(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記胎児心拍数、前記陣痛強度および前記胎児生体電気信号を取得した全期間を示す時間軸と、前記時間軸上に前記胎児心拍数陣痛図の表示範囲を示す表示範囲枠とを表示するイベント情報表示部を、前記表示手段がさらに表示可能であることを特徴とする請求項4に記載の母体及び胎児の監視装置。
胎児心拍数を取得する胎児心拍数取得手段と、母体の陣痛強度を取得する陣痛強度取得手段と、胎児生体電気信号を取得する胎児生体電気信号取得手段と、を備える母体及び胎児の監視装置に接続可能な表示装置であって、
前記胎児心拍数及び前記陣痛強度を同一時間軸上に並べて経時的にグラフ表示する胎児心拍数陣痛図と前記胎児生体電気信号を表示する胎児生体電気信号図とを同時に表示可能な表示手段と、
前記胎児心拍数陣痛図上の表示時間軸内の過去の任意の位置に配置することで任意期間を指定可能な指定期間入力部と、を備え、
前記表示手段は、前記指定期間入力部により前記任意期間が指定されたときに、前記任意期間における前記胎児生体電気信号を、前記任意期間と他の期間における前記胎児生体電気信号と識別して前記胎児生体電気信号図に表示可能であることを特徴とする監視装置用表示装置。
前記母体及び胎児の監視装置が前記胎児心拍数、前記陣痛強度および前記胎児生体電気信号を取得した全期間を示す時間軸と、前記胎児心拍数陣痛図の表示範囲を示す表示範囲枠とを表示するイベント情報表示部をさらに表示可能であることを特徴とする請求項11に記載の監視装置用表示装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、このような超音波ドプラ法を用いる従来の分娩監視装置においては、一定時間毎に記憶した受信信号に自己相関処理を施す必要があり、胎児心拍数をリアルタイムに取得できない。このため、胎児の不整脈やサンプリング時間以内での心拍数の変動を観測することができず、実際の心拍数とは異なる心拍数が測定値として記録される場合がある。自己相関処理を用いた胎児心拍数の算出方法では、短期変動(STV:Short Term Variability)や長期変動(LTV:Long Term Variability)を正確に測定できず、実際の臨床症状と計測記録との間で齟齬が生じ、医療現場において診断の誤解を招くおそれがあった。
【0009】
例えば特許文献3には、母体に取り付けられた電極から検出される生体電位信号(腹部心電図信号)中に含まれる胎児心電図信号(胎児生体電気信号相当の信号)を抽出するための心電図信号処理方法及び心電図信号処理装置が記載されている。この特許文献3に記載されるように、胎児生体電気信号の有用性は広く認識されており、分娩時のみではなく、非観血方法により胎児生体電気信号を抽出するための方法が考えられている。
【0010】
胎児生体電気信号を正確に抽出できれば、R‐R’間(R波の間隔)の正確な心拍数検知を行え、胎児心拍数の変動をbeat‐to‐beatで(1心拍ごとに)正確に把握でき、さらに胎児心拍数の経時的変化を示す胎児心拍数曲線および陣痛強度(子宮収縮圧)の経時的変化を示す母体陣痛曲線と胎児生体電気信号図とを照らし合わせることにより状況判断が容易になると考えられる。このため、胎児心拍数曲線および母体陣痛曲線とともに胎児生体電気信号を表示し、胎児の状況判断において胎児生体電気信号を円滑に利用するために最適化された監視装置が求められている。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、胎児心拍数(胎児心拍数図)と母体の陣痛強度(陣痛強度図)とを経時的に並べて表示する胎児心拍数陣痛図とともに、これらの情報と密接に関係する胎児生体電気信号等の情報を最適化して表示することで、母体と胎児の状況判断を容易に正しく行うことができる母体及び胎児の監視装置、および監視装置用表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の母体及び胎児の監視装置は、胎児心拍数を取得する胎児心拍数取得手段と;母体の陣痛強度を取得する陣痛強度取得手段と;胎児生体電気信号を取得する胎児生体電気信号取得手段と;前記胎児心拍数及び前記陣痛強度を同一時間軸上に並べて経時的にグラフ表示する胎児心拍数陣痛図と前記胎児生体電気信号を表示する胎児生体電気信号図とを同時に表示可能な表示手段と
、前記胎児心拍数陣痛図上の表示時間軸内の過去の任意の位置に配置することで任意期間を指定可能な指定期間入力部と、を備え、前記表示手段は、前記指定期間入力部により前記任意期間が指定されたときに、前記任意期間における前記胎児生体電気信号を、前記任意期間に隣接する他の期間における前記胎児生体電気信号と識別して前記胎児生体電気信号図に表示可能である。
【0013】
同一時間軸上にある胎児心拍数陣痛図とともに、胎児生体電気信号図を表示することで、胎児心拍数と陣痛強度と胎児生体電気信号との間の相関を見出すことが容易になり、胎児心拍数陣痛図のみによる診断における誤解を解消できる。また、胎児心拍数陣痛図と胎児生体電気信号図(胎児生体電気信号波形)とを同時に表示させることで、操作時間の短縮を図ることができる。
また、胎児心拍数陣痛図と合わせて胎児心拍数陣痛図の任意期間内における胎児生体電気信号の変動を確認でき、胎児心拍数陣痛図の胎児心拍数図では確認できない不整脈等の異常を容易に発見できる。
さらに、胎児心拍数陣痛図の任意期間における胎児生体電気信号と他の期間における胎児生体電気信号とを識別して表示可能とすることにより、任意期間における胎児生体電気信号と、この任意期間に隣接する期間における胎児生体電気信号とを容易に確認できる。
【0014】
本発明の母体及び胎児の監視装置は、
