(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0027】
<第1実施形態>
以下、
図1〜
図5を参照し、本発明の遠隔作業用装置の一例である搬送用リフトアップ装置(以下、単に「リフター」と称する)5をニューマチックケーソン工法において適用した場合の第1実施形態について説明する。
図1は、ニューマチックケーソン工法で用いられる主要設備の一例を示した模式的縦断面図である。ニューマチックケーソン工法は、鉄筋コンクリート製のケーソン1と、そのケーソン1によって地中に形成されるケーソン作業室2と、そのケーソン作業室2内の天井部2aに設けられた左右一対のガイドレール3と、そのガイドレール3に懸吊された状態で該ガイドレール3に沿って走行可能な掘削機4とを用いて、掘削機4に備えられた後述するバケット部45によって地中を掘り進めながらケーソン1を地中に沈下させることで、地下構造体を構築するものである。
【0028】
また、ニューマチックケーソン工法では、作業者が地上からケーソン作業室2内に出入りするためのマンシャフト10が用いられる。このマンシャフト10には、主に、作業者がマンシャフト10へ出入りするためのマン入出部11と、そのマン入出部11と連通し、地上とケーソン作業室2内とを連通する円筒形状のマン挿通部12と、そのマン挿通部12内に設けられた螺旋階段(図示せず)と、地上の大気圧とケーソン作業室2内の圧力との圧力差を調整するためのマンロック13とが設けられている。
【0029】
マン挿通部12は、その上端部に設けられたフランジ部に対して別のマン挿通部12の下端部をボルト等によって固定する(継ぎ足す)ことで、マンシャフト10全体の長さを伸長可能であり、大深度化にも対応可能に構成されている。ケーソン作業室2内で作業する作業者は、このマンシャフト10内の螺旋階段を介して地上とケーソン作業室2とを往来することができる。
【0030】
マンロック13は、ケーソン作業室2の天井部分を閉塞可能なマンロック下方扉と、該マンロック下方扉より上方に設けられたマンロック上方扉(いずれも図示せず。以下、同様。)との二重扉構造に構成されており、ケーソン作業室2内に作業者が出入りする場合に、一方の扉を閉鎖しつつ他方の扉を開放することで、ケーソン作業室2内の気圧の変化を抑制又は軽減できるように構成されている。
【0031】
また、ニューマチックケーソン工法では、地上に設けられたクレーン20によって、ケーソン作業室2内で掘削された土砂を搬出したり、ケーソン作業室2の天井部2aに懸吊して使用する掘削機4等の機械設備を搬送(昇降)等するための回収シャフト14が設けられている。この回収シャフト14には、主に、土砂の搬出や機械設備を搬入又は搬出するための回収入出部15と、その回収入出部15と連通し、地上とケーソン作業室2内とを連通する円筒形状の回収挿通部16と、地上の大気圧とケーソン作業室2内の圧力との圧力差を調整するための回収ロック17とが設けられている。なお、機械設備を搬送する回収シャフト14とは別に、土砂排出専用のマテリアルシャフトを別途設けてもよい。
【0032】
回収挿通部16は、マン挿通部12と同様、その上端部に設けられたフランジ部に対して別の回収挿通部16の下端部をボルト等によって固定する(継ぎ足す)ことで、回収シャフト14全体の長さを伸長可能であり、大深度化にも対応可能に構成されている。よって、ケーソン1を大深度化した場合であっても、クレーン20のワイヤ21の長さ分に対応した深度まで、ケーソン作業室2内で掘削した土砂を地上に排出できるとともに、回収シャフト14を介した掘削機4等の機械設備の搬入及び搬出が可能となる。
【0033】
この回収挿通部16は、掘削機4や照明設備、監視カメラ(いずれも図示せず。以下、同様。)等の機械設備を挿通させるために、例えば、最も寸法が大きい機械設備である掘削機4の全幅および高さ幅のそれぞれより大径(例えば、直径約2000mm)に構成されている。従って、少なくとも、掘削機4の全長(長手)方向が鉛直方向を向くように、該掘削機4の後端部分(後述するフック取付部(図示せず。以下同様。))に対して、クレーン20のワイヤ21の先端部分に設けられたフック22を取り付けて吊り下げた状態であれば、クレーン20により掘削機4を回収挿通部16内で昇降可能に構成されている。よって、掘削機4等をケーソン作業室2内で部品ごとに分解する必要がなくなるので、ケーソン作業室2内における作業工数を削減することができる。また、掘削機4を分解容易にする等の特殊な構造にする必要がなく、既存の掘削機4をそのままの状態で(分解することなく)地上に搬出することができるので、掘削機4にかかる開発コストを削減することができる。
【0034】
なお、回収挿通部16の内径を掘削機4の全長よりも大径にすることで、より容易に掘削機4等を搬送させることも考えられるが、回収挿通部16の大径化に伴うコストアップや、後述する回収ロック17の巨大化に伴うコストアップ、或いは、ケーソン作業室2内からの圧縮空気漏れの要因となるため、好ましくない。
【0035】
回収ロック17は、マンロック13と同様、ケーソン作業室2の天井部分を閉塞可能な回収ロック下方扉と、該回収ロック下方扉より上方に設けられた回収ロック上方扉(いずれも図示せず。以下、同様。)との二重扉構造に構成されており、ケーソン作業室2内に土砂又は機械設備を搬出又は搬入する場合に、一方の扉を閉鎖しつつ他方の扉を開放することで、ケーソン作業室2内の気圧の変化を抑制できるように構成されている。なお、この回収ロック17には、クレーン20のワイヤ21を挿通可能な挿通孔(図示せず)が設けられ、回収ロック17を閉鎖したままワイヤ21の上下動が可能に構成されている。
【0036】
ケーソン作業室2は、ケーソン1と掘削中の地面とによって地中に区画形成され、マンロック13及び回収ロック17を閉めた状態で気圧調整装置(図示せず)を作動させることにより、ケーソン作業室2の内圧を高圧環境に維持し、ケーソン作業室2内への湧水等を防ぎながら掘削作業を行うことができる。なお、ケーソン1の深度が深まるほど、ケーソン作業室2内の内圧を深度に応じて高圧化するように構成されている。
【0037】
ケーソン作業室2の天井部2aには、左右一対のガイドレール3が複数敷設されている。このガイドレール3には、それぞれ、掘削機4や、照明設備、監視カメラ等の機械設備が懸吊可能に構成されている。
【0038】
これらガイドレール3に懸吊(懸架)される機械設備は、地上(即ち、ケーソン作業室2外)に設けられた制御室30において、操作者によりそれぞれ個別に遠隔操作可能に構成されている。具体的には、監視カメラにより撮影されたケーソン作業室2内の映像を制御室30に設けられたモニタ31に表示するとともに、照明設備による光の照射輝度や照射方向、ガイドレール3における掘削機4の移動位置、掘削機4の旋回方向、掘削機4の後述するアーム部44又はバケット部45の駆動態様がモニタ31に表示されるように構成されている。そして、制御室30内において、操作者がモニタ31の映像を確認しながらコントローラ32を操作することで、監視カメラの撮影方向や、照明設備による光の照射輝度や照射方向、ガイドレール3における掘削機4の移動位置、掘削機4の旋回方向、アーム部44及びバケット部45等を駆動制御することができるように構成されている。なお、掘削機4の詳細な構成については、
図4において後述する。
【0039】
ケーソン作業室2内の掘削面(地面)には、掘削機4等の機械設備を支持した状態で搬送移動可能なリフター5が配置される。ここで、
図2及び
図3を参照して、このリフター5の詳細について説明する。
図2は、このリフター5の側面図であり、
図3は、リフター5の駆動態様を示した斜視図である。
【0040】
図2及び
図3で示すように、本実施形態のリフター5は、主に、無限軌道をなすキャタピラ51と、そのキャタピラ51が組み付けられたリフター基体52と、そのリフター基体52の上面視四隅にそれぞれ設けられた右前側アーム部材53、左前側アーム部材54、右後側アーム部材55及び左後側アーム部材56(以下、右前側アーム部材53、左前側アーム部材54、右後側アーム部材55及び左後側アーム部材56を総称して、「各アーム部材53〜56」と称する場合がある)と、リフター駆動ユニット60、リフター駆動バッテリ61とが設けられている。
【0041】
キャタピラ51は、該キャタピラ51を駆動するための移動用モータ(図示せず。以下、同様。)が設けられている。この移動用モータは、後述するリフター駆動バッテリ61からの電力供給を受けて動作可能に構成され、制御室30からの駆動指示を後述するリフター通信部(図示せず。以下、同様。)を介して受信した場合に、その駆動指示に基づいてリフター制御部(図示せず。以下、同様。)によって駆動可能に構成されている。この移動用モータを駆動させることで、キャタピラ51が回転駆動され、その駆動量に応じてリフター5を移動させることができる。
【0042】
ここで、リフター通信部およびリフター制御部について各種動作について説明する。リフター通信部は、後述するリフター駆動バッテリ61の収納部に内蔵されており、制御室30のコントローラ32からの各種指示コマンドを受信可能に構成されるとともに、リフター制御部による制御結果(検知結果)をコントローラ32に出力可能に構成されている。
【0043】
リフター制御部は、リフター通信部と同様、後述するリフター駆動バッテリ61の収納部に内蔵されており、リフター駆動バッテリ61からの電力供給を受けて動作し、リフター通信部を介して受信したコントローラ32からの駆動指示コマンドによってリフター5に関する各種制御を実行するように構成されている。具体的には、リフター駆動ユニット60を介して、移動用モータの駆動、後述する基体シリンダ52aの伸縮、各アーム部材53〜56の各シリンダ53b〜56bの伸縮、各アーム部材53〜56の各把持部53a〜56aの開閉駆動、が行われる。
【0044】
また、リフター制御部は、このリフター5が有する各種検知装置の検知結果を判別し、その判別結果をリフター通信部を介してコントローラ32に送信するように構成されている。具体的には、リフター制御部は、リフター5の位置情報の検出、移動用モータの移動量の検出、基体シリンダ52aの伸縮状態の検出、各アーム部材53〜56の伸縮状態の検出、後述する傾斜検知装置(図示せず)によるリフター5の傾斜検知等の検知結果を、リフター通信部を介してコントローラ32に出力する。
【0045】
次いで、リフター基体52は、そのリフター基体52の高さを伸縮可能な基体シリンダ52aと、基体シリンダ52aによるリフター基体52の高さ位置を検知可能な基体検知装置(図示せず)とが設けられている。この基体シリンダ52aは、リフター制御部からの駆動指示によって伸縮することで、リフター基体52の地面からの高さを最大1メートル変更して、リフター5によって搬送される機械設備の高さ位置を調整することが可能に構成される(
