(54)【発明の名称】陰イオン交換樹脂の製造方法、燃料電池用電解質膜の製造方法、電極触媒層形成用バインダーの製造方法、電池電極触媒層の製造方法および燃料電池の製造方法
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成24年度、独立行政法人科学技術振興機構、戦略的創造研究事業「アニオン導電性高分子を用いた三相界面の創製とアルカリ形燃料電池の特性評価」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(A)単数の芳香環、または、2価の炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価の窒素含有基、2価のリン含有基、2価の酸素含有基、2価の硫黄含有基、もしくは直接結合を介して互いに結合する複数の芳香環からなり、その芳香環には2つのハロゲン原子、擬ハロゲン化物またはボロン酸基が結合した疎水性基形成用モノマー、あるいは、2価の炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価の窒素含有基、2価のリン含有基、2価の酸素含有基、2価の硫黄含有基、もしくは直接結合を介して互いに結合する複数の芳香環が、2価の炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価の窒素含有基、2価のリン含有基、2価の酸素含有基、2価の硫黄含有基、もしくは直接結合を介して繰り返し結合し、両末端の芳香環には2つのハロゲン原子、擬ハロゲン化物またはボロン酸基が結合した疎水性基形成用オリゴマーを準備する工程と、
(B)単数の芳香環、または、2価の炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価の窒素含有基、2価のリン含有基、2価の酸素含有基、2価の硫黄含有基、もしくは直接結合を介して互いに結合する複数の芳香環からなり、その芳香環には2つのハロゲン原子、擬ハロゲン化物またはボロン酸基が結合し、芳香環のうち少なくとも1つがアミノアルキル基を有するアミノアルキル基含有モノマーを準備する工程と、
(C)前記疎水性基形成用モノマーあるいは前記疎水性基形成用オリゴマーと前記アミノアルキル基含有モノマーとを反応させ、ポリマーを合成する工程と、
(D)前記ポリマー中の前記アミノ基を四級化させる工程と
を備える陰イオン交換樹脂の製造方法であって、
前記陰イオン交換樹脂において、
前記疎水性基形成用モノマーあるいは前記疎水性基形成用オリゴマーの残基が、2価の疎水性基を形成し、
前記四級化させた前記アミノ基が、陰イオン交換基を形成し、
前記四級化された前記アミノアルキル基含有モノマーの残基が、2価の親水性基を形成し、
前記疎水性基と前記親水性基とが直接結合を介して結合されていることを特徴とする、陰イオン交換樹脂の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の陰イオン交換樹脂は、2価の疎水性基と、2価の親水性基とからなる。
【0022】
本発明の陰イオン交換樹脂において、2価の疎水性基は、単数の芳香環からなる、または、2価の炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価の窒素含有基、2価のリン含有基、2価の酸素含有基、2価の硫黄含有基、もしくは直接結合を介して互いに結合する複数(2つ以上、好ましくは、2つ)の芳香環からなり、その芳香環には2つのハロゲン原子、擬ハロゲン化物またはボロン酸基が結合した疎水性基形成用モノマーの残基により形成される。あるいは、2価の炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価の窒素含有基、2価のリン含有基、2価の酸素含有基、2価の硫黄含有基、もしくは直接結合を介して互いに結合する複数の芳香環が、2価の炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価の窒素含有基、2価のリン含有基、2価の酸素含有基、2価の硫黄含有基、もしくは直接結合を介して繰り返し結合し、両末端の芳香環には2つのハロゲン原子、擬ハロゲン化物またはボロン酸基が結合した疎水性基形成用オリゴマーの残基により形成される。
【0023】
芳香環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、インデン環、アズレン環、フルオレン環、アントラセン環、フェナントレン環などの、炭素数6〜14の単環または多環芳香族炭化水素、および、アゾール、オキソール、チオフェン、オキサゾール、チアゾール、ピリジンなどの、複素環式化合物が挙げられる。
【0024】
芳香環として、好ましくは、炭素数6〜14の単環芳香族炭化水素が挙げられ、より好ましくは、ベンゼン環が挙げられる。
【0025】
また、芳香環は、必要により、ハロゲン原子、アルキル基、擬ハロゲン化物、ボロン酸基などの置換基に置換されていてもよい。擬ハロゲン化物としては、トリフルオロメチル基、−CN、−NC、−OCN、−NCO、−ONC、−SCN、−NCS、−SeCN、−NCSe、−TeCN、−NCTe、−N
3が挙げられる。
【0026】
なお、芳香環がハロゲン原子、アルキル基、擬ハロゲン化物、ボロン酸基などの置換基に置換される場合において、ハロゲン原子、アルキル基、擬ハロゲン化物、ボロン酸基などの置換基の置換数および置換位置は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0027】
ただし、疎水性基形成用モノマーまたは疎水性基形成用オリゴマーは、その芳香環に少なくとも2つのハロゲン原子、擬ハロゲン化物またはボロン酸基が結合している。その2つのハロゲン原子、擬ハロゲン化物またはボロン酸基の結合位置に関しては、単数の芳香環からなる疎水性基形成用モノマーの場合は当該芳香環であり、2つの芳香環を有する疎水性基形成用モノマーの場合は各々の芳香環であり、3つ以上の芳香環を有する疎水性基形成用モノマーまたは疎水性基形成用オリゴマーの場合は両末端の芳香環である。
【0028】
なお、疎水性基形成用モノマーまたは疎水性基形成用オリゴマーから、芳香環に結合した2つのハロゲン原子、擬ハロゲン化物またはボロン酸基を除いた残基が、2価の疎水性基を形成する。
【0029】
ハロゲン原子に置換された芳香環として、より具体的には、例えば、1〜4つのハロゲン原子で置換されたベンゼン環(例えば、1〜4つのフッ素で置換されたベンゼン環、1〜4つの塩素で置換されたベンゼン環、1〜4つの臭素で置換されたベンゼン環、1〜4つのヨウ素で置換されたベンゼン環など、1〜4のハロゲン原子は、全て同一であっても、相異なっていてもよい)などが挙げられる。
【0030】
2価の炭化水素基としては、例えば、メチレン(−CH
2−)、エチレン、プロピレン、イソプロピレン(−C(CH
3)
2−)、ブチレン、イソブチレン、sec−ブチレン、ペンチレン(ペンテン)、イソペンチレン、sec−ペンチレン、ヘキシレン(ヘキサメチレン)、3−メチルペンテン、ヘプチレン、オクチレン、2−エチルヘキシレン、ノニレン、デシレン、イソデシレン、ドデシレン、テトラデシレン、ヘキサデシレン、オクタデシレンなどの、炭素数1〜20の2価の飽和炭化水素基が挙げられる。
【0031】
2価の炭化水素基として、好ましくは、炭素数1〜3の2価の飽和炭化水素基、具体的には、メチレン(−CH
2−)、エチレン、プロピレン、イソプロピレン(−C(CH
3)
2−)が挙げられ、より好ましくは、メチレン(−CH
2−)、イソプロピレン(−C(CH
3)
2−)が挙げられ、とりわけ好ましくは、イソプロピレン(−C(CH
3)
2−)が挙げられる。
【0032】
2価の炭化水素基は、前記した芳香環における、1価の残基で置換されていても良い。
【0033】
このような疎水性基として、好ましくは、下記式(2)で示される、ハロゲン原子、擬ハロゲン化物、またはアルキル基で置換されていてもよいビフェニレン基、下記式(2’)で示される、ハロゲン原子、擬ハロゲン化物、またはアルキル基で置換されていてもよいo−、m−またはp−フェニレン基が挙げられる。
【0034】
【化5】
(式中、Rは、ハロゲン原子または擬ハロゲン化物で置換されていてもよい、炭化水素基、ケイ素含有基、窒素含有基、リン含有基、酸素含有基、硫黄含有基、芳香族基、または直接結合を示し、Alkは、互いに同一または相異なって、アルキル基を示し、Xは、互いに同一または相異なって、ハロゲン原子または擬ハロゲン化物を示し、p
1、p
2、q
1、およびq
2は、互いに同一または相異なって、0〜4の整数を示す。)
【0035】
【化6】
(式中、Alkは、アルキル基を示し、Xは、ハロゲン原子または擬ハロゲン化物を示し、p
1およびq
1は、互いに同一または相異なって、0〜4の整数を示す。)
【0036】
上記式(2)において、Rは、炭化水素基、ケイ素含有基、窒素含有基、リン含有基、酸素含有基、硫黄含有基、芳香族基、または直接結合を示す。芳香族基としては、例えば、前記した芳香環における、2価の残基が挙げられる。好ましくは、m−フェニレン基およびフルオレニル基が挙げられる。
【0037】
上記式(2)において、Alkは、互いに同一または相異なって、アルキル基を示す。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の炭素数1〜20のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の炭素数1〜20のシクロアルキル基が挙げられる。
【0038】
上記式(2)において、Xは、互いに同一または相異なって、上記したハロゲン原子または擬ハロゲン化物を示す。
【0039】
上記式(2)において、p
1およびp
2は、互いに同一または相異なって、0〜4の整数を示し、化学的安定性の観点から、好ましくは、p
1およびp
2の少なくとも一方が1〜4を示し、とりわけ好ましくは、p
1およびp
2がともに4を示す。上記式(2)において、q
1およびq
2は、互いに同一または相異なって、0〜4の整数を示す。
【0040】
上記式(2’)において、Xは、上記したハロゲン原子または擬ハロゲン化物を示し、また、p
1は、0〜4の整数を示し、好ましくは、4を示す。擬ハロゲン化物としては、上記した擬ハロゲン化物が挙げられる。
【0041】
上記式(2’)において、Alkは、上記したアルキル基を示し、q
1は、0〜4の整数を示す。
【0042】
このような疎水性基として、とりわけ好ましくは、下記式(4)、下記式(4’)、下記式(4’’)で示されるものが挙げられる。
【0046】
疎水性基には、下記式(1)で表される2価の結合性基を導入することができる。
【0047】
【化10】
(式中、Z
1〜Z
9は、互いに同一または相異なって、炭素原子またはケイ素原子を示し、R’
1〜R’
10は、互いに同一または相異なって、ケイ素含有基、窒素含有基、リン含有基、酸素含有基、硫黄含有基、または直接結合を示し、X
1〜X
18は、互いに同一または相異なって、ハロゲン原子、擬ハロゲン化物、または水素原子を示し、aは、1以上の整数を示し、b、c、d、e、f、g、hおよびiは、互いに同一または相異なって、0以上の整数を示す。)
【0048】
上記式(1)において、Z
1〜Z
9は、互いに同一または相異なって、炭素原子またはケイ素原子を示し、好ましくは炭素原子を示す。
【0049】
上記式(1)において、R’
1〜R’
10は、互いに同一または相異なって、ケイ素含有基、窒素含有基、リン含有基、酸素含有基、硫黄含有基、または直接結合を示し、好ましくは直接結合を示す。
【0050】
上記式(1)において、X
1〜X
18は、互いに同一または相異なって、上記したハロゲン原子もしくは擬ハロゲン化物、または水素原子を示し、好ましくはハロゲン原子または水素原子を示し、より好ましくはフッ素原子を示す。
【0051】
