特許第6653324号(P6653324)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6653324
(24)【登録日】2020年1月29日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】乾燥粉末製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/72 20060101AFI20200217BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20200217BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20200217BHJP
   A61K 31/58 20060101ALI20200217BHJP
   A61K 31/137 20060101ALI20200217BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20200217BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20200217BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20200217BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20200217BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20200217BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20200217BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20200217BHJP
【FI】
   A61K9/72
   A61K9/14
   A61K31/573
   A61K31/58
   A61K31/137
   A61K45/00
   A61K45/06
   A61P11/00
   A61P11/06
   A61P43/00 111
   A61K47/26
   A61K47/36
【請求項の数】19
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-519635(P2017-519635)
(86)(22)【出願日】2015年10月16日
(65)【公表番号】特表2017-530995(P2017-530995A)
(43)【公表日】2017年10月19日
(86)【国際出願番号】US2015055919
(87)【国際公開番号】WO2016061448
(87)【国際公開日】20160421
【審査請求日】2018年9月18日
(31)【優先権主張番号】62/064,690
(32)【優先日】2014年10月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513087253
【氏名又は名称】テバ ブランデッド ファーマシューティカル プロダクツ アール アンド ディー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダルヴィ,ムクル
(72)【発明者】
【氏名】ティー,シーア,キー
【審査官】 渡邉 潤也
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−512898(JP,A)
【文献】 特表2011−509919(JP,A)
【文献】 特表2007−535522(JP,A)
【文献】 米国特許第06258341(US,B1)
【文献】 国際公開第2016/057641(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0176824(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00
A61K 31/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入可能な乾燥粉末医薬製剤を調製する方法であって、
乾燥剤と吸入器又はカプセルとを含む密閉された包装を加熱する工程を含み、
前記吸入器又はカプセルが、さらに、薬品有効成分とキャリアとを含む乾燥粉末製剤を含んでおり、
前記医薬品有効成分が、ブデソニド、ベクロメタゾンのジプロピオン酸エステル、モメタゾンのフロ酸エステル、フルチカゾン(プロピオン酸エステル又はフロ酸エステルを含む)、サルメテロール(薬学的に許容される塩又は溶媒和物を含む)、及びビランテロールのトリフェニル酢酸塩からなる群より選択され、
前記密閉包装が、水分の浸入に対するバリアを形成し、前記密閉包装とその内容物の加熱が、30〜50℃の温度で行われる、方法。
【請求項2】
前記加熱が、38〜42℃の温度で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記加熱が、60%未満の相対湿度で行われる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記加熱が、1日〜6週間行われる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記医薬品有効成分が、ブデソニド、ベクロメタゾンのジプロピオン酸エステル、モメタゾンのフロ酸エステル、及び、フルチカゾン(プロピオン酸エステル又はフロ酸エステルを含む)からなる群より選択される吸入グルココルチコステロイドと、
