(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記方形状の枠材の対向する枠材の間に架設した複数の框材を、隣接する框材間の間隔を異ならせて架設することにより、前記框材で分割された複数の小空間の大きさを異ならせたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の戸。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態の戸について、
図1〜
図5を参照しながら説明する。
図1(a)に示すように、本実施形態の戸1は、方形状の戸板からなり、例えば、この戸板に、図示しない丁番、レバーハンドル等を取り付けることで開き戸(ドア)が作製される。戸板は、ドアのみならず、引き戸その他の戸に用いることができる。
戸1は、
図1(a)〜(c)及び
図2に示すように、枠材2と、框材3と、芯材4と、面材5と、表面材6と、補助材7を組み合せて積層した構成としている。
具体的には、戸1は、方形状に配置した枠材2の対向する枠材2の間に複数本の框材3を架設して複数の小空間を形成し、各小空間に対しそれぞれ芯材4が装填された状態で面材5を覆い、さらに戸板全体を表面材6により重ねることで形成される。
面材5と表面材6は、それぞれが、2つの板状部材を積層した二重構造としており、面材5は、第一面材51と第二面材52、表面材6は、第一表面板61と第二表面板62により構成される。補助材7は、第二面材52の外周に設けている。
次に、これらの各部材について詳細に説明する。
【0010】
枠材2は、戸1の全体の外周に沿って配設される部材であり、通常時及び燃焼時における戸1の反りを抑える役割を担う。
このため、比較的密度の高い木質材を枠材2として用いている。
具体的には、0.6/cm
3〜0.8/cm
3のゴム集成材やパイン集成材を用いる。
本実施形態では、枠材2として、密度0.6g/cm
3のゴム集成材を用いている。
【0011】
框材3は、表面材6の平滑性を保つとともに戸1の全体の剛性を高めるための部材であり、枠材2の内側に沿って長手方向に配設する縦框材3aと、枠材2の内側に沿って幅方向に配設するとともに、上部の枠材2と下部の枠材2の間に、横方向に向けて、所定の間隔をあけて配設する横框材3bと、を有している。
本実施形態において、横框材3bの配設間隔は、高さ2400mmの戸に対し、463mm以下になるようにしている。これは、横框材3bの間隔が463mmより大きいと通常時には表面材6に歪みが生じやすくなり必要な剛性が得られず、燃焼時に戸1の全体のゆがみが大きくなって遮炎効果を低下させるからである。
また、枠材2の内側に沿って配設する框材3は、省略することもできる。
なお、本発明における「枠材」とは、枠材2のみからなる場合と、枠材2及び枠材2の内側に沿って配設する框材3からなる場合を含んでいる。
【0012】
また、
図2に示すように、框材3は、枠材2と同じ厚みのものを用い、芯材4に面する端部の表面及び裏面に、第一面材51の厚み分の切欠きを施し、第一面材51を配設したときに第一面材51が框材3の表面や裏面から出っ張らないようにしている。つまり、第一面材51の面と框材3の面を同一レベルにすることで、第二面材52を、第一面材51及び框材3に対し隙間ができないよう接合性よく接着できるようにしている。
なお、框材3を省略した場合には、枠材2に上記切欠きを施すようにする。
【0013】
芯材4は、耐火性及び吸音性を有する部材であり、横框材3bにより区切られた小空間にそれぞれ装填している。芯材4は、戸1の内部空間において一定の体積を占めるため、軽量のものが好ましい。
本実施形態では、芯材4として、ロックウール(密度80kg/m
3)を用いる。ただし、これに限らず、耐火性及び吸音性を有する他の部材を芯材4として用いることができる。例えは、グラスウール、フェノール樹脂発砲板、けい酸カルシウム保温板などを用いることができる。
