(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようなレーザ描画装置4は、一般にモータやギヤによってレーザー光を照射させたレーザヘッドを所定の方向に繰り返し往復させ、路面上に描画された線を積層する走査によって矢印の警告マーク等を路面に描画している。
【0005】
しかし、このようなレーザ描画装置は、レーザヘッドを動作させる際の制御が複雑になるばかりでなく、レーザヘッドを多彩な方向に傾動させるための複雑な傾動機構を必要になる。また、当該傾動機構は、路面描画の際に連続して動作することによって大きな負荷を受けるため、消耗が激しい点で問題がある。
【0006】
本願は、上記問題に鑑みて、道路上の歩行者等に車両の接近情報等に関する図形を路面等に描画する際の制御や機構が単純であり、機構への負荷が少ない路面描画用灯具ユニットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
路面描画用灯具ユニットが、光源である少なくとも一以上の半導体発光素子と、それぞれ異なる形状を有し、半導体発光素子からの出射光を車両の前方に透過させる複数の回折格子部と、前記出射光を透過させる回折格子部を切り替える切替手段と、を有するようにした。
【0008】
(作用)回折格子毎に溝の形状が異なるため、各回折格子部から出射した光は、回折格子毎に異なる形状の描画パターンを路面等に描画する。路面に描画される描画パターンは、光が出射される回折格子を切替手段で切り替えることによって変化する。
【0009】
また、路面描画用灯具ユニットにおいては、光源が、独立して点消灯可能に形成された複数の半導体発光素子であり、前記回折格子部が、複数の前記半導体発光素子毎に配置されるようにした。
【0010】
(作用)点灯させる半導体発光素子を切り替えることにより、異なる形状の描画パターンが路面等に描画される。
【0011】
また、路面描画用灯具ユニットにおいては、複数の前記回折格子部は、道路の幅方向である第1方向に長く、道路の幅方向及び光源の出射軸の双方に直交する方向である第2方向に短い、棒状の描画パターンを前記第2方向に沿って道路上の複数箇所に描画するようにそれぞれ形成されるようにした。
【0012】
(作用)幅に対して奥行(道路の伸長方向の長さ)の短い棒状の描画パターンが道路の延びる方向に沿って車両前方に形成されることにより、車両から離れた位置に描画されても前後に光が拡散しにくくなり、明確な輪郭を持つ幅方向に長い描画パターンが車両前方の車両から離れた路面上に形成される。また、上下方向に沿って順次形成される棒状の描画パターンは、道路上の歩行者により、路面上を車両の進行方向に沿って移動するマークとして認識される。
【0013】
また、路面描画用灯具ユニットにおいては、車両の遠方に照射される描画パターンを、車両のより近傍に照射される描画パターンよりも前記第2方向に短く描画するようにした。
【0014】
通常、車両の遠方の路面に照射される描画パターンは、より車両の近傍の路面に照射される描画パターンより道路の伸長方向に長い奥行を有するように描画されるため、車両の遠方の路面に描画される描画パターンを形成する光は、より車両の近傍の路面に描画される描画パターンを形成する光よりも路面上において道路の伸長方向に拡散しやすくなる。
【0015】
(作用)しかし、車両のより遠方に描画される描画パターンの第2方向(道路の幅方向及び光源の出射軸の双方に直交する方向)の長さを、車両のより近傍に形成される描画パターンの第2方向の長さよりも短く形成した場合、路面上の描画パターンは、車両から描画される位置までの距離に関わらず、均等に拡散し、歩行者には、等しい形状の棒状の描画パターンが車両の進行方向に沿って移動するように見える。
【0016】
また、路面描画用灯具ユニットにおいては、車両の遠方に照射される描画パターンを、車両のより近傍に照射される描画パターンよりも前記第1方向に短く描画するようにした。
【0017】
通常、車両の遠方の路面に描画される描画パターンを形成する光は、より車両の近傍の路面に描画される描画パターンを形成する光よりも路面上において道路の幅方向にも拡散しやすくなる。
【0018】
(作用)しかし、車両のより遠方に描画される描画パターンの第1方向(道路の幅方向)の長さを、車両のより近傍に形成される描画パターンの第1方向の長さよりも短く形成した場合、路面上の描画パターンは、車両から描画される位置までの距離に関わらず、均等に拡散し、歩行者には、等しい幅の棒状の描画パターンが車両の進行方向沿って移動するように見える。
【発明の効果】
【0019】
路面描画用ユニットによれば、描画パターンを路面等に描画する際や、描画パターンの形状を変更する際の制御や描画パターンを変更するための機構が単純になり、機構への負荷もかかりにくくなる。
【0020】
また、路面描画用灯具ユニットによれば、光源や回折格子部を移動させる機構が不要になるため、描画パターンの形状を変更する際の制御や描画パターンを変更するための機構が更に単純になり、機構への負荷もかかりにくくなる。
