(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示す本実施形態のガスバーナ1は、ガスコンロ用であって、例えばキッチン台等に組み込まれるビルトインコンロや、テーブル等に載置されるテーブルコンロ等のバーナとして使用される。
【0013】
図1に示すガスバーナ1は、図示しないコンロの天板に形成されたバーナ開口から上方に露出した状態で、コンロの筐体内に設置される。天板上には、バーナ開口から露出した部分を囲むように五徳が載置される。これにより、ガスバーナ1に形成される火炎によって、五徳上に載置された鍋等の調理容器が加熱される。
【0014】
図1に示すように、ガスバーナ1は、バーナ本体2、バーナヘッド3、バーナカバー4等を備える。バーナ本体2には、ガス供給管(図示略)が接続されている。バーナ本体2の内側には、混合室(図示略)が形成されている。ガス供給管は混合室と連通する。ガス供給管のバーナ本体2と接続する一端部とは反対側の他端部には、ガス供給管内に向けてガスを吐出するノズル(図示略)が設けられている。ノズルからガス供給管内に向けてガスが吐出されると、ガスと共にノズルの周囲空気が一次空気としてガス供給管内に吸引される。ガス及び一次空気は、ガス供給管部を介して混合室に供給され、混合室内で混合される。これにより、バーナ本体2では、ガスと一次空気を混合した混合ガスが生成される。
【0015】
ガスバーナ1の火力調節は、ノズルにガスを供給する供給路に設けた火力調節装置(図示略)を操作することにより調節される。バーナヘッド3は、バーナ本体2の上部に載置され、バーナ本体2との間に、後述する複数の炎口を形成する。バーナカバー4は、バーナヘッド3の上部に固定され、煮こぼれ汁等がバーナヘッド3の内周空間を通してコンロの筐体内に落下するのを防止する。
【0016】
図1〜
図4を参照し、バーナヘッド3の構造を説明する。バーナヘッド3は、上板11と筒部12を備える。上板11は平面視略円環状に形成され、バーナ本体2内の混合室の上部開口を閉塞する。筒部12は略円筒状に形成され、上板11の内周縁部から下方に向かって延びる。バーナヘッド3がバーナ本体2の上部に載置された状態では、上板11はバーナ本体2の上部に載置され、筒部12はバーナ本体2の内側に挿入される。筒部12の中央には、二次空気通路が形成される。
【0017】
上板11は、下面の外周縁部に沿って下方に突出する筒状壁15を備える。筒状壁15は、バーナ本体2の上部の座面2Aに着座される。筒状壁15の下面は、バーナ本体2の座面2Aと同様に、径方向外側に向って上方に傾斜するテーパ状に形成されている。このような筒状壁15をバーナ本体2の座面2A上に着座させることで、筒状壁15の外周面において、上下方向に長い複数の主炎口21と上下方向に短い複数の保炎口22とが形成される。
【0018】
上板11の下面において、コンロに設置されたときの6本の五徳爪(図示略)に対応するP1〜P6領域(
図2参照)を除く領域には、複数のガス供給溝50が、上板11の中心部を基準とする放射状に形成されている。P1〜P6領域のうち、P4領域には、位置決め用の突起16が垂直に設けられている。突起16は、バーナ本体2の座面2Aに設けられた位置決め用の穴(図示略)に上方から嵌合させる。バーナ本体2の混合室で生成された混合ガスは、複数のガス供給溝50に沿って径方向外側に流れ、筒状壁15に導かれる。筒状壁15に導かれた混合ガスは、主炎口21及び保炎口22から噴出する。噴出した混合ガスはイグナイタ(図示略)により着火されて、主炎口21及び保炎口22に火炎が形成される。
【0019】
具体的には、筒状壁15の下面において、P1〜P6領域を除く領域には、周方向に沿って等間隔に並ぶ多数の深凹溝が垂直に設けられている。これら多数の深凹溝とバーナ本体2の座面2Aとによって、多数の主炎口21が形成される。主炎口21は、スリット状に上下方向に長く形成され、外側に対して斜め上方に開口している。そして、主炎口21から噴出する混合ガスが燃焼することによって主炎が形成される。
【0020】
筒状壁15の下面において、P1〜P6領域を除く領域であって、周方向に並ぶ多数の深凹溝同士の間には、浅凹溝が垂直に設けられている。これら多数の浅凹溝とバーナ本体2の座面2Aとによって、多数の保炎口22が形成される。そして、保炎口22から噴出する混合ガスが燃焼することによって保炎が形成される。また、筒状壁15の下面において、P1〜P6領域には、周方向に隣接して並ぶ3個の浅凹溝が垂直に設けられている。それ故、五徳に対応するP1〜P6領域には、これら3個の浅凹溝とバーナ本体2の座面2Aとによって、3個の五徳爪用保炎口23が周方向に並んで形成される。
【0021】
また、筒状壁15の外周面におけるP1領域に対応する部分には、径方向外側に突出する点火用突起部17が設けられている。コンロに設置されたときの点火用突起部17は、イグナイタ91(