上記式(1)において、aは、1以上の整数を示し、好ましくは1〜20の整数を示し、より好ましくは4〜8の整数を示す。
【0052】
上記式(1)において、b、c、d、e、f、g、hおよびiは、互いに同一または相異なって、0以上の整数を示し、好ましくは0〜10の整数を示し、より好ましくは0〜3の整数を示し、さらに好ましくは0または1を示す。
【0053】
このような2価の結合性基として、好ましくは、以下の構造を有するものが挙げられる。
【0055】
上記式において、aは1以上の整数を示し、好ましくは1〜20の整数を示し、より好ましくは2〜6の整数を示す。
【0056】
上記式において、kは1以上の整数を示し、好ましくは1〜20の整数を示し、より好ましくは1〜3の整数を示し、さらに好ましくは1を示す。
【0057】
R’は、互いに同一または相異なって、ケイ素含有基、窒素含有基、リン含有基、酸素含有基、硫黄含有基、または直接結合を示し、好ましくは直接結合を示す。
【0058】
2価の結合性基を導入する位置については、適宜選択することができるが、例えば、上記した式(2)のRとして導入することができる。
【0059】
このような疎水性基として、好ましくは、下記式(2’’)、下記式(2’’’)で示されるものが挙げられる。
【0060】
【化12】
(式中、Alkは、互いに同一または相異なって、アルキル基を示し、Xは、互いに同一または相異なって、ハロゲン原子または擬ハロゲン化物を示し、p
1、p
2、q
1、およびq
2は、互いに同一または相異なって、0〜4の整数を示し、Z
1〜Z
9は、互いに同一または相異なって、炭素原子またはケイ素原子を示し、R’
1〜R’
10は、互いに同一または相異なって、ケイ素含有基、窒素含有基、リン含有基、酸素含有基、硫黄含有基、または直接結合を示し、X
1〜X
18は、互いに同一または相異なって、ハロゲン原子、擬ハロゲン化物、または水素原子を示し、aは、1以上の整数を示し、b、c、d、e、f、g、hおよびiは、互いに同一または相異なって、0以上の整数を示す。)
【0061】
【化13】
(式中、Alkは、アルキル基を示し、Xは、ハロゲン原子または擬ハロゲン化物を示し、p
1、およびq
1は、0〜4の整数を示し、Z
1〜Z
9は、互いに同一または相異なって、炭素原子またはケイ素原子を示し、R’
1〜R’
10は、互いに同一または相異なって、ケイ素含有基、窒素含有基、リン含有基、酸素含有基、硫黄含有基、または直接結合を示し、X
1〜X
18は、互いに同一または相異なって、ハロゲン原子、擬ハロゲン化物、または水素原子を示し、aは、1以上の整数を示し、b、c、d、e、f、g、hおよびiは、互いに同一または相異なって、0以上の整数を示す。)
【0062】
このような疎水性基として、とりわけ好ましくは、下記式(5)、下記式(5’)、下記式(5’’)、下記式(5’’’)で示されるものが挙げられる。
【0067】
疎水性基として、その他にも、以下の構造を有するものが挙げられる。
【0069】
本発明の陰イオン交換樹脂において、2価の親水性基は、単数の芳香環からなる、または、2価の炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価の窒素含有基、2価のリン含有基、2価の酸素含有基、2価の硫黄含有基、もしくは直接結合を介して互いに結合する複数の芳香環からなり、その芳香環には2つのハロゲン原子、擬ハロゲン化物またはボロン酸基が結合した親水性基形成用モノマーにアミノアルキル基(好ましくは三級アミノアルキル基)を導入し、得られたアミノアルキル基含有モノマーのアミノ基(好ましくは三級アミノ基)を四級化させたものの残基により形成される。
【0070】
芳香環としては、例えば、上記した芳香環が挙げられ、好ましくは、ベンゼン環が挙げられる。
【0071】
2価の炭化水素基としては、上記した2価の炭化水素基が挙げられる。
【0072】
また、2価の炭化水素基に結合する芳香環の数は、1つまたは2つであって、好ましくは、2つである。
【0073】
ここで、アミノアルキル基含有モノマーは、その芳香環に少なくとも2つのハロゲン原子、擬ハロゲン化物またはボロン酸基が結合している。その2つのハロゲン原子、擬ハロゲン化物またはボロン酸基の結合位置に関しては、単数の芳香環からなるアミノアルキル基含有モノマーの場合は当該芳香環であり、2つの芳香環を有するアミノアルキル基含有モノマーの場合は各々の芳香環である。
【0074】
なお、アミノアルキル基含有モノマーから、芳香環に結合した2つのハロゲン原子、擬ハロゲン化物またはボロン酸基を除いた残基が、2価の親水性基を形成する。
【0075】
なお、2価の炭化水素基に対して、さらに1つの芳香環が結合する場合には、その炭化水素基は、3価になり、また、さらに2つの芳香環が結合する場合には、その炭化水素基は、4価(炭素数が1の場合には、炭素原子)になる。
【0076】
また、2価の炭化水素基に対して2つの芳香環が結合する場合には、それら芳香環は、例えば、直接結合を介して結合していてもよい。
【0077】
陰イオン交換基は、親水性基において主鎖または側鎖に導入され、アミノアルキル基含有モノマーに導入されたアミノアルキル基のアミノ基を四級化させた四級アンモニウム基である。
【0078】
陰イオン交換基として、好ましくは、−CH
2N
+(CH
3)
3OH
−が挙げられるが、その他にも、以下の構造を有するものが挙げられる。なお、以下の構造式において、*は置換基を含む芳香環に結合する部分(アミノアルキル基のアルキル基部分)を示し、陰イオン(OH
−)は省略している。
【0079】
【化19】
(図中、Alk、Alk’、Alk’’は、上記したアルキル基を示し、iPrはイソプロピル基を示す。)
【0080】
このような陰イオン交換基を有する芳香環としては、上記した芳香環が挙げられ、好ましくは、ベンゼン環が挙げられる。
【0081】
親水性基が複数の芳香環を有する場合には、陰イオン交換基を含む置換基は、それら芳香環の少なくとも1つに置換されていればよく、複数の芳香環に置換されていてもよく、全ての芳香環に置換されていてもよい。また、2価の炭化水素基に対して2つの芳香環が結合する場合には、陰イオン交換基を含む置換基は、それら芳香環の少なくとも1つに置換されていればよく、例えば、側鎖の芳香環の一方に置換されていてもよく、その両方に置換されていてもよい。また、陰イオン交換基を含む置換基は、1つの芳香環に複数個置換されていてもよい。
【0082】
このような親水性基として、好ましくは、下記式(3)で示される、前記陰イオン交換基を含む置換基で置換されているビスフェノール残基、下記式(3’)で示される、前記陰イオン交換基を含む置換基で置換されているo−、m−またはp−フェニレン基が挙げられる。
【0083】
【化20】
(式中、Rは、前記陰イオン交換基を含む置換基で置換されていてもよい、炭化水素基、ケイ素含有基、窒素含有基、リン含有基、酸素含有基、硫黄含有基、芳香族基、または直接結合を示し、Alkは、互いに同一または相異なって、アルキル基を示し、Xは、互いに同一または相異なって、ハロゲン原子または擬ハロゲン化物を示し、Ionは、互いに同一または相異なって、陰イオン交換基を含む置換基を示し、p
1、p
2、q
1、およびq
2は、互いに同一または相異なって、0〜4の整数を示し、r
1、r
2、およびr
3は、互いに同一または相異なって、0〜4の整数を示すとともに、r
1、r
2、およびr
3の少なくとも一つが、1以上を示す。)
【0084】
【化21】
(式中、Alkは、アルキル基を示し、Xは、ハロゲン原子または擬ハロゲン化物を示し、Ionは、陰イオン交換基を含む置換基を示し、p
1およびq
1は、0〜4の整数を示し、r
1は、1〜4の整数を示す。)
【0085】
上記式(3)中、Ionは、互いに同一または相異なって、上記した陰イオン交換基を含む置換基を示し、好ましくは、上記した四級アンモニウム基を示す。
【0086】
上記式(3)中、r
1、r
2、およびr
3は、互いに同一または相異なって、0〜4の整数を示すとともに、r
1、r
2、およびr
3の少なくとも一つが、1以上を示す。
【0087】
なお、上記式(3)において、r
1、r
2、および/またはr
3が、1〜3の範囲である場合には、陰イオン交換基を含む置換基の置換位置は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0088】
上記式(3’)中、Ionは、上記した陰イオン交換基を含む置換基を示し、好ましくは、上記した四級アンモニウム基を示す。
【0089】
上記式(3’)中、sは、1〜4の整数を示す。なお、陰イオン交換基を含む置換基の置換位置は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0090】
親水性基には、上記した式(1)で表される2価の結合性基を導入することができる。2価の結合性基を導入する位置については、適宜選択することができるが、例えば、上記した式(3)のRとして導入することができる。
【0091】
このような親水性基として、好ましくは、下記式(3’’)で示される、前記陰イオン交換基を含む置換基で置換されているビスフェノール残基、下記式(3’’’)で示される、前記陰イオン交換基を含む置換基で置換されているo−、m−またはp−フェニレン基が挙げられる。
【0092】
【化22】
(式中、Alkは、互いに同一または相異なって、アルキル基を示し、Xは、互いに同一または相異なって、ハロゲン原子または擬ハロゲン化物を示し、Ionは、互いに同一または相異なって、陰イオン交換基を含む置換基を示し、p
1、p
2、q
1、およびq
2は、互いに同一または相異なって、0〜4の整数を示し、r
1およびr
2は、互いに同一または相異なって、0〜4の整数を示すとともに、r
1およびr
2の少なくとも一つが、1以上を示し、Z
1〜Z
9は、互いに同一または相異なって、炭素原子またはケイ素原子を示し、R’
1〜R’
10は、互いに同一または相異なって、ケイ素含有基、窒素含有基、リン含有基、酸素含有基、硫黄含有基、または直接結合を示し、X
1〜X
18は、互いに同一または相異なって、ハロゲン原子、擬ハロゲン化物、または水素原子を示し、aは、1以上の整数を示し、b、c、d、e、f、g、hおよびiは、互いに同一または相異なって、0以上の整数を示す。)
【0093】
【化23】
(式中、Alkは、アルキル基を示し、Xは、ハロゲン原子または擬ハロゲン化物を示し、Ionは、陰イオン交換基を含む置換基を示し、p
1、およびq
1は、0〜4の整数を示し、r
1は、1〜4の整数を示し、Z
1〜Z
9は、互いに同一または相異なって、炭素原子またはケイ素原子を示し、R’
1〜R’
10は、互いに同一または相異なって、ケイ素含有基、窒素含有基、リン含有基、酸素含有基、硫黄含有基、または直接結合を示し、X
1〜X
18は、互いに同一または相異なって、ハロゲン原子、擬ハロゲン化物、または水素原子を示し、aは、1以上の整数を示し、b、c、d、e、f、g、hおよびiは、互いに同一または相異なって、0以上の整数を示す。)
【0094】
上記式(3’’)中、Ionは、互いに同一または相異なって、上記した陰イオン交換基を含む置換基を示し、好ましくは、上記した四級アンモニウム基を示す。
【0095】
上記式(3’’)中、r
1およびr
2は、互いに同一または相異なって、0〜4の整数を示すとともに、r
1およびr
2の少なくとも一つが、1以上を示す。
【0096】
なお、上記式(3’’)において、r
1および/またはr
2が、1〜3の範囲である場合には、陰イオン交換基を含む置換基の置換位置は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0097】
上記式(3’’’)中、Ionは、上記した陰イオン交換基を含む置換基を示し、好ましくは、上記した四級アンモニウム基を示す。
【0098】
上記式(3’’’)中、r