サルメテロール(薬学的に許容される塩又は溶媒和物を含む)、及びビランテロールのトリフェニル酢酸塩からなる群より選択されるβ2-作動薬との組み合わせである、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記医薬品有効成分が、フルチカゾンとサルメテロール(薬学的に許容されるそれらの塩又は溶媒和物を含む)の組み合わせである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記医薬品有効成分が、フルチカゾンのプロピオン酸エステル又はフロ酸エステルと、サルメテロールのキシナホ酸塩との組み合わせである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記乾燥剤が、シリカゲルである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記密閉包装が、アルミニウム箔を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記密閉包装が、その中の少なくとも1層がアルミニウム箔であるラミネートである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記キャリアが、ラクトース、グルコース又はデンプングリコール酸ナトリウムである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記キャリアが、α-ラクトース一水和物である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記キャリアが、40ミクロン以上の体積平均径を有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記密閉包装が、乾燥剤と、吸入器又はカプセルとを含み、その他は含まない、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記乾燥剤が、密閉包装によって規定されるスペース内の、別個のパケット内に存在する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記加熱が、35〜45℃の温度で行われる、請求項1又は請求項3〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記加熱が、前記医薬品有効成分の非晶質含有量を減らすのに効果的である、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記加熱が、1〜3週間行われる、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記密閉包装が、少なくとも1層のアルミニウム箔と少なくとも1層のプラスチック材とを含む多層材である、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
この出願は、2014年10月16日に出願された米国仮出願62/064,690に基づく優先権を主張し、その全開示は、あらゆる目的のために、全体として、参照により本願に包含される。
【技術分野】
【0002】
本発明は、乾燥粉末製剤に関し、特に乾燥粉末製剤を平衡化するプロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
本発明は、喘息やCOPD等の呼吸器疾患を治療するための、一以上の医薬品有効成分(API)を含む乾燥粉末製剤を提供することに関する。様々な種類の薬剤が、呼吸器疾患を治療するために開発されており、それぞれの種類は異なる標的及び効果を有する。吸入可能な薬剤に共通の特徴は、それらが作用部位に到達するために、肺の深部まで入り込まなければならないことである。
【0004】
この目的のために、APIは、要求される大きさ(典型的には、空気動力学的中央粒子径[MMAD]1〜5μm)を有する粒子を得るために、例えば、ジェットミルによって微粒子化される。微粒子化プロセスは、APIの粒子中にエネルギーを付与し、破砕と粒径の減少をもたらす。このプロセスは、エネルギーが高く、静電荷を有する新しい表面を作り出す。微粒子化プロセスによって付与されたエネルギーは、また、API粒子の結晶質に、非晶質の特性を導入しうる。一般的に当該分野では、これらの活性表面は、主にそれらがAPI粒子の凝集をもたらす水を吸収する傾向があることから、望ましくないとみなされる。この予測不可能性は、APIの粒度分布に有害な影響を及ぼし、それは次いで、肺に到達するAPIの微粒子量(インパクターを使用して測定される微粒子画分[FPF:fine particle fraction]によって定量される)に影響を及ぼす。
【0005】
より安定した性能(主に一貫したFPF)を達成するために、製剤化の前に粉末をリラックスさせ平衡化するため、様々な微粒子化後の技術が提案されてきた。それらは、典型的には、微粒子化した粒子を、湿潤環境にさらすことを含む。例えば、吸入用乾燥粉末製剤の粒子相互作用(Particulate Interactions in Dry Powder Formulations for Inhalation, X. M. Zeng等、Taylor & Francis, London, 2000)におけるこのアプローチの議論を参照。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、微粒子化後の処理は、プロセスの複雑性を増加させ、製造及び充填プロセスを遅延させる。当該分野では、依然として、改善された方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本発明は、吸入可能な乾燥粉末医薬製剤を調製する方法であって、
乾燥剤と吸入器又はカプセルとを含む密閉された包装を加熱する工程を含み、