図2参照)に対向するように配置される。イグナイタ91を、点火用突起部17との間で放電させることによって、P1領域に対応する3個の五徳爪用保炎口23から噴出するガスに引火され、多数の主炎口21及び保炎口22とに順次点火される。P1〜P6領域においては、主炎口21同士の間が大きく離間するが、3個の五徳爪用保炎口23を火炎が順次移ることによって、全ての主炎口21及び保炎口22に点火される。
【0022】
また、
図3,
図4に示すように、筒状壁15の外周面において、点火検出用の熱電対92(
図2参照)に対向する位置には、バーナヘッド3の中心側に所定距離(例えば、1mm程度)凹没して形成された凹み部31が設けられ、その凹み部31を周方向の両側から挟み込むようにして、一対の検出用主炎口21A,21Bが設けられている。凹み部31の下面には一つの浅凹溝が垂直に設けられている。この浅凹溝とバーナ本体2の座面2Aとによって、一対の検出用主炎口21A,21Bの間に、一つの保炎口22が形成される。後述するが、熱電対92は、一対の検出用主炎口21A,21Bに形成される結合火炎F3(
図7参照)を検出する。保炎口22に形成される火炎は、結合火炎F3を保炎する。
【0023】
さらに、
図4に示すように、凹み部31の外側面の上部には、凸部32が設けられている。凸部32は、凹み部31を正面から見た場合に、凹み部31の外側面の上端部の左右方向(幅方向)の略中央位置から上下方向の略中央位置まで垂直方向に延設され、側面から見た場合に、凹み部31の外側面から筒状壁15の径方向外側に突出する略長方形状に形成されている。なお、凸部32における凹み部31の外側面と連結する基部は、テーパ状に形成されている。さらに、筒状壁15の外側面において、凹み部31の上端部の直上には、突出部35が設けられている。突出部35は、筒状壁15の外側面から径方向外側に略水平に突出する平面視細長略長方形の庇状に形成されている。突出部35は、一対の検出用主炎口21A,21Bと、凹み部31の外側面との間に囲まれる空間を上方から覆う。
【0024】
図4〜
図7を参照し、熱電対9
2によって検出される火炎形状の最適化について説明する。本実施形態は、熱電対9
2によって検出される火炎の最適化を図る為、上記の通り、一対の検出用主炎口21A,21Bの間に凹み部31を設け、その凹み部31の外側面の上部に凸部32を設けている(
図4参照)。そこで、以下に、これらを設けたことによる効果について、
図5,
図6に示す二つの対比例(バーナヘッド130,230)を用いて順に説明する。なお、バーナヘッド130,230は、本実施形態のバーナヘッド3における一対の検出用主炎口21A,21Bの間の形状を変更したものである。バーナヘッド130,230において形状を変更した部分以外の構造は、上記のバーナヘッド3と同じであるので、同じ部分については同一の符号を用いる。また、コンロに設置したときのイグナイタ91及び熱電対92との位置関係も同一である。
【0025】
先ず、
図5に示すバーナヘッド130は、筒状壁15の外周面において、一対の検出用主炎口21A,21Bの間に、凹み部31と凸部32を設けないで、筒状壁15の外周面と同一の外周面としたものである。熱電対92は、一対の検出用主炎口21A,21Bの間に対向する位置に配置される(
図2参照)。熱電対92は、一対の検出用主炎口21A,21Bに夫々形成された火炎F1,F2によって加熱されることで、バーナの点火状態が検出される。しかしながら、このようなバーナヘッド130を備えるバーナでは、点火直後等は、火炎F1,F2が熱電対92に当たって冷却されることから、火炎F1,F2がリフトしてしまい、熱電対92から火炎F1,F2が離れてしまう場合がある。この場合、熱電対92は火炎F1,F2を検出できない可能性がある。
【0026】
そこで、このような火炎F1,F2のリフトを抑制する為、
図6に示すバーナヘッド230のように、一対の検出用主炎口21A,21Bの間をバーナヘッド3の中心側に所定距離(例えば、1mm程度)凹没させ、本実施形態の凹み部31を設けることが考えられる。凹み部31を設けることで、その両側の一対の検出用主炎口21A,21Bは、他の主炎口21よりも径方向内側に一段下がった位置に配置されるので、火炎F1,F2はバーナヘッド3の中心側に引き込まれる。これにより、火炎F1,F2のリフトを抑制できる。
【0027】
しかしながら、リフトの抑制はできても、火炎F1とF2が互いに寄り添って結合してしまうため、大きな結合火炎F3が形成されてしまう場合がある。結合火炎F3は、火炎F1,F2よりも大きいことから燃焼空間が不足してしまい、二次空気を求めて火炎長が増大してしまう。これにより、鍋底と結合火炎F3の先端との距離が局部的に縮まるので、燃焼不良やすす等が発生する虞がある。
【0028】
そこで、凹み部31を設けたことによる火炎長の増大、及び燃焼不良を抑制する為、
