(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
タイヤ試験機のリムストッカのストッカフレームに載置されている試験用リムを当該タイヤ試験機のタイヤ保持装置に保持させるように当該タイヤ保持装置の試験用リム移動交換手段で移載する試験用リム装着工程と
前記タイヤ保持装置の前記試験用リムでタイヤを保持し、当該タイヤの表面形状を形状計測装置で計測して当該タイヤの検査を行う検査工程と、
前記検査工程を規定回数又は規定時間行った後、前記タイヤ保持装置の前記試験用リムを前記リムストッカの前記ストッカフレームに載置するように当該タイヤ保持装置の前記試験用リム移動交換手段で移載する試験用リム取外工程と、
前記試験用リムを取り外された前記タイヤ保持装置に対して、請求項4に記載のマスタディスクを請求項5に記載の方法で前記リムストッカの前記ストッカフレームから前記タイヤ保持装置の前記スピンドルに装着するマスタディスク装着工程と、
前記タイヤ保持装置の前記スピンドルに装着された前記マスタディスクを前記形状計測装置で計測して当該形状計測装置の計測精度の確認又は校正を行う確認校正工程と、
前記確認校正工程を行った後、前記タイヤ保持装置の前記スピンドルに装着されている前記マスタディスクを請求項6に記載の方法で当該スピンドルから取り外して前記ストッカフレームに移載するマスタディスク取外工程と
を繰り返して行うことを特徴とするタイヤ形状検査方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したようなタイヤの形状計測装置の計測精度の確認や校正を行うときには、作業者が手作業でマスタディスクをタイヤ試験機のタイヤ保持装置のスピンドルに装着したり、スピンドルから取り外すようにしていることから、マスタディスクの装着作業や取り外し作業に非常に手間がかかってしまい、作業者に多大な負荷がかかってしまうだけでなく、タイヤの表面形状の検査作業を一時中断する時間が長く、作業効率の低下を招く一因となっていた。
【0006】
このようなことから、本発明は、装着作業や取外作業を容易に実施できるマスタディスク及びその装着方法並びに取外方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した課題を解決するための、第一番目の発明に係るマスタディスクは、タイヤ試験機のタイヤの表面形状を計測する形状計測装置の計測精度の確認又は校正の際に使用される、タイヤを模擬したマスタディスクであって、自動交換手段と着脱可能なものであ
り、タイヤを模擬した模擬タイヤ部と、前記模擬タイヤ部と同軸をなすように当該模擬タイヤ部の軸方向一端側に先端側を連結されて基端側ほど大径となるようにテーパ状に傾斜したガイド面を内周面の基端側に形成された円筒状をなす第一筒部と、前記模擬タイヤ部の軸方向他端側に設けられて前記自動交換手段と着脱可能に係合する係合部材とを備えていることを特徴とする。
【0009】
第
二番目の発明に係るマスタディスクは、第
一番目の発明において、前記係合部材が、前記模擬タイヤ部と同軸をなすように当該模擬タイヤ部の軸方向他端側に配設されたネック部と、前記ネック部に同軸をなして設けられて当該ネック部よりも大径をなすフランジ部とを備えていることを特徴とする。
【0010】
第
三番目の発明に係るマスタディスクは、第
二番目の発明において、前記係合部材が、前記模擬タイヤ部と同軸をなすように当該模擬タイヤ部の軸方向他端側に基端側を連結された円筒状をなす第二筒部と、前記第二筒部の先端側に設けられて前記ネック部を取り付けられた蓋部とを備えていることを特徴とする。
【0011】
第
四番目の発明に係るマスタディスクは、第
二番目から第
三番目の発明のいずれかにおいて、前記自動交換手段が、前記タイヤ試験機のタイヤ保持装置の試験用リム移動交換手段であることを特徴とする。
【0012】
また、第
五番目の発明に係るマスタディスクの装着方法は、第
四番目の発明に係るマスタディスクをタイヤ試験機のタイヤ保持装置のスピンドルに装着する方法であって、前記タイヤ試験機の前記タイヤ保持装置の前記試験用リム移動交換手段が、当該タイヤ試験機のリムストッカのストッカフレームに載置された前記マスタディスクを保持するように当該マスタディスクの前記係合部材に係合した後、当該マスタディスクの前記第一筒部の基端側を前記スピンドルに差し込むように当該マスタディスクを移載することを特徴とする。
