(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内側部の内側スカートの上方部分(26C)の広がり面が、シャフトの幅広部分(46)上に形成される中空部または逃げ構造(26G)と協働するように適合される逃げ構造(26G)または中空部に接続される、請求項1または請求項2に記載の容器。
内側スカートが、貯蔵部の底部に向かって、かつ縦方向に向かって先細りになる下方部分(26D)を備え、シャフトは、塗布部材が貯蔵部内でその閉鎖構成にあるとき、内側部の内側スカートの下方部分(26D)の自由縁部がくびれ領域の周囲に位置するようなレベルで縦方向に位置するくびれ領域(48)を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の容器。
内側部の内側スカートの下方部分(26D)が、該内側スカートの上方部分にわたって延在する距離の最大でも半分に等しい距離にわたって、縦方向に延在する、請求項4に記載の容器。
塗布部材のシャフトの幅広部分(44、144)が、貯蔵部から塗布部材を取り出す縦方向の移動の間に、シャフトに対して指部を強制的に拡張させるように、該幅広部分(44、144)の張り出し面(45)の上縁部からシャフトに向かって延在する先細部分(47)を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の容器。
本体(10、110)が、外側部(10A)と、カム形成面(16、116)が設けられた内側部(10B)と、を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の容器。
本体(10、110)の内面および貯蔵部(20、120)の外面が、抵抗増大点を構成する相補的部材(117、118)を備え、その高い作動位置から本体内への貯蔵部の下降に対する抵抗を引き起こす、請求項1から9のいずれか一項に記載の容器。
【背景技術】
【0002】
従来、液体または粘性のある化粧品用の容器は、塗布部材を有する。この塗布部材は、実際には、使用者が、例えば、まつ毛または唇に化粧品を塗布するために、片方の手の指で把持するキャップを備える。化粧品が流体であるという事実は、キャップが容器のネック部上に係合されているとき、化粧品が塗布される期間以外は効果的な密封が提供されなければならないことを意味し、実際には、この密封は、容器のネック部へのキャップのねじ込み、またはクリップ作用による閉鎖によって得られる。その結果、閉鎖構成において、キャップがマスカラまたはグロス容器の外面の大部分を形成することとなり、化粧品を塗布する行為の前に、容器を開けるために動作の組み合わせまたはかなりの力が必要となり得る。
【0003】
文献、欧州特許出願公開第1721543号明細書に、化粧品用の種々の容器の中でも、マスカラ(またはさらにはグロス)用の容器について説明する変形例が記載されており、容器は、
縦方向に細長く、底部および自由縁部を備える、本体と、
該本体内に収容され、低い安定位置と高い安定位置との間で並進移動可能な貯蔵部であって、ネック部を備える、貯蔵部と、
本体と貯蔵部との間に配置される2つの安定した離脱位置を有する弾性的に圧縮可能なデバイスであって、2つの安定した軸方向離脱位置は、貯蔵部の高いおよび低い2つの安定位置を画定する、弾性的に圧縮可能なデバイスと、
マスカラで充填されるように適合される塗布具によって終端するシャフトを備える塗布部材であって、この塗布部材は、シャフトおよび塗布具の一部が、塗布具がマスカラで充填されることを可能にするように貯蔵部内に収容される静止構成を有し、貯蔵部および容器から完全に出るまで該静止構成のままであることができる、塗布部材と、
塗布部材のシャフトに接合され、本体内に係合するように適合されるキャップであって、弾性的に圧縮可能なデバイスの安定した軸方向離脱構成は、塗布部材が貯蔵部内でその静止構成にあるとき、キャップが本体の自由縁部と同一面上で本体内に格納されるか、または本体から少なくとも部分的に突出する、キャップと、
塗布具が貯蔵部に進入するとき、またはそこから引き出されるときに塗布具によって横切られるように、貯蔵部の出口に設けられたワイパーと、
シャフトによって担持される隆起部と、貯蔵部のネック部上に設けられた固定爪部とによって構成される、シャフトおよび貯蔵部のネック部によってそれぞれ担持される相補的密封部材と、を備え、貯蔵部の高い位置において、爪部は、貯蔵部が摺動する本体の内部容積外に拡張するのに対し、低い位置において、爪部は、隆起部上に係合された状態に留まるように、該本体の内壁によって集合構成に維持される。
【0004】
そのような構成は、不注意による開放(静止構成において、可動部が伸縮自在に完全に後退する)の重大なリスクもなく、使用において単純かつ信頼できる一方で、ひどく嵩張ることもなく、非常に流麗な美的外観を有することが可能である。
【0005】
そのような容器において、貯蔵部は、弾性的に圧縮可能なデバイスによって本質的に画定される2つの主要な位置の間で移動可能であり、相補的密封部材は、貯蔵部がその高い位置に到達していない限りは互いに係合した状態に留まり、分離するためには本体から軸方向に出る必要があることに留意されたい。このことは、弾性的に圧縮可能なデバイスの移動距離が、キャップの軸方向寸法に少なくとも等しくなくてはならないことを意味する。
【0006】
したがって、そのような容器の使用は、単純かつ信頼できるだけではなく、そのような容器はさらに、使用者による複雑な動作は必要としないが、特定の構造の複雑性および寸法上の制約という代償を伴って、良好な密封特性を有する。
【0007】
文献、仏国特許出願公開第2936939号明細書(または欧州特許出願公開第2346370号明細書)は、次いで、全く同じ寸法上の制約を受けない、より良好な密封を有する液状またはペースト状化粧品用の容器を提供した。
【0008】
この容器は、文献、欧州特許出願公開第1721543号明細書の明細書の教示と比較すると種々の相違点を有する。
【0009】
