特許第6653322号(P6653322)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6653322接着剤で固定された埋め込み電子デバイスを有するタイヤ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6653322
(24)【登録日】2020年1月29日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】接着剤で固定された埋め込み電子デバイスを有するタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 19/00 20060101AFI20200217BHJP
   B60C 15/06 20060101ALI20200217BHJP
   B60C 5/14 20060101ALI20200217BHJP
   B29D 30/06 20060101ALI20200217BHJP
   C09J 107/00 20060101ALI20200217BHJP
   C09J 125/10 20060101ALI20200217BHJP
   C09J 109/06 20060101ALI20200217BHJP
   C09J 109/00 20060101ALI20200217BHJP
   C09J 11/00 20060101ALI20200217BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20200217BHJP
【FI】
   B60C19/00 G
   B60C15/06 C
   B60C5/14 Z
   B29D30/06
   C09J107/00
   C09J125/10
   C09J109/06
   C09J109/00
   C09J11/00
   C09J11/06
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-519262(P2017-519262)
(86)(22)【出願日】2015年10月1日
(65)【公表番号】特表2017-537013(P2017-537013A)
(43)【公表日】2017年12月14日
(86)【国際出願番号】US2015053409
(87)【国際公開番号】WO2016060851
(87)【国際公開日】20160421
【審査請求日】2017年4月10日
(31)【優先権主張番号】62/064,799
(32)【優先日】2014年10月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515168916
【氏名又は名称】ブリヂストン アメリカズ タイヤ オペレーションズ、 エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ランドール、エイミー エム.
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン、ポール ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ、テレンス イー.
(72)【発明者】
【氏名】コルソ―、ウィリアム ジェー.
【審査官】 松岡 美和
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−506934(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0275741(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0318601(US,A1)
【文献】 米国特許第08430142(US,B1)
【文献】 特表2006−507967(JP,A)
【文献】 特開平07−137510(JP,A)
【文献】 特開2008−037308(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0122757(US,A1)
【文献】 特開2008−265750(JP,A)
【文献】 特開2008−137615(JP,A)
【文献】 特開2012−240680(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0333492(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0090013(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0123584(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 5/14