【0013】
また、第
六番目の発明に係るマスタディスクの取外方法は、タイヤ試験機のタイヤ保持装置のスピンドルに装着された第五番目の発明に係るマスタディスクを当該スピンドルから取り外す方法であって、前記タイヤ試験機の前記タイヤ保持装置の前記試験用リム移動交換手段が、前記スピンドルに装着された前記マスタディスクを保持するように当該マスタディスクの前記係合部材に係合した後、当該マスタディスクの前記第一筒部の基端側を当該タイヤ試験機のリムストッカのストッカフレームに載置するように当該マスタディスクを移載することを特徴とする。
【0014】
また、第
七番目の発明に係るタイヤ形状検査方法は、タイヤ試験機のリムストッカのストッカフレームに載置されている試験用リムを当該タイヤ試験機のタイヤ保持装置に保持させるように当該タイヤ保持装置の試験用リム移動交換手段で移載する試験用リム装着工程と、前記タイヤ保持装置の前記試験用リムでタイヤを保持し、当該タイヤの表面形状を形状計測装置で計測して当該タイヤの検査を行う検査工程と、前記検査工程を規定回数又は規定時間行った後、前記タイヤ保持装置の前記試験用リムを前記リムストッカの前記ストッカフレームに載置するように当該タイヤ保持装置の前記試験用リム移動交換手段で移載する試験用リム取外工程と、前記試験用リムを取り外された前記タイヤ保持装置に対して、第
四番目の発明に係るマスタディスクを第
五番目の発明に係る装着方法で前記リムストッカの前記ストッカフレームから前記タイヤ保持装置の前記スピンドルに装着するマスタディスク装着工程と、前記タイヤ保持装置の前記スピンドルに装着された前記マスタディスクを前記形状計測装置で計測して当該形状計測装置の計測精度の確認又は校正を行う確認校正工程と、前記確認校正工程を行った後、前記タイヤ保持装置の前記スピンドルに装着されている前記マスタディスクを第
六番目の発明に係る取外方法で当該スピンドルから取り外して前記ストッカフレームに移載するマスタディスク取外工程とを繰り返して行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、マスタディスクが自動交換手段と着脱可能であることから、自動交換手段でマスタディスクの装着作業や取外作業を行うことができるので、マスタディスクの装着や取り外しを作業者が手作業で行う必要がなく、作業者にかかる負荷を著しく低減することができると共に、タイヤの表面形状の検査作業を中断する時間を大きく短縮することができ、作業効率の低下を著しく抑制することができる。その結果、マスタディスクの装着作業や取外作業を容易に実施することができ、タイヤの表面形状の検査作業の効率を大幅に向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係るマスタディスク及びその装着方法並びに取外方法の実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明は図面に基づいて説明する実施形態のみに限定されるものではない。
【0018】
〈主な実施形態〉
本発明に係るマスタディスク及びその装着方法並びに取外方法の主な実施形態を
図1〜6に基づいて以下に説明する。
【0019】
本実施形態に係るマスタディスクは、
図1に示すように、タイヤ試験機のタイヤの表面形状を計測する形状計測装置の計測精度の確認又は校正の際に使用される、タイヤを模擬したマスタディスク10であって、軸方向を上下方向へ向けるように配向されてタイヤを模擬した模擬タイヤ部11と、前記模擬タイヤ部11と同軸をなすように当該模擬タイヤ部11の軸方向一端側(下端側)に先端側(上端側)を連結されて基端側(下端側)ほど大径となるようにテーパ状に傾斜させたガイド面12aを内周面の基端側(下端側)に形成された円筒状をなす第一筒部である下筒部12と、前記模擬タイヤ部11と同軸をなすように当該模擬タイヤ部11の軸方向他端側(上端側)に基端側(下端側)を連結された円筒状をなす第二筒部である上筒部13と、前記上筒部13の先端側(上端側)を塞ぐように当該上筒部13の先端側(上端側)に同軸をなして取り付けられた円板状の蓋部14と、前記模擬タイヤ部11と同軸をなすように当該模擬タイヤ部11の軸方向他端側(上端側)に配設されて前記蓋部14上に同軸をなして取り付けられた円柱状のネック部15と、前記ネック部15の上部に同軸をなして取り付けられて当該ネック部15よりも大径をなす円板状のフランジ部16とを備えている。
