特許第6653311号(P6653311)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6653311分散剤、該分散剤を含む組成物、及び、該分散剤の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6653311
(24)【登録日】2020年1月29日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】分散剤、該分散剤を含む組成物、及び、該分散剤の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01F 17/56 20060101AFI20200217BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20200217BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20200217BHJP
   A23L 29/00 20160101ALN20200217BHJP
【FI】
   B01F17/56
   A61K8/73
   A61K47/36
   !A23L29/00
【請求項の数】3
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-245139(P2017-245139)
(22)【出願日】2017年12月21日
(65)【公開番号】特開2018-103176(P2018-103176A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2018年9月5日
(31)【優先権主張番号】特願2016-254012(P2016-254012)
(32)【優先日】2016年12月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000192590
【氏名又は名称】株式会社神鋼環境ソリューション
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(72)【発明者】
【氏名】竹▲崎▼ 潤
(72)【発明者】
【氏名】寺澤 圭
(72)【発明者】
【氏名】大木 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】赤司 昭
【審査官】 吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−071405(JP,A)
【文献】 特開平03−097649(JP,A)
【文献】 特開2016−199650(JP,A)
【文献】 特開2014−095159(JP,A)
【文献】 特開2014−037657(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/156339(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 17/
C08B
A23L
A61K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS/FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーグレナ由来の繊維化パラミロンを含み、
前記繊維化パラミロンは、分岐した構造を有する複数の繊維状物を含有する、分散剤。
【請求項2】
請求項に記載の前記分散剤と、被分散物と、水とを含む、組成物。
【請求項3】
せん断力によってユーグレナのパラミロン顆粒を解繊処理することによって、分岐した構造を有する複数の繊維状物を含有する繊維化パラミロンを形成し、該繊維化パラミロンを含む分散剤を製造する、分散剤の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ユーグレナ藻が細胞内に貯めた多糖類のパラミロンを繊維化した、繊維化パラミロンを含む分散剤に関する。また、本発明は、例えば、上記分散剤と、被分散物と、水とを混合することによって得られた組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、セルロースに機械的な粉砕処理を施すことによって繊維化したものを含む分散剤が知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載の分散剤は、粉砕前のセルロースが水に分散した分散液同士を、衝突させることによって得られる。得られた繊維状のセルロースの平均長さは、例えば、1〜8μmである。上記のごとき衝突によって得られた繊維状のセルロースを含む分散剤は、セルロースを経口摂取した場合の安全性が比較的高いことから、例えば食品分野などの各種分野において使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−270891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば食品分野などでは、食用油などの被分散物を水に分散させるために、レシチンやサポニンなどの分散剤が使用されている。しかしながら、レシチンやサポニンなどの分散剤は、水に被分散物が分散された状態を比較的長く保たせることができないという問題を有する。そこで、水に被分散物が分散された状態を比較的長く保たせることができる、分散剤が要望されている。
【0006】
本発明は、これらの点に鑑み、水に被分散物が分散された状態を比較的長く保たせることができる、分散剤、及び、該分散剤を含む組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、本発明に係る分散剤は、ユーグレナ由来の繊維化パラミロンを含むことを特徴とする。ユーグレナ由来の繊維化パラミロンを含む分散剤により、水に被分散物が分散された状態を比較的長く保たせることができる。
【0008】
上記の分散剤は、せん断力による解繊処理が施された前記繊維化パラミロンを含むことが好ましい。
【0009】
本発明に係る組成物は、上記の分散剤と、被分散物と、水とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上述の通り、本発明の分散剤は、水に被分散物が分散された状態を比較的長く保たせることができるという効果を奏する。本発明の組成物は、水に被分散物が分散された状態を比較的長く保つことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】パラミロン顆粒にせん断力を加える装置の一例を表した概略図。
図2】パラミロン顆粒にせん断力を加える装置の他の例を表した概略図。
図3】パラミロン顆粒にせん断力を加える装置の他の例を表した概略図。
図4】パラミロン顆粒にせん断力を加える装置の他の例を表した概略図。
図5】分散剤中の繊維化パラミロンの電子顕微鏡写真。
