【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度、国立研究開発法人日本医療研究開発機構、「未来医療を実現する医療機器・システム研究開発事業フレキシブル内視鏡手術ロボット」「未来医療を実現する先端医療機器・システムの研究開発/先端医療機器の開発/高い安全性と更なる低侵襲化及び高難度治療を可能にする軟性内視鏡手術システムの研究開発」委託研究開発、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ガイドプーリと前記駆動プーリとの間における前記細長要素は、前記基端部の長手方向と平行な方向に延びる、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の手術器具。
前記ジョーの動作に用いられる前記細長要素が巻かれる前記駆動プーリは、前記基端部の長手方向に延びる前記軸を中心に回転する基体に設けられている、請求項8に記載の手術器具。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<手術システム>
図1は、本発明の実施の形態に係る手術システムの構成を示す図である。
【0015】
図1を参照して、手術システム201は、医療用処置具101と、制御器4と、操作部5とを備える。術者Wが、医療用処置具101を遠隔操作することにより、内視鏡手術などを行うことができる。
【0016】
医療用処置具101は、たとえば、1または複数の手術器具1と、1または複数の内視鏡8と、手術器具1および内視鏡8の先端が挿入される1または複数の案内管11と、1または複数の案内管11が挿入される集束管12とを含む。手術器具1および内視鏡8は、たとえば治療台7に取り付けられた支持台6に支持される。
【0017】
手術器具1、内視鏡8、案内管11および操作部5は、制御器4に電気的に接続される。操作部5は、術者Wにより操作されると、制御器4を介して手術器具1、内視鏡8および案内管11に動作指令を与える。これにより、術者Wは、手術器具1、内視鏡8および案内管11を遠隔操作することができる。
【0018】
<医療用処置具>
図2は、本発明の実施の形態に係る医療用処置具の構成を示す斜視図である。
図2では、医療用処置具101の一部が患者の体内に挿入された状態であって、医療用処置具101を透視した状態を示している。患者の体表を二点鎖線で示し、患者の体表に形成された切開部Xを実線で示している。
【0019】
図2を参照して、手術器具1は、細長に形成された可撓性シャフト2と、可撓性シャフト2の先端に設けられた先端部20とを有する。
図2では、可撓性シャフト2の一部および先端部20は、案内管11を挿通し、案内管11から露出している。
【0020】
また、内視鏡8は、細長に形成された可撓性シャフト2と、可撓性シャフト2の先端に設けられたカメラ81とを有する。
図2では、可撓性シャフト2の一部およびカメラ81は、案内管11を挿通し、案内管11から露出している。
【0021】
案内管11は、たとえば、ポリプロピレン、塩化ビニル等の軟性プラスチックにより形成されている。また、案内管11は、図示しないワイヤ部材と、ワイヤ部材を動作させる案内管屈曲調整機構103とを有する。
【0022】
案内管屈曲調整機構103は、たとえば、人手でワイヤ部材の引っ張り量を調整し、さらに、ねじ止めを行うことにより当該ワイヤ部材の動きを固定したり、ワイヤ部材が係合された図示しないモータおよび歯車を用いて電動でワイヤ部材の引っ張り量を調整したりする機構である。このように、ワイヤ部材の引っ張り量を調整することにより、案内管11における屈曲部31が屈曲する。
【0023】
集束管12は、たとえば、ポリプロピレン、塩化ビニル等の軟性プラスチックにより形成されている。集束管12は、その内径が案内管11の外径よりも大きい筒形状であり、可撓性を有する。
【0024】
集束管12は、たとえば腹腔
鏡手術が行われる場合、患者の体表に形成された切開部Xから体腔へ挿入される。なお、集束管12は、切開部Xから挿入される代わりに、口腔などの自然孔から患者の体内へ挿入されてもよい。すなわち、医療用処置具101は、腹腔
鏡手術に限らず、自然開口部越経管腔的内視鏡手術などに用いられてもよい。
【0025】
また、集束管12は、たとえば、自己の基端側、すなわち体表に挿入されない側の外壁を把持機構102により把持されることにより、位置および向きが固定される。
【0026】
腹腔
鏡手術の場合、たとえば、集束管12は、患者の体表に形成された切開部Xから体腔へ挿入されるため、口腔などの自然孔から挿入される場合と比較して、位置および向きが固定されにくい。このため、集束管12を上記のように把持する把持機構102は、腹腔
鏡手術に用いられる医療用処置具を把持する場合に特に有用である。
【0027】
図3は、集束管の内部に案内管が挿入されている状態を示す斜視図である。
図4は、
図3におけるIV−IV線に沿った断面を示す断面斜視図である。
【0028】
図3および
図4を参照して、集束管12は、案内管11の挿入を案内する1または複数のガイド部21を有する。ガイド部21は、たとえば、集束管12の内壁において集束管12の軸方向に延設された蟻溝であって、
図4に示すように、集束管12の内周面から外周面へ向かう方向へ徐々に広がった略台形の断面形状を有する。
【0029】
なお、上述のとおり、集束管12は可撓性を有し、適当な角度に屈曲させて体腔へ挿入することができる。
【0030】
図5は、本発明の実施の形態に係る案内管の構成を示す斜視図である。
【0031】
図5を参照して、案内管11は、可撓性を有する軸部30と、屈曲部31と、案内管先端部32と、案内管基端部33とを含む。また、案内管11は、軸部30の外周面において、案内管11の軸方向に断続的に延設された係合部34を含む。
【0032】
図3および
図4に示す集束管12の内部に案内管11が挿入された状態において、少なくとも屈曲部31の一部および案内管先端部32が集束管12から露出する。
【0033】
図6は、
図5におけるVI−VI線に沿った断面を示す断面図である。
【0034】
図6を参照して、係合部34は、たとえば、案内管11の内周面から外周面へ向かう方向へ徐々に広がった略台形の断面形状を有する。
【0035】
係合部34は、
図3および
図4に示す集束管12の内部に案内管11が挿入される際、集束管12におけるガイド部21に摺動可能に係合される。これにより、集束管12の内部に案内管11が挿入された状態において、医療用処置具101の位置または向きが変更された場合であっても、案内管11と集束管12との位置関係を保つことができる。
