特許第6652997号(P6652997)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6652997少なくとも1つの測定対象物の少なくとも1つの座標を判断するための座標測定機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6652997
(24)【登録日】2020年1月28日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】少なくとも1つの測定対象物の少なくとも1つの座標を判断するための座標測定機
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20200217BHJP
【FI】
   G01B11/00 H
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-164589(P2018-164589)
(22)【出願日】2018年9月3日
(65)【公開番号】特開2019-45500(P2019-45500A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2018年9月3日
(31)【優先権主張番号】10 2017 215 412.8
(32)【優先日】2017年9月4日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504267828
【氏名又は名称】カール・ツアイス・インダストリーエレ・メステクニク・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100202326
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 大佑
(72)【発明者】
【氏名】ホルガー ミュンツ
(72)【発明者】
【氏名】ニルス ハーフェルカンプ
【審査官】 九鬼 一慶
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/121550(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0122162(US,A1)
【文献】 国際公開第2016/068095(WO,A1)
【文献】 特表2003−510666(JP,A)
【文献】 特開2004−354572(JP,A)
【文献】 特開2006−333120(JP,A)
【文献】 特開2013−218291(JP,A)
【文献】 中国実用新案第204536636(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの測定対象物(112)の少なくとも1つの座標を判断するための座標測定機(110)であって、
前記座標測定機(110)は少なくとも1つの光学素子(114)を含み、
前記光学素子(114)は少なくとも1つの画素の撮像倍率を前記光学素子(114)の光軸(116)からの前記画素の距離に応じて設定するように構成され、一対のレンズ面のうちの一方のみが非球面である第1の非球面レンズ及び第2の非球面レンズを含み、前記第1の非球面レンズの第1の非球面と前記第2の非球面レンズの第2の非球面とは、互いに向かい合い、
前記座標測定機(110)は前記画素の少なくとも1つの画像を生成するように構成された少なくとも1つの撮像装置(118)を含み、
前記座標測定機(110)は少なくとも1つの評価ユニット(120)を含み、
前記評価ユニット(120)は前記画像の歪みを補正するように構成され、
前記評価ユニット(120)は前記補正された画像から前記測定対象物(112)の座標を判断するように構成される、座標測定機(110)。
【請求項2】
前記光学素子(114)は、近軸測定フィールド領域(132)に対して第1の撮像倍率を設定し、遠軸測定フィールド領域(134)に対して第2の撮像倍率を設定するように構成される、請求項1に記載の座標測定機(110)。
【請求項3】
前記第1の撮像倍率は前記第2の撮像倍率より大きい、請求項2に記載の座標測定機(110)。
【請求項4】
前記光学素子(114)は近軸測定フィールド領域(132)および遠軸測定フィールド領域(134)に関して4:1以上の広がりを設定するように構成される、請求項2乃至3のいずれか一項に記載の座標測定機(110)。
【請求項5】
前記光学素子(114)は幾何学的像収差を有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の座標測定機(110)。
【請求項6】
前記光学素子(114)は歪みプロファイルが非回転対称となるように構成される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の座標測定機(110)。
【請求項7】
前記撮像装置(118)は少なくとも1つのセンサ素子を含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の座標測定機(110)。
【請求項8】
前記センサ素子は複数の画素を含む、請求項に記載の座標測定機(110)。
【請求項9】
前記評価ユニット(120)は歪みを補正するように構成された画像処理装置(136)を含む、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の座標測定機(110)。