【0014】
第一面材51は、遮音性を有する板状の部材であり、横框材3bにより区切られた複数の小空間に芯材4が装填された状態において、各小空間を、表側及び裏側から覆うように配設している。これにより、芯材4が固定され、その後の作業効率を向上させることができる。
また、後記の第二面材52として無機質の部材を用いた場合、無機質の部材は比較的脆く、第二面材52が、製作時の作業による衝撃や芯材の重量による応力に耐えきれずに破れや剥離を起こすことがある。
このため、第一面材51は、第二面材52の機械的強度を補う役割も担っている。
第一面材51は、具体的には、厚み2.5〜5.5mm、密度0.6〜0.9g/cm
3のMDF(ミディアムデンシティファイバーボード)を用いる。本実施形態では、密度0.8g/cm
3のMDFを第一面材51として用いている。
ただし、これに限らず、遮音性を有する部材として、例えば、普通合板、パーチクルボード、HDF(ハイデンシティーファイバーボード)などを第一面材51として用いることができる。
【0015】
第二面材52は、約1000度の超高温でも溶解変形破断しない程度の耐火性を有する板状の部材であり、これを、小空間ごとに、第一面材51と、その周囲の枠材2及び框材3の一部を覆うように配設している。
面材5を、このように、第一面材51と第二面材52とを積層した二重構造にし、表面材6との間に介設することによって、火災時に、枠材2、框材3、及び第一面材51に直接火炎があたりにくくなるため、戸1の遮炎性を高めることができる。
また、第一面材51と第二面材52を一体的に積層することで、面材5全体として厚みを増すことができ、これにより、戸1の遮音性を高めることができる。
本実施形態では、第二面材52として、厚み2mmのシリカアルミナ含浸ガラス不織布(平均質量1400g/m
2)などの無機質の部材を用いている。ただし、これに限らず、上記耐火性能を有する部材であれば、第二面材52として用いることができる。例えば、火山性ガラス質積層板、けい酸カルシウム板、せっこうボード、酸化マグネシウムボードなどを第二面材52として用いることができる。
【0016】
補助材7は、表面材6の接着を強固に行うための部材であり、第二面材52の外周に配設される。
前述のとおり、第二面材52として無機質の部材を用いた場合、無機質の部材は比較的脆い。このため、仮に、第二面材52を、第一面材51や枠材2及び框材3と、表面材6との接着媒体として用いた場合、作業中及び設置後の使用による衝撃や寒暖差・水分の吸排出により素材が膨張・収縮して発生する応力により、第二面材52に破れや剥離を起こす可能性がある。
このため、補助材7は、第二面材52の機械的強度の弱さに伴う接着性の欠点を補う役割も担っている。
補助材7は、第二面材52と同一以上の厚みにしている。このようにすると、枠材2、框材3、及び第一面材51と、表面材6との接着面が確実に当接するため、これらを強固に接着させることができる。
補助材7は、具体的には、密度0.6〜0.9g/m
3の普通合板を用いる。本実施形態では、密度0.6g/m
3のラワン普通合板を補助材7として用いている。
ただし、これに限らず、単板積層材、天然木板材、パーチクルボード、MDF、HDFなどを補助材7として用いることができる。
【0017】
表面材6は、戸板の全面を覆うことで、戸1の表面の平滑性や意匠性を担う木質の部材である。表面材6は、補助材7及び第二面材52からなる下地に対し接着により固定される。表面材6と下地との接着は、例えば、酢酸ビニルエマルション系接着剤など、液状の接着剤を用いて行う。
表面材6は、複数の表面板を一体的に積層することで一つの部材を構成する。例えば、
図2(a)に示すように、第一表面板61と第二表面板62との積層体を表面材6とすることができ、また、
図2(b)に示すように、第一表面板61と第二表面板62と第三表面板63と第四表面板64)との積層体を表面材6とすることができる。
