料からなる前記修正要素、およびまたは、圧電材料または磁歪材料からなる前記おもり、にかけることを含む
請求項23または24に記載の動作方法。
【請求項27】
前記決定ステップは、センサ素子、特に前記部材に取り付けられたセンサ素子、から供給される電気信号を分析およびまたは処理することを含み、前記分析または処理は、前記部材に取り付けられた、または前記部材を備えた時計に取り付けられた処理または分析要素によって実行され、およびまたは前記分析または処理は、前記部材の前記期間の値を確認して抽出することを可能とする
請求項23から26のいずれか一項に記載の動作方法。
【請求項28】
前記比較ステップは、前記部材に取り付けられたまたは前記部材を備えた時計に取り付けられた比較器によって実行される、
請求項23から27のいずれか一項に記載の動作方法。
【請求項29】
前記動作方法は、機械エネルギーを電力に変換するステップを有し、前記変換ステップは特に、前記部材に取り付けられたまたは前記部材を備えた時計に取り付けられた変換要素によって実行される、
請求項23から28のいずれか一項に記載の動作方法。
【請求項30】
前記決定、比較および修正の各ステップは、前記部材が動作中に、特に自動に実行される、
請求項23から29のいずれか一項に記載の動作方法。
【請求項31】
前記修正ステップにおいて、前記決定された周波数が前記参考周波数よりも高い場合、前記おもりは第一安定位置に配置され、前記修正ステップにおいて、前記決定された周波数が前記参考周波数よりも低い場合、前記おもりは第二安定位置に配置される、
請求項23から30のいずれか一項に記載の動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計の回転部材、または時計機構の部材および時計の発振器に関する。本発明はさらに、これらの部材または発振器を有する時計のムーブメントまたは時計、特に携帯時計、に関する。最後に、本発明は、時計の発振器または時計の緩急針の動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
機械式時計の計時精度はクオーツ時計に比べて低いことが知られている。さらに、特に温度、摩耗、摩擦の状態、香箱(バレル)の巻きの度合い、携帯時計の位置などの多くのパラメータが、機械式時計の計時精度に影響を与えることが知られている。さらには、機械式時計を調整するには、携帯時計を開いてから発振器の周波数を調整するための要素、特にインデックスアセンブリ、を操作しなければならず、面倒な作業であると知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、上述した欠点を改善することのできる回転部材を提供し、従来から知られている回転部材を向上することにある。特に、本発明は所定の周波数を有する精密な回転部材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る部材は、請求項1により定義される。
【0005】
本発明に係る部材の他の実施形態は、請求項2からにより定義される。
【0006】
本発明に係るアセンブリは、請求項により定義される。
【0007】
本発明に係るアセンブリの他の実施形態は、請求項10から16により定義される。
【0008】
本発明に係る発振器は、請求項17により定義される。
【0009】
本発明に係る発振器の他の実施形態は、請求項1819により定義される。
【0010】
本発明に係る緩急針は、請求項20により定義される。
【0011】
本発明に係るムーブメントは、請求項21により定義される。
【0012】
本発明に係る時計は、請求項22により定義される。
【0013】
本発明に係る方法は、請求項23により定義される。
【0014】
本発明に係る方法の他の実施形態は、請求項24から31により定義される。
【0015】
本発明に係る部材の複数の実施形態の例を、添付した図面に示す。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明に係る時計の発振器の第1実施例の第1変形例を示す図である。
図2図2は、本発明に係る時計の発振器の第1実施例の第1変形例を示す図である。
図3図3は、本発明に係る時計の発振器の第1実施例の第1変形例を示す図である。
図4図4は、本発明に係る時計の発振器の第1実施例の第2変形例を示す図である。
図5図5は、本発明に係る時計の発振器の第1実施例の第2変形例を示す図である。
図6図6は、本発明に係る時計の発振器の第1実施例の第3変形例を示す図である。
図7図7は、本発明に係る時計の発振器の第1実施例に基づく動作原理を示す図である。
図8図8は、本発明に係る時計の発振器の第1実施例の第4変形例を示す図である。
図9図9は、本発明に係る時計の発振器の第1実施例の第4変形例を示す図である。