B60C 15/06
B60C 19/00
B29D 30/06
C09J 11/00
C09J 11/06
C09J 107/00
C09J 109/00
C09J 109/06
C09J 125/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤであって、
インナーライナーと、
周方向トレッドと、
一対のサイドウォールであって、各サイドウォールが、外部ゴム層を含む、一対のサイドウォールと、
一対のビード部であって、各ビード部が、ビード及び頂点を有するビードフィラーを含む、一対のビード部と、
ビードからビードまで延びる少なくとも1つの本体プライであって、前記本体プライの少なくとも一部分が、前記インナーライナーと各サイドウォールの前記外部ゴム層との間に配置されており、前記本体プライが、一対のターンアップ部を含み、各ターンアップ部が、各ビードの軸方向外側及び各ビードフィラーの前記頂点の径方向下方にターンアップ端部を有する、少なくとも1つの本体プライと、
前記インナーライナーと、前記一対のサイドウォールのうちの一方の前記外部ゴム層との間に配置された電子デバイスであって、前記電子デバイスが別個のゴムストリップに取り付けられることなく前記電子デバイス上に接着剤が配置されており、前記接着剤が、非イミド系接着剤及び非感圧性接着剤であり、前記接着剤が、溶剤系接着剤及び水性接着剤のうちの一方であり、前記接着剤が、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、及びブタジエンゴムのうちの少なくとも1つを含む、電子デバイスと、
を備える、タイヤ。
【請求項2】
前記接着剤が、揮発性有機液体中に溶解されたフィラー及び硬化剤を含む溶剤系接着剤である、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項3】
前記接着剤が、水性媒体中に懸濁されたフィラー及び硬化剤を含む水性接着剤である、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項4】
一対のチェーファーを更に備え、各チェーファーが前記一対のビード部のうちの一方に少なくとも部分的に巻き付いている、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項5】
一対の摩耗部を更に備え、各摩耗部が前記一対のビード部のうちの一方に少なくとも部分的に巻き付いている、請求項1に記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タイヤに電子デバイスを組み込む分野に関する。より具体的には、本開示は、接着剤を用いてタイヤに無線周波数識別(「RFID」)タグを埋め込む分野に関する。
【背景技術】
【0002】
RFIDタグなどの電子デバイスのタイヤへの組み込みは、タイヤ組み立て時に、加硫前又はポストキュア工程において行われ得る。このような電子デバイスは、タイヤ固有の識別データなどのデータを外部読取装置に送信するのに有用である。極超短波(「UHF」)タグは、通常、小さく、データの送信にフレキシブルアンテナを用いる。製造プロセス中に、電子デバイスは、位置がずれるか、又はタイヤから脱落する場合がある。加えて、加硫中に、電子デバイスの周囲に気泡が生じる場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一実施形態において、タイヤは、インナーライナー、周方向トレッド、及び一対のサイドウォールを含む。各サイドウォールは、外部ゴム層及び一対のビード部を含む。各ビード部は、ビード及び頂点を有するビードフィラーを含む。本タイヤは、ビードからビードまで延びる少なくとも1つの本体プライを更に含む。本体プライの少なくとも一部分は、インナーライナーと各サイドウォールの外部ゴム層との間に配置される。本体プライは、一対のターンアップ部を含み、各ターンアップ部は、各ビードの軸方向外側及び各ビードフィラーの頂点の径方向下方にターンアップ端部を有する。本タイヤは、インナーライナーと、一対のサイドウォールのうちの一方の外部ゴム層との間に配置される電子デバイスを更に含む。電子デバイスは、その上に接着剤が配置されている。接着剤は、溶剤系接着剤及び水性接着剤のうちの一方である。接着剤は、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、及びブタジエンゴムのうちの少なくとも1つを含む。
【0004】