図7に示す本実施形態のバーナヘッド3のように、凹み部31の外側面の上部に凸部32をさらに設ける。これにより、結合火炎F3の上部のみをF4部分とF5部分とに分離させることができるので、
図6に示す結合火炎F3に比べて火炎長が大きくならない。よって、凹み部31を設けたことによるリフト抑制効果を保持しつつ、火炎結合による燃焼不良を抑制できる。さらに、凹み部31の上端部の直上に略水平に設けられた突出部35によって、結合火炎F3は突出部35側に引き寄せられるので、結合火炎F3の保炎性をさらに向上できる。なお、突出部35は、結合火炎F3の保炎機能に加え、煮こぼれ防止の機能も備える。それ故、一対の検出用主炎口21A,21Bに煮汁が流れて、消火してしまうのを防止できる。
【0029】
以上説明したように、本実施形態のガスバーナ1は、ガスを供給するバーナ本体2と、バーナ本体2に載置されるバーナヘッド3とを備える。バーナヘッド3の外周部に設けられた筒状壁15の外側面には、複数の主炎口21と保炎口22が周方向に並んで設けられている。これら主炎口21と保炎口22には、バーナ本体2から供給されたガスが燃焼することによって火炎が形成される。筒状壁15の外側面のうち、点火検出用の熱電対92と対向する部分で、且つ周方向において両側から挟み込む一対の検出用主炎口21A,21B間には、凹み部31が設けられている。凹み部31は、バーナヘッド3の中心側に凹没して形成されている。さらに、凹み部31の外側面の上部には、バーナヘッド3の径方向外側に突出する凸部32が設けられている。
【0030】
熱電対9
2に対向する位置に凹み部31を設けることで、凹み部31の両側に位置する一対の検出用主炎口21A,21Bに形成された2つの火炎F1,F2が結合し、結合火炎F3が形成される。さらに、凹み部31の外側面の上部に設けられた凸部32によって、その結合火炎F3の上部のみが部分F4とF5に分離する。これにより、熱電対92によって検出される火炎の保炎性が向上すると共に、火炎結合による燃焼不良を防止できる。
【0031】
また、本実施形態では、筒状壁15の外側面における凹み部31の上方には、径方向外側に略水平に突出する突出部35が設けられている。凹み部31の両側に位置する一対の検出用主炎口21A,21Bに形成された2つの火炎F1,F2が結合されてなる結合火炎F3は、突出部35側に引き寄せられるので、結合火炎F3のリフトをさらに抑制できる。
【0032】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。上記実施形態のガスバーナ1は、コンロの筐体内に設けられるものであるが、コンロ以外のガス調理器やガス加熱器にも適用可能である。
【0033】
また、上記実施形態のバーナヘッド3において、筒状壁15の凹み部31の外側面に設けられる凸部32の形状は、外側に突出する略長方形の板状に形成されているが(
図4参照)、凸部の形状はこれ以外の形状であってもよい。例えば、
図8に示すバーナヘッド330の凹み部31の外側面の上部に設けられた凸部132のように、周方向両側から中央に向かって山なりに傾斜する略三角柱状に形成されていてもよい。また、
図9に示すバーナヘッド430の凹み部31の外側面の上部に設けられた凸部232のように、下方に一つの頂点を有する正面視逆三角形状であってもよい。また、
図10に示すバーナヘッド530の凹み部31の外側面の上部に設けられた凸部332のように、下方に向けて半円弧状に突出する正面視半円形状であってもよい。
【0034】
なお、これら凸部32,132,232,332の夫々の下端部の位置は、
図4、
図7〜
図9中に示す位置よりも下方又は上方であってもよいが、凹み部31の外側面の下端部とは接触させないのが好ましい。また、これら凸部32,132,232,332の外側に向かう先端部は、上下方向に平行な平面にするのが好ましい。
【0035】
また、上記実施形態では、筒状壁15の下面において、P1〜P6領域に夫々対応する部分には、3つの五徳爪用保炎口23が夫々設けられるが、五徳爪用保炎口23の数は3つでなくてもよく、1つ、2つ、又は3つ以上であってもよい。好ましくは複数であるのがよく、五徳の五徳爪の幅に合わせて決めればよい。
【0036】
また、上記実施形態の凹み部31は、一対の検出用主炎口21A,21Bの間を、筒状壁15の外側面に対してバーナヘッド3の中心側に1mm程度凹没させているが、凹没させる距離は1mmに限らず、さらに凹没させてもよい。また、1mmよりも浅く凹没させてもよい。
【0037】
また、上記実施形態のバーナヘッド3の上板11の下面には、複数のガス供給溝50が放射状に形成されているが、ガス供給溝50は省略してもよい。また、上記実施形態のバーナヘッド3は、6本の五徳爪を備える五徳の専用品であるが、五徳爪の本数と位置に応じて、3つの五徳爪用保炎口23の位置を変更すればよい。