【0020】
なお、本実施形態に係るマスタディスク10においては、前記上筒部13、前記蓋部14、前記ネック部15、前記フランジ部16等により、係合部材を構成している。
【0021】
また、
図2,3に示すように、本実施形態に係るタイヤ試験機100は、試験用リム20が着脱可能に取り付けられて当該試験用リム20によりタイヤを着脱可能に保持すると共に回転させるタイヤ保持装置110と、タイヤの各種サイズに対応した複数の試験用リム20をそれぞれ着脱可能に保持するリムストッカ120と、前記タイヤ保持装置110の前記試験用リム20に保持されたタイヤの表面形状を計測する形状計測装置130とを備えている。
【0022】
図4に示すように、前記試験用リム20は、着脱可能な下リム体21と上リム体24とからなっている。
【0023】
前記下リム体21は、軸方向を上下方向へ向けるように配向されてタイヤの内周の下方に着脱可能に嵌る下リム部22と、前記下リム部22と同軸をなすように当該下リム部22の軸方向一端側である下端側に先端側(上端側)を連結されて基端側(下端側)ほど大径となるようにテーパ状に傾斜させたガイド面23aを内周面の基端側(下端側)に形成された円筒状をなす下筒部23とを備えている(詳しくは、前記特許文献2等参照)。
【0024】
前記上リム体24は、軸方向を上下方向へ向けるように配向されてタイヤの内周の上方に着脱可能に嵌る上リム部25と、前記上リム部25と同軸をなすように当該上リム部25の軸方向他端側である上端側に基端側(下端側)を連結された円筒状をなす上筒部26と、前記上筒部26の先端側(上端側)を塞ぐように当該上筒部26の先端側(上端側)に同軸をなして取り付けられた円板状の蓋部27と、前記蓋部27上に同軸をなして取り付けられた円柱状のネック部28と、前記ネック部28の上部に同軸をなして取り付けられて当該ネック部28よりも大径をなす円板状のフランジ部29とを備えている(詳しくは、前記特許文献2等参照)。
【0025】
図2,3に示すように、前記タイヤ保持装置110は、ベース110Aの台座110B上に、上下方向へ軸方向を向けたスピンドル111が回転可能に設けられている。前記スピンドル111の外周面の下方寄りは、
図6に示すように、下側ほど大径となるようにテーパ状に傾斜したガイド部111aが形成されている。
【0026】
図2に示すように、前記ベース110Aに立設されたフレーム110Cの前記台座110B側には、長手方向を上下方向へ向けたガイドレール112が取り付けられている。前記ガイドレール112には、当該ガイドレール112の長手方向に沿ってスライド移動可能なスライダ113が設けられている。前記スライダ113には、先端側を前記スピンドル111の上方へ位置させるように配向された支持具114の基端側が連結されている。
【0027】
前記支持具114には、軸方向を上下方向へ向けたボールねじ軸115が取り付けられている。前記ボールねじ軸115は、上端部及び下端部がブラケット110Ca,110Cbを介して前記フレーム110Cに支持されており、駆動モータ115aを作動させることにより、回転して前記支持具114を昇降移動させることができるようになっている。
【0028】
図2,5に示すように、前記支持具114の先端側の下面には、前記スピンドル111の径方向へ沿うように長手方向を向けた一対のガイドレール116が前記スピンドル111の軸心位置を中心にした直線上に位置するように取り付けられている。前記ガイドレール116には、当該ガイドレール116に沿ってスライド移動可能なスライダ117がそれぞれ設けられている。前記スライダ117には、先端側を前記スピンドル111の軸心方向へ向けるように配向された一対の係合アーム118の基端側が連結ブロック117aを介してそれぞれ取り付けられている。
【0029】