図6】分散剤中の繊維化パラミロンの電子顕微鏡写真(図5の一部の拡大図)。
図7】分散剤中の繊維化パラミロンの電子顕微鏡写真(製法が異なる他の例)。
図8】油分を含む組成物の分散(乳化)安定性の評価結果を表すグラフ。
図9】ココア粉末を含む組成物の外観を表す写真。
図10】水中沈定体積の評価結果を表す写真。
図11】保水力の評価結果を表すグラフ。
図12】繊維化パラミロンおよびパラミロン顆粒のX線回折(XRD)のチャート。
図13】β−1,3−グルカナーゼ酵素による分解性試験の結果(グルコース生成量の測定結果)を表すグラフ。
図14】アルカリ性水溶液と繊維化パラミロン等とを混合したあとの外観を表す写真。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る、分散剤の一実施形態について詳しく説明する。
【0013】
本実施形態の分散剤は、ユーグレナ由来の繊維化パラミロンを含む。繊維化パラミロンは、ユーグレナ由来のパラミロン顆粒が繊維化されることによって、複数の繊維状物が形成されたものである。上記の繊維化パラミロンは、複数の繊維状物が集合した集合体を含む。繊維状物は、β−1,3−グルカンのミクロフィブリルを有する。パラミロン顆粒は、微細藻類のユーグレナによって細胞内に貯められたものである。パラミロン顆粒は、β−1,3−グルカンの1種であるパラミロンが細胞内で顆粒状となって産生されたものである。ユーグレナについては、後述する。
【0014】
上記の繊維化パラミロンは、複数の繊維状物を含む。上記の繊維化パラミロンでは、通常、複数の繊維状物が互いに絡み合うことによって寄り集まった状態となっている。上記の繊維化パラミロンは、複数の繊維状物が集合して網状になった網目状構造を有する。上記の繊維化パラミロンは、水を含む液体に分散する性能を有する。上記の繊維化パラミロンは、比較的均一且つ簡便に水に分散されることから、上記の分散剤は、水への分散性が比較的良好である。
【0015】
上記の分散剤に含まれる繊維化パラミロンの水中沈定体積は、通常、35mL/g以上200mL/g以下である。水中沈定体積は、実施例に記載された方法によって測定する。
なお、後述する乾燥工程を経ない、水に分散した状態の分散剤における繊維化パラミロンの水中沈定体積は、通常、70mL/g以上200mL/g以下である。一方、後述する乾燥工程を経て、いったん固形物の状態になった分散剤における繊維化パラミロンの水中沈定体積は、通常、35mL/g以上200mL/g以下である。後者の繊維化パラミロンの水中沈定体積は、固形物となった分散剤における繊維化パラミロンを水に加え、スターラー等を利用して撹拌して再分散した繊維化パラミロンを用いて測定される。水中沈定体積の測定方法については、実施例で詳細に説明する。
上記の分散剤に含まれる繊維化パラミロンの水中沈定体積が上記の数値範囲であることにより、上記の繊維化パラミロンは、水などの溶液を網目構造中に十分に保持することができる。
【0016】
上記の繊維化パラミロンの各繊維状物の太さは、通常、10nm以上500nm以下である。斯かる太さは、20nm以上300nm以下であることが好ましく、100nm以上200nm以下であることがより好ましい。これにより、後述する被分散物をより十分に分散させることができるという利点がある。電子顕微鏡(SEM)で観察すると、枝分かれした構造(分岐した構造)を有する繊維状物が観察され、多数の繊維状物で網目状となった様子が観察される。繊維化パラミロンの形状は、例えば、繊維化パラミロンを顕微鏡で観察することによって確認される。なお、上記の太さは、繊維状物を顕微鏡で観察したときに、長さ方向の任意の5点にて、各点で長さ方向に直交する方向での長さ(太さ)を平均した値によって決定される。
【0017】
詳しくは、分散剤の繊維化パラミロンを以下の方法によって観察することにより、繊維状物における太さを測定する。繊維化パラミロンと水とが共存する混合物に対しては、水をt−ブタノール(tert-ブチルアルコール)に置換する処理を行う。具体的に、繊維化パラミロンと水との混合物に対して、該混合物の0.5〜9倍容量のt−ブタノールを加えて、ボルテックスミキサー等によって、繊維化パラミロンを分散させる。比較的多量(例えば9倍容量)のt−ブタノールを加えた場合は、その後、遠心分離などによって固液分離処理を行い、上澄液を取り除き、固形分を得て、固形分をt−ブタノールに分散させ、同様な操作を3〜5回程度繰り返すことで、繊維化パラミロンがt−ブタノールに分散された、水をほとんど含まない試験液を調製する。試験液の一部を平板(例えばガラス板)上に滴下し、滴下された試験液を低温(例えば−20℃)に置いて凍結させる。さらに、減圧処理によって、t−ブタノールを揮発させる。その後、オスミウムプラズマイオンコート(厚さ20nm)を施し、走査型電子顕微鏡による一般的な観察方法によって、繊維化パラミロンを観察する。
【0018】
上記の分散剤の繊維化パラミロンは、せん断力による解繊処理が施されたものである。具体的に、上記の繊維化パラミロンは、後述する製造方法において、パラミロン顆粒がせん断力によって解繊されることで形成される。このように、上記の繊維化パラミロンは、せん断力による物理的な解繊処理によって得られる。
なお、パラミロン顆粒に上記の解繊処理を施す前に、パラミロン顆粒に化学的な処理を施してもよい。この化学的な処理においては、パラミロン顆粒が完全溶解しない条件での処理(例えば0.25M NaOH水溶液による処理)をおこなうことができ、続いて、塩酸水溶液による中和処理を行うことができる。
【0019】
上記の分散剤では、繊維化パラミロンの各繊維状物が互いに絡み合って、各繊維状物が寄り集まった状態となり、3次元ネットワークを形成している様子が観察される。換言すると、繊維化パラミロンは、各繊維状物が互いに複雑に絡み合うことで網目状の構造となっている。繊維化されたパラミロンの各繊維状物では、太さに対する長手方向の長さの比が、通常、5〜5000である。繊維化パラミロンの各繊維状物の長手方向の長さは、通常、3μm以上100μm以下である。
【0020】
上記の繊維化パラミロンは、通常、45%以上60%以下の結晶化度を有する。斯かる結晶化度は、実施例に記載された方法によってX線回折チャートを得て、さらに、斯かるチャートを基にして実施例に記載された方法によって求められる。結晶化度は、X線回折チャートにおける2θ=5〜80°における非晶質部の強度と結晶部の強度の比により求められる。パラミロン顆粒(繊維化パラミロンを製造する前)の結晶化度に対する、上記の繊維化パラミロンの結晶化度の相対値は、0.60以上0.90以下であってもよく、0.60以上0.85以下であってもよく、0.65以上0.80以下であってもよい。なお、上記のごとき結晶化度の相対値は、同じ測定条件で測定されたX線回折チャートに基づいた各結晶化度から算出される。
【0021】