前記表示手段は、前記指定期間入力部により前記任意期間が指定されないときに、ほぼリアルタイムの前記胎児生体電気信号を前記胎児生体電気信号図に表示可能であるとよい。
【0018】
本発明の母体及び胎児の監視装置は、母体心電図信号を取得する母体心電図信号取得手段をさらに備え、前記表示手段は、前記胎児生体電気信号図とともに、前記母体心電図信号を表示する母体心電図を表示可能であるとよい。
【0019】
胎児生体電気信号図とともに、母体心電図を同時に表示することで、同一時間軸における胎児生体電気信号と母体心電図信号との間の相関を見出すことができる。
【0020】
本発明の母体及び胎児の監視装置は、イベント情報を記録するイベント入力部をさらに備え、前記表示手段は、前記胎児心拍数及び前記陣痛強度の情報とともに、前記イベント情報を前記胎児心拍数陣痛図に表示可能であるとよい。
【0021】
母体の体位変換や母体への点滴開始等のイベント情報をイベント入力部により入力し記録させて、このイベント情報を胎児心拍数及び陣痛強度の情報とともに胎児心拍数陣痛図に表示できるので、これらのイベントに起因する胎児心拍数の変動等を容易に認識でき、母体や胎児の状況を容易に診断できる。
【0022】
本発明の母体及び胎児の監視装置は、前記胎児生体電気信号の変動を検出する変動検出手段をさらに備え、前記表示手段は、前記胎児心拍数及び前記陣痛強度の情報とともに、前記胎児生体電気信号の前記変動の発生点を前記胎児心拍数陣痛図に表示可能であるとよい。
【0023】
予め記憶された情報に基づき胎児生体電気信号の変動を検出し、この変動の発生点を胎児心拍数や陣痛強度の情報とともに胎児心拍数陣痛図に表示できるので、胎児生体電気信号の変動に伴う胎児心拍数及び陣痛強度の変化を容易に把握しやすくなる。また、胎児心拍数と陣痛強度と胎児生体電気信号との間の相関を見出すことが容易になり、従来の胎児心拍数陣痛図のみの診断における誤解を解消できる。
【0024】
本発明の母体及び胎児の監視装置は、前記胎児心拍数、前記陣痛強度および前記胎児生体電気信号を取得した全期間を示す時間軸と、前記胎児心拍数陣痛図の表示範囲を示す表示範囲枠とを、前記表示手段がさらに表示可能であるとよい。
【0025】
通常、母体及び胎児の監視は数時間にわたって行われ、その期間全体の胎児心拍数陣痛図を表示させると判断が困難なので、1画面上には15分間程度の測定結果を表示させる。このため、時間軸および表示範囲枠を表示することにより、表示中の胎児心拍数陣痛図が監視期間全体のどの時点のものであるかを容易に把握することができる。
【0026】
さらに、前記イベント情報表示部において、前記時間軸上に前記イベント情報が入力された時刻を示すアイコンが表示可能であることが好ましい。この場合、表示されている胎児心拍数陣痛図の時刻とイベントの発生時刻とを容易に比較できるので、母体及び胎児の状態を速やかに確認することができる。
【0027】
本発明の監視装置用表示装置は、胎児心拍数を取得する胎児心拍数取得手段と、母体の陣痛強度を取得する陣痛強度取得手段と、胎児生体電気信号を取得する胎児生体電気信号取得手段と、を備える母体及び胎児の監視装置に接続可能な表示装置であって、前記胎児心拍数及び前記陣痛強度を同一時間軸上に並べて経時的にグラフ表示する胎児心拍数陣痛図と前記胎児生体電気信号を表示する胎児生体電気信号図とを同時に表示可能な表示手段
と、前記胎児心拍数陣痛図上の表示時間軸内の過去の任意の位置に配置することで任意期間を指定可能な指定期間入力部と、を備え、前記表示手段は、前記指定期間入力部により前記任意期間が指定されたときに、前記任意期間における前記胎児生体電気信号を、前記任意期間と他の期間における前記胎児生体電気信号と識別して前記胎児生体電気信号図に表示可能である。
【0028】
本発明の監視装置用表示装置は、
前記表示手段は、前記指定期間入力部により前記任意期間が指定されないときに、ほぼリアルタイムの前記胎児生体電気信号を前記胎児生体電気信号図に表示可能であるとよい。
【0030】
本発明の監視装置用表示装置は、イベント情報を記録するイベント入力部をさらに備え、前記表示手段は、前記胎児心拍数及び前記陣痛強度の情報とともに、前記イベント情報を前記胎児心拍数陣痛図に表示可能であるとよい。
【0031】
本発明の監視装置用表示装置は、前記母体及び胎児の監視装置が前記胎児生体電気信号の変動を検出する変動検出手段を備えており、前記表示手段は、前記胎児心拍数及び前記陣痛強度の情報とともに、前記胎児生体電気信号の前記変動の発生点を前記胎児心拍数陣痛図に表示可能であるとよい。
【0032】
本発明の監視装置用表示装置は、前記母体及び胎児の監視装置が前記胎児心拍数、前記陣痛強度および前記胎児生体電気信号を取得した全期間を示す時間軸と、前記胎児心拍数陣痛図の表示範囲を示す表示範囲枠とを表示するイベント情報表示部をさらに表示可能であるとよい。
【0033】
さらに、前記イベント情報表示部において、前記時間軸上に前記イベント情報が記録された時刻を示すアイコンが表示可能であるとよい。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、胎児心拍数と母体の陣痛強度とを経時的に並べて表示する胎児心拍数陣痛図とともに、これらの情報と密接に関係する胎児生体電気信号等の情報を最適化して表示することで、母体と胎児の状況判断を容易かつ正確に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の母体及び胎児の監視装置、監視装置用表示装置の各実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係る母体及び胎児の監視装置(以下、「監視装置」)101の構成を説明するブロック図である。
図2はこの監視装置101の処理部11の構成を説明するブロック図である。