【請求項10】
前記画像処理装置(136)は前記撮像装置(118)の一部として少なくとも部分的に構成され、前記画像処理装置(136)はセンサ近傍前処理を行うように構成される、請求項に記載の座標測定機(110)。
【請求項11】
少なくとも1つの測定対象物(112)の少なくとも1つの座標を判断するための方法であって、
−少なくとも1つの画素の撮像倍率を少なくとも1つの光学素子(114)の光軸(116)からの前記画素の距離に応じて前記光学素子(114)により設定する工程と、
−少なくとも1つの撮像装置(118)により前記画素を結像する工程と、
−少なくとも1つの評価ユニット(120)により前記画像の歪みを補正する工程と;
−前記補正された画像から前記測定対象物の座標を前記評価ユニット(120)により判断する工程と、を含み、
前記光学素子は、一対のレンズ面のうちの一方のみが非球面である第1の非球面レンズ及び第2の非球面レンズを含み、
前記第1の非球面レンズの第1の非球面と前記第2の非球面レンズの第2の非球面とは、互いに向かい合う、方法。
【請求項12】
座標測定機に関する請求項1乃至10のいずれか一項に記載の座標測定機(110)が使用される、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの測定対象物の少なくとも1つの座標を判断する座標測定機と、少なくとも1つの測定対象物の少なくとも1つの座標を判断する方法とに関する。本発明は、特に非接触座標測定機を使用する座標測定技術の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
測定対象物(例えばタービン羽根、車両ボディシート、シール、またはプリント回路基板)の座標を判断する様々な装置および方法が従来技術から知られている。一例として、触覚および光学座標測定機が知られている。このタイプの座標測定機は、例えばガントリータイプ測定機として構成され得る。ガントリータイプ測定機は、2つの垂直列を有するガントリーと、上部領域内の2列を接続するクロスビームとを含む。ガントリーは、測定対象の工作物を支持するための本体上で水平方向に可動であるように取り付けられる。測定スライドがクロスビームに沿って可動となるように取り付けられ、垂直方向に可動であるスリーブが測定スライドに取り付けられる。センサ特に触覚または光学センサがスリーブの下端に配置され、このセンサにより、測定対象物の表面が非接触的な方法で走査または撮像され得る。センサは、説明したガントリー機構により測定対象物に対してすべての座標方向x、y、zに移動され得る。
【0003】
しかし、一方では高分解能測定と他方では大きな測定フィールドまたは概略記録が光学座標測定機には必要である。大きな測定フィールドの場合、既知の座標測定機では、より大きな測定範囲のために解像度無しで済ます必要がある。さらに、既知の座標測定機では、測定範囲の比(所謂、広がり)が所謂ズーム系により導入される。ここでは、撮像倍率が、レンズ位置を例えば撮像レンズ素子または群の例えばカスケードで調整することにより設定され得る。その結果、前記ズーム系では、どの対象セグメントがカメラ上へ撮像されるべきかを選択することが可能である。しかし、このタイプのズーム系は不利であり得る。一例として、レンズを移動するための光学機構が高価でありかつ摩耗し易い。この機構でプレーすることは、測定不安定および/または不正確性を生じ得る。このタイプの系は大きな構造を有する傾向がある。駆動装置のモータ、コントローラおよび摩擦から生じる熱入力の変化が発生し得、この結果、このタイプの系は、高複雑性でもってのみ熱的に制御され得る。
【0004】
さらに、カメラチップの画素の数を増加することにより測定フィールドの拡大を実現することが知られている。それにもかかわらず、解像度を保持する一方で測定範囲を拡大するためのチップの拡大および/または画素の高密度化はすべての用途には好適ではないこともある。一例として、4:1以上の広がりが様々な用途には望ましい。このような倍率によるチップの拡大および/または画素の高密度化は半導体産業における進歩の文脈ですらこれまで発生していない、またはこれらのチップは工業分野での使用には好ましくない。撮像光学ユニットによるチップの拡大を満たすために、撮像光学ユニットの直径を拡大することが特に必要である。しかし、このような撮像光学ユニットは重く、大きく、かつ高価である。
【0005】
さらに、(特許文献1)には、光学素子と、それへ結合された画像セクタ要素であって視界を複数の領域に分割するように構成された画像セクタ要素と、これらの領域に従って画像を処理するように構成された画像処理プロセッサとを含む装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0158226A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、既知の装置および方法の不都合を少なくとも大部分回避する座標測定機および方法を提供することである。特に、本意図は、最大可能解像度および最大可能測定フィールドを有する測定を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、独立請求項の特徴を有する装置および方法により達成される。個々にまたは組み合わせて実現され得る有利な発展形態は従属請求項に提示される。