図10図10は、本発明に係る時計の発振器の第1実施例の第4変形例を示す図である。
図11図11は、本発明に係る時計の発振器の第1実施例の第4変形例を示す図である。
図12図12は、本発明に係る時計の発振器の第2実施例を示す図である。
図13図13は、本発明に係る時計の発振器の第2実施例を示す図である。
図14図14は、本発明に係る時計の発振器の第2実施例を示す図である。
図15図15は、本発明に係る時計の発振器の第2実施例を示す図である。
図16図16は、本発明に係る時計の発振器の第2実施例の動作原理を示す図である。
図17図17は、本発明に係る時計の線図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の特徴は、タイムスライシングシステムの振動を調整することを可能とする手段にある。
【0018】
該手段は、振動システムの慣性モーメントを制御することを可能とする電気機械的部品を振動システムに埋め込むことにより実施され、特に、振動システムの慣性モーメントを制御することを可能とする電気機械的部品の電子装置の全部もしくは大部分を埋め込むことにより実施される。
【0019】
つまり、本発明のシステムは振動システムからなり、言い換えると、少なくとも錘(bob weight)またはおもり例えば3つを有するテンプ(balance)からなる。おもりは、特に比較的密または重さのある質量材の塊であり、特に放射状に、例えば軸に沿って、特にテンプの回転軸に対して直角な軸に沿って、変位可能であり、この錘はテンプの慣性モーメントを修正する役目を果たす。多くの ハイエンドの テンプは、テンプの静的および動的バランシングのための錘を有する。場合によっては、錘はテンプの外側に質量を多少ずらすスクリューであり、またはテンプの周辺に加えられる爪やスクリューによって保持される座金である。
【0020】
有利には、いわゆる「圧電」材料、つまり電流の作用によって励起(変形)する材料が使用される。
【0021】
本発明によると、テンプは、慣性モーメントを修正するための機械的に修正可能な錘を有しておらず、他の要素、例えば3つの梁または3つのブロックを有する。3つの要素は圧電部材を有し、より一般的には、電気およびまたは磁気信号、特に電場およびまたは磁場に晒された時に変形するような部材を有する。
【0022】
上述の要素は、例えば、三角形状に配置される。電流の作用により該要素は位置または向きを修正され、おもりをテンプの重心に対して離れる方向もしくは近付く方向に移動させる。
【0023】
上述した圧電素子は、それらに直接固定された要素を移動させたり、または要素を押したり引いたりすることによりテンプの慣性モーメントを修正するよう質量を変位させることが考えられる。
【0024】
圧電手段は、完全にもしくは部分的に、いわゆる電磁およびまたは磁歪手段に置き換えることができる。
【0025】
形状を修正して圧電素子のムーブメントまたは変位を生じさせるため、電流を圧電素子に供給する。この配電の管理は、コンピュータと呼ぶ電子アセンブリによって実施される。このコンピュータは、最もシンプルな実施形態において、機械的振動の測定結果を、参照発振器、例えばクオーツ、から提供される周波数と比較することを可能とする電子手段を有する。
【0026】
このシステムの電源として、少なくとも以下の3つの解決策が想定される。
1.テンプに埋め込まれた電機子を利用して、外部(テンプの外部)に固定された誘導磁石により、上述した電気エネルギーを生成する。これらの外部誘導要素により、システムを持続させ、システムに幾何学的な参照を提供することができる。電源はまた、システム外部からコンピュータ機能を提供する部分に対して磁気誘導を行うことにより実施可能である。
2.外部電源(テンプに対して外部)を、摩擦接点やその他の装置を利用して接続することができる。
3.発振器およびまたは超コンデンサに埋め込まれた電池、例えばリチウム電池、により電源を取ることができる。
【0027】
解決策1は、摩擦接点に最も少ない要素を有していることから、上述の3つの解決策の中で最も優れた機械効率を有する。
【0028】
システムの振動は、渦巻ばねと全体の組み合わせ(使用される脱進機)によって維持される。
【0029】
本発明に係る発振器は、既存のムーブメントに含まれる従来の発振器に換えて使用することができる。これは、脱進機と振動システム、つまり脱進機ピニオンからテンプ、のすべての部品が配設される取り外し可能なプラットフォームを有する従来のムーブメントに適用しやすい。
【0030】
このため、従来の取り外し可能なプラットフォームを、本発明に係るプラットフォーム、つまり本発明に係る発振器に交換することができる。
【0031】
本発明の適用に関するオプション