図3及び
図4は、監視装置101の表示部12の正面図(画面図)である。
図5は、監視装置101の外観図である。
【0037】
[母体及び胎児の監視装置の全体構成]
本実施形態の監視装置101は、
図1に全体のブロック図を示したように、装置本体10と、この装置本体10に接続される第1検出部51及び第2検出部52とを備える。
【0038】
第1検出部51は、母体心電図信号、胎児生体電気信号、母体心拍数、および胎児心拍数の4つの情報を検出するための信号を取得するためのセンサである。第2検出部52は、母体の陣痛強度を検出するための信号を取得するためのセンサである。これらの検出部51,52の構成、及び母体心電図信号、胎児生体電気信号、母体心拍数、胎児心拍数、陣痛強度の検出方法の詳細については、後述する。
【0039】
装置本体10は、
図1のブロック図に示すように、第1検出部51,第2検出部52から取得した信号を演算処理するコンピュータからなる処理部11と、処理部11において得られる母体及び胎児の情報を表示する表示部12(
図3及び
図4参照)と、処理部11において得られる母体及び胎児の情報のうち、少なくとも胎児心拍数と陣痛強度の情報を用いてこれらの胎児心拍数曲線及び陣痛強度曲線を記録紙に出力する記録部13と、を備える。
【0040】
第1検出部51は、図示は省略するが、それぞれ母体に装着される複数の腹部電極と、複数の胸部電極と、超音波センサとにより構成される。母体の腹部に取り付けられる腹部電極は、母体の心臓から発生する母体心電図信号、子宮筋電図信号、母体筋電図信号、母体の子宮内の胎児の胎児心臓から発生した胎児生体電気信号等の種々の信号が複合された生体電位信号を検出する。母体の胸部に取り付けられる胸部電極は、胎児生体電気信号などが含まれない母体心電図信号を検出する。母体の腹部に取り付けられる超音波センサは、胎児心臓の心拍周期の胎児ドプラ信号を含む超音波信号を検出する。
【0041】
第1検出部51で検出される各信号は、
図1のブロック図に示すように、装置本体10の処理部11に送られ、処理部11において、胎児生体電気信号の抽出に用いられる。第1実施形態の監視装置101では、特許文献3(特許第4590554号公報)に記載される心電図信号処理方法を採用して、胎児生体電気信号を抽出する。
【0042】
より詳細には、
図2に示すように、処理部11には、取込処理部31と、分離・解析処理部32と、母体心拍数変換処理部33と、胎児心拍数変換処理部34と、表示処理部35と、記憶部36とが設けられている。まず、第1検出部51で検出される各信号、つまり腹部電極から検出される生体電位信号と、胸部電極から検出される母体心電図信号と、超音波センサから検出される胎児ドプラ信号を含む超音波信号とは、第1検出部51から取込処理部31に送られ、取込処理部31においてそれぞれ分離・解析処理部32における解析に適したデータに変換される。具体的には、信号増幅、AD変換、記録・保存処理のためのデータの区間分け等の信号処理が行われる。
【0043】
処理された生体電位信号、母体心電図信号、胎児ドプラ信号(超音波信号)は、取込処理部31から分離・解析処理部32に受け渡される。分離・解析処理部32では、心電図信号処理が行われ、生体電位信号から胎児生体電気信号が抽出される。
【0044】
分離・解析処理部32にて抽出された胎児生体電気信号は、分離・解析処理部32から胎児心拍数変換処理部34に受け渡される。胎児心拍数変換処理部34では、胎児生体電気信号から得られるR波の間隔変化により、胎児心拍数が算出される。
【0045】
胸部電極で検出された母体心電図信号は、分離・解析処理部32からさらに母体心拍数変換処理部33に受け渡される。母体心拍数変換処理部33では、母体心電図信号から得られるR波の間隔変化により、母体心拍数が算出される。
【0046】
これらの胎児生体電気信号、胎児心拍数、母体心電図信号、母体心拍数は、記憶部36に記憶される。
【0047】
また、分離・解析処理部32には、予め記憶部36に記憶された情報に基づき胎児生体電気信号や胎児心拍数等の変動、不整脈等を検出する機能や、解析エラーを検出する機能等が備えられている(変動検出手段)。分離・解析処理部32で検出された胎児生体電気信号の変動発生点や解析エラー等は記憶部36に記憶され、表示部12(胎児心拍数陣痛
図23上)の対応する位置に表示される。これらの胎児生体電気信号の変動発生点や解析エラー等の表示については、後述する表示部12の説明において詳細を説明する。
【0048】
このように、第1実施形態の監視装置101では、第1検出部51と、処理部11の取込処理部31、分離・解析処理部32、および胎児心拍数変換処理部34とにより、胎児心拍数、胎児生体電気信号、および母体心電図信号が取得される。これらの第1検出部51、取込処理部31、分離・解析処理部32、および胎児心拍数変換処理部34により、本発明における胎児心拍数取得手段と、胎児生体電気信号取得手段と、母体心電図信号取得手段とが構成される。本実施形態の監視装置101では、分離・解析処理部32と記憶部36とにより、胎児生体電気信号の変動が検出される。これらの分離・解析処理部32、記憶部36により、本発明における変動検出手段が構成される。
【0049】
第2検出部52は、母体の腹部に取り付けられる陣痛トランスデューサにより構成され、陣痛強度信号を検出する。陣痛トランスデューサは、子宮収縮時に母体の腹部が拡張し圧迫されることで生じる圧力上昇(陣痛強度)を検出する感圧式のセンサである。第2検出部52で検出される陣痛強度信号は、
図1のブロック図に示すように、装置本体10の処理部11に送られ、処理部11において、描画処理に適した信号に変換される。
【0050】
より詳細には、