上記の繊維化パラミロンの体積基準でのメジアン径(D50)は、通常、原料のパラミロン顆粒の0.9倍以上3倍未満であり、好ましくは1.0倍以上2.0倍以下であり、より好ましくは1.2倍以下である。メジアン径は、事前に超音波照射により試料を分散させた後、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置で粒度を測定することによって求める。上記のメジアン径は、通常、6μm以下である。上記のメジアン径は、4μm以下であってもよい。
【0022】
上記の繊維化パラミロンは、β−1,3−グルカナーゼによってグルコースへと分解されにくい。換言すると、上記の繊維化パラミロンは、β−1,3−グルカナーゼに対する感受性が低く、例えば化学処理された(後述)パラミロンよりも、β−1,3−グルカナーゼによって分解されにくい。β−1,3−グルカナーゼに対する感受性(グルコースへの分解され易さ)は、例えば、所定温度で所定時間、β−1,3−グルカナーゼと上記の繊維化パラミロンとを水中で接触させて生じるグルコースの量を測定することによって測定でき、その結果を基にして上記の感受性を比較できる。上記の繊維化パラミロンのグルコース生成量は、繊維化パラミロン1gあたりのグルコース生成量[mg/g]によって表すことができる。上記グルコース生成量は、実施例に記載された方法によれば、30mg/g(グルコース/繊維化パラミロン)以下であり、好ましくは10mg/g以下である。上記グルコース生成量は、実施例に記載された市販のグルコース定量キットを用いて、実施例に記載された方法によって測定される。上記の繊維化パラミロンは、化学処理されたパラミロンよりも、β−1,3−グルカナーゼに対する感受性が低いため、特に微生物による分解を受けにくい。
【0023】
また、上記の繊維化パラミロンは、pHが比較的高い水溶液に溶解しない。例えば、上記の繊維化パラミロンは、0.3MのNaOH水溶液に溶解しない。上記の繊維化パラミロンを乾燥させて粉砕した粉末250mgと、0.3MのNaOH水溶液の10mLとを混合し、20℃において1時間撹拌したあとに、混合液が懸濁している(透明でない)ことを観察することで、繊維化パラミロンが溶解しないことを確認できる。一方、パラミロン顆粒をNaOH水溶液やジメチルスルホキシド等にいったん溶解させた後に析出させたパラミロンは、0.1MのNaOH水溶液や0.3MのNaOH水溶液に溶解する。上記の混合液が透明か懸濁状態かを目視で観察することによって、溶解したか否かを確認する。仮に、目視で確認することが困難である場合、分光光度計を用いて660nmにおける上記混合液の吸光度を測定し、測定値が0.1以下であれば、溶解したと判定することが望ましい。同様の条件下で測定した純水の吸光度をブランク値とし、混合液の吸光度からブランク値を差し引くことで、混合液の最終的な吸光度を求める。
【0024】
なお、化学処理されたパラミロンは、アルカリ性水溶液やDMSOなどによっていったん溶解される等の処理を受けていることから、せん断力を受けて繊維化された上記の繊維化パラミロンよりも、β−1,3−グルカン同士の水素結合が少なくなっていると考えられる。これにより、化学処理されたパラミロンは、上述したように、β−1,3−グルカナーゼによって分解されやすかったり、アルカリ性水溶液において溶解しやすかったりすると考えられる。
【0025】
前記分散剤は、繊維化パラミロン以外に、水を含んでもよい。斯かる分散剤では、繊維化パラミロンが水に比較的均一に分散している。このため、水を含んだ状態の分散剤の粘度は、比較的高く、斯かる分散剤は、粘ちょう(スラリー状等)である。水を含んだ状態の分散剤は、繊維化パラミロンを0.1質量%以上50質量%以下含んでもよい。
【0026】
前記分散剤は、液状であり、水を含む液体に繊維化パラミロンが分散された状態であってもよい。液状の分散剤は、上記繊維化パラミロンがすでに水に分散された状態であることから、さらに水に分散されたときに、水への分散性が比較的良好である。
【0027】
一方、前記分散剤は、固形物の状態であってもよい。具体的に、前記分散剤は、繊維化パラミロンが凝集した粒子を含んだ状態であってもよい。固形物の状態の分散剤は、例えば、上記繊維化パラミロンを含有する粒子を含む少なくとも1つの錠剤で構成されてもよい。また、分散剤は、例えば、多量の粒子を含む粉体であってもよい。繊維化パラミロンが凝集した粒子や錠剤の大きさは、0.4μm以上10mm以下であってもよい。固形物の分散剤における水の含有率は、通常、5質量%未満である。分散剤が固形物の状態であっても、水を含む液体に比較的均一且つ簡便に繊維化パラミロンが再分散されることから、前記分散剤は、水への分散性が比較的良好である。
【0028】
上記の固形物の状態の分散剤は、上記繊維化パラミロンを20質量%以上含んでもよく、50質量%以上含んでもよく、80質量%含んでいてもよい。また、上記の固形物の状態の分散剤は、全て繊維化パラミロンで構成されていてもよい。
【0029】
本実施形態の分散剤は、水を含む液体に被分散物を分散させるための用途で、使用される。被分散物については、後述する。上記の分散剤は、例えば、食品、化粧料、又は医薬品などの配合成分として使用される。上記の分散剤と、水などの液体と、被分散物とを混合して得られた組成物については、後に詳細に説明する。
【0030】
次に、本発明に係る分散剤の製造方法の一実施形態について詳しく説明する。
【0031】
本実施形態の分散剤の製造方法は、パラミロン顆粒をせん断力によって繊維化することによりパラミロン顆粒を繊維状に形成するせん断工程を備える。せん断工程によって、パラミロン顆粒を繊維化することができる。
本実施形態の分散剤の製造方法は、固形物の分散剤を製造するために、せん断工程で得られた分散剤に乾燥処理を施す乾燥処理工程と、乾燥処理が施された分散剤に粉砕処理を施して、固形物の状態の分散剤を得る粉砕処理工程と、をさらに備える。
【0032】
せん断工程では、例えば、ユーグレナが細胞内に貯めたパラミロン顆粒(1〜5μm程度の大きさ)に水の存在下でせん断力を加えることによって繊維化パラミロンを得て、液状の分散剤を製造する。
さらに、乾燥処理工程にて液状の分散剤を乾燥処理し、続いて、粉砕処理工程にて粉砕処理することによって、固形物の状態となった分散剤を製造する。
上記のごとく製造された分散剤は、アルカリや酸を用いた化学的な処理を行わなくても、物理的な処理によって、比較的簡便に製造することができる。本実施形態の上記分散剤は、化学処理のみによって繊維化されたパラミロンを含まず、せん断力などによる物理的な処理によって繊維化された繊維化パラミロンを含む。なお、せん断工程は、通常、水の存在下で行うが、水以外の溶媒の存在下で行ってもよい。
【0033】
せん断工程では、上記の繊維化パラミロンは、せん断力による物理的処理によって、パラミロン顆粒が解繊されて調製される。物理的処理では、パラミロン顆粒を構成するβ−1,3−グルカンの水素結合がほとんど切断されずに、解繊処理が行われる。一方で、化学的な処理では、アルカリ水溶液やDMSO等の溶液にパラミロンを一度完全に溶解させるため、β−1,3−グルカン同士の水素結合がなくなり、1本鎖のβ−1,3−グルカンを生じさせると考えられる。このことから、本実施形態の分散剤に含まれる繊維化パラミロンは、化学的な処理が施されたパラミロンよりもパラミロン顆粒本来の結晶構造を比較的保持しており、比較的化学的に安定である可能性が高い。