図3参照)。この基体シリンダ52aによるリフター基体52の高さは、基体検知装置によって検知され、その検知結果がリフター通信部により制御室30のモニタ31及びコントローラ32に対して出力される。これにより、制御室30においてリフター基体52の高さ位置が把握可能となり、その高さ位置に応じた制御が可能となる。
【0046】
右前側アーム部材53は、右前把持部53aと、右前シリンダ53bと、右前検知装置(図示せず。以下、同様。)とを備えている。右前把持部53aは、リフター制御部からの駆動指示によって2の右前把持シリンダをそれぞれ伸縮することで、後述する掘削機4の前側シャフト41b1を把持(保持)可能に構成される。この右前把持部53aにより前側シャフト41b1を把持することで、掘削機4の右前側がこの右前側アーム部材53により固定支持される。
【0047】
右前シリンダ53bは、ピストン及びシリンダチューブを複数組み合わせた所謂多段式シリンダで構成され、リフター制御部からの駆動指示に応じて上下方向に伸縮することで、右前把持部53aの地面からの高さ位置を最大5メートルまで変更可能に構成されている。
【0048】
右前検知装置は、右前シリンダ53bの伸縮態様、即ち、右前把持部53aの高さ位置を検知可能であり、その検知結果がリフター通信部により制御室30のモニタ31及びコントローラ32に対して出力される。これにより、制御室30において右前側アーム部材53の伸縮態様が把握可能となり、その伸縮態様に応じた制御が可能となる。
【0049】
左前側アーム部材54は、左前把持部54aと、左前シリンダ54bと、左前検知装置(図示せず。以下、同様。)とを備えている。左前把持部54aは、リフター制御部からの駆動指示によって2の左前把持シリンダをそれぞれ伸縮することで、後述する掘削機4の前側シャフト41b1を把持(保持)可能に構成される。この左前把持部54aにより前側シャフト41b1を把持することで、掘削機4の左前側がこの左前側アーム部材54により固定支持される。
【0050】
左前シリンダ54bは、右前シリンダ53bと同様、ピストン及びシリンダチューブを複数組み合わせた所謂多段式シリンダで構成され、リフター制御部からの駆動指示によって上下方向に伸縮することで、左前把持部54aの地面からの高さ位置を最大5メートルまで変更可能に構成されている。
【0051】
左前検知装置は、左前シリンダ54bの伸縮態様、即ち、左前把持部54aの高さ位置を検知可能であり、その検知結果がリフター通信部により制御室30のモニタ31及びコントローラ32に対して出力される。これにより、制御室30において左前側アーム部材54の伸縮態様が把握可能となり、その伸縮態様に応じた制御が可能となる。
【0052】
右後側アーム部材55は、右後把持部55aと、右後シリンダ55bと、右後検知装置(図示せず。以下、同様。)とを備えている。右後把持部55aは、リフター制御部からの駆動指示によって2の右後把持シリンダをそれぞれ伸縮することで、後述する掘削機4の後側シャフト41b2を把持(保持)可能に構成される。この右後把持部55aにより後側シャフト41b2を把持することで、掘削機4の右後側がこの右後側アーム部材55により固定支持される。
【0053】
右後シリンダ55bは、右前シリンダ53b及び左前シリンダ54bと同様、ピストン及びシリンダチューブを複数組み合わせた所謂多段式シリンダで構成され、リフター制御部からの駆動指示によって上下方向に伸縮することで、右後把持部55aの地面からの高さ位置を最大5メートルまで変更可能に構成されている。
【0054】
右後検知装置は、右後シリンダ55bの伸縮態様、即ち、右後把持部55aの高さ位置を検知可能であり、その検知結果がリフター通信部により制御室30のモニタ31及びコントローラ32に対して出力される。これにより、制御室30において右後側アーム部材55の伸縮態様が把握可能となり、その伸縮態様に応じた制御が可能となる。
【0055】
左後側アーム部材56は、左後把持部56aと、左後シリンダ56bと、左後検知装置(図示せず。以下、同様。)とを備えている。左後把持部56aは、リフター制御部からの駆動指示によって2の左後把持シリンダをそれぞれ伸縮することで、右後把持部55aと同様、後述する掘削機4の後側シャフト41b2を把持(保持)可能に構成される。この左後把持部56aにより後側シャフト41b2を把持することで、掘削機4の左後側がこの左後側アーム部材56により固定支持される。
【0056】
左後シリンダ56bは、右前シリンダ53b、左前シリンダ54b及び右後シリンダ55bと同様、ピストン及びシリンダチューブを複数組み合わせた所謂多段式シリンダで構成され、リフター制御部からの駆動指示によって上下方向に伸縮することで、左後把持部56aの地面からの高さ位置を最大5メートルまで変更可能に構成されている。
【0057】
左後検知装置は、左後シリンダ56bの伸縮態様、即ち、左後把持部56aの高さ位置を検知可能であり、その検知結果がリフター通信部により制御室30のモニタ31及びコントローラ32に対して出力される。これにより、制御室30において左後側アーム部材56の伸縮態様が把握可能となり、その伸縮態様に応じた制御が可能となる。
【0058】
よって、これら右前側アーム部材53、左前側アーム部材54、右後側アーム部材55及び左後側アーム部材56によって、リフター5において掘削機4等の機械設備を少なくとも4点で固定支持しながら安定して搬送することが可能となる。
【0059】
また、リフター5には、傾斜検知装置(図示せず。以下、同様。)と、リフター通信部と、リフター制御部と、リフター駆動ユニット60と、リフター駆動バッテリ61とが内蔵されている。
【0060】
傾斜検知装置は、リフター駆動バッテリ61からの電力供給を受けて動作し、吊るした錘の傾きを検知する振り子式、又は、液面の傾きを検知するフロート式の傾斜センサにより構成され、リフター5自体の水平方向に対する傾斜角度を検知可能に構成される。本実施形態では、この傾斜検知装置によってリフター5の傾斜角度を検知しつつ、上述した各アーム部材53〜56の伸縮態様に基づいて、リフター5で支持している掘削機4等の機械設備の傾きを検知可能に構成されている。なお、傾斜検知装置として、傾斜センサのほか、加速度センサやジャイロセンサ、慣性計測装置等を傾斜検知装置として用いてリフター5の傾斜角度を検知してもよい。
【0061】
リフター通信部は、上述したように、リフター5の各種駆動態様を制御室30のモニタ31に向けて出力する出力部と、制御室30のコントローラ32からの駆動指示を受信する受信部(いずれも図示せず)とを有している。
【0062】
リフター制御部は、上述したように、リフター5の各制御を司る1チップマイコンとしてのマイクロ・プロセッシング・ユニット(Micro−Processing Unit。以下、「MPU」と略す。)と、各種機器との連絡をとるポートとが搭載されている。MPUには、該MPUにより実行されるリフター駆動部品の各種の制御プログラムや固定値データを記憶したリード・オンリー・メモリー(Read Only Memory。以下、「ROM」と略す。)と、そのROM内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるランダム・アクセス・メモリー(Random Access Memory。以下、「RAM」と略す。)と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
【0063】
このリフター制御部は、リフター通信部を介してコントローラ32からの駆動指示を受信した場合に、該駆動指示に対応する制御プログラムを起動してリフター5の各リフター駆動部品を駆動制御するとともに、その駆動結果(検知結果)を、リフター通信部を介してモニタ31及びコントローラ32に対して出力するように構成されている。
【0064】
リフター駆動ユニット60は、電動モータと、油圧ポンプと、作動油タンクと、制御バルブ群(いずれも図示せず。以下、同様。)とを有して構成されている。このリフター駆動ユニット60は、リフター制御部により駆動制御され、リフター駆動バッテリ61からの電力供給を受けて、キャタピラ51の移動用モータ、リフター基体52の基体シリンダ52a、右前側アーム部材53の右前把持部53a及び右前シリンダ53b、左前側アーム部材54の左前把持部54a及び左前シリンダ54b、右後側アーム部材55の右後把持部55a及び右後シリンダ55b、並びに、左後側アーム部材56の左後把持部56a及び左後シリンダ56b(以下、「リフター駆動部品」と称する)にそれぞれ対応するように設けられた電動モータにより油圧ポンプを駆動して、作動油タンクに貯留されている作動油と各リフター駆動部品に供給する作動油との方向及び流量を制御バルブ群によって制御し、各リフター駆動部品をそれぞれ個別に駆動制御するように構成されている。
【0065】
リフター駆動バッテリ61は、上述した各リフター駆動部品及びリフター制御部を動作させるための電力を供給可能に構成されている。
【0066】
このように構成することで、制御室30からの遠隔操作により、リフター5の各アーム部材53〜56の各把持部53a〜56aによって搬送する掘削機4を保持しつつ、各アーム部材53〜56によって掘削機4を4点で支持しながら、ケーソン作業室2内を移動することができる。そして、回収シャフト14の回収入出部15に対して、リフター5の各アーム部材53〜56のいずれか又は複数を伸縮駆動させて掘削機4を傾倒させながらクレーン20のワイヤ21で吊り上げることで、掘削機4をケーソン作業室2内から搬出することができる。
【0067】
次に、
図4を参照して、掘削機4の詳細について説明する。
図4は、掘削機4の側面図である。
図4で示すように、掘削機4は、主に、走行ローラ41aを有する走行基体41と、その走行基体41に対して旋回可能に設けられた旋回基体42と、その旋回基体42に連結された掘削基体43と、その掘削基体43に連結されたアーム部44と、そのアーム部44に連結されたバケット部45とが設けられている。
【0068】
走行基体41には、左右一対の前輪側の走行ローラ41aと、同じく左右一対の後輪側の走行ローラ41aと、走行ローラ41aを回転駆動させるための走行用モータと、左右一対の走行ローラ41aに対して平行に設けられた走行シャフト41bと、走行検知装置と、クレーン20のワイヤ21の先端に設けられたフック22が係合可能なフック取付部(いずれも図示せず。以下、同様。)とが設けられている。なお、フック取付部を、後述する掘削基体43又はアーム部44に設けるように構成してもよい。