クオーツは、特に、単に正確で相対的な時間カウントだけでなく、正確な現在時刻と日付等の他の情報を考慮に入れた絶対時間精度を提供する、既存の公的または私的な信号からなる時間情報を含む信号を受信する受信器に置き換えることができる。
【0032】
好ましくは、本発明においては、例えばローターに連結された発電機や単に電池やバッテリーといった、発振器の外部さらにはシステム全体の外部に配置された電源を利用する必要はない。
【0033】
システム全体のための電力は、システム自身の動作により発生させることができる。例えば、コイルをコンピュータ板とコイルホルダー板との間に配置し、それらをシステムの振動軸に固定して、それらの振動路にある一つかそれ以上の磁石に触れることなく通過させる。ここで電力および配置されたシステムの主たる目的は振動システムの慣性モーメントを変化させることであることを想起すると、システム全体の起動エネルギーおよび維持エネルギーは、ここでは携帯時計の駆動部材によって供給され、つまり機械式時計の場合は香箱によって供給される。
【0034】
本発明の他の適用分野
本発明の主たる特徴は、動作中に発振器5の慣性モーメントを修正することにある。しかしながら、定義されたとおり、発振器は回転軸の、または安定平衡軸の、どちら側にも移動される。また、本発明はどのようなモバイルであっても、バランスがとれていてもいなくても、その慣性モーメントがシステムの作動に重要であるようなモバイルの慣性モーメントを制御するよう構成されてもよい。ある部品の軸の周りの回転速度を制御することを可能とする機械的調整システムは、回転速度を変化させるために慣性モーメントを制御しなければならない。携帯時計製造に適用される技術は、全ての速度調整器において存在する。ミュージカルボックスや、自動人形や、いわゆるクオーター、ミニッツおよびグランド打鈴機能のメカニズムは、システムがそれらの機能を保証するために必要とする時間を調整する速度調整器として、モバイルを使用する。例えば、ミニッツ打鈴機構において、打鈴スピードを調整するためにアンクル脱進機が通常使用される。また、代わりに、回転軸上を移動可能な錘がアセンブリの回転速度に基づいて回転軸から強制的に離される構造を有するモバイルであって、モバイルの速度は慣性モーメントによって決まるような、遠心力を有するモバイルを使用することも考えられる。
【0035】
遠心効果に基づく回転速度調整システムにおいて、たとえばおもり同士が速いシステム速度によって離れる方向に移動するとき、システムはより多くのエネルギーを消費し、その結果速度が落ちる。速度が落ちることにより、遠心力の効果により、錘は互いにアセンブリの重心に近づき、そのためアセンブリのスピードが速くなる。
【0036】
本発明はモバイルの慣性モーメントを自律制御可能とするため、摩擦や遠心力や空気抵抗を利用する回転速度調整システムの代わりに、本発明を回転速度調整器として使用することができる。
【0037】
好ましくは、本発明によると、時計機構の振動部材、特に時計の発振器のテンプは、部材の慣性モーメントを修正するようその構成を修正される少なくとも一つのおもりを有し、部材が動作中もしくは停止中であるとき、動的にもしくは制御された状態で該おもりの構成を修正する。
【0038】
おもりは、例えば、圧電材料もしくは磁歪材料からなる。
【0039】
おもりは、例えば、部材の第一慣性モーメントを規定する第一安定位置または部材の第二モーメントを規定する第二安定位置を占めるよう配置される。有利には、第一安定位置と第二安定位置との間の中間位置は、不安定なもしくは過渡的な位置である。
【0040】
部材はおもりの構成を修正するための要素を有しても良い。おもりの構成を修正するための要素は、有利には、部材に取り付けられる。修正要素は、例えば、圧電材料もしくは磁歪材料からなる。
【0041】
おもりは、少なくとも第一磁気/電磁変位要素、またはおもりの構成を修正する要素、およびおもりを第一安定位置 および第二安定位置に割出しする要素を有してもよい。
【0042】
第一磁気/電磁変位要素は、磁石であってもよい。
【0043】
割出し要素はブレード、特に屈曲状に予応力をかけられたブレードであってもよい。
【0044】
本発明に係るアセンブリは、上述した部材に加えて、第二磁気/電磁変位要素、特に電磁石を有してもよく、第一および第二磁気/電磁変位要素が協同するよう構成されてもよい。
【0045】
該アセンブリは、機械エネルギーを電力に変換する要素、特に圧電または磁歪材からなる変換要素を有してもよく、およびまたは、該アセンブリは、太陽エネルギーを電力に変換する要素、特に光電池パネル、を有してもよく、変換要素は特に部材に取り付けられる。
【0046】
変換要素は、おもりおよびまたは修正要素からなってもよい。
【0047】
アセンブリは電気回路、特にコンピュータを有してもよく、該回路は部材に取り付けられ、特に部材の回転軸に取り付けられる。
【0048】