1は、1〜4の整数を示す。なお、陰イオン交換基を含む置換基の置換位置は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0099】
親水性基として、その他にも、以下の構造を有するものが挙げられる。
【0100】
【化24】
(式中、Ionは、陰イオン交換基を含む置換基または水素原子を示し、少なくとも1つは陰イオン交換基を含む置換基である。また、1つのベンゼン環構造に複数のIonが結合していてもよい。)
【0101】
このような親水性基として、とりわけ好ましくは、下記式(6)、(6’)、(6’’)で示されるものが挙げられる。
【0102】
【化25】
(式中、Ion’は、陰イオン交換基を含む置換基を示す。)
【0103】
【化26】
(式中、Ion’は、陰イオン交換基を含む置換基を示す。)
【0104】
【化27】
(式中、Ion’およびIon’’は、陰イオン交換基を含む置換基を示す。)
【0105】
また、このような疎水性基は、例えば、下記式(7)、下記式(7’)、下記式(7’’)、下記式(7’’’)、下記式(7’’’’)、あるいは、下記式(7’’’’’)で示される。
【0106】
【化28】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5は、ハロゲン原子または擬ハロゲン化物で置換されていてもよい、炭化水素基、ケイ素含有基、窒素含有基、リン含有基、酸素含有基、硫黄含有基、または直接結合を示し、Xは、互いに同一または相異なって、ハロゲン基または擬ハロゲン基を示し、Alkは、互いに同一または相異なって、アルキル基を示し、p
1、p
2、p
3、p
4、p
5、p
6、q
1、q
2、q
3、q
4、q
5、およびq
6は、互いに同一または相異なって、0〜4の整数を示し、qは、0〜200となる数値を示す。)
【0107】
【化29】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、およびR
6は、ハロゲン原子または擬ハロゲン化物で置換されていてもよい、炭化水素基、ケイ素含有基、窒素含有基、リン含有基、酸素含有基、硫黄含有基、または直接結合を示し、Xは、互いに同一または相異なって、ハロゲン基または擬ハロゲン基を示し、Alkは、互いに同一または相異なって、アルキル基を示し、p
1、p
2、p
3、p
4、p
5、p
6、p
7、q
1、q
2、q
3、q
4、p
5、p
6、およびq
7は、互いに同一または相異なって、0〜4の整数を示し、qは、0〜200となる数値を示す。)
【0108】
【化30】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、およびR
7は、ハロゲン原子または擬ハロゲン化物で置換されていてもよい、炭化水素基、ケイ素含有基、窒素含有基、リン含有基、酸素含有基、硫黄含有基、または直接結合を示し、Xは、互いに同一または相異なって、ハロゲン基または擬ハロゲン基を示し、Alkは、互いに同一または相異なって、アルキル基を示し、p
1、p
2、p
3、p
4、p
5、p
6、p
7、p
8、q
1、q
2、q
3、q
4、q
5、q
6、q
7、およびq
8は、互いに同一または相異なって、0〜4の整数を示し、qは、0〜200となる数値を示す。)
【0109】
【化31】
(式中、R
1、R
2、R
3、およびR
4は、ハロゲン原子または擬ハロゲン化物で置換されていてもよい、炭化水素基、ケイ素含有基、窒素含有基、リン含有基、酸素含有基、硫黄含有基、または直接結合を示し、Xは、互いに同一または相異なって、ハロゲン基または擬ハロゲン基を示し、Alkは、互いに同一または相異なって、アルキル基を示し、p
1、p
2、p
3、p
4、q
1、q
2、q
3、およびq
4は、互いに同一または相異なって、0〜4の整数を示し、Z
1〜Z
9は、互いに同一または相異なって、炭素原子またはケイ素原子を示し、R’
1〜R’
10は、互いに同一または相異なって、ケイ素含有基、窒素含有基、リン含有基、酸素含有基、硫黄含有基、または直接結合を示し、X
1〜X
18は、互いに同一または相異なって、ハロゲン原子、擬ハロゲン化物、または水素原子を示し、aは、1以上の整数を示し、b、c、d、e、f、g、hおよびiは、互いに同一または相異なって、0以上の整数を示し、qは、0〜200となる数値を示す。)
【0110】
【化32】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5は、ハロゲン原子または擬ハロゲン化物で置換されていてもよい、炭化水素基、ケイ素含有基、窒素含有基、リン含有基、酸素含有基、硫黄含有基、または直接結合を示し、Xは、互いに同一または相異なって、ハロゲン基または擬ハロゲン基を示し、Alkは、互いに同一または相異なって、アルキル基を示し、p
1、p
2、p
3、p
4、p
5、q
1、q
2、q
3、q
4、およびq
5は、互いに同一または相異なって、0〜4の整数を示し、Z
1〜Z
9は、互いに同一または相異なって、炭素原子またはケイ素原子を示し、R’
1〜R’
10は、互いに同一または相異なって、ケイ素含有基、窒素含有基、リン含有基、酸素含有基、硫黄含有基、または直接結合を示し、X
1〜X
18は、互いに同一または相異なって、ハロゲン原子、擬ハロゲン化物、または水素原子を示し、aは、1以上の整数を示し、b、c、d、e、f、g、hおよびiは、互いに同一または相異なって、0以上の整数を示し、qは、0〜200となる数値を示す。)
【0111】
【化33】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、およびR
6は、ハロゲン原子または擬ハロゲン化物で置換されていてもよい、炭化水素基、ケイ素含有基、窒素含有基、リン含有基、酸素含有基、硫黄含有基、または直接結合を示し、Xは、互いに同一または相異なって、ハロゲン基または擬ハロゲン基を示し、Alkは、互いに同一または相異なって、アルキル基を示し、p
1、p
2、p
3、p
4、p
5、p
6、q
1、q
2、q
3、q
4、q
5、およびq
6は、互いに同一または相異なって、0〜4の整数を示し、Z
1〜Z
9は、互いに同一または相異なって、炭素原子またはケイ素原子を示し、R’
1〜R’
10は、互いに同一または相異なって、ケイ素含有基、窒素含有基、リン含有基、酸素含有基、硫黄含有基、または直接結合を示し、X
1〜X
18は、互いに同一または相異なって、ハロゲン原子、擬ハロゲン化物、または水素原子を示し、aは、1以上の整数を示し、b、c、d、e、f、g、hおよびiは、互いに同一または相異なって、0以上の整数を示し、qは、0〜200となる数値を示す。)
【0112】
このような疎水性基は、例えば、下記式(8)、下記式(8’)、下記式(8’’)、下記式(8’’’)、下記式(8’’’’)、または下記式(8’’’’’)で示される。
【0113】
【化34】
(式中、qは、0〜200となる数値を示す。)
【0114】
【化35】
(式中、qは、0〜200となる数値を示す。)
【0115】
【化36】
(式中、qは、0〜200となる数値を示す。)
【0116】
【化37】
(式中、qは、0〜200となる数値を示す。)
【0117】
【化38】
(式中、qは、0〜200となる数値を示す。)
【0118】
【化39】
(式中、qは、0〜200となる数値を示す。)
【0119】
本発明の陰イオン交換樹脂では、上記した疎水性基と上記した親水性基とが、直接結合を介して結合している。
【0120】
本発明の陰イオン交換樹脂では、上記した2価の結合性基が、疎水性基および/または親水性基の主鎖中に、2価の炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価の窒素含有基、2価のリン含有基、2価の酸素含有基、2価の硫黄含有基、もしくは直接結合を介して結合している。特に、上記した2価の結合性基が、疎水性基および/または親水性基の主鎖中に直接結合を介して結合していることが好ましく、疎水性基の主鎖中に直接結合を介して結合していることがより好ましい。なお、2価の結合性基が疎水性基の主鎖中に導入された場合、それ全体を疎水性基と称し、2価の結合性基が親水性基の主鎖中に導入された場合、それ全体を親水性基と称する。
【0121】
陰イオン交換樹脂として、好ましくは、下記式(12)で示されるように、上記式(2’’)で示される疎水性基と、上記式(3’)で示されるアミノアルキル基含有基とが直接結合を介して結合された陰イオン交換樹脂、下記式(12’)で示されるように、上記式(2’’)で示される疎水性基と、上記式(3’’)で示されるアミノアルキル基含有基とが直接結合を介して結合された陰イオン交換樹脂、下記式(12’’)で示されるように、上記式(7)で示される疎水性基と、上記式(3’)で示されるアミノアルキル基含有基とが直接結合を介して結合された陰イオン交換樹脂、下記式(12’’’)で示されるように、上記式(7’)で示される疎水性基と、上記式(3’)で示されるアミノアルキル基含有基とが直接結合を介して結合された陰イオン交換樹脂、下記式(12’’’’)で示されるように、上記式(7’’’’)で示される疎水性基と、上記式(3’)で示されるアミノアルキル基含有基とが直接結合を介して結合された陰イオン交換樹脂が挙げられる。
【0122】
【化40】
(式中、Xは、互いに同一または相異なって、ハロゲン基、擬ハロゲン基、またはボロン酸基を示し、Alkは、互いに同一または相異なって、アルキル基を示し、Ionは、互いに同一または相異なって、陰イオン交換基を含む置換基を示し、p
1、p
2、p
3、p
4、q
1、q
2、q
3、およびq
4は、互いに同一または相異なって、0〜4の整数を示し、r
1およびr
2は、互いに同一または相異なって、0〜4の整数を示すとともに、r
1およびr
2の少なくとも一つが、1以上を示し、Z
1〜Z
9は、互いに同一または相異なって、炭素原子またはケイ素原子を示し、R’
1〜R’
10は、互いに同一または相異なって、ケイ素含有基、窒素含有基、リン含有基、酸素含有基、硫黄含有基、または直接結合を示し、X
1〜X
18は、互いに同一または相異なって、ハロゲン原子、擬ハロゲン化物、または水素原子を示し、aは、1以上の整数を示し、b、c、d、e、f、g、hおよびiは、互いに同一または相異なって、0以上の整数を示し、l、m、およびnは配合比を示し、oは、1〜100の数値を示す。)
【0123】
【化41】
(式中、Xは、互いに同一または相異なって、ハロゲン基、擬ハロゲン基、またはボロン酸基を示し、Alkは、互いに同一または相異なって、アルキル基を示し、Ionは、互いに同一または相異なって、陰イオン交換基を含む置換基を示し、p
1、p
2、p
3、p
4、q
1、q
2、q
3、およびq
4は、互いに同一または相異なって、0〜4の整数を示し、r
1およびr
2は、互いに同一または相異なって、0〜4の整数を示すとともに、r
1およびr
2の少なくとも一つが、1以上を示し、Z
1〜Z
9およびZ’
1〜Z’
9は、互いに同一または相異なって、炭素原子またはケイ素原子を示し、R’
1〜R’
10およびR’’
1〜R’’
10は、互いに同一または相異なって、ケイ素含有基、窒素含有基、リン含有基、酸素含有基、硫黄含有基、または直接結合を示し、X
1〜X
18およびX’
1〜X’
18は、互いに同一または相異なって、ハロゲン原子、擬ハロゲン化物、または水素原子を示し、aおよびa’は、1以上の整数を示し、b、c、d、e、f、g、h、i、b’、c’、d’、e’、f’、g’、h’、およびi’は、互いに同一または相異なって、0以上の整数を示し、lおよびmは配合比を示し、oは、1〜100の数値を示す。)
【0124】
【化42】
(式中、Xは、互いに同一または相異なって、ハロゲン基、擬ハロゲン基、またはボロン酸基を示し、Alkは、互いに同一または相異なって、アルキル基を示し、Ionは、互いに同一または相異なって、陰イオン交換基を含む置換基を示し、p
1、p
2、p
3、p
4、p
5、p
6、p
7、p
8、q
1、q
2、q
3、q