具体的には、密封部材に関して、シャフトは、塗布具に向かって密封部分と、キャップに向かって横方向の接触面とを備える隆起部を備え、貯蔵部は、そのネック部に到達する前に、密封部位を軸方向に当接して受容するように適合されるくびれ部と、そのネック部を超えると、その外周に沿って、複数の剛性セクタおよび弾性セクタによって形成されるカラーとを備え、該カラーは、本体の内側断面よりも大きな横方向サイズの緩和構成と、該本体内に拘束される制限構成とを有し、剛性セクタは、該カラーの内側縁部に沿って、塗布部材がその静止構成にあるときにくびれ部に対して密封部分を維持するように、隆起部の横方向の接触面に対して軸方向に当接するように適合されるリムを備え、好ましくは、カラーの少なくとも剛性セクタは、本体内でカラーをその制限構成に維持するために本体の内壁に対して当接する外側リムをさらに備え、有利には、カラーは、同様に剛性または可撓性部分によって形成されるスカートによって連結され、貯蔵部のくびれ部を覆い、好ましくは、くびれ部は、貯蔵部の内側に向けてワイパーリップを備える、貯蔵部の追加部分の一部を形成する。
【0010】
さらに、この文献には、弾性的に圧縮可能なデバイスが、キャップを使用者の指がキャップを引っ張ることができる十分な保持を提供する構成に至らせると、もはや、該弾性的に圧縮可能なデバイスは、貯蔵部をその高い作動位置に達するように上昇させることができる必要がなくなり、キャップに対する引張力によって、貯蔵部が該高い位置に達するために上昇移動を完了させることが可能であり、次いで、貯蔵部は、該高い位置からの下降を制動する抵抗増大点の存在によって保持され得ることが記載されている。
【0011】
シャフトの隆起部と、貯蔵部のネック部によって提供される密封部材との間の前述の協働は、文献、欧州特許出願公開第1721543号明細書の教示と比較して、シャフトの軸に対して半径方向に移動可能な爪部をもはや用いないという利点を有する一方で、塗布具によって運ばれる化粧品が詰まりやすいスロットによって隔てられており、このことは、該貯蔵部のネック部の清浄度および塗布具の耐久性に悪影響を与える可能性があることを理解されたい:実際のところ、この文献には、カラーの剛性セクタの間に、該カラーの外周の連続性を確実にする可塑性セクタを配置することが記載されている。
【0012】
しかしながら、従来技術の爪部と同様に、カラーは、貯蔵部が該カラー(またはそれらの爪部)が該本体外に来るように本体内で十分に上昇された場合に、半径方向に拡張して隆起部を解放することができるのみであり、換言すると、隆起部の解放は、塗布部材が後退する本体の縁部を通過することによって決定される。さらに、隆起部上のカラーの効果に起因する軸方向構成要素の存在から密封が得られ、これはすなわち、塗布部材と貯蔵部との間の軸方向の連結の機能と、密封機能が連結していると言える。
【0013】
しかしながら、具体的には、密封を維持しながら、本体内の中間レベルで前述の軸方向の連結を切り離すことができるように、係止および密封によりこれらの軸方向の連結の機能を切り離すことが有利である構成が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
その目的のために、本発明は、ペースト状または液状化粧品用の容器であって、
底領域および自由縁部を備える、縦方向(Z−Z)に延在する細長い本体と、
該化粧品を含み、本体内で、最大押し込み位置と、高い作動位置と称される最小押し込み位置との間で並進移動可能である、貯蔵部であって、底部と、該底部から離れた縁部と、を備える、貯蔵部と、
本体と貯蔵部との間に位置し、貯蔵部の本体内への最大押し込み位置を決定する最大軸方向格納構成に対する2つの安定した軸方向離脱構成、すなわち、貯蔵部の高い作動位置を決定する最大伸長構成と、該貯蔵部について最大押し込み位置と高い作動位置との中間である低い静止位置を決定する安定した格納構成と、を有する、弾性的に圧縮可能なデバイスであって、これらの安定した構成の一方から他方への該デバイスの移動は、該本体と該貯蔵部との間に配置される軸方向ばねに対する最大軸方向格納構成への格納によってなされる、弾性的に圧縮可能なデバイスと、
キャップに接合され、該キャップに接合されたシャフトを備え、かつ、該シャフトが貯蔵部の縁部を横切る該貯蔵部に対する閉鎖構成において、貯蔵部に押し込まれたときに化粧品で充填されるように構成される塗布具で終端する、塗布部材であって、該キャップは、閉鎖構成において、少なくとも大体は本体内に格納されるように、また、該貯蔵部がその高い作動位置にあるときに、使用者の指の間の把持および単なる軸方向の引っ張りによって貯蔵部からおよび本体からの塗布部材の引き出しを可能にするのに十分な距離だけ本体から少なくとも部分的に突出するように構成される、塗布部材と、
該貯蔵部がその最大押し込み構成にあるときにその縁部における貯蔵部の密封閉塞を確実にする一方で、シャフトを貯蔵部に軸方向に連結させるように、塗布部材のシャフト上に、および貯蔵部上の自由縁部の近くに分布する相補的部材と、を備え、
これらの相補的部材が、
上方部分が、本体の内面に対して横方向に延在する一方で、貯蔵部の縁部を覆い、下方部分が、その縁部の近くで貯蔵部内に密封係合される、周辺部と、
周辺部を構成する材料よりも可撓性の高い材料でできた、該周辺部に締結される、内側部であって、貯蔵部の外側に向かって広がった内面を有する上方部分を備える内側スカートを備える、内側部と、
縦方向のより近くに、またはそこから離れて移動するように周辺部内で横方向に移動可能であり、貯蔵部の外側であるが常に本体の内側に横方向に位置するヘッドを備える、指部と、
貯蔵部が本体内に下降移動する時に縦方向に向かってヘッドを押すように構成される、本体の内面上に設けられたカム形成面と、
塗布部材が貯蔵部内でその閉鎖構成にあるときに、幅広部分が内側スカートの上方部分内に摩擦によって係合され、縦方向に対しては、指部のレベルよりも低いレベルにあるような位置でシャフト上に設けられた幅広部分と、を備えることを特徴とする、容器を提供する。
【0016】