【0009】
以下では、用語「呈示する」、「有する」、「備える」もしくは「含む」、またはこれらのすべての文法的変形は非排他的方法で使用される。したがって、これらの用語は、これらの用語により導入される特徴の他にいかなる別の特徴も存在しない状況、または1つまたは複数の別の特徴が存在する状況のいずれかを指し得る。例えば、表現「AはBを呈示する」、「AはBを有する」、「AはBを備える」または「AはBを含む」は、Bを除いていかなる別の要素もA内に設けられない状況(すなわち、AがBを排他的に含む状況)と、Bに加えて1つまたは複数の別の要素(例えば要素C、要素CおよびD、または別の要素)がA内に設けられる状況との両方を指し得る。
【0010】
さらに、用語「少なくとも1つ」、「1つまたは複数」およびこれらの用語の文法的変形または同様な用語は、1つまたは複数の要素または特徴に関連して使用され、同要素または特徴が単独でまたは複数提供され得るという事実を表すように意図されれば、通常、例えば特徴または要素が最初に導入されるときに、一回だけ使用されるということが指摘される。同特徴または要素がその後再び述べられるとき、当該用語「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」は通常、特徴または要素が単独でまたは複数提供されるという可能性の制約無しには、もはや使用されない。
【0011】
さらに、以下、用語「好適には」、「特に」、「一例として」、または同様な用語は、これにより代替実施形態が限定されること無く任意選択的特徴と併せて使用される。この点に関し、これらの用語により導入される特徴は任意選択的特徴であり、これらの特徴により特許請求項、特に独立請求項の保護の範囲を限定するいかなる意図も無い。この点に関し、当業者により認識されるように本発明はまた、他の構成を使用して実行され得る。同様に、「本発明の一実施形態において」によりまたは「本発明の一例示的実施形態において」により導入される特徴は、これにより別の構成または独立請求項の保護の範囲が限定されることを意図すること無く任意選択的特徴として理解される。さらに、これらの導入表現により導入される特徴と他の特徴とを結合するすべての可能性は、任意選択特徴であるか否かに関わらず、前記導入表現により影響されないままであるように意図されている。
【0012】
本発明の一態様では、少なくとも1つの測定対象物の少なくとも1つの座標を判断するための座標測定機が提案される。
【0013】
この場合、測定対象物は通常、任意に成形された測定対象物を意味するものと本発明の文脈では理解され得る。一例として、測定対象物は、例えばモータ車両の試験片、測定対象工作物および測定対象部品からなる群から選択され得る。測定対象物は、三次元測定対象物(例えば少なくとも1つのタービン羽根、少なくとも1つの車両ボディシート、少なくとも1つのシール、または少なくとも1つのプリント回路基板)であり得る。特に、測定対象物は、少なくとも1つの端であり得る、または少なくとも1つの端を有し得る。本発明の文脈における端は、1mm未満の限界を有する面または1mm未満の曲率半径を有する輪郭を意味するものと理解され得る。しかし、他の測定対象物もまた考えられ得る。
【0014】
「座標測定機」は測定対象物の少なくとも1つの座標を判断するように構成された装置を意味するものと理解され得る。座標測定機は光学座標測定機であり得る。座標測定機は撮像測定系を含む座標測定機であり得る。座標測定機は、例えばガントリータイプ測定機またはブリッジ型測定機であり得る。座標測定機は、測定対象物を担持するための少なくとも1つの軸受面を有する測定テーブルを含み得る。座標測定機は、少なくとも1つの第1の垂直列、少なくとも1つの第2の垂直列、および第1の垂直列と第2の垂直列とを接続するクロスビームを有する少なくとも1つのガントリーを有し得る。第1および第2の垂直列から選択される少なくとも1つの垂直列は測定テーブル上で水平方向に可動であり得る。水平方向は例えばy軸に沿った方向であり得る。座標測定機は座標系、例えばデカルト座標系または極座標系を有し得る。他の座標系も考えられる。座標系の原点または零点は例えば座標測定機のセンサにより定義され得る。x軸は、測定テーブルの軸受面の面内のy軸に垂直に延伸し得る。z軸は軸受面の面に垂直に、垂直方向に延伸し得る。垂直列はz軸に沿って延伸し得る。クロスビームはx軸に沿って延伸し得る。
【0015】
座標測定機は少なくとも1つの光学素子を含む。光学素子は、少なくとも1つの画素の撮像倍率を光学素子の光軸からの同画素の距離に応じて設定するように構成される。座標測定機は、画素の少なくとも1つの画像を生成するように構成された少なくとも1つの撮像装置を含む。座標測定機は少なくとも1つの評価ユニットを含む。評価ユニットは画像の歪みを補正するように構成される。評価ユニットは補正された画像から測定対象物の座標を判断するように構成される。
【0016】
本発明の文脈における「光学素子」は任意の光学部品部分または任意の光学部品を意味するものと理解され得る。一例として、光学素子は複数の部品を含み得る。この場合、部品は空間的に互いに分離された方法で構成され得る。一例として、光学素子は、複数の光学部品(例えば1つまたは複数のレンズ、および/またはレンズ群、および/または別の光学部品)を有する光学系を含み得る。光学素子は少なくとも1つの非球面レンズを含み得る。「非球面レンズ」は少なくとも1つの非球面(すなわち円形形状および/または平面形状から逸脱する面)を有する光学素子を意味するものと理解され得る。非球面は次式により記述され得る。