【0034】
せん断工程において、パラミロン顆粒にせん断力を加えることにより、パラミロン顆粒が解繊される。パラミロン顆粒は、数nmの太さのミクロフィブリルを含む。パラミロン顆粒は、比較的扁平な形状を有し、顆粒内部では、長手方向が揃うようにミクロフィブリルが並んでいる。顆粒内部では、扁平形状の周方向がミクロフィブリルの長手方向となるように、ミクロフィブリルが並び、ミクロフィブリルが束になっている。このようなパラミロン顆粒にせん断力が加わると、ミクロフィブリルの長手方向に対して垂直な方向に、ミクロフィブリルの束が離間し、パラミロン顆粒が解繊される。解繊処理が施された繊維化パラミロンは、通常、寄り集まったミクロフィブリルで構成されている。
【0035】
せん断工程において、せん断力を加える装置としては、図1及び図2に示すように、互いに摺動しつつ相対移動する第1部材Y1及び第2部材Y2の間に、ユーグレナの細胞から取り出したパラミロン顆粒と水とを含む原材料液Aを入れて、第1部材Y1及び第2部材Y2を互いに摺動させるように構成された装置が挙げられる。また、せん断力を加える装置としては、図3に示すように、パラミロン顆粒を含む原材料液Aを噴射し、原材料液A同士を衝突させる装置が挙げられる。また、図4に示すように、パラミロン顆粒を含む原材料液Aを噴射し、原材料液Aを被衝突体X4に衝突させるように構成された装置が挙げられる。せん断工程においては、パラミロン顆粒が繊維化される条件下(所定の摺動部、回転数、摺動面クリアランス、圧力等)で各装置を運転する。
【0036】
前記第1部材Y1及び第2部材Y2が互いに摺動しつつ相対移動する装置は、図1及び図2に示すように、第1部材Y1と、第1部材Y1と摺動する第2部材Y2とを備える。例えば、第1部材Y1及び第2部材Y2は、図1に示すように、いずれも円柱状であり且つ同じ大きさである。第1部材Y1の円柱軸方向に垂直な面の一方と、第2部材Y2の円柱軸方向に垂直な面の一方とは、互いに向き合う。斯かる装置は、第1部材Y1及び第2部材Y2が各円柱軸を回転軸として回転するように構成されている。第1部材Y1及び第2部材Y2の各回転方向は、互いに反対方向である。なお、一方の部材が回転せず固定され、他方の部材が回転するように構成されてもよい。斯かる装置は、第1部材Y1及び第2部材Y2のそれぞれの上記一方の面(摺動面)同士が、上記回転によって摺動することにより、第1部材Y1及び第2部材Y2の間に入れられた原材料液A中のパラミロン顆粒に対してせん断力を加えるように構成されている。
上記の装置として、市販されているものが採用され得る。市販されている斯かる装置としては、例えば、増幸産業社製の石臼式摩砕機 製品名「スーパーマスコロイダー」等が挙げられる。
【0037】
なお、前記第1部材及び第2部材が互いに摺動しつつ相対移動する装置は、図2に示すように、第1部材Y1と、第2部材Y2とを備え、第1部材Y1及び第2部材Y2が一方向及びその反対方向に往復して互いに相対移動することによって、第1部材Y1及び第2部材Y2が互いに摺動するように構成されてもよい。斯かる装置は、第1部材Y1及び第2部材Y2が互いに反対向きに相対移動して摺動することにより、第1部材Y1及び第2部材Y2の間に入れられた原材料液A中のパラミロン顆粒に対してせん断力を加えるように構成されている。
【0038】
前記原材料液A同士を衝突させる装置は、図3に示すように、内部を通る原材料液Aを噴射するための第1配管X1と、内部を通る原材料液Aを噴射するための第2配管X2とを備える。第1配管X1及び第2配管X2の下流側の各先端には、ノズルが取り付けられている。斯かる装置は、各配管を経て各ノズルから噴射される原材料液A同士を衝突させるように構成されている。斯かる装置は、原材料液A同士が互いに衝突するときの角度(一方の噴射方向と他方の噴射方向との間の角度)が調節されるように構成されている。斯かる装置は、原材料液A同士が衝突することにより、原材料液A中のパラミロン顆粒に対してせん断力を加えるように構成されている。
斯かる装置として市販されているものを用いることができる。市販されている斯かる装置としては、例えば、スギノマシン社製の「スターバースト」、みずほ工業社製の「マイクロフルイダイザー」等が挙げられる。
【0039】
前記原材料液Aを被衝突体X4に衝突させる装置は、図4に示すように、内部を通る原材料液Aを噴射するための噴射用配管X3と、噴射された原材料液Aが衝突する被衝突体X4とを備える。噴射用配管X3の下流側の先端には、ノズルが取り付けられている。被衝突体X4は、噴射された原材料液Aを吸収せずに表面で跳ね飛ばす材料で形成されている。斯かる装置は、噴射用配管X3を経てノズルから噴射される原材料液Aを被衝突体X4に衝突させるように構成されている。斯かる装置は、原材料液Aが被衝突体X4に衝突することにより、原材料液A中のパラミロン顆粒に対してせん断力を加えるように構成されている。
【0040】
せん断工程において、上記装置以外に使用され得る装置としては、二軸混練機、高圧ホモジナイザー、高圧乳化機、二軸押し出し機、ビーズミルなどが挙げられる。凍結粉砕を行う解繊装置なども使用され得る。
【0041】
せん断工程では、パラミロン顆粒にせん断力を加えることによって上記分散剤を製造する。従って、アルカリや酸を用いた化学的な処理を行わなくても、物理的な処理(せん断力による解繊処理)によって、比較的簡便に上記分散剤を製造できる。
【0042】
せん断工程では、まず、パラミロン顆粒と水とを少なくとも含む原材料液Aを調製する。パラミロン顆粒は、例えば、ユーグレナによって作られたβ−1,3−グルカンを主成分とする。ユーグレナによって作られたパラミロン顆粒は、通常、粒状である。なお、原材料液Aを調製する前に、顆粒状パラミロンが溶解しない程度に、水酸化ナトリウム等のアルカリを利用した前処理を施しても良い。
【0043】
ユーグレナは、大きさが概ね数マイクロメートルから数十マイクロメートル程度の微小な藻類である。ユーグレナは、自然界では、通常、水中を浮遊しつつ生息する。ユーグレナは、パラミロン顆粒を細胞内部に貯める微細藻類であれば、特に限定されない。パラミロン顆粒を細胞内部に貯めるユーグレナとしては、例えば、ユーグレナ(Euglena)属微細藻類が挙げられる。
【0044】