別の実施形態において、本タイヤは、周方向トレッド、一対のサイドウォール、及び一対のビード部を含む。各ビード部は、ビード及びビードフィラーを含む。タイヤは、ビード部からビード部まで延びる少なくとも1つの本体プライを更に含む。本体プライは各ビード部の径方向外側にある一対のターンアップ部を含む。電子デバイスは、タイヤに埋め込まれる。電子デバイスは、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、及びブタジエンゴムのうちの少なくとも1つを含む硬化性接着剤に封入される。
【0005】
更に別の実施形態において、タイヤに電子デバイスを埋め込む方法は、一対のビード部及び本体プライを提供することによってタイヤカーカスを形成することを含む。各ビード部は、ビード及びビードフィラーを含む。タイヤカーカスを形成することは、本体プライの一部分を一対のビード部の各々に巻き付けることを更に含む。本方法は、電子デバイスを提供することと、溶剤系接着剤及び水性接着剤からなる群から選択される接着剤を用いて該電子デバイスを封入することとを更に含む。接着剤は、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、及びブタジエンゴムのうちの少なくとも1つを含む。本方法はまた、電子デバイスをタイヤカーカスに固定することと、サイドウォールコンパウンド及びトレッドコンパウンドをタイヤカーカス上に提供することによってグリーンタイヤを形成することと、グリーンタイヤを硬化させることと、も含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
添付の図面では、以下の詳細な説明とともに、本発明の請求項に係る説明の例示的実施形態を説明する構造が図示される。同様の要素は、同一の参照番号で示される。単一の構成要素として示される要素は、複数の構成要素に置き換えられてもよく、複数の構成要素として示されている要素は、単一の構成要素に置き換えられてもよいことが理解されるべきである。図面は正確な縮尺ではなく、特定の要素の比率が説明のために誇張されている場合がある。
図1】内部に電子デバイスが埋め込まれたタイヤの例示的な一実施形態の断面図である。
図2】電子デバイスの一実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下は、本明細書で用いられる選択された用語の定義である。これらの定義は、用語の範囲に入り、実施のために使用され得る構成要素の様々な例又は形態を含む。例は、制限的であることを意図しない。用語の単数形及び複数形は、いずれも定義の範囲内であってよい。
【0008】
「軸方向の」及び「軸方向に」は、タイヤの回転軸と平行する方向を指す。
【0009】
「ビード」は、ホイールと接触し、サイドウォールの境界を画定するタイヤの部分を指す。
【0010】
「周方向の」及び「周方向に」は、軸方向に対して垂直であるトレッドの表面の外周部に沿って延びる方向を指す。
【0011】
「赤道面」は、タイヤの回転軸に対して垂直であり、タイヤのトレッドの中心部を通る平面を指す。
【0012】
「径方向の」及び「径方向に」は、タイヤの回転軸に対して垂直である方向を指す。
【0013】
「サイドウォール」は、トレッドとビードとの間のタイヤの部分を指す。
【0014】
「トレッド」は、標準的な膨張度及び荷重において、道路と接触するタイヤの部分を指す。
【0015】
本明細書では、方向は、タイヤの回転軸を基準にして述べられる。用語「上向きの」及び「上向きに」は、タイヤのトレッドに向かう一般方向を指し、「下向きの」及び「下向きに」は、タイヤの回転軸に向かう一般方向を指す。したがって、「上部の」及び「下部の」又は「頂部の」及び「底部の」など相対的な方向用語が要素に関連して使用されるとき、「上部の」又は「頂部の」要素は、「下部」又は「底部」の要素よりもトレッドに近い位置に離間配置される。加えて、「上」又は「下」など相対的な方向用語が要素に関連して使用されるとき、別の要素の「上」にある要素は、他の要素よりもトレッドに近い。
【0016】
用語「内側の」及び「内側に」は、タイヤの赤道面に向かう一般方向を指し、「外側の」及び「外側に」は、タイヤの赤道面から離れ、タイヤのサイドウォールに向かう一般方向を指す。したがって、「内部」及び「外部」など相対的な方向用語が要素と関連して使用されるとき、「内部」要素は、「外部」要素よりもタイヤの赤道面の近くに離間配置される。
【0017】
図1は、内部に電子デバイス105が埋め込まれた例示的なタイヤ100の断面図を示す。図示される実施形態において、タイヤ100は、トレッドコンパウンド110で形成される周方向トレッドと、サイドウォールコンパウンド115で形成される一対のサイドウォールとを含む。一実施形態において、トレッドコンパウンド110は、サイドウォールコンパウンド115と実質的に同じである。代替の一実施形態では、トレッドコンパウンド及びサイドウォールコンパウンドが異なる。