前記連結ブロック117aには、前記ガイドレール116の長手方向に沿って軸方向を向けた一対のエアシリンダ119のロッド119aの先端側がそれぞれ連結されている。前記エアシリンダ119は、ブラケット114aを介して前記支持具114にそれぞれ支持されている。
【0030】
つまり、前記エアシリンダ119の前記ロッド119aを伸長すると、対をなす前記係合アーム118の先端側が互いに接近するように移動し、前記エアシリンダ119の前記ロッド119aを収縮すると、対をなす前記係合アーム118の先端側が互いに離反するように移動するようになっているのである。
【0031】
なお、本実施形態に係る前記タイヤ保持装置110においては、前記支持具114、前記ガイドレール116、前記スライダ117、前記係合アーム118、前記エアシリンダ119等により、上リム体保持手段を構成し、前記ガイドレール112、前記スライダ113、前記ボールねじ軸115等により、上リム体昇降移動手段を構成し、前記上リム体保持手段、前記上リム体昇降移動手段等により、試験用リム移動交換手段を構成している。
【0032】
図2,3に示すように、前記リムストッカ120は、ベースフレーム120A上に、前記スピンドル111へ向かうように長手方向を向けたガイドレール121が布設されている。前記ガイドレール121上には、当該ガイドレール121の長手方向に沿ってスライド移動可能なスライダ122が設けられている。前記スライダ122には、支持台123が支持板123aを介して取り付けられている。前記支持台123には、軸方向を上下方向へ向けた旋回軸124が回転可能に支持されている。前記旋回軸124には、スプロケット126aが同軸をなして取り付けられている。
【0033】
また、前記支持台123には、駆動軸125aの軸方向を上下方向へ向けたサーボモータ125が取り付けられている。前記サーボモータ125の前記駆動軸125aには、スプロケット126bが同軸をなして取り付けられている。前記スプロケット126a,126b間は、エンドレスチェーン126cが巻き掛けられており、前記サーボモータ125を作動させて前記駆動軸125aを回転させることにより、前記スプロケット126a,126b及び前記エンドレスチェーン126cを介して前記旋回軸124を旋回させることができるようになっている。
【0034】
前記旋回軸124の周囲には、前記試験用リム20等を支承するストッカフレーム127が連結部材124aを介して取り付けられており、当該ストッカフレーム127は、当該旋回軸124の周方向に沿って所定の間隔で複数(本実施形態では4つ)配設されている。前記ストッカフレーム127上には、台座127aがそれぞれ設けられている。
【0035】
つまり、前記サーボモータ126の前記駆動軸126aを回転させて前記旋回軸124を旋回させることにより、前記支持台123の前記スピンドル111側に位置する前記ストッカフレーム127を選択的に切り換えることができ、前記ガイドレール121に沿って前記スライダ122を介して前記支持台123を前記スピンドル111側へ移動させることにより、当該支持台123の上記スピンドル111側に位置する前記ストッカフレーム127を当該スピンドル111の上方に位置させることができるようになっているのである。
【0036】
なお、本実施形態に係る前記リムストッカ120においては、前記ガイドレール121、前記スライダ122、前記支持台123等により、進退移動手段を構成し、前記旋回軸124、前記サーボモータ125、前記スプロケット126a,126b、前記エンドレスチェーン126c、前記ストッカフレーム127等により、切換手段を構成している。
【0037】
図3に示すように、前記形状計測装置130は、前記タイヤ保持装置110の近傍に配設され、先端側を当該タイヤ保持装置110の前記スピンドル111の近傍に位置させるように伸長作動することにより、当該スピンドル111に前記リム21,22を介して保持されたタイヤの凹凸やうねり等の表面形状を計測することができるようになっているものである(例えば、前記特許文献1等参照)。
【0038】
このような前記タイヤ試験機100を使用した本実施形態に係るタイヤ形状検査方法を次に説明する。
【0039】