上記のユーグレナ(Euglena)属微細藻類としては、例えば、Euglena gracilisEuglena longaEuglena caudataEuglena oxyurisEuglena tripterisEuglena proximaEuglena viridisEuglena sociabilisEuglena ehrenbergiiEuglena desesEuglena pisciformisEuglena spirogyraEuglena acusEuglena geniculataEuglena intermediaEuglena mutabilisEuglena sanguineaEuglena stellataEuglena terricolaEuglena klebsiEuglena rubra、又は、Euglena cyclopicolaなどが挙げられる。
前記Euglena gracilisとしては、例えば、Euglena gracilis NIES-48やEuglena gracilis EOD-1(後述する独立行政法人国立環境研究所微生物系統保存施設における保管株)などが挙げられる。
【0045】
上記のユーグレナ属微細藻類は、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(郵便番号292-0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)、独立行政法人国立環境研究所微生物系統保存施設(郵便番号305-8506 茨城県つくば市小野川16-2)、又は、The Culture Collection of Algae at the University of Texas at Austin, USA(http://web.biosci.utexas.edu/utex/default.aspx)などから容易に入手される。
【0046】
ユーグレナは、パラミロン顆粒、ビタミン、カロテノイド、栄養価の高いタンパク質などの有価物を細胞内に含む。パラミロン顆粒は、通常、粒状の状態となって、ユーグレナの細胞内で産生されたものである。
【0047】
せん断工程では、ユーグレナから単離されたパラミロン顆粒を用いて、原材料液Aを調製することが好ましい。これにより、原材料液Aにおけるパラミロン顆粒の濃度が高くなり、原材料液Aにおける不純物が比較的少なくなる。なお、原材料液Aは、培養などによって増殖されたユーグレナの細胞を含んでもよい。即ち、原材料液Aは、パラミロン顆粒が内包されたユーグレナの細胞を含んでもよい。これにより、せん断力を加えられたことによって得られる産物が、ユーグレナの細胞を構成する成分を含むこととなる。
【0048】
原材料液Aにおけるパラミロン顆粒の濃度は、特に限定されないが、通常、0.1〜50質量%であり、好ましくは0.5〜30質量%、より好ましくは1〜20質量%である。
【0049】
せん断工程では、次に、例えば、互いに摺動しつつ相対移動する第1部材Y1及び第2部材Y2の間に、パラミロン顆粒を含む原材料液Aを入れて、第1部材Y1及び第2部材Y2を互いに摺動させつつ相対移動させることによって、水の存在下で原材料液A中のパラミロン顆粒にせん断力を加える。これにより、比較的大きいせん断力をパラミロン顆粒に加えることができ、比較的短時間で繊維化パラミロンを得ることができる。
上述したスーパーマスコロイダーを用いてせん断工程を行う場合、第1部材Y1及び第2部材Y2の回転数としては、例えば500〜3000rpm、より好ましくは1000〜2500rpmが採用される。また、第1部材及び第2部材(例えば砥石)の隙間は、特に制限されないが、スーパーマスコロイダーを利用する場合、砥石同士が軽接する隙間の状態を基準として(砥石の先端同士がわずかに接触した状態を基準として)、例えば−10μm〜−800μm、好ましくは−50μm〜−500μmである。
【0050】
繊維化される前(粒状)のパラミロン顆粒に加えるせん断力は、少なくともパラミロン顆粒を解繊する強さのせん断力である。上記のごとくせん断力を加えることによって、パラミロン顆粒が解繊されて繊維化され、繊維化パラミロンが得られる。
【0051】
加えて、本実施形態の分散剤の製造方法では、固形物の状態の分散剤を得るために、乾燥処理工程及び粉砕処理工程を行う。詳しくは、せん断力によって繊維化されて水に分散した状態の繊維化パラミロンを含む分散剤に対して、乾燥処理を施す。乾燥処理としては、加熱乾燥処理、減圧乾燥処理、凍結乾燥処理、噴霧乾燥処理などが挙げられる。加えて、粉砕処理を施す。粉砕処理としては、ボールミルによる粉砕処理、石臼や乳鉢による粉砕処理などが挙げられる。このように、乾燥処理及び粉砕処理を施すことによって、固形物の状態の分散剤が製造される。
【0052】
続いて、本発明に係る組成物の一実施形態について詳しく説明する。
【0053】
本実施形態の組成物は、上記の分散剤と、被分散物と、水とを含む。本実施形態の組成物は、上記の繊維化パラミロンによって被分散物が水に分散されている組成物である。組成物においては、繊維化パラミロンの各繊維状物の間で被分散物が繊維状物に絡まることによって、被分散物が分散していると考えられる。なお、本実施形態の組成物は、水に溶解する水溶性有機溶媒をさらに含んでもよい。本実施形態の組成物は、通常、液状である。本実施形態の組成物は、粘ちょうな状態であってもよい。
【0054】
本実施形態の組成物は、比較的長い間、被分散物が分散された状態を保つことができる。即ち、本実施形態の組成物は、十分な分散安定性を有する。
【0055】
被分散物は、水に溶解しないものであれば、特に限定されない。被分散物としては、例えば、油分又は粉体が挙げられる。
【0056】
上記の油分は、室温(20℃)にて、通常、液状である。油分は、室温(20℃)にて、固体状であってもよい。油分としては、エステル油、炭化水素油などが挙げられる。
【0057】
エステル油としては、植物油や動物油などの天然油脂、合成エステル油などが挙げられる。一方、炭化水素油としては、流動パラフィンなどの鉱物油などが挙げられる。
【0058】
上記の粉体は、粒子の集合体である。粉体は、水に溶解しないものであれば、特に限定されない。粉体としては、例えば、無機粉体、有機粉体などが挙げられる。無機粉体の材質としては、金属酸化物(シリカ等も含む)、粘土鉱物、セラミックなどが挙げられる。有機粉体の材質としては、合成樹脂、多糖類などが挙げられる。有機粉体としては、例えば、きな粉、ココアパウダー、カレー粉、ごま、緑茶パウダー、ウコンなどの食材が挙げられる。
【0059】
上記の組成物は、通常、繊維化パラミロンを0.01質量%以上50.0質量%以下含む。上記の組成物は、繊維化パラミロンを0.05質量%以上40.0質量%以下含むことが好ましく、0.1質量%以上20質量%以下含むことがより好ましい。
【0060】
上記の組成物において、水に対する被分散物の質量比は、0.01以上70.0以下であることが好ましい。斯かる質量比が0.01以上70.0以下であることによって、水に被分散物が分散された状態をより長く保つことができるという利点がある。
【0061】
上記の組成物において、被分散物に対する繊維化パラミロンの質量比は、0.000001以上100以下であることが好ましい。斯かる質量比が0.000001以上100以下であることによって、水に被分散物が分散された状態をより長く保つことができるという利点がある。
【0062】