【0021】
また、路面描画用灯具ユニットによれば、車両から離れた路面上に描画パターンを形成しても、輪郭が崩れないため、道路上の歩行者が車両の接近情報として迅速かつ的確に認識出来る。
【0022】
また、路面描画用灯具ユニットによれば、歩行者は、等しい奥行の棒状の描画パターンが車両の進行方向沿って移動するように認識することにより、車両の接近をより迅速かつ的確に認識出来る。
【0023】
また、路面描画用灯具ユニットによれば、歩行者は、等しい幅の棒状の描画パターンが車両の進行方向沿って移動するように認識することにより、車両の接近をより迅速かつ的確に認識出来る。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を
図1から
図11に基づいて説明する。各図においては、ドライバーが運転席から見たと仮定した車両及び路面描画用灯具ユニットの各方向を(上方:下方:左方:右方:前方:後方=Up:Lo:Le:Ri:Fr:Re)として説明する。
【0026】
図1から
図3は、路面描画用灯具ユニットの第1実施例を含む車両用灯具1を示す。車両用灯具1は、右側前照灯の一例を示すものであり、車両前方側に開口部を有するランプボディ2と、前記開口部を閉塞する透明または半透明の前面カバー3とを備える。ランプボディ2と前面カバー3の内側に形成された灯室Sの内側には、第1実施例の路面描画用灯具ユニット4と、配光パターン形成用の光源ユニット5、エイミングブラケット(6,7)、スイブルユニット8,複数のエイミングスクリュー9、エクステンションリフレクター10、及び制御装置11が収容される。
【0027】
図1から
図3に示される路面描画用灯具ユニット4は、制御装置11と、透光板12に形成された複数の回折格子部(13a〜13c)と、灯具ボディ14と、光源であるLEDアレイ15と、回折格子部(13a〜13c)の切替手段16と、リフレクター17と、を有する。
【0028】
LEDアレイ15は、一例として、白色や緑色の半導体発光素子である複数のLED発光素子(18〜21)を基板15aの上に上下及び左右に2列ずつ配列することによって構成されている。尚、LED発光素子の数は、少なくとも1以上であればよく、4つに限られない、また、半導体発光素子には、LED発光素子の代わりにレーザーダイオードを採用することも出来る。
【0029】
透光板12は、透明または半透明の樹脂やガラスなどによって形成された板状部材であり、透光板12の中央には、複数の回折格子部(13a〜13c)が左右に連続して配列されるように形成されている。回折格子部(13a〜13c)は、透光板上の矩形の領域に多数の微細な平行溝を形成することで構成され、回折格子部(13a〜13c)に透過した光は、回折光によって所定の描画パターンを車両の前方の路面等に描画する。また、所定の描画パターンは、回折格子部(13a〜13c)を構成する多数の微細な平行溝の形状によって異なるため、回折格子部(13a〜13c)に形成される多数の平行溝は、回折格子部(13a〜13c)毎に異なる形状に形成される。
【0030】
図2と
図3に示す通り、灯具ボディ14は、中空箱形の本体部14aと、光源支持部14b、複数の放熱フィン14c、軸受部(14d,14e)によって構成され、本体部14aは、天板14f、底板14g、左右側板(14h、14i)によって構成される。軸受部(14d,14e)は、底板14g及び天板14fの外側にそれぞれ形成され、後述する第1及び第2スイブル軸(23,24)に取り付けられる。光源支持部14bは、天板14f、底板14g、左右側板(14h、14i)に直交する仕切板として本体部14aの内側に一体に形成される。光源支持部14bの前面14jには、基板15aを介してLEDアレイ15が取り付けられ、かつ、LEDアレイ15の周囲には、回転放物面形状の有し、アルミ蒸着等で形成される反射面17aによってLED発光素子(18〜21)からの出射光を前方に反射するリフレクター17が設けられる。光源支持部14bの後面には、互いに平行になるように後方に延出する複数の放熱フィン14cが設けられる。
【0031】
天板14fの上面には、ピニオンギヤ26を有する切替用モーター25が固定され、底板14gの下面には、前方に突出するホルダーブラケット28が固定される。切替用モーター25は、制御装置11に接続されて、回動を制御される。ピニオンギヤ26は、切替用モーター25の回動軸に取り付けられ、灯具ボディ14の前端開口部14mよりも前方に配置される。また、切替用モーター25は、LEDアレイ15の出射軸L1(全てのLED発光素子(18〜21)による光束照射範囲における上下及び左右の中心を通る軸線)と平行な回動軸の軸線L7周りにピニオンギヤ26を回動させる。
【0032】
ホルダーブラケット28は、下方に凹み左右に伸びるスライド溝28aを有し、透光板12は、スライド溝28aに係合し、左右に摺動可能な状態でホルダーブラケット28に保持される。その際、回折格子部(13a〜13c)は、LEDアレイ15及びリフレクター17の反射面17aと同じ高さに配置される。また、透光板12の上端縁には、上方に配置されたピニオンギヤ26に噛み合うラック27が形成される。