【0018】
一対のサイドウォールは、第1のサイドウォールコンパウンド115aで形成される第1のサイドウォールと、第2のサイドウォールコンパウンド115bで形成される第2のサイドウォールとを含む。一実施形態において、第1のサイドウォールコンパウンド115aは、第2のサイドウォールコンパウンド115bと同じである。第1のサイドウォールコンパウンド115aは、第1のビード領域120aからトレッドコンパウンド110まで延びる。第2のサイドウォールコンパウンド115bは、同様に、第2のビード領域120bからトレッドコンパウンド110まで延びる。各ビード領域は、ビード125a、b、及び頂点135a、bを有するビードフィラー130a、bを含む。代替の実施形態(図示せず)において、ビードフィラーは、頂点を有しない。
【0019】
タイヤ100は、第1のビード領域120aから第2のビード領域120bまで延びる本体プライ140を更に含む。図示される実施形態には1つの本体プライ140のみが示されているが、2つ以上の本体プライを用いてもよいことが理解されるべきである。
【0020】
本体プライ140はビード125a、bの各々に巻き付き、それによって、第1のターンアップ部145a及び第2のターンアップ部145bを形成する。第1のターンアップ部145aは、第1のビードフィラー130aの軸方向外側及び第1のビードフィラー130aの頂点135aの径方向下方に配置された第1のターンアップ端部150aにて終端する。同様に、第2のターンアップ部145bは、第2のビードフィラー130bの軸方向外側及び第2のビードフィラー130aの頂点135bの径方向下方に配置された第2のターンアップ端部150bにて終端する。別の実施形態(図示せず)において、各ターンアップ部は、各ビードフィラーの頂点の上にて終端する。具体的な一実施形態において、ターンアップ部は、タイヤのクラウン領域にて終端する。
【0021】
図示される実施形態において、タイヤ100は、ベルト155及びキャッププライ160を更に含む。別の実施形態(図示せず)において、タイヤは2つ以上のベルトを含んでもよい。更に別の実施形態(図示せず)において、タイヤは2つ以上のキャッププライを含んでもよい。また更に別の実施形態(図示せず)において、キャッププライは省略されてもよい。
【0022】
図示される実施形態において、タイヤ100は、第1のビード領域120a内に第1のワイヤ補強材165a、及び第2のビード領域120b内に第2のワイヤ補強材165bを更に含む。各ワイヤ補強材165a、bは、各ビード125a、b並びに各ビードフィラー130a、b及び本体プライ140の一部に巻き付く。ワイヤ補強材165a、bはタイヤ100に構造補強を提供してもよく、あるいは、本体プライ140を摩耗から保護してもよい。しかしながら、ワイヤ補強材165a、bはそのような機能を果たす必要はないことが理解されるべきである。別の実施形態(図示せず)において、ワイヤ補強材は省略されてもよい。
【0023】
タイヤ100は、第1のビードフィラー130aの軸方向外側に配置された第1の補強フィラー170a及び第2のビードフィラー130bの軸方向外側に配置された第2の補強フィラー170bを含む、一対の補強フィラー170も含む。別の実施形態(図示せず)において、補強フィラーは、省略される。
【0024】
タイヤ100は一対の摩耗部175を更に含み、一対の摩耗部175は、第1の摩耗部175a及び第2の摩耗部175bを含む。各摩耗部が、各ビードフィラー130、補強フィラー170、及び本体プライ140のターンアップ部145の軸方向外側に配置された第1部分を含むように、各摩耗部175は、ビード125及びビードフィラー130に少なくとも部分的に巻き付く。各摩耗部175は、各ビード125の下方に配置された第2部分を更に含む。代替の実施形態(図示せず)において、摩耗部は、省略され、サイドウォールコンパウンド115は、ビード領域120の中へ、及びビード125の周囲に延びる。
【0025】
図示される実施形態において、一対のインナーライナー180は、タイヤの内部空間に沿って、第1のビード領域120aから第2のビード領域120bまで延びる。インナーライナー180の一方又は双方は、インナーライナー180がタイヤ空洞内に圧縮空気を封じ込めるように、低透過性を有する材料で構築される。代替の実施形態(図示せず)では、単一のインナーライナーが使用される。別の代替の実施形態(図示せず)において、インナーライナーは、省略される。
【0026】