【0036】
また、上述のとおり、係合部34が、案内管11の軸方向に断続的に延設されている構成により、屈曲した集束管12に対して案内管11を容易に挿抜することができる。なお、係合部34は、軸部30の軸方向に連続的に設けられてもよい。
【0037】
また、
図5に示すように、案内管11を操作する操作要素として、ワイヤ部材51a,51bが設けられている。ワイヤ部材51aは、係合部34の内部を挿通し、第1端側が案内管先端部32に固定されている。また、ワイヤ部材51bは、軸部30の内部を挿通し、第1端側が案内管先端部32に固定されている。そして、案内管屈曲調整機構103が、ワイヤ部材51aの第2端側、またはワイヤ部材51bの第2端側の引き込み、または送り出しを行うことにより、屈曲部31を屈曲させる。
【0038】
なお、医療用処置具101の位置または角度の調整時において集束管12と案内管11との位置関係を正確に維持することを要しないような場合、集束管12は、上記のようなガイド部21を有していなくてもよく、また、案内管11は、上記のような係合部34を有していなくてもよい。
【0039】
また、再び
図5を参照して、案内管11を操作する操作要素として、ワイヤ部材51a,51bが設けられているが、ワイヤ部材51a,51bの代わりに、たとえば、屈曲可能に連結された複数のロッド、複数の平板、またはロッドと平板との組み合わせが用いられてもよい。
【0040】
また、上記操作要素として、ワイヤ部材51aと、複数のロッドまたは複数の平板との組み合わせが用いられてもよい。たとえば、上記操作要素のうち、係合部34に挿通している部分がワイヤ部材51aであり、係合部34と案内管先端部32とをつなぐ露出部分が、屈曲可能に連結された複数のロッドなどであってもよい。
【0041】
<手術器具>
[概略構成]
図7は、本発明の実施の形態に係る手術器具の概略構成を示す図である。
【0042】
図7に示すように、手術器具1は、先端部20と、可撓性シャフト2と、手術器具駆動機構27とを有する。先端部20は、把持鉗子等のエンドエフェクタ22と、多関節部24とを有する。エンドエフェクタ22は、第1ジョー22aと、第2ジョー22bと、手首部23とを有する。多関節部24は、第1多関節部24aと、第2多関節部24bとを有する。
【0043】
なお、エンドエフェクタ22は、把持鉗子に限らず、メスまたはフックなどであってもよい。
【0044】
第1ジョー22a、第2ジョー22b、手首部23、第1多関節部24a、および第2多関節部24bには、後述するワイヤまたはケーブルなどの細長要素がそれぞれ固定されている。
【0045】
可撓性シャフト2は、先端部20側の端部とは反対側の端部に基端部2aを有する。基端部2aは、自己の可撓性シャフト2が回転可能なように、手術器具駆動機構27に連結される。
【0046】
手首部23は、特定方向に延びる形状を有する。具体的には、手首部23は、自己の長手方向における第1端に第1ジョー22aおよび第2ジョー22bが連結され、第2端に多関節部24が連結されている。また、手首部23は、自己の長手方向に延びる先端軸Z1まわりに回転可能である。
【0047】
図8は、
図7に示す手術器具駆動機構の構成(インターフェース離脱状態)を示す図である。
図9は、
図7に示す手術器具駆動機構の構成(インターフェース装着状態)を示す図である。
【0048】
図8および
図9を参照して、手術器具駆動機構27は、先端部20の駆動装置271と、駆動装置271に取り付けられるインターフェース272と、駆動装置271を支持する支持装置276と、支持装置276をスライド可能に支持するベース277とを有する。
図8では、インターフェース離脱状態、すなわちインターフェース272を駆動装置271から取り外した状態を示し、
図9では、インターフェース装着状態、すなわちインターフェース272を駆動装置271に取り付けた状態を示す。
【0049】
駆動装置271は、複数の第1駆動源274と、第1駆動源274の駆動により生じる力を伝達する複数の伝達部材275とを有する。インターフェース272は、後述する複数の被伝達部材および複数の駆動プーリを内蔵している。
【0050】
本発明の実施の形態に係る手術器具駆動機構27では、第1駆動源274はモータであり、伝達部材275および被伝達部材は歯車であるとする。インターフェース272を駆動装置271に取り付けた状態において、伝達部材275と被伝達部材とが係合する。そして、この状態において第1駆動源274が駆動すると、伝達部材275およびこれに噛み合う被伝達部材が回転する。
【0051】
なお、伝達部材275および被伝達部材は、たとえばラックアンドピニオンなどであってもよい。すなわち、伝達部材275および被伝達部材の一方が円形歯車であり、他方が当該円盤歯車に係合する溝が形成された平板であってもよい。また、伝達部材275および被伝達部材の両方が歯車とは異なる部材であってもよい。
【0052】
インターフェース272に内蔵された複数の駆動プーリには、それぞれ、
図7に示す第1ジョー22a、第2ジョー22b、手首部23、第1多関節部24aおよび第2多関節部24bに固定された複数のワイヤが巻かれている。そして、各駆動プーリに巻かれたワイヤが動作することにより、第1ジョー22a、第2ジョー22b、手首部23、第1多関節部24a、および第2多関節部24bが独立して駆動する。
【0053】
また、支持装置276は、第2駆動源273を搭載している。そして、第2駆動源273の駆動により、ベルト278を介して第2駆動源273の回転力が駆動装置271に伝わり、
図7に示す基端部2aの長手方向に延びる基端軸Z2を中心に、
図9に示す駆動装置271およびインターフェース272が回転する。また、ベース277は、図示しない第3駆動源を搭載しており、第3駆動源の駆動により、駆動装置271を支持する支持装置276が基端軸Z2に沿って移動する。
【0054】
したがって、本発明の実施の形態に係る手術器具1は、たとえば、
図7の矢印で示されるように7自由度で動作可能に構成される。なお、手術器具1は、たとえば、第1ジョー22aの動作および第2ジョー22bの動作を独立させるのではなく、これらの動作を連動させたり、第1多関節部24aおよび第2多関節部24bのうちのいずれか一方を省略したり、駆動機構27における支持装置276のスライド運動、および駆動装置271の回転運動のうちの少なくともいずれか一方を制限するなど、3自由度〜6自由度で動作可能に構成されてもよい。
【0055】
[先端部の構成]
(多関節部)
図10は、