【0033】
ラック27に噛み合うピニオンギヤ26が切替用モーター25によって回動すると、透光板12は、スライド溝28a上を左右にスライドし、回折格子部(13a〜13c)のうち1つが、スライド溝28a上における透光板12の位置に基づいてLEDアレイ15及びリフレクター17に正対する。ホルダーブラケット28のスライド溝28a、切替用モーター25,ピニオンギヤ26,ラック27は、回折格子部(13a〜13c)の切替手段16を構成する。切替手段16は、制御装置11によって制御される切替用モーター25により、LEDアレイ15及びリフレクター17に正対する回折格子部(13a〜13c)を切り替える。
【0034】
LEDアレイ15から出射した光線r1の一部は、正対する回折格子部(13a〜13c)に直接入射し、残る光線r1は、
図2に示すようにリフレクター17によって正対する回折格子部(13a〜13c)に反射される。光線r1による光束R1は、出射軸L1周りに収束しつつ、正対する回折格子部(13a〜13c)及び前面カバー3を透過することにより、透過したいずれかの回折格子部(13a〜13c)に基づいた所定形状の描画パターンを車両前方の路面等に描画する。
【0035】
また、灯具ボディ14は、エイミングブラケット(6,7)、スイブルユニット8及び複数のエイミングスクリュー9によってランプボディ2に取り付けられる。エイミングスクリュー9は、路面描画用灯具ユニット4及び配光パターン形成用の光源ユニット5に対してそれぞれ3箇所ずつ設けられ、ランプボディ2に取り付けられる。また、3箇所のエイミングスクリューのうち1本は、モーターユニット22によって前後に進退可能に構成されることにより、路面描画用灯具ユニット4及び配光パターン形成用の光源ユニット5をそれぞれ独立して上下に傾動させる。
【0036】
エイミングブラケット(6、7)は、板状で一端がエイミングスクリュー9に支持され、他端の軸取付部(6a,7a)が前方に向かって屈曲する。路面描画用灯具ユニット4の下方に設けられたエイミングブラケット6には、内蔵したモーター等で第1スイブル軸23を回動させるスイブルユニット8が固定される。第1スイブル軸23は、軸取付部6aの孔6bから上方に突出して灯具ボディ14の軸受部14dに固定される。また、路面描画用灯具ユニット4の上方に設けられたエイミングブラケット7の軸取付部7aには、孔7bが設けられる。灯具ボディ14の軸受部14eには、第2スイブル軸24が固定され、第2スイブル軸24は、孔7bを介してエイミングブラケット7の軸取付部7aに回動可能に保持される。路面描画用灯具ユニット4は、第1及び第2スイブル軸(23,24)を介し、エイミングブラケット(6,7)に回動可能に支持され、かつスイブルユニット8の駆動源(図示しないモーター等)によって第1スイブル軸23を回動させることにより、第1及び第2スイブル軸(23,24)の中心軸線L2を中心として左右に揺動する。
【0037】
次に
図4及び
図5により、路面描画用灯具ユニットの第2実施例を説明する。
図4は、第2実施例の路面描画用灯具ユニット36を含む車両用灯具35を示す。第2実施例の車両用灯具35の構成は、路面描画用灯具ユニット36を除いて第1実施例の車両用灯具1と共通する。路面描画用灯具ユニット36は、制御装置11と、灯具ボディ14と、LEDアレイ15と、リフレクター17と、複数の回折格子部(37a〜37c)を形成した透光板38と、ミラーユニット39と、サブリフレクター(40,41)と、を有する。
【0038】
路面描画用灯具ユニット36の構成のうち、制御装置11と、灯具ボディ14と、LEDアレイ15と、リフレクター17は、第1実施例の路面描画用灯具ユニット4と共通する。一方、複数の回折格子部(37a〜37c)を形成した透光板38は、第1及び第2ホルダーブラケット(42,43)を介して前端開口部14mを閉塞するように灯具ボディ14に固定されている点で灯具ボディ14に対してスライド可能な第1実施例の透光板12と異なる。また、ミラーユニット39、サブリフレクタ−(40,41)は、回折格子部(37a〜37c)の切替手段44を構成する。
【0039】
図4及び5に示す第2実施例の路面描画用灯具ユニット36は、第1実施例の路面描画用灯具ユニット4のように、透光板12をスライドさせることによってLEDアレイ15及びリフレクター17に正対する回折格子部(13a〜13c)を切り替えるのでは無く、可動式のミラーユニット39と、固定されたサブリフレクター40、41を介し、灯具ボディ14に固定された回折格子部(37a〜37c)のいずれかにLEDアレイ15の光束を反射することによって、光束を透過させる回折格子部(37a〜37c)を切り替えるものである。
【0040】
透光板38は、透明な板状部材であり、透光板38の中央には、複数の回折格子部(37a〜37c)が左右に配列されるように形成されている。回折格子部(37a〜37c)は、回折格子部(37a〜37c)毎に異なる形状の多数の微細な平行溝を有し、それぞれ異なる形状の描画パターンを車両前方の路面等に描画する。