電気回路は参照発振器、特に共振電気回路またはクオーツ発振器からなる発振器を有してもよい。
【0049】
アセンブリは、部材のムーブメントの特徴であるセンサ素子、特に衝撃または加速度センサ素子を有してもよく、センサ素子は特に部材に取り付けられ、センサ素子は、例えば、おもりおよびまたは修正要素からなる。
【0050】
アセンブリは、完全にまたはほぼ完全に、圧電材料または磁歪材料からなってもよい。
【0051】
発振器は以下を有することができる。
−前に定義された振動部材、または前に定義されたアセンブリ、および
−渦巻ばね、特に圧電または磁歪材料からなり、または、その幾何学変形により電流を発生させる能力を有するすべての素材からなる、渦巻ばね。
【0052】
渦巻ばねは、電気導体として使用されてもよく、およびまたは発振器は、電気胴体としての役割を果たす少なくとも二つの渦線を有してもよい。
【0053】
要素は、修正要素と修正要素を駆動する電子装置との間に電力を供給することを可能としてもよい。
【0054】
時計の速度調整器は、前に定義した回転部材または前に定義したアセンブリを有してもよい。
【0055】
時計のムーブメントは、前に定義した発振器または前に定義した部材または前に定義したアセンブリまたは前に定義した緩急針を有してもよい。
【0056】
時計、特に携帯時計、具体的には腕時計は、前に定義したムーブメントまたは前に定義した発振器または前に定義した部材または前に定義したアセンブリまたは前に定義した緩急針を有してもよい。
【0057】
第1実施例
本発明に係る時計120の第1実施例を、図1から11を参照しつつ以下に説明する。
【0058】
時計は、時計のムーブメント110を有する。時計のムーブメントは、発振器100または緩急針100を有する。発振器または緩急針は部材5、特にテンプ5、を含むアセンブリを有する。
【0059】
図1から図3に図示される第1変形例に示すように、慣性モーメントを修正するための質量を移動することを可能とする電力を発生するための解決策は、下記の各手段を所定位置に配置することからなる。
1.振動システムの周波数の管理および補正は、該振動システムの慣性モーメントを変化させることにより実施される。
2.電流を受けて変形する能力を有する複数の圧電素子4はさらに、機械的変形をした際に電流を発生させ、供給する能力を有する。これら圧電または磁歪材の二つの物理的性質は共に利用される。
3.好ましくは、圧電材料4からなる素子は、携帯時計に実装される脱進機システムによって、機械的に誘導13される周波数共振に好ましい軸で発振器 5に取り付けられる。そのようにして、脱進機から発生する振動、特に脱進機のレベルにおける停止や推進力、だけでなく、全ての衝撃、特に携帯時計を装着することによって起こる振動もまた、圧電素子を振動させ、これら複数の圧電素子4のほぼ連続した励起により電流を発生させることに貢献する。圧電素子4が電流U PZTを供給することから、図7に示すとおり、圧電素子4が幾何学的および物理的変形にさらされたとき、携帯時計13にかかるさまざまな衝撃を制動することにより、圧力素子4を発振させおよびまたは周波数(PZT振動継続、PZT振動振幅)を誘発する。もちろん必要であれば、一方向か二方向に巻き上げる自動巻きを含む機械的ムーブメントの振動質量を、制動ばねを有しまたは有さない爪によって移動角距離の範囲を定められた振動質量に変換してもよい。自動式携帯時計の装着者の動きは、これらの爪にかかる振動質量に衝撃を与え、これらの衝撃の制動により圧電材料からなる素子4は振動し、電力を発生させるのに利用される。
【0060】
当然、機械エネルギーを電力に変換することを可能とする素子は、時計内の部品同士の衝撃、装着者の動き、または単に装着者の脈といったさまざまな種類の機械的エネルギー源から発生する機械エネルギーを変換することができる。
【0061】
好ましい適用において、コイル9と磁石10を含む上述の説明に含まれる全ての部分は、発振器5に固定された圧電素子4の幾何学的配置に置き換え可能である。唯一の電子部品はコンピュータ7 に配設され、オルタネータコンピュータクオーツ6または外部の絶対時間を参照する選択肢を有する。
【0062】
4.上記の解決策に比べて本解決策の有利な点は、製造の容易性と実装される部品数の少なさにある。システム全体の厚みを減らすことができ、何よりも、より容易に既存の機械式時計に取り付ることを可能とする。
【0063】
図4および5に示す第二変形例によると、クオーツ6を含む電子部品または電気回路7、コンピュータおよび発電機を埋め込まないために、それらの部品をテンプから離れた位置に実装することができる。つまり、これらの部品は好ましいことに、振動システムから離れた位置にある。
【0064】
振動装置に電気情報を送受信するために、電気接点を渦線の外部接続点、つまりひげ持、ひげ持受または発振器抑え枠内の渦線端部の固定との接点として、利用することができる。