【数1】
ここで、zはサジタル高さ、ρは頂点曲率、hは光軸に垂直な距離、κは円錐定数、cは補正多項式の係数、iは自然数である。光学素子は少なくとも2つの非球面レンズを含み得る。非球面レンズは同一または異なる方法で構成され得る。
【0017】
倍率とも呼ばれる「撮像倍率」は、測定対象物の光学的撮像の像サイズと実際の対象物サイズとの比を意味するものと理解され得る。画素は測定対象物の像面内の点を意味するものと理解され得る。画素の全体は測定対象物の結像(画像とも呼ばれる)と呼ばれることがある。「結像」は、原理的に測定対象物の画像の生成を意味するものと理解され得る。光学素子は、可視スペクトラム範囲内の測定対象物から発するエネルギーの一部を像面内に送信し得る。一例として、エネルギーは、例えば自己発光性測定対象物の場合、測定対象物自体により生成され得る、および/またはエネルギーは測定対象物の照射により生成され、測定対象物において、例えば反射により、伝送可能エネルギーに変換され得る。画像は測定対象物の部分領域の画像または測定対象物全体の画像であり得る。
【0018】
光軸は光学素子の部品の共通光軸であり得る。「光軸からの画素の距離」は、測定対象物の像面内の光軸に垂直な距離を意味するものと理解され得る。光軸は例えばz軸を定義し得、それに垂直な像面がxy面を形成し得る。撮像倍率を光軸からの画素の距離に応じて設定することは、画素の倍率が軸からの距離の増加とともに低下するように光学素子が構成されることを意味するものと理解され得る。光学素子は幾何学的像収差を有し得る。特に、光学素子は歪曲光学ユニットを含み得る。光学素子は中心窩(foveal)光学ユニットを含み得る。光学素子は、近軸(near−axis)測定フィールド領域に対して第1の撮像倍率を、遠軸(axis−remote)測定フィールド領域に対して第2の撮像倍率を設定するように構成され得る。光学素子は、近軸測定フィールド領域に対して第1の撮像倍率を、遠軸測定フィールド領域に対して第2の撮像倍率を同時に設定するように構成され得る。第1の撮像倍率は第2の撮像倍率より大きい可能性がある。近軸および遠軸測定フィールド領域は、光軸から半径方向外側に像面内で回転対称にまたは非回転対称に延伸し得る。「近軸」は「遠軸」測定フィールド領域と比較して光軸からのより小さな半径を有する測定フィールド領域を意味するものと理解され得る。零の軸距離の場合、用語「光軸」が使用される。用語「ゾーン」は、対角線フィールド(field diagonal)の2/3以下の軸距離の場合に使用される。用語「縁(margin)」は、外側領域から対角線フィールドの3/3までの軸距離の場合に使用される。近軸測定フィールド領域は特にゾーンの領域内に存在し得、一方、遠軸測定フィールド領域は縁の領域内に存在し得る。遠軸測定フィールド領域は近軸測定フィールド領域を囲み得る。近軸および遠軸測定フィールド領域のサイズ(特に、面積)は光学素子の部品により判断され得る。光学素子は、近軸測定フィールド領域と遠軸測定フィールド領域に関し4:1以上の広がり(好適には5:1以上)を設定するように構成され得る。
【0019】
光学素子は、近軸測定フィールド領域を撮像装置上にテレセントリックに結像するように構成され得る。テレセントリック性は軸からの距離の増加とともに低下し得る。上に説明したように、光学素子は、近軸測定フィールド領域に対して第1の撮像倍率を、遠軸測定フィールド領域に対して第2の撮像倍率を同時に設定するように構成され得る。この点に関し、小さな被写界深度による軸近傍の光学ユニットの作業距離の鋭いz集束もまた、遠軸画像領域へ転移され得る。この鋭いz集束により、遠軸測定領域のxy測定精度へのテレセントリック性欠落の影響を著しく最小化することが可能である(被写界深度〜NA)。
【0020】
撮像装置は少なくとも1つのセンサ素子を含み得る。一例として、センサ素子は回転対称に構成され得る。光学素子は、歪みプロファイルがすべての半径方向で同一となるように構成され得る。歪みプロファイルは、それぞれの方向のフィールド高さに対応し得る。
【0021】
一例として、センサ素子は非回転対称に構成され得る。一例として、センサ素子は例えば4:3のアスペクト比を有する矩形状であり得る。光学素子は非一様歪みプロファイルを生成するように構成され得る。一例として、光学素子は、歪みプロファイルが異なる半径方向で異なる(すなわち、フィールドジオメトリに整合する方法で非回転対称)ように構成され得る。光学素子は、歪みプロファイルが非回転対称となるように構成され得る。一例として、短フィールド方向では、最大倍率は、相応に小さなフィールド高さまでだけにしか必要とせず、その後は既に低下し得る。対角線方向では、倍率はより大きな半径まで一定に維持され得る。光学素子は、歪みプロファイルが非回転対称となるように構成され得、その結果、対象物における固定フィールド高さの歪みプロファイルの場合、画像内の関連フィールド高さは、対応方向のセンサ素子の広がりと同じ方位角依存性(特には4つの最小値および最大値を有する方位角依存性)を有する。光学素子は少なくとも2つの近接場(near−field)自由形式二重非球面を含み得る。光学素子は少なくとも2つの非回転対称自由形式二重非球面を含み得る。