図2に示すように、処理部11には、前述した表示処理部35や記憶部36等の他に、数値化処理部37と演算処理部38とがさらに設けられている。陣痛強度信号は、第2検出部52から数値化処理部37に送られ、数値化処理部37において信号増幅、AD変換、記録・保存処理のためのデータ区分分け等の信号処理が行われる。数値化処理部37で信号処理された陣痛強度信号は、演算処理部38に受け渡される。演算処理部38では、0〜100に対応する陣痛強度が算出される。陣痛強度は記憶部36に記憶される。
【0051】
このように、第1実施形態の監視装置101では、第2検出部52と、処理部11の数値化処理部37及び演算処理部38とにより、陣痛強度が取得される。これらの第2検出部52、数値化処理部37、演算処理部38により、本発明における陣痛強度取得手段が構成される。
【0052】
記憶部36に記憶された母体心電図信号、胎児生体電気信号、母体心拍数、胎児心拍数、陣痛強度は、表示処理部35に送られる。表示処理部35では、これらの信号に基づく描画処理がなされて、母体心電図信号に基づく母体心電
図21(母体心電図波形)、胎児生体電気信号に基づく胎児生体電気信号
図22(胎児生体電気信号波形)、胎児心拍数に基づく胎児心拍数
図24、陣痛強度信号に基づく陣痛強度
図25が作成される。そして、
図1のブロック図や
図3及び
図4の表示部12の画面図に示すように、母体心電
図21、胎児生体電気信号
図22、胎児心拍数
図24、陣痛強度
図25が、表示部12に表示される。
【0053】
分離・解析処理部32において検出された胎児生体電気信号の変動発生点や解析エラー等の情報も、表示処理部35において描画処理がなされ、胎児心拍数及び陣痛強度の情報とともに胎児心拍数陣痛
図23(胎児心拍数
図24)にイベントアイコンとして表示される。胎児心拍数陣痛
図23は、胎児心拍数(胎児心拍数
図24)及び陣痛強度(陣痛強度
図25)を同一時間軸上に並べて経時的に表示するグラフである。
【0054】
このように、第1実施形態の監視装置101では、処理部11の表示処理部35と表示部12とにより、母体心電
図21、胎児生体電気信号
図22、胎児心拍数陣痛
図23の情報とともに、胎児生体電気信号の変動発生点や解析エラー等の情報が表示される。これらの表示処理部35及び表示部12により、本発明の表示手段が構成される。
【0055】
なお、第1実施形態の母体及び胎児の監視装置101で用いた各検出部51,52における検出方法や処理部11における処理方法は一例であり、母体心電図信号、胎児生体電気信号、胎児心拍数、陣痛強度のそれぞれの計測・演算手法は、特に限定されるものではない。
【0056】
第1実施形態では各検出部51,52はいずれも外測法により信号を検出しているが、内測法による検出手段を使用することも可能であるし、本実施形態とは異なる外側法による検出手段を使用することも可能である。
【0057】
具体的には、第1実施形態の監視装置101では、母体心拍数および胎児心拍数を、外測法により検出された信号に基づく母体心電図信号および胎児生体電気信号から算出しているが、母体心拍数や胎児心拍数の取得方法はこれに限られるものではない。例えば、母体及び胎児の監視装置において、母体及び胎児に直接装着される電極等により母体心拍数及び胎児心拍数を直接的に取得する(内測法)ことも可能である。
【0058】
次に、表示部12の表示内容について、より具体的に説明する。表示部12は、
図3及び
図4に示すように、母体及び胎児の情報を表示する表示機能を備え、胎児心拍数(胎児心拍数
図24)及び陣痛強度(陣痛強度
図25)を同一時間軸上に並べて経時的にグラフ表示する胎児心拍数陣痛
図23とともに、胎児生体電気信号の波形を表示する胎児生体電気信号
図22と、母体心電図信号の波形を表示する母体心電
図21と、が同時に表示可能である。
【0059】
なお、
図3は取得した情報をほぼ実時間で逐次表示する状態(リアルタイムモード)における表示部12、
図4は記憶した情報を再生して表示する状態(再生モード)における表示部12を示している。いずれのモードにおいても、胎児心拍数陣痛
図23に表示される時間範囲に比べて、母体心電
図21および胎児生体電気信号
図22に表示される時間範囲は短く、胎児心拍数陣痛
図23の1000分の1程度であり、したがって表示倍率が1000倍ほどとなる。例えば、胎児心拍数陣痛
図23の表示幅が十数分間に設定される一方、母体心電
図21および胎児生体電気信号
図22の表示幅は十数秒間に設定される。これにより、母体心電
図21および胎児生体電気信号
図22では、母体心電図波形および胎児生体電気信号波形をより詳細に表示させることができる。
【0060】
胎児心拍数陣痛
図23(胎児心拍数
図24及び陣痛強度
図25)の情報は、
図3及び
図4の右端(時間軸である横軸の右端)がより新しい情報である。表示部12には、収録時間を表示する収録時間表示部26が設けられている。収録時間表示部26には、胎児心拍数陣痛
図23の右端における情報(画面上で最新の情報)が取得された時刻が表示される。
【0061】
図3及び
図4において胎児生体電気信号
図22の右側には、胎児心拍数をデジタル表示(数値表示)する胎児心拍数デジタル表示部22dが設けられており、表示部12の一つの画面上で、胎児生体電気信号
図22の胎児生体電気信号波形とともに、胎児心拍数を同時に確認できる。同様に、母体心電
図21の右側には、母体心拍数をデジタル表示(数値表示)する母体心拍数デジタル表示部21dが設けられており、表示部12の一つの画面上で、母体心電
図22の母体心電図信号波形とともに、母体心拍数を同時に確認できる。
【0062】
なお、表示部12は、
図3及び
図4に示す画面の他にも、複数の画面を切り替えて表示可能である。
【0063】