【0065】
電気的な往復運動のために、発振器に第二渦線を取り付けることができ、この第二渦線は、第一渦線と同じく、中心に、発振器軸またはそれに固定された他の部品に対するアタッチメントを有し、この第二渦線の外側端は別のひげ持、 ひげ持受または発振器抑え枠内の渦線端部の固定部と接触する。
【0066】
当然、この第二渦線は、発振器の振動中に電力を伝達する機能を維持できるよう配置された電線形状(つまり、渦巻き形状に巻かれ、または発振器の速度を妨げない程度に曲げられ、または十分な弾性のある形状)に簡易化してもよい。
【0067】
これにより、本発明の発振器システムは、通常の渦巻きテンプが有する通常の要素、つまりヒゲゼンマイ軸、ひげ玉、渦巻ばね、テンプ、ダブルプレート、振り石、および圧電素子4から供給される電力によりテンプの慣性モーメントを修正することのできる渦巻きばねの端部に配置されるひげ持と圧電素子4、のみから構成することができる。
【0068】
図6および図8から11に示す第三変形例においては、1つ以上のおもり12がおもり12の構成を修正するための1つ以上の素子4、例えば圧電素子4、の端部に取り付けられる。この構成により、テンプの慣性モーメントを圧電素子4から供給される電力に基づいて修正することができる。
【0069】
第2実施例
本発明に係る時計320の第2実施例を、図12から16を参照しつつ、以下に説明する。この第2実施例において、各要素に付与した符号は、第1実施例において同じ、または類似した、または同じ機能を有する要素に付与した符号に200を足した番号である。
【0070】
この時計は、時計のムーブメント310を有する。時計のムーブメントは、発振器300または緩急針300を有する。発振器または緩急針は部材205、特にテンプ205、を含むアセンブリを有する。
【0071】
図12から16に示す第2実施例において、時計機構300の特に振動している回転部材205、特に時計の発振器300のテンプ205、は部材の慣性モーメントを修正するようその構成を修正される少なくとも1つのおもり204を有する。おもりは、部材が動作中もしくは停止中であるとき、動的にもしくは制御された状態でおもりの構成を制御可能なように配設される。少なくとも1つのおもり204は、「2つからなる」、つまり双安定型である。つまり、この少なくとも1つのおもりは、第一安定位置と第二安定位置とを占めることができ、これら第一および第二位置は明確に規定される。第一安定位置は 回転部材の第一慣性モーメント を規定し、第二安定位置は回転部材の第二慣性モーメントを規定する。
【0072】
この少なくとも1つのおもりは、第一磁気/電磁変位要素242、および第一および第二安定位置におもりを割り出しする要素243を有してもよい。
【0073】
そのため、この少なくとも1つのおもりは、第一回転半径と第二回転半径との間を移動することができる。平均的な回転半径(第一半径と第二半径の加重平均)によって、平均的な慣性モーメントと、ひいては回転部材の回転周波数または部材の振動周波数を定義することができる。
【0074】
この変位を生み出すために、第一磁気/電磁変位要素に加えて、第二磁気/電磁要素252を使用することが好ましい。これら第一および第二磁気/電磁変位要素は、少なくとも枠に相対する部材の所定の位置において、協同したり、相互に作用したりするよう構成される。この所定の位置は、振動部材の不安定平衡の位置であってもよく(部材の速度が打ち消される位置)、さらには部材が意図的に、特に何分の1秒かの間、典型的には2分の1秒以下、さらには4分の1秒以下の間、停止される位置であってよい。この位置は部材のその他の位置であってもよい。相互作用位置において、第一および第二磁気/電磁要素は、例えば、互いに対向もしくは実質的に対向する。
【0075】
相互作用位置において、第一および第二磁気/電磁要素は相互に作用して、おもりを変位することにより部材の慣性モーメントを修正する。
【0076】
ある特定の変形例において、第二磁気/電磁要素は枠に取り付けられた電磁石であって、特に枠に固定された状態で取り付けられる。第一磁気/電磁要素は部材に取り付けられた磁石である。おもりは、第一磁気/電磁要素および割出し要素を有することができる。割出し要素は、クリッカーのような、双安定のブレードからなってもよい。ブレードは、例えば半径に直角に延びる。ブレードは、例えば二つの端部で固定され、屈曲状に予応力をかけられていてもよい。ブレードは安定した状態であってもよいし、または図13に示す通り安定構成にあって第一慣性モーメントに対応してもよい。または、ブレードが外向きに屈曲されて、第二慣性モーメントに対応するような別の安定状態または安定構成であってもよく、ここで第二慣性モーメントは第一慣性モーメントより大きい。実際において、この第二状態にあって、おもり204の重心はブレードが第一安定構成にある場合に、その半径よりも大きい半径に位置される。