4、q
5、q
6、q
7、およびq
8は、互いに同一または相異なって、0〜4の整数を示し、r
1およびr
2は、互いに同一または相異なって、0〜4の整数を示すとともに、r
1およびr
2の少なくとも一つが、1以上を示し、qは、0〜200となる数値を示し、l、m、およびnは配合比を示し、oは、1〜100の数値を示す。)
【0125】
【化43】
(式中、Xは、互いに同一または相異なって、ハロゲン基、擬ハロゲン基、またはボロン酸基を示し、Alkは、互いに同一または相異なって、アルキル基を示し、Ionは、互いに同一または相異なって、陰イオン交換基を含む置換基を示し、p
1、p
2、p
3、p
4、p
5、p
6、p
7、p
8、p
9、q
1、q
2、q
3、q
4、q
5、q
6、q
7、q
8、およびq
9は、互いに同一または相異なって、0〜4の整数を示し、r
1およびr
2は、互いに同一または相異なって、0〜4の整数を示すとともに、r
1およびr
2の少なくとも一つが、1以上を示し、qは、0〜200となる数値を示し、l、m、およびnは配合比を示し、oは、1〜100の数値を示す。)
【0126】
【化44】
(式中、Xは、互いに同一または相異なって、ハロゲン基、擬ハロゲン基、またはボロン酸基を示し、Alkは、互いに同一または相異なって、アルキル基を示し、Ionは、互いに同一または相異なって、陰イオン交換基を含む置換基を示し、p
1、p
2、p
3、p
4、p
5、p
6、p
7、q
1、q
2、q
3、q
4、q
5、q
6、およびq
7は、互いに同一または相異なって、0〜4の整数を示し、r
1およびr
2は、互いに同一または相異なって、0〜4の整数を示すとともに、r
1およびr
2の少なくとも一つが、1以上を示し、Z
1〜Z
9は、互いに同一または相異なって、炭素原子またはケイ素原子を示し、R’
1〜R’
10は、互いに同一または相異なって、ケイ素含有基、窒素含有基、リン含有基、酸素含有基、硫黄含有基、または直接結合を示し、X
1〜X
18は、互いに同一または相異なって、ハロゲン原子、擬ハロゲン化物、または水素原子を示し、aは、1以上の整数を示し、b、c、d、e、f、g、hおよびiは、互いに同一または相異なって、0以上の整数を示し、qは、0〜200となる数値を示し、l、m、およびnは配合比を示し、oは、1〜100の数値を示す。)
【0127】
なお、陰イオン交換樹脂の数平均分子量が、10〜1000kDa、好ましくは、30〜500kDaとなるように、調整される。
【0128】
このような陰イオン交換樹脂として、とりわけ好ましくは、下記式(13)で示されるように、上記式(5’’)で示される疎水性基と、上記式(6’)および上記式(6)で示されるアミノアルキル基含有基とが直接結合を介して結合された陰イオン交換樹脂、下記式(13’)で示されるように、上記式(5’’’)で示される疎水性基と、上記式(6’)および上記式(6)で示されるアミノアルキル基含有基とが直接結合を介して結合された陰イオン交換樹脂、下記式(13’’)で示されるように、上記式(5’’)で示される疎水性基と、上記式(6’’)で示されるアミノアルキル基含有基とが直接結合を介して結合された陰イオン交換樹脂、下記式(13’’’)で示されるように、上記式(8’’)で示される疎水性基と、上記式(6’)および上記式(6)で示されるアミノアルキル基含有基とが直接結合を介して結合された陰イオン交換樹脂、下記式(13’’’’)で示されるように、上記式(8’’’)で示される疎水性基と、上記式(6’)および上記式(6)で示されるアミノアルキル基含有基とが直接結合を介して結合された陰イオン交換樹脂、下記式(13’’’’’)で示されるように、上記式(8’’’’’)で示される疎水性基と、上記式(6’)および上記式(6)で示されるアミノアルキル基含有基とが直接結合を介して結合された陰イオン交換樹脂が挙げられる。
【0129】
【化45】
(式中、Ion’およびIon’’は、互いに同一または相異なって、上記式(6)のIon’と同意義を示し、l、m、n、およびoは、上記式(12)のl、m、n、およびoと同意義を示す。)
【0130】
【化46】
(式中、Ion’およびIon’’は、互いに同一または相異なって、上記式(6)のIon’と同意義を示し、l、m、n、およびoは、上記式(12)のl、m、n、およびoは、上記式(12)のoと同意義を示す。)
【0131】
【化47】
(式中、Ion’およびIon’’は、互いに同一または相異なって、上記式(6)のIon’と同意義を示し、l、m、およびoは、上記式(12)のl、m、およびoと同意義を示す。)
【0132】
【化48】
(式中、Ion’およびIon’’は、互いに同一または相異なって、上記式(6)のIon’と同意義を示し、q、l、m、n、およびoは、上記式(12)のq、l、m、n、およびoと同意義を示す。)
【0133】
【化49】
(式中、Ion’およびIon’’は、互いに同一または相異なって、上記式(6)のIon’と同意義を示し、q、l、m、n、およびoは、上記式(12)のq、l、m、n、およびoと同意義を示す。)
【0134】
【化50】
(式中、Ion’およびIon’’は、互いに同一または相異なって、上記式(6)のIon’と同意義を示し、q、l、m、n、およびoは、上記式(12)のq、l、m、n、およびoと同意義を示す。)
【0135】
このような陰イオン交換樹脂の数平均分子量は、上記したように、例えば、10〜1000kDa、好ましくは、30〜500kDaである。
【0136】
陰イオン交換樹脂を製造する方法としては、特に制限されず、公知の方法を採用することができる。好ましくは、重縮合反応による方法が、採用される。
【0137】
具体的には、(A)疎水性基形成用モノマーまたは疎水性基形成用オリゴマーを準備し、(B)アミノアルキル基含有モノマーを準備し、(C)疎水性基形成用モノマーまたは疎水性基形成用オリゴマーとアミノアルキル基含有モノマーとを反応(クロスカップリング反応による重合)させてポリマーを合成し、(D)ポリマー中のアミノ基を四級化させることで、陰イオン交換樹脂を製造することができる。
【0138】
疎水性基形成用モノマーとしては、単数の芳香環、または、2価の炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価の窒素含有基、2価のリン含有基、2価の酸素含有基、2価の硫黄含有基、もしくは直接結合を介して互いに結合する複数の芳香環からなり、その芳香環には2つのハロゲン原子、擬ハロゲン化物またはボロン酸基が結合したものを用いることができる。
【0139】
疎水性基形成用オリゴマーは、疎水性基を形成するための化合物重縮合反応させることで得られる。好ましくは、疎水性基を形成するためのジオール化合物とジハロゲン化化合物を重縮合反応させ、さらに必要に応じて連結基を重縮合反応させること、疎水性基を形成するためのジハロゲン化物同士を重縮合反応させ、さらに必要に応じて連結基を重縮合反応させることで得られる。
【0140】
重縮合反応については、従来公知の一般的な方法を採用することができる。好ましくは、求核置換反応、芳香族求核置換反応、クロスカップリングが採用される。
【0141】
疎水性基形成用オリゴマーを製造するには、まず、疎水性基を形成するためのジオール化合物とジハロゲン化化合物とを重縮合反応させる。
【0142】
疎水性基を形成するためのジオール化合物としては、例えば、上記した2価の炭化水素基を介して互いに結合する複数(好ましくは、2つ)の上記した芳香環と、その芳香環に結合された2つの水酸基とを含有する化合物が挙げられる。
【0143】
疎水性基を形成するためのジオール化合物として、好ましくは、上記式(2)に対応する、下記式(14)で示される化合物が挙げられる。
【0144】
【化51】
(式中、Rは、上記式(2)のRと同意義を示し、Alkは、上記式(2)のAlkと同意義を示し、Xは、上記式(2)のXと同意義を示し、p
1、p
2、q
1、およびq
2は、上記式(2)のp
1、p
2、q
1、およびq
2と同意義を示す。)
【0145】
また、疎水性基を形成するためのジオール化合物として、とりわけ好ましくは、上記式(5)、上記式(5’)、および上記式(4’’)に対応する、下記式(14’)、下記式(14’’)、および下記式(14’’’)で示される化合物が挙げられる。
【0149】
一方、疎水性基を形成するためのジハロゲン化化合物としては、例えば、上記した2価の炭化水素基を介して互いに結合する複数(好ましくは、2つ)の上記した芳香環と、その芳香環に結合された2つの上記したハロゲン原子または擬ハロゲン化物とを含有する化合物が挙げられる。
【0150】
疎水性基を形成するためのジハロゲン化化合物として、好ましくは、上記式(2)に対応する、下記式(15)で示される化合物が挙げられる。
【0151】
【化55】
(式中、Rは、上記式(2)のRと同意義を示し、Alkは、上記式(2)のAlkと同意義を示し、Xは、上記式(2)のXと同意義を示し、X’およびX’’は、互いに同一または相異なって、ハロゲン基、擬ハロゲン基、またはボロン酸基を示し、p
1、p
2、q
1、およびq
2は、上記式(2)のp
1、p
2、q
1、およびq
2と同意義を示す。)
【0152】
また、疎水性基を形成するためのジハロゲン化化合物として、とりわけ好ましくは、上記式(4)および上記式(4’)に対応する、下記式(16)および下記式(16’)で示される化合物が挙げられる。
【0155】
疎水性基を形成するための重縮合反応において、これら疎水性基を形成するためのジオール化合物とジハロゲン化化合物との配合比は、得られるオリゴマー(第1オリゴマー)における繰り返し単位数が、上記式(12)、上記式(12’)または上記式(12’’)におけるqになるように調整される。
【0156】
このような第1オリゴマーは、ジハロゲン化化合物またはジオール化合物として形成される。
【0157】
第1オリゴマーをジハロゲン化化合物として形成する場合には、ジオール化合物と、ジハロゲン化化合物との配合比は、ジハロゲン化化合物が過剰となるように調整される。具体的には、ジオール化合物1モルに対して、ジハロゲン化化合物が、上記式(7)におけるqとの関係において、好ましくは、(q+1)/qモルである。
【0158】
一方、第1オリゴマーをジオール化合物として形成する場合には、ジオール化合物と、ジハロゲン化化合物との配合比は、ジオール化合物が過剰となるように調整される。具体的には、ジハロゲン化化合物1モルに対して、ジオール化合物が、上記式(7)におけるqとの関係において、好ましくは、(q+1)/qモルである。
【0159】
そして、この方法では、これら疎水性基を形成するためのジオール化合物およびジハロゲン化化合物を、有機溶媒中で重縮合反応させる。
【0160】
有機溶媒としては、例えば、極性非プロトン性溶媒が挙げられる。
【0161】
極性非プロトン性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ピリジン、N−メチルピロリドン、N−シクロヘキシルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。
【0162】
これら極性非プロトン性溶媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0163】
極性非プロトン性溶媒として、好ましくは、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドが挙げられる。
【0164】
また、有機溶媒としては、さらに、その他の溶媒を併用することができる。
【0165】
その他の溶媒としては、特に制限されず、公知の非極性溶媒(例えば、脂肪族炭化水素類、ハロゲン化脂肪族炭化水素(例えば、クロロホルムなど)、脂環式炭化水素類(例えば、シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素類)や、公知の非プロトン性芳香族系溶媒(例えば、トルエン、キシレン、クロロベンゼンまたはo−ジクロロベンゼンなど)などが挙げられる。
