特許第6653023号(P6653023)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ メッツォ ミネラルズ インクの特許一覧

<>
  • 特許6653023-スピン防止構成 図000002
  • 特許6653023-スピン防止構成 図000003
  • 特許6653023-スピン防止構成 図000004
  • 特許6653023-スピン防止構成 図000005
  • 特許6653023-スピン防止構成 図000006
  • 特許6653023-スピン防止構成 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6653023
(24)【登録日】2020年1月28日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】スピン防止構成
(51)【国際特許分類】
   B02C 2/06 20060101AFI20200217BHJP
【FI】
   B02C2/06
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-544327(P2018-544327)
(86)(22)【出願日】2016年2月24日
(65)【公表番号】特表2019-507675(P2019-507675A)
(43)【公表日】2019年3月22日
(86)【国際出願番号】FI2016050116
(87)【国際公開番号】WO2017144765
(87)【国際公開日】20170831
【審査請求日】2019年2月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】510331445
【氏名又は名称】メッツォ ミネラルズ インク
【氏名又は名称原語表記】METSO MINERALS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】クヴァヤ カリ
(72)【発明者】
【氏名】ラウタラ アキ
【審査官】 中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−087851(JP,A)
【文献】 特開昭57−201543(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/141560(WO,A1)
【文献】 実開昭59−048743(JP,U)
【文献】 実開昭52−072967(JP,U)
【文献】 実開昭56−076036(JP,U)
【文献】 実開昭56−017945(JP,U)
【文献】 特開昭62−201656(JP,A)
【文献】 特開2004−136252(JP,A)
【文献】 特開2014−108390(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0016175(US,A1)
【文献】 国際公開第2017/115398(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 2/06、23/00、25/00
F16J 15/00、16−43、54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジャイレトリクラッシャーのスピン防止構成であって、
ジャイレトリクラッシャーの上軸受のシーリングを提供するように構成される少なくとも1つのシール要素(20、25)と、
前記ジャイレトリクラッシャーのヘッドのスピンを低減するように構成される少なくとも1つのスピン防止要素(30)と、
第1の調整要素(60)及び第2の調整要素(70)と、
を備え、前記少なくとも1つのシール要素(20、25)及び前記少なくとも1つのスピン防止要素(30)は、前記第1の調整要素(60)及び前記第2の調整要素(70)によってそれぞれ個別に調整されるように構成される、スピン防止構成。
【請求項2】
前記少なくとも1つのシール要素(20、25)は、第1のシール要素(20)と第2のシール要素(25)とを含む、請求項1に記載のスピン防止構成。
【請求項3】
ワイパ要素(80)をさらに備える、請求項1または2に記載のスピン防止構成。
【請求項4】
前記少なくとも1つのスピン防止要素(30)は、2つ以上のスピン防止要素を含む、請求項1から3のいずれかに記載のスピン防止構成。
【請求項5】
前記少なくとも1つのシール要素(20、25)、前記少なくとも1つのスピン防止要素(30)、および前記第1の調整要素(60)と前記第2の調整要素(70)は、リング形状を有する、請求項1から4のいずれかに記載のスピン防止構成。
【請求項6】