【0077】
モバイル部材に取り付けられた磁石は、枠に対して固定されて取り付けられた電磁石に対向する位置を通過する際に電力を生じるのに使用することができる。
【0078】
別の例として、同じ磁石と電磁石の組み合わせを、おもりを変位させてエネルギーを生じさせるために使用してもよい。実際において、回転部材の慣性を修正するために、磁石が通過するたびに電磁石にエネルギーを与える必要はない。この場合、電磁石の前を磁石が何回か通過した際に電力を生じさせることができる。最後に、電磁石の前を磁石が通過することによって信号を発生させ、それにより部材の振動の回転周波数を決定することができる。一度周波数が決定されたら、前述した参照周波数と比較し、それに基づいて部材の慣性モーメントを修正することができる。
【0079】
電磁石への電力は、電流もしくは制御装置207によって供給される。この装置はまた、部材の振動周波数を表す信号を収集することができる。この装置はさらに、この周波数を参照周波数に比較する要素を有することもできる。参照周波数は発振回路、特にクオーツにより供給可能である。好ましくは、この装置は枠に固定されている。
【0080】
この実施例において、変位要素242および252は、部分的に部材に、そして特に部分的に枠に配置される。この例において、界磁は部材に取り付けられた磁石であり、電機子は発振器の枠に固定された電磁石またはコイルである。
【0081】
部材に取り付けられた磁石の機能は、部材がモバイルで双安定のおもりの一部をなす場合、部材の慣性モーメントを修正することにある。しかしながら、他の磁石も部材に固定可能であり、それらは電力の発生のみに貢献する。言うまでもなく、電磁石またはコイルの数が増加するため、部材の周りに配置された電機子にも同じことがいえる。これら電力を生じさせる目的のみで追加されたコイルの特定の寸法も大きくすることができる。
【0082】
図16は、時間の関数としての第3実施例に基づく発振器の瞬間率の傾向を示し、発振器の構成は経時的に変化する。さらに、構成を修正する制御信号が図示される。継続して発信される同種の信号はあってもなくてもよい。唯一必要な信号は、発振器の構成を修正する信号である。さらに、前述の制御信号の結果としての、経時的な慣性モーメントの傾向が図示される。この慣性モーメント構成によると、第一の構成は負の歩度を引き起こし、第二の構成は正の歩度を引き起こす。そのため、第一の構成に基づく部材の時間帯と第二の構成に基づく部材の時間帯とを制御することにより、日々の歩度を打ち消すことができる。
【0083】
本発明に係る時計の発振器の動作方法の実施モードを以下に記載する。これは前述したどの実施例でも実施することができる。
【0084】
この方法は、
―渦巻ばねと、
―前述した振動部材または前述したアセンブリ
を有する時計の発振器の作動を制御する。
【0085】
あるいは、該方法は、前述した速度調整器の作動を制御する。
【0086】
好ましくは、該方法は自動であり、つまり使用者や携帯時計の製造者の介入を必要としない。
【0087】
該方法は、有利には以下の方法を含む。
−部材のムーブメントの現在の周波数、またはある期間中、特にスライディング期間中、のムーブメントの平均周波数、を決定し、
−決定した周波数を参照周波数と比較する。
周波数の誤差が生じた場合、動作中または停止中の部材の慣性を修正し、特におもりの構成を修正する要素を駆動することにより修正する。
【0088】
有利には、部材の慣性を修正することにより、周波数誤差を最小に抑えることを可能とし、さらには周波数誤差を打ち消すことを可能とする。
【0089】
好ましくは、修正ステップはおもりの変形およびまたはおもりの変位、特に屈曲状に予応力をかけられているブレードの変形を含む。このステップは例えば自動的に実施される。
【0090】
修正ステップは、電気信号、特に電圧を修正要素、特に電磁石52、にかけることを含む。
【0091】
修正ステップは、電気信号、特に電圧、を圧電材料または磁歪材料からなる修正要素およびまたは圧電材料または磁歪材料からなるおもりにかけること、およびまたは修正ステップは、磁気信号、特に地場、を圧電材料または磁歪材料からなる修正要素およびまたは圧電材料または磁歪材料からなるおもりにかけることを含む。
【0092】
決定ステップは、センサ素子、特に部材に取り付けられたセンサ素子、から供給される電気信号の分析およびまたは処理を含み、分析または処理は、部材または該部材を装着された時計に取り付けられた処理または分析要素によって実行され、およびまたは分析または処理は、該部材の期間の値を確認し抽出する。
【0093】
比較ステップは、部材に取り付けられたまたは部材を装着した時計に取り付けられた比較器によって実行することができる。