まず始めに、前記タイヤ試験機100の前記リムストッカ120の一つの前記ストッカフレーム127の前記台座127aに前記マスタディスク10を載置する一方、当該タイヤ試験機100の当該リムストッカ120の他の前記ストッカフレーム127の前記台座127aに、タイヤの各種サイズ毎に対応した前記試験用リム20をそれぞれ載置する。
【0040】
そして、タイヤの表面形状の検査を実施するときには、検査を行うタイヤに対応する試験用リム20を載置された前記リムストッカ120の前記ストッカフレーム127を前記タイヤ保持装置110の前記スピンドル111側へ位置させるように、前記サーボモータ125を作動させて前記旋回軸124を旋回させると共に、上記ストッカフレーム127を前記タイヤ保持装置110の前記スピンドル111の上方へ位置させるように、前記ガイドレール121に沿って前記スライダ122を介して前記支持台123をスライド移動させる。
【0041】
次に、前記タイヤ保持装置110の前記係合アーム118を下降させるように、前記駆動モータ115aを作動させて前記ボールねじ軸115を回転させると、当該係合アーム118の先端の対向間に上記ストッカフレーム127上の上記試験用リム20の前記上リム体24の前記ネック部28が位置するようになる。
【0042】
続いて、前記エアシリンダ119の前記ロッド119aをそれぞれ伸長させると、対をなす前記係合アーム118の先端側が上記上リム体24の上記ネック部28を挟持すると共に、当該係合アーム118の上面が当該上リム体24の前記フランジ部29の下面に係合する。
【0043】
引き続き、前記係合アーム118を上昇させるように、前記駆動モータ115aを作動させて前記ボールねじ軸115を回転させることにより、当該係合アーム118を介して前記試験用リム20を持ち上げて前記ストッカフレーム127の前記台座127a上から取り外した後、前記ガイドレール121に沿って前記支持台123を当初の位置に戻すように前記スライダ122を介してスライド移動させたら、前記係合アーム118を再び下降させるように、前記駆動モータ115aを作動させて前記ボールねじ軸115を回転させることにより、当該係合アーム115aを介して上記試験用リム20を降ろして前記下リム体21の前記下筒部23を前記スピンドル111に差し込んで取り付ける。
【0044】
このとき、前記スピンドル111の外周面の下方寄りに、下側ほど大径となるテーパ状のガイド部111aが形成されると共に、前記試験用リム20の前記下リム体21の前記下筒部23の内周面の下端側に、下端側ほど大径となるテーパ状のガイド面23aが形成されていることから、当該スピンドル111への当該試験用リム20の装着を容易に行うことができると共に、当該スピンドル111に対する当該試験用リム20の軸合わせを容易に行うことができる。
【0045】
次に、前記試験用リム20の前記下リム体21と前記上リム体24とを離脱させて、前記係合アーム118を再び上昇させるように、前記駆動モータ115aを作動させて前記ボールねじ軸115を回転させることにより、当該係合アーム118を介して上記上リム体24のみを持ち上げて上記下リム体21から分離する(詳しくは、前記特許文献2等参照)。
【0046】
これにより、前記リムストッカ120の前記ストッカフレーム127に載置されていた前記試験用リム20が前記タイヤ保持装置110に保持される(以上、試験用リム装着工程)。
【0047】
そして、コンベア等によりタイヤが前記スピンドル111の上方にまで搬送されて当該タイヤの内周に前記下リム体21の前記下リム部22が嵌まり込んだ後、前記係合アーム118を下降させるように、前記駆動モータ115aを作動させて前記ボールねじ軸115を回転させることにより、上記タイヤの内周に前記上リム体24の前記上リム部25を嵌め込み、当該上リム体24と当該下リム体21とを一体化させた後(詳しくは、前記特許文献2等参照)、前記エアシリンダ119の前記ロッド119aをそれぞれ収縮させて、対をなす前記係合アーム118の先端側を互いに離反させるように移動させることにより、当該係合アーム118を上記上リム体24の前記ネック部28及び前記フランジ部29から引き離す。
【0048】
これにより、前記スピンドル111に装着された前記試験用リム20にタイヤが保持される。
【0049】