本発明によれば、塗布部材と貯蔵部との間の軸方向の連結の解除は、容器の設計者によって選択される本体内の任意の位置で行われてもよく、貯蔵部、または周辺部もしくは内側部が本体を出る必要はないことに留意されたい:このことは、使用構成にある時を含めて容器の美的外観を保つことに寄与する。さらに、内側スカートの上方部分におけるシャフトの幅広部分の摩擦係合により、可動指部によって提供される軸方向の係止とは無関係に、満足の行く密封が提供され得る。
【0017】
本発明は、既知の解決法において提供されるよりも多数の単一部品を含まないことに留意されたい。
【0018】
有利には、カム形成面は、貯蔵部の最大押し込み位置に向かう移動の終了時にかけて指部のヘッドと協働するように位置する。これはすなわち、貯蔵部への塗布部材の係止は、貯蔵部の可動範囲のほんの一部にわたって起こるのみであると言うことができる:その高い作動位置(最小押し込み位置)に達するための貯蔵部の上昇が弾性的に圧縮可能なデバイスによって提供される場合、使用者の指による塗布部材の引っ張りは、実際には、該塗布部材が貯蔵部との密封を維持する必要がなく、貯蔵部から分離され得るときにのみ起こるということに留意されたい:したがって、内側スカートの上方部分における幅広部分の摩擦係合は、大きな力によって行われる必要はない。
【0019】
別の有利な特徴によれば、カム形成面は、低い静止構成から始まる本体内における貯蔵部の可動範囲の1/3に最も近い縦方向の距離にわたって指部のヘッドと協働するように位置する。
【0020】
さらに別の有利な特徴によれば、内側部の内側スカートの上方部分の広がり面は、シャフトの幅広部分と協働するように適合される、有利には環状である逃げ構造に接続され、その中には、該逃げ構造を受容するように適合される、環状であり得る中空部が有利に形成される。変形例として、内側スカートの広がり面は、有利には環状である逃げ構造が有利に提供され、シャフトの幅広部分と協働するように適合される、有利には環状である中空部に接続される。
【0021】
別の有利な特徴によれば、内側スカートは、下方部分をさらに備え、したがって内側スカートは二重スカートを形成し、下方部分は、貯蔵部の底部に向かって、かつ縦方向に向かって先細りになる。
【0022】
下方部分は、例えば、上方部分よりも可撓性が高い。
【0023】
さらに別の有利な特徴によれば、シャフトは、塗布部材が貯蔵部内でその閉鎖構成にあるとき、内側部の内側スカートの下方部分の自由縁部がくびれ領域の周囲に位置するようなレベルに縦方向に位置するくびれ領域を備える。これは、貯蔵部内で空気圧の平衡を取ること、および該下方部分が本体内で貯蔵部の低い構成に供される力を最小限に抑えることに寄与し、正確には、シャフトの幅広部分の係合による上方部分の変形が、縦方向に向けて下方部分の傾斜を引き起こし得る:該下方部分がシャフトに対して押されることには利点が存在しない(対照的に、容器が使用されていない期間の間は、該下方部分が弾性的に作用されないことが好ましい)。
【0024】
別の有利な特徴によれば、内側部の内側スカートの下方部分は、該内側スカートの上方部分にわたって延在する距離の最大でも半分に等しい距離にわたって、縦方向に延在する。
【0025】
別の有利な特徴によれば、内側部の内側スカートの下方部分は、貯蔵部の底部に向かって減少する厚さを有する。これにより、該下方部分の自由縁部に相当な可撓性を付与することが可能になり、ワイパーリップとしてのその役割を促進する。
【0026】
別の有利な特徴によれば、塗布部材のシャフトの幅広部分は、貯蔵部から塗布部材を取り出す縦方向の動作の間に、シャフトに対して指部を強制的に拡張させるように、該幅広部分の張り出し面の上縁部からシャフトに向かって、例えば、シャフトの頂点に向かって延在する先細部分を備える。これは、ヘッドがもはやカム形成面に対して接触しなくなったときに、シャフトからの指部の離脱を確実にするのに寄与する。
【0027】
別の有利な特徴によれば、周辺部および内側部は、成形可能なプラスチック材料である。これにより、製造が大幅に簡素化される。
【0028】
さらに、周辺部および内側部は、単一部品として形成されてもよいか、または2つの別個の部品として形成され、次いで、例えば、一方を他方に挿入することによって弾性的に嵌合されてもよい。
【0029】
別の有利な特徴によれば、本体は、外側部と、カム形成面が設けられた内側部とを備える。これにより、所望の美的外観を提供する材料が外側部のために選択され、所望の幾何学的形状に適合する異なる材料が内側部のために選択されることが可能となる。
【0030】
別の有利な特徴によれば、本体の内面および貯蔵部の外面は、抵抗増大点から構成される相補的部材を備え、その高い作動位置から本体内への貯蔵部の移動、具体的には、例えば、その高い作動位置から本体内への貯蔵部の下降に対する抵抗を引き起こす。
【0031】
本発明の目的、特徴、および利点は、添付の図面を参照して、非限定的な例として与えられる以下の説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1から
図3は、1と示される容器を全体的に表す。容器は、主に、本体10と、本体10内で移動可能な管状貯蔵部20と、本体と貯蔵部との間に介在する弾性的に圧縮可能なアセンブリ30と、貯蔵部20と協働するように構成される塗布部材40と、塗布部材40を支持し、かつ塗布部材40が貯蔵部20内に係合したときに本体10を閉塞するように適合されるキャップ50と、を備える。
【0034】
本体10は、細長く、この場合は垂直である縦方向Z−Zに延在し、底領域11および自由縁部12を備えている。この場合の縦方向は、対称軸であり、本体の断面は、考えられる例において正方形(
図5および
図6を参照)、またはより具体的には丸みを帯びた正方形を有し、すなわち、本体の側面が外側に湾曲している。図示されない変形例として、断面は、長方形、またはより単純な幾何学的形状、例えば、円形(回転対称)、またはさらにはより複雑な形状、例えば、4を超える角数を有する多角形、もしくは楕円等を有してもよい。好ましくは、この縦方向は、それを通過するいずれの平面においても、本体とその平面とが交差する対称軸である。