図7に示す手術器具における先端部の構成を示す図であり、(a)は、先端部における多関節部の詳細な構成を示し、(b)は、(a)に示す多関節操作ワイヤが第1多関節部に固定された状態を示し、(c)は、(a)に示す多関節操作ワイヤが第2多関節部に固定された状態を示す。
【0056】
図10(a)に示すように、先端部20における第1多関節部24aおよび第2多関節部24bは、それぞれ、ピン28を介して先端軸Z1に沿って一列に連なった複数のコマ部材29a,29bを有する。
【0057】
コマ部材29a,29bは、先端軸Z1の延びる方向に延在する円柱状に形成されている。また、コマ部材29a,29bは、円柱部分の両端がテーパー状に形成されている。
【0058】
また、コマ部材29aおよびコマ部材29bには、先端軸Z1に沿って延びる多関節操作ワイヤ41aが挿通されている。また、コマ部材29bには、先端軸Z1に沿って延びる多関節操作ワイヤ41bが挿通されている。
【0059】
図10(b)に示すように、多関節操作ワイヤ41aの両端部は、第1多関節部24aの先端側固定点45a1,45a2に固定されている。また、
図10(c)に示すように、多関節操作ワイヤ41bの両端部は、第2多関節部24bの先端側固定点45b1,45b2に固定されている。
【0060】
そして、
図7に示す手術器具駆動機構27が、多関節操作ワイヤ41aの一端を引き込むことにより、第1多関節部24aが屈曲する。また、手術器具駆動機構27が、多関節操作ワイヤ41bの一端を引き込むことにより、第2多関節部24bが屈曲する。このように、第1多関節部24aおよび第2多関節部24bが互いに独立して屈曲する構成により、多関節部24を、S字カーブなどの複雑な形状に屈曲させることができる。
【0061】
(手首部)
図11は、
図10に示す手首部の構成を示す図である。
【0062】
図11を参照して、多関節部24の内部には、トルク伝達チューブ48が挿通している。より詳細には、トルク伝達チューブ48は、
図7に示す多関節部24および可撓性シャフト2の内部を挿通し、第1端が手首部23に固定され、第2端が手術器具駆動機構27に回転可能に連結されている。
【0063】
そして、手術器具駆動機構27が、基端軸Z2を中心にトルク伝達チューブ48を回転させることにより、トルク伝達チューブ48に固定された手首部23、ならびに手首部23に連結された第1ジョー22aおよび第2ジョー22bが先端軸Z1を中心に回転する。
【0064】
なお、手首部23は、トルク伝達チューブ48の代わりにワイヤを用いて回転させてもよい。この場合、手首部23を回転させるための機構は、たとえば、特許文献4(国際公開第2017/006374号)に記載のように構成される。
【0065】
すなわち、手首部23の内部には、中心を先端軸Z1が通る円の周方向において図示しない溝が形成されている。そして、トルク伝達チューブ48の代わりに、第1のワイヤおよび第2のワイヤが用いられ、第1のワイヤが上記溝の一部を通り、第2のワイヤが上記溝の一部であって第1のワイヤが通っていない部分を通る。
【0066】
そして、手術器具駆動機構27が、第1のワイヤまたは第2のワイヤを引き込むことにより、手首部23、ならびに手首部23に連結された第1ジョー22aおよび第2ジョー22bを、先端軸Z1を中心に回転させることができる。
【0067】
(ジョー)
また、
図11に示すように、手首部23の内部には、2つのジョー操作ワイヤ46,47が挿通されている。ジョー操作ワイヤ46は、
図7に示す手術器具駆動機構27と第1ジョー22aとを連結する。また、ジョー操作ワイヤ47は、
図7に示す手術器具駆動機構27と第2ジョー22bとを連結する。
【0068】
より詳細には、ジョー操作ワイヤ46の第1端46aおよび第2端46bが、第1ジョー22aに固定されている。そして、手術器具駆動機構27が、第1端46aまたは第2端46bを引き込むことにより、第1ジョー22aが、手首部23に設けられた連結軸49を中心に回転する。
【0069】
また、ジョー操作ワイヤ47の第1端47aおよび第2端47bが、第2ジョー22bに固定されている。そして、手術器具駆動機構27が、第1端47aまたは第2端47bを基端軸Z
2に沿って引き込むか、または送り出すことにより、第2ジョー22bが連結軸49を中心に回転する。
【0070】
[手術器具駆動機構]
図12は、本発明の実施の形態に係る手術器具駆動機構におけるインターフェースの構成を示す斜視図である。
図13は、
図12に示すインターフェースの構成を示す平面図である。
図14は、
図12に示すインターフェースの構成を示す側面図である。
図12〜
図14では、インターフェース272の内部の構成を示している。
【0071】
図12〜
図14を参照して、手術器具駆動機構27におけるインターフェース272は、手首部用歯車111と、第1ジョー用歯車112と、第2ジョー用歯車113と、第1多関節部用歯車114と、第2多関節部用歯車115と、基体116と、枠部117とを有する。
【0072】
手首部用歯車111、第1ジョー用歯車112、第2ジョー用歯車113、第1多関節部用歯車114および第2多関節部用歯車115は、被伝達部材であり、
図8に示す複数の伝達部材275とそれぞれ係合する。また、これら手首部用歯車111、第1ジョー用歯車112、第2ジョー用歯車113、第1多関節部用歯車114および第2多関節部用歯車115は、手首部23、第1ジョー22a、第2ジョー22b、第1多関節部24aおよび第2多関節部24bを、それぞれ駆動させる。
【0073】
手首部用歯車111、第1ジョー用歯車112、第2ジョー用歯車113、および基体116は、枠部117の内側に設けられている。一方、第1多関節部用歯車114および第2多関節部用歯車115は、枠部117の外側に設けられている。
【0074】
手首部用歯車111、第1ジョー用歯車112および第2ジョー用歯車113を「第1歯車」とし、第1多関節部用歯車114および第2多関節部用歯車115を「第2歯車」とすると、第1歯車の回転軸と第2歯車の回転軸とは、交差している。より詳細には、第1歯車の回転軸は、基端軸Z2に沿って延び、第2歯車の回転軸は、基端軸Z2に対して直交する方向に延びる。
【0075】
このような構成により、たとえば、複数の歯車を、各々の回転軸が平行であるように配置する場合と比較して、配置のバリエーションを増やすことができる。
【0076】
より詳細には、手首部用歯車111、第1ジョー用歯車112および第2ジョー用歯車113は、略同一の形状である。たとえば、手首部用歯車111、第1ジョー用歯車112および第2ジョー用歯車113は、いずれも基端軸Z2を中心に回転する。