上記の組成物は、例えば、上記の分散剤と、被分散物と、水を含む溶媒とを混合することによって製造される。上記の組成物の製造では、上記の繊維化パラミロンの存在下で、少なくとも水と被分散物とを撹拌して混合することにより、被分散物が水に分散された状態の組成物を得ることができる。
【0063】
具体的には、上記の組成物の製造では、例えば、水などの水含有溶媒と、繊維化パラミロンとを含有する分散剤に、被分散物を加え、ミキサーなどを用いて撹拌し、組成物を得る。混合時の温度は、特に限定されず、通常、室温である。
被分散物を混合するときに、水含有溶媒が、水以外の1価アルコールや多価アルコールなどの水溶性有機溶媒を含んでもよい。1価アルコールとしては、例えばエタノール等が挙げられ、多価アルコールとしては、例えばグリセリン等が挙げられる。
水を含む分散剤に被分散物を加えて混合し、水に被分散物を分散させた後に、上記の水溶性有機溶媒をさらに加えて、組成物を製造してもよい。
【0064】
上記の組成物の製造では、被分散物と混合される前の繊維化パラミロンは、水に分散された状態であることが好ましい。詳しくは、繊維化パラミロンを含む分散剤は、上述した方法によってパラミロン顆粒が繊維化された後、水分が揮発されず、繊維化パラミロンが水に分散された状態であることが好ましい。これにより、分散剤において、繊維化パラミロン同士が凝集することが抑制されているため、繊維化パラミロンによって、より十分に被分散物を水に分散させることができる。
【0065】
上記の組成物は、例えば、食品、化粧料、又は医薬品などの用途で使用される。上記の組成物は、繊維化パラミロンを含むため、水に被分散物が分散された状態を比較的長く保つことができる。
【0066】
上記の食品としては、例えば、飲料、サプリメント、菓子類、調味料などが挙げられる。上記の化粧料としては、例えば、皮膚外用化粧料、毛髪用化粧料、入浴剤などが挙げられる。上記の医薬品としては、例えば、塗り薬、貼付薬、飲み薬などが挙げられる。本実施形態の医薬品は、例えば、皮膚に塗布、または、経口投与されて使用される。
【0067】
本実施形態の分散剤、組成物は、上記例示の通りであるが、本発明は、上記例示のものに限定されない。
また、一般の分散剤、組成物において用いられる種々の態様を、本発明の効果を損ねない範囲において、採用することができる。
【実施例】
【0068】
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0069】
以下のようにして、繊維化パラミロンを含む分散剤を製造した。詳しくは、ユーグレナ属微細藻類によって産生されたパラミロン顆粒に対してせん断力を加えることにより、パラミロン顆粒を繊維化し、繊維化パラミロンを含む分散剤を製造した。
【0070】
(実施例1)
培養後のユーグレナ属微細藻類が細胞内に貯めたパラミロン顆粒を単離した。単離したパラミロンの濃度が5質量%となるように、パラミロン顆粒と水とを混合して、パラミロン顆粒を含む原材料液を調製した。
図1に示すような装置(具体的には、増幸産業社製の石臼式摩砕機 製品名「スーパーマスコロイダー」)を用いて、第1部材(砥石)と第2部材(砥石)との間に原材料液を入れて、第1部材と第2部材とを互いに摺動させることによって、パラミロン顆粒にせん断力を加え、パラミロン顆粒を繊維化し、繊維化パラミロンを含む液状の分散剤(スラリー)を製造した。
分散剤の製造において、上記の石臼式摩砕機を用いたせん断工程における湿式解繊処理は、下記条件にて行った。
(解繊処理)
・グラインダー種類:MKGCタイプ
・クリアランス(砥石の隙間): −100μm
・砥石回転数 : 1200 rpm
石臼式摩砕機で得られるスラリーを回収し、回収したスラリーに再度解繊処理を施す操作を同様にして合計20回繰り返すこと(20パス)によって、繊維化パラミロンを含むスラリーを得た。
【0071】
走査型電子顕微鏡によって観察した、分散剤中の繊維化パラミロンの観察像を図5及び図6に示す。図6は、図5における長方形部分の拡大図である。なお、図5及び図6において、右下のスケールの10目盛り分(一方端から他方端まで)が、各図に記載された長さである。図5及び図6では、繊維化パラミロンの各繊維状物が互いに絡み合って、各繊維状物が寄り集まった状態となり、3次元ネットワークを形成している様子が観察される。換言すると、繊維化パラミロンは、各繊維状物が互いに複雑に絡み合うことで網目状の構造となっている。
【0072】
(実施例2)
上述した解繊処理の繰り返し回数を20回(20パス)でなく、10回(10パス)に変更した点以外は、実施例1と同様にして、繊維化パラミロンを含むスラリー状の分散剤(液状の分散剤)を製造した。
【0073】
(実施例3)
上述した解繊処理の繰り返し回数を20回(20パス)でなく、5回(5パス)に変更した点以外は、実施例1と同様にして、繊維化パラミロンを含むスラリー状の分散剤(液状の分散剤)を製造した。
【0074】
(実施例4)
上述した解繊処理の繰り返し回数を20回(20パス)でなく、15回(15パス)に変更した点以外は、実施例1と同様にして、繊維化パラミロンを含むスラリー状の分散剤(液状の分散剤)を製造した。
【0075】
(実施例5)
実施例1で用いたパラミロン顆粒に対して、ビーズミルによってせん断力を加え、パラミロン顆粒を繊維化し、繊維化パラミロンを含むスラリー(液状の分散剤)を製造した。ビーズミルによる解繊処理は、サブミクロン粉砕に使用される一般的な運転条件でおこなった。パラミロン顆粒を10質量%含む原材料液に対してビーズミルによる解繊処理をおこなった。実施例5における繊維化パラミロンを走査型電子顕微鏡で観察した観察像を図7に示す。図7から把握されるように、実施例5の分散剤における繊維化パラミロンの形状は、実施例1の繊維化パラミロンの形状と同様であった。
【0076】
被分散物として油分及び粉体をそれぞれ用いて、製造した分散剤の分散性を評価した。
【0077】
<油分の分散性(分散安定性)の評価>
繊維化パラミロンを含有する実施例1の分散剤と、油分と、水とを混合することによって、水に油分が分散された組成物を調製した。評価方法の詳細は、下記の通りである。
油分:ナタネ油及び大豆油を含む植物油
水と油分との比:1対1[質量比]
組成物における繊維化パラミロンの濃度[質量%]:
0.25/0.5/1.0/1.5
繊維化パラミロンの濃度が上記に示す濃度となるように、ボルテックスミキサーによって、分散剤と油分と水とを試験管内で混合し、均一な分散液(組成物)を調製した。その後、試験管を室温で静置し、所定時間が経過(24時間まで)した後に、下側に分離した水相の高さを測定した。液全体の高さに対する、水相の高さの割合を求め、斯かる割合を分散安定性の指標とした。斯かる割合が低いほど、分散安定性に優れていることとなる。1条件につき6回の測定を行い、平均値によって分散安定性を評価した。
なお、上記分散剤の比較対象物として、下記のものを用いた。
・卵由来レシチン
・大豆由来サポニン
・繊維化される前の粒状パラミロン(パラミロン顆粒)