前記吸入器又はカプセルが、さらに、吸入可能な医薬品有効成分とキャリア(担体)とを含む乾燥粉末製剤を含んでおり、
前記密閉包装が、水分の浸入に対するバリアを形成し、前記密閉包装とその内容物の加熱が、30〜50℃の温度で行われる
ことを特徴とする方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、吸入製品を調製するための、簡略化された、それゆえより効率的な方法を提供する。乾燥粉末製剤は、ドライパウダー吸入器内、あるいはカプセル内のどちらかで、最終利用者に提供される。吸入器又はカプセルは、水分から製品を保護するために、しばしば、密閉された包装(通常、ホイルからなる)内に入れられる。本発明者らは、密封された製品を、APIを適切な状態にするために熱処理することができ、その後、さらなる処理無しで、最終利用者に供給するための供給プロセス(サプライチェーン)に提供できることを見い出した。これは、製造工程の費用と複雑性を減らすことによって、大きな利点をもたらす。
【0009】
吸入可能な乾燥粉末医薬製剤は、吸入可能なAPIとキャリアとを含む。一以上のAPIが存在してもよく、すなわち、前記製品は単剤製剤であっても、複合製剤であってもよい。
【0010】
APIは、好ましくは、気管支拡張剤及び/又は吸入用グルココルチコステロイドである。気管支拡張剤は、気管支及び細気管支を拡張させ、気道の抵抗を減らし、それによって肺への気流を増加させるために使用される。気管支拡張剤は、短時間作用型でも長時間作用型でもよい。短時間作用型の気管支拡張剤は、急性の気管支収縮を急速に緩和し、他方、長時間作用型の気管支拡張剤は、長期にわたる症状のコントロールと予防の助けとなる。異なる種類の気管支拡張剤は、気道の異なるレセプターを標的とする。2つの一般的に使用される種類は、β2-作動薬と抗コリン薬である。
【0011】
β2-アドレナリン作動薬(又は「β2-作動薬」)は、平滑筋の弛緩を誘発するβ2-アドレナリン受容体に作用し、気管支道の拡張をもたらす。長時間作用型β2-作動薬(LABA)の例には、ホルモテロール(フマル酸塩)、サルメテロール(キシナホ酸塩)、インダカテロール(マレイン酸塩)、カルモテロール(塩酸塩)及びビランテロール(トリフェニル酢酸塩)が含まれる。短時間作用型β2-作動薬(SABA)の例には、サルブタモール(硫酸塩)、テルブタリン(硫酸塩)、ピルブテロール(酢酸塩)及びメタプロテレノール(硫酸塩)が含まれる。
【0012】
抗コリン薬(抗ムスカリン薬としても知られる)は、神経細胞中のその受容体を選択的に遮断することによって、神経伝達物質アセチルコリンをブロックする。局所投与では、抗コリン薬は、気道内にあるM3ムスカリン受容体に主に作用し、平滑筋を弛緩させ、それにより気管支拡張効果を生じる。長時間作用型ムスカリン受容体遮断薬(LAMA)の例には、チオトロピウム(臭化物)、アクリジニウム(臭化物)、グリコピロニウム(臭化物)、ウメクリジニウム(臭化物)、オキシブチニン(キシナホ酸塩、塩酸塩又は臭化水素酸塩)及びダリフェナシン(臭化水素酸塩)が含まれる。
【0013】
呼吸器疾患の治療に用いられる別の種類の薬剤は、吸入コルチコステロイド(ICS)である。ICSは、呼吸器疾患の長期間コントロールに用いられるステロイドホルモンである。それらは、気道の炎症を減じることによって機能する。例として、ブデソニド、ベクロメタゾン(ジプロピオン酸エステル)、モメタゾン(フロ酸エステル)、及びフルチカゾン(プロピオン酸エステル又はフロ酸エステル)が挙げられる。
【0014】
APIは、好ましくは吸入グルココルチコステロイド、β2-作動薬、抗コリン薬、又はそれらの組み合わせであり、より好ましくは、吸入グルココルチコステロイドとβ2-作動薬の組み合わせであり、最も好ましくは、フルチカゾンとサルメテロールの組み合わせ、又はブデソニドとホルモテロールの組み合わせ(薬学的に許容されるそれらの塩又は溶媒和物を含む)である。
【0015】
粉末乾燥製剤は、典型的には、微粒子化された活性成分と粗いキャリアを含む。前記有効成分は、微粒子形態であることが必要である(一般的には、空気動力学的中央粒子径1〜5μm、より一般的には2〜4μm)。このサイズの粒子は、吸入により肺に入り込むことが可能である。しかしながら、そのような粒子は、高い表面エネルギーを有し、製剤を計量可能にするために粗いキャリアを必要とする。粒子状キャリアの例には、ラクトース、グルコース、又はデンプングリコール酸ナトリウムが含まれ、好ましくはラクトース、及び最も好ましくはα-ラクトース一水和物である。粗いキャリア粒子は、吸入後、それらのほとんどが吸入器に残るか、又は口内及び上気道内に沈着する大きさを有する。したがって、前記キャリアは好ましくは、40ミクロン以上の体積平均径(VMD)を有し、より好ましくは前記キャリア粒子は、50〜250ミクロンのVMDを有する。前記粒径は、例えば、Sympatec社(Claasthal-Zellerfeld、ドイツ)から販売されている、レーザー回折システム付きレーザー光散乱を使用して測定することができる。
【0016】
前記製剤は、吸入器又はカプセルに入った状態で提供される。
【0017】
前記乾燥粉末製剤は、吸入器内、例えば、複数用量乾燥粉末吸入器(MDPI:multi-dose dry powder inhaler)、例えば、商品名Spiromax(登録商標)として販売されている吸入器、及びWO92/10229及びWO2011/054527に記載されている吸入器のリザーバー内に存在してもよい。そのような吸入器は、筐体、投薬チャンバー、マウスピース及び薬剤を含む。前記製剤は、吸入器内の単位用量ブリスター・ストリップ内に存在してもよい(例えば、MicroDose Therapeutx社から販売されている乾燥粉末ネブライザー、及びWO2005/081833及びWO2008/106616に記載されている吸入器など)。
【0018】