例えば、第一表面板61及び第二表面板62は、厚み2.5〜5.5mmの普通合板を用い、第三表面板63及び第四表面板64は、厚み0.2〜1.0mmの天然木単板を用いることができる。
このように、複数の表面板を一体的に積層した表面材6を用いることで、戸板全体の厚みを増すことができ、これにより、戸1の遮音性を高めることができる。
【0018】
本実施形態の表面材6は、第一表面板61と第二表面板62との積層体を用いているが、これに限らない。例えば、第一表面板61のみを表面材6として用いることができ、また、3枚の表面板を用いる場合、第一表面板61、第三表面板63、第二表面板62の順に積層した積層体を表面材6として用いることができる。また、5枚以上の表面板の中から選択することもできる。
【0019】
表面材6の取付けは、第一表面板61と第二表面板62とを予め接着剤により接着させ、これらが一体に積層された状態で下地に接着させて行う。
これは、仮に、第一表面板61を下地(第二面材52等)に接着し、その後に、第二表面板62を重ねて接着した場合(つまり、各表面板を個別に接着した場合)、凹凸の発生し易い無機質板(第二面材52)と表面材6の間にところどころに軽微な空間が生じ、この状態で、第一表面板61の上に第二表面板62を液状の接着剤を用いてプレス貼付した場合、圧力により接着剤が流動し、表面板の下地の空間の開いた箇所に多く貯留して接着剤の斑が生じるからである。すなわち、この斑は、接着剤の乾燥とともに表面材6に微妙なゆがみを生じさせ意匠的な欠点となる。
これに対し、予め、複数の表面材を平滑に積層接着し、これを第二面材52及び補助材7と接着することで、表面にゆがみが生じにくくなり、意匠性を保つことができる。
【0020】
各部材同士の接合は、液状の接着剤やU字型金具を用いて行うことができる。
例えば、面材5は、U字型金具を用いて対象部材と接合することが好ましい。これは、火災時の想定温度が約1000度になるため、仮に、酢酸ビニルエマルション系接着剤などの主成分の融点が低い接着剤を用いると溶解して結合性が保てず、防火性能を欠くことになるからである。
また、表面材6や表面材6を構成する各表面板の接着は、前述のとおり、接着剤を用いて接着することが好ましく、これにより、戸1の意匠性を保つことができる。
【0021】
[戸の製作方法]
次に、上記の各部材を用いて戸1を製作する方法について説明する。
まず、枠材2を方形に配置し、縦框材3a及び横框材3bを、この枠材2で囲まれた内部に沿わせて縦方向及び横方向に配置するとともに、対向する上部の枠材2と下部の枠材2の間に横框材3bを、所定の間隔をあけて配置する。これにより、横框材3bにより区切られた小空間が複数形成される。
次に、各々近接する枠材2及び框材3を、U字型金具により接合して固定する。このようにすると、枠材2と框材3からなる骨組みを、製造時の持ち運びに支障がない程度に強化することができる。
続いて、横框材3bによって区切られた複数の小空間に芯材4をそれぞれ装填する。
これにより、
図3に示すように、枠材2,框材3及び芯材4からなる第一の層が形成される。
【0022】
次に、各小空間の表側と裏側を、それぞれ第一面材51で覆い蓋をする。
このとき、第一面材51は、近接する框材3又は枠材2に対しU字型金具によって接合する。このようにすると、第一面材51を、製造時の持ち運びに支障がない程度に強化することができる。
これにより、第一の層の上に、
図4に示す、第一面材51からなる第二の層が積層される。
【0023】
続いて、補助材7を、方形に組み合わせた枠材2の表面と裏面に対し、その外周に沿わせて配置するとともに、横框材3bの表面と裏面に配置する。
次に、第二面材52を、補助材7によって囲まれた領域に配置し、その下地にあたる枠材2及び框材3に対し、U字型金具により接合する。
これにより、第一の層に積層された第二の層の上に、