前記少なくとも1つのスピン防止要素は、穿孔、溝、凸部、または凹部を有する、請求項1から5のいずれかに記載のスピン防止構成。
【請求項7】
前記第1の調整要素(60)および/または前記第2の調整要素(70)は、ほぼL字型の断面を有する、請求項1から6のいずれかに記載のスピン防止構成。
【請求項8】
前記第1の調整要素(60)および/または前記第2の調整要素(70)は、複数の個別部分を含む、請求項1から7のいずれかに記載のスピン防止構成。
【請求項9】
上軸受(10)と、
上部フレーム(90)と、
主軸(50)と、
を備えるジャイレトリクラッシャー(100)であって、
請求項1から8のいずれかに記載のスピン防止構成をさらに備えることを特徴とする、ジャイレトリクラッシャー(100)。
【請求項10】
前記上部フレーム(90)に着脱可能に取り付けられ、前記スピン防止構成を所定の位置に保持するように構成されるカバー要素(40)をさらに備える、請求項9に記載のジャイレトリクラッシャー。
【請求項11】
請求項9または10に記載のジャイレトリクラッシャー(100)を備える、鉱物材料加工プラント(400)。
【請求項12】
前記鉱物材料加工プラントは移動型プラントである、請求項11に記載の鉱物材料加工プラント。
【請求項13】
ジャイレトリクラッシャーのスピン防止構成を調整する方法であって、
ジャイレトリクラッシャーの上軸受のシーリングを提供するように構成される少なくとも1つのシール要素(20、25)の機能を監視することと、
前記ジャイレトリクラッシャーのヘッドのスピンを低減するように構成される少なくとも1つのスピン防止要素(30)の機能を監視することと、
第1の調整要素(60)および第2の調整要素(70)によって、それぞれ個別に、前記少なくとも1つのシール要素(20、25)および/または前記少なくとも1つのスピン防止要素(30)を調整することと、
を含む、方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つのシール要素(20、25)および/または前記少なくとも1つのスピン防止要素(30)を調整することは、
カバー要素(40)を取り外すことと、
前記少なくとも1つのシール要素(20、25)および/または前記少なくとも1つのスピン防止要素(30)を上部フレーム(90)と主軸(50)の間から下降させることと、
前記少なくとも1つのシール要素(20、25)、および/または前記少なくとも1つのスピン防止要素(30)、および/または第1の調整要素(60)および第2の調整要素(70)を交換すること、および/または第1の調整要素(60)および第2の調整要素(70)によってそれぞれ調整することと、
前記少なくとも1つのシール要素(20、25)および/または前記少なくとも1つのスピン防止要素(30)を前記上部フレーム(90)と前記主軸(50)の間のある位置に上昇させることと、
前記カバー要素を取り付ける(40)ことと、
を含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的にはジャイレトリクラッシャーに関する。特に、ただし排他的にではなく、本発明はジャイレトリクラッシャーのスピン防止構成に関する。
【発明の背景】
【0002】
岩石などの鉱物材料は地中より爆破または採掘によって採取され加工される。また、鉱物材料は、自然石、砂利、および建設廃棄物を含むこともある。加工には、移動型プラントと固定型プラントの両方が用いられる。加工対象の材料は、例えば掘削機またはホイールローダによって加工プラントの供給ホッパに供給され、そこから送り出されて加工される。
【0003】
ジャイレトリクラッシャーにおいて、クラッシャーヘッドが望ましくないスピンをすることは、一部の状況でよく起こる問題である。この問題は、特に破砕機(クラッシャー)がアイドリングしているとき、すなわち破砕シェル間の破砕室内に材料がないときに起こる。このため、スピン防止要素が用いられる。従来は、破砕機の上軸受のシールがスピン防止要素としても機能する。
【0004】
従来の解決策ではスピンは低減されるが、必要とされるスピン防止特性のためにシールの材料と調整が制限されるため、上軸受のシーリングが最適ではなくなる。また、そのような一体化されたスピン防止シールは取付が難しい。
【0005】
本発明は、従来技術の問題を緩和するジャイレトリクラッシャーのスピン防止構成を提供することを目的とする。
【摘要】
【0006】
本発明の第1の態様によると、ジャイレトリクラッシャーのスピン防止構成が提供される。このスピン防止構成は、前記ジャイレトリクラッシャーの上軸受のシーリングを提供するように構成される少なくとも1つのシール要素と、前記ジャイレトリクラッシャーのヘッドのスピンを低減するように構成される少なくとも1つのスピン防止要素と、第1の調整要素及び第2の調整要素を備え、前記少なくとも1つのシール要素及び前記少なくとも1つのスピン防止要素は、前記第1の調整要素及び前記第2の調整要素によってそれぞれ個別に調整されるように構成される。