電子デバイス105は、タイヤ100に埋め込まれる。換言すれば、電子デバイス105は、タイヤの外観上で、又はタイヤの内部空間上で目に見えないように、インナーライナー180とサイドウォールコンパウンド115との間に配置される。図示される実施形態において、電子デバイス105は、第2のビードフィラー130bの頂点135bの径方向上方、かつ本体プライ140の軸方向外側の場所において、第2のサイドウォール領域115bに配置される。電子デバイス105は、本体プライ140の主部分と、第2のサイドウォールコンパウンド115bとの間に挟まれるように示されている。しかしながら、電子デバイスは、タイヤの任意の2つの層の間に配置されてもよいことが理解されるべきである。例えば、一実施形態(図示せず)において、電子デバイスは、インナーライナーと本体プライとの間に挟まれてもよい。代替の実施形態(図示せず)において、電子デバイスは、補強フィラーと摩耗部との間に挟まれてもよい。別の代替の実施形態(図示せず)において、電子デバイスは、本体プライとビードフィラーとの間に挟まれてもよい。更に別の代替の実施形態(図示せず)において、電子デバイスは、2つの本体プライの間に挟まれてもよい。更に別の代替の実施形態(図示せず)において、電子デバイスは、ビードフィラーとサイドウォールゴムとの間に挟まれてもよい。電子デバイスは、タイヤ上の任意の場所に埋め込むことができるので、上で説明した実施形態は、限定するものとみなされるべきではない。
【0027】
示される実施形態ではタイヤ100の右側に配置された電子デバイス105を示すが、電子デバイスをタイヤのどちら側に配置してもよいことが理解されるべきである。タイヤは、複数の電子デバイスを備え得ることが更に理解されるべきである。例えば、一実施形態では、1つのデバイスがタイヤの両側に配置される。別の代替の実施形態では、1つのデバイスがサイドウォール領域に配置され、もう1つのデバイスがタイヤのクラウン領域に配置される。しかしながら、任意の数のデバイスがタイヤの任意の数の場所に配置されてもよい。
【0028】
代替の実施形態(図示せず)では、ビード領域は、ビード及びビードフィラーに少なくとも部分的に巻き付く1つ又は2つ以上のチェーファーを更に含む。換言すれば、チェーファーは、ビード及びビードフィラーの軸方向外側に配置される第1の部分と、ビードの下に配置される第2の部分とを含むことができる。
【0029】
図2は、電子デバイス105の一実施形態の概略図である。図示される実施形態において、電子デバイス105は、パッシブRFIDトランスポンダ185と、ダイポールを形成する一対のアンテナ190a、bとを有するRFIDタグである。一実施形態において、電子デバイス105は実質的に周方向に向けられる。図示される実施形態は、単に例示であり、任意の電子デバイスが使用されてもよいことが理解されるべきである。
【0030】
図示される実施形態において、RFIDタグ105は、接着剤195に封入される。一実施形態において、接着剤195は、溶剤系接着剤であり、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、及びブタジエンゴムのうちの少なくとも1つを含む。そのような実施形態において、溶剤系接着剤は、揮発性有機液体中に溶解されたフィラー及び硬化剤を含むことができる。代替の実施形態において、接着剤195は、水性接着剤であり、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、及びブタジエンゴムのうちの少なくとも1つを含む。そのような実施形態において、水性接着剤は、水性媒体中に懸濁されたフィラー及び硬化剤を含むことができる。接着剤は、非イミド系接着剤及び非アクリルであってもよい。
【0031】
接着剤195は、非感圧性接着剤であってもよい。例えば、接着剤195は、硬化性接着剤であってもよい。このような硬化性接着剤は、タイヤの加硫中に、タイヤの層と架橋することができる。
【0032】
タイヤ100に電子デバイス105を埋め込むために、一対のビード部120及び本体プライ140を提供することによって、タイヤカーカスが形成される。本体プライ140の一部分は、一対のビード部120の各々に巻き付けられる。電子デバイス105は、上で説明した接着剤のうちの1つなどの接着剤195を用いて封入される。電子デバイス105は、タイヤカーカスの構築中に、所望の場所に固定される。グリーンタイヤは、サイドウォールコンパウンド115及びトレッドコンパウンド110をタイヤカーカス上に提供することによって形成される。グリーンタイヤは、加硫モールド内で硬化される。
【0033】