表示部12は、表示機能と入力機能を兼ね備えるタッチパネル式のディスプレイ(モニタ)により構成されており、操作部14としても機能する。したがって、監視装置101では、表示部12の表示画面上に表示された各操作スイッチ(イベント入力ボタン41a〜41d、期間送りボタン73a,73b、イベント表示送りボタン75,75bなど)を操作する(押す、触れる)ことにより、各種の操作が行える。
【0064】
例えば、
図3及び
図4に示す表示部12の右下部分には、胎児心拍数及び陣痛強度の情報とともに、母体の体位変換や母体への点滴開始等のイベント情報を入力し記録させるイベント入力部41が設けられている。イベント入力部41には、複数のイベント入力ボタン41a〜41d等が表示されており、これらのイベント入力ボタン41a〜41dを操作することで、記憶部36に、胎児心拍数及び陣痛強度の情報とともに、イベント情報を入力し、イベント発生時刻とともに記録できる。
【0065】
例えば、
図3に示されるイベント入力ボタン41a〜41dは、各イベント情報に対応するアイコンにより示されている。イベント入力ボタン41aは母体の体位変換、イベント入力ボタン41bは母体への点滴開始、イベント情報入力ボタン41cは母体への酸素投与、イベント入力ボタン41dは胎動にそれぞれ対応している。これらのイベント発生時に対応する各イベント入力ボタン41a〜41dを操作することで、その時点における胎児心拍数及び陣痛強度の情報に各イベント情報を関連付け、記憶部36に記憶させる。そして、これらのイベント情報は、表示処理部35において描画処理され、イベントアイコン61a,61bにより、表示部12の胎児心拍数陣痛
図23(胎児心拍数
図24)とともに表示される(
図3,4参照)。
【0066】
イベントサイン41eは胎児心拍数陣痛
図23の収録開始時点を示すイベント情報に対応し、イベントサイン41fは胎児心拍数陣痛
図23の収録終了時点を示すイベント情報に対応する。これらのイベント情報(収録開始時点と収録終了時点)は、イベント入力ボタンの操作ではなく、胎児心拍数及び陣痛強度等の計測開始時と計測終了時に自動的に記録される。イベントサイン41gは、胎児生体電気信号の変動発生点を示すイベント情報に対応する。このイベント発生時(胎児心拍数及び陣痛強度等の計測時において胎児生体電気信号に変動が生じた場合)に、分離・解析処理部32において検出(取得)された変動発生のイベント情報が自動的に記憶部36に記憶される。分離・解析処理部32において解析エラーが発生した場合等にも、解析エラーの発生等を示すイベント情報(イベントサイン41hが対応)が自動的に記憶部36に記憶される。これらの自動的に記憶されるイベント情報は、表示処理部35において描画処理され、表示部12の胎児心拍数陣痛
図23にイベントサイン41e〜41hと同じ図柄のイベントアイコン(図示略)により表示される。
【0067】
監視装置101の表示部12は、処理された母体心電図信号、胎児生体電気信号、胎児心拍数、陣痛強度に基づいた母体心電
図21、胎児生体電気信号
図22、胎児心拍数陣痛
図23(胎児心拍数
図24及び陣痛強度
図25)をほぼリアルタイムに表示できる(
図3)だけでなく、既に記憶部36に蓄積された記憶済みの情報を呼び出して、その蓄積された母体心電図信号、胎児生体電気信号、胎児心拍数、陣痛強度に基づいた母体心電
図21、胎児生体電気信号
図22、胎児心拍数陣痛
図23(胎児心拍数
図24及び陣痛強度
図25)を表示できる(
図4)。
【0068】
表示部12の下部には、収録開始時点からの情報蓄積時間全体(監視装置101における胎児心拍数、陣痛強度および胎児生体電気信号を取得した全期間)を表すスクロールバー(時間軸)71と、スクロールバー71上に胎児心拍数陣痛
図23の表示範囲を示すスクロール枠(表示範囲枠)72とを示すイベント情報表示部70が表示されている。すなわち、表示部12の画面上の胎児心拍数陣痛
図23には、スクロールバー71上のスクロール枠72で囲まれた期間内の情報が表示される。収録時間表示部26には、胎児心拍数陣痛
図23の右端の情報が取得された時刻が表示される。
【0069】
なお、取得した情報をほぼリアルタイムに表示している
図3の状態においては、胎児心拍数陣痛
図23は最新の情報を表示しているので、スクロール枠72はスクロールバー71の右端に位置し、収録時間表示部26はほぼ現在時刻を表示している。
【0070】
表示部12の画面上の胎児心拍数陣痛
図23には、画面上に表示可能な期間(例えば15分間)を超えて情報が蓄積された場合には、記憶部36に蓄積された情報の一部を表示できる。記憶部36に蓄積され、画面上の胎児心拍数陣痛
図23に表示されていない期間の情報は、スクロール枠72をスクロールバー71に沿って画面の左右方向に移動させて任意の位置に配置することにより、表示部12に表示できる。
図4は、蓄積された情報から任意の時点の情報を表示する再生モードにおける表示部12の画面を表している。
【0071】
スクロール枠72は、表示部12の画面(タッチスクリーン)を指でなぞる操作、またはスクロールバー71の左右に配置された期間送りボタン73a,73bの操作により、スクロールバー71上の任意の位置に移動させることができる。スクロール枠72を移動させることにより、胎児心拍数陣痛
図23の表示範囲を変更することができる。胎児心拍数陣痛
図23の表示範囲の変更は、計測中も計測終了後も同様に可能である。
【0072】
期間送りボタン73a,73bを操作した場合、スクロール枠72は現時点の表示期間に隣接する期間上(前後)に移動される。例えば、右側の期間送りボタン73bを操作した場合は、スクロール枠72が右側に移動し、現時点の表示期間の右側に隣接する期間(現時点よりも後の期間、現時点よりも新しい情報)の胎児心拍数及び陣痛強度の情報が胎児心拍数陣痛
図23に表示される。
【0073】