・繊維状セルロースの水分散液(スラリー)
(スギノマシン社製 製品名「BiNFi−s WMa−10002」)
【0078】
上記の評価結果をグラフ化したものを図8に示す。図8から把握されるように、繊維化パラミロンを含む分散剤は、食品分野で一般的に用いられているレシチンやサポニンよりも、分散安定性に優れていた。また、同濃度での比較において、繊維化パラミロンは、繊維状のセルロースやパラミロン顆粒よりも、分散安定性に優れていた。
0.5質量%以上の濃度で繊維化パラミロンを含む組成物では、24時間静置した後でも、相分離が観察されず、高い分散(乳化)安定性が示された。0.5〜1.5質量%の濃度で繊維化パラミロンを含む組成物は、0.25質量%の濃度で繊維化パラミロンを含む組成物よりも、分散(乳化)安定性が良好であった。一方で、同濃度(0.25質量%)であれば、繊維化パラミロンを含む組成物の方が、繊維状セルロースを含む組成物よりも、分散(乳化)安定性が高かった。
繊維化パラミロンを含む組成物は、レシチンやサポニンを含む組成物よりも、分散(乳化)安定性が高かった。
【0079】
次に、上記分散剤の分散性や保水力について評価を行うべく、比較対象サンプルを用意した。
【0080】
(比較例1)
実施例1において解繊処理を行う前のパラミロン顆粒を用いた。なお、以後、単に「PM顆粒」ともいう。
【0081】
(比較例2)
実施例1においてせん断工程を行う前のパラミロン顆粒を準備した。このパラミロン顆粒を特開2011−184592号公報に記載の方法を用いて化学的に処理した。具体的には、パラミロン顆粒を1M NaOH水溶液に溶解させ、溶解後に、塩酸水溶液を加えることにより、中和処理を行った。中和処理によってゲル状物が生じた。遠心分離による分離処理によって得られた上澄み液を除去し、固形分を得た。固形分は、中和処理による塩(NaCl)を含んでいるため、得られた固形分に対して、多量の水を加えて、固形分を分散させてゲル状物を生じさせ、同様に遠心分離で分離処理を行うことにより、ゲル状物に含まれる塩類の除去処理を行った。塩類の除去処理を、ゲル状物に含まれるNaCl乾燥質量が、1M NaOH水溶液に溶解させたパラミロン顆粒の乾燥質量あたり0.1質量%以下となるまで繰り返し行い、化学処理パラミロンを製造した。ゲル状物に含まれるNaClの乾燥質量は、遠心分離後の上澄み液のNaCl濃度を、上澄み液の電気伝導度より算出することで求めた。なお、下記文献によると、この化学処理パラミロンは、電子顕微鏡によって観察した結果、繊維状ではなく、形や大きさが不定形の塊であった。
・文献名
「平成26年度戦略的基板技術高度化支援事業 多糖類パラミロンの高度培養生産技術及び利用に関する研究開発(研究開発成果等報告書 平成27年3月)」
なお、比較例2は、以後、単に「化学処理PM」ともいう。
【0082】
<粉体の分散性(分散安定性)の評価>
上記のようにして製造した、繊維化パラミロンを含有する各実施例の分散剤と、粉体(ココアパウダー)と、水とを混合することによって、水に粉体が分散された組成物を調製した。組成物を調製したあと、24時間後の外観を観察することによって、分散安定性を評価した。評価方法の詳細は、下記の通りである。
ガラス製の瓶のなかで、10mLの純水または試験サンプルの液体に、ココアパウダー385mgを懸濁させた。懸濁は、室温にて、ガラス製の瓶を手で激しく振ることによって行った。なお、各試験サンプルにおけるココアパウダーを除いた固形分を1.0[質量%]に統一した。
なお、比較対象物として、上記比較例1及び2以外に、下記のものを用意した。
・繊維状セルロース(セルロースナノファイバー CNFと略す):
スギノマシン社製 分散液 製品名「BiNFi−s WMa−10005」
【0083】
上記の粉体の分散性の評価後の様子を図9に示す。図9から把握されるように、純水のみの場合、比較例1のPM顆粒を用いた場合では、ココアパウダーが沈降していた。比較例2の化学処理PMを用いた場合では、相分離が観察された。繊維化パラミロンを含む分散剤は、分散安定性に優れていた。
【0084】
続いて、分散剤に含まれる繊維化パラミロンのさまざまな物性を調べた。まず、分散性の評価をするために、水中沈定体積を指標として、下記のように実験を行った。なお、水中沈定体積の測定方法は、不溶性食物繊維の性能を評価する方法として一般的に知られている。下記の<分散性の評価 水中沈定体積>に測定方法の詳細を示す。
【0085】
<分散性の評価 水中沈定体積>
「日本食物繊維学会監修、日本食物繊維学会編集委員会編(2008)食物繊維 ‐基礎と応用‐ 第3版, p.111 第一出版, 東京」に記載されている方法に準じて測定を行った。
詳しくは、スラリー状の各試験試料を、25mL容積のプラスチックチューブに、乾燥質量換算で250mg計り取り、プラスチックチューブを手で激しく振って、内容物を撹拌した。その後、25mL容積のメスシリンダーに内容物を移し、25mLになるまで純水を加えた。メスシリンダー内の液体を撹拌した後、37℃で24時間静置した。なお、実施例1のスラリー状の試験試料では、界面が見えない状態であったため、界面を測定するために乾燥質量換算で125mg計り取り、上記の方法と同じ方法で分散性の評価を行った。
【0086】
実施例1〜3、並びに、比較例1及び2の各試験サンプル(スラリーの状態)を用いて、上記<分散性の評価 水中沈定体積>を行った。結果を表1に示す。また、「乾燥前」のサンプルについて評価を行った結果(分散後の外観写真)を図10に示す。「乾燥前」とは、各実施例等で製造したスラリー状の試験サンプルをそのまま用いて評価した結果を示したものである。「乾燥後」とは、各実施例等で製造したスラリー状の試験サンプルに対して一旦凍結乾燥を行って固形物を得て、得られた固形物を撹拌によって水に再分散させて評価した結果を示したものである。なお、撹拌は、下記の条件で行った。
(撹拌)
・撹拌子:PTFE製、全長15mm×直径1.5mm
・回転速度:300〜1000rpm(スターラー表示値)
【0087】
【表1】
【0088】
図10から把握されるように、実施例1〜3の分散剤では、比較例1や比較例2の比較対象物よりも、繊維化パラミロンの分散状態がより均一であり、分散された状態が比較的長期間保たれた。
水中沈定体積の結果は、保水力とも関係があると考えられている。水中沈定体積の結果からも、実施例の分散剤の繊維化パラミロンは、パラミロン顆粒に比べて大きな保水力を有することが確認できる。
【0089】
<繊維化パラミロンの保水力の評価>
実施例1、並びに、比較例1及び2の各試験サンプルを用いて、下記のようにして保水力の評価を行った。
ガラス製遠沈管(50mL)の恒量を測定した。このガラス製遠沈管に乾燥質量換算で0.5gの各試験サンプルを入れ、さらに40mLの純水を添加した。これをよく撹拌した後、12時間以上静置した。その後、遠心分離(1000G,5分間)を2回行い、上澄みを除去してペレットを得た。このペレット中の水分を105℃で24時間以上乾燥することで除去した。乾燥処理前後の質量変化から、乾燥質量あたりの水の保水量(保水力[g water/g])を求めた。保水力を下記式によって求めた。