【0166】
なお、極性非プロトン性溶媒とその他の溶媒とを併用する場合において、それらの配合割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0167】
また、疎水性基を形成するためのジオール化合物およびジハロゲン化化合物に対する、有機溶媒の配合割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0168】
また、重縮合反応では、塩基性化合物を配合することができる。
【0169】
塩基性化合物としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、などの炭酸塩、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの金属水酸化物、例えば、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素カリウム、リン酸二水素カリウムなどのリン酸塩などが挙げられる。
【0170】
これら塩基性化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0171】
塩基性化合物として、好ましくは、金属炭酸塩、より好ましくは、炭酸カリウムが挙げられる。
【0172】
なお、塩基性化合物の配合量は、例えば、炭酸塩触媒の場合、反応混合物中に存在する水酸基と等モル以上、好ましくは1.2倍モル以上である。
【0173】
重縮合反応における反応温度は、例えば、50〜300℃、好ましくは、50〜200℃であり、反応時間は、例えば、1〜20時間、好ましくは、2〜5時間である。
【0174】
このような第1オリゴマーは、好ましくは、上記したように、上記式(14)で示されるジオール化合物と、上記式(15)で示されるジハロゲン化化合物との反応により、ジハロゲン化化合物として得られる。
【0175】
このようなジハロゲン化化合物は、具体的には、下記式(17)で示される。
【0176】
【化58】
(式中、R
1〜R
5は、上記式(7)のR
1〜R
5と同意義を示し、Alkは、上記式(2)のAlkと同意義を示し、Xは、上記式(2)のXと同意義を示し、X’およびX’’は、上記式(15)のX’およびX’’と同意義を示し、p
1〜p
6およびq
1〜q
6は、上記式(7)のp
1〜p
6およびq
1〜q
6と同意義を示し、qは、上記式(7)のqと同意義を示す。)
【0177】
また、第1オリゴマーは、とりわけ好ましくは、下記式(18)および下記式(18’)で示されるジハロゲン化化合物が挙げられる。
【0178】
【化59】
(式中、qは、上記式(7)のqと同意義を示す。)
【0179】
【化60】
(式中、qは、上記式(7)のqと同意義を示す。)
【0180】
また、ジハロゲン化化合物として得られる第1オリゴマーが結合性基を含む場合、好ましくは、上記したように、上記式(1)で示される結合性基を含む、ジオール化合物と、上記式(15)で示されるジハロゲン化化合物との反応により、ジハロゲン化化合物として得られる。
【0181】
このような結合性基を含むジハロゲン化化合物は、具体的には、下記式(17’)で示される。
【0182】
【化61】
(式中、R
1〜R
4は、上記式(7)のR
1〜R
4と同意義を示し、R’
1〜R’
10は、上記式(1)のR’
1〜R’
10と同意義を示し、Alkは、上記式(2)のAlkと同意義を示し、Xは、上記式(2)のXと同意義を示し、X
1〜X
18は、上記式(1)のX
1〜X
18と同意義を示し、X’およびX’’は、上記式(15)のX’およびX’’と同意義を示し、Z
1〜Z
9は、上記式(1)のZ
1〜Z
9と同意義を示し、a、b、c、d、e、f、g、hおよびiは、上記式(1)のa、b、c、d、e、f、g、hおよびiと同意義を示し、p
1〜p
4およびq
1〜q
4は、上記式(7)のp
1〜p
4およびq
1〜q
4と同意義を示し、qは、上記式(7)のqと同意義を示す。)
【0183】
また、このようなフッ素含有基を含む第1オリゴマーは、とりわけ好ましくは、下記式(18’’)で示されるジハロゲン化化合物が挙げられる。
【0184】
【化62】
(式中、qは、上記式(7)のqと同意義を示す。)
【0185】
また、例えば、第1オリゴマーは、上記したように、上記式(15)で示されるジハロゲン化化合物と、上記式(14)で示されるジオール化合物との反応により、ジオール化合物として得ることもできる。
【0186】
このようなジオール化合物は、具体的には、下記式(17’’)で示される。
【0187】
【化63】
(式中、R
1〜R
5は、上記式(7)のR
1〜R
5と同意義を示し、Alkは、上記式(2)のAlkと同意義を示し、Xは、上記式(2)のXと同意義を示し、p
1〜p
6およびq
1〜q
6は、上記式(7)のp
1〜p
6およびq
1〜q
6と同意義を示し、qは、上記式(7)のqと同意義を示す。)
【0188】
また、ジオール化合物として得られる第1オリゴマーが結合性基を含む場合、好ましくは、上記したように、上記式(1)で示される結合性基を含む、ジオール化合物と、上記式(15)で示されるジハロゲン化化合物との反応により、ジオール化化合物として得られる。
【0189】
このような結合性基を含むジオール化化合物は、具体的には、下記式(17’’’)で示される。
【0190】
【化64】
(式中、R
1〜R
3は、上記式(7)のR
1〜R
3と同意義を示し、R’
1〜R’
10は、上記式(1)のR’
1〜R’
10と同意義を示し、Alkは、上記式(2)のAlkと同意義を示し、Xは、上記式(2)のXと同意義を示し、X
1〜X
18は、上記式(1)のX
1〜X
18と同意義を示し、Z
1〜Z
9は、上記式(1)のZ
1〜Z
9と同意義を示し、a、b、c、d、e、f、g、hおよびiは、上記式(1)のa、b、c、d、e、f、g、hおよびiと同意義を示し、p
1〜p
4およびq
1〜q
4は、上記式(7)のp
1〜p
4およびq
1〜q
4と同意義を示し、qは、上記式(7)のqと同意義を示す。)
【0191】
また、例えば、上記式(17’’)において、フッ素含有基がジハロゲン化化合物である場合、下記式(17’’’’)で示されるジハロゲン化化合物、または、上記式(17’)において、フッ素含有基がジハロゲン化化合物である場合、下記式(17’’’’’)で示されるジオール化合物として得ることができる。
【0192】
【化65】
(式中、R
1〜R
3は、上記式(7)のR
1〜R
3と同意義を示し、R’
1〜R’
10は、上記式(1)のR’
1〜R’
10と同意義を示し、Alkは、上記式(2)のAlkと同意義を示し、Xは、上記式(2)のXと同意義を示し、X
1〜X
18は、上記式(1)のX
1〜X
18と同意義を示し、X’およびX’’は、上記式(15)のX’およびX’’と同意義を示し、Z
1〜Z
9は、上記式(1)のZ
1〜Z
9と同意義を示し、a、b、c、d、e、f、g、hおよびiは、上記式(1)のa、b、c、d、e、f、g、hおよびiと同意義を示し、p
1〜p
4およびq
1〜q
4は、上記式(7)のp
1〜p
4およびq
1〜q
4と同意義を示し、qは、上記式(7)のqと同意義を示す。)
【0193】
【化66】
(式中、R
1〜R
4は、上記式(7)のR
1〜R
4と同意義を示し、R’
1〜R’
10は、上記式(1)のR’
1〜R’
10と同意義を示し、Alkは、上記式(2)のAlkと同意義を示し、Xは、上記式(2)のXと同意義を示し、X
1〜X
18は、上記式(1)のX
1〜X
18と同意義を示し、Z
1〜Z
9は、上記式(1)のZ
1〜Z
9と同意義を示し、a、b、c、d、e、f、g、hおよびiは、上記式(1)のa、b、c、d、e、f、g、hおよびiと同意義を示し、p
1〜p
4およびq
1〜q
4は、上記式(7)のp
1〜p
4およびq
1〜q
4と同意義を示し、qは、上記式(7)のqと同意義を示す。)
【0194】
疎水性基が、親水性基と直接結合を形成する場合、疎水性基形成用オリゴマーは、例えば、ジハロゲン化化合物である第1オリゴマーに、疎水性基を形成するために、親水性基との連結基としてハロゲン化フェノール化合物を重縮合反応させることで製造できる。
【0195】
疎水性基を形成するためのハロゲン化フェノール化合物として、好ましくは、下記式(19)または(19’)で示される化合物が挙げられる。
【0196】
【化67】
(式中、Alkは、上記式(2)のAlkと同意義を示し、X’は、上記式(15)のX’およびX’’と同意義を示し、iおよびkは0〜4の整数を示す。)
【0197】
【化68】
(式中、Rは、上記式(2)のRと同意義を示し、Alkは、上記式(2)のAlkと同意義を示し、X’は、上記式(15)のX’およびX’’と同意義を示し、i、j、k、およびlは、互いに同一または相異なって、0〜4の整数を示す。)
【0198】
疎水性基を形成するためのハロゲン化フェノール化合物として、とりわけ好ましくは、下記式(19’’)で示される化合物が挙げられる。
【化69】
【0199】
疎水性基形成用オリゴマーは、好ましくは、上記式(17)で示されるジハロゲン化化合物と、上記式(19)で示されるハロゲン化フェノール化合物との反応により、ジハロゲン化化合物として得られる。
【0200】
このようなジハロゲン化化合物は、具体的には、下記式(20)で示される。
【0201】
【化70】
(式中、R
1〜R
6は、上記式(7’)のR
1〜R
6と同意義を示し、Alkは、上記式(2)のAlkと同意義を示し、Xは、上記式(2)のXと同意義を示し、X’およびX’’は、上記式(15)のX’およびX’’と同意義を示し、p
1〜p
7およびq
1〜q
7は、上記式(7’)のp
1〜p
7およびq
1〜q
7と同意義を示し、qは、上記式(7)のqと同意義を示す。)
【0202】
また、疎水性基形成用オリゴマーは、とりわけ好ましくは、上記式(18)で示されるジハロゲン化化合物と、上記式(19’’)で示されるハロゲン化フェノール化合物との反応により、ジハロゲン化化合物として得られる。
【0203】
このようなジハロゲン化化合物は、具体的には、下記式(20’)で示される。
【0204】
【化71】
(式中、qは、上記式(7)のqと同意義を示す。)
【0205】
疎水性基形成用オリゴマーが結合性基を含む場合、好ましくは、上記式(17’)で示される結合性基を含むジハロゲン化化合物と、上記式(19)で示されるハロゲン化フェノール化合物との反応により、結合性基を含むジハロゲン化化合物として得られる。
【0206】
このような結合性基を含むジハロゲン化化合物は、具体的には、下記式(20’’)で示される。
【0207】
【化72】
(式中、R
1〜R
5は、上記式(7’)のR
1〜R
5と同意義を示し、R’
1〜R’
10は、上記式(1)のR’
1〜R’
10と同意義を示し、Alkは、上記式(2)のAlkと同意義を示し、Xは、上記式(2)のXと同意義を示し、X
1〜X
18は、上記式(1)のX
1〜X
18と同意義を示し、X’およびX’’は、上記式(15)のX’およびX’’と同意義を示し、Z
1〜Z
9は、上記式(1)の
1〜Z
9と同意義を示し、a、b、c、d、e、f、g、hおよびiは、上記式(1)のa、b、c、d、e、f、g、hおよびiと同意義を示し、p
1〜p
5およびq
1〜q
5は、上記式(7’)のp
1〜p
5およびq
1〜q
5と同意義を示し、qは、上記式(7)のqと同意義を示す。)
【0208】
疎水性基が、親水性基と直接結合を形成する場合、疎水性基形成用オリゴマーは、例えば、ジオール化合物である第1オリゴマーに、疎水性基を形成するために、親水性基との連結基としてジハロゲン化ベンゼン化合物を重縮合反応させることで製造できる。
【0209】
疎水性基を形成するためのジハロゲン化ベンゼン化合物として、好ましくは、下記式(19a)または(19a’)で示される化合物が挙げられる。