【0035】
本体10は、1つの部品から形成されてもよいか、または互いの上に取り付けられた複数の部品(例えば、底部品に取り付けられた管)から形成されてもよい。本明細書に示される例において、この本体は、容器に付与することが望ましい外観に従ってその材料および質感が主に選択される外部金属スリーブ10A(側壁および底部を画定する)と、例えば、プラスチック材料から形成される内側ケージ10Bとから形成される。
【0036】
図9および
図10にも示されるケージ10Bは、この場合、底部10Cと、スリーブの側壁の4つの2面角のうちの3つに配置される3つの直立部10D、10E、10Fとを備える。ケージの3つの直立部によって画定される外側輪郭は、ケージがスリーブの底部内に収容されるように、スリーブの内部寸法に実質的に等しい寸法を有する。さらに、ケージの3つの直立部によって画定される外側輪郭は、後に説明する貯蔵部20の誘導を可能にするための円形エンベロープを有する。3つの直立部のうちの2つは、スリーブの高さの約半分である高さを有するが、この高さは重要ではなく、第3の直立部10Fは、傾斜面16および側方支持部15との接触面で終端する高さ増加部分によって延長される。これらの部分については後に説明する。アセンブリは、スリーブの高さ、および本体内部の貯蔵部の可動範囲によって画定される高さを有する。これについては後により詳細に説明する。3つの直立部は、ケージの高さにわたって分布する交差部材によって一緒に連結されてもよい。いずれの直立部もない2面角に位置するケージの開放部は、射出成形時に部品が型から外れることを可能にし、またケージ内における貯蔵部および弾性的に圧縮可能なアセンブリの組み立てを可能にする。
【0037】
ケージ10Bは、スリーブ10Aの底部に収容され、これらの部材は、任意の適切な手段によって、特に、熱可塑性接着剤を使用した接着によって組み立てられる。他の手段もまた適切であり得る。既に前述したように、スリーブおよびケージは、単一部品を形成してもよい。
【0038】
貯蔵部20は、塗布部材40を使用して塗布するための、流体、すなわち、液体または粘性のある化粧品を含む。化粧品は、
図8の参照番号100によって示される。本明細書において、これはグロスであるが、変形例として、例えばマスカラであってもよい。この貯蔵部は、底部21および縁部22を備え、その断面は、一方が本体の底部に向かう本体内への最大押し込みに対応し、他方が本体内への最小押し込みに対応する2つの縦方向にオフセットした構成の間で、ケージの直立部の間を(単純に並進移動によって)摺動することができるように形成される。この貯蔵部は、これら2つの押し込み構成の間の可動範囲全体にわたって該本体内に完全に収容されるように設計される。したがって、貯蔵部の高さは、その2つの押し込み構成間における貯蔵部の移動の振幅の分だけ低減され、本体の高さよりも低い。
【0039】
図示される実施形態において、貯蔵部は、
図9に示されるように略円形の断面を有する。壁は、後に説明する肩部23の場合のように、貯蔵部の直径における変化によって局所的に特徴付けられる肩部を有することができる。貯蔵部はまた、内部に円形断面を有する。この断面の形状は、限定的ではないものの、化粧品の良好な排出を可能にするため、好まれる。
【0040】
ケージと貯蔵部との間に介在する弾性的に圧縮可能なアセンブリ30は、最大押し込み構成に対する2つの安定した離脱位置を貯蔵部に付与するようにそれ自体が既知である様式で設計される:
図1において、貯蔵部は、本体に対して、「安定した低い離脱位置」として適格なこれらの安定位置の一方、すなわち、最大押し込み構成に近い安定位置にあり、
図2において、貯蔵部は、本体に対して、「安定した高い離脱位置」にあり、かつ前述の貯蔵部の最小押し込み構成に対応する他方の安定した離脱位置にある。アセンブリ30は、実際に、
図9に具体的に示されるトラック34に沿って貯蔵部によって担持される追従指部33と組み合わせて、本体の底部11と貯蔵部との間(この場合、ケージの底部10Cと、貯蔵部の壁の外側に形成される肩部23との間)で縦方向に圧縮されるばね31を備え、トラック34はケージの中央の直立部、直立部10Eからくり抜かれており、そのうちの少なくとも一部は逆ハート形状である。さらなる詳細については、特に、文献、欧州特許出願公開第1721543号明細書、または文献、欧州特許出願公開第2346370号明細書が参照されてもよい。操作において、貯蔵部20が本体の底部11に対してその安定した離脱位置のうちの一方にある場合、ばね31の影響下で、最大押し込み構成(図示せず)に達するまで加えられる押圧により、貯蔵部20が他の押し込み構成になることが可能となる。
【0041】
欧州特許出願公開第1721543号明細書、または例えば欧州特許出願公開第2346370号明細書に記載されるもの等の、弾性的に圧縮可能なアセンブリを構築する他の様式もまた好適であり得る。
【0042】
貯蔵部の低い安定した離脱位置は、トラックの「真ん中」である34Aにおける追従指部33の位置によって画定される。高い安定した離脱位置は、貯蔵部20の外面にくり抜かれた直径方向に対向する2つの溝(
図9では溝24のみが見られる)の中を通る、直径方向に対向する2つのスキッド(
図9ではスキッド10Gのみが見られる)の通路によって画定される。高い安定位置において、スキッドは溝の下方端部に当接しており、ばね31は完全には緩んでおらず、ケージと貯蔵部との間に推力を印可する。他の構築形態もまた、本体の自由縁部12に向かう貯蔵部の移動を制限するために好適であり得る。
【0043】
塗布部材40は、貯蔵部に対する「閉鎖構成」と称される構成において該貯蔵部に押し込まれたときに化粧品で充填されるように適合される塗布具42によって終端するシャフト41を備える。他方の端部にはキャップ50が位置し、それによって使用時には使用者が塗布部材を保持する。塗布具42は、既知の種類であるため、詳細には説明しない。それは、へら、ブラシ、または他の適切な種類の塗布具であり得る。塗布具42は、シャフトの端部に取り付けられるか、またはさもなければ、シャフトとともに単一部品として形成されてもよい。