保水力(g water/g)=(乾燥処理前後の質量変化量(g)/各サンプルの乾燥質量(g))
なお、独立した試験を3回実施し、それぞれの測定値を平均することによって保水力を求めた。ただし、比較例1を用いた評価では、1回だけ試験を実施した。
【0090】
保水力の評価結果を図11に示す。実施例1の分散剤では、保水力が35(g water/g)以上であった。図11から把握されるように、実施例1の分散剤の繊維化パラミロンでは、比較例1や比較例2の比較対象物よりも、保水力が優れていた。
【0091】
<繊維化パラミロンの粒度分布の測定>
各分散剤を、乾燥物換算でそれぞれ0.1〜0.2質量%となるように水で希釈してから超音波照射によって分散させた後、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(ベックマンコールター社製、LS200)を用いて粒度分布を測定した。体積基準でのメジアン径(D50)及び平均径を求めた。結果を表2に示す。
【0092】
【表2】
【0093】
実施例の分散剤の繊維化パラミロンは、互いに複雑に絡み合った3次元構造を有しつつ、繊維化パラミロンのメジアン径や平均径は、パラミロン顆粒のメジアン径や平均径に近い。
表2の結果より、分散剤の繊維化パラミロンのメジアン径は4μm以下であり、パラミロン顆粒のメジアン径に対する繊維化パラミロンのメジアン径の比(解繊処理物のメジアン径/パラミロン顆粒のメジアン径)は1.2以下であることが確認された。
【0094】
<繊維化パラミロンの結晶性>
実施例1で製造した分散剤の繊維化パラミロンと、比較例1のパラミロン顆粒とについて、X線回折(XRD)による結晶性の測定をおこなった。測定条件は、下記の通りである。
測定用機器:PANalytical X'Pert3 Powder
管電圧 :45kV
管電流 :40mA
測定範囲 :5〜80°
解析ソフトウェア:HighScore(製品名)
測定によって得られたX線回折チャートを図12に示す。繊維化パラミロン及びパラミロン顆粒の各結晶化度は、2θ=5〜80°における非晶質部の強度(A)と、結晶部の強度(B)との比(B/A)を解析することによって求めた。解析において、各チャートのバックグラウンドを除去(バックグラウンド設定:Auto、ベンディングファクター:0、粒状度:100)した後、非晶質部を表す曲線を決定した。非晶質部を表す曲線は、2θ=14°、29°におけるチャートの接線を通るように決定した。非晶質部を表す曲線を決定するために採用したベンディングファクターと粒状度との値は、0/30(繊維化パラミロン)、0/20(パラミロン顆粒)とした。その結果、繊維化パラミロンの結晶化度は、51.0%であり、パラミロン顆粒の結晶化度は、66.2%であった。従って、パラミロン顆粒の結晶化度に対する、繊維化パラミロンの結晶化度の相対値(比)は、0.77であった。なお、比較例2の化学処理パラミロンの結晶化度は、37.6%であった。
【0095】
<繊維化パラミロンのβ−1,3−グルカナーゼ酵素による分解性試験>
実施例1、比較例1、および比較例2のサンプル(乾燥前のスラリー状のサンプル)を用いて、各サンプルのβ−1,3−グルカナーゼによる分解性(β−1,3−グルカナーゼに対する感受性)を確認した。なお、比較例1のサンプルとして、パラミロン顆粒と純水とを混合し、撹拌することでスラリー状としたものを用いた。下記のようにして、各サンプルを用いて反応液を調製し、β−1,3−グルカナーゼをパラミロンに作用させ、生成したグルコース量を測定した。
・反応液の組成(純水を加えて全量で10mLになるように調製)
緩衝液:5mL / 酵素:0.1mL / 各サンプル:乾燥質量換算で30mg
緩衝液
フタル酸水素カリウム−水酸化ナトリウムバッファー(pH4.0)(東京化成工業社製)
酵素(β−1,3−グルカナーゼ)
endo−1,3−β−Glucanase(酵素含有量:50units/mL)(日本バイオコン社製)
詳しくは、恒温振とう機を用いて、40℃、45rpmの条件で、調製した反応液を24時間振とうさせて、パラミロンを酵素と反応させた。その後、製品名「グルコースCII−テストワコー」(和光純薬工業社製)を用いて、上記の酵素反応をさせたサンプルと、酵素反応させていないサンプルとについて、それぞれグルコース濃度を測定した。これにより、実施例1、比較例1、比較例2のサンプルのグルコース生成量[mg/g(グルコース/パラミロン)]を算出した。
結果を図13に示す。なお、実施例1、比較例2について、乾燥後の固形物の状態のサンプルを上記と同様に試験に供した。実施例1、比較例2について、乾燥前と乾燥後とで、β−1,3−グルカナーゼ酵素による分解性試験の結果に、ほとんど差が見られなかった。
【0096】
<繊維化パラミロンのアルカリ性水溶液への溶解性試験>
実施例1、比較例1、および比較例2のサンプル(固形物の状態)を用いて、アルカリ性水溶液への溶解性を確認した。なお、実施例1のサンプルとして、乾燥後の粉末状のものを用いた。比較例1のサンプルとして、解繊前のパラミロン顆粒を乾燥させたあとに粉砕して粉末状としたものを用いた。比較例2のサンプルとして、凍結乾燥させた後に粉砕して粉末状としたものを用いた。なお、乾燥質量換算で250mgの各サンプルを、10mLの純水または0.5MHCl水溶液にそれぞれ添加して混合したところ、何れのサンプルも純水やHCl水溶液に溶解しないことを事前に確認した。
250mgの乾燥質量の各サンプルを、0.3Mの水酸化ナトリウム水溶液10mLに添加し、激しく振ったあと、室温(20℃)において80rpmで1時間振とう撹拌した。
同様にして、各サンプルを10mLの純水や0.1M NaOH水溶液などに添加して、1時間撹拌した。溶解性試験の結果を表3および図14に示す。図14は、撹拌後の混合液の外観を表す写真である。
【0097】
【表3】
【0098】
比較例2のサンプルでは、撹拌直後にパラミロンがNaOH水溶液に溶解して透明になった。一方で、実施例1及び比較例1のサンプルでは、24時間攪拌を続けても、パラミロンがNaOH水溶液に溶解せず、懸濁した状態が続いた。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明の分散剤は、例えば、水を含む溶媒に被分散物を分散させるために好適に使用される。本発明の分散剤は、食品、化粧料、医薬品などに配合されて好適に使用される。本発明の組成物は、例えば、水を含む溶媒に被分散物が分散した状態の、食品、化粧料、医薬品などの用途で好適に使用される。
【符号の説明】
【0100】
A:原材料液、
X1:第1配管、 X2:第2配管、 X3:噴射用配管、 X4:被衝突体、
Y1:第1部材、 Y2:第2部材。
図1
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