(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1、特許文献2に記載のダンプトラックでは、オペレータが乗車することを想定していないので、キャブ等の操縦席に相当するものは設けられていない。
このため、キャブ内にダンプトラックの状態情報を表示出力するディスプレイ、メータ等を配置することができないという課題がある。
また、車両の外面に設けると、車両が移動する際、最外幅として考慮しなければならないため、その分車両の車幅寸法が大きくなり、移動性が悪くなる。
【0005】
本発明の目的は、オペレータが点検、確認し易く、車両の車幅寸法内に納めることのできる情報出力装置を備えたダンプトラックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のダンプトラックは、遠隔操作可能なダンプトラックであって、シャーシの走行方向の前後に設けられた一対のタイヤの前後のオーバーフェンダー間に配置され、車両の状態情報を出力する操作盤を有する車両状態出力装置を備え、前記シャーシの走行方向に直交する前記車両状態出力装置の幅方向位置は、前記前後のオーバーフェンダーの幅方向端部の内側であって、前記操作盤が前記タイヤの幅方向外側に向いていることを特徴とする。
【0007】
本発明では、前記車両状態出力装置の幅方向位置は、前記タイヤの幅方向側面の内側であるのが好ましい。
本発明では、前記車両状態出力装置は、前記タイヤの幅寸法内に配置されているのが好ましい。
本発明では、前記操作盤は、前記車両の状態情報を表示する表示装置を備えているのが好ましい。
【0008】
本発明では、前記操作盤は、前記車両の状態情報を有線出力する出力端子を備えているのが好ましい。
本発明では、一対の前記タイヤの間には、冷却ファンおよび矩形状のラジエータを有する冷却装置が設けられ、前記車両状態出力装置は、前記ラジエータの矩形のいずれかの角隅部に配置されているのが好ましい。
【0009】
本発明によれば、車両状態出力装置の幅方向位置が、タイヤの幅方向側面の内側であって、操作盤がタイヤの幅方向外側から操作可能な位置とされることにより、オペレータは、タイヤの幅方向外側から操作盤を操作することができるため、点検作業時、タイヤと干渉することを防止できる。
また、前後のタイヤの間に車両状態出力装置を設けることにより、タイヤが大きくても、オペレータが地上から車両状態出力装置を操作することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[1]ダンプトラック1の全体説明
図1から
図3には、本発明の実施形態に係るダンプトラック1が示されている。
図1は、走行方向に直交する車幅方向から見た側面図、
図2は、走行方向から見た側面図、
図3は上視点から見た平面図である。
【0012】
なお、各図に示す本実施形態でのX軸、Y軸、Z軸は、それぞれが直交する関係にある。さらに、説明の便宜上本実施形態では、
図1を基準として、ダンプトラック1の走行方向の一方がX軸の矢印方向で、走行方向の他方がその逆方向で、車幅方向の一方がY軸の矢印方向で、車幅方向の他方がその逆方向で、鉛直方向の一方がZ軸の矢印方向で、鉛直方向の他方がその逆方向とする。また、以下の実施形態では、走行方向の一方を「前」、他方を「後」、車幅方向の一方を「右」、他方を「左」と呼ぶことがある。
【0013】
ダンプトラック1は、遠隔操作可能な無人で走行するオフロードダンプトラックであり、例えば、鉱山開発での採掘現場にて稼働する車両として構成される。遠隔操作は、詳しくは後述するが、管理センターおよびダンプトラック1に設けられた通信手段や、Global Positioning System;全地球測位網(GPS)を用いる等、情報通信技術を駆使して行われる。
ダンプトラック1は、シャーシ2およびダンプボディ3を備え、ダンプボディ3内に土砂等の積載物を積載して前後双方向に走行し、
図1における走行方向のX軸のマイナス方向を一方向として排土する。
【0014】
シャーシ2は、走行方向の一方で車幅方向の両側に設けられた左右一対のタイヤ4、および、走行方向の他方で車幅方向の両側に設けられたタイヤ5によって走行可能に支持されている。シャーシ2は、走行方向に延びるフレーム6を備え、フレーム6には、タイヤ4、5が懸架装置を介して取り付けられる。