【0077】
第1多関節部用歯車114および第2多関節部用歯車115は、略同一の形状である。たとえば、第1多関節部用歯車114および第2多関節部用歯車115は、基端軸Z2に対して直交する直交軸Z3を中心に回転する。
【0078】
また、
図13に示すように、基端軸Z2および直交軸Z3を含む平面の法線方向に沿った平面視、すなわち枠部117を見下ろす方向に沿った平面視において、第1多関節部用歯車114および第2多関節部用歯車115の基端軸Z2に沿った方向における寸法内に、基端軸Z2を中心に回転する3つの歯車、すなわち手首部用歯車111、第1ジョー用歯車112および第2ジョー用歯車113が収まるように、これら3つの歯車が配置されている。したがって、
図13に示す省スペースな領域Rに歯車が収容されるように、インターフェース272を構成することができる。
【0079】
このように、本発明の実施の形態では、被伝達部材の配置領域を省スペース化することができる。
【0080】
(手首部の駆動機構)
基体116は、後述する4つの傘歯車121,122,123,124を囲む枠形状を有する。基体116は、手首部用歯車111に固定されており、手首部用歯車111のトルクを、
図7に示す手首部23に伝達する。
【0081】
具体的には、手首部用歯車111が、
図1に示す制御器4からの動作指令に従って回転すると、手首部用歯車111に固定された基体116は、基端軸Z2を中心に回転する。可撓性シャフト2の内部には、基体116と手首部23とを連結するトルク伝達チューブ48が挿通している。トルク伝達チューブ48は、基体116の回転に伴い、可撓性シャフト2内で回転し、トルク伝達チューブ48が固定されている
図11に示す手首部23が、先端軸Z1を中心に回転する。
【0082】
また、手首部23の回転に伴い、手首部23に連結された、
図7に示す第1ジョー22aおよび第2ジョー22bは、先端軸Z1を中心に回転する。
【0083】
(ジョーの駆動機構)
図12および
図13に示すように、インターフェース272は、さらに、第1変換機構151と、第2変換機構152と、第1トルク伝達部125と、第1ジョー用駆動プーリ126と、第2ジョー用駆動プーリ127と、第1ガイドプーリ128a,129aと、第2ガイドプーリ128b,129bとを有する。
図12および
図13では、第2ガイドプーリ128b,129bは、基体116に重なるため、図示していない。
【0084】
第2ガイドプーリ129bは、
図14に示すように、基体116を介して第1ガイドプーリ129aに対向する位置に設けられている。また、第2ガイドプーリ128bは、基体116を介して第1ガイドプーリ128aに対向する位置に設けられている。
【0085】
以下、第1ガイドプーリ128a,129aおよび第2ガイドプーリ128b,129bを、それぞれ、単に「ガイドプーリ」とも称する。
【0086】
再び
図12および
図13を参照して、第1ジョー用駆動プーリ126および第2ジョー用駆動プーリ127の各々の回転軸は、互いに平行であり、かつ基端軸Zに対して直交する方向に延びる。たとえば、第1ジョー用駆動プーリ126および第2ジョー用駆動プーリ127は、同一の回転軸を中心に回転する。また、第1ジョー用駆動プーリ126および第2ジョー用駆動プーリ127の各々の回転面は互いに異なる。
【0087】
第1変換機構151は、第1ジョー用歯車112の回転によるトルクを、第1ジョー用駆動プーリ126を回転させるトルクに変換する。第2変換機構152は、第2ジョー用歯車113の回転によるトルクを、第2ジョー用駆動プーリ127を回転させるトルクに変換する。
【0088】
より詳細には、第1変換機構151は、2つの傘歯車121,122を有する。また、第2変換機構152は、2つの傘歯車123,124を有する。
【0089】
傘歯車121,122,123,124は、円錐面を有し、各々の円錐面に溝が形成されている。傘歯車121および傘歯車123は、基端軸Z2を中心に回転する。また、傘歯車122および傘歯車124は、基端軸Z2に対して直交する方向に延びる軸を中心に回転する。
【0090】
第1トルク伝達部125は、手首部用歯車111の内部を通り、傘歯車121および第1ジョー用歯車112に固定されている。また、傘歯車121は、傘歯車122と係合する。また、第1ジョー用駆動プーリ126は、傘歯車122に固定されている。
【0091】
そして、第1ジョー用歯車112が、
図1に示す制御器4からの動作指令に従って回転すると、第1トルク伝達部125および傘歯車121は、基端軸Z2を中心に回転する。そして、傘歯車121が回転すると、傘歯車121に係合する傘歯車122、および傘歯車122に固定された第1ジョー用駆動プーリ126は、基端軸Z2に直交する軸を中心に回転する。
【0092】
そして、第1ジョー用駆動プーリ126が回転することにより、
図7に示す第1ジョー22aが駆動する。第1ジョー22aが駆動するためのより詳細な構成については、後述する。
【0093】
また、
図13に示すように、インターフェース272は、さらに、第2トルク伝達部175を有する。第2トルク伝達部175は、第1トルク伝達部125、手首部用歯車111および第1ジョー用歯車112の内部を通り、傘歯車123および第2ジョー用歯車113に固定されている。また、傘歯車123は、傘歯車124と係合する。また、第2ジョー用駆動プーリ127は、傘歯車124に固定されている。
【0094】
そして、第2ジョー用歯車113が、
図1に示す制御器4からの動作指令に従って回転すると、第2トルク伝達部175および傘歯車123は、基端軸Z2を中心に回転する。そして、傘歯車123が回転すると、傘歯車123に係合する傘歯車124、および傘歯車124に固定された第2ジョー用駆動プーリ127は、基端軸Z2に直交する軸を中心に回転する。
【0095】
そして、第2ジョー用駆動プーリ127が回転することにより、
図7に示す第2ジョー22bが駆動する。第2ジョー22bが駆動するためのより詳細な構成については、後述する。
【0096】
上記のように、第1変換機構151を用いる構成により、第1ジョー用歯車112と第1ジョー用駆動プーリ126とを連結する必要がなく、配置のバリエーションを増やすことができる。また、上記のように、第2変換機構152を用いる構成により、第2ジョー用歯車113と第2ジョー用駆動プーリ127とを連結する必要がなく、配置のバリエーションを増やすことができる。
【0097】
(a)第1ジョーの駆動機構
図12および