【0069】
走行用モータは、後述する掘削機駆動バッテリ(図示せず。以下、同様。)からの電力供給を受けて動作可能に構成され、制御室30からの駆動指示を後述する掘削機通信部(図示せず。以下、同様。)を介して受信した場合に、その駆動指示に基づいて掘削機制御部(図示せず。以下、同様。)によって駆動可能に構成されている。この走行用モータを駆動させることで、ケーソン作業室2の天井部2aに設けられたガイドレール3上において掘削機4をスライド移動させることができる。
【0070】
走行検知装置は、走行用モータの駆動量を検知して、掘削機4の位置情報を検知可能であり、その検知結果が後述する掘削機通信部により制御室30のモニタ31及びコントローラ32に対して出力される。これにより、制御室30において走行用モータの駆動量が把握可能となり、その走行量(掘削機4の位置)に応じた制御が可能となる。
【0071】
ここで、掘削機通信部および掘削機制御部について各種動作について説明する。掘削機通信部は、掘削基体43に内蔵されており、制御室30のコントローラ32からの各種指示コマンドを受信可能に構成されるとともに、掘削機制御部による制御結果(検知結果)をコントローラ32に出力可能に構成されている。
【0072】
掘削機制御部は、掘削機通信部と同様、掘削基体43に内蔵されており、掘削機駆動バッテリからの電力供給を受けて動作し、掘削機通信部を介して受信したコントローラ32からの駆動指示コマンドによって掘削機4に関する各種制御を実行するように構成されている。具体的には、掘削機駆動ユニットを介して、走行用モータの駆動、後述する旋回基体42の旋回用モータの駆動、後述する掘削基体43の起伏シリンダの伸縮、後述するアーム部44の伸縮シリンダの伸縮、後述するバケットシリンダ(いずれも図示せず。以下、同様。)の伸縮、が行われる。
【0073】
また、掘削機制御部は、この掘削機4が有する各種検知装置の検知結果を判別し、その判別結果を掘削機通信部を介してコントローラ32に送信するように構成されている。具体的には、掘削機制御部は、掘削機4の位置情報の検出、走行用モータの移動量の検出、旋回用モータの移動量(回転量)の検出、起伏シリンダの伸縮状態の検出、アームシリンダの伸縮状態の検出、バケットシリンダの伸縮状態雄検出等の検知結果を、掘削機通信部を介してコントローラ32に出力する。
【0074】
次いで、走行シャフト41bは、前輪の走行ローラ41a側に設けられた前側シャフト41b1と、後輪の走行ローラ41a側に設けられた後側シャフト41b2とを有し、前側シャフト41b1及び後側シャフト41b2がそれぞれ走行基体41に対して固定されている。上述したように、この走行シャフト41b1,41b2をリフター5の各把持部53a〜56aによって保持した状態で、ガイドレール3から掘削機4(走行ローラ41a)を脱輪させることで、リフター5によって掘削機4が支持される。
【0075】
旋回基体42は、旋回用モータが設けられ、この旋回用モータにより、走行基体41に対して旋回基体42が旋回自在に取り付けられている。具体的には、旋回用モータは、後述する掘削機駆動バッテリからの電力供給を受けて動作可能に構成され、制御室30からの駆動指示を掘削機通信部を介して受信した場合に、その駆動指示に基づいて掘削機制御部によって駆動可能に構成されている。この旋回用モータを駆動させることで、走行基体41に対して旋回基体42、掘削基体43、アーム部44及びバケット部45が旋回され、ケーソン作業室2のガイドレール3に懸吊された掘削機4のバケット部45の向きを変更させることができる。
【0076】
旋回検知装置は、旋回用モータの駆動量を検知して、旋回基体42の旋回量(向き)を検知可能であり、その検知結果が掘削機通信部により制御室30のモニタ31及びコントローラ32に対して出力される。これにより、制御室30において旋回用モータの旋回量が把握可能となり、その旋回量(掘削機4の向き)に応じた制御が可能となる。
【0077】
掘削基体43は、起伏シリンダと、起伏検知装置と、掘削機駆動ユニットと、掘削機駆動バッテリとを有するとともに、その内部に、掘削機通信部と、掘削機制御部とが内蔵されている。
【0078】
起伏シリンダは、掘削基体43からアーム部44に対して左右一対設けられており、掘削機制御部からの駆動指示に応じて伸縮することで、掘削基体43に対してアーム部44を傾倒可能に構成されている。
【0079】
起伏検知装置は、起伏シリンダの伸縮態様、即ち、アーム部44の傾倒状態を検知可能であり、その検知結果が掘削機通信部により制御室30のモニタ31及びコントローラ32に対して出力される。これにより、制御室30においてアーム部44の傾倒状態が把握可能となり、その傾倒状態に応じた制御が可能となる。
【0080】
掘削機駆動ユニットは、リフター駆動ユニット60と同様、電動モータと、油圧ポンプと、作動油タンクと、制御バルブ群(いずれも図示せず。以下、同様。)とを有して構成されている。この掘削機駆動ユニットは、掘削機制御部により駆動制御され、掘削機駆動バッテリからの電力供給を受けて、走行ローラ41aの走行用モータ、旋回基体42の旋回用モータ、掘削基体43の起伏シリンダ、アーム部44の伸縮シリンダ、及び、バケット部45のバケットシリンダ(以下、「掘削機駆動部品」と称する)にそれぞれ対応するように設けられた電動モータにより油圧ポンプを駆動して、作動油タンクに貯留されている作動油と各掘削機駆動部品に供給する作動油との方向及び流量を制御バルブ群によって制御して、各掘削機駆動部品をそれぞれ個別に駆動制御するように構成されている。
【0081】
掘削機駆動バッテリは、上述した各掘削機駆動部品及び掘削機制御部を動作させるための電力を供給可能に構成されている。
【0082】
掘削機通信部は、上述したように、掘削機4の各種駆動態様を制御室30のモニタ31に向けて出力する出力部と、制御室30のコントローラ32からの駆動指示を受信する受信部(いずれも図示せず)とを有している。
【0083】
掘削機制御部は、上述したように、掘削機4の各制御を司る1チップマイコンとしてのMPUと、各種機器との連絡をとるポートとが搭載されている。MPUには、該MPUにより実行される掘削機駆動部品の各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROMと、そのROM内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAMと、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
【0084】
この掘削機制御部は、掘削機通信部を介してコントローラ32からの駆動指示を受信した場合に、該駆動指示に対応する制御プログラムを起動して掘削機4の各掘削機駆動部品を駆動制御するとともに、その駆動結果(検知結果)を、掘削機通信部を介してモニタ31及びコントローラ32に対して出力するように構成されている。
【0085】
アーム部44は、伸縮シリンダと、アーム検知装置とが設けられている。
【0086】
伸縮シリンダは、掘削機制御部からの駆動指示に応じて伸縮することで、該アーム部44全体の長さを伸縮可能に構成されている。
【0087】
アーム検知装置は、伸縮シリンダの伸縮態様、即ち、アーム部44全体の長さを検知可能であり、その検知結果が掘削機通信部により制御室30のモニタ31及びコントローラ32に対して出力される。これにより、制御室30においてアーム部44全体の伸縮態様(長さ)が把握可能となり、その伸縮態様に応じた制御が可能となる。
【0088】
バケット部45は、アーム部44の先端部分に回動可能に連結されたバケットと、バケットシリンダと、バケット検知装置とが設けられている。
【0089】
バケットシリンダは、アーム部44からバケットに対して左右一対設けられており、掘削機制御部からの駆動指示に応じて伸縮することで、アーム部44に対してバケットを回動可能に構成されている。即ち、バケットシリンダを収縮位置から伸長位置に駆動することでバケットが回動駆動し、その駆動経路に地面を位置させることで、その部分の土砂を掘削することができる。
【0090】
ここで、ケーソン作業室2の室内高さは、約2メートルから2.5メートルとなるように構成されている。掘削機4は、走行基体41をガイドレール3に懸吊した状態でケーソン作業室2内の地面を掘削するため、旋回基体42、掘削基体43、アーム部44及びバケット部45の長さが、最小(収縮状態)で2.5メートル、最大(伸長状態)で4メートルまで伸縮可能に構成されている。このように構成することで、ケーソン作業室2内のガイドレール3に懸吊された掘削機4を駆動することで、ガイドレール3下方周辺部分の地面を掘削することができる。
【0091】
しかしながら、掘削機4は、その全長が少なくとも2.5メートル以上となり、回収シャフト14の直径(即ち、2メートル)より長いため、掘削機4を水平にした状態では、掘削機4を回収シャフト14から搬出又は搬入することができない。一方、掘削機4の全幅(約1.5メートル)及び高さ(約1.5メートル)はそれぞれ2メートル以内に収まるように構成されている。よって、掘削機4を垂直にした状態であれば、掘削機4を各部品に分解等することなく、回収シャフト14から搬出又は搬入することが可能となる。
【0092】
この場合、掘削機4を回収シャフト14の回収入出部15から搬送する際に、掘削機4の後端側(非バケット部45側)から回収入出部15へ送り込まなければならない。しかしながら、ケーソン作業室2内の地面は、遠隔操作によって掘削されている影響で必ずしも平坦ではなく、リフター基体52の昇降等のみを行う従来の搬送装置では掘削機4を正確に回収入出部15に案内することができず、掘削機4が回収シャフト14地面又は搬送装置等と衝突して、それぞれ又は両方の装置が破損してしまうおそれがあった。
【0093】
そこで、本実施形態では、4つのアーム部材53〜56及び傾斜検知装置を有するリフター5によって掘削機4を搬送し、傾斜検知装置によってリフター5全体の傾斜を検知しつつ、その検知結果を元に各アーム部材53〜56をそれぞれ伸縮駆動させることで、掘削機4を回収入出部15(回収シャフト14内)へ正確に案内することが可能となる。
【0094】
ここで、
図5を参照して、本実施形態のリフター5によって掘削機4をケーソン作業室2内から搬出する場合について説明する。
図5は、リフター5を使用して、ケーソン作業室2内から回収シャフト14を介して掘削機4を回収する状況を段階的に示した模式的縦断面図であり、
図5(a)は、リフター5によって掘削機4を水平状態にしてケーソン作業室2内を移動している状態を示した模式的縦断面図であり、