また、シャーシ2の車幅方向端部には、タイヤ4、5を覆うオーバーフェンダー4A、5Aが設けられている。
フレーム6は、シャーシ2の両側端部に走行方向に延出する一対のアッパーサイドメンバ6Aと、一対のロアーサイドメンバ6Bとを備える。上下に離間して配置されるアッパーサイドメンバ6Aおよびロアーサイドメンバ6Bは、先端および後端で複数のバーチカルメンバ6Cによって連結されている。また、車幅方向に配置される一対のアッパーサイドメンバ6A同士は、車幅方向に延びる複数のアッパークロスメンバによって連結され、一対のロアーサイドメンバ6B同士は、車幅方向に延びる複数のロアークロスメンバによって連結されている。すなわちフレーム6は、シャーシ2の走行方向から見て直方体状の骨組を有している。
【0015】
このようなフレーム6には、エンジン7、冷却装置8、制御装置9、障害物検出センサ(図示略)、ホイストシリンダ10、車両状態出力装置としてのリモートボックス11が設けられている。なお、ダンプトラック1は、遠隔操作専用の車両であり、従来のダンプトラックに設けられている運転操作のためのキャブは存在しない。
エンジン7は、フレーム6のアッパーサイドメンバ6Aおよびロアーサイドメンバ6Bの間に設けられ、上部がアッパーサイドメンバ6Aから突出している。
また、エンジン7は、タイヤ4の後方側に設けられ、タイヤ4およびタイヤ5の回転中心で規定されるホイールベースW内に配置されており、ダンプトラック1の重心が、シャーシ2の略中央となっている。
【0016】
冷却装置8は、
図2に示されるように、ダンプトラック1の走行方向の前後に設けられるタイヤ4、5の間に設けられ、エンジン7の冷却水を放冷する。なお、冷却装置8は、シャーシ2の他方の端部にも設けられている。
制御装置9は、ダンプトラック1の走行を制御し、シャーシ2の排土側端部に設けられる障害物検出センサや、エンジン7に設けられる温度センサ、タイヤ4、5に設けられた回転センサ等のセンサ情報に基づいて、ダンプトラック1の走行制御を行う。
ホイストシリンダ10は、制御装置9の後方に、車幅方向に2つ設けられ、その基部はフレーム6に回転可能に設けられ、先端はダンプボディ3の排土側端部とは反対側の端部下面に回転可能に設けられている。
ホイストシリンダ10は、図示を略したが、フレーム6内に設けられた油圧ポンプから作動油を受けて動作し、油圧ポンプは、エンジン7によって駆動される。
【0017】
[2]ダンプボディ3の構造
ダンプボディ3は、平面視でシャーシ2の走行方向の全長および車幅方向の全幅を覆っており、ダンプボディ3の排土側端部は、シャーシ2の端部から延出している。ダンプボディ3は、
図3に示されるように、平面視矩形状の箱状体として構成され、図示しないボディマウント上に載置される。
ダンプボディ3は、フレーム6の排土側の走行方向の端部にヒンジ12を介して起伏可能(回動可能)に装着されている。ダンプボディ3は、前述したホイストシリンダ10が伸長することにより、フレーム6のヒンジ12を回転軸として起伏する。
【0018】
ダンプボディ3は、シャーシ2の走行方向に沿って延びる一対の側板部13と、側板部13の底縁間に設けられる底部である底面部14と、底面部14の後端から上方に立ち上がる第1傾斜面部15と、第1傾斜面部15の上端から、ダンプボディ3の排土側端部に向かって下方に傾斜する第2傾斜面部16と、底面部14の第1傾斜面部15が立ち上がる端縁とは反対側の端縁から立ち上がる前面部17とを備える。なお、前面部17の上端には、水平方向に突出する突出部18が設けられ、突出部18は、制御装置9を平面視で覆う長さで突出しており、ここに土砂等の積載物は積み込まれない。また、第2傾斜面部16もダンプボディ3の排土側端部に向かって下方に傾斜しているため、ここに土砂等の積載物は積み込まれない。
【0019】
[3]冷却装置8の構造
図3および
図4に示されるように、冷却装置8は、走行方向の前後に設けられるタイヤ4、5の間であり、前後のオーバーフェンダー4A、5Aに囲まれている。
冷却装置8は、ボックス状の鋼製の支持体20を介して、フレーム6のアッパーサイドメンバ6Aおよびロアーサイドメンバ6Bに、片持ち支持で取り付けられている。
支持体20は、フレーム6のアッパーサイドメンバ6A、およびロアーサイドメンバ6Bから車幅方向外側に突出して設けられる4本の横材20Aと、アッパーサイドメンバ6Aおよびロアーサイドメンバ6Bの離間方向に沿った上下方向に延びる図示しない4本の縦材20Bと、上部の横材20Aの突出方向先端および下部の横材20Aの突出方向基端を連結する斜材20Cとを備える。