【0007】
前記少なくとも1つのシール要素は、第1のシール要素と第2のシール要素とを含んでもよい。
【0008】
前記スピン防止構成は、ワイパ要素をさらに備えてもよい。
【0009】
前記少なくとも1つのスピン防止要素は、2つ以上のスピン防止要素を含んでもよい。
【0010】
前記少なくとも1つのシール要素、前記少なくとも1つのスピン防止要素、および前記第1の調整要素と前記第2の調整要素は、リング形状を有してもよい。
【0011】
前記少なくとも1つのスピン防止要素は、穿孔、溝、凹部、または凸部を有してもよい。
【0012】
前記第1の調整要素および/または前記第2の調整要素は、ほぼL字型の断面を有してもよい。
【0013】
前記第1の調整要素および/または前記第2の調整要素は、複数の個別部分を有してもよい。
【0014】
本発明の第2の態様によると、ジャイレトリクラッシャーが提供される。前記ジャイレトリクラッシャーは、上軸受と、上部フレームと、主軸とを備え、本発明の前記第1の態様のスピン防止構成をさらに備える。
【0015】
前記ジャイレトリクラッシャーは、前記上部フレームに着脱可能に取り付けられ、前記スピン防止構成を所定の位置に保持するように構成されるカバー要素をさらに備えてもよい。
【0016】
本発明の第3の態様によると、前記第2の態様によるジャイレトリクラッシャーを備える鉱物材料加工プラントが提供される。
【0017】
前記鉱物材料加工プラントは移動型プラントであってもよい。
【0018】
本発明の第4の態様によると、ジャイレトリクラッシャーのスピン防止構成を調整する方法が提供される。前記方法は、前記ジャイレトリクラッシャーの上軸受のシーリングを提供するように構成される少なくとも1つのシール要素の機能を監視することと、前記ジャイレトリクラッシャーのヘッドのスピンを低減するように構成される少なくとも1つのスピン防止要素の機能を監視することと、第1の調整要素および第2の調整要素によって、それぞれ個別に、前記少なくとも1つのシール要素および/または前記少なくとも1つのスピン防止要素を調整することとを含む。
【0019】
前記少なくとも1つのシール要素および/または前記少なくとも1つのスピン防止要素を調整することは、カバー要素を取り外すことと、前記少なくとも1つのシール要素および/または前記少なくとも1つのスピン防止要素を上部フレームと主軸の間から下降させることと、前記少なくとも1つのシール要素、および/または前記少なくとも1つのスピン防止要素、および/または第1の調整要素および第2の調整要素を交換すること、および/または第1の調整要素および第2の調整要素によってそれぞれ調整することと、前記少なくとも1つのシール要素および/または前記少なくとも1つのスピン防止要素を前記上部フレームと前記主軸の間のある位置に上昇させることと、前記カバー要素を取り付けることと、を含んでもよい。
【0020】
本発明の異なる実施形態は、本発明のいくつかの態様に関してのみ説明される、または説明されたものである。本発明のある態様における任意の実施形態は、本発明の同態様のみならずその他態様にも適用されうることを当業者は理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明を、添付の図面を参照して、例を用いて以下に説明する。
図1図1は、本発明の一実施形態によるジャイレトリクラッシャーのスピン防止構成の断面略図である。
図2図2は、本発明の一実施形態によるジャイレトリクラッシャーのスピン防止構成の断面略図である。
図3図3は、本発明の一実施形態によるジャイレトリクラッシャーのスピン防止構成の断面略図である。
図4図4は、本発明の一実施形態による鉱物材料加工プラントの図である。
図5図5は、本発明の一実施形態による調整方法のフローチャートである。
図6図6は、本発明の一例としての実施形態によるジャイレトリクラッシャーの図である。
【詳細説明】
【0022】
以下の説明において、同様の要素には同様の番号を付している。示される図は必ずしも縮尺に従ったものではなく、これらの図は、本発明の実施形態を示すことを主たる目的とするものであることを理解されたい。
【0023】