図5(b)は、リフター5の右後側アーム部材55及び左後側アーム部材56を伸張させて掘削機4を水平状態から約45度傾倒させた状態を示した模式的縦断面図であり、
図5(c)は、掘削機4をワイヤ21によって吊り下げて水平状態から約60度に傾倒させつつ、右前側アーム部材53及び左前側アーム部材54を伸張させて掘削機4を支持した状態を示した模式的縦断面図である。なお、
図5(a)及び
図5(b)の状態では、リフター基体52を上昇させた状態を示している一方、
図5(c)の状態では、リフター基体52を下降させた状態を示している。また、
図5(c)の状態では、右後側アーム部材55及び左後側アーム部材56を収縮させた状態を示している。
【0095】
まず、
図5(a)で示すように、掘削機4をガイドレール3から取り外す場合、掘削機4が落下するのを防止するために、リフター5のリフター基体52を上昇状態にした上で、リフター5の各アーム部材53〜56によって、掘削機4の走行シャフト41b1,41b2を保持し、その状態において掘削機4をガイドレールから取り外す(脱輪させる)。これにより、掘削機4の自重による落下によってリフター5に対して衝撃が発生しないように(を抑制)して、リフター5によって掘削機4を保持することができる。なお、この状態で、掘削機4のフック取付部にワイヤ21のフック22が取り付けられている。
【0096】
そして、掘削機4をリフター5によって保持しながら、キャタピラ51を駆動させることで、ケーソン作業室2内で掘削機4を搬送することができる。ここで、上述したように、ケーソン作業室2内の地面は、掘削機4の遠隔操作により掘削されているため、必ずしも平坦な面とはなっていない。そこで、車輪より地面との接地面(点)が大きいキャタピラ51を用いてリフター5を移動させることで、掘削機4を安定して搬送することができる。
【0097】
次いで、
図5(b)で示すように、
図5(a)の状態から、リフター5によって保持された掘削機4に対し、右後側アーム部材55及び左後側アーム部材56を伸張させて、掘削機4の後方側(フック取付部側)を回収シャフト14の回収入出部15に対して案内するように傾倒させる。この場合、リフター基体52は、
図5(a)と同様、上昇させたままの状態を維持するとともに、右前側アーム部材53及び左前側アーム部材54も、
図5(a)と同様、収縮した状態を維持している。
【0098】
ここで、上述したように、ケーソン作業室2内の地面の凹凸によって、リフター5全体がいずれかの方向に傾倒している場合がある。この場合、リフター5の傾斜検知装置によってリフター5の傾きを検知しつつ、その傾きを考慮して、各アーム部材53〜56を制御する。具体的には、例えば、リフター5の右側(図面正面側)が低くなるように傾いていた場合は、左前側アーム部材54及び左後側アーム部材56より、右前側アーム部材53及び右後側アーム部材55を傾きで低くなっている分だけ長く伸張させ、掘削機4の幅方向が水平(即ち、走行シャフト41bが水平。以下、同様。)となる姿勢を維持するように構成する。また、例えば、リフター5の左後側(図面奥側)が低くなるように傾いていた場合は、右前側アーム部材53、左前側アーム部材54及び右後側アーム部材55より、左後側アーム部材56を傾きで低くなっている分だけ長く伸張させ、掘削機4の幅方向が水平となる姿勢を維持するように構成する。このように構成することで、各アーム部材53〜56をそれぞれ独立して伸縮可能に構成し、リフター5による掘削機4の支持姿勢を常に一定に(水平に)保つようにすることで、掘削機4を地面や天井部2a等に衝突させることなく回収シャフト14の回収入出部15に対して正確に案内し易くなり、掘削機4や回収シャフト14等が破損してしまうことを抑制することができる。
【0099】
次いで、
図5(c)で示すように、
図5(b)の状態から、クレーン20のワイヤ21を巻き上げることで、リフター5の右前側アーム部材53及び左前側アーム部材54によって掘削機4の前側シャフト41b1を保持しつつ、掘削機4の後方側が回収シャフト14の回収入出部15内へとさらに案内される。
【0100】
このとき、回収入出部15の内壁に設けられた回収検知装置(図示せず。以下、同様。)によって掘削機4の後方側が検知された場合、掘削機4とリフター5の各部品との衝突を回避するため、まず、リフター5のリフター基体52を下降状態とするとともに、リフター5の右後側アーム部材55及び左後側アーム部材56を収縮状態とする。この状態で、ワイヤ21を巻回することで掘削機4を上昇させながら、その上昇に合わせて右前側アーム部材53及び左前側アーム部材54を伸張させて掘削機4の走行シャフト41bを保持する。このように駆動することで、掘削機4が、地面、リフター5及び回収入出部15に衝突することなく、回収シャフト14内へと案内される。
【0101】
なお、回収入出部15の回収検知装置によって右前側アーム部材53及び左前側アーム部材54が検知された場合、掘削機4がほぼ回収シャフト14内に案内されたということで、右前側アーム部材53及び左前側アーム部材54が収縮状態に駆動制御される。また、掘削機4が上昇されるにつれ、リフター5を後方側(図面右側)へ移動させるように駆動制御される。このように駆動制御することで、掘削機4とリフター5との衝突を回避することができる。
【0102】
以上、説明したように、本実施形態のリフター5によれば、リフター5の各アーム部材53〜56の各把持部53a〜56aによって掘削機4を保持しつつ、各アーム部材53〜56によって掘削機4を4点で支持しながら、ケーソン作業室2内を移動する。そして、回収シャフト14の回収入出部15に対して、リフター5の各アーム部材53〜56のいずれか又は複数を伸縮駆動させて掘削機4を傾倒させながらクレーン20のワイヤ21で吊り上げることで、掘削機4が地面やリフター5又は回収入出部15への衝突を回避しながら、ケーソン作業室2内から正確に搬出することができる。
【0103】
また、リフター5の傾斜検知装置によってリフター5の傾きを検知しつつ、その傾きを考慮しながら、各アーム部材53〜56を駆動制御可能に構成される。このように構成することで、地表の凹凸があった場合でも、掘削機4を地面や天井部2a等に衝突させることなく回収シャフト14の回収入出部15に対して正確に案内し易くなり、掘削機4や回収シャフト14等が破損してしまうことを抑制することができる。
【0104】
さらに、掘削機4の搬出作業に関し、リフター5を遠隔操作によって掘削機4をケーソン作業室2から搬出可能に構成することで、ケーソン作業室2内における高圧環境下での作業者による工数を極力削減し、工期短縮及び人件費削減を実現することができる。
【0105】
また、既存の掘削機4を用いて掘削作業を行うことができ、該掘削機4を分解等することなくそのままの状態で遠隔操作によりケーソン作業室2内から搬出することができる。これにより、掘削機4の分解作業にかかる作業者の工数をなくし、工期短縮及び人件費削減を実現することができる。
【0106】
さらに、掘削機4を分解可能に構成する等、分解可能用の掘削機4を開発することなく、遠隔操作により掘削機4をケーソン作業室2内から搬出することができる。よって、掘削機4の開発費を削減することができ、コスト削減することができる。また、分解可能部分における可動信頼性等を考慮する必要がないため、掘削機4のメンテナンス工数を削減することができる。
【0107】
<第2実施形態>
次に、
図6から
図11を参照し、ニューマチックケーソン工法において本発明の一例であるガイドレール3を適用した場合の第2実施形態について説明する。第1実施形態のガイドレール3では、ケーソン作業室2(
図1参照)の天井部2aに左右一対のガイドレール3を敷設し、該ガイドレール3に掘削機4等の機械設備を懸吊して、ケーソン作業室2内における作業を行うように構成している。具体的には、このガイドレール3に掘削機4等を脱着(取着又は脱落)させる場合、ガイドレール3の一部分を切断して、該切断部分から掘削機4等をガイドレール3に懸吊するように取着したり、該切断部分からガイドレール3に懸吊されていた掘削機4等を脱落させて、ガイドレール3に対して掘削機4等を脱着させていた。このガイドレール3の切断作業、又は、掘削機4等の脱着作業は、ケーソン作業室2内にて作業者が行っていたため、ケーソン作業室2内における作業者の滞在可能時間に制約があることで、作業者の人件費が嵩んでしまったり、工期が長引いてしまうおそれがある。
【0108】
これに対し、第2実施形態のガイドレール3では、右ガイドレール3aの一部分に右拡幅部3a5を設けるとともに、左ガイドレール3bの一部分に左拡幅部3b5を設け、ガイドレール3の端部側に設けられた拡幅駆動機構70によって各拡幅部3a5,3b5をガイドレール3の幅方向に拡幅して変位可能に構成する。このように構成することで、各拡幅部3a5,35bが拡幅されていない状態では、ガイドレール3によって掘削機4等を支持しながらケーソン作業室2内において該掘削機4等による作業を行わせ、掘削機4等をガイドレール3に脱着する場合には、拡幅駆動機構70によって各拡幅部3a5,3b5を拡幅して、掘削機4等を分解又は変形することなくガイドレール3に脱着することができる。
【0109】
また、拡幅駆動機構70によって拡幅部3a5,3b5を拡幅する場合に、リフター5によって掘削機4等が支持された状態でなければ、拡幅駆動機構70によって各拡幅部3a5,3b5が駆動されない(動力が伝達されない)ように構成する。このように構成することで、掘削機4等がリフター5に支持されていない状況でガイドレール3から掘削機4等を脱落させないようにすることができる。よって、掘削機4等をガイドレール3から脱落させる場合、必ず掘削機4等をリフター5によって支持した状態で作業を行うことができ、掘削機4等が落下して破損してしまうことを防止することができる。
【0110】
以下、第2実施形態のガイドレール3等について、第1実施形態のガイドレール3等と相違する点を中心に説明する。以下の第2実施形態のガイドレール3等の説明において、第1実施形態のガイドレール3等と同一の構成及び処理については、第1実施形態と同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0111】
まず、
図6及び
図7を参照して、第2実施形態のガイドレール3と、そのガイドレール3に設けられた拡幅駆動機構70とについて説明する。
図6は、第2実施形態のガイドレール3と、該ガイドレール3に設けられた拡幅駆動機構70とを示した模式的上面図である。また、
図7は、第2実施形態のガイドレール3の右拡幅部3a5及び左拡幅部3b5が拡幅駆動機構70によって拡幅された状態を示した模式的上面図である。
【0112】