図5に示す、補助材7及び第二面材52からなる第三の層が積層される。
【0024】
そして、表面材6を、補助材7及び第二面材52に接着することで、戸1の製作が完了する。
これにより、
図2に示すように、第一〜第三の層及び表面材6が積層された戸1が形成される。
【0025】
このように製作される本実施形態の戸1によれば、優れた防火性及び防音性を有する。
防火性に関し、芯材4、面材5、及び表面材6が防火部材として機能する。
芯材4及び第二面材52は、それ自体が防火性を有している防火部材である。また、表面材6は、可燃物であるものの、可燃物の中でも比較的燃え進みが遅く、一定時間火災の延焼を防止することができる(遮炎性能)。
また、面材5や表面材6は、それぞれが所定の部材を二重に積層して構成される部材であり、さらに、これを表側と裏側の両面に配置しているため、より遮炎性能を向上させることができる。
また、所定の間隔で横框材3bを配設して戸1の剛性を高めているため、火災時に表面材6のゆがみを抑え、遮炎性能を保持することができる。
すなわち、本実施形態の戸1は、防火部材を備えるだけでなく、防火に効果的な固有の構造を備えることで、効果的に防火性能を高めている。
【0026】
防音性に関し、芯材4、面材5、及び表面材6が、防音部材として機能する。
このうち、面材5及び表面材6は、遮蔽物であり、一定の遮音効果を奏する。
また、面材5や表面材6は、それぞれが所定の部材を二重に積層して構成される部材であり、さらに、これを表側と裏側の両面に配置している。このため、戸1の面積当たりの重さ(面比重)が高まり、より遮音効果を向上させることができる。
このうち、表面材6は、戸1の全体を覆うようにしているため、戸1の全体に平均的に遮音効果をもたらすことができる。
芯材4が装填される小空間の領域は相対的に面比重が欠落するが、この部分には、面材5を用いることで、遮音効果を補完的に向上させるようにしている。
また、芯材4は、吸音効果を有する部材であり、それ自体が防音に寄与する防音材である。ただし、戸1は、厚みが限られているため、表側及び裏側に遮音部材(面材5及び表面材6)で挟み、芯材4の内部で空気音を残響させ、その結果、音を効果的に減衰させるようにしている。
このように、本実施形態の戸1は、防音部材を備えるだけでなく、防音に効果的な固有の構造を備えることで、効果的に防音性能を高めている。
【0027】
ここで、コインシデンス効果や低音域共鳴透過現象に関し、これらの現象よって遮音効果が落ち込むことを抑制可能とする、本実施形態の戸1の構成について説明する。
コインシデンス効果は、厚みを有する遮蔽物に対しその厚みに応じた特定の周波数(コインシデンス周波数)の音について遮音性能を低下させる現象をいう。
低音域共鳴透過現象は、同質の部材を空気を介して積層した場合、一方の部材における振動が空気の脈動を通じて他方の部材を振動(共鳴)させることで、遮音性能を低下させる現象をいう。
本実施形態では、コインシデンス効果の対策として、面材5・表面材6の厚みを表側と裏側とで異ならせた構成とし、低音域共鳴透過効果の対策として、横框材3bの框材間の間隔を異ならせた構成としている。
【0028】
[面材5・表面材6の厚みを表側と裏側とで異ならせた構成について]
本実施形態の戸1は、枠材2の両面に位置する、面材5もしくは表面材6のいずれか一方、又は、面材5と表面材6の双方の厚みを異ならせた構成としている。
例えば、後述する実施例1〜4に関し、
図6(b),
図7(b),
図8(b),
図9(b)に示すように、第一面材51と第一表面板61の一方又は両方について、表面と裏面とで厚みを変えている。
ここで、コインシデンス効果を生じさせるコインシデンス周波数は、同質の部材の場合、厚みによって異なることが知られている。
例えば、厚み5.5mmの第一面材51のコインシデンス周波数をf1とし、厚み4.0mmの第一面材51のコインシデンス周波数をf2とすると、f1≠f2の関係が成り立つ。