【0022】
「撮像装置」は画素の少なくとも1つの画像を生成するように構成された任意構成装置を意味するものと理解され得る。撮像装置は少なくとも1つのセンサ素子を含み得る。本発明の文脈における「センサ素子」は、例えば測定対象物から発する検出光ビームの少なくとも1つの光学測定変数を検出するとともに、対応信号例えば電気信号(例えばアナログおよび/またはデジタル信号)を生成するように構成された任意の装置を意味するものと理解され得る。センサ素子は複数の画素を含み得る。撮像装置は少なくとも1つのカメラを含み得る。一例として、撮像装置は複数の画素を有する少なくとも1つのカメラチップを含み得る。一例として、カメラチップは約1000万画素以上の1インチ以上のカメラチップであり得る。例えば、平均画素サイズは3μmであり得る。一例として、画素サイズは3〜7マイクロメートルであり得、画素の数は200万画素〜5000万画素であり得る。一例として、画像送り速度は好適には25〜50Hzであり得る。
【0023】
「評価ユニット」は通常、撮像装置(特にセンサ素子)により生成される信号を評価するように構成された電子装置を意味するものと理解され得る。一例として、センサ素子と評価ユニット間の1つまたは複数の電子的接続がこの目的のために提供され得る。評価ユニットは、例えば少なくとも1つのデータ処理装置(例えば少なくとも1つのコンピュータ、マイクロコントローラ)を含み得る。データ処理装置は、1つまたは複数の揮発性および/または不揮発性データメモリを有し得、例えばプログラミングの観点でセンサ素子を駆動するように構成され得る。評価ユニットはさらに、少なくとも1つのインターフェース(例えば電子的インターフェースおよび/または例えばディスプレイおよび/またはキーボードなどの入出力装置などのヒューマンマシンインターフェース)を含み得る。評価ユニットは、例えば中央集中的またはそうでなければ非中央集中的な方法で構築され得る。他の構成も考えられる。評価ユニットは、例えばある読み出し速度で撮像装置のカメラチップから読み出すように構成され得る。読み出し速度は数十Hz以上であり得る。データ送信は、例えば光導波路を介したケーブルベースの方法でおよび/または無線で行われ得る。
【0024】
評価ユニットは画像の歪みを補正するように構成され得る。評価ユニットは画像処理装置を含み得る。画像処理装置は、撮像装置の一部として(例えば「埋め込みプラットフォーム」として)少なくとも部分的に提供され得る。「撮像装置の一部として少なくとも部分的に」は、画像処理装置の少なくとも一部が撮像装置の構成要素として配置されることを意味するものと理解され得、画像処理装置の別の部分はまた、撮像装置外に配置され得、例えば少なくとも1つの接続(特には、データ送信)を介して撮像装置へ接続され得る。画像処理装置はセンサ近傍(near−sensor)前処理を行うように構成され得る。画像処理装置は歪みを補正するように構成され得る。
【0025】
画像処理装置は歪みを補正するためのソフトウェアを含み得る。画像処理装置は、画像内の少なくとも1つの「関心領域」(ROI:Region of Interest)および/または画像の画像セグメント(「画像クロッピング:image cropping」)を選択するおよび/または画像領域の圧縮を行うように構成され得る。画像処理装置は、異なる撮像倍率を有する少なくとも2つの測定フィールド領域(特に少なくとも1つの近軸測定フィールド領域および/または少なくとも1つの遠軸測定フィールド領域)を選択するように構成され得る。画像処理装置は、近軸詳細(遠軸クロッピング)が望まれるかどうかまたは詳細(近軸圧縮)の無い概略が望まれるかどうかに依存して、ROIまたは画像クロッピングを選択するように構成され得る。一例として、評価ユニットは、表される空間的間隔を選択するためのグラフィックユーザインターフェースを含み得る。
【0026】
カメラ近傍画像処理または画像前処理(所謂、埋め込み処理プラットフォーム)に関して説明した光学系の接続は特に有利であり得る。このようにして、かなりの歪みの少なくとも1つの補正が上流側にシフトされ得、その結果、補正後、座標測定機の既存開ループおよび閉ループ制御エレクトロニクスまたはそれらのアルゴリズムはすべて変更無しに採用され得る。より広汎な画像処理方法もまた、撮像装置内の上流側にシフトされ得る。一例として、実際に必要である測定に必要な画像領域がフィルタ除去され得、一方、画像の残りは、カメラ近傍で既に廃棄されている。このようにして、測定画像処理へ送られるデータの容量としたがって送りの必要帯域幅とが低減され得る。これはとりわけ測定周波数を増加することを可能にし得る。データ送信に伴う熱入力の低下もまた可能であり得る。一例として、所謂「特徴抽出」(例えば端検出)までの画像処理は、撮像装置内の上流側へシフトされ得る、その結果、最終的に、ポイントクラウド(すなわち小サイズのアスキーファイル)だけが撮像装置から座標測定機の評価ユニットへ送信される。撮像装置と中心窩光学ユニットとを有する光学素子を含むこのようにして具現化されたセンサは、自動化ツール変更のために標準変更インターフェースにおいて使用され得る。
【0027】
歪み(特に半径方向歪み)の補正は例えばBrown−Conradyモデルの使用により行われ得る。この場合、例えば第7次の歪画像座標xは次式により記述され得る。