図6で示すように、ガイドレール3は、右ガイドレール3aと左ガイドレール3bとで左右一対に設けられおり、右ガイドレール3a及び左ガイドレール3bが共に断面が横向きH型のH形鋼で構成されている。
【0113】
そして、右ガイドレール3aには、主に、ケーソン作業室2の天井部2aに取り付けられる右上鋼3a1と、該右上鋼3a1から鉛直下方に向けて延設される右縦鋼3a2と、該右縦鋼3a2の先端側から水平方向左右に延設されて掘削機4の走行ローラ41aを支持可能な右下鋼3a3と、ガイドレール3の一部分(例えば、回収シャフト14側の端部)に形成されて右ガイドレール3aにおける拡幅方向(
図6上方側)に拡幅変形可能であって上面視凸形状に形成された右拡幅部3a5と、後述する拡幅駆動機構70からの動力を受けて右拡幅部3a5を拡幅変形させる右前ラック3a7及び右後ラック3a8と、が設けられている。また、右拡幅部3a5には、該右拡幅部3a5が走行ローラ41aを支持可能な支持可能状態である場合に、右ガイドレール3aに形成された右当接部3a4と当接する右拡幅当接部3a6が形成されている。
【0114】
また、左ガイドレール3bには、主に、ケーソン作業室2の天井部2aに取り付けられる左上鋼3b1と、該左上鋼3b1から鉛直下方に向けて延設される左縦鋼3b2と、該左縦鋼3b2の先端側から水平方向左右に延設されて掘削機4の走行ローラ41aを支持可能な左下鋼3b3と、ガイドレール3の一部分(例えば、回収シャフト14側の端部)であって、右ガイドレール3aの右拡幅部3a5と対になるように形成され、左ガイドレール3bにおける拡幅方向(
図6下方側)に拡幅変形可能であって上面視凸形状に形成された左拡幅部3b5と、後述する拡幅駆動機構70からの動力を受けて左拡幅部3b5を拡幅変形させる左前ラック3b7及び左後ラック3b8と、が設けられている。また、左拡幅部3b5には、該左拡幅部3b5が走行ローラ41aを支持可能な支持可能状態である場合に、左ガイドレール3bに形成された左当接部3b4と当接する左拡幅当接部3b6が形成されている。
【0115】
拡幅駆動機構70には、主に、内蔵された作動油を加圧することで後述する回転軸72を回転駆動可能な油圧ポンプ71と、該油圧ポンプ71によって所定方向(例えば、時計回り)又は反所定方向(例えば、反時計回り)に回転される回転軸72と、該回転軸72が所定方向又は反所定方向に回転されることに伴って同一方向に回動する平歯車の主ギア73と、が設けられている。また、拡幅駆動機構70として、主ギア73の右側(
図6上方側)には、該主ギア73と歯合して主ギア73の回動に伴って回動する平歯車の右側ギア74と、該右側ギア74と連結されて右側ギア74が回動することに伴って回転する右側回転軸75と、該右側回転軸75と連結されて右側回転軸75が回転することに伴って回動する右第1ピニオン76及び右第2ピニオン77と、が設けられている。さらに、拡幅駆動機構70として、主ギア73の左側(
図6下方側)には、該主ギア73と歯合して主ギア73の回動に伴って回動する平歯車の左側ギア78と、該左側ギア78と連結されて左側ギア78が回動することに伴って回転する左側回転軸79と、該左側回転軸79と連結されて左側回転軸79が回転することに伴って回動する左第1ピニオン80及び左第2ピニオン81と、が設けられている。
【0116】
この拡幅駆動機構70は、地上(即ち、ケーソン作業室2外)に設けられた制御室30(
図1参照)において、操作者により遠隔操作可能に構成されている。具体的には、操作者がモニタ31(
図1参照)の映像を確認しながらコントローラ32(
図1参照)を操作することで、油圧ポンプ71と連結された主ギア73を各方向(時計回り又は反時計回り)に回動可能に駆動制御することができるように構成されている。
【0117】
なお、主ギア73、右側ギア74、右第1ピニオン76、右第2ピニオン77、左側ギア78、左第1ピニオン80及び左第2ピニオン81、並びに、右前ラック3a7、右後ラック3a8、左前ラック3b7及び左後ラック3b8の各歯形については省略して表現している。また、主ギア73、右側ギア74及び左側ギア78は、それぞれ複数の歯車で形成され、主ギア73が所定方向(例えば、時計回り)に回動した場合、右側ギア74、右第1ピニオン76及び右第2ピニオン77が上記所定方向と同一方向に回動するとともに、左側ギア78、左第1ピニオン80及び左第2ピニオン81が上記所定方向とは逆方向(例えば、反時計回り)に回動する構成であれば、歯車の数(動力を伝達する機構)等に関し如何様な構成であってもよい。
【0118】
ここで、
図6で示す右拡幅部3a5及び左拡幅部3b5が走行ローラ41aを支持可能な状態において、拡幅駆動機構70の主ギア73を時計回りに回動させた場合に、右側ギア74、右第1ピニオン76及び右第2ピニオン77も連動して時計回りに回動される。この場合に、右第1ピニオン76及び右第2ピニオン77が、右拡幅部3a5に設けられた右後ラック3a8及び右前ラック3a7とそれぞれ歯合(連結)した状態であれば、右第1ピニオン76及び右第2ピニオン77の回動に伴って右後ラック3a8及び右前ラック3a7がそれぞれ右ガイドレール3aにおける拡幅方向(
図6上方向)に移動し、右後ラック3a8及び右前ラック3a7が取り付けられている右拡幅部3a5全体も右ガイドレール3aにおける拡幅方向へと移動する(
図7参照)。
【0119】
次いで、同じく
図6で示す右拡幅部3a5及び左拡幅部3b5が走行ローラ41aを支持可能な状態において、拡幅駆動機構70の主ギア73を時計回りに回動させた場合に、左側ギア78、左第1ピニオン80及び左第2ピニオン81も連動して反時計回りに回動される。この場合、左第1ピニオン80及び左第2ピニオン81が、左拡幅部3b5に設けられた左後ラック3b8及び左前ラック3b7とそれぞれ歯合(連結)した状態であれば、左第1ピニオン80及び左第2ピニオン81の回動に伴って左後ラック3b8及び左前ラック3b7がそれぞれ左ガイドレール3bにおける拡幅方向(
図6下方向)に移動し、左後ラック3b8及び左前ラック3b7が取り付けられている左拡幅部3b5全体も左ガイドレール3bにおける拡幅方向へと移動する(
図7参照)。
【0120】
なお、右前ラック3a7及び右後ラック3a8、並びに、左前ラック3b7及び左後ラック3b8には、右拡幅部3a5及び左拡幅部3b5が拡幅方向に移動した場合に、右第1ピニオン76及び右第2ピニオン77、又は、左第1ピニオン80及び左第2ピニオン81が、右後ラック3a8及び右前ラック3a7、又は、左後ラック3b8及び左前ラック3b7を超えて(外れて)しまわないように、図示しないストッパーが設けられている。
【0121】
次に、
図7で示す右拡幅部3a5及び左拡幅部3b5が走行ローラ41aを支持不能な状態において、拡幅駆動機構70の主ギア73を反時計回りに回動させた場合、右側ギア74、右第1ピニオン76及び右第2ピニオン77も連動して反時計回りに回動される。この場合に、右第1ピニオン76及び右第2ピニオン77が、右拡幅部3a5に設けられた右後ラック3a8及び右前ラック3a7とそれぞれ歯合(連結)した状態であれば、右第1ピニオン76及び右第2ピニオン77の回動に伴って右後ラック3a8及び右前ラック3a7がそれぞれ右ガイドレール3aにおける収縮方向(
図7下方向)に移動し、右後ラック3a8及び右前ラック3a7が取り付けられている右拡幅部3a5全体も右ガイドレール3aにおける収縮方向へと移動する(
図6参照)。
【0122】
このとき、右拡幅部3a5が走行ローラ41aを支持可能な状態に到達する位置、即ち、右拡幅部3a5の左ガイドレール3b側端部が右ガイドレール3aの左ガイドレール3b側端部と面一となる位置において、右拡幅部3a5に設けられた右拡幅当接部3a6が、右ガイドレール3a側に設けられた右当接部3a4と当接するように構成されている。右拡幅当接部3a6が右当接部3a4と当接した場合、該右当接部3a4によって右拡幅部3a5全体の左ガイドレール3b側(即ち、
図6下方向側)への移動が規制され、右拡幅部3a5の左ガイドレール3b側端部が右ガイドレール3aの左ガイドレール3b側端部から突出しないように位置決めされる。これにより、右拡幅部3a5が必要以上に縮小方向に移動(駆動)されることを規制し、右ガイドレール3a及び右拡幅部3a5によって走行ローラ41aを適切に支持可能状態にすることができる。
【0123】
次いで、同じく
図7で示す右拡幅部3a5及び左拡幅部3b5が走行ローラ41aを支持不能な状態において、拡幅駆動機構70の主ギア73を反時計回りに回動させた場合、左側ギア78、左第1ピニオン80及び左第2ピニオン81も連動して時計回りに回動される。この場合に、左第1ピニオン80及び左第2ピニオン81が、左拡幅部3b5に設けられた左後ラック3b8及び左前ラック3b7とそれぞれ歯合(連結)した状態であれば、左第1ピニオン80及び左第2ピニオン81の回動に伴って左後ラック3b8及び左前ラック3b7がそれぞれ左ガイドレール3bにおける収縮方向(
図7上方向)に移動し、左後ラック3b8及び左前ラック3b7が取り付けられている左拡幅部3b5全体も左ガイドレール3bにおける収縮方向へと移動する(
図6参照)。
【0124】
このとき、右拡幅部3a5と同様、左拡幅部3b5が走行ローラ41aを支持可能な状態に到達する位置、即ち、左拡幅部3b5の右ガイドレール3a側端部が左ガイドレール3bの右ガイドレール3a側端部と面一となる位置において、左拡幅部3b5に設けられた左拡幅当接部3b6が、左ガイドレール3b側に設けられた左当接部3b4と当接するように構成されている。左拡幅当接部3b6が左当接部3b4と当接した場合、該左当接部3b4によって左拡幅部3b5全体の右ガイドレール3a側(即ち、
図6上方向側)への移動が規制され、左拡幅部3b5の右ガイドレール3a側端部が左ガイドレール3bの右ガイドレール3a側端部から突出しないように位置決めされる。これにより、左拡幅部3b5が必要以上に縮小方向に移動(駆動)されることを規制し、左ガイドレール3b及び左拡幅部3b5によって走行ローラ41aを適切に支持可能状態にすることができる。
【0125】
第2実施形態のガイドレール3では、拡幅駆動機構70によって、右ガイドレール3aの右拡幅部3a5と、左ガイドレール3bの左拡幅部3b5との拡幅駆動又は収縮駆動を同時及び同期するように構成されている。即ち、掘削機4等をガイドレール3から脱着する場合には、拡幅駆動機構70によって右拡幅部3a5と左拡幅部3b5とを同時に駆動することで、右ガイドレール3aと左ガイドレール3bとにおいて走行ローラ41aの支持可能状態又は支持不能状態を同期させながら変位させることができる。よって、ガイドレール3に対する掘削機4等の脱着時に、いずれか一方のガイドレール3a,3bが掘削機4等と接触する等の事象を発生し難く構成し、掘削機4等を分解又は変形することなくガイドレール3からスムースに脱着することができる。その結果、ケーソン作業室2内の高圧環境下における作業者の作業工数を削減し、工期短縮及び人件費を削減することができる。