【0210】
【化73】
(式中、Alkは、上記式(2)のAlkと同意義を示し、Xは、上記式(2)のXと同意義を示し、X’およびX’’は、上記式(15)のX’およびX’’と同意義を示し、iおよびkは、互いに同一または相異なって、0〜4の整数を示す。)
【0211】
【化74】
(式中、Rは、上記式(2)のRと同意義を示し、Alkは、上記式(2)のAlkと同意義を示し、Xは、上記式(2)のXと同意義を示し、X’およびX’’は、上記式(15)のX’およびX’’と同意義を示し、i、j、kおよびlは、互いに同一または相異なって、0〜4の整数を示す。)
【0212】
疎水性基を形成するためのジハロゲン化ベンゼン化合物として、とりわけ好ましくは、下記式(19a’’)で示される化合物が挙げられる。
【0214】
また、直接結合を形成する第1オリゴマーを製造するには、まず、疎水性基を形成するためのジハロゲン化化合物を互いにクロスカップリング反応させる。
【0215】
疎水性基を形成するためのジハロゲン化化合物としては、例えば、上記式(19a)で示される、2価の炭化水素基を介して互いに結合する複数(好ましくは、2つ)の上記した芳香環と、その芳香環に結合された2つのハロゲノ基とを含有する化合物が挙げられる。
【0216】
アミノアルキル基含有モノマーとしては、単数の芳香環、または、2価の炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価の窒素含有基、2価のリン含有基、2価の酸素含有基、2価の硫黄含有基、もしくは直接結合を介して互いに結合する複数の芳香環からなり、その芳香環には2つのハロゲン原子、擬ハロゲン化物またはボロン酸基が結合し、芳香環のうち少なくとも1つがアミノアルキル基を有するものを用いることができる。
【0217】
このようなアミノアルキル基含有モノマーとして、好ましくは、上記式(3)に対応する、下記式(21)で示される化合物、および上記式(3’)に対応する、下記式(21’)で示される化合物が挙げられる。
【0218】
【化76】
(式中、Rは、上記式(3)のRと同意義を示し、Alkは、上記式(3)のAlkと同意義を示し、Xは、上記式(3)のXと同意義を示し、X’およびX’’は、上記式(15)のX’およびX’’と同意義を示し、Amineは、互いに同一または相異なって、アミノアルキル基を含む置換基を示し、p
1、p
2、q
1、q
2、r
1、r
2、およびr
3は、上記式(3)のp
1、p
2、q
1、q
2、r
1、r
2、およびr
3と同意義を示す。)
【0219】
【化77】
(式中、Alkは、上記式(3)のAlkと同意義を示し、Xは、上記式(3)のXと同意義を示し、X’およびX’’は、上記式(15)のX’およびX’’と同意義を示し、Amineは、互いに同一または相異なって、アミノアルキル基を含む置換基を示し、p
1、q
1、およびr
1は、上記式(3)のp
1、q
1、およびr
1と同意義を示す。)
【0220】
このようなアミノアルキル基含有モノマーとして、とりわけ好ましくは、下記式(22)、(22’)、(22’’)が挙げられる。
【0221】
【化78】
(式中、X’およびX’’は、上記式(15)のX’およびX’’と同意義を示し、Amine’は、アミノアルキル基を含む置換基を示す。)
【0222】
【化79】
(式中、X’およびX’’は、上記式(15)のX’およびX’’と同意義を示し、Amine’は、アミノアルキル基を含む置換基を示す。)
【0223】
【化80】
(式中、X’およびX’’は、上記式(15)のX’およびX’’と同意義を示し、Amine’およびAmine’’は、アミノアルキル基を含む置換基を示す。)
【0224】
上記の疎水性基形成用モノマーまたは疎水性基形成用オリゴマーを準備し、上記のアミノアルキル基含有モノマーを準備した後は、両者を反応(クロスカップリング反応による重合)させてポリマーを合成する。
【0225】
クロスカップリング反応において、アミノアルキル基含有モノマーの配合量は、得られる陰イオン交換樹脂前駆体ポリマーにおける親水性基の繰り返し単位数が、上記式(12)または式(12’)におけるmになるように調整される。
【0226】
この方法では、疎水性基形成用モノマーまたは疎水性基形成用オリゴマーと、アミノアルキル基含有モノマーを、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの溶媒に溶解させ、ビス(シクロオクタ−1,5−ジエン)ニッケル(0)などを触媒として、重合する方法など、公知の方法を採用することができる。
【0227】
クロスカップリング反応における反応温度は、例えば、−100〜300℃、好ましくは、−50〜200℃であり、反応時間は、例えば、1〜20時間、好ましくは、2〜5時間である。
【0228】
そして、得られたポリマー中のアミノ基を四級化させることで、陰イオン交換樹脂を製造する。
【0229】
四級化反応としては、特に制限されず、例えば、陰イオン交換樹脂前駆体ポリマーを、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ピリジン、N−メチルピロリドン、N−シクロヘキシルピロリドン、メタノール、エタノール、水、などの溶媒、およびヨウ化メチル、硫酸ジメチル、トリフルオロメタンスルホン酸メチルなどの化合物を加える方法など、公知の方法を採用することができる。
【0230】
四級化反応における反応温度は、例えば、20〜100℃、好ましくは、30〜60℃であり、反応時間は、例えば、24〜200時間、好ましくは、36〜120時間である。
【0231】
また、この方法では、必要により、上記のヨウ化メチル、硫酸ジメチル、トリフルオロメタンスルホン酸メチルなどを、公知の方法により除去する。
【0232】
四級化反応では、陰イオン交換樹脂前駆体ポリマーを、必要により公知の方法で製膜し、例えば、ヨウ化メチル、硫酸ジメチル、トリフルオロメタンスルホン酸メチルなどの化合物を含むN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ピリジン、N−メチルピロリドン、N−シクロヘキシルピロリドン、メタノール、エタノール、水、などの溶液中に浸漬することもできる。
【0233】
これにより、陰イオン交換樹脂、好ましくは、上記式(12)で示される陰イオン交換樹脂または上記式(12’)で示される陰イオン交換樹脂、とりわけ好ましくは、上記式(13)で示される陰イオン交換樹脂、上記式(13’)で示される陰イオン交換樹脂、上記式(13’’)で示される陰イオン交換樹脂、または上記式(13’’’)で示される陰イオン交換樹脂が得られる。
【0234】
また、陰イオン交換樹脂のイオン交換基容量は、例えば、0.1〜4.0meq./g、好ましくは、0.6〜3.0meq./gである。
【0235】
なお、イオン交換基容量は、下記式(24)により求めることができる。
[イオン交換基容量(meq./g)]=親水性基当たりの陰イオン交換基導入量×親水性基の繰り返し単位×1000/(疎水性基の分子量×疎水性基の繰り返し単位数+親水性基の分子量×親水性基の繰り返し単位数+イオン交換基の分子量×親水性基の繰り返し単位数) (24)
なお、イオン交換基導入量とは、単位親水性基あたりのイオン交換基の数と定義される。また、陰イオン交換基導入量は、親水性基において主鎖または側鎖に導入された上記陰イオン交換基のモル数(mol)である。
【0236】
そして、このような陰イオン交換樹脂では、単数の芳香環、または、2価の炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価の窒素含有基、2価のリン含有基、2価の酸素含有基、2価の硫黄含有基、もしくは直接結合を介して互いに結合する複数の芳香環からなる、あるいは、2価の炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価の窒素含有基、2価のリン含有基、2価の酸素含有基、2価の硫黄含有基、もしくは直接結合を介して互いに結合する複数の芳香環が、2価の炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価の窒素含有基、2価のリン含有基、2価の酸素含有基、2価の硫黄含有基、もしくは直接結合を介して繰り返し結合した疎水性基と、単数の芳香環、または、2価の炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価の窒素含有基、2価のリン含有基、2価の酸素含有基、2価の硫黄含有基、もしくは直接結合を介して互いに結合する複数の芳香環からなり、四級アミノアルキル基を有する親水性基とを有し、前記疎水性基と前記親水性基とが直接結合を介して結合されている。このような陰イオン交換樹脂は、化学的特性(耐久性)に優れる。
【0237】
特に、親水性基が直接結合を介して繰り返される場合、エーテル結合が含有されていないため、耐アルカリ性などの耐久性に優れる。より詳しくは、親水性基がエーテル結合を介して繰り返されると、下記のように、水酸化物イオン(OH
−)による分解が起きる可能性があり、耐アルカリ性が十分でない場合があった。
【化81】
【0238】
それに対し、親水性基が直接結合を介して繰り返される陰イオン交換樹脂の場合には、上記の機構による分解は起こらず、その結果として耐アルカリ性などの耐久性に優れたものとなる。
【0239】
特に、イオン交換基を含有しない疎水部構造の選択幅が大きく広がる。これにより、疎水部構造は、反応活性の高低に左右されず、物理的性質(導電率)や化学的安定性を高める構造を選択することができる。また、上記の製造方法によれば、ポリマー化より前にイオン交換基前駆基を導入することができるため、導入位置および導入量の制御を容易にすることができる。さらに、環境負荷の大きい試薬であるテトラクロロエタンや、クロロメチルメチルエーテル等を使用せずに合成を行うことができる。
【0240】
本発明は、このような陰イオン交換樹脂を用いて得られる燃料電池用電解質層(燃料電池用電解質膜)、さらには、その燃料電池用電解質層を電解質層として備える燃料電池を、含んでいる。
【0241】
図1は、本発明の燃料電池の一実施形態を示す概略構成図である。
図1において、この燃料電池1は、燃料電池セルSを備えており、燃料電池セルSは、燃料側電極2、酸素側電極3および電解質膜4を備え、燃料側電極2および酸素側電極3が、それらの間に電解質膜4を挟んだ状態で、対向配置されている。
【0242】
電解質膜4としては、上記した陰イオン交換樹脂を用いることができる(すなわち、電解質膜4は、上記した陰イオン交換樹脂を含んでいる。)。
【0243】
なお、電解質膜4としては、例えば、多孔質基材などの公知の補強材により補強することができ、さらには、例えば、分子配向などを制御するための二軸延伸処理や、結晶化度や残存応力を制御するための熱処理などの各種処理することができる。また、電解質膜4には、その機械強度を上げるために、公知のフィラーを添加することができ、電解質膜4と、ガラス不織布などの補強剤とをプレスにより複合化させることもできる。
【0244】
また、電解質膜4において、通常用いられる各種添加剤、例えば、相溶性を向上させるための相溶化剤、例えば、樹脂劣化を防止するための酸化防止剤、例えば、フィルムとしての成型加工における取扱性を向上するための帯電防止剤や滑剤などを、電解質膜4としての加工や性能に影響を及ぼさない範囲で、適宜含有させることができる。
【0245】
電解質膜4の厚さは、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0246】
電解質膜4の厚みは、例えば、1.2〜350μm、好ましくは、5〜200μmである。
【0247】
燃料側電極2は、電解質膜4の一方の面に対向接触されている。この燃料側電極2は、例えば、多孔質担体に触媒が担持されている触媒層(電池電極触媒層)を含んでいる。
【0248】