図1は、本発明の一例としての実施形態によるジャイレトリクラッシャーのスピン防止構成の断面略図である。図1は、ジャイレトリクラッシャーの主軸50の上軸受10を示している。スピン防止構成は、上軸受10の下方の、主軸50と上部フレーム90の間に取り付けられる。スピン防止構成は、第1のシール要素20と第1のスピン防止要素30とを備える。一実施形態において、第1のスピン防止要素は第1のシール要素20の下方に位置する。第1のシール要素20は上軸受10のシーリングを提供するように構成され、第1のスピン防止要素30はクラッシャーヘッドのスピンを低減するように構成される。また、第1のシール要素20は所定の位置に保持され、第1の調整要素60によって調整されるように構成される。さらに、スピン防止要素は、一実施形態において、所定の位置に保持され、第2の調整要素70によって調整されるように構成される。
【0024】
図1は、上部フレーム90に着脱可能に取り付けられ、スピン防止構成を所定の位置に保持するように構成されるカバー要素40をさらに示している。カバー要素40によって、スピン防止構成に容易にアクセスでき、上軸受を取り外すことなくシール要素20および/またはスピン防止要素30を交換することができる。すなわち、スピン防止構成を交換する際は、まずスピン防止構成を主軸の周囲に配置し、次にカバー要素40を用いて所定の位置へと押し込む。スピン防止構成の組立または交換中、第1のスピン防止要素30は第1のシール要素20を保護する。カバー要素40はさらに、第1のシール要素20および第1のスピン防止要素を所定の位置に固定する。すなわち、第1のシール要素20および第1のスピン防止要素は主軸50のみに対して移動する。
【0025】
第1のシール要素20および第1のスピン防止要素30は個別の要素を備える。一実施形態において、第1のシール要素20および第1のスピン防止要素30はリング形状を有する。一実施形態において、第1のシール要素20および第1のスピン防止要素30は、全体でリング形状を成す複数の断片を含む。一実施形態において、第1のシール要素20はゴムなどの材料を含む。一実施形態において、第1のスピン防止要素30はゴムなどの材料を含む。別の実施形態において、第1のスピン防止要素30は、第1のスピン防止要素30のスピン防止効果をより精密に調整するために構成される穿孔、溝、凸部、凹部などの要素を有する。一実施形態において、第1のシール要素20および第1のスピン防止要素は、複数の断片と、該断片をまとめて固定して例えばリング状要素を形成するように構成される形状固定手段とを備える。
【0026】
一実施形態における第1の調整要素60および第2の調整要素70は、リング状要素を備える。別の実施形態において、第1の調整要素60および第2の調整要素70は、対応するシール要素および/またはスピン防止要素の周囲と下または上との両方に存在するようなL字型の断面を有する。別の実施形態において、第1の調整要素60および第2の調整要素70は、対応するシール要素および/またはスピン防止要素の周囲に存在するようなL字型の断面を有する。L字型の断面の水平部分は、一実施形態において、シーリングおよび/またはスピン防止効果を調整するために用いられ、L字型の断面の垂直部分は、一実施形態において、効果を制限するために用いられる。
【0027】
例えば図1に示すように、カバー要素40が、例えばボルトによって上部フレーム90に対して所定の位置に張設される場合、カバー要素40を上方向に動かすと、シール要素、調整要素(単数または複数)、およびスピン防止要素が上軸受10の下端に向かって動く。弾性材料で形成されるすべての部分は、縦寸法において圧縮可能であり、これによって主軸50の周囲に圧縮力が生じ、シール要素20およびスピン防止要素30が主軸50の周囲に押し付けられる。圧縮レベルは、適切な寸法を有する調整要素を選択することによって調整される。
【0028】
一実施形態における第1の調整要素60および第2の調整要素70は、全体でリング形状を成す複数の断片を含む、またはシール要素および/またはスピン防止要素それぞれの外周部周囲に位置する個別の要素を含む。別の実施形態において、第1の調整要素60および/または第2の調整要素70は、外周部周囲に単一層または複数層として設けられる複数の個別部分を含む。一実施形態における第1の調整要素60および第2の調整要素70の数および/または厚さおよび/または張りは、シーリングおよび/またはスピン防止効果を調整するために調整される。すなわち、調整要素によって、対応するシール要素および/またはスピン防止要素が主軸50またはその周囲に押し付けられる。一実施形態における第1の調整要素60および第2の調整要素70は、金属などの実質的な硬質材料を含む。一実施形態において、第1のシール要素60および第2のシール要素70は、複数の断片と、該断片をまとめて固定して例えばリング状要素を形成するように構成される形状固定手段とを備える。
【0029】