【0044】
キャップ50は、本体内に格納されるまで、わずかな横方向の遊びを持って本体の頂上部分内で摺動できるように成形された断面を有する。
【0045】
キャップ50は、塗布部材40に接合されているが、通常、該部材とは別個の部品として形成される。示される例において、シャフト41には、圧力嵌めによってキャップの内側に取り付けられたヘッドが載置されているが、変形例として、生産技術によって可能である場合、それは1つの同じ部品であってもよい。
【0046】
貯蔵部20には、その自由縁部22上に、周辺の追加部分25が設けられ、それに内側の追加部分が取り付けられている。これら2つの部分のそれぞれの機能のために、内側部26は、周辺部の剛性よりも低い剛性を有する材料でできている。
【0047】
図3に示すように、周辺部25は、略円筒形状であり、かつ自由縁部22の近くで貯蔵部の頂上部分に圧力嵌めによって係合される、下方部分25A(方向Z−Zを基準にして)と、貯蔵部から本体の内壁まで横方向に突出し、したがって、貯蔵部の外壁と本体の内壁との間の横方向に位置する空間を閉塞する一方で、貯蔵部が本体内を移動する間に内壁に沿って摺動することが可能である、上方部分25Bと、を備える:この上方部分25Bの突出部25Eは、形状および寸法は、自由端部12の位置における本体の形状および寸法に実質的に対応し、本体の内壁に沿って摺動して通過できるように外周リップに組み込まれてもよい。このようにして、貯蔵部は、その底部分では、ケージの直立部によって、またその頂上部分では、スリーブの内側部分に沿って摺動する突出部25Eによって、本体内に誘導される。
【0048】
上方部分25Bは、突出部の下方に、縦方向Z−Zに向けて方向付けられたボアを備え、その中で摺動するように構成される指部25Cが取り付けられる。このボアは、この場合、縦方向Z−Zに垂直であるが、変形例として、該縦方向Z−Zに垂直な平面に対して若干の傾斜を有してもよい。
【0049】
この指部25Cは、ボア内におけるその位置のいくつかにおいて、縦方向Z−Zに向かって突出するように構成される内側端部と、上方部分25Bの外側に位置し、後に説明するように、貯蔵部の外側に配置された種々の表面と協働するように構成される、幅広いヘッドとを備える。
【0050】
このため、貯蔵部の自由縁部の上方に、縦方向に指部が位置してもよい。しかしながら、貯蔵部内における上方部分25Bの最適な機械的強度特性、ひいては該上方部分における指部の最適な保持を確実にするために、該指部は、好ましくは、貯蔵部の壁に局所的に形成される縦方向の切り欠き(またはさらには単純な開放部)のために、貯蔵部の壁にわたって位置し、それによって、上方部分25Bが貯蔵部内に保持される位置に、指部が縦方向に位置することができる。
【0051】
図3において27と示されるか、または
図9において見られる切り欠きの底縁部は、指部25Cが縦方向Z−Zの近くに来たときにヘッドと当接する役割を果たすことができるように形成される。
【0052】
貯蔵部が本体内で所定の位置にあるとき、指部25Cは、ケージの第3の直立部10Fと一直線上にあり、その幅広いヘッドが直立部の傾斜面16と接触するよう誘導される。
【0053】
傾斜面16は、キャップ50および塗布具を本体内に押し込んだときに、指部25Cを、その縦方向Z−Zから離れた位置(
図2の位置)からその縦方向Z−Zに接近した位置(
図1の位置)に至らせるために設けられる。側方支持部15との接触面は、貯蔵部がその安定した低い離脱位置に位置するときに、指部をその接近した位置に保持する。
【0054】
図3に示されるように、内側部26は、この場合、横方向部26Aから始まって、外側スカート26Bならびに二重内側スカート26Cおよび26Dを備え、内側スカートは、上方部分26Cおよび下方部分26Dを備えるという理由から、本明細書において二重であると言われる。
【0055】
本発明のデバイスの機能は、たとえこの下方部分の非存在下であっても提供されるため、そのような下方部分は任意選択的であるに過ぎないことに留意されたい。
【0056】
この外側スカート26Bは、周辺部25の下方部分25Aの底部分25Dの周辺に嵌合される弾性挿入部を有するように形成される:より具体的には、図中、上向きに配向されているこの外側スカートは、この場合、その頂縁部に沿って、外側スカート26Bから縦方向Z−Zに向かって突出するビード26Fを備え、周辺部25の底部分25Dは、その底縁部に沿って、縦方向Z−Zとは反対側に突出するビード25Fを備える:これら2つのビード25Fおよび26Fの組み合わせは、部分25と部分26との間に良好な相互接続を提供するが、これらのビードの存在は任意選択的であるに過ぎないことを理解されたい。横方向部26Aは、好ましくは、該外側スカート26Bと、二重内側スカート26Cおよび26Dの上方部分26Cとによって画定される環状チャネルの底部を画定する。
【0057】
図中、横方向部26Aから上向きに配向されているこの上方部分26Cは、略配向が縦方向に平行である一方で、上向きに広がった内面26E(縦方向に面する)と、周辺部25のこの底部分の内面にほぼ平行な外面(周辺部25の底部分25Dに面する)とを有する壁を有する:したがって、この上方部分26Cは、この場合、塗布部材のシャフトの幾何学的形状の機能(上記参照)に従って、数学的な用語の意味において(例えば多角形の断面、もしくは例えば楕円)、または通常の用語の意味において(円板の断面)、実質的に円筒状である形状の体積を画定すると言うことができる。二重スカートのこの上方部分と周辺部の底部分との間に、縦方向から離れたこの上方部分の変形を可能にするように適合される環状空間が提供される。
【0058】
横方向部26Aから下向きに上方部分26Cを延長する内側二重スカートの下方部分26Dは、若干下向きに、かつ縦方向に向かって先細りになる:後に分かるように、この下方部分は、塗布具の拭き取りを行うように適合される。さらに、この下方部分は、下向きにテーパ状の断面を有してもよく、そうすることにより横方向部分から増加する可撓性を付与し、シャフト上のワイピングリップとして作用することを可能にする。しかしながら、スカートの下方部分は任意選択的である。