図13に示すように、手術器具駆動機構27における駆動装置271は、さらに、第1テンションプーリ130aと、第2テンションプーリ130bとを有する。
図12および
図13では、第2テンションプーリ130bは、基体116に重なるため、図示していない。
【0098】
第2テンションプーリ130bは、基体116を介して第1テンションプーリ130aに対向する位置に設けられている。以下、第1テンションプーリ130aおよび第2テンションプーリ130bを、それぞれ、単に「テンションプーリ」とも称する。
【0099】
第1ジョー22aを駆動するためのジョー操作ワイヤ46は、第1ジョー用駆動プーリ126に巻かれる。そして、ジョー操作ワイヤ46の第1端46a側は、第1ガイドプーリ128aおよび第1テンションプーリ130aにガイドされた状態で、可撓性シャフト2の内部を挿通する。そして、ジョー操作ワイヤ46の第1端46aが、
図11に示す第1ジョー22aに固定される。
【0100】
また、ジョー操作ワイヤ46の第2端46b側は、第2ガイドプーリ128bおよび第2テンションプーリ130bにガイドされた状態で、可撓性シャフト2の内部を挿通する。そして、ジョー操作ワイヤ46の第2端46bが、
図11に示す第1ジョー22aに固定される。
【0101】
なお、
図13に示すように、第1ガイドプーリ128aと第1ジョー用駆動プーリ126との間、および第1ジョー用駆動プーリ126と第2ガイドプーリ128bとの間において、ジョー操作ワイヤ46は、基端軸Z2に対して略平行に延びる。
【0102】
そして、第1ジョー用駆動プーリ126が回転すると、ジョー操作ワイヤ46が動き、第1ジョー22aが連結軸49を中心に回転する。
【0103】
また、ジョー操作ワイヤ46は、ガイドプーリ128a,128bとの接触部分において曲がる。そして、ジョー操作ワイヤ46の曲がり部分の角度であって、ガイドプーリ128a,128b側の角度は、90度より大きい。また、当該角度が大きすぎる場合、手術器具駆動機構27は、基端軸Z2の延びる方向において大きくなってしまうため、当該角度は120度より小さい方が好ましい。
【0104】
このように、ガイドプーリ128a,128bが、ジョー操作ワイヤ46を緩やかな角度でガイドする構成により、たとえばジョー操作ワイヤ46を90度の角度で曲げてガイドする場合と比べて、ジョー操作ワイヤ46の駆動を円滑化することができる。また、ジョー操作ワイヤ46のガイドプーリ128a,128b側の曲がり角度を120度以下とする構成により、ジョー操作ワイヤ46の配線経路を短くすることができるため、手術器具駆動機構27を小型化することができる。
【0105】
(b)第2ジョーの駆動機構
再び
図12および
図13を参照して、手術器具駆動機構27は、さらに、第1テンションプーリ131aと、第2テンションプーリ131bとを有する。
図12および
図13では、第2テンションプーリ131bは、基体116に重なるため、図示していない。
【0106】
第2テンションプーリ131bは、基体116を介して第1テンションプーリ131aに対向する位置に設けられている。以下、第1テンションプーリ131aおよび第2テンションプーリ131bを、それぞれ、単に「テンションプーリ」とも称する。
【0107】
第2ジョー22bを駆動するためのジョー操作ワイヤ47は、第2ジョー用駆動プーリ127に巻かれる。そして、ジョー操作ワイヤ47の第1端47a側は、第1ガイドプーリ129aおよび第1テンションプーリ131aにガイドされた状態で、可撓性シャフト2の内部を挿通する。そして、ジョー操作ワイヤ47の第1端47aが、
図11に示す第2ジョー22bに固定される。
【0108】
また、ジョー操作ワイヤ47の第2端47b側は、第2ガイドプーリ129bおよび第2テンションプーリ131bにガイドされた状態で、可撓性シャフト2の内部を挿通する。そして、ジョー操作ワイヤ47の第2端47bが、
図11に示す第2ジョー22bに固定される。
【0109】
なお、
図13に示すように、第1ガイドプーリ129aと第2ジョー用駆動プーリ127との間、および第2ジョー用駆動プーリ127と第2ガイドプーリ129bとの間において、ジョー操作ワイヤ47は、基端軸Z2に対して略平行に延びる。
【0110】
そして、第2ジョー用駆動プーリ127回転すると、ジョー操作ワイヤ47が動き、第2ジョー22bが連結軸49を中心に回転する。
【0111】
また、ジョー操作ワイヤ47は、ガイドプーリ129a,129bとの接触部分において曲がる。そして、ジョー操作ワイヤ47の曲がり部分の角度であって、ガイドプーリ129a,129b側の角度は、90度より大きい。また、当該角度が大きすぎる場合、手術器具駆動機構27は、基端軸Z2の延びる方向において大きくなってしまうため、当該角度は120度より小さい方が好ましい。
【0112】
このように、ガイドプーリ129a,129bが、ジョー操作ワイヤ47を緩やかな角度でガイドする構成により、たとえばジョー操作ワイヤ47を90度の角度で曲げてガイドする場合と比べて、ジョー操作ワイヤ47の駆動を円滑化することができる。また、ジョー操作ワイヤ47のガイドプーリ129a,129b側の曲がり角度を120度以下とする構成により、ジョー操作ワイヤ47の配線経路を短くすることができるため、手術器具駆動機構27を小型化することができる。
【0113】
また、傘歯車121,122,123,124、第1ジョー用駆動プーリ126、第2ジョー用駆動プーリ127、ガイドプーリ128a,128b,129a,129b、テンションプーリ130a,130b,131a,131b、第1変換機構151および第2変換機構152は、基体116に取り付けられている。
【0114】
このため、上述のとおり、手首部用歯車111の回転に伴い基体116が基端軸Z2を中心に回転すると、基体116に取り付けられたこれら複数の部材は、基体116と共に基端軸Z2を中心に回転する。
【0115】
すなわち、
図11に示す手首部23、第1ジョー22aおよび第2ジョー22bが先端軸Z1を中心に回転する際、第1ジョー22aを駆動するための機構および第2ジョー22bを駆動するための機構が、手首部23、第1ジョー22aおよび第2ジョー22bに連動して、基端軸Z2を中心に回転する。
【0116】
また、
図13に示す第1トルク伝達部125および第2トルク伝達部175は、基体116を回転させるための手首部用歯車111とは独立して、基端軸Z2を中心に回転する。このため、第1ジョー22aの駆動および第2ジョー22bの駆動を、手首部23の回転とは独立して操作することができる。
【0117】
(多関節部の駆動機構)