【0041】
第1及び第2ホルダーブラケット(42,43)は、灯具ボディ14のそれぞれ天板14fと底板14gに固定され、透光板38は、回折格子部37bをLEDアレイ15及びリフレクター17に正対させた状態で第1及び第2ホルダーブラケット(42,43)の固定溝(42a,43a)に固定される。灯具ユニット14の内側には、LEDアレイ15と透光板38との間にミラーユニット39が設けられる。
【0042】
図4に示すようにミラーユニット39は、切替用モーター39aと、回動軸39bと、反射板39cによって構成される。切替用モーター39aは、灯具ボディ14の底板14gに固定され、回動軸39bは、反射板39cの中央に固定され、制御装置11によって制御される切替用モーター39aの駆動により、LEDアレイ15の出射軸L1に直交しつつ上下に伸びる軸線L3周りに回動する。反射板39cは、アルミ蒸着等で形成され、軸線L3方向に延びる反射面(39d,39e)を両面に有し、回動軸39bと共に軸線L3周りに回動する。
図5の各図に示すように、サブリフレクター(40,41)は、アルミ蒸着等によって形成された軸線L3方向に延びる反射面(40a,41a)をそれぞれ有し、灯具ボディ14の内側において反射板39cの左右にそれぞれ配置される。反射面40aは、
図5(a)に示すように反射板39c及び回折格子部37aの双方に向けて配置され、反射面41aは、反射板39c及び回折格子部37cの双方に向けて配置される。
【0043】
反射板39cは、制御装置11で切替用モーター39aを制御することによって回動し、第1配置P1、第2配置P2または第3配置P3のいずれかに配置される。第1配置P1における反射板39cは、両反射面(40a,41a)が軸線L1に平行になるように配置され、第2配置P2における反射板39cは、左側の反射面39dがリフレクター17の反射面17a及びサブリフレクター40の反射面40aの双方に向けられるように配置され、第3配置P3における反射板39cは、右側の反射面39eがリフレクター17の反射面17a及びサブリフレクター41の反射面41aの双方に向けられるように配置される。
【0044】
図5(a)において、LEDアレイ15から出射した光線r2は、リフレクター17によって前方に反射される。反射板39cが第1配置P1に配置されている場合、光線r2による光束R2は、反射面(39d,39e)のいずれにも反射されることなく回折格子部37bに直接入射する。
図4の切替用モーター39aを駆動させて反射板39の位置を第2配置P2に切り替えた場合、LEDアレイ15を出射した光線r2は、反射板39cの反射面39d及びサブリフレクター40の反射面40aによって順番に反射され、反射光r3の光束R3が回折格子部37aに入射する。また、反射板39cの位置を第3配置P3に切り替えると、LEDアレイ15を出射した光線r2は、反射板39cの反射面39e及びサブリフレクター41の反射面41aによって順番に反射され、反射光r4の光束R4が回折格子部37cに入射する。反射板39cの配置を切り替えることによって回折格子部(37a〜37c)を透過した光束R2からR4は、それぞれ異なる形状の描画パターンを車両前方の路面等に描画する。
【0045】
次に
図6及び
図7により、路面描画用灯具ユニットの第3実施例を説明する。
図7は、第3実施例の路面描画用灯具ユニット51を含む車両用灯具50を示す。第2実施例の車両用灯具50の構成は、路面描画用灯具ユニット51を除いて第1及び第2実施例の車両用灯具(1,35)と共通する。路面描画用灯具ユニット51は、制御装置11と、灯具ボディ14と、光源であるLEDアレイ52と、複数のリフレクター(53a〜53c)と、複数の回折格子部(54a〜54c)を形成した透光板55と、を有する。
【0046】
図6及び
図7に示す通り、路面描画用灯具ユニット51は、LEDアレイ52と、リフレクター(53a〜53c)及び透光板55に形成された複数の回折格子部(54a〜54c)の形態が異なり、かつミラーユニット39を備えていない他、第2実施例の路面描画用灯具ユニット36と共通した構成を有する。複数の回折格子部(54a〜54c)は、それぞれの形状が異なり、下方から上方に連続するように透光板55に形成され、透光板55は、第1及び第2ホルダーブラケット(42,43)を介して前端開口部14mを閉塞するように灯具ボディ14に固定される。
【0047】
図6及び
図7に示す通り、LEDアレイ52は、3つの半導体発光素子であるLED発光素子(56〜58)を有し、LED発光素子(56〜58)は、下方から上方に連続するように基板52a上に配列されている。各LED発光素子(56〜58)の周辺には、LED発光素子毎にリフレクター(53a〜53c)が設けられている。また、各LED発光素子(56〜58)及び各リフレクター(53a〜53c)の前方には、LED発光素子毎に回折格子部(54a〜54c)が対向するように配置される。尚、LED発光素子の数は、複数であればよく、3つに限られない、また、半導体発光素子には、LED発光素子の代わりにレーザーダイオードを採用することも出来る。