【0059】
中間部分26Gは、上方部分26Cと下方部分26Dとを連結する。この中間部分は円筒状である。中間部分は、内側部の横方向部26Aの位置に位置する。
【0060】
内側部26を部分25に締結する機能を有する外側スカート26Bと、分かるように、密封機能を有する二重スカートの上方部分26Cは、適切に拭き取りを行えるように他の部分よりも可撓性が高い二重スカートの下方部分26Dよりも厚みがある。
【0061】
内側部26の周辺部25のこの構築形態は良好な結果をもたらすが、他の構築形態もまた可能であり、具体的には、周辺部25および内側部26は、射出成形によって、または二材射出成形による要件に従って、単一部品として形成することができる。
【0062】
本体に対する貯蔵部の位置に従う指部25Cの挙動は、貯蔵部がその安定した低い離脱構成にあるとき、貯蔵部内における塗布部材の一時的な係止を可能にし、シャフトは、内側部26と協働して貯蔵部に気密閉塞を提供する。
【0063】
実際のところ、この指部および内側部は、塗布部材のシャフト41上に設けられた幅広部分44と協働する。
【0064】
第1段階において、貯蔵部がその最大離脱位置に向かって下降するとき、指部がカム形成面16と接触し、軸Z−Zに向かって押しやられるのに対し、幅広部分44は、指部のレベルよりも低く位置する。
【0065】
したがって、シャフトは、キャップの近傍に幅広部分44を備える。該幅広部分は、閉鎖構成において、塗布部材が貯蔵部に最大限に係合したときに内側部26と協働するように適合され、したがって、この閉鎖構成時に部分26内に来る領域内でシャフト上に位置する。
【0066】
より具体的には、該幅広部分44は、内側部26の二重スカートの上方部分の内部寸法および幾何学的形状に有利に近い幾何学的形状および寸法を有する張り出した底部分45を有する。示される例において、二重スカートの上方部分の広がった内面は、縦方向に対して、張り出し部分45の傾斜と実質的に等しい傾斜を有する:変形例として、二重スカートが、横方向部26Aに対して数度傾斜することができるという事実を考慮すると、この内面の傾斜は、広がり部分の傾斜より数度低くてもよい。これらの傾斜は、この場合、これらの表面が円錐台形であるという事実によるものである。
【0067】
例として、二重スカートの上方部分26Cの広がり面と、シャフトの張り出し部分45の張り出し面は、少なくとも3度、例えば、5から20度の範囲に等しい傾斜を有する。
【0068】
ここに示される例において、幅広部分44は、壁を局所的に変形させることによって二重スカート26の中間部分26Gの壁に押し込まれるように構成される逃がし用の環状リブ46をさらに備える。環状リブ46は、この場合、張り出し部分45の周囲に形成される。この中間部分の壁は、少なくとも部分的に該環状リブを受容するように構成されるチャネル等の凹領域を備えることができる。変形例として、張り出し部分は、中間部分の壁に形成される逃げ領域と協働するように構成される凹領域に接続されてもよい。
【0069】
上方部分26Cおよび中間部分26Gとそれぞれ協働することにより、塗布具が閉鎖位置にあるとき、シャフトの張り出し部分45および環状リブ46が貯蔵部の密封閉鎖をもたらす(
図1)。その密封機能に加えて、張り出し部分45はまた、指部が軸Z−Zに向かってきた場合に、指部25Cが容器を閉じることに作用する:これについては、後により詳細に説明する。
【0070】
張り出し部分45は、シャフトの上方部分に向かって先細りになる幅広部分44の上方先細部分47に接合する。
【0071】
閉鎖構成において指部25Cのレベルの下方に位置する先細部分47(
図1)は、貯蔵部がその最大押し込み位置を出た後で上昇したときに、指部を軸Z−Zから離れるように移動させ、その
図2の位置に到達させるために提供される。
【0072】
好ましくは、幅広部分が二重スカートの上方部分に係合すると、二重スカートの下方部分の自由端部が、局所的に小さい断面を有するシャフトの部分48と横方向に対向する。
【0073】
図1の閉鎖構成において、塗布部材は、貯蔵部内に最大限に係合しており、すなわち、塗布具42は、貯蔵部内でその最も低い位置にある。この閉鎖構成において、シャフトの幅広部分は、部分26の二重スカートの上方部分の広がった内面に対して係合し、該上方部分の外面と部分25の底部分の内面との間に位置する遊びのために広がることができる。
【0074】
幅広部分44のレベルの上方に位置する指部25Cは、側方支持部15との接触面によって軸Z−Zに接近した位置に保持される。指部は、幅広部分44の通過に対向することにより接塗布具を保持する。さらに、幅広部分44の外面と、部分26の二重スカートの上方部分26Cの内面との協働によって密封が提供される。しかしながら、これら2つの機能は独立している。
【0075】
示される例において、閉鎖構成は、キャップの内側部分が周辺部25の上方部分25Bに対して縦方向に当接する構成であるが、そのような縦方向の当接の存在は、別の位置に提供されてもよいか、またはさらには存在しなくてもよいが、それが前述の係止および密封の効果の妨げにはならないことに留意されたい。
【0076】
キャップ50の高さhは、その安定した最大押し込み構成とその最小押し込み構成との間の貯蔵部の移動距離と実質的に等しく、そのため、第1の位置において、キャップは、本体の自由縁部12のレベルと同一面上にあり、また第2の位置において、キャップは、片方の手の指の間に把持され、貯蔵部から引き出されるのに十分な保持を提供する。
【0077】
側方支持部15との接触面は、その上方安定位置とその最大押し込み構成との間の貯蔵部の移動距離よりも大きい深さだけカム形成面16から貯蔵部内に延在し、そのため、貯蔵部の移動の少なくとも下方部分において、塗布具と貯蔵部とが互いに連結する。カム形成面16の位置は重要ではない。この位置は、貯蔵部の移動において塗布具と貯蔵部とが互いに連結する瞬間、または該連結がほどけるときを決定する。