【0126】
なお、各拡幅部3a5,3b5は、走行ローラ41aを支持可能な通常状態と、拡幅駆動機構70による拡幅状態とのいずれの状態においても、図示しない支持部材によって天井部2a及び各ガイドレール3a,3bから支持されて、天井部2a又は各ガイドレール3a,3bから離脱しないように構成されている。
【0127】
次に、
図8及び
図9を参照して、第2実施形態における掘削機4の詳細、及び、該掘削機4がガイドレール3に懸吊されている状態について説明する。
図8は、第2実施形態の掘削機4の、前側シャフト41b1が右第2ピニオン77及び左第2ピニオン81の直下の位置となるとともに、後側シャフト41b2が右第1ピニオン76及び左第1ピニオン80の直下の位置となっている場合の側面図である。また、
図9は、第2実施形態の掘削機4をガイドレール3に懸吊した状態を示した模式的正面図である。第2実施形態の掘削機4の走行基体41において、第1実施形態と異なる部分は、左右一対の前輪側(
図8左側)の走行ローラ41a側に設けられた走行シャフト41bである前側シャフト41b1の上下動に伴って右第2ピニオン77及び左第2ピニオン81が上下動する点と、同じく左右一対の後輪側(
図8右側)の走行ローラ41a側に設けられた後側シャフト41b2の上下動に伴って右第1ピニオン76及び左第1ピニオン80が上下動する点である。なお、
図9(
図10及び
図11も同様)において、拡幅駆動機構70の各部品71〜76,78〜80については、説明の便宜上、省略して表現している。
【0128】
第2実施形態の走行基体41には、
図8で示すように、上記前側シャフト41b1が挿通される前側挿通部41c1と、上記後側シャフト41b2が挿通される後側挿通部41c2と、が走行基体41の左右側面にそれぞれ形成されている。前側シャフト41b1又は後側シャフト41b2は、この前側挿通部41c1又は後側挿通部41c2にそれぞれ挿通され、該前側挿通部41c1又は後側挿通部41c2の形状の範囲内(下降位置から上昇位置の範囲内)で変位可能に構成されている。具体的には、前側シャフト41b1は、前側挿通部41c1の形状に沿って上下に変位可能に構成されている。また、後側シャフト41b2は、後側挿通部41c2の形状に沿って上下又は左右に変位可能に構成されている。
【0129】
ここで、前側シャフト41b1の上方には、拡幅駆動機構70の右第2ピニオン77及び左第2ピニオン81が当接(連結)可能に構成されるとともに、前側シャフト41b1の変位に伴って同時に変位可能に構成されている。また、後側シャフト41b2の上方には、拡幅駆動機構70の右第1ピニオン76及び左第1ピニオン80が当接(連結)可能に構成されるとともに、後側シャフト41b2の変位に伴って同時に変位可能に構成されている。
【0130】
具体的には、掘削機4の走行基体41がガイドレール3における右拡幅部3a5及び左拡幅部3b5の位置に到達し、右第2ピニオン77及び左第2ピニオン81の直下に前側シャフト41b1が位置した場合において、該前側シャフト41b1が後述するリフター5の各アーム部材53,54(
図3参照)によって支持されたとき、前側挿通部41c1の形状の範囲内で前側シャフト41b1の位置が下降位置から上昇位置へ上昇し、その上昇に伴って右第2ピニオン77及び左第2ピニオン81が上昇する。そして、上昇した右第2ピニオン77及び左第2ピニオン81が、右拡幅部3a5の右前ラック3a7及び左拡幅部3b5の左前ラック3b7(ともに
図9参照)と歯合(連結)して、右第2ピニオン77及び左第2ピニオン81の回動力が右前ラック3a7及び左前ラック3b7に伝達可能となる。
【0131】
また、掘削機4の走行基体41がガイドレール3における右拡幅部3a5及び左拡幅部3b5の位置に到達し、右第1ピニオン76及び左第1ピニオン80の直下に後側シャフト41b2が位置した場合において、該後側シャフト41b2が後述するリフター5の各アーム部材55,56(
図3参照)によって支持されたとき、後側挿通部41c2の形状の範囲内で後側シャフト41b2の位置が下降位置から上昇位置へ上昇し、その上昇に伴って右第1ピニオン76及び左第1ピニオン80が上昇する。そして、上昇した右第1ピニオン76及び左第1ピニオン80が、右拡幅部3a5の右後ラック3a8及び左拡幅部3b5の左後ラック3b8(ともに
図9参照)と歯合(連結)して、右第1ピニオン76及び左第1ピニオン80の回動力が右後ラック3a8及び左後ラック3b8に伝達可能となる。
【0132】
一方、掘削機4の走行基体41がガイドレール3における右拡幅部3a5及び左拡幅部3b5の位置に到達しておらず、右第2ピニオン77及び左第2ピニオン81の直下に前側シャフト41b1が位置していない場合、又は、掘削機4の走行基体41がガイドレール3における右拡幅部3a5及び左拡幅部3b5の位置に到達していたとしても、該前側シャフト41b1が後述するリフター5の各アーム部材53,54(
図3参照)によって支持されていない場合は、前側シャフト41b1と右第2ピニオン77及び左第2ピニオン81とが連結され得ない。その結果、前側シャフト41b1によって右第2ピニオン77及び左第2ピニオン81が上昇し得ない。よって、右第2ピニオン77及び左第2ピニオン81が、右拡幅部3a5の右前ラック3a7及び左拡幅部3b5の左前ラック3b7(
図9参照)と歯合(嵌合)せず、右第2ピニオン77及び左第2ピニオン81の回動力が右前ラック3a7及び左前ラック3b7に伝達し得ない状態となる。
【0133】
また、掘削機4の走行基体41がガイドレール3における右拡幅部3a5及び左拡幅部3b5の位置に到達しておらず、右第1ピニオン76及び左第1ピニオン80の直下に後側シャフト41b2が位置していない場合、又は、掘削機4の走行基体41がガイドレール3における右拡幅部3a5及び左拡幅部3b5の位置に到達していたとしても、該後側シャフト41b2が後述するリフター5の各アーム部材55,56によって支持されていない場合は、後側シャフト41b2と右第1ピニオン76及び左第1ピニオン80とが連結され得ない。その結果、後側シャフト41b2によって右第1ピニオン76及び左第1ピニオン80が上昇し得ない。よって、右第2ピニオン77及び左第2ピニオン81が、右拡幅部3a5の右前ラック3a7及び左拡幅部3b5の左前ラック3b7(
図9参照)と歯合(嵌合)せず、右第2ピニオン77及び左第2ピニオン81の回動力が右前ラック3a7及び左前ラック3b7に伝達し得ない状態となる。
【0134】
なお、拡幅駆動機構70の右第1ピニオン76及び右第2ピニオン77、並びに、左第1ピニオン80及び左第2ピニオン81は、下降位置及び上昇位置のいずれにおいても、掘削機4の走行基体41及び走行ローラ41aと干渉し得ない位置となるように構成されている。具体的には、右第1ピニオン76及び右第2ピニオン77、並びに、左第1ピニオン80及び左第2ピニオン81の位置が、走行ローラ41a並びに前側シャフト41b1及び後側シャフト41b2より常に上方位置となるように配置される。よって、右第1ピニオン76及び右第2ピニオン77、並びに、左第1ピニオン80及び左第2ピニオン81によって掘削機4の走行が阻害されず、ケーソン作業室2内における作業効率の低下を未然に防止することができる。
【0135】
ここで、
図10及び
図11を参照して、リフター5を用いてガイドレール3から掘削機4を脱着する方法(取着工程)について説明する。
図10(a)は、掘削機4をガイドレール3に懸吊した状態を示した模式的正面図であり、
図10(b)は、
図10(a)の状態からリフター5の各アーム部材53,54(55,56)を伸張して掘削機4の走行シャフト41b1(41b2)を支持した状態を示した模式的正面図である。また、
図11(a)は、
図10(b)の状態から拡幅駆動機構70によって各ガイドレール3a,3bの各拡幅部3a5,3b5を拡幅した状態を示した模式的正面図であり、
図11(b)は、
図11(a)の状態からリフター5の各アーム部材53,54(55,56)を収縮してガイドレール3から掘削機4を取り外した状態を示した模式的正面図である。
【0136】
まず、
図10(a)の状態では、各ガイドレール3a,3bの各拡幅部3a5,3b5が設けられている位置において、各下鋼3a3,3b3に対して走行ローラ41aが支持可能に構成されている。このため、掘削機4の各走行ローラ41aは、各ガイドレール3a,3b(各拡幅部3a5,3b5)の各下鋼3a3,3b3上を走行し、ガイドレール3周辺のケーソン作業室2内の地面をショベル部45(
図9参照)によって掘削可能に構成される。この場合、掘削機4の走行シャフト41b1(各ピニオン77,81(76,80))は、下降位置に位置しているが、各拡幅部3a5,3b5に設けられた各ラック3a7,3b7(3a8,3b8)、及び、拡幅駆動機構70の各ピニオン77,81(76,80)は、掘削機4の走行ローラ41a及び走行シャフト41bと干渉し得ない位置に設けられているため、掘削機4(走行ローラ41a)の各下鋼3a3,3b3における走行を阻害しない。
【0137】
次いで、
図10(b)の工程では、
図10(a)の状態から各拡幅部3a5,3b5の直下の位置するリフター5の各アーム部材53,54(55,56)によって掘削機4の走行シャフト41b1が下側から支持され、下降位置から上昇位置へと持ち上げられている。このとき、走行シャフト41b1が上昇位置に変位することで、各ピニオン77,81(76,80)も上昇して各ラック3a7,3b7と歯合(連結)し、各ピニオン77,81(76,80)の回動力が各ラック3a7,3b7に伝達可能となる。
【0138】
そして、
図11(a)の工程では、
図10(b)の状態から拡幅駆動機構70(
図6参照)によって各ピニオン77,81(76,80)を回動させ、その回動に伴って各ラック3a7,3b7(3a8,3b8)を変位させることで、各拡幅部3a5,3b5が拡幅方向に移動し、右ガイドレール3a及び左ガイドレール3bの幅が拡幅される。なお、各拡幅部3a5,3b5は、再び各ピニオン77,81(76,80)が歯合(連結)した状態で回動されない限り、右ガイドレール3a及び左ガイドレール3bの幅が拡幅された状態を維持するように構成されている。
【0139】
そして、
図11(b)で示すように、