【0094】
該動作方法は、機械エネルギーを電力に変換するステップを有してもよく、この変換ステップは特に、部材に取り付けられまたは部材を装着した時計に取り付けられた変換要素によって実行可能である。
【0095】
決定、比較および修正ステップは、部材が動作中に、特に自動的に、実行することができる。
【0096】
有利には、修正ステップにおいて、決定された周波数が参照周波数より高い場合、おもりは第一安定位置に配置され、修正ステップにおいて、決定された周波数が参照周波数より低い場合、おもりは第二安定位置に配置される。第一安定位置と第二安定位置の中間の位置はすべて、不安定または過渡的な位置である。
【0097】
本発明に係る方法を実行するため、発振器または緩急針は、前述した各ステップの実施に必要なすべてのハードウェアおよびまたはソフトウェアの要素を有する。いくつかの要素はソフトウェアモジュールからなってもよい。いくつかのハードウェアおよびまたはソフトウェア要素は、電流7に含まれる。
【0098】
特に、図17に示すとおり、発振器100;300または緩急針は以下を有する:
−部材のムーブメントの現在の周波数またはある期間、特にスライディング期間、にわたるムーブメントの平均周波数を決定する要素501;この要素はコイルと磁石または圧電素子4を有する測定センサであってよい。
−決定された周波数を参照周波数に比較する要素502;この比較要素は例えばクオーツ6;206によって供給される参照信号による入力、および例えばセンサによって供給される、部材からの参照信号による入力によって駆動される比較器、および
―部材の慣性を修正する要素503、例えば圧電素子4;252、254;この修正要素は動作中または停止中の部材と共に駆動することができる。
【0099】
異なる実施例において、本発明に係る部材、発振器およびムーブメントの有利な点を以下に列挙する。
1.主たる優位点は、システムにおいて使用される、電気的な発振器もしくはクオーツの精度に近いまたは同等の計時精度を得ることにある。
2.さらなる優位点は、機械式時計の等時性を阻害するすべてのエラーを直ちに除去することにより、機械式時計の計時品質基準を覆すことにある。例えば、熱膨張の影響により、携帯時計を制御するシステムの一部を構成する部品の慣性モーメントが変化するが、この問題は摩擦に関連しており、言い換えるなら特定の位置に有効な潤滑油が存在するかどうかに関連している。本発明は、経時に伴う材料の摩耗から生じる問題の大部分を解決することを可能とする。本発明は有利には、調整部材にかける力を常に同じにするという目的を有する、「コンタクトフォースシステム」と呼ばれる全てのシステムと置き換えることができる。本発明はさらに、振動部材の慣性モーメントのみを修正することにより、携帯時計の測時平均の効果に直接働きかけることを可能とする。本発明の重要な優位点は、システムの測時修正に直接働きかけ、かつそれをループ状に行うことにより、常に計時のためのテンプの慣性モーメントを修正することができ、クオーツ等の参照発振器によって実施される計時と常に同じ状態に保つことができるということによる、測時精度にある。
3.産業的な優位点としては、本発明において実施される手段のおかげで、従来のインデックスアセンブリシステムを採用する従来の発振器を、本発明の振動システムに置換可能であることである。
4.加えて、熟練の職人でなければ、見た目で通常の従来型携帯時計と本発明の技術を実装した携帯時計とを見分けることはできない。疑う余地なく、唯一の識別方法は、本発明に係る携帯時計が可能とする極めて高い精度である。
5.本発明に係るシステムでは、電池を交換する必要がない。本発明のシステムの作動は、機械式時計に従来から含まれる香箱によって発生する機械エネルギーにより保証されている。
6.通常の携帯時計の部品を破壊するほどの非常に激しい衝撃以外は、外的影響も、過度の熱や過度の冷気も、磁場も、振動も、「活動的でない」装着者と「活動的な」装着者とが装着した場合の違いも、本発明に係る携帯時計の作動に影響を与えない。
【0100】
本明細書において使用される用語の定義
−「自律的」とは、「自身により管理される」という意味である。ここで意味されることは、慣性モーメントの自律的管理、言い換えるなら、今までの携帯時計製造において知られていることに反して、時計の部品を手動で調整する必要がないということである。実際において、通常のテンプの場合、慣性モーメントは、つりあいおもり(バランス座金)を追加したり、おもりを穴とネジ山に沿って前進させたり後退させたり、またはミリングや、折り曲げ、さらには通常は材料を切除することにより行われる材料の除去をレーザ照射に置換することによって行われる。「自律的」という語を使うことにより、発振器の慣性モーメントを調整するのは、外部の作業員や、人や、機械ではないことを強調している。
【0101】