【0020】
冷却装置8は、支持体20の突出方向先端面に設けられ、フレーム6の側面から、タイヤ4、5の略中央位置までオフセットして設けられている。
冷却装置8は、正面視で矩形状のラジエータ8Aと、ラジエータ8Aの後方に配置される外周円形状の冷却ファン8Bとを備える。
ラジエータ8Aは、図示を略したが、水平方向に延びる鋼管から構成され、上下に離間して配置される入口タンクおよび出口タンクと、入口タンクおよび出口タンク間を上下で連結する複数の冷却管とを備えている。
【0021】
冷却ファン8Bは、ラジエータ8Aの内側に配置される吸込型の軸流ファンであり、ラジエータ8A内の冷却水の冷却を行うとともに、吸い込んだ空気をフレーム6内に供給して、シャーシ2内に設けられた、エンジン7、油圧ポンプ等の機器を補助的に冷却する。
エンジン7から供給される高温の水は、入口タンクに供給され、冷却管を流れる間に、冷却ファン8Bによって吸い込まれた外気によって冷却され、出口タンクからエンジン7に戻される。
【0022】
[4]リモートボックス11の構成
冷却装置8の前面の前方下部の角隅部には、リモートボックス11が設けられている。リモートボックス11は、蓋部11A
(図4参照)および操作盤11B(図
6参照)を備える。リモートボックス11の位置は、
図5の模式図に示されるように、冷却装置8を正面から見たときに、冷却ファン8Bの吸込面を極力塞がない位置とされている。このような位置にリモートボックス11を配置することにより、冷却ファン8Bの空気の吸込量の減少を少なくすることができるため、冷却装置8の冷却効率が減少することを最小限とすることができる。
また、リモートボックス11の上下方向位置は、操作盤11B(図
6参照)が、地上から1.1m〜1.7mとなる位置とされている。このような高さ位置とすることにより、オペレータが地面から操作盤を操作することができるため、操作盤11Bに各種ケーブルを接続して、ダンプトラック1の稼働状態に関する情報を取得することができる。
【0023】
さらに、リモートボックス11の前後方向位置は、
図3からわかるように、オーバーフェンダー4A、5Aの間とされている。リモートボックス11の車幅方向位置は、タイヤ4、5の幅寸法内であって、リモートボックス11の蓋部11Aが、オーバーフェンダー4A、5Aまたはタイヤ4、5の車幅方向側面よりも内側となるような位置とされる。
オペレータが操作盤11Bを操作する際、オペレータは、タイヤ4、5の外側から操作できる位置とされ、操作盤11Bの位置が、タイヤ4、5の車幅方向側面と面一か、側面から10cm〜30cm入り込んだ位置となるのが好ましい。
このような位置にリモートボックス11を配置することにより、オペレータが操作盤11Bをタイヤ4、5の外側から操作できるため、オペレータがタイヤ4、5に干渉することを確実に防止することができる。
【0024】
図4に示されるように、リモートボックス11は、ブラケット21を介して冷却装置8の前面下部角隅部に取り付けられている。
ブラケット21は、垂直方向に延びる一対の縦材21Aと、一対の縦材21Aを連結する横材(図示略)と、縦材21Aから車幅方向外側に突出する支持材21Bとを備えている。
縦材21Aは、冷却装置8のラジエータ8Aを構成する入口タンクおよび出口タンクの間に架設されている。ラジエータに対する縦材21Aの固定は、入口タンクおよび出口タンクの外周面に設けられたねじ孔付きの台座に、ボルトによって締付固定される。
支持材21Bは、一対の縦材21Aのそれぞれの下端から水平方向に突出して設けられ、図示を略したが、前後方向に延びる複数の桟材が架設されている。
リモートボックス11は、複数の桟材上に配置され、ねじ等により複数の桟材に固定されている。
【0025】
リモートボックス11は、鋼製の箱状体から構成され、内部にダンプトラック1の状態情報としての種々の稼働情報を出力する機器を備えた操作盤11Bが収納されている。
図6には、リモートボックス11の蓋部11Aで覆われた部分に収容された操作盤11Bが示されている。
操作盤11Bは、