続いて、前記形状計測装置130が伸長作動すると共に、前記スピンドル111が回転することにより、タイヤの凹凸やうねり等の表面形状が計測され、タイヤの表面の欠陥の有無が検査される(以上、検査工程)。
【0050】
このようにしてタイヤの表面形状を計測して欠陥の有無を検査し終えると、前記形状計測装置130を収縮作動させて当初の状態に戻すと共に、前記エアシリンダ119の前記ロッド119aをそれぞれ伸長させて、対をなす前記係合アーム118の先端側で前記上リム体24の前記ネック部28を再び挟持すると共に、当該係合アーム118の上面を当該上リム体24の前記フランジ部29の下面に再び係合させた後、上記上リム体24と上記下リム体21とを離脱させて(詳しくは、前記特許文献2等参照)、上記係合アーム118を改めて上昇させるように、前記駆動モータ115aを作動させて前記ボールねじ軸115を回転させて、当該係合アーム118を介して上記上リム体24のみを持ち上げて上記下リム体21及び上記タイヤから分離する。
【0051】
そして、コンベア等により上記タイヤを前記スピンドル111の上方から搬出して前記下リム体21の前記下リム部22から取り外した後、新たなタイヤが当該スピンドル111の上方にまで搬送される。
【0052】
以下、上述した作動を繰り返すことにより、タイヤを次々と連続して検査することができる。
【0053】
このようなタイヤの表面形状の検査を規定回数又は規定時間行ったら、前記試験用リム20に代えて、前記マスタディスク10を前記タイヤ保持装置110の前記スピンドル111に装着する。
【0054】
具体的には、まず、前記タイヤ保持装置110の前記スピンドル111及び前記係合アーム118に保持されている前記試験用リム20の前記下リム体21及び前記上リム体24を、上述と逆の手順により、前記リムストッカ120の当初配設されていた前記ストッカ127の前記台座127aに移載して戻す(以上、試験用リム取外工程)。
【0055】
そして、前記マスタディスク10を載置された前記ストッカフレーム127を前記タイヤ保持装置110の前記スピンドル111の上方へ位置させるように、前記サーボモータ125を作動させて前記旋回軸124を旋回させた後、当該タイヤ保持装置110の前記係合アーム118を下降させるように、前記駆動モータ115aを作動させて前記ボールねじ軸115を回転させことにより、当該係合アーム118の先端の対向間に上記マスタディスク10の前記ネック部15を位置させる。
【0056】
続いて、前記エアシリンダ119の前記ロッド119aをそれぞれ伸長させることにより、対をなす前記係合アーム118の先端側で上記マスタディスク10の上記ネック部15を挟持すると共に、当該係合アーム118の上面を当該マスタディスク10の前記フランジ部29の下面に係合させる(
図5参照)。
【0057】
引き続き、前記係合アーム118を上昇させるように、前記駆動モータ115aを作動させて前記ボールねじ軸115を回転させることにより、当該係合アーム118を介して前記マスタディスク10を持ち上げて前記ストッカフレーム127の前記台座127a上から取り外した後、前記ガイドレール121に沿って前記支持台123を当初の位置に戻すように前記スライダ122を介してスライド移動させたら、前記係合アーム118を再び下降させるように、前記駆動モータ115aを作動させて前記ボールねじ軸115を回転させることにより、当該係合アーム115aを介して上記マスタディスク10を降ろして前記下筒部12を前記スピンドル111に差し込んで取り付ける(
図6参照)。
【0058】
このとき、前記スピンドル111の外周面の下方寄りに、下側ほど大径となるテーパ状のガイド部111aが形成されると共に、マスタディスク10の下筒部12の内周面の下端側に、下端側ほど大径となるテーパ状のガイド面12aが形成されていることから、当該スピンドル111への当該マスタディスク10の装着を容易に行うことができると共に、当該スピンドル111に対する当該マスタディスク10の軸合わせを容易に行うことができる。
【0059】
次に、前記エアシリンダ119の前記ロッド119aをそれぞれ収縮させて、対をなす前記係合アーム118の先端側を互いに離反させるように移動させることにより、当該係合アーム118を前記マスタディスク10の前記ネック部15及び前記フランジ部16から引き離す。