【0048】
LED発光素子(56〜58)のそれぞれの出射光を符号r5〜r7で表し、出射光r5〜r7による光束をそれぞれR5〜R7とすると、LEDアレイ52の出射軸L4(全てのLED発光素子(56〜58)による光束照射範囲における上下及び左右の中心を通る軸線)を中心として発生する光束(R5〜R7)は、
図7に示すように対応する回折格子部(54a〜54c)、及び前面カバー3を透過して車両前方の路面等に回折格子部(54a〜54c)に応じた所定形状の描画パターンを描画する。LED発光素子(56〜58)は、制御装置11によって独立して点消灯可能に形成され、第3実施例における回折格子部(54a〜54c)の切替手段59は、制御装置11によって構成される。
【0049】
第3実施例の路面描画用灯具ユニット51は、第1実施例のように透光板12をスライドさせる切替用モーター25、ピニオンギヤ26及びラックや、第2実施例のようなミラーユニット39のような駆動機構を備えておらず、電気的な制御装置11のみによって使用する回折格子部(54a〜54c)を切り替える。従って、第3実施例における回折格子部(54a〜54c)の切替手段59においては、駆動機構の動作が無いため、使用する回折格子部(54a〜54c)の切替動作が第1実施例及び第2実施例の切替手段(16,44)よりも早く、かつ駆動機構を備えていないため、切替手段(16,44)に比べて故障しにくい。
【0050】
尚、
図4及び
図7に示す第2実施例の路面描画用灯具ユニット36と、第3実施例の路面描画用灯具ユニット51は、それぞれ第1実施例の路面描画用灯具ユニット4と同様に、モーターユニット22の駆動に基づいて出射軸(L1,L4)と共に上下に傾動し、スイブルユニット8の駆動に基づいて出射軸(L1,L4)と共に第1及び第2スイブル軸(23,24)の中心軸線L2を中心として左右に揺動する。また、本願各実施例における路面描画用灯具ユニット(4,36,51)は、それぞれ車両用灯具(1、35,50)の内側に配置することに限られず、例えば車両(図示せず)の屋根など、車両用灯具(1、35,50)の外側に設置されてもよい。また、本願各実施例の複数の回折格子部(13a〜13c)、(37a〜37c)、(54a〜54c)は、それぞれ各実施例のように一枚の透光板(12,38,55)に形成せず、複数の透光板に形成しても良い。
【0051】
また、各実施例の回折格子部(13a、37a、54a)は、光線の通過により、例えば、左折することを意味する左向きの矢印を描画するように形成され、回折格子部(13b、37b、54b)は、直進を意味する前向きの矢印を描画するように形成され、回折格子部(13c、37c、54c)は、右折することを意味する右向きの矢印を描画するように形成されるようにすることが考えられる。また、回折格子部(13a〜13c)、(37a〜37c)、(54a〜54c)がそれぞれ、車両の幅方向に延びる棒状の描画パターンを車両の前方に向かって少しずつずれた位置に描画するようにしてもよい。
【0052】
次に
図8により、制御装置11を説明する。制御装置11は、灯具ECU(電子制御装置)61、ROM62、RAM63を有する。灯具ECU61は、光源制御部64、スイブル制御部65及び切替制御部72を有する。ROM62には、各種制御プログラムが記録され、灯具ECU61は、ROM62に記録された制御プログラムをROM63において実行し、各種制御信号を生成する。
【0053】
光源制御部64は、LEDアレイ15(第2実施例ではLEDアレイ35)の点灯制御回路66を介して第1及び第2実施例のLED発光素子(18〜21)または第3実施例のLED発光素子(56〜58)に接続される。スイブル制御部65は、スイブルユニット8の駆動源(図示しないモーター等)を駆動させるスイブル駆動部67に接続される。スイブル駆動部67は、灯具ECU61の制御信号に基づいて、
図2、
図4及び
図7に示す第1スイブル軸23を中心軸線L2周りに回動させ、路面描画用灯具ユニット4(第2実施例では路面描画用灯具ユニット36、第3実施例では路面描画用灯具ユニット51)を左右に揺動させる。
【0054】
また、
図8に示す通り、切替制御部72は、第1実施例にいて切替手段16の切替用モーター25に接続され、第2実施例において切替手段44を構成するミラーユニット39の切替用モーター39aに接続され、第3実施例において光源制御部64に接続される。第1実施例において灯具ECU61の制御信号を受けた切替制御部72は、回折格子部(13a〜13c)の切替用モーター25を回動させることによって透光板12をスライドさせ、
図3(a)に示す回折格子部(13a〜13c)のうち所定の1つをLEDアレイ15に正対させる。また、第2実施例において灯具ECU61の制御信号を受けた切替制御部72は、回折格子部(37a〜37c)の切替用モーター39aを回動させることによってミラーユニット39の反射板39cを軸線L3周りに回動させて、回折格子部(13a〜13c)を