上で説明したように、電子デバイスは、インナーライナー180、本体プライ140、又は上で説明したビード部構成要素のいずれかを含むビード部120に固定することができる。一実施形態において、接着剤195は、電子デバイス105が固定されるタイヤ層の組成と実質的に類似する組成を有する。そのような実施形態において、グリーンタイヤを硬化させることは、接着剤195をタイヤカーカスと架橋させる。しかしながら、当業者であれば理解するであろうように、接着剤は、電子デバイスが固定されるタイヤ層の組成と実質的に同じでない組成を有する場合であっても、タイヤカーカスと架橋することができる。
【0034】
下の実施例が示すように、本明細書で説明される接着剤は、埋め込みデバイスを有するタイヤの製造での使用に十分適している。
【実施例】
【0035】
ストックとストック対照との比較において、及び/又は他の接着剤に対する、溶剤系接着剤の強度及び耐久性を試験するために、剥離強度測定を行った。下の実施例において、ゴムストリップ及び接着パッドは、タイヤサイドウォール、ナイロンチェーファースキム、インナーライナー、トレッド、及びベルトスキムなどのタイヤ本体の構成要素のためのいくつかのゴム組成物で構築した。接着剤については、フォーム/スポンジブラシを使用して、リフレッシュ剤を薄く均一な層で接着パッドの面上に塗布した。これらの接着剤のすべてが、ゴム表面の各々を十分に被覆し、湿潤させなかったことが観察された。接着パッドを、目に見える湿潤が明らかでなくなるまで室温で5分間乾燥させた。各実施例における接着剤の塗布量は、ほぼ同じであった。
【0036】
実施例1〜13では、未硬化ゴムストリップを接着パッド上の被覆ゴムに接合した。接合したゴムストリップは、Instron 5565上での180°剥離試験のための標準手順によって試験した。これらの実施例を、5cm/分(2インチ/分)の速度で剥離試験し、ギャップ距離は、約80mmであった。各場合において、より大きい力は、より強い結合を示す。
【0037】
実施例14〜26では、未硬化ゴムストリップを接着パッド上の被覆した未硬化ゴムに接合し、試料を170℃で15分間硬化させた。硬化剥離強度測定は、硬化ゴム構成要素の結合の強度及び耐久性を主に示す。接合し、硬化させたゴムストリップは、Instron 5565上での180°剥離試験のための標準手順によって試験した。これらの実施例を、5cm/分(2インチ/分)の速度で剥離試験し、ギャップ距離は、30mmであった。各場合において、より大きい力は、より強い結合を示す。
【0038】
これらの試験の結果を下の表に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】
【表5】
【0044】
【表6】
【0045】
【表7】
【0046】
【表8】
【0047】
【表9】
【0048】
【表10】
【0049】
用語「含む(includes)」又は「含むこと(including)」は、本明細書又は特許請求の範囲において使用される限りで、用語「備えること(comprising)」が特許請求の範囲で転換語として用いられる際に解釈されるものと同様に包括的であることが意図される。更に、用語「又は(or)」が用いられる限りで(例えば、A又はB)、「A若しくはB、又は両方とも」であることが意図されている。本出願人らが「A又はBの両方ではなく一方のみ」を示すことを意図する場合、用語「A又はBの両方ではなく一方のみ」が用いられるであろう。したがって、本明細書における用語「又は(or)」の使用は、排他的ではなく、包含的である。Bryan A.Garner,A Dictionary of Modern Legal Usage 624(2d.Ed.1995)を参照されたい。また、用語「中(in)」又は「中へ(into)」が、本明細書又は特許請求の範囲において使用される限りで、「上(on)」又は「上へ(onto)」を更に意味することが意図される。更に、用語「接続する(connect)」が本明細書又は請求項において使用される限りにおいて、「直接〜に接続する(directly connected to)」だけではなく、別の構成要素を介して接続するなど「間接的に〜に接続する(indirectly connected to)」も意味することが意図されている。
【0050】
本出願はその実施形態の記述によって説明され、実施形態は相当に詳細に説明されたが、添付の特許請求の範囲をこのような詳細に制限するか、又はいかなる形でも限定することは、出願人の本意ではない。更なる利点及び改良は、当業者には容易に明らかとなるであろう。したがって、そのより広域な態様における本出願は、示され説明される、特定の詳細、例示的な機器及び方法、並びに例示の実施例に限定されない。このため、このような詳細からの逸脱が、出願人の一般的な発明概念の趣旨又は範囲から逸脱することなく、なされ得る。
図1
図2