多孔質担体としては、特に限定されず、カーボンなどの、撥水性担体が挙げられる。
【0249】
電極触媒としては、特に制限されず、例えば、白金族元素(Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt)、鉄族元素(Fe、Co、Ni)などの周期表第8〜10(IUPAC Periodic Table of the Elements(version date 19 February 2010)に従う。以下同じ。)族元素や、例えば、Cu、Ag、Auなどの周期表第11族元素など、さらにはこれらの組み合わせなどが挙げられ、好ましくは、Pt(白金)が挙げられる。
【0250】
燃料側電極2は、例えば、上記多孔質単体および触媒を、公知の電解質溶液に分散させ、電極インクを調製する。次いで、必要により、電極インクの粘度を、アルコール類などの適量の有機溶媒を配合することにより調整し、その後、電極インクを、公知の方法(例えば、スプレー法、ダイコーター法など)により電解質膜4の一方面に塗布し、所定の温度で乾燥させることにより、薄膜状の電極膜として電解質膜4の一方面に接合される。
【0251】
燃料側電極2における電極触媒の担持量は、特に限定されないが、例えば、0.1〜10.0mg/cm
2、好ましくは、0.5〜5.0mg/cm
2である。
【0252】
燃料側電極2では、後述するように、供給される燃料と、電解質膜4を通過した水酸化物イオン(OH
−)とを反応させて、電子(e
−)および水(H
2O)を生成させる。なお、例えば、燃料が水素(H
2)である場合には、電子(e
−)および水(H
2O)のみを生成させ、燃料がアルコールである場合には、電子(e
−)および水(H
2O)、および二酸化炭素(CO
2)などを生成させ、燃料がヒドラジン(NH
2NH
2)である場合には、電子(e
−)、水(H
2O)および窒素(N
2)を生成させる。
【0253】
酸素側電極3は、電解質膜4の他方の面に対向接触されている。この酸素側電極3は、例えば、多孔質担体に触媒が担持されている触媒層(電池電極触媒層)を含んでいる。
【0254】
酸素側電極3は、例えば、上記多孔質単体および触媒を、公知の電解質溶液に分散させ、電極インクを調製する。次いで、必要により、電極インクの粘度を、アルコール類などの適量の有機溶媒を配合することにより調整し、その後、電極インクを、公知の方法(例えば、スプレー法、ダイコーター法など)により電解質膜4の他方面に塗布し、所定の温度で乾燥させることにより、薄膜状の電極膜として電解質膜4の他方面に接合される。
【0255】
これにより、電解質膜4、燃料側電極2および酸素側電極3は、電解質膜4の一方面に薄膜状の燃料側電極2が接合され、電解質膜4の他方面に薄膜状の酸素側電極3が接合されてなる膜・電極接合体を形成している。
【0256】
酸素側電極3における触媒の担持量は、特に限定されないが、例えば、0.1〜10.0mg/cm
2、好ましくは、0.5〜5.0mg/cm
2である。
【0257】
酸素側電極3では、後述するように、供給される酸素(O
2)と、電解質膜4を通過した水(H
2O)と、外部回路13を通過した電子(e
−)とを反応させて、水酸化物イオン(OH
−)を生成させる。
【0258】
燃料電池セルSは、さらに、燃料供給部材5および酸素供給部材6を備えている。燃料供給部材5は、ガス不透過性の導電性部材からなり、その一方の面が、燃料側電極2に対向接触されている。そして、この燃料供給部材5には、燃料側電極2の全体に燃料を接触させるための燃料側流路7が、一方の面から凹む葛折状の溝として形成されている。なお、この燃料側流路7には、その上流側端部および下流側端部に、燃料供給部材5を貫通する供給口8および排出口9がそれぞれ連続して形成されている。
【0259】
また、酸素供給部材6も、燃料供給部材5と同様に、ガス不透過性の導電性部材からなり、その一方の面が、酸素側電極3に対向接触されている。そして、この酸素供給部材6にも、酸素側電極3の全体に酸素(空気)を接触させるための酸素側流路10が、一方の面から凹む葛折状の溝として形成されている。なお、この酸素側流路10にも、その上流側端部および下流側端部に、酸素供給部材6を貫通する供給口11および排出口12がそれぞれ連続して形成されている。
【0260】
この燃料電池1は、実際には、上記した燃料電池セルSが、複数積層されるスタック構造として形成される。そのため、燃料供給部材5および酸素供給部材6は、実際には、両面に燃料側流路7および酸素側流路10が形成されるセパレータとして構成される。
【0261】
なお、図示しないが、この燃料電池1には、導電性材料によって形成される集電板が備えられており、集電板に備えられた端子から燃料電池1で発生した起電力を外部に取り出すことができるように構成されている。
【0262】
また、
図1においては、この燃料電池セルSの燃料供給部材5と酸素供給部材6とを外部回路13によって接続し、その外部回路13に電圧計14を介在させて、発生する電圧を計測するようにしている。
【0263】
この燃料電池1においては、燃料が、改質などを経由することなく直接に、または、改質などを経由した上で、燃料側電極2に供給される。
【0264】
燃料としては、含水素燃料が挙げられる。
【0265】
含水素燃料は、分子中に水素原子を含有する燃料であって、例えば、水素ガス、アルコール類、ヒドラジン類などが挙げられ、好ましくは、水素ガスまたはヒドラジン類が挙げられる。
【0266】
ヒドラジン類として、具体的には、例えば、ヒドラジン(NH
2NH
2)、水加ヒドラジン(NH
2NH
2・H
2O)、炭酸ヒドラジン((NH
2NH
2)
2CO
2)、塩酸ヒドラジン(NH
2NH
2・HCl)、硫酸ヒドラジン(NH
2NH
2・H
2SO
4)、モノメチルヒドラジン(CH
3NHNH
2)、ジメチルヒドラジン((CH
3)
2NNH
2、CH
3NHNHCH
3)、カルボンヒドラジド((NHNH
2)
2CO)などが挙げられる。上記例示の燃料は、単独または2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0267】
上記した燃料化合物のうち、炭素を含まない化合物、すなわち、ヒドラジン、水加ヒドラジン、硫酸ヒドラジンなどは、COおよびCO
2の生成がなく、触媒の被毒が生じないことから、耐久性の向上を図ることができ、実質的なゼロエミッションを実現することができる。
【0268】
また、上記例示の燃料としては、上記の燃料化合物をそのまま用いてもよいが、上記例示の燃料化合物を、例えば、水および/またはアルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの低級アルコールなど)などの溶液として用いることができる。この場合、溶液中の燃料化合物の濃度は、燃料化合物の種類によっても異なるが、例えば、1〜90質量%、好ましくは、1〜30質量%である。上記例示の溶媒は、単独または2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0269】
さらに、燃料は、上記した燃料化合物をガス(例えば、蒸気)として用いることができる。
【0270】
そして、酸素供給部材6の酸素側流路10に酸素(空気)を供給しつつ、燃料供給部材5の燃料側流路7に上記した燃料を供給すれば、酸素側電極3においては、次に述べるように、燃料側電極2で発生し、外部回路13を介して移動する電子(e
−)と、燃料側電極2で発生する水(H
2O)と、酸素(O
2)とが反応して、水酸化物イオン(OH
−)を生成する。生成した水酸化物イオン(OH
−)は、アニオン交換膜からなる電解質膜4を、酸素側電極3から燃料側電極2へ移動する。そして、燃料側電極2においては、電解質膜4を通過した水酸化物イオン(OH
−)と、燃料とが反応して、電子(e
−)と水(H
2O)とが生成する。生成した電子(e
−)は、燃料供給部材5から外部回路13を介して酸素供給部材6に移動され、酸素側電極3へ供給される。また、生成した水(H
2O)は、電解質膜4を燃料側電極2から酸素側電極3へ移動する。このような燃料側電極2および酸素側電極3における電気化学的反応によって、起電力が生じ、発電が行われる。
【0271】
なお、この燃料電池1の運転条件は、特に限定されないが、例えば、燃料側電極2側の加圧が200kPa以下、好ましくは、100kPa以下であり、酸素側電極3側の加圧が200kPa以下、好ましくは、100kPa以下であり、燃料電池セルSの温度が0〜120℃、好ましくは、20〜80℃として設定される。
【0272】
そして、このような燃料電池1においては、電解質膜4に、上記の耐久性に優れる陰イオン交換樹脂を含む燃料電池用電解質膜が、用いられている。
【0273】
そのため、本発明の陰イオン交換樹脂を用いて得られる本発明の燃料電池用電解質膜、および、そのような燃料電池用電解質膜を備える燃料電池は、耐久性に優れる。
【0274】
また、本発明は、上記した陰イオン交換樹脂を含む電極触媒層形成用バインダー、その電極触媒層形成用バインダーを含む電池電極触媒層、さらには、その電池電極触媒層を備える燃料電池を含んでいる。
【0275】
すなわち、燃料電池1では、上記した燃料側電極2および/または酸素側電極3の形成時において、陰イオン交換樹脂を電極触媒層形成用バインダーに含有させることができる。
【0276】
陰イオン交換樹脂を電極触媒層形成用バインダーに含有させる方法として、具体的には、例えば、陰イオン交換樹脂を細断し、アルコール類などの適量の有機溶媒に溶解させることにより、電極触媒層形成用バインダーを調製する。
【0277】
電極触媒層形成用バインダーにおいて、陰イオン交換樹脂の含有割合は、電極触媒層形成用バインダー100質量部に対して、例えば、2〜10質量部、好ましくは、2〜5質量部である。
【0278】
また、その電極触媒層形成用バインダーを、上記した燃料側電極2および/または酸素側電極3の触媒層(電池電極触媒層)の形成に用いることにより、陰イオン交換樹脂を、触媒層(電池電極触媒層)に含有させることができ、これにより、陰イオン交換樹脂を含む触媒層(電池電極触媒層)を備える燃料電池1を得ることができる。
【0279】
そして、このような燃料電池1においては、電池電極触媒層の形成において、上記の耐久性に優れる陰イオン交換樹脂を含む電極触媒層形成用バインダーが、用いられている。
【0280】
そのため、本発明の陰イオン交換樹脂を用いて得られる本発明の電極触媒層形成用バインダー、また、その電極触媒層形成用バインダーを用いて得られる電池電極触媒層は、耐久性に優れており、優れたアニオン導電性を確保することができる。
【0281】
その結果、そのような電池電極触媒層を備える燃料電池は、耐久性に優れており、優れたアニオン導電性を確保することができる。
【0282】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜設計を変形することができる。
【0283】
本発明の燃料電池の用途としては、例えば、自動車、船舶、航空機などにおける駆動用モータの電源や、携帯電話機などの通信端末における電源などが挙げられる。
【実施例】
【0284】
次に、本発明を実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は下記の実施例によって限定されるものではない。
【0285】
[実施例]
<第1オリゴマーの合成>
窒素インレットおよびディーンスタックトラップを備えた100mLの丸底三口フラスコに、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン(16.0g、55.6mmol)、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン(9.52g、44.4mmol)、炭酸カリウム(15.4g、111mmol)、N,N−ジメチルアセトアミド(140mL)、トルエン(48ml)を加えた。この混合物を撹拌して4,4’−ジクロロジフェニルスルホンおよび4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノンを溶解させた後、170℃に昇温してトルエンで共沸しながら4時間脱水した。