図5(a)に示す、第1配置から第3配置(P1〜P3)のいずれかに配置する。また、第3実施例において灯具ECU61の制御信号を受けた切替制御部72は、光源制御部64を介してLED発光素子(56〜58)のうち所定のLED発光素子を点灯させる。
【0055】
光源制御部64は、第1実施例と第2実施例において上下及び左右に2列ずつ配列されたLED発光素子(18〜21)、及び第3実施例において上下に配列されたLED発光素子(56〜58)を、LED発光素子毎に独立して点消灯させるように制御する。また、灯具ECU61には、画像処理装置68や、人感センサ69、ターンシグナルランプスイッチ73、ステアリング動作検出機構74等が接続される。画像処理装置68には、車載カメラ70やインターネット等の通信回線を介して道路監視カメラ71等が接続される。車載カメラ70は、路面描画用灯具ユニット(4、36,51)と共に車両に搭載され、道路監視カメラ71には、交差点に配置される交差点カメラや、道路の近辺に設置された監視カメラ等が含まれる。
【0056】
人感センサ69は、道路上における歩行者の検出データを灯具ECU61に送り、車載カメラ70及び道路監視カメラ71は、車両近辺に存在する歩行者等に関する撮影データを画像処理装置68に送る。人感センサ69によって道路上の歩行者が検出され、または画像処理装置68の解析結果によって道路上の歩行者等の映像等が得られた場合、灯具ECU61は、道路上の歩行者や他車両のドライバーに注意を促すための所定の描画パターンを路面等の所定の位置に描画するように、LEDアレイ(15、52)の点灯制御回路66及びスイブル駆動部67を制御する。また、灯具ECU61は、左右いずれかのターンシグナルランプを点灯させるターンシグナルランプスイッチ73の動作を検出し、またはステアリング動作検出機構74によってステアリングが左右いずれの方向に回されたかを検出する。
【0057】
次に
図9により、第1実施例から第3実施例の路面描画用灯具ユニット(4,36,51)による路面描画パターンの形状を説明する。
図9(a)及び
図9(b)は、自車両Myが走行中の自車線Rd1と対向車線Rd2からなる道路において、建物B1の死角となる交差道路Rd3上に歩行者Hu1及びHu2存在する状況を想定している。
図9(a)において、路面描画用灯具ユニット(4,36,51)のそれぞれの回折格子部(13a、37a、54a)は、光束の通過によって左向きの矢印パターンAr1を前方に描画するように形成され、回折格子部(13b、37b、54b)は、前向きの矢印パターンAr2を前方に描画するように形成され、回折格子部(13c、37c、54c)は、右向きの矢印パターンAr3を前方に描画するように形成されている。
【0058】
図8に示す人感センサ69,車載カメラ70または道路監視カメラ71が
図9(a)に示す直進する車両Myの前方に歩行者Hu1またはHu2の存在を検出した場合、第1及び第2実施例において灯具ECU61は、光源制御部64を介してLED発光素子(18〜21)を全て点灯させるのと同時に切替制御部72を介して第1実施例の切替用モーター25を制御して
図3(a)の回折格子部13bをLEDアレイ15に正対させ、または切替制御部72を介して第2実施例の切替用モーター39aを制御して
図5(a)の反射板39cを第1配置P1に配置する。また、第3実施例において灯具ECU61は、切替制御部72と光源制御部64を介してLED発光素子57のみを点灯させる。その結果、
図3,
図5(a)及び
図7に示す第1実施例から第3実施例のLEDアレイ(15、52)による光束(R1、R2、R6)は、回折格子部(13b、37b、54b)を透光することにより、
図9(a)に示す前向きの矢印パターンAr1を車両Myの前方の自車線Rd1上に描画する。交差道路Rd3上で自車両Myの死角にいる歩行者(Hu1,Hu2)は、交差する自車線Rd1上を直進する自車両Myが接近中であることをいち早く正確に認識することによって、自車両Myとの衝突を回避出来る。
【0059】
一方、
図8に示す人感センサ69等によって車両Myの前方に歩行者Hu1またはHu2の存在が検出された状態で、左折のターンシグナルランプスイッチ73がONにされまたはステアリング動作検出機構74によって左折のステアリング動作が検出された場合、第1及び第2実施例において灯具ECU61は、LED発光素子(18〜21)を全て点灯させるのと同時に第1実施例の切替用モーター25を制御して
図3(a)の回折格子部13aをLEDアレイ15に正対させ、または第2実施例の切替用モーター39aを制御して
図5(a)の反射板39cを第2配置P2に配置する。また、第3実施例において灯具ECU61は、LED発光素子56のみを点灯させる。その結果、
図3,
図5(a)及び
図7に示す第1実施例から第3実施例のLEDアレイ(15、52)による光束(R1、R3、R5)は、回折格子部(13a、37a、54a)を透光することにより、