図2は、本発明の一例としての実施形態によるジャイレトリクラッシャーのスピン防止構成の断面略図である。図2は、ジャイレトリクラッシャーの主軸50の上軸受10を示している。スピン防止構成は、上軸受10の下方の、主軸50と上部フレーム90の間に取り付けられる。スピン防止構成は、第1のシール要素20と第1のスピン防止要素30とを備える。一実施形態において、第1のスピン防止要素は第1のシール要素20の下方に位置する。第1のシール要素20は上軸受10のシーリングを提供するように構成され、第1のスピン防止要素30はクラッシャーヘッドのスピンを低減するように構成される。また、第1のシール要素20は所定の位置に保持され、第1の調整要素60によって調整されるように構成される。さらに、スピン防止要素は、一実施形態において、所定の位置に保持され、第2の調整要素70によって調整されるように構成される。図2は、上部フレーム90に着脱可能に取り付けられ、スピン防止構成を所定の位置に保持するように構成されるカバー要素40をさらに示している。
【0030】
また、図2は、第1のワイパ要素80を示している。第1のワイパ要素80は、上軸受10のシーリングを提供し、かつ、第1のシール要素20および第1のスピン防止要素30の摩耗を低減するために主軸50を清掃するように構成される。一実施形態において、第1のワイパ要素80は第1のスピン防止要素30の下方に位置する。このような実施形態において、一実施形態における主軸50に当接する第1のスピン防止要素の表面は、スピン防止効果を高めるために、スケール状の凸部または凹部を有する。
【0031】
図3は、本発明の一例としての実施形態によるジャイレトリクラッシャーのスピン防止構成の断面略図である。図3は、ジャイレトリクラッシャーの主軸50の上軸受10を示している。スピン防止構成は、上軸受10の下方の、主軸50と上部フレーム90の間に取り付けられる。スピン防止構成は、第1のシール要素20と第1のスピン防止要素30とを備える。一実施形態において、第1のスピン防止要素は第1のシール要素20の下方に位置する。第1のシール要素20は上軸受10のシーリングを提供するように構成され、第1のスピン防止要素30はクラッシャーヘッドのスピンを低減するように構成される。また、第1のシール要素20は所定の位置に保持され、第1の調整要素60によって調整されるように構成される。さらに、スピン防止要素は、一実施形態において、所定の位置に保持され、第2の調整要素70によって調整されるように構成される。図3は、上部フレーム90に着脱可能に取り付けられ、スピン防止構成を所定の位置に保持するように構成されるカバー要素40をさらに示している。
【0032】
また、図3は、第1のシール要素20とスピン防止要素30の間に位置する第2のシール要素25を示している。第2のシール要素25は、上軸受10のシーリングを提供するように構成される。一実施形態における第2のシール要素25は、第1のシール要素20に類似する要素を備える。第2のシール要素25は所定の位置に保持され、第1のシール要素20と共に、第1の調整要素60によって、または一実施形態においてさらなる調整要素(図示しない)によって、調整されるように構成される。
【0033】
上記において、本発明の実施形態を図1から図3を参照して説明した。これらの実施形態は、1つのスピン防止要素30および1つまたは2つのシール要素20、25を備えるものとして説明したが、一実施形態におけるスピン防止要素および対応する調整要素の数は2つ以上、例えば2つまたは3つであることが予想される。一実施形態において、シール要素20、25および対応する調整要素の数も3つ以上、例えば3つまたは4つである。また、一実施形態において、単数または複数のシール要素および/またはスピン防止要素を調整し、それらの摩耗を相殺するために、シール要素および/またはスピン防止要素ごとに複数の調整要素(図1から図3に図示しない)が提供される。
【0034】
図4は、一実施形態による鉱物材料加工プラント400の図である。鉱物材料加工プラント400は、本発明の一実施形態によるスピン防止構成を備える、本発明の一実施形態によるジャイレトリクラッシャー(破砕機)100を備える。この破砕機は、一次破砕機として、または例えば中間破砕機や二次破砕機として用いることができる。さらに、この破砕機は微粉砕に用いることができる。一例としての実施形態において、鉱物材料加工プラント400は、フィーダ410およびコンベア411、430をさらに備える。一例としての実施形態による鉱物材料加工プラントは、移動型鉱物材料加工プラントであり、無限軌道ベース440を備える。また、この鉱物材料加工プラントは、モータや油圧回路などの、図4に示していない他の部品や部分を備えてもよく、および/または、図4に示す部品の一部が存在しなくてもよいことを、当業者は理解するであろう。
【0035】