【0286】
脱水後、ディーンスタックトラップ内のトルエンを除去し、還流したトルエンをトラップすることで混合物からトルエンを除去し、さらに27時間反応を続けた。
【0287】
ここで、エンドキャップ剤として4,4’−ジクロロジフェニルスルホン(1.60g、5.57mmol)を加え、さらに1時間反応を続けた。
【0288】
反応混合物を純水中に滴下して反応を停止させ、生成物を析出させた。生成物を濾別回収し、熱水、熱メタノールで数回洗浄後、80℃で一晩真空乾燥させた。
【0289】
これにより、下記式で示される白色の第1オリゴマー(q=5)を、収率94%で得た。
【0290】
【化82】
<アミノメチル基含有モノマーの合成>
【0291】
(カルボン酸のアミド化反応)
500mL一口フラスコに、2,5−ジクロロ安息香酸22.4g(117mmol)、及びジクロロメタン200mLを加え、懸濁させた後、塩化オキサリル16.8g(132mmol)、及びジクロロメタン66mLの混合物をゆっくりと滴下した。続いて、N,N−ジメチルホルムアミドを10滴加え、室温において6時間撹拌を行った。
【0292】
反応溶液の一部を1H NMR測定を行い、原料の消失を確認した後、ジメチルアミン塩酸塩18.9g(232mmol)、及びトリエチルアミン50mL(358mL)をゆっくりと加え、室温において24時間撹拌を行った。
【0293】
反応溶液に純水を加え、水相をジクロロメタンで抽出し、合わせた有機相を1M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、及び純水による洗浄を行い、溶媒を減圧留去した。得られた残渣にヘキサンを加えることにより、白色固体が析出した。ろ過により回収した析出物を、ヘキサンにより洗浄した後、80℃で真空乾燥させた。
【0294】
これにより、下記式で示される淡褐色の2,5−ジクロロ−N,N−ジメチルベンズアミドを、収率93%で得た。
【0295】
【化83】
【0296】
(アミドの還元反応)
窒素インレットおよび冷却管を一口フラスコに、水素化アルミニウムリチウム4.14g(109mmol)、及びテトラヒドロフラン250mLを加え、懸濁させた後、2,5−ジクロロ−N,N−ジメチルベンズアミド23.8g(109mmol)、及びテトラヒドロフラン90mLの混合物をゆっくりと滴下し、26時間還流を行った。
【0297】
反応溶液の一部を1H NMR測定し、原料の消失及び目的物の生成を確認した。反応溶液を室温まで放冷した後、純水4mL、15wt%水酸化ナトリウム水溶液4mL、純水20mLを加えた。
【0298】
不溶物をろ過により取り除いた後、ろ液を減圧留去した。さらに、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1)により精製した。
【0299】
これにより、下記式で示される無色透明の2,5−ジクロロ−N,N−ジメチルベンジルアミンを、収率77%で得た。
【0300】
【化84】
【0301】
<陰イオン交換樹脂前駆体ポリマーの合成>
窒素インレット、メカニカルスターラーおよび冷却管を備えた100mlの丸底三口フラスコに、第1オリゴマー(482mg、0.123mmol)、2,5−ジクロロ−N,N−ジメチルベンジルアミン(311mg、1.52mmol)、2,2’−ビピリジン(600mg、3.84mmol)、N,N−ジメチルアセトアミド(10mL)、トルエン(5mL)を加えた。170℃に昇温してトルエンで共沸しながら2時間脱水した。
【0302】
脱水後、ディーンスタックトラップ内のトルエンを除去し、還流したトルエンをトラップすることで混合物からトルエンを除去した。その後、80℃まで放冷し、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)(1.00g、3.64mmol)を加え、80℃で19時間時間反応させた。
【0303】
反応混合物を塩酸中に滴下し反応を停止させ、生成物を析出させた。生成物を濾別回収し、純水、炭酸カリウム水溶液、純水、メタノールで数回洗浄後、60℃で一晩真空乾燥させた。
【0304】
これにより、下記式で示される淡黄色の陰イオン交換樹脂前駆体ポリマー(q=5、l=1、m=8)を収率84%で得た。
【0305】
【化85】
【0306】
<四級化反応>
50mLのガラス反応容器に陰イオン交換樹脂前駆体ポリマー(359g)とN,N−ジメチルアセトアミド(3.5mL)を加えた。この混合物を撹拌して陰イオン交換樹脂前駆体ポリマーを溶解させた後に、ヨウ化メチル(249μL、5.00mmol)を加えて、室温で48時間撹拌した。
【0307】
反応混合物にN,N−ジメチルアセトアミド(3mL)を加えた後、これを純水中に滴下して反応を停止させ、生成物を析出させた。生成物を濾別回収し、純水で数回洗浄後、60℃で一晩真空乾燥させた。
【0308】
これにより、下記式で示される橙色の陰イオン交換樹脂(q=5、l=1、m=5)を得た。
【0309】
【化86】
【0310】
<製膜>
陰イオン交換樹脂を、溶液キャスト法により製膜した。
【0311】
すなわち、陰イオン交換樹脂(0.30g)をジメチルスルホキシド(3mL)に溶解させ、ガラスフィルター(G3)で濾過した。濾液をシリコンゴムで縁取りされたガラス板状に流し込み、水平に調節した50℃のホットプレート上で静置し、乾燥させることにより褐色透明の膜を得た。
【0312】
<イオン交換>
なお、この膜はイオン交換基(四級アンモニウム基)の対イオンがヨウ化物イオンであるため、1mol/L水酸化カリウム水溶液中に2日間浸漬させ脱気した純水で洗浄することにより、水酸化物形へ変換した。
【0313】
[比較例]
<第1オリゴマーの合成>
窒素インレットおよびディーンスタックトラップを備えた100mLの丸底三口フラスコに、ヘキサフルオロビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン)(3.36g、10.0mmol)、炭酸カリウム(2.07g、15.0mmol)、N,N−ジメチルアセトアミド(23mL)、トルエン(5mL)を加えた。この混合物を撹拌してヘキサフルオロビスフェノールAを溶解させた後、150℃に昇温してトルエンで共沸しながら3時間脱水した。
【0314】
脱水後、ディーンスタックトラップ内のトルエンを除去し、還流したトルエンをトラップすることで混合物からトルエンを除去した。その後、常温まで放冷し、デカフルオロビフェニル(4.18g、12.5mmol)を加え、60℃に昇温して2時間時間反応させた。
【0315】
ここで、エンドキャップ剤としてデカフルオロビフェニル(0.42g、1.3mmol)を加え、さらに1時間反応を続けた。
【0316】
反応混合物を熱水中に滴下して反応を停止させ、生成物を析出させた。生成物を濾別回収し、熱水、熱メタノールで数回洗浄後、60℃で一晩真空乾燥させた。
【0317】
これにより、下記式で示される白色の第1オリゴマー(x=6)を、収率87%で得た。
【0318】
【化87】
【0319】
<第2オリゴマーの合成>
窒素インレットを備えた100mLの丸底三口フラスコに、第1オリゴマー(3.00g、0.893mmol)、4−クロロフェノール(0.29g、2.2mmol)、炭酸カリウム(0.43g、3.0mmol)、N,N−ジメチルアセトアミド(30mL)を加えた。この混合物を撹拌して第1オリゴマーおよび4−クロロフェノールを溶解した後、40℃に昇温して3時間反応させた。
【0320】
反応混合物を純水中に滴下して反応を停止させ、生成物を析出させた。生成物を濾別回収し、純水、メタノールで数回洗浄後、60℃で一晩真空乾燥させた。
【0321】
これにより、下記式で示される白色の第2オリゴマー(x=6)を収率87%で得た。
【0322】
【化88】
【0323】
<陰イオン交換樹脂前駆体ポリマーの合成>
窒素インレット、メカニカルスターラーおよび冷却管を備えた100mLの丸底三口フラスコに、第2オリゴマー(0.60g、0.14mmol)、1,4−ジクロロベンゼン(0.04g、0.3mmol)、1,3−ジクロロベンゼン(0.16g、1.1mmol)、2,2’−ビピリジン(0.57g、3.6mmol)、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)(1.00g、3.60mmol)、N,N−ジメチルアセトアミド(10ml)を加えた。この混合物を撹拌して第2オリゴマー、1,4−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼンを溶解させた後に、80℃に加熱して3時間反応させた。
【0324】
反応混合物を塩酸中に滴下し反応を停止させ、生成物を析出させた。生成物を濾別回収し、純水、メタノールで数回洗浄後、60℃で一晩真空乾燥させた。
【0325】
これにより、下記式で示される白色の陰イオン交換樹脂前駆体ポリマー(q=6、l=1、m=2、n=8)を収率92%で得た。
【0326】
【化89】
【0327】
<陰イオン交換基導入>
(クロロメチル化反応)
100mLのガラス反応容器に陰イオン交換樹脂前駆体ポリマー(0.60g)と1,1,2,2−テトラクロロエタン(27mL)を加えた。この混合物を撹拌して陰イオン交換樹脂前駆体ポリマーを溶解させた後に、アルゴンで置換したグローブボックス中において、クロロメチルメチルエーテル(16mL)、塩化亜鉛(0.5mol/Lテトラヒドロフラン溶液)(3mL)を加えて、80℃で5日間反応させた。
【0328】
反応混合物をメタノール中に滴下して反応を停止させ、生成物を析出させた。生成物を濾別回収し、メタノールで数回洗浄後、60℃で一晩真空乾燥させた。
【0329】
これにより、下記式で示される白色のクロロメチル化された陰イオン交換樹脂前駆体ポリマーを得た。
【0330】
【化90】
【0331】
(製膜)
クロロメチル化された陰イオン交換樹脂前駆体ポリマーを、溶液キャスト法により製膜した。
【0332】
すなわち、クロロメチル化された陰イオン交換樹脂前駆体ポリマー(0.5g)を1,1,2,2−テトラクロロエタン(5mL)に溶解させ、ガラスフィルター(G3)で濾過した。濾液をシリコンゴムで縁取りされたガラス板状に流し込み、水平に調節した50℃のホットプレート上で静置し、乾燥させることにより透明な膜を得た。
【0333】
(四級化反応)
クロロメチル化された陰イオン交換樹脂前駆体ポリマーの膜を、トリメチルアミン45質量%水溶液中に室温で2日間浸漬させ、四級化させることにより、下記式で示される透明な陰イオン交換樹脂の膜を得た。
【0334】
【化91】
【0335】
<イオン交換>
なお、この膜はイオン交換基(四級アンモニウム基)の対イオンが塩化物イオンであるため、1mol/L水酸化カリウム水溶液中に2日間浸漬させ脱気した純水で洗浄することにより、水酸化物型へ変換した。
【0336】
(評価)
<水酸化物イオン導電率の測定>
上記陰イオン交換膜に対し、水酸化物イオン導電率測定を行った。測定は、交流四端子法(300mV、10−100000Hz)で、30℃において水中で実施した。測定装置にはSolartolon1255B/1287を使用し、プローブにはφ1mmの金線を用いた。測定サンプルは、上記得られた陰イオン交換膜を、幅1cm、に切り出し、プローブ間距離1cmで固定した。上記各温度での水酸化物イオン導電率σ(S/cm)は、次式より、プローブ間距離L(1cm)、インピーダンスZ(Ω)、膜断面積A(cm2)から算出した。
σ=(L/Z)×1/A
【0337】
その結果を
図2に示すように、実施例で得た陰イオン交換樹脂の膜は、比較例で得た陰イオン交換樹脂の膜よりも低いIECにも関わらず、より高い水酸化物イオン導電率を示した。