左側の期間送りボタン73aを操作した場合には、スクロール枠72が左側に移動し、現時点の表示期間の左側に隣接する期間(現時点よりも前の期間、現時点よりも古い情報)の胎児心拍数及び陣痛強度の情報が胎児心拍数陣痛
図23に表示される。また、続けて左側の期間送りボタン73aを操作することでスクロール枠72をさらに左側に移動させ、その位置における胎児心拍数及び陣痛強度の情報を胎児心拍数陣痛
図23に表示させることができる。このように、期間送りボタン73a,73bを使用した場合には、スクロール枠72で囲まれた期間毎の胎児心拍数及び陣痛強度の情報を、画面上の胎児心拍数陣痛
図23に順に表示させることができる。
【0074】
図4に示すように、再生中の表示部12の胎児心拍数陣痛
図23上には、この胎児心拍数陣痛
図23に表示された表示時間軸(例えば十数分間)内のさらに短期間の任意期間(例えば数秒間)を指定可能な指定期間入力部42が設けられている。この指定期間入力部42を画面の左右方向に移動させて胎児心拍数陣痛
図23の表示時間軸内の任意の位置に配置することで、その指定期間入力部42が重なって配置された期間における胎児生体電気信号(波形)を胎児生体電気信号
図22に表示できるとともに、その期間における母体心電図信号(波形)を母体心電
図21の指定枠42b内に表示できる。
【0075】
指定枠42bは胎児生体電気信号
図22内に表示され、この指定枠42b内に指定期間入力部42により指定された任意期間内の胎児生体電気信号波形が表示されている。したがって、この指定枠42bの前後(左右)の期間、つまり任意期間に隣接する前後の期間も含めて、胎児生体電気信号波形が表示されている。このように、指定枠42bで囲まれた範囲内に、指定期間入力部42で指定された任意期間に対応する期間内の胎児生体電気信号波形を表示することにより、胎児生体電気信号
図22には、任意期間における胎児生体電気信号が他の期間における胎児生体電気信号と識別可能に表示される。
【0076】
胎児生体電気信号
図22と同様に、母体心電
図21内にも指定枠42aが表示されており、任意期間における母体心電図信号と他の期間における母体心電図信号とが識別可能に表示される。すなわち、指定期間入力部42により指定された任意期間における母体心電図信号波形が、母体心電
図21内の指定枠42a内に表示される。母体心電
図21と胎児生体電気信号
図22とは、常に同じ時間範囲の情報を表示している。
【0077】
指定期間入力部42は、画面の1〜数ピクセルの幅で表示される縦線状のマーカーであり、この幅に相当する時間が任意期間として指定され、母体心電
図21及び胎児生体電気信号
図22において指定枠42a,42bによって示される。例えば指定期間入力部42の幅(1〜数ピクセル)が1秒間に相当する場合、任意期間として例えば1秒間が指定される。母体心電
図21および胎児生体電気信号
図22においては、画面上、時間軸の表示設定が例えば胎児心拍数陣痛
図23の100分の1である場合は、指定期間入力部42の幅の100倍の幅が指定枠42a,42bによって囲まれる。
【0078】
図4では、スクロールバー71は測定時間(例えば数時間)全ての情報を示しており、胎児心拍数陣痛
図23はスクロール枠72に囲まれた時間(例えば15分間)の情報を示している。これに対し、母体心電
図21および胎児生体電気信号
図22は、胎児心拍数陣痛
図23よりも短い時間(例えば10秒間)の情報を拡大して示しており、指定期間入力部42により指定された任意期間(例えば1秒間)が指定枠42a,42bにより示されている。
【0079】
なお、指定期間入力部42により指定された任意期間内の胎児生体電気信号と、この任意期間に隣接する他の期間における胎児生体電気信号と、を識別可能に表示する手段としては、胎児生体電気信号
図22の一部を囲む指定枠42a,42bを
図3,4に示すように枠線により表示する他、指定枠42a,42bの背景色を他の期間と異なる色に変更したり、任意期間内の胎児生体電気信号の波形を示す線の色を他の期間と異なる色に変更したり、胎児生体電気信号の波形の太さを変更したりする等の種々の手段を採用することができる。
【0080】
このように、第1実施形態の監視装置101では、指定期間入力部42により任意期間が指定されたときに、その任意期間における胎児生体電気信号と母体心電図信号とを拡大し、表示部12に並べて表示でき、容易に確認できる。
【0081】
スクロールバー71には、胎児心拍数陣痛
図23に表示されるイベントアイコン61a,61b等に対応する簡易アイコン62a〜62hが表示され、記憶されたイベント情報の有無や発生ポイントをスクロールバー71において容易に確認できる。このため、イベント情報と胎児心拍数陣痛
図23の情報との相関を容易に認識できる。
【0082】
例えば、記憶部36に蓄積された情報を確認する再生モード(
図4)において、スクロールバー71上の簡易アイコン62cに対応するイベント発生前後の状況を確認する場合、スクロール枠72を簡易アイコン62cに重なる位置に移動させると、胎児心拍数陣痛
図23には、このスクロール枠72内の期間における波形が表示される。
【0083】
さらに、胎児心拍数陣痛
図23においてイベントアイコン61b近傍に指定期間入力部42を移動させると、母体心電
図21および胎児生体電気信号
図22における指定枠42a,42bが、指定期間入力部42により指定された時間を囲む位置に移動する。これにより、イベントアイコン61bに対応するイベント発生前後の胎児心拍数陣痛図波形と、母体心電図波形および胎児生体電気信号波形とが対応して表示される。このように、任意の時点における胎児心拍数陣痛
図23と母体心電
図21および胎児生体電気信号
図22とを並べて表示させ、各波形を比較して確認できる。
【0084】