図1の構成において、塗布部材は、貯蔵部内でその閉鎖構成にある一方で、貯蔵部は、本体内でその安定した低い離脱構成にある。次いで、キャップが本体内に格納され、したがって、キャップを外側に引っ張ることを望んでいる使用者の指に保持を提供しない:キャップがほんの短い距離だけ本体から突出する場合にも、同じ見解が当てはまることが理解され得よう。
【0078】
使用者が、容器内に含まれる化粧品を塗布するために塗布具を使用することを望む場合、使用者はキャップを押して、貯蔵部をその最大押し込み構成に下降させ、ばねが貯蔵部を
図2のその最小押し込み構成まで上昇させることができるようにする。側方支持部15との接触面は、指部25Cを劣化させずに、その
図1の構成からその最大押し込み構成までの貯蔵部の下降が可能となるように、一定距離にわたって下向きに延在する。
【0079】
ばね31の影響下における本体内での貯蔵部の上昇移動時に、側方支持部15との接触面による指部の係止は、ヘッドが上方にカム形成面16を越えるとすぐに解除される。しかしながら、指部は、塗布部材が貯蔵部から引き出されるまで、軸Z−Zに接近した所定の位置に留まる。その時まで、シャフトの幅広部分の張り出し面と、部分26の二重スカートの上方部分の広がった内面との間の密封は、接触によってのみ保たれ、表面間に存在する自然の接着が該密封を提供する。
【0080】
本体内における指部の離脱によって係止が起こり得るという事実は、貯蔵部が、その安定した最小離脱構成において完全に本体内に留まることができるという利点を有する。示される例において、部分25が、貯蔵部と本体との間の横方向空間の閉塞を提供することが分かっている:この閉塞は、本体の自由縁部12の位置で、
図2の(または
図3の)貯蔵部の最小押し込み構成において有利に提供され、すなわち、部分25の最も幅広い部分が、有利には該自由縁部と同じレベルにある。カム形成面16が位置するレベルは、容器の設計者によって自由に選択されてもよいが、好ましくは、該レベルは、最小押し込み位置よりもむしろ最大押し込み位置に向かって位置し、例えば、カム形成面は、本体内における貯蔵部の低い静止構成からの可動範囲の1/3に最も近い距離に、指部のヘッドと協働するように位置することを理解されたい。
【0081】
貯蔵部がその最小押し込み構成にあるこの
図2の構成において、塗布部材は、摩擦によってなおも貯蔵部内に係合している。キャップは、使用者の指によるキャップの把持を可能にする距離だけ本体から突出しているため、貯蔵部からの塗布部材の引き出しは、該キャップを引っ張るだけで実行され得る:塗布部材に対する該引っ張りは、貯蔵部に対する中程度の引っ張りを引き起こすに過ぎず、貯蔵部と本体との間の摩擦力は、貯蔵部を本体内に保持するのに十分であり得る一方で、塗布部材は、部分26に対して幅広部分44を拡張するだけで貯蔵部から解放される。
【0082】
塗布部材の引き出し時には、先細り面47が、指部25Cを押しやる。塗布部材が貯蔵部から取り出されるときに、万が一、指部が軸Z−Zの近くに移動した場合、塗布具が再び貯蔵部内に挿入されるときに、張り出した底部分45が、指部を正しい位置に再配置する。
【0083】
最小押し込み構成(すなわち、安定した高い離脱構成)において、周辺部25が本体の自由縁部と同一面上になる場合、キャップが本体から突出する距離は、実質的にその高さ
hであることに留意されたい(
図2を参照)。しかしながら、前述の操作を大きく変更せずに、周辺部が、本体の自由縁部のレベルまで上昇しないことが可能である(
図4を参照)。
【0084】
キャップを継続的に引っ張り続けると、塗布部材は、貯蔵部から分離し、貯蔵部に対して縦方向に拡張する。第1段階において、シャフトの直径が、貯蔵部の壁に向かって付勢されていないときには、下方部分の自由縁部によって画定された断面の直径よりも若干大きい値になるよう有利に選択されていることに起因して、部分26の二重スカートの該下方部分はやや弾性的に作用される。したがって、ステムに付着している可能性がある化粧品が若干こそげ落とされる。第2段階において、該下方部分が、塗布具42によって弾性的に作用される。後者は、実際にはシャフトの断面よりも大きい断面を有するため、二重スカートの下方部分の自由縁部が、塗布具に付着した過剰な化粧品をそこから取り除くために塗布具のこそげ落とし(または拭き取り)を提供することは理解され得よう。次いで、使用者は、望む場合に、随意に、化粧品を塗布することができる。
【0085】
使用者が、再び化粧品で塗布具を充填したいと望む場合、使用者は、通常の容器の場合に行われるように、塗布具を貯蔵部内に押し込む。このとき貯蔵部は、ばねの押し込みによって高い安定位置に保持されており、本体に対して大きく移動しない。
【0086】
使用者が化粧品の塗布を終了し、容器を静止構成に至らせることを望む場合、使用者が、塗布部材を貯蔵部内に押し入れて、キャップを押し続けると、その結果、貯蔵部が本体内に下降し始める。貯蔵部がカム形成面16のレベルまで下降すると、これにより指部のヘッドがシャフトのより近くまで移動させられ、先細部分47の上方で、指部がシャフトに係合する結果となる。次いで、塗布部材が貯蔵部上に係止される:これら2つの部分のアセンブリは、次いで、下降して貯蔵部の最大押し込み構成に達する。使用者が押す力を解放すると、次いで、ばねは、貯蔵部をその安定した低い離脱構成に戻し、塗布部材のキャップが本体内に格納される。次いで、塗布部材が貯蔵部内の所定の位置に係止され、幅広部分44の張り出し面と部分26の二重スカートの上方部分との組み合わせが、良好な密閉を確実なものにする。
【0087】