図12および
図13に示すように、手術器具駆動機構27は、さらに、第1多関節部用駆動プーリ132と、第2多関節部用駆動プーリ133と、第1ガイドプーリ134a,135aと、第2ガイドプーリ134b,135bと、第1テンションプーリ136a,137aと、第2テンションプーリ136b,137bとを有する。
図12および
図13では、第2ガイドプーリ134b,135bは、枠部117に重なるため、図示していない。
【0118】
第2ガイドプーリ135bは、
図14に示すように、枠部117を介して第1ガイドプーリ135aに対向する位置に設けられている。第2ガイドプーリ134bは、枠部117を介して第1ガイドプーリ134aに対向する位置に設けられている。
【0119】
以下、第1ガイドプーリ134a,135aおよび第2ガイドプーリ134b,135bを、それぞれ、単に「ガイドプーリ」とも称する。また、第1テンションプーリ136a,137aおよび第2テンションプーリ136b,137bを、それぞれ、単に「テンションプーリ」とも称する。
【0120】
また、
図12および
図13では、第2テンションプーリ136b,137bは、枠部117に重なるため、図示していない。第2テンションプーリ136bは、枠部117を介して第1テンションプーリ136aに対向する位置に設けられている。また、第2テンションプーリ137bは、枠部117を介して第1テンションプーリ137aに対向する位置に設けられている。
【0121】
第1多関節部用駆動プーリ132および第2多関節部用駆動プーリ133の各々の回転軸は、互いに平行であり、かつ基端軸Zに対して直交する方向に延びる。また、第1多関節部用駆動プーリ132および第2多関節部用駆動プーリ133の各々の回転面は、互いに異なる。
【0122】
また、第1多関節部用駆動プーリ132および第2多関節部用駆動プーリ133は、枠部117の外側に設けられている。このように、手術器具駆動機構27における駆動プーリのうちの少なくともいずれか1つの駆動プーリが枠部117の外側に設けられている構成は、当該駆動プーリに細長要素を容易に巻くことができるため、好ましい。
【0123】
(a)第1多関節部の駆動機構
第1多関節部用駆動プーリ132は、第1多関節部用歯車114に連動して回転する。また、第1多関節部用駆動プーリ132には、多関節操作ワイヤ41aが巻かれている。
【0124】
そして、多関節操作ワイヤ41aの第1端側は、第1ガイドプーリ134aおよび第1テンションプーリ136aにガイドされた状態で、可撓性シャフト2の内部を挿通し、第1端が
図10(b)に示す第1多関節部24aの先端側固定点45a1に固定される。
【0125】
また、多関節操作ワイヤ41aの第2端側は、第2ガイドプーリ134bおよび第2テンションプーリ136bにガイドされた状態で、可撓性シャフト2の内部を挿通し、第2端が
図10(b)に示す第1多関節部24aの先端側固定点45a2に固定される。なお、
図10(b)に示すように、先端側固定点45a1および先端側固定点45a2は、若干の距離を隔てて配置されている。
【0126】
また、
図13に示すように、第1ガイドプーリ134aと第1多関節部用駆動プーリ132との間、および第1多関節部用駆動プーリ132と第2ガイドプーリ134bとの間において、多関節操作ワイヤ41aは、基端軸Z2に対して略平行に延びる。
【0127】
そして、第1多関節部用歯車114が回転すると、第1多関節部用駆動プーリ132が基端軸Z2に直交する軸を中心に回転する。そして、第1多関節部用駆動プーリ132が回転すると、多関節操作ワイヤ41aが動き、
図10(a)に示す第1多関節部24aが屈曲する。
【0128】
また、多関節操作ワイヤ41aは、ガイドプーリ134a,134bとの接触部分において曲がる。そして、多関節操作ワイヤ41aの曲がり部分の角度であって、ガイドプーリ134a,134b側の角度は、90度より大きい。また、当該角度が大きすぎる場合、手術器具駆動機構27は、基端軸Z2の延びる方向において大きくなってしまうため、当該角度は120度より小さい方が好ましい。
【0129】
このように、ガイドプーリ134a,134bが、多関節操作ワイヤ41aを緩やかな角度でガイドする構成により、たとえば多関節操作ワイヤ41aを90度の角度で曲げてガイドする場合と比べて、多関節操作ワイヤ41aの駆動を円滑化することができる。また、多関節操作ワイヤ41aのガイドプーリ134a,134b側の曲がり角度を120度以下とする構成により、多関節操作ワイヤ41aの配線経路を短くすることができるため、手術器具駆動機構27を小型化することができる。
【0130】
(b)第2多関節部の駆動機構
第2多関節部用駆動プーリ133は、第2多関節部用歯車115に連動して回転する。また、第2多関節部用駆動プーリ133には、多関節操作ワイヤ41bが巻かれている。
【0131】
そして、多関節操作ワイヤ41b第1端側は、第1ガイドプーリ135aおよび第1テンションプーリ137aにガイドされた状態で、可撓性シャフト2の内部を挿通し、第1端が
図10(c)に示す第2多関節部24bの先端側固定点45b1に固定される。
【0132】
また、多関節操作ワイヤ41bの第2端側は、第2ガイドプーリ135bおよび第2テンションプーリ137bにガイドされた状態で、可撓性シャフト2の内部を挿通し、第2端が
図10(c)に示す第2多関節部24bの先端側固定点45b2に固定される。なお、
図10(c)に示すように、先端側固定点45b1および先端側固定点45b2は、若干の距離を隔てて配置されている。
【0133】
また、
図13に示すように、第1ガイドプーリ135aと第2多関節部用駆動プーリ133との間、および第2多関節部用駆動プーリ133と第2ガイドプーリ135bとの間において、多関節操作ワイヤ41bは、基端軸Z2に対して略平行に延びる。
【0134】
そして、第2多関節部用歯車115が回転すると、第2多関節部用駆動プーリ133が基端軸Z2に直交する軸を中心に回転する。そして、第2多関節部用駆動プーリ133が回転すると、多関節操作ワイヤ41bが動き、
図10(a)に示す第2多関節部24bが屈曲する。
【0135】
また、多関節操作ワイヤ41bは、ガイドプーリ135a,135bとの接触部分において曲がる。そして、多関節操作ワイヤ41bの曲がり部分の角度であって、ガイドプーリ135a,135b側の角度は、90度より大きい。また、当該角度が大きすぎる場合、手術器具駆動機構27は、基端軸Z2の延びる方向において大きくなってしまうため、当該角度は120度より小さい方が好ましい。
【0136】