図9(a)に示す左向きの矢印パターンAr2を車両Myの前方の自車線Rd1上に描画する。死角にいる交差道路Rd3上の歩行者(Hu1,Hu2)は、交差する自車線Rd1上を走行する自車両Myが歩行者Hu1に向かって左折することをいち早く正確に認識することによって、自車両Myとの衝突を回避出来る。
【0060】
また、
図8に示す人感センサ69等によって車両Myの前方に歩行者Hu1またはHu2の存在が検出された状態で、右折のターンシグナルランプスイッチ73がONにされまたはステアリング動作検出機構74によって右折のステアリング動作が検出された場合、第1及び第2実施例において灯具ECU61は、LED発光素子(18〜21)を全て点灯させるのと同時に第1実施例の切替用モーター25を制御して
図3(a)の回折格子部13cをLEDアレイ15に正対させ、または第2実施例の切替用モーター39aを制御して
図5(a)の反射板39cを第3配置P3に配置する。また、第3実施例において灯具ECU61は、LED発光素子56のみを点灯させる。その結果、
図3,
図5(a)及び
図7に示す第1実施例から第3実施例のLEDアレイ(15、52)による光束(R1、R4、R7)は、回折格子部(13c、37c、54c)を透光することにより、
図9(a)に示す左向きの矢印パターンAr3を車両Myの前方の自車線Rd1上に描画する。死角にいる交差道路Rd3上の歩行者(Hu1,Hu2)は、交差する自車線Rd1上を走行する自車両Myが歩行者Hu2に向かって右折することをいち早く正確に認識することによって、自車両Myとの衝突を回避出来る。
【0061】
尚、
図3(a)、
図5(a)、
図6、
図9(b)における符号L5は、道路の幅方向(第1方向)に伸びる軸線を示す。
図9(b)において、第1実施例から第3実施例における路面描画用灯具ユニット(4,36,51)のそれぞれの回折格子部(13a〜13c)、(37a〜37c)、(54a〜54c)は、いずれも軸線L5に沿って道路の幅方向に延びる棒状の描画パターン(Ar4〜Ar6)を自車両Myの前方の自車線rd1上に描画する。描画パターン(Ar4〜Ar6)は、Ar4から順番に車両Myから徐々に遠ざかるように描画される。描画パターンAr4は、回折格子部(13a、37a、54a)を通る光束によってそれぞれ描画され、描画パターンAr5は、回折格子部(13b、37b、54b)を通る光束によってそれぞれ描画され、描画パターンAr6は、回折格子部(13c、37c、54c)を通る光束によってそれぞれ描画される。
【0062】
灯具ECU61によって第1実施例の切替用モーター25を制御し、LEDアレイ15に正対する回折格子部(13a〜13c)を軸線L5に沿って往復させた場合、または、第2実施例の切替用モーター39aを制御して反射板39cを第1配置から第3配置(P1〜P3)の間で往復するように揺動させた場合、または、第3実施例の切替装置59を電気的に制御して、LED発光素子(56〜58)を56−57−58−57−56の順に繰り返し点消灯させた場合、棒状の描画パターン(Ar4〜Ar6)は、Ar4−Ar5−Ar6−Ar5−Ar4の順番に点灯する、その場合、歩行者には、自車線Rd1の伸びる方向に沿って往復する棒状の描画パターン(Ar4〜Ar6)が自車両Myと共に自車線Rd1上を直進してくるように見えるため、歩行者Hu1は、自車線Rd1上を走行する自車両Myが接近していることをいち早く正確に認識することによって、自車両Myとの衝突を回避出来る。
【0063】
尚、第3実施例の路面描画用灯具ユニット51においては、光源制御部64の制御によってLED発光素子(56〜58)を全て点灯させることによって、3つの棒状描画パターン(Ar4〜Ar6)による縞状の描画パターンを形成しても良い。その場合、歩行者Hu1は、自車両Myと共に自車線Rd1上を直進して来る交差する縞状の描画パターンを目視して、自車両Myの接近をいち早く正確に認識出来る。
【0064】
更に
図10により、第1実施例から第3実施例の路面描画用灯具ユニット(4,31)によって描画される
図9(b)の棒状の路面描画パターンの形状を説明する。
図10の符号L6は、道路の幅方向の軸線L5及び出射軸L1(
図7ではL4)の双方に直交する方向(第2方向)の軸線を示す。
図10(a)は、一例として第3実施例の路面描画用灯具ユニット51における垂直断面上の光路パターンを示す。
【0065】
図10(a)に示す第3実施例の路面描画用灯具ユニット51は、光源であるLED発光素子(56〜58)を有するLEDアレイ52の出射軸L4が車両の前後に伸びる水平軸線L0に対して角度θ1だけ下向きになるようにエイミングスクリュー19のモーターユニット22(
図2を参照)によって傾けられている。
【0066】
図7及び
図10(a)の光束R5からR7は、リフレクター(53a〜53c)に反射されて回折格子部(54a〜54c)を通過することにより、それぞれ軸線L6に沿った高さh1からh3に収束されつつ前面カバー3を通過して車両前方の路面等に描画パターンを表示する。光束(R5〜R7)は、リフレクター(53a〜53c)に反射されることにより、
図10(b)に示すように幅W1に収束されつつ前面カバー3を通過し、車両前方の路面等に棒状または帯状の描画パターンを表示する。