スクロールバー71の左右には、イベント表示送りボタン75a,75bが配設されている。このイベント表示送りボタン75a,75bを操作する(押す)ことにより、現時点のスクロール枠72が配置された位置から最も近い位置のイベント情報が記録された期間まで、スクロール枠72を移動させることができる。そして、この期間における多胎児心拍数及び陣痛強度の情報を胎児心拍数陣痛
図23に瞬時に表示できる。
【0085】
なお、右側のイベント表示送りボタン75bを操作した場合には、現時点のスクロール枠72(簡易アイコン62cを含む位置)から右側の範囲において最も近い位置に配置されたイベント情報(
図4では簡易アイコン62d)を表示期間の中心として、胎児心拍数陣痛
図23が表示される。さらに続けて右側のイベント表示送りボタン75bを操作すると、現時点の表示期間の中心位置に配置されたイベント情報(簡易アイコン62d)の右側のイベント情報(簡易アイコン62e)を表示期間の中心として、胎児心拍数陣痛
図23が表示される。このように、監視装置101においては、イベント表示送りボタン75a,75bを操作することで、容易にイベント情報およびその発生時の胎児心拍数陣痛
図23にアクセス可能となっている。
【0086】
さらに、
図4に示すように、スクロールバー71のスクロール枠72内には、指定期間入力部42に対応する時刻位置を示すスクロールバーマーカー72aが表示される。したがって、スクロール枠72およびスクロールバーマーカー72aを含むスクロールバー71を見るだけで、画面に表示されている母体心電
図21および胎児生体電気信号
図22と胎児心拍数陣痛
図23が波形全体のどの位置であるかを確認できる。
【0087】
なお、この監視装置101では、表示部12をタッチパネル式のディスプレイにより構成して操作部14と兼用させたが、表示部12と操作部14とを兼用させずに、表示部12に隣接する近い位置に別個の操作部を配設することもできる。この場合にも、操作部が表示部12に隣接して配置されているので、表示部12を容易に確認しながら操作できる。
【0088】
この監視装置101において記録部13は、一般的な記録器(印字装置など)により構成される。記録部13は、記憶部36に蓄積された情報のうち、少なくとも胎児心拍数と陣痛強度との情報に基づき、記録紙81(
図5参照)に胎児心拍数曲線及び陣痛強度曲線を出力する。そして、胎児心拍数図と陣痛強度図とが同一時間軸上に経時的に並べて記録(印字)された胎児心拍数陣痛図を作成する。
【0089】
[母体及び胎児の監視装置の動作]
次に、監視装置101の動作について説明する。監視装置101の運転(計測)が開始されると、第1検出部51及び第2検出部52から取得された信号が処理部11で処理され、表示部12には、
図3に示すように胎児心拍数陣痛
図23を有する画面が表示される。表示部12には、前述したように、胎児心拍数陣痛
図23とともに、胎児生体電気信号の波形を表示する胎児生体電気信号
図22と、母体心電図信号の波形を表示する母体心電
図21と、が同時に表示される。なお、記録部13により、記録紙81にも表示部12に対応する胎児心拍数曲線と陣痛強度曲線とが描画される。
【0090】
表示部12には、通常の母体心電図信号、胎児生体電気信号、胎児心拍数、母体心拍数の計測中においては、リアルタイムに処理された母体心電図信号、胎児生体電気信号、胎児心拍数、陣痛強度に基づいた母体心電
図21、胎児生体電気信号
図22、胎児心拍数陣痛
図23が表示される。これらの情報は時間軸とともに表示され、時間の経過に伴い表示部12上の情報は新規に取得された情報に逐次更新される(リアルタイムモード)。
【0091】
前述したように、胎児心拍数陣痛
図23(胎児心拍数
図24及び陣痛強度
図25)の情報は、
図3の右端が最新の情報とされる。また、収録時間表示部26は、最新の情報である測定時の時刻が表示され、時間の経過とともに更新され時が刻まれる。母体心電
図21及び胎児生体電気信号
図22の情報は、単位時間毎に
図3の左端側から右端側に順に更新されていき、更新箇所が右端に到達すると、左端に戻り更新される。母体心拍数デジタル表示部21dと胎児心拍数デジタル表示部22dとに、胎児心拍数陣痛
図23の右端の時間に対応する母体心拍数と胎児心拍数とが数値表示される。
【0092】
監視中、分離・解析処理部32において胎児生体電気信号の変動を検出したときには、胎児心拍数陣痛
図23上に胎児生体電気信号の変動発生点を示すアイコン(イベントアイコン61a,61bと同様のもの)が表示される。また、操作者がイベント入力部41を操作した場合には、その操作されたイベント入力ボタン41a〜41dに対応するイベント情報のイベントアイコンが、胎児心拍数陣痛
図23上に表示される。これらのイベント情報は、発生時刻とともに記憶部36に記憶される。
【0093】
監視装置101では、リアルタイムに処理された母体心電図信号、胎児生体電気信号、胎児心拍数、陣痛強度に基づいた母体心電
図21、胎児生体電気信号
図22、胎児心拍数陣痛
図23を表示できるだけでなく、前述したように、既に記憶部36に蓄積された記憶済みの情報を呼び出して、その蓄積された母体心電図信号、胎児生体電気信号、胎児心拍数、陣痛強度に基づいた母体心電
図21、胎児生体電気信号
図22、胎児心拍数陣痛
図23を表示させ、再生することができる(再生モード)。
【0094】
例えば、
図4に示す表示部12の画面のスクロール枠72を現時点よりも過去の期間を示す位置、すなわちスクロールバー71に沿って左側に移動させることで、その過去の期間における胎児心拍数及び陣痛強度の情報を表示部12の胎児心拍数陣痛
図23に表示できる。この際、その過去の期間においてイベント情報が記録されているときは、胎児心拍数陣痛
図23上にイベント情報を示すアイコン(例えばイベントアイコン61a,61b)も表示される。