一例としての実施形態において、破砕対象の材料はフィーダ410に供給され、そこからコンベア411によってジャイレトリクラッシャー100へと供給される。フィーダ410は、いわゆるスカルパーフィーダ(scalper feeder)であってもよい。コンベアから供給された破砕対象の材料は、供給口421へと送られる。さらなる一例としての実施形態において、破砕対象の材料は、例えばローダによって供給口へと直接送られる。
【0036】
さらなる一例としての実施形態において、鉱物材料加工プラント400は、破砕部、スクリーン部、および搬送部を備える固定型鉱物材料加工プラントであってもよいことを、当業者は理解するであろう。さらなる一例としての実施形態において、移動型加工プラントは、図4に示す無限軌道の代わりに、車輪、脚、スキッドなどの他の適切な支持手段を備えてもよい。
【0037】
図5は、本発明の一実施形態による調整方法のフローチャートである。510において、スピン防止構成の機能を監視する。例えば、スピン防止要素30の第1または第2のシール要素20、25、またはワイパ要素80が摩耗すると、スピン防止構成の機能が低下する。すなわち、シーリングに漏れが生じたり、ヘッドのスピンが見られたりするようになる。520において、スピン防止構成を調整する。この調整は、調整要素、すなわち一実施形態においては第1の調整要素60および第2の調整要素70を用いて行われる。この調整は、調整要素を締めて、例えば摩耗を相殺したり、さらなる調整用を追加して同様の効果を得たりすることによって行われる。調整後、スピン防止構成の機能をさらに監視する。530において、調整が効果的でないことが判明した場合、スピン防止構成またはその要素を新しいものに交換する。
【0038】
一実施形態において、この調整は以下のように行われる。まずカバー要素40を取り外し、次に少なくとも1つのシール要素20、25および/または少なくとも1つのスピン防止要素30を上部フレームと主軸の間から下降させる。これによって、上部フレーム90を取り外さなくてもこれらの要素にアクセスできる。その後、少なくとも1つのシール要素20、25、および/または少なくとも1つのスピン防止要素30、および/または第1の調整要素60および第2の調整要素70を必要に応じて交換する、および/または第1の調整要素60および第2の調整要素70をそれぞれ用いた調整によって構成を調整する。部品の調整および/または交換後、少なくとも1つのシール要素20、25および/または少なくとも1つのスピン防止要素30を上部フレーム90と主軸50の間の位置に上昇させ、カバー要素40を取り付ける。
【0039】
図6は、本発明の一実施形態によるジャイレトリクラッシャー(破砕機)100を示している。この破砕機は、フレームと、上部フレーム90および下部フレーム602と、主軸50と、潤滑および調整ピストン603と、偏心組立体604と、外側破砕部605と、内側破砕部606と、トランスミッション607と、クラッシャーヘッド608とを備える。
【0040】
トランスミッション607は、主軸50を中心に偏心組立体604を回転させ、内側破砕部606と外側破砕部605の間に旋回運動を生じさせるために配置される。
【0041】
上軸受10は、上部フレーム90と主軸の間で好ましくはほぼ円筒状に形成される。これにより、例えば破砕機の設定が調整ピストン603によって調整される場合、上軸受10に対して主軸が上下移動することが可能である。
【0042】
本発明の保護、解釈、または考えうる適用の範囲をなんら限定することなく、本発明の異なる実施形態の技術的利点は、改良されたシーリングとスピン防止効果であると考えられる。さらに、本発明の異なる実施形態の技術的利点は、個別に調整可能なシーリングおよびスピン防止効果であり、そのいずれも損なわないことであると考えられる。さらに、本発明の異なる実施形態の技術的利点は、スピン防止および/またはシーリングのより容易な交換および取付であると考えられる。さらに、本発明の異なる実施形態の技術的利点は、シーリング要素およびスピン防止要素の摩耗の低減であると考えられる。さらに、本発明の異なる実施形態の技術的利点は、破砕機の上部フレームを取り外すことなくシーリングおよびスピン防止構成の要素を交換および/または調整することであると考えられる。
【0043】
前述の説明において、本発明のいくつかの実施形態について非限定的な例を示した。本発明は、提示された詳述内容に限定されるものではなく、他の同等の手段によって実施可能であることは当業者に明らかである。上記開示の実施形態のいくつかの特徴は、他の特徴を用いることなく有利に用いられうる。
【0044】
よって、上述の説明は、本発明の原理の単なる例示にすぎず、それに限定されるものではない。したがって、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6