=k+k+k+k
ここで、xは無歪座標、kは拡大係数である。次に無歪倍率Mは次式により記述され得る。
【数2】
【0028】
低次または高次を有する歪みの補正も考えられる。
【0029】
画像処理装置は測定対象物の異なる領域の個々の記録間のオフセットを判断するように構成され得る。一例として、低解像度概略領域は、例えば相関法により個々の記録間のオフセットを判断するために使用され得る。これらの方法は、オフセット判断の極高精度を比較的簡単な方法で可能にし、このため、さらに、相関付けられるべきより多くの特徴を有する傾向がある概略画像が詳細記録により適している。これらの相関法により、実際の機械構造の費用増の無い機械の軸方向スケールの精度を著しく増加することと、サブミクロン範囲内のオフセット測定精度を可能にすることとが可能である。
【0030】
評価ユニットは補正された画像から測定対象物の座標を判断するように構成され得る。評価装置は、測定対象物を寸法的に測定するように構成された計測学的画像処理を含み得る。本発明の文脈では、測定対象物の座標は、測定対象物の測定対象面上(特に端上)の座標(特に距離座標)を意味するものと理解され得る。1つまたは複数の座標系がこの目的のために使用され得る。一例として、デカルト座標系または極座標系が使用され得る。他の座標系も考えられる。光学素子の光軸は座標系の軸(例えばz軸)であり得る。距離座標はz軸に沿った座標を意味するものと理解され得る。z軸に垂直な別の軸(例えばx軸、y軸)が設けられ得る。距離座標の判断は、特に測定対象物と光学素子および/または撮像装置のそれぞれの判断位置間の距離の判断を意味するものと理解され得る。
【0031】
別の態様では、少なくとも1つの測定対象物の少なくとも1つの座標を判断する方法が本発明の文脈で提案される。本方法は、
−少なくとも1つの画素の撮像倍率を少なくとも1つの光学素子の光軸からの画素の距離に応じて同光学素子により設定する工程と、
−少なくとも1つの撮像装置により画素を結像する工程と、
−少なくとも1つの評価ユニットにより画像の歪みを補正する工程と,
−補正された画像から測定対象物の座標を評価ユニットにより判断する工程と、を含む。
【0032】
この場合、これら方法工程は規定された順序で行われ得、方法工程のうちの1つまたは複数は少なくとも部分的に同時に行われ得、方法工程のうちの1つまたは複数は複数回反復され得る。さらに、別の工程が、本出願において述べられたか否かに関わらず追加的に行われ得る。
【0033】
本発明による座標測定機は本方法において使用され得る。本発明による方法に関する詳細に関し、本発明による座標測定機の説明が参照される。
【0034】
本発明による座標測定機と本発明による方法は既知方法および装置と比較して有利である。光学素子は、特に可動群無しで済まされるようにし、したがって構造を簡単にすることを可能にし、コントローラおよびリードとともにモータを無くし、測定安定性を改善する。
【0035】
要約すると、本発明の文脈では、以下の実施形態が特に好ましい:
【0036】
実施形態1:少なくとも1つの測定対象物の少なくとも1つの座標を判断するための座標測定機であって、座標測定機は少なくとも1つの光学素子を含み、光学素子は少なくとも1つの画素の撮像倍率を光学素子の光軸からの同画素の距離に応じて設定するように構成され、座標測定機は画素の少なくとも1つの画像を生成するように構成された少なくとも1つの撮像装置を含み、座標測定機は少なくとも1つの評価ユニットを含み、評価ユニットは画像の歪みを補正するように構成され、評価ユニットは補正された画像から測定対象物の座標を判断するように構成される、座標測定機。
【0037】
実施形態2:光学素子は、近軸測定フィールド領域に対して第1の撮像倍率を設定し、遠軸測定フィールド領域に対して第2の撮像倍率を設定するように構成される、実施形態1に記載の座標測定機。
【0038】
実施形態3:第1の撮像倍率は第2の撮像倍率より大きい、実施形態2に記載の座標測定機。
【0039】
実施形態4:光学素子は近軸測定フィールド領域および遠軸測定フィールド領域に関して4:1以上の広がりを設定するように構成される、実施形態2乃至3のいずれか一項に記載の座標測定機。
【0040】
実施形態5:光学素子は幾何学的像収差を有する、実施形態1乃至4のいずれか一項に記載の座標測定機。
【0041】
実施形態6:光学素子は中心窩光学ユニットを含む、実施形態1乃至5のいずれか一項に記載の座標測定機。
【0042】
実施形態7:光学素子は少なくとも1つの非球面レンズを含む、実施形態6に記載の座標測定機。
【0043】
実施形態8:撮像装置は少なくとも1つのセンサ素子を含む、実施形態1乃至7のいずれか一項に記載の座標測定機。
【0044】
実施形態9:センサ素子は複数の画素を含む、実施形態8に記載の座標測定機。
【0045】
実施形態10:撮像装置は少なくとも1つのカメラを含む、実施形態1乃至9のいずれか一項に記載の座標測定機。
【0046】
実施形態11:評価ユニットは歪みを補正するように構成された画像処理装置を含む、実施形態1乃至10のいずれか一項に記載の座標測定機。
【0047】
実施形態12:画像処理装置は撮像装置の一部として少なくとも部分的に構成され、画像処理装置はセンサ近傍前処理を行うように構成される、実施形態11に記載の座標測定機。
【0048】
実施形態13:少なくとも1つの測定対象物の少なくとも1つの座標を判断するための方法であって、