あるいは、前記乾燥粉末製剤は、カプセルが単位用量の有効成分を含むように、計量されて、カプセル(例えば、ゼラチンカプセル又はヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセル)に充填されてもよい。乾燥粉末が、単位用量の有効成分を含むカプセル中に存在する場合、組成物の総量は、カプセルの大きさと、そのカプセルが使用される吸入装置の特性によって決まる。
【0019】
前記吸入器又はカプセルは、密閉包装内に封入されている。好ましい実施形態では、前記密閉包装は、乾燥剤と、吸入器又はカプセルとを含み、その他は含まない。そのような包装は、当該分野において周知である。それらは典型的には、アルミニウム箔からなり、及び、その中の少なくとも1層がアルミニウム箔であるラミネートであってもよい。前記ラミネートは、アルミニウム箔の層及びプラスチック材の層を含む多層材であり、前記プラスチック材として、例えば、ポリエチレン・テレフタレート(PET)、ポリアミド、例えば、配向ポリアミド(oPA)、及びポリエチレン、例えば、低密度ポリエチレン(PE-LD)が挙げられる。前記層は、接着剤、例えばポリウレタン接着剤を使用して接着される。前記包装は、総重量50〜300g/sqm、より好ましくは100〜200g/sqmを有する場合が多い。前記密閉包装は、水分の浸入に対するバリアを形成する。
【0020】
前記密閉包装は、さらに乾燥剤を含む。前記乾燥剤は、好ましくは、密閉包装によって規定されるスペース内の、別個のパケット内に存在する。前記乾燥剤は、シリカゲル、モレキュラーシーブ、クレイ、活性炭、又はそれらの組み合わせであってもよい。好ましくは、前記乾燥剤はシリカゲルである。乾燥剤パケットのための包装は、好ましくは、HDPEファイバーから形成される。乾燥剤パケットは、例えば、Multisorb Technologiesから、MiniPax(登録商標) Sorbent Packetsとして、市販されている。
【0021】
前記密閉包装とその内容物が加熱された場合、この加熱工程が、吸入用製剤の性能を改善することが見い出された。前記加熱工程は、微粒子化後の表面を平衡化することによって機能すると考えられる。製剤がこれらのコンディション下で湿潤環境にさらされることがないような密閉包装の境界内で、加熱が効果的であるということは、驚くべきことである。
【0022】
加熱は、30〜50℃の温度で、より好ましくは35〜45℃の温度で、最も好ましくは38〜42℃の温度で行われる。加熱工程は、表面を平衡化し、APIの非晶質含有量を減らすための、APIのコンディショニング工程である。
【0023】
前記加熱工程は、好ましくは1日から6週間、より好ましくは1〜3週間、最も好ましくは2週間行われる。
【0024】
他のコンディショニング工程は要求されない。初期の従来のコンディショニング工程が行われてもよいが、必須ではない。好ましくは、本発明に係る加熱工程は、微粒子化後の唯一の処理工程である。
【0025】
前記製剤は、密閉包装内に存在するので、加熱工程の湿度はあまり関係が無い。好ましくは、相対湿度は60%未満(すなわち、0〜60%)、より好ましくは0〜40%、最も好ましくは0〜20%である。
【0026】
本発明を、以下の実施例を参照して説明するが、実施例は本発明を限定するものでは無い。
【実施例】
【0027】
平衡化研究
[研究1]
Spiromax(登録商標)装置内に収容されたフルチカゾン/サルメテロールを2バッチ用意した。プロピオン酸フルチカゾンとキシナホ酸サルメテロールの併用バッチは、それぞれ、2つの異なる強度、25μg/25μg及び100μg/25μgとした。各バッチを、2つに分割し、各プロトコルで指定されるコンディション下で6週間平衡化した。
プロトコル1:30℃/65%RH(未包装)
プロトコル2:40℃(乾燥剤と一緒にホイルに包む)
【0028】
吸入器の平衡化の後、空気力学粒度分布分析(FPFとFPDを測定)を、0,2,3,4及び6週間の間隔で行った。
【0029】
[研究2]
Spiromax(登録商標)装置内に収容されたフルチカゾン/サルメテロールを2バッチ用意した。プロピオン酸フルチカゾンとキシナホ酸サルメテロールの併用バッチは、研究1と同様、2つの異なる強度とした。各バッチを、2つに分割し、各プロトコルで指定されるコンディション下で6週間平衡化した。
プロトコル1:30℃/65%RH(未包装)
プロトコル3:40℃(乾燥剤と一緒にホイルに包む)
【0030】
吸入器の平衡化の間、空気力学粒度分布分析(FPFとFPDを測定)を、0,2,3,4及び6週間の間隔で行った。
【0031】
結果
平衡化研究の結果を表1に示す。
【表1】
【0032】
製剤安定性試験
[研究3]
プロトコル2(40℃・75%RHで6週間:乾燥剤と一緒にホイルで包装)による吸入器の平衡化後、プロピオン酸フルチカゾンとキシナホ酸サルメテロール(25μg/25μg及び100μg/25μg)の8週間の安定性試験を行った。使用中安定性試験を、食品医薬局(FDA)の議論の通り、30℃/65%RH(未包装)で行った。
【0033】
空気力学粒度分布分析(FPFとFPDを測定)を、0,2,4及び8週間の間隔で行った。
【0034】
[研究4]
プロトコル3(40℃で6週間:乾燥剤と一緒にホイルで包装)による吸入器の平衡化後、プロピオン酸フルチカゾンとキシナホ酸サルメテロール(25μg/25μg及び100μg/25μg)の6か月の安定性試験を行った。製剤の安定性を、2つの異なるコンディション・セット下で貯蔵した後に評価した。
コンディション・セット1:40℃(乾燥剤と一緒にホイルに包む)
コンディション・セット2:25℃/60%RH(乾燥剤と一緒にホイルに包む)
【0035】
空気力学粒度分布分析(FPFとFPDを測定)を、0,3及び6か月の間隔で行った。
【0036】
結果
結果を表2及び表3に示す。
【表2】
【0037】
【表3】