このため、表側に厚み5.5mmの第一面材51を配設し、裏側に厚み4.0mmの第一面材51を配設して、表側から周波数f1の音を入射させた場合、コインシデンス効果によって、表側の第一面材61を透過することはあっても、裏側の第一面材51を透過することはない。また、裏側から周波数f1の音を入射させた場合、裏側の第一面材51のコインシデンス周波数はf2(≠f1)であるため、コインシデンス効果により音が透過して表側の第一面材51に到達することはない。
一方、仮に、厚み5.5mmの第一面材51を表側と裏側に配設して、表側から周波数f1の音を入射させた場合、コインシデンス効果によって、音は表側の第一面材51を透過し、さらに、裏側の第一面材51を透過して表面材6に到達する。そうすると、周波数f1の音は、戸1を透過し易くなり、遮音性能が低下する。これは、音を裏側から入射させた場合も同様である。
これに対し、本実施形態の戸1は、面材5や表面材6の厚みを表側と裏側とで異ならせ、コインシデンス周波数を異ならせることで、コインシデンス効果を表面と裏面とで分散させるようにしている。
このため、本実施形態の戸1によれば、コインシデンス効果による遮音性能の著しい落ち込みがなく、安定した遮音性能を発揮させることができる。
【0029】
[横框材3bの框材間の間隔を異ならせた構成について]
本実施形態の戸1は、隣接する横框材3bの框材間の間隔を異ならせて架設することにより、横框材3bで分割された複数の小空間の大きさを異ならせた構成としている。
例えば、後述する実施例1〜4に関し、
図6(a)、
図7(a)、
図8(a)、
図9(a)に示すように、横框材3bの配置位置を変えることで、各框材間の間隔を不均一にしている。
これにより、横框材3bで区切られた各区画の面積を異ならせ、対応する小空間の体積を異ならせるようにしている。
ここで、低音域共鳴透過効果は、同質の板材を空気を介して積層した場合、空気の体積に応じた固有の周波数で共鳴することが知られている。これは、空気の多少によって、板材における反発力(たわみ)が異なるからである。具体的には、空気が多いと反発力が弱く、空気が少ない場合に比べ低音で共鳴が起き、空気が少ないと反発力が強く、空気が多い場合に比べ高音で共鳴が起きる。
これを、本実施形態の戸1に適用すると、横框材3bの框材間の間隔が広い領域と、框材間の間隔が狭い領域では、共鳴する周波数が異なることになる。
例えば、横框材3bの框材間の間隔がXの領域Xにおいて共鳴する周波数をf3とし、横框材3bの框材間の間隔がY(<X)の領域Yにおいて共鳴する周波数をf4とする。
この場合において、本実施形態の戸1に対し、周波数f3の音が入射すると、領域Xにおいては、低音域共鳴透過効果による共鳴により音が透過することがあっても、領域Yにおいては、共鳴は起きず、音が透過することはない。
一方、仮に、横框材3bの各框材間の間隔を均等にXとした場合、周波数f3の音が入射すると、低音域共鳴透過効果により、すべての領域において、共鳴が起きて音が透過することになる。このため、周波数f3の音について遮音性能は著しく低下することになる。
つまり、本実施形態の戸1は、横框材3bの框材間の間隔を異ならせた構成とすることで、従来、等間隔の場合に生じていた低音共鳴透過現象の周波数が集中する現象を分散させるようにしている。
このため、本実施形態の戸1によれば、低音域共鳴透過現象による遮音性能の著しい落ち込みがなく、安定した遮音性能を発揮させることができる。
【実施例】
【0030】
[実施例1]
図6(b)に示すとおり、芯材4(ロックウール)の表側及び裏側に、厚み5.5mm及び4.0mmの第一面材51(MDF)を配設し、その上に、ともに厚み2.0mmの第二面材52(合板)をそれぞれ配設し、その上に、厚み6.5mm及び4.6mmの第一表面材61(合板)、及び、ともに厚み2.5mmの第二表面材62(突板化粧合板)が積層された表面材6をそれぞれ配設し、