図6に示されるように、リモートボックス11にヒンジを介して取り付けられ、開閉可能となっていて、リモートボックス11の内部も見ることができるようになっている。なお、リモートボックス11の内部には、エアーコンディショナーが設けられており、操作盤11Bの各種機器、内部の各種機器を冷却している。リモートボックス11は、外部に晒されており、採掘現場の状況によっては、温度的に過酷な状況になるため、リモートボックス11の内部環境を適切な状況に維持するために、エアーコンディショナーが設けられている。
操作盤11B上には、種々のタッチパネルモニタや、スイッチ、および出力端子が設けられているが、ダンプトラック1を駆動させるのに必要なスイッチ等は設けられていない。
【0026】
具体的には、操作盤11Bの上部には、表示装置としてのモニタ11C、11D、11E、11F、11Gが設けられ、操作盤11Bの下部には、スイッチ11H、11I、11J、11K、11Lが設けられ、操作盤11Bの左側には、有線出力可能な出力端子11M、11Nが設けられている。
モニタ11Cには、無線操作に必要な情報を表示させるタッチパネル形式のマルチモニタであり、無線操作時の操作情報、現在位置情報が表示出力される。
モニタ11D、11E、11Fには、オペレータが操縦する際の情報を表示出力する部分であり、エンジン水温、作動油温、燃料残量の他、燃料残量が少なくなった、エンジン水温が上昇している等のコーション情報、その他の稼働情報に関する情報が表示出力される。
モニタ11Gには、タイヤ4、5の表面温度、空気圧等の情報が表示出力される。
【0027】
スイッチ11Hは、エンジン7の緊急停止用のスイッチであり、スイッチ11Iは、モニタ11Fの操作用スイッチである。
スイッチ11Jは、無線操作を緊急停止させるためのスイッチであり、スイッチ11Kは、ダンプトラック1をキーオンさせた状態とするスイッチである。但し、スイッチ11Kは、電源系のみオンするだけであり、エンジン7を駆動させることはできない。
スイッチ11Lは、ハザードランプを点灯させたり、ホーンを鳴らしたり、室内灯を点灯させるスイッチである。
【0028】
出力端子11Mは、LANケーブルを接続するコネクタであり、この出力端子11Mから無線操作に関する情報をデータとして出力させることができる。
出力端子11Nは、ダンプトラック1内のエンジン7、油圧ポンプ等と制御装置9間を接続するController Area Network(CAN)通信で授受される情報を出力する端子であり、エンジン水温、作動油温、燃料残量等の情報を出力させることができる。
【0029】
[5]実施形態の作用および効果
次に、本実施形態の作用を説明する。
遠隔操作で稼働するダンプトラック1が不測の事態で停止した場合、オペレータは、リモートボックス11の蓋部11Aを開き、モニタ11C、11D、11E、11F、11Gを観察して、ダンプトラック1のどこに故障が生じたのかを確認する。また、必要に応じて、出力端子11M、11Nからこれらの情報を出力させる。
この際、オペレータは、タイヤ4、5の車幅方向外側からアクセスする。
このような位置にリモートボックス11を設けることにより、万が一、ダンプトラック1が復帰して稼働しても、オペレータがタイヤ4、5の外側からアクセスしているため、ダンプトラック1と干渉することがない。
【0030】
[6]実施形態の変形
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、リモートボックス11をラジエータ8Aの前方側の角隅部に配置していたが、これに限らず、後方側の角隅部に配置してもよい。要するに、冷却ファン8Bの吸込面を極力塞がない位置であれば、オペレータが地面から届く範囲で適宜の位置に設けてもよい。
【0031】
例えば、前記実施形態では、操作盤11Bには、モニタ11C、11D、11E、11F、11G等が設けられていたが、これに限らず、出力端子11M、11Nにパーソナルコンピュータ等を有線で接続し、コンピュータのディスプレイ上に表示させるように構成して、操作盤11Bにモニタを設けなくともよい。
例えば、前記実施形態では、操作盤11Bは、箱状体からなるリモートボックス11内に収容されていたが、これに限らず、操作盤11Bおよび内部の機器を保護することができる構造であれば、必ずしも箱状体である必要はない。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および形状等は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。