【0095】
さらに、表示部12の胎児心拍数陣痛
図23上に重ねて表示された指定期間入力部42を移動させて、胎児心拍数陣痛
図23の表示時間軸内の任意の位置に配置することで、その位置(任意期間)における胎児生体電気信号の波形を胎児生体電気信号
図22に表示できるとともに、母体心電図信号の波形を母体心電
図21に表示できる。このとき、母体心電
図21及び胎児生体電気信号
図22では、胎児心拍数陣痛
図23上で指定した任意期間に対応する期間内の胎児生体電気信号及び母体心電図信号と、任意期間に隣接する他の期間における胎児生体電気信号及び母体心電図信号とが、それぞれ指定枠42a,42bにより識別可能に表示される。
【0096】
このように、第1実施形態の監視装置101では、表示部12に、胎児心拍数と陣痛強度とを同一時間軸上に並べて経時的に表示する胎児心拍数陣痛
図23と胎児生体電気信号
図22とを表示させるので、胎児心拍数陣痛
図23の任意期間内における胎児生体電気信号の変動を容易に確認でき、胎児心拍数陣痛
図23では確認できない不整脈等の異常を容易に発見できる。さらに、監視装置101では、表示部12に、胎児生体電気信号
図22とともに母体心電
図21を表示させるので、同一時間軸における胎児生体電気信号波形と母体心電図信号波形との間の相関も見出せる。
【0097】
また、監視装置101では、胎児心拍数陣痛
図23上にイベント情報を表示するので、母体の体位変換や母体への点滴開始等のイベントに起因する胎児心拍数の変動等を容易に認識でき、母体や胎児の状況を容易に診断できる。
【0098】
さらに、監視装置101では、胎児生体電気信号の変動発生点等の情報が胎児心拍数陣痛
図23上に表示されるので、胎児心拍数陣痛
図23から胎児生体電気信号の変動に伴う胎児心拍数や陣痛強度の変化を容易に把握しやすくなっている。また、これらの情報から胎児心拍数と陣痛強度と胎児生体電気信号との間の相関を見出すことが容易になり、従来の胎児心拍数陣痛
図23のみの診断における誤解を解消できる。
【0099】
このように、監視装置101では、胎児心拍数陣痛
図23と同時に、これらの情報と密接に関係する胎児生体電気信号等の情報を最適化して表示するので、操作時間の短縮を図ることができ、胎児の状況判断を容易に行うことができる。したがって、胎児心拍数と陣痛強度と胎児生体電気信号との間の相関を見出すことも容易になり、従来の胎児心拍数陣痛
図23のみの診断における誤解を解消できる。
【0100】
上記第1実施形態の監視装置101には、表示処理部35と表示部12とを備える表示手段が内蔵されている。本発明の第2実施形態に係る監視装置用表示装置(以下「表示装置」)210は、前述の監視装置101の表示手段と同様に構成できる。第2実施形態においても、胎児心拍数、胎児生体電気信号、陣痛強度の各種検出手段を備える母体及び胎児の監視装置(以下「監視装置」)201に、表示装置210を接続することで、胎児心拍数と陣痛強度とを経時的に並べて表示する胎児心拍数陣痛図とともに、これらの情報と密接に関係する胎児生体電気信号等の情報を最適化して表示できるので、胎児の状況判断を容易に行うことができる。
【0101】
図6に本発明の第2実施形態に係る表示装置210を示す。この表示装置210が接続される第2実施形態の監視装置201は、第1実施形態の監視装置101と同様に、第1検出部51,第2検出部52,処理部11(胎児心拍数取得手段、陣痛強度取得手段、および胎児生体電気信号取得手段)を備えるが、第1実施形態の監視装置101とは異なり、表示装置210および記録部220が別装置として接続される。
【0102】
記録部220は、監視装置101の記録部13と同様の機能を有する印字装置であって、描画用CPUなどを内蔵し、接続された監視装置201からの入力を受けて記録紙に対する印字を行う。なお、前述の監視装置101においても、処理部11を備える装置本体10に対して接続可能な別装置として記録部を構成してもよい。
【0103】
表示装置210は、前述の監視装置101の表示手段(表示処理部35および表示部12)と同様に、表示部212および表示処理部214を備える。
【0104】
表示装置210の表示部212は、前述の表示部12と同様に、胎児生体電気信号
図22、胎児心拍数陣痛
図23、および操作部14を備え、各情報を表示できるとともに、操作部14にて指定された任意期間を表示できる。
【0105】
表示装置210の表示処理部214は、監視装置201から入力される信号に基づいて胎児生体電気信号
図22、胎児心拍数陣痛
図23をイベント情報とともに表示部212に表示させるとともに、操作部14において入力されるイベントや任意期間に関する情報を監視装置201に送ることができる。
【0106】
この構成において、監視装置201が前述の監視装置101と同様に母体心電図信号を取得する母体心電図信号取得手段(第1検出部51,処理部11)を備える場合、表示部212は、監視装置201から入力された母体心電図信号の母体心電
図21を、胎児生体電気信号
図22とともに表示可能である。
【0107】
また、監視装置201が前述の監視装置101と同様に胎児生体電気信号の変動を検出する変動検出手段を備える場合、表示部212は、監視装置201から入力された胎児生体電気信号の変動の発生点を、胎児心拍数及び陣痛強度の情報とともに胎児心拍数陣痛
図23に表示可能である。
【0108】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、第2実施形態においては表示部を持たない監視装置201に表示装置210を接続する構成を採用したが、表示部12を備える第1実施形態の監視装置101に、第2実施形態の表示装置210をさらに接続する構成を採用してもよい。