図6(a)に示すとおり、横框材3bを、第一の框材31〜第二の框材32、第五の框材35〜第六の框材36の間隔は312mm、第二の框材32〜第三の框材33、第三の框材33〜第四の框材34、第四の框材34〜第五の框材35の間隔は463mmとなるように、それぞれ配設して戸1を製作した。
そして、この戸1に対し、JIS A1416に基づき1/3オクターブバンド中心周波数100〜5000Hzの18バンドにつき音響透過損失測定を行い、
図10(a)に示す計測値を得た。なお、この計測値は、1/3オクターブバンドの計測値をJIS A4702に基づき換算した値である。
【0031】
[実施例2]
図7に示すとおり、横框材3bとして第七の框材37を設け、横框材3bの框材間の間隔を変えた以外は実施例1と同様にして戸1を製作した。
具体的には、第一の框材31〜第二の框材32、第六の框材36〜第七の框材37の間隔は223.5mm、第二の框材32〜第三の框材33、第五の框材35〜第六の框材36の間隔は300mm、第三の框材33〜第四の框材34、第四の框材34〜第五の框材35の間隔は463mmとなるように横框材3bをそれぞれ配設して戸1を製作した。
そして、この戸1に対し、実施例1と同様の測定を行い、
図10(b)に示す計測値を得た。
【0032】
[実施例3]
図8に示すとおり、表側と裏側の第一面材51の厚みをともに5.0mmとし、表側の第一表面板61の厚みを9.0mm、裏側の第一表面板61の厚みを2.3mmとした以外は、実施例2と同様にして戸1を製作した。
そして、この戸1に対し、実施例1と同様の測定を行い、
図10(c)に示す計測値を得た。
【0033】
[実施例4]
図9に示すとおり、表側の第一面材51の厚みを4.0mm、裏側の第一面材51の厚みを2.7mmとし、表側と裏側の第一表面板61の厚みをともに2.3mmとした以外は、実施例2、3と同様にして戸1を製作した。
そして、この戸1に対し、実施例1と同様の測定を行い、
図10(d)に示す計測値を得た。
【0034】
図10(a)〜(d)に示すように、実施例1〜実施例3における遮音性能は、いずれもT3等級を満たし、実施例4における遮音性能は、T2等級を満たす評価を得た。
実施例2は、実施例1との比較において、横框材3bの数を増やし、框材間の間隔をより不均一にした結果、500〜2000Hzにおいて、より遮音性能が高くなる評価を得た。
実施例3は、実施例2との比較において、第一表面板61の厚みを、表面と裏面とで差を大きくした結果、250Hz及び2000〜4000Hzにおいて、より遮音性能が高くなる評価を得た。
実施例4は、実施例1〜3との比較において、第一面材51及び表面材6の厚みを薄くすることで戸板の厚みを10mm薄く仕上げ軽量化したものであるが、250〜1000Hzにおいて2dB程度の遮音性能の低下が見られたものの、T2等級を満たす評価を得た。
【0035】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【0036】
例えば、上述の実施形態では、対向する上部の枠材2と下部の枠材2の間に複数の横框材3bを配設した戸1について説明したが、対向する左部の枠材2と右部の枠材2の間に縦框材3aを配設する構成とすることもできる。
この場合、縦框材3aを、隣接する枠材間の間隔を異ならせて配設することによって、上述の実施形態と同様、共鳴の生ずる領域を分散させ、低音域共鳴透過効果による遮音効果の落ち込みを抑制することができる。
さらに、対向する上部の枠材2と下部の枠材2の間に複数の横框材3bを配設するとともに、対向する左部の枠材2と右部の枠材2の間に複数の縦框材3aを配設する構成とし、横框材3bと縦框材3aのそれぞれについて、隣接する枠材間の間隔を異ならせて配設することもできる。
また、上述の実施形態では、面材5及び表面材6を、それぞれ二重に積層した構造としたが、いずれか一方又は双方を三重以上に積層した構造とすることができる。