図11(a)の状態からリフター5の各アーム部材53,54(55,56)を収縮することで、ガイドレール3(拡幅状態の各拡幅部3a5,3b5)から掘削機4を取り外すことができる。この工程において、走行シャフト41bが各拡幅部3a5,3b5と干渉し得るため、リフター5を移動させて走行シャフト41bの長さ方向をガイドレール3の敷設方向からやや斜めの位置とすることで、走行シャフト41bが各拡幅部3a5,3b5と干渉せずに掘削機4を昇降することが可能となる。
【0140】
以上、説明したように、第2実施形態のガイドレール3によれば、各ガイドレール3a,3bに各拡幅部3a5,3b5をそれぞれ設け、該拡幅部3a5,3b5における各下鋼3a3,3b3に掘削機4の走行ローラ41aが支持されている状態において、拡幅駆動機構70によって各拡幅部3a5,3b5をガイドレール3の幅方向に拡幅することで、ガイドレール3に懸吊されている掘削機4等の機械設備を取り外し可能に構成する。このように構成することで、各拡幅部3a5,35bが拡幅されていない状態では、ガイドレール3によって掘削機4等を支持しながらケーソン作業室2内において該掘削機4等による作業を行わせ、掘削機4等をガイドレール3に脱着する場合には、拡幅駆動機構70によって各拡幅部3a5,3b5を拡幅して、掘削機4等を分解又は変形することなくガイドレール3に脱着することができる。また、ケーソン作業室2内の高圧環境下における作業者の作業工数を削減し、工期短縮及び人件費を削減することができる。
【0141】
また、拡幅駆動機構70によって拡幅部3a5,3b5を拡幅する場合に、リフター5の各アーム部材53〜56によって掘削機4の走行シャフト41bが支持された状態でなければ、拡幅駆動機構70によって各ピニオン76,77,80,81が回動された場合であっても、各拡幅部3a5,3b5に設けられた各ラック3a7,3a8,3b7,3b8に各ピニオン76,77,80,81の動力が伝達されず、各拡幅部3a5,3b5が拡幅駆動されない(動力が伝達されない)ように構成する。このように構成することで、掘削機4等がリフター5に支持されていない状況でガイドレール3から掘削機4等を脱落させないようにすることができる。よって、掘削機4等をガイドレール3から脱落させる場合、必ず掘削機4等をリフター5によって支持した状態で作業を行うことができ、掘削機4等が落下して破損してしまうことを防止することができる。
【0142】
さらに、各拡幅部3a5,3b5が走行ローラ41aを支持可能な状態に到達する位置、即ち、各拡幅部3a5,3b5の端部が各ガイドレール3a,3bの他方のガイドレール3b,3a側端部と面一となる位置において、各拡幅部3a5,3b5に設けられた各拡幅当接部3a6,3b6が、各ガイドレール3a,3b側に設けられた各当接部3a4,3b4と当接するように構成されている。各拡幅当接部3a6,3b6が各当接部3a4,3b4と当接した場合、該各当接部3a4,3b4によって各拡幅部3a5,3b5全体の他方のガイドレール3b,3a側への移動が規制され、各拡幅部3a5,3b5の他方のガイドレール3b,3a側端部が各ガイドレール3a,3bの他方のガイドレール3b,3a側端部から突出しないように位置決めされる。これにより、各拡幅部3a5,3b5が必要以上に縮小方向に移動(駆動)されることを規制し、各ガイドレール3a,3b及び各拡幅部3a5,3b5によって走行ローラ41aを適切に支持可能状態にすることができる。
【0143】
また、掘削機4等をガイドレール3から脱着する場合には、拡幅駆動機構70によって右拡幅部3a5と左拡幅部3b5とを同時に駆動することで、右ガイドレール3aと左ガイドレール3bとにおいて走行ローラ41aの支持可能状態又は支持不能状態を同期させながら変位させることができる。よって、ガイドレール3に対する掘削機4等の脱着時に、いずれか一方のガイドレール3a,3bが掘削機4等と接触する等の事象を発生し難く構成し、掘削機4等を分解又は変形することなくガイドレール3からスムースに脱着することができる。その結果、ケーソン作業室2内の高圧環境下における作業者の作業工数を削減し、工期短縮及び人件費を削減することができる。
【0144】
さらに、拡幅駆動機構70は、地上(即ち、ケーソン作業室2外)に設けられた制御室30において、操作者により遠隔操作可能に構成されている。具体的には、操作者がモニタ31の映像を確認しながらコントローラ32を操作することで、油圧ポンプ71と連結された主ギア73を各方向(時計回り又は反時計回り)に回動可能に駆動制御することができるように構成されている。よって、ケーソン作業室2内の高圧環境下における作業者の作業工数を削減し、工期短縮及び人件費を削減することができる。
【0145】
以上、各実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、上記実施形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
【0146】
また、以下に示す変形例のいずれかの構成に対して、上記実施形態の各構成を組み合わせて構成することは当然に可能である。さらに、以下に示す変形例のいずれかの構成に対して、他の1又は複数の変形例の各構成を組み合わせて構成することは当然に可能である。これらの場合、各構成を適用したことによるさらなる効果を奏することができる。以下、実施形態における説明で使用した部品の符番を基に説明するが、他の実施形態における同種類又は近似した部品の符番に置き換えることは当然に可能である。
【0147】
<変形例1>
上記実施形態では、リフター5の移動機構として、キャタピラ51を採用して、ケーソン作業室2内を移動可能に構成していた。これに対し、複数の車輪や駆動足部等を採用して、リフター5を移動可能に構成してもよい。
【0148】
<変形例2>
上記実施形態では、リフター5に該リフター5の水平方向に対する傾きを検知可能な傾斜検知装置を搭載していた。これに対し、掘削機4に該掘削機4の水平方向に対する傾きを検知可能な傾斜検知装置を搭載して、掘削機4の傾きを考慮しつつ、リフター5の各アーム部材53〜56等を駆動制御するように構成してもよい。
【0149】
<変形例3>
上記実施形態では、ケーソン作業室2内に監視カメラを設け、そのカメラ映像等を参照して掘削機4及びリフター5等を駆動制御するように構成していた。これに対し、掘削機4やリフター5にカメラを搭載させ、その映像を参照して掘削機4及びリフター5等を駆動制御するように構成してもよい。特に、リフター5の各アーム部材53〜56に設けられた各把持部53a〜56aにそれぞれカメラを搭載して、掘削機4の走行シャフト41bの位置をカメラで確認しながら各把持部53a〜56aによって走行シャフト41bを把持(保持)するように構成してもよい。
【0150】
<変形例4>
上記実施形態では、ケーソン作業室2から掘削機4を搬出する場合に、リフター5を使用して搬出するように構成していた。これに対し、掘削機4をケーソン作業室2内に搬入する場合に、リフター5を用いて搬入するように構成してもよい。この場合、各アーム部材53〜56によって掘削機4の走行シャフト41bを保持しながらワイヤ21によって掘削機4を吊り降ろすように構成する。
【0151】
<変形例5>
上記実施形態では、4つの各アーム部材53〜56によって4点で掘削機4を支持するように構成していた。これに対し、少なくとも3点の支持機構により、掘削機4を支持するように構成してもよい。また、5点以上の支持機構により、掘削機4を支持するように構成してもよい。
【0152】
<変形例6>
上記実施形態では、ケーソン作業室2内からリフター5を用いて掘削機4を搬出する場合について説明した。これに対し、ケーソン作業室2内で使用される機械設備であって、回収シャフト14の直径より少なくとも全長が長い機械設備を搬出又は搬入する場合に、リフター5を用いるように構成してもよい。
【0153】
<変形例7>
上記実施形態では、各アーム部材53〜56に対してそれぞれ駆動指示を出力して、各アーム部材53〜56をそれぞれ独立して伸縮駆動可能に構成していた。これに対し、傾斜検知装置によってリフター5の傾斜を検知しつつ、1の駆動指示に対して少なくとも2のアーム部材53〜56を同調させながら伸縮させるように構成してもよい。具体的には、例えば、右側伸張指示により、右前側アーム部材53及び右後側アーム部材55をそれぞれ同調させながら伸張させたり、後側収縮指示により、右後側アーム部材55及び左後側アーム部材56をそれぞれ同調させながら収縮するように構成してもよい。これにより、リフター5の操作性を向上させることができる。なお、「同調」とは、各把持部53a〜56aの高さ位置を同一又は略同一にしながら駆動する場合や、各シリンダ53b〜56bの伸縮長さを同一又は略同一にしながら駆動する場合等が例示される。
【0154】
<変形例8>
上記実施形態では、各把持部53a〜56aによって掘削機4の走行シャフト41bを把持するように構成していた。これに対し、各把持部53a〜56aにより走行シャフト41bを把持できているか否かを検知し、その検知結果をモニタ31及びコントローラ32に出力するように構成してもよい。
【0155】
<変形例9>
上記実施形態では、各アーム部材53〜56の各把持部53a〜56aによって掘削機4の走行シャフト41bを把持するように構成していた。これに対し、走行シャフト41bではない掘削機4の他の部分を各アーム部材53〜56で支持するように構成してもよい。この場合、把持部53a〜56aのような構成ではなく、掘削機4の所定部分を支持し易い構造(例えば、面支持するための面部)により、掘削機4を支持するように構成してもよい。
【0156】
<変形例10>
上記実施形態では、各ガイドレール3a,3bの各拡幅部3a5,3b5を、1の拡幅駆動機構70によってそれぞれ駆動し得るように構成されていた。これに対し、各拡幅部3a5,3b5のそれぞれに個別拡幅駆動機構を配設し、各拡幅部3a5,3b5を個別に駆動可能に構成してもよい。この場合、個別拡幅駆動機構を、拡幅駆動機構70と同様、遠隔操作可能に構成することで、ケーソン作業室2内の高圧環境下における作業者の作業工数を削減し、工期短縮及び人件費を削減することができる。
【0157】
<変形例11>
上記実施形態では、拡幅駆動機構70の油圧ポンプ71の動力を、各回転軸72,75,79及び各ギア73,74,78によって、各ピニオン76,77,80,81に伝達していた。これに対し、他の機構(カム、スプロケット、ローラーチェーン又は/及びシリンダ)等によって、拡幅駆動機構70の油圧ポンプ71の動力を各ピニオン76,77,80,81に伝達するように構成してもよい。
【0158】
<変形例12>