【0067】
図10(b)は、出射軸L4(第1及び第2実施例では、出射軸L1)に直交する仮想平面A1があると仮定した場合に描画されるLEDアレイ52(第1及び第2実施例では、LEDアレイ15)による描画パターンP1からP3を示す図である。符号Lm1及びLm2は、それぞれ自車線側及び対向車線側のレーンマークを示し、符号Lm3は、中央分離帯を示す。第3実施例のLED発光素子(56〜58)による光束R5〜R7(第1及び第2実施例では、LED発光素子(18〜21)による光束R1と光束R2〜R4)は、発光素子毎に描画パターン(Pt1〜Pt3)を下から順番に描画する。
【0068】
仮想平面A1における描画パターン(Pt1〜Pt3)は、道路の幅方向である第1方向(軸線L5に沿った方向)に長く、軸線L5及び出射軸L4(第1及び第2実施例では、出射軸L1)の双方に直交する第2方向(軸線L6に沿った方向)に短く描画されることにより、棒状または帯状に形成される。符号h1からh3は、仮想平面上A1内における各描画パターン(Pt1〜Pt3)の高さを示す。第3実施例の回折格子部(54a〜54c)は、例えば、幅が4mで車線が自車の走行車線が2車線ある道路に帯状または棒状の描画パターン(Pt1〜Pt3)を走行車線の幅一杯に描画する場合、回折格子部(54a〜54c)は、描画パターン(Pt1〜Pt3)の幅がW1=4mとなり、高さがh1=h2=h3=0.05m等となるように形成される(第1及び第2実施例の回折格子部(13a〜13c)及び回折格子部(37a〜37c)も同様)。その場合、描画パターン(Pt1〜Pt3)は、第2方向の高さh1〜h3に対して、幅W1が十分に長く形成される。
【0069】
このようにして路面等に描画された帯状または棒状の描画パターン(Pt1〜Pt3)は、仮想平面A1の第2方向における光束が密になり、路面に向けて斜め下方に照射されても、前後に拡散しにくくなるため、明確な輪郭を有するようになる。輪郭が明瞭な帯状または棒状の描画パターン(Pt1〜Pt3)が車両とともに車両の進行方向に移動することにより、歩行者は車両の接近をより正確に認識出来る。
【0070】
尚、帯状または棒状の描画パターン(Pt1〜Pt3)は、車両からより遠くに描画される程、車両の進行方向へ拡散されやすくなるため、仮想平面A1状における描画パターン(Pt1〜Pt3)の高さを均等にした場合、より遠くの路面に描画されるものほど、奥行きが伸びて輪郭がぼやける点で問題がある。そこで、第1から第3実施例においては、仮想平面A1上に表示される帯状または棒状の描画パターン(Pt1〜Pt3)の高さがh1>h2>h3なるように表示させることがより望ましい。仮想平面A1上において、上方に描画される描画パターンは、より下方に描画される描画パターンよりも遠くに描画される。従って、仮想平面A1上において上方に描画される描画パターンの高さをより下方に描画される描画パターンの高さよりも低くすれば、車両の進行方向への拡散が抑えられることにより、路面上に実際に描画される描画パターンの奥行きを均一に出来る。
【0071】
図11は、仮想平面A1を通過した光束(R1〜R7)によって路面Roにそれぞれ前後に配列されるように描画された描画パターン(Pt4〜Pt6)の奥行きdを示す図である。第1及び第2実施例においては、仮想平面A1上に表示される棒状の描画パターン(Pt1〜Pt3)のそれぞれの高さをh1>h2>h3とするように第3実施例の回折格子部(54a〜54c)を形成することにより、路面Roにそれぞれ描画された描画パターン(Pt4〜Pt6)の奥行きdを均一に出来る。
【0072】
尚、
図6〜
図8において、各描画パターン(P1〜P4)及び描画パターン(P5〜P8)は、それぞれ上下にクリアランスC1を設けて仮想平面A1に表示され、各描画パターン(P9〜P12)は、それぞれ上下にクリアランスC2を設けて路面Roに表示されているが、クリアランス(C1、C2)は、各図においてh1からh4の高さの違いや、それら高さの違いによる影響を見やすくするために便宜上設けたものであるため、実際の描画パターン(P1〜P12)は、隙間無く連続して形成されても良いし、一部が重なるように表示されても良い。その場合には、輪郭が明確で奥行きの大きな合成描画パターンを形成出来る。
【0073】
尚、第1から第3実施例において、仮想平面A1に表示される帯状または棒状の描画パターン(Pt1〜Pt3)は、均一な幅W1に形成されているが、仮想平面上A1上において均等な幅に描画された描画パターン(Pt1〜Pt3)は、遠くの路面等に表示されるもの程、幅方向への拡散が広くなって、大きな幅を有するようになる。その場合、描画パターンの輪郭がぼやけて問題となる。そこで、仮想平面A1において上方に表示される描画パターン(Pt1〜Pt3)の幅を、より下方に表示される描画パターンの幅より短く描画してもよい。この場合、描画パターン(Pt4〜Pt6)のうち、路面Ro上のより遠くに表示されるもの幅方向への拡散が抑制されるため、路面Ro上に表示される描画パターン(Pt4〜Pt6)の幅が均等になる。