−少なくとも1つの画素の撮像倍率を少なくとも1つの光学素子の光軸からの画素の距離に応じて光学素子により設定する工程と、
−少なくとも1つの撮像装置により画素を結像する工程と、
−少なくとも1つの評価ユニットにより画像の歪みを補正する工程と、
−補正された画像から測定対象物の座標を評価ユニットにより判断する工程と、を含む
方法。
【0049】
実施形態14:座標測定機に関する実施形態1乃至12のいずれか一項に記載の座標測定機が使用される、実施形態13に記載の方法。
【0050】
本発明のさらなる詳細と特徴は、特に独立請求項と併せた以下の好ましい例示的実施形態の説明から明らかになる。この場合、それぞれの特徴は、それ自身により、または互いに組み合わせた複数のものとして実現され得る。本発明は例示的実施形態に限定されない。例示的実施形態は添付図面において模式的に示される。この場合、個々の図内の同一参照符号は、それらの機能に関して互いに対応する同一または機能的に同一要素または要素群を示す。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】座標測定機の概略図を示す。
図2図2Aから図2Cは、歪みの無い測定対象物の画像、歪みを有する測定対象物の画像、および補正された画像を示す。
図3図3A図3Cは、歪みの無い測定対象物の結像、歪みを有する測定対象物の結像、および補正された画像のシミュレーションを示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1は、少なくとも1つの測定対象物112の少なくとも1つの座標を判断するための座標測定機110の概略図を示す。座標測定機110は光学座標測定機であり得る。座標測定機110は撮像測定系を含む座標測定機であり得る。座標測定機110は例えばガントリータイプ測定機またはブリッジ型測定機であり得る。座標測定機110は、測定対象物112を担持するための少なくとも1つの軸受面を有する測定テーブルを含み得る。座標測定機110は、少なくとも1つの第1の垂直列を有する少なくとも1つのガントリーと、少なくとも1つの第2の垂直列と、第1の垂直列と第2の垂直列とを接続するクロスビームとを有し得る。第1および第2の垂直列から選択される少なくとも1つの垂直列は、測定テーブル上で水平方向に可動であり得る。水平方向は例えばy軸に沿った方向であり得る。座標測定機110は座標系、例えばデカルト座標系または極座標系を有し得る。他の座標系も考えられる。座標系の原点または零点は例えば座標測定機110のセンサにより定義され得る。x軸は、測定テーブルの軸受面の面においてy軸に垂直に延伸し得る。z軸は垂直方向において軸受面の面に垂直に延伸し得る。垂直列はz軸に沿って延伸し得る。クロスビームはx軸に沿って延伸し得る。
【0053】
座標測定機110は少なくとも1つの光学素子114を含む。光学素子114は少なくとも1つの画素の撮像倍率を光学素子114の光軸116からの同画素の距離に応じて設定するように構成される。座標測定機110は、画素の少なくとも1つの画像を生成するように構成された少なくとも1つの撮像装置118を含む。座標測定機110は少なくとも1つの評価ユニット120を含む。評価ユニット120は画像の歪みを補正するように構成される。評価ユニット120は補正された画像から測定対象物112の座標を判断するように構成される。
【0054】
一例として、光学素子114は複数の部品を含み得る。この場合、部品は空間的に互いに分離された方法で構成され得る。一例として、光学素子は、複数の光学部品(例えば1つまたは複数のレンズ、および/またはレンズ群、および/または別の光学部品)を有する光学系を含み得る。光学素子114は少なくとも1つの非球面レンズ122を含み得る。光学素子114は複数の非球面レンズを含み得る。非球面レンズは同一または異なる方法で構成され得る。非球面は次式により記述され得る。
【数3】
ここで、zはサジタル高さ、ρは頂点曲率、hは光軸に垂直な距離、κは円錐定数、cは補正多項式の係数、iは自然数である。
【0055】
図1は、2つの非球面レンズ、第1の非球面レンズ124および第2の非球面レンズ126を含む光学素子114を示す。第1の非球面レンズ124は、例えば4.562mmの高さ(すなわち光軸116に垂直な広がり)と2.173mmの幅(すなわち光軸116と平行な広がり)を有し得る。第2の非球面レンズ126は例えば5.786mmの高さと6.498mmの幅を有し得る。第1の非球面レンズ124は第1の非球面128を有し得、第2の非球面レンズ126は第2の非球面130を有し得る。次の表は、図1の例の補正多項式の係数cを示す:
【0056】
【表1】
【0057】
光軸116は光学素子の部品の共通光軸であり得る。光軸116は例えばz軸を規定し得、それに垂直な像面はxy面を形成し得る。光学素子114は幾何学的像収差を有し得る。特に、光学素子114は歪曲光学ユニットを含み得る。光学素子114は中心窩光学ユニットを含み得る。光学素子114は、近軸測定フィールド領域132に対して第1の撮像倍率を設定し、遠軸測定フィールド領域134に対して2番目の撮像倍率を設定するように構成され得る。
【0058】