【0060】
これにより、前記リムストッカ120の前記ストッカフレーム127に載置されていた前記マスタディスク10が前記タイヤ保持装置110の前記スピンドル111に装着される(以上、マスタディスク装着工程)。
【0061】
そして、前記形状計測装置130を伸長作動させると共に、前記スピンドル111を回転させて、当該形状計測装置130で当該マスタディスク10の前記模擬タイヤ部11を計測することにより、当該形状計測装置130の計測精度の確認や校正を行う(以上、確認校正工程)。
【0062】
このようにして前記形状計測装置130の計測精度の確認や校正を行ったら、前記マスタディスク10に代えて、これから検査を行うタイヤに対応する試験用リム20を前記タイヤ保持装置110の前記スピンドル111に改めて装着する。
【0063】
すなわち、前記タイヤ保持装置110の前記スピンドル111に装着されている前記マスタディスク10を、上述と逆の手順により、当該スピンドル111から取り外して前記リムストッカ120の当初配設されていた前記ストッカ127の前記台座127aに移載して戻した後(以上、マスタディスク取外工程)、検査を行うタイヤに対応する試験用リム20を前記タイヤ保持装置110の前記スピンドル111に改めて装着するように、上述した手順を繰り返し行うのである。
【0064】
これにより、検査精度を維持しながら、タイヤを引き続き連続して検査することができる。
【0065】
つまり、本実施形態に係るマスタディスク10においては、前記タイヤ保持装置110の前記試験用リム移動交換手段112〜119と着脱可能に係合する前記係合部材13〜16を備えることにより、前記リムストッカ120の前記ストッカフレーム127と前記タイヤ保持装置110の前記スピンドル111との間を前記試験用リム20と自動的に交換できるようにしたのである。
【0066】
このため、前記タイヤ試験機100の前記タイヤ保持装置110の前記スピンドル111に対する前記マスタディスク10の装着や取り外しを作業者が手作業で行う必要がなく、作業者にかかる負荷を著しく低減することができると共に、タイヤの表面形状の検査作業を一時中断する時間を大きく短縮することができ、作業効率の低下を著しく抑制することができる。
【0067】
したがって、本実施形態によれば、前記タイヤ試験機100の前記タイヤ保持装置110の前記スピンドル111に対する前記マスタディスク10の装着作業や取外作業を容易に実施することができ、検査作業の効率を大幅に向上させることができる。
【0068】
また、前記スピンドル111に対する前記マスタディスク10の装着や取り外しを作業者が手作業で行う必要がないことから、当該マスタディスク10の重量制限を大幅に緩和することができるので、当該マスタディスク10の条件を多様に設定することができる。
【0069】
また、検査作業を一時中断する時間が短くて済むことから、前記形状計測装置130の計測精度の確認や校正を比較的頻繁に行うことが可能となるので、当該形状計測装置130の精度低下をより確実に抑制することができる。
【0070】
〈他の実施形態〉
なお、前述した実施形態においては、前記上筒部13、前記蓋部14、前記ネック部15、前記フランジ部16等により、前記マスタディスク10の係合部材を構成するようにしたが、他の実施形態として、例えば、上筒部及び蓋部を省略してネック部及びフランジ部だけで係合部材を構成することも可能である。
【0071】
また、前述した実施形態においては、前記タイヤ試験機100の前記タイヤ保持装置110の前記試験用リム移動交換手段112〜119を利用して前記マスタディスク10を自動交換するようにしたが、他の実施形態として、例えば、当該マスタディスク10の交換だけを行う専用の交換装置を設置して自動交換できるようにすることも可能である。
【0072】
しかしながら、前述した実施形態のように、前記タイヤ試験機100の前記タイヤ保持装置110の前記試験用リム移動交換手段112〜119を利用して前記マスタディスク10を自動交換するようにすれば、当該マスタディスク10の交換だけを行う専用の交換装置を設置して自動交換できるようにする場合よりも、設置スペース的にもコスト的にも無駄が極めて少ないので、非常に好ましい。