そのような構成において、係止機能は密封機能とは切り離されており、これらの機能は、本体内における貯蔵部の縦方向の位置とは無関係に、非常に中間的な力によって有効化され、貯蔵部のいずれの部分も、貯蔵部のあらゆる位置において縦方向または横方向にも本体から出る必要はないことに留意されたい。さらに、二重スカートの下方部分によって提供される拭き取り効果は、たとえ下方部分が短い縦方向の距離にわたって延在した場合でも得られる:内側部26は、単純な形状を有しており、製造しやすく、同様に、周辺部も単純な形状を有しており、製造しやすい。シャフトの幅広部分の幾何学的形状に関して、これもまた単純である。単純な部品の数は、3つのみであり、すなわち、周辺部25、それに取り付けられる関連する指部25C、および内側部26である。
【0088】
図4は、本発明による容器の変形例の実施形態を示す。全体が101で示される該容器の部材は、
図1から
図3の部材に類似しており、100という数字を加えて、
図1から
図3の参照記号に由来する参照記号によって示されている。
【0089】
したがって、この容器101は、容器1と同様に、本体110、貯蔵部120、2つの安定した離脱位置を有する弾性的に圧縮可能なデバイス130、塗布部材140、およびキャップ150を備える。
【0090】
キャップ150は、内側構造の幾何学的形状がキャップ50とは若干異なり、具体的には、周辺部によってこの内側部が部分125の上面に当接するが、このことは前述の操作に影響を与えず、さらに、部分126の二重スカートの上方部分126Cの外面と、部分125の内面との間に位置する空間が、容器1の方より大きく、その結果、上方部分のより大きな横方向の変形を可能にする一方で、周辺部125に対する内側部126の取り付けを容易にするという事実に関して異なる。
【0091】
図1から
図3の場合とは対照的に、容器101の貯蔵部120は、部分125の周縁が本体の自由縁部112と同一面上になるまで上昇しないが、
dと示される距離だけ該縁部の下に留まる。したがって、貯蔵部がその最小押し込み構成にあるとき、キャップは、本体から完全には出ないが、把持され得るように本体に対して十分に上昇する。
【0092】
さらに、貯蔵部および本体は、貯蔵部を本体内で上方位置に保持するために形成される、互いに対向する表面を有する。より具体的には、本体110によって含まれるケージ110Bは、少なくとも1つの領域に、この場合、カム形成面116の下ではあるが、そこから円周方向にオフセットされた(この場合、
図4において右側に)ほぼ側方支持部115との接触面の位置に位置する頂部領域に、シャフトに向けて突起117を備え、一方、貯蔵部の外面は、貯蔵部がその最小押し込み構成にあるときに該突起117のすぐ上方に来るように構成される突起118を備える。これらの突起のうちの少なくとも1つ、この場合は突起118が、傾斜面119に接合され、本体に対する貯蔵部の相対的な上昇移動時に、他の突起との接触面を形成する。したがって、貯蔵部が低い安定位置から高い安定位置に移動するとき、突起117は、制動効果を付与する傾斜面の上を摺動する。ばねの推進下における貯蔵部の上昇は、このようにして減速される。他の構築形態もまた適切であり得る。貯蔵部がその高い安定位置に達すると、突起118は、他の突起によって形成された凸部を越えるが、ひいてはこれが抵抗増大点の効果を提供する。この抵抗増大点の効果はまた、使用者が本体内に格納するためにキャップ150を押すときに容器が閉じる際にも経験される。
【0093】
突起117は、回転のリスクを伴うことなく、本体内における貯蔵部の適切な誘導を確実にするように誘導部材が提供され得る領域の上方に位置することに留意されたい。
【0094】
追加部分は、本明細書において、プラスチック材料、例えば、周辺部に関しては熱可塑性材料(特に、ポリアミド、PVC、もしくは低密度ポリエチレン)または高剛性エラストマー材料、内側の追加部分についてはエラストマー材料を成形することによって得られる。変形例として、それらは、単一材または二材射出成形によって形成される単一部品のみを形成することができる。
【0095】
図5および
図6は、それぞれ、
図1の格納構成または
図2の伸長構成にある容器1の斜視図である。キャップの断面は正方形で、縁部がわずかに湾曲していることが理解されよう:塗布部材の移動は、貯蔵部における並進によってのみ保証され得るため、本体には任意の所望の断面(多角形、楕円形、またはクローバの葉の形状等)を付与することが実際に可能である。貯蔵部には、同様の形態(例えば、本体よりも若干小さい)、または対照的に異なる形態、例えば、円形の断面を付与することが可能であるため、本体の出隅に面する最大幅を有し、誘導部材が収容されることを可能にする、本体の内面と貯蔵部の外面との間の横方向の空間、または2つの安定した離脱位置を有する弾性的に圧縮可能なデバイスの一部が残る。
【0096】
図7において、キャップが本体内に格納されるという記述は、キャップのいずれかの部分が本体の体積から突出しないことを意味するものではないことに留意されたい:実際に、重要なのは、キャップが、本体から塗布部材を引き出す、または貯蔵部がその最大押し込み構成に移行されるまで該キャップを押すには不十分な保持を外側に(使用者の指に対して、または例えばバッグ内で、容器と接触し得る物体に対して)与えるということである。ここに示される例では、外側で接近可能なキャップの面は、ドーム形であり、
eの分だけ若干突出している。
【0097】
図8を検討することにより、部分25および部分26のアセンブリの縦方向の嵩が小さいため、貯蔵部は、その自由縁部に近いレベルまで化粧品100で充填され得るということを理解することができる。
【0098】
最後に、既に述べた通り、斜視図を示す
図9および
図10によって、ケージ10B、ばね31、追従指部33、および貯蔵部20の構成をよりよく理解することができる。特に、ケージ10Bが、本明細書において、その4つの角のうちの3つに位置する3つの直立部を備え、反対側に位置する直立部を有しない中央の直立部である直立部10Eが、トラック34を備え、直立部10Fが、傾斜面16および側方支持部15との接触面で終端する高さ増加部分だけ延長されることが、より容易に観察される。
【0099】
本発明は、説明したような構築形態に限定されない。本発明は、塗布具を使用して液状またはペースト状の化粧品が塗布される、あらゆる化粧品の分注器に一般的に適用される。