図2Aは、歪みの無い測定対象物112の画像(ここでは円として示される)を示す。図2Bは測定対象物の画像を示し、近軸測定フィールド領域132は第1の撮像倍率により撮像され、遠軸測定フィールド領域134は第2の撮像倍率により撮像される。光学素子114は、近軸測定フィールド領域132に対して第1の撮像倍率を、遠軸測定フィールド領域134に対して第2の撮像倍率を同時に設定するように構成され得る。第1の撮像倍率は第2の撮像倍率より大きい可能性がある。近軸測定フィールド領域132と遠軸測定フィールド領域134は、光軸116から半径方向外側に像面内で回転対称にまたは非回転対称に延伸し得る。遠軸測定フィールド領域134は近軸測定フィールド領域132を囲み得る。近軸および遠軸測定フィールド領域のサイズ(特に、面積)は、光学素子の部品により判断され得る。光学素子114は、近軸測定フィールド領域132および遠軸測定フィールド領域134に関して4:1以上(好適には5:1以上)の広がりを設定するように構成され得る。
【0059】
光学素子114は、近軸測定フィールド領域132を撮像装置118上にテレセントリックに撮像するように構成され得る。テレセントリック性は軸からの距離の増加とともに低下し得る。上に説明したように、光学素子114は、近軸測定フィールド領域132に対して第1の撮像倍率を、遠軸測定フィールド領域134に対して第2の撮像倍率を同時に設定するように構成され得る。この点に関し、小さな被写界深度による軸近傍の光学ユニットの作業距離の鋭いz集束はまた、遠軸画像領域へ転移され得る。この鋭いz集束により、遠軸測定領域134のxy測定精度へのテレセントリック性欠落の影響を著しく最小化することが可能である(被写界深度〜NA)。
【0060】
撮像装置118は少なくとも1つのセンサ素子を含み得る。センサ素子は複数の画素を含み得る。撮像装置118は少なくとも1つのカメラを含み得る。一例として、撮像装置118は複数の画素を有する少なくとも1つのカメラチップを含み得る。一例として、カメラチップは約1000万画素以上の1インチ以上のカメラチップであり得る。例えば、平均画素サイズは3μmであり得る。
【0061】
評価ユニット120は、撮像装置118により生成される信号を評価し得る。一例として、センサ素子と評価ユニット120間の1つまたは複数の電子的接続が、この目的のために提供され得る。評価ユニット120は、例えば少なくとも1つのデータ処理装置(例えば少なくとも1つのコンピュータ、マイクロコントローラ)を含み得る。データ処理装置は、1つまたは複数の揮発性および/または不揮発性データメモリを有し得、例えばプログラミングの観点でセンサ素子を駆動するように構成され得る。評価ユニット120はさらに、少なくとも1つのインターフェース(例えば電子的インターフェースおよび/または例えばディスプレイおよび/またはキーボードなどの入出力装置などのヒューマンマシンインターフェース)を含み得る。評価ユニット120は例えば中央集中的またはそうでなければ非中央集中的な方法で構築され得る。他の構成も考えられる。評価ユニット120は、例えばある読み出し速度で撮像装置118のカメラチップから読み出すように構成され得る。読み出し速度は数十Hz以上であり得る。
【0062】
評価ユニット120は補正された画像から測定対象物112の座標を判断するように構成され得る。評価装置120は、測定対象物を寸法的に測定するように構成された計測学的画像処理を含み得る。
【0063】
評価ユニット120は画像の歪みを補正するように構成され得る。評価ユニット120は画像処理装置136を含み得る。画像処理装置136は、例えば「埋め込みプラットフォーム」として撮像装置118の一部として提供され得る。画像処理装置136は歪みを補正するように構成され得る。画像処理装置136は歪みの補正のためのソフトウェアを含み得る。画像処理装置136は、画像内の少なくとも1つの「関心領域」(ROI)および/または画像の画像セグメント(「画像クロッピング」)を選択するおよび/または画像領域の圧縮を行うように構成され得る。画像処理装置136は、異なる撮像倍率を有する少なくとも2つの測定フィールド領域(特に少なくとも1つの近軸測定フィールド領域132および/または少なくとも1つの遠軸測定フィールド領域134)を選択するように構成され得る。画像処理装置136は、近軸詳細(遠軸クロッピング)が望まれるかどうかまたは詳細(近軸圧縮)の無い概略が望まれるかどうかに依存して、ROIまたは画像クロッピングを選択するように構成され得る。一例として、評価ユニット120は、表される空間的間隔を選択するためのグラフィックユーザインターフェースを含み得る。
【0064】
歪み(特に半径方向歪み)の補正は例えばBrown−Conradyモデルの使用により行われ得る。図2Cは、歪みが補正された測定対象物112の画像を示す。
【0065】
図3A〜3Cは、図1と同様に概念的に示された実施形態の歪みのシミュレーションの結果を示す。図3Aは、歪みの無い測定対象物112(ここでは規則的点パターン)の画像のシミュレーションを示す。図3Bは、歪みを有する測定対象物112の画像を示し、図3Cは補正された画像を示す。
【符号の説明】
【0066】
110 座標測定機
112 測定対象物
114 光学素子
116 光軸
118 撮像装置
120 評価ユニット
122 非球面レンズ
124 第1の非球面レンズ
126 第2の非球面レンズ
128 第1の非球面
130 第2の非球面
132 近軸測定フィールド領域
134 遠軸測定フィールド領域
136 画像処理装置
図1
図2
図3