上記実施形態では、平歯車の主ギア73,右側ギア74及び左側ギア78を用いて拡幅駆動機構70の油圧ポンプ71からの動力を各ピニオン76,77,80,81に伝達するように構成していた。これに対し、上記各ギア73,74,78を、内歯車、はすば歯車、やまば歯車、かさ歯車、冠歯車、ウォームギア等を用いて拡幅駆動機構70の油圧ポンプ71からの動力を各ピニオン76,77,80,81に伝達するように構成してもよい。
【0159】
<変形例13>
上記実施形態では、各拡幅部3a5,3b5が縮小方向に駆動する場合に、上面視凸形状の各拡幅部3a5,3b5の各拡幅当接部3a6,3b6が、各ガイドレール3a,3bの当接部3a4,3b4と当接することで、各拡幅部3a5,3b5が必要以上に縮小方向に移動(駆動)されることを規制していた。これに対し、各拡幅部3a5,3b5が縮小方向に駆動して、各拡幅部3a5,3b5の側端部が他方のガイドレール3b,3aの側端部と面一となる位置において、各拡幅部3a5,3b5のいずれかの外縁が各ガイドレール3a,3bの外縁と当接する形状であって、各拡幅部3a5,3b5の縮小方向への駆動が規制される形状であれば、如何様な形状であってもよい。
【0160】
<変形例14>
上記実施形態では、各ピニオン76,77,80,81と各ラック3a7,3a8,3b7,3b8とで構成されるラック・アンド・ピニオンによって、各ギア73等の回転力を直線の動きに変換して各拡幅部3a5,3b5を幅方向に変位させていた。これに対し、他の機構(カム、スプロケット、ローラーチェーン又は/及びシリンダ)等によって、各ギア73等の回転力を直線の動きに変換して各拡幅部3a5,3b5を幅方向に変位するように構成してもよい。
【0161】
<変形例15>
上記実施形態では、ガイドレール3に対して拡幅駆動機構70を一体的に(連結して)構成していた。これに対し、ガイドレール3に対して拡幅駆動機構70を別体に構成し、取着可能に連結するように構成してもよい。
【0162】
<変形例16>
上記実施形態では、各ガイドレール3a,3bに各拡幅部3a5,3b5をそれぞれ設け、各拡幅部3a5,3b5を拡幅駆動可能に構成していた。これに対し、いずれか一方のガイドレール3a,3bにのみ単独拡幅部を設け、該単独拡幅部を拡幅駆動させることで、ガイドレール3から掘削機4を取り外し可能に構成してもよい。
【0163】
<変形例17>
上記実施形態では、2本の各ガードレール3a,3bによって掘削機4等の機械設備を懸吊して支持可能に構成していた。これに対し、1の単独レールに対して掘削機4等の機械設備の把持部を支持させて、単独レールに対して掘削機4等を走行可能に構成してもよい。この場合、単独レールの所定部分を敷設方向と直角の方向にスライド移動可能に構成することで、スライド移動させた所定部分から掘削機4等を取り外し可能に構成してもよい。
【0164】
<変形例18>
上記実施形態では、ガイドレール3から掘削機4を取り外す場合について説明した。これに対し、ガイドレール3に掘削機4等の機械設備を取り付ける場合においても同様の構成を用いて、ガイドレールに対して掘削機4等を取り付けるように構成してもよい。
【0165】
<変形例19>
上記実施形態では、各ガイドレール3a,3bの内側に拡幅駆動機構70等を設け、各拡幅部3a5,3b5に対して押出し方向へ力を加え、各拡幅部3a5,3b5を拡幅方向に駆動していた。これに対し、各ガイドレール3a,3bの外側に1又は複数の外側拡幅駆動機構を設け、各拡幅部3a5,3b5を外側方向へ引っ張ることで、各拡幅部3a5,3b5を拡幅方向に駆動するように構成してもよい。このように構成することで、掘削機4の走行ローラ41aと外側拡幅駆動機構との干渉を考慮することなく、ガイドレール3及び外側拡幅駆動機構とを設計することが可能となり、ガイドレール3及び外側拡幅駆動機構の設計自由度が向上する。
【0166】
<変形例20>
上記実施形態では、各ガイドレール3a,3bの各拡幅部3a5,3b5を水平方向に拡幅して、掘削機4をガイドレール3に対して着脱するように構成していた。これに対し、各ガイドレール3a,3bの所定部分の各下鋼3a3,3b3を各縦鋼3a2,3b2との接続部分を回動中心に鉛直下方側に回動駆動可能な回動支持部として構成する。そして、掘削機4をガイドレール3で走行可能な状態とする場合には、上記回動支持部が水平方向の状態となるように維持する一方、掘削機4をガイドレール3に対して着脱する場合には、上記回動支持部を、上記接続部分を回動中心として鉛直下方側に回動駆動させることで、ガイドレール3に対して掘削機4を着脱可能に構成してもよい。
【0167】
なお、上記実施形態に記載の「右前把持部53a、左前把持部54a、右後把持部55a及び/又は左後把持部56a」が特許請求の範囲の「支持機構」に対応し、上記実施形態に記載の「キャタピラ51」が特許請求の範囲の「移動機構」に対応し、上記実施形態に記載の「モニタ31及びコントローラ32」が特許請求の範囲の「制御装置」に対応し、上記実施形態に記載の「リフター5」が特許請求の範囲の「遠隔作業用装置」に対応し、上記実施形態に記載の「掘削機4、照明設備及び又は監視カメラ」が特許請求の範囲の「機械設備」に対応し、上記実施形態に記載の「右前側アーム部材53、左前側アーム部材54、右後側アーム部材55及び/又は左後側アーム部材56」が特許請求の範囲の「傾倒機構」に対応上記実施形態に記載の「傾斜検知装置」が特許請求の範囲の「傾倒態様出力手段」に対応し、上記実施形態に記載の「リフター通信部」が特許請求の範囲の「受信手段」に対応し、上記実施形態に記載の「リフター制御部及び/又はリフター駆動ユニット60」が特許請求の範囲の「駆動制御手段」に対応し、上記実施形態に記載の「右前側アーム部材53及び左前側アーム部材54、又は、右後側アーム部材55及び左後側アーム部材56」が特許請求の範囲の「前後傾倒手段」に対応し、上記実施形態に記載の「右前側アーム部材53及び右後側アーム部材55、又は、左前側アーム部材54及び左後側アーム部材56」が特許請求の範囲の「左右傾倒手段」に対応し、上記実施形態に記載の「傾斜検知装置」が特許請求の範囲の「傾斜検知手段」に対応し、上記実施形態に記載の「リフター通信部」が特許請求の範囲の「傾斜出力手段」に対応し、上記実施形態に記載の「右前シリンダ53b、左前シリンダ54b、右後シリンダ55b及び/又は左後シリンダ56b」が特許請求の範囲の「可動機構」に対応し、上記実施形態に記載の「各アーム部材53〜56をそれぞれ独立して駆動する構成」が特許請求の範囲の「独立駆動手段」に対応し、上記実施形態に記載の「各アーム部材53〜56の少なくとも2以上の各アーム部材53〜56を同調させながら駆動する構成」が特許請求の範囲の「同調駆動手段」に対応し、上記実施形態に記載の「走行シャフト41b」が特許請求の範囲の「被支持部」に対応し、上記実施形態に記載の「各把持部53a〜56aに設けられたカメラ」が特許請求の範囲の「被支持部判別手段」に対応し、上記実施形態に記載の「回収シャフト14」が特許請求の範囲の「シャフト」に対応し、上記実施形態に記載の「ワイヤ21」が特許請求の範囲の「吊下手段」に対応し、上記実施形態に記載の「クレーン20」が特許請求の範囲の「昇降装置」に対応し、上記実施形態に記載の「コントローラ32」が特許請求の範囲の「操作手段」に対応し、上記実施形態に記載の「モニタ31」が特許請求の範囲の「表示装置」に対応し、上記実施形態に記載の「フック22」が特許請求の範囲の「先端部」に対応し、上記実施形態に記載の「フック取付部」が特許請求の範囲の「取付部」に対応し、上記実施形態に記載の「天井部2a」が特許請求の範囲の「天井部分」に対応し、上記実施形態に記載の「ガイドレール3」が特許請求の範囲の「走行レール」に対応し、上記実施形態に記載の「走行ローラ41a」が特許請求の範囲の「走行手段」に対応し、上記実施形態に記載の「掘削基体43」が特許請求の範囲の「胴体部」に対応し、上記実施形態に記載の「アーム部44及びバケット部45」が特許請求の範囲の「掘削機構」に対応し、上記実施形態に記載の「地面又は掘削面」が特許請求の範囲の「地表」に対応し、上記実施形態に記載の「回収入出部15」が特許請求の範囲の「連通口」に対応し、上記実施形態に記載の「回収検知装置」が特許請求の範囲の「機械設備検出手段」に対応する。
【0168】
また、上記実施形態に記載の「右上鋼3a1及び左上鋼3b1」が特許請求の範囲の「取付部」に対応し、上記実施形態に記載の「右下鋼3a3及び左下鋼3b3」が特許請求の範囲の「支持部」に対応し、上記実施形態に記載の「右拡幅部3a5及び/又は左拡幅部3b5」が特許請求の範囲の「変形部」に対応し、上記実施形態に記載の「拡幅駆動機構70」が特許請求の範囲の「変形駆動手段」に対応し、上記実施形態に記載の「右ガイドレール3a又は左ガイドレール3b」が特許請求の範囲の「第1レール部」に対応し、上記実施形態に記載の「左ガイドレール3b又は右ガイドレール3a」が特許請求の範囲の「第2レール部」に対応し、上記実施形態に記載の「右第1ピニオン76、右第2ピニオン77、左第1ピニオン80及び左第2ピニオン81、並びに、右前ラック3a7、右後ラック3a8、左前ラック3b7及び左後ラック3b8」が特許請求の範囲の「拡幅駆動手段」に対応し、上記実施形態に記載の「右拡幅部3a5と左拡幅部3b5とを同時に拡幅(収縮)駆動すること」が特許請求の範囲の「同時駆動手段」に対応し、上記実施形態に記載の「右拡幅部3a5と左拡幅部3b5とを縮小方向に駆動すること」が特許請求の範囲の「縮小駆動手段」に対応し、上記実施形態に記載の「右拡幅当接部3a6及び左拡幅当接部3b6」が特許請求の範囲の「離間部」に対応し、上記実施形態に記載の「右当接部3a4及び左当接部3b4」が特許請求の範囲の「規制部」に対応し、上記実施形態に記載の「前側シャフト41b1及び後側シャフト41b2、並びに、前側挿通部41c1及び後側挿通部41c2」が特許請求の範囲の「駆動可能状態変位手段」に対応し、上記実施形態に記載の「拡幅駆動機構70を制御室30から遠隔操作可能な構成」が特許請求の範囲の「遠隔制御手段」に対応し、上記実施形態に記載の「掘削機4」が特許請求の範囲の「機械設備」に対応し、上記実施形態に記載の「右前側アーム部材53、左前側アーム部材54、右後側アーム部材55及び左後側アーム部材56」が特許請求の範囲の「支持機構」に対応し、上記実施形態に記載の「キャタピラ51」が特許請求の範囲の「移動機構」に対応し、上記実施形態に記載の「リフター5」が特許請求の範囲の「遠隔作業用装置」に対応する。
【解決手段】右ガイドレール3aに右拡幅部を設けるとともに、左ガイドレール3bに左拡幅部を設け、該各拡幅部における右下鋼3a3及び左下鋼3b3に掘削機4の走行ローラ41aが支持されている状態において、拡幅駆動機構によって右拡幅部及び左拡幅部をガイドレールの幅方向にそれぞれ拡幅駆動することで、ガイドレールに懸吊されている掘削機4等の機械設備を取り外し可能に構成する。