このように、ガイドプーリ135a,135bが、多関節操作ワイヤ41bを緩やかな角度でガイドする構成により、たとえば多関節操作ワイヤ41bを90度の角度で曲げてガイドする場合と比べて、多関節操作ワイヤ41bの駆動を円滑化することができる。また、多関節操作ワイヤ41bのガイドプーリ135a,135b側の曲がり角度を120度以下とする構成により、多関節操作ワイヤ41bの配線経路を短くすることができるため、手術器具駆動機構27を小型化することができる。
【0137】
[張力調整機構]
ジョー操作ワイヤ46,47は、テンションがかかる状態が長く続くなどの理由により、弛み、または、たるみが生じることがある。特に、第1ジョー22aおよび第2ジョー22bが硬いものを挟む際など、ジョー操作ワイヤ46,47に大きなテンションがかかると、ジョー操作ワイヤ46,47に多くの弛み、または多くのたるみが生じることがある。
【0138】
また、多関節操作ワイヤ41a,41bもまた、ジョー操作ワイヤ46,47と同様に、弛み、または、たるみが生じることがある。特に、多関節部24を、基端軸Z2に対して大きな角度で屈曲させる際など、多関節操作ワイヤ41a,41bに大きなテンションがかかると、多関節操作ワイヤ41a,41bに多くの弛み、または多くのたるみが生じることがある。
【0139】
そして、ジョー操作ワイヤ46に弛み、または、たるみが生じた場合、ジョー操作ワイヤ46が、ガイドプーリ128a,128bから外れたり、ジョー操作ワイヤ46によるトルクの伝達が遅れたりすることで、第1ジョー22aを所望の動きになるように操作することができない可能性があるという問題がある。
【0140】
また、ジョー操作ワイヤ47、多関節操作ワイヤ41aおよび多関節操作ワイヤ41bに弛み、または、たるみが生じた場合、同様の問題がある。
【0141】
これに対して、本発明の実施の形態に係る手術器具駆動機構27におけるガイドプーリ128a,128b,129a,129b,134a,134b,135a,135b、およびテンションプーリ130a,130b,131a,131b,136a,136b,137a,137bは、以下に説明するように、張力調整機構を設けて、ワイヤのテンションの調整を行う。
【0142】
(張力調整機構の構成)
(a)ジョー操作ワイヤの張力調整機構
図12および
図13を参照して、テンションプーリ130a,130bは、それぞれ、ガイドプーリ128a,128bよりも可撓性シャフト2側に設けられている。また、テンションプーリ130a,130bは、それぞれ、ガイドプーリ128a,128bを中心とする円の周方向に移動可能に付勢されて設けられている。
【0143】
また、
図13に示すように、テンションプーリ130a,130bは、それぞれ、ガイドプーリ128a,128bから基端部2aまでのジョー操作ワイヤ46の経路上に設けられている。そして、テンションプーリ130a,130bは、それぞれ、ジョー操作ワイヤ46の直線部分に対して斜めの方向に、当該直線部分を付勢する。
【0144】
このような構成により、たとえばジョー操作ワイヤ46を90度の角度で曲げて付勢する場合と比べて、ジョー操作ワイヤ46の駆動の円滑化および耐久性の向上を実現することができる。また、テンションプーリ130a,130bを設けるためのスペースを広く確保する必要がないため、手術器具駆動機構27を小型化することができる。
【0145】
テンションプーリ131a,131bは、それぞれ、ガイドプーリ129a,129bよりも可撓性シャフト2側に設けられている。また、テンションプーリ131a,131bは、それぞれ、ガイドプーリ129a,129bを中心とする円の周方向に移動可能に付勢されて設けられている。
【0146】
また、
図13に示すように、テンションプーリ131a,131bは、それぞれ、ガイドプーリ129a,129bから基端部2aまでのジョー操作ワイヤ47の経路上に設けられている。そして、テンションプーリ131a,131bは、それぞれ、ジョー操作ワイヤ47の直線部分に対して斜めの方向に、当該直線部分を付勢する。
【0147】
このような構成により、たとえばジョー操作ワイヤ47を90度の角度で曲げて付勢する場合と比べて、ジョー操作ワイヤ47の駆動の円滑化および耐久性の向上を実現することができる。また、テンションプーリ131a,131bを設けるためのスペースを広く確保する必要がないため、手術器具駆動機構27を小型化することができる。
【0148】
より詳細には、テンションプーリ130a,130bは、それぞれ、図示しないバネなどの弾性部材による付勢力を受けて、ガイドプーリ128a,128bを中心とする円の周方向であって、基端軸Z2から離れる方向に、ジョー操作ワイヤ46を付勢する。
【0149】
また、テンションプーリ131a,131bは、それぞれ、図示しないバネなどの弾性部材による張力を受けて、ガイドプーリ129a,129bを中心とする円の周方向であって、基端軸Z2から離れる方向に、ジョー操作ワイヤ47を付勢する。
【0150】
このような構成により、ジョー操作ワイヤ46にかかるテンションが、弾性部材による付勢力よりも大きい場合、テンションプーリ130a,130bは、それぞれ、弾性部材からの付勢力に反して、ガイドプーリ128a,128bを中心とする円の周方向であって、基端軸Z2に近づく方向へ移動する。これにより、ジョー操作ワイヤ46にかかるテンションが大きくなりすぎることを防ぐ。
【0151】
一方、ジョー操作ワイヤ46にかかるテンションが、弾性部材による付勢力よりも小さい場合、テンションプーリ130a,130bは、それぞれ、ガイドプーリ128a,128bを中心とする円の周方向であって、基端軸Z2から離れる方向へ移動する。これにより、ジョー操作ワイヤ46にかかるテンションが小さくなりすぎることを防ぐ。
【0152】
このように、ジョー操作ワイヤ46にかかるテンションが安定するため、ジョー操作ワイヤ46の動きを妨げることなく、ジョー操作ワイヤ46の弛み、または、たるみを防ぐことができる。
【0153】
また、ジョー操作ワイヤ47についても同様に、テンションプーリ131a,131bが、ジョー操作ワイヤ47にかかるテンションの大きさに応じて、それぞれ、ガイドプーリ129a,129bを中心とする円の周方向へ移動する。
【0154】
これにより、ジョー操作ワイヤ47にかかるテンションが安定するため、ジョー操作ワイヤ47の動きを妨げることなく、ジョー操作ワイヤ47の弛み、または、たるみを防ぐことができる。
【0155】