−機械的発振器:本明細書全体を通して、「機械的発振器」という用語は、安定平衡の両側を移動するシステムを定義する。発振器は、周期的かつ動的に作動するシステムである。発振器は渦巻ばねと関連する携帯時計のテンプであり、調整部材と同義であり、発振器は振子システムの分野において「振子」と呼ばれる部材であるといえる。
【0102】
−圧電材料:本明細書全体を通して、「圧電材料」とは、変形されることによりエネルギーを生じるという特徴を有する全ての圧電素材を意味すると理解されるべきであり、逆に言えば、電界が存在する場合に変形されるものである。水晶の分子構造は完全な電気的均衡であるが、水晶に圧力がかけられた場合、均衡が破れて電界が形成される。
【0103】
−「部材が動作中であるとき、修正することのできる構成」という表現は、部材が動作中であるとき、その構成を修正することができるということを意味する。この構成は、部材が静止中に、特に部材が不安定均衡の位置で停止している間または部材が何分の一秒の間停止している間に、同じ方法でおよびまたは同じ要素を使用して、構成を修正する可能性を排除するものではない。
【0104】
本発明で使用される圧電材料は、単結晶の性質を有し、または圧電容量に相対的な所定の方向に粒が配向されたセラミック系の素材、または樹脂(マトリックス)にトラップされた圧電材料の粒を有する合成材であってもよい。さらには、圧電材料を0.1から20ミクロン厚さの非常に薄い層の状態で使用してもよい。
【0105】
「動的にもしくは制御された状態でおもりの構成を修正することができる」という表現は、おもりの構成が、特に、1つ以上のパラメータに依存する所定のロジックに基づき、制御されもしくは駆動されることを意味する。これは、例えばおもりの熱膨張の効果により、または周囲の温度変化や加速度の影響によるおもり支持部により、受動的に修正されるおもりの構成を排除するものである。これはさらに、おもりが部材の位置のみによって修正される構成も排除するものである。好ましくは、やり方は以下に基づく。
−決定された部材のムーブメントの現在周波数、または所定の期間、特にスライディング期間、中のムーブメントの平均周波数;およびまたは
−決定された周波数の参照周波数との比較;およびまたは
−決定した周波数と参照周波数との間の周波数誤差。
このやり方はさらに、携帯時計製造者または使用者によってなされた修正、特に錘の変位によってなされた修正を排除するものである。
【0106】
各変形例や実施例において、回転部材またはアセンブリまたは発振器またはムーブメントまたは時計は、電力を発生させる光電池素子のみを有してもよく、または1つ以上の圧電素子およびまたはコイル等の1つ以上の電磁素子によって生じる電力など、他の技術に追加してもよい。
【0107】
各変形例や実施例において得られた精度は、発振器の機械的周波数を大きく減らすことを可能とする。例えば、20600振動/時または28800振動/時または36000振動/時の代わりに、本発明に係る発振器の作動周波数は7200振動/時またはそれ以下、さらには3600振動/時またはそれ以下に調整可能である。機械的周波数をこのように減らすことにより、機械的システムのエネルギー消費を減らすことができる。つまり、機械的周波数が少なければ少ないほど、同じ機構における歩度も少なくてすむ。発振器が低い周波数で作動する場合、ムーブメントはより少ないモバイルしか必要としないことから、「比例」という用語も使用することができる。つまり、少ないエネルギー損失により、効率が向上するということである。その結果、通常の機械周波数の1/4になると、携帯時計の自律性、言い換えるなら香箱ばねの展開時間を、4倍にすることが可能となる。
【0108】
各変形例や実施例において、携帯時計の等時性に対する妨げは、発振器の周波数を積極的に管理することにより訂正できる。しかしながら、香箱ばねの展開の端部では、ばねにより供給されるエネルギーは発振器を正しく作動させるのに十分ではない可能性がある。そのような前提によると、発振器の精度は低い恐れがある。従って、各変形例や実施例において、発振器を停止する、または1つ以上の時間表示モバイルを停止する機構を有してもよい。この機構は第二の停止機構として機能してもよい。特に、この機構は、使用できるエネルギーが少なすぎる場合に、発振器または1つ以上の時間表示モバイルが動作することを防止するため、変位または変形を制御する電気信号を受信する圧電タイプの素子を有することができる。そのため、正しい作動を保証できる機械エネルギーが不足している場合、システムの作動を防止することができる。停止機構は、香箱によって提供されるエネルギーが少な過ぎる場合、発振器または1つ以上の時間表示モバイルまたは仕上げギア列を停止することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17