なお、テンションプーリ130a,130bは、ガイドプーリ128a,128bよりも第1ジョー用駆動プーリ126側に設けられてもよい。しかしながら、テンションプーリ130a,130bが、それぞれ、ガイドプーリ128a,128bと基端部2aとの間におけるスペースに設けられる構成は、スペースを有効に利用することができるため、好ましい。
【0156】
また、テンションプーリ131a,131bは、ガイドプーリ129a,129bよりも第2ジョー用駆動プーリ127側に設けられてもよい。しかしながら、上述した理由と同様の理由により、テンションプーリ131a,131bは、それぞれ、ガイドプーリ129a,129bと基端部2aとの間に設けられる構成が好ましい。
【0157】
また、テンションプーリ130a,130b,131a,131bは、それぞれ、ガイドプーリ128a,128b,129a,129bの設けられている部分とは異なる部分、を中心とする円の周方向に移動可能であるように構成されてもよい。
【0158】
(b)多関節操作ワイヤの張力調整機構
また、テンションプーリ136a,136bは、それぞれ、ガイドプーリ134a,134bよりも可撓性シャフト2側に設けられている。また、テンションプーリ136a,136bは、それぞれ、ガイドプーリ134a,134bを中心とする円の周方向に移動可能に付勢されて設けられている。
【0159】
また、
図13に示すように、テンションプーリ136a,136bは、それぞれ、ガイドプーリ134a,134bから基端部2aまでの多関節操作ワイヤ41aの経路上に設けられている。そして、テンションプーリ136a,136bは、それぞれ、多関節操作ワイヤ41aの直線部分に対して斜めの方向に、当該直線部分を付勢する。
【0160】
このような構成により、たとえば多関節操作ワイヤ41aを90度の角度で曲げて付勢する場合と比べて、多関節操作ワイヤ41aの駆動の円滑化および耐久性の向上を実現することができる。また、テンションプーリ136a,136bを設けるためのスペースを広く確保する必要がないため、手術器具駆動機構27を小型化することができる。
【0161】
テンションプーリ137a,137bは、それぞれ、ガイドプーリ135a,135bよりも可撓性シャフト2側に設けられている。また、テンションプーリ137a,137bは、それぞれ、ガイドプーリ135a,135bを中心とする円の周方向に移動可能に付勢されて設けられている。
【0162】
また、
図13に示すように、テンションプーリ137a,137bは、それぞれ、ガイドプーリ135a,135bから基端部2aまでの多関節操作ワイヤ41bの経路上に設けられている。そして、テンションプーリ137a,137bは、それぞれ、多関節操作ワイヤ41bの直線部分に対して斜めの方向に、当該直線部分を付勢する。
【0163】
このような構成により、たとえば多関節操作ワイヤ41bを90度の角度で曲げて付勢する場合と比べて、多関節操作ワイヤ41bの駆動の円滑化および耐久性の向上を実現することができる。また、テンションプーリ137a,137bを設けるためのスペースを広く確保する必要がないため、手術器具駆動機構27を小型化することができる。
【0164】
より詳細には、テンションプーリ136a,136bは、それぞれ、図示しないバネなどの弾性部材による付勢力を受けて、ガイドプーリ134a,134bを中心とする円の周方向であって、基端軸Z2から離れる方向に付勢される。
【0165】
また、テンションプーリ137a,137bは、それぞれ、図示しないバネなどの弾性部材による張力を受けて、ガイドプーリ135a,135bを中心とする円の周方向であって、基端軸Z2から離れる方向に付勢される。
【0166】
このような構成により、多関節操作ワイヤ41aにかかるテンションが、弾性部材による付勢力よりも大きい場合、テンションプーリ136a,136bは、それぞれ、ガイドプーリ134a,134bを中心とする円の周方向であって、基端軸Z2に近づく方向へ移動する。これにより、多関節操作ワイヤ41aにかかるテンションが大きくなりすぎることを防ぐ。
【0167】
一方、多関節操作ワイヤ41aにかかるテンションが、弾性部材による付勢力よりも小さい場合、テンションプーリ136a,136bは、それぞれ、ガイドプーリ134a,134bを中心とする円の周方向であって、基端軸Z2から離れる方向へ移動する。これにより、ジョー操作ワイヤ46にかかるテンションが小さくなりすぎることを防ぐ。
【0168】
このように、多関節操作ワイヤ41aにかかるテンションが安定するため、多関節操作ワイヤ41aの動きを妨げることなく、多関節操作ワイヤ41aの弛み、またはたるみを防ぐことができる。
【0169】
また、多関節操作ワイヤ41bについても同様に、テンションプーリ137a,137bが、多関節操作ワイヤ41bにかかるテンションの大きさに応じて、それぞれ、ガイドプーリ135a,135bを中心とする円の周方向へ移動する。
【0170】
これにより、多関節操作ワイヤ41bにかかるテンションが安定するため、多関節操作ワイヤ41bの動きを妨げることなく、多関節操作ワイヤ41bの弛み、または、たるみを防ぐことができる。
【0171】
なお、テンションプーリ136a,136bは、ガイドプーリ134a,134bよりも第1多関節部用駆動プーリ132側に設けられてもよい。しかしながら、テンションプーリ136a,136bが、それぞれ、ガイドプーリ134a,134bと基端部2aとの間におけるスペースに設けられる構成は、スペースを有効に利用することができるため、好ましい。
【0172】
また、テンションプーリ137a,137bは、ガイドプーリ135a,135bよりも第2多関節部用駆動プーリ133側に設けられてもよい。しかしながら、上述した理由と同様の理由により、テンションプーリ137a,137bは、それぞれ、ガイドプーリ135a,135bと基端部2aとの間に設けられる構成が好ましい。
【0173】
また、テンションプーリ136a,136b,137a,137bは、それぞれ、ガイドプーリ134a,134b,135a,135bの設けられている部分とは異なる部分、を中心とする円の周方向に移動可能であるように構成されてもよい。
【0174】
以上の説明では、案内管11および集束管12を用いる医療用処置具101に適用される駆動機構および張力調整機構の特徴について説明した。しかしながら、駆動機構および張力調整機構は、案内管11および集束管12を用いる医療用処置具101に適用されるものに限定されず、広く医療用処置具を駆動する機構に適用できることは